ページ番号1004189 更新日 平成30年2月16日

ロシア: Rosneft-ExxonMobilの提携が目指すバジェノフ層シェールオイル開発(短報)

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レポートID 1004189
作成日 2011-10-21 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 探鉱開発
著者 本村 真澄
著者直接入力
年度 2011
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ 更新日:2011/10/18 石油調査部:本村真澄 公開可 シア: Rosneft-ExxonMobilの提携が目指すバジェノフ層シェールオイル開発(短報) ロ ・Rosneftは2011年1月、BPとの業務提携でいったん合意したもののTNK側の提訴により無効になったのを受け、西側の提携先を探していたが、8月30日に、ExxonMobilとの提携で合意した。 ・頓挫したBPとの提携では、新規探鉱と並行して株式交換が入っており、ロシアにおける新規の探鉱事業以外に、BPには短期で石油埋蔵量の嵩上げを図るという狙いがあった。一方、Rosneftの狙いは氷海開発技術等の先進技術の取り込みであった。 ・ExxonMobilは新規探鉱、更には高度技術を要する開発事業が主であり、中長期の取り組みと言えるとともに、Rosneftにとっても技術吸収の機会として評価できるものである。 ・この提携事業の中で注目されるのが、西シベリア石油地帯での石油根源岩と見なされているジュラ系最上部のBazhenov層の探鉱であり、米国のBakken層などでの「シェールオイル」開発の技術が、ロシアにおいても適用されるものと期待が集まっている。特に、Bazhenov層はBakken層の2倍の分布範囲を有し、シェールオイル開発の価値がその面的な広がりあるとすれば、高い期待が寄せられる。 ・Bazhenov層の開発に関しては、1990年代から注目を集めていたが、Shellが開発に参加したSalym 油田では十分に成功しておらず、ExxonMobilの技術による成果が期待される。 . 提携の概要 1(1) 経緯 2011年1月14日、BPとRosneftは、世界規模での協力関係の構築を目指し、78億ドル相当の株式交換、及び北極海カラ海においてRosneftが保有するEPNZ(Vostochno-Prinovozemelsky)1,2,3鉱区で共同探鉱を実施することで合意した。しかし、TNK-BP の 50%株主である AAR(Alfa-Access-Renova)は1月26日、BPとRosneftを相手取り、提携の取り消しを求めて提訴した。3月24日、RosneftとBPの資本業務提携に関して差し止め命令が出され、業務提携は頓挫した(この間の経緯は、5月23日付け拙稿「ロシア: BP-Rosneftの戦略的提携を巡るAAR(TNK-BP株主)との紛争」に記した1)。 6月にRosneftは、他の外国の石油ガス会社との間でアライアンスに関する交渉を再開した、Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 1 ? ツ相手としては、中国のCNPC、CNOOC、Sinopec、米国のExxonMobil、インドのONGC、英国のR/D Shell、ブラジルのPetrobrasの名が浮上していた。 このような経緯を経て、2011年8月30日、RosneftのKhudainatov社長とExxonMobilのNeil Daffin社長は、プーチン首相立会いの下、戦略的協力契約を締結した。 プーチン首相によると、これによりRosneftはExxonMobilと以下の事業を行う2。協業の規模は、BPとロスネフチの協定で規定されていたものよりも遥かに大きなものとなる。 ① ロシア北極海・黒海大陸棚等での共同事業:Rosneft のカラ海のEPNZ(Vostochno-Prinovozemelsky)の3鉱区、及び黒海Tuapse鉱区の地質探鉱に$32億を投じる。2014年掘削開始予定。大陸棚鉱区への優遇税制が成立次第開始。2011-2012年にJV設立。Rosneftが66.7%、ExxonMobilが33.3%。 ② 西シベリアの開発の難しい鉱床での共同開発の可能性について検討:Bazhenov層(25億t)及び、Priob鉱床3。 ③ Rosneftのメキシコ湾やテキサス、カナダの鉱区への参加:石油の抽出が困難な鉱床を含む ④ ExxonMobilが第三国で行なっている事業へのRosneftの参加:2012-13にJV設立。 ⑤ サンクトペテルブルクでのリサーチセンター設立・人材育成、金融機関との交渉等 この中で専門家の間で関心を呼んでいるのが、巨大な資源量があるとかねがね言われているBazhenov層の開発で、ExxonMobilの浸透率の低い層での石油ガス生産についての豊富な経験に2)提携合意の内容 (頓挫したBPによるRosneftとの提携においては、北極海の新規探鉱と並行して株式交換が入っていた。これは、短期で石油埋蔵量の嵩上げを図るという狙いと言える。2003年にTNK-BPを設立することにより、BPは一気に34億バレルの埋蔵量を獲得した。しかし、2010年のメキシコ湾のMacondoの事 1http://oilgas-info.jogmec.go.jp/report_pdf.pl?pdf=1105_out_j_BP_Rosneft_AAR_dispute%2epdf&id=4379 2 Interfax,2011/8/30, RBK Daily, 8/31 3 Interfax, 2011/9/01 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 2 ? BPとExxonMobilの提携の姿勢における比較 . 2(1)BPの姿勢 期待が寄せられている。 フの補償のために17億バレル相当を売却せねばならず、2011年1月のRosneftとの株式交換で、Rosneftの確認埋蔵量の9.5%に当たる14.4億バレルを78億ドルで入手する筈であった(図1参照)。これはバレル当たり、5.42ドルということになる。BPにとって、TNKに続き2回目の埋蔵量獲得作戦であった。Rosneftの狙いは氷海開発技術等の先進技術の取り込みであった。 (2) ExxonMobilの狙い ExxonMobilは、Sakhalin-1にオペレーターとして参加して所期の成果を収めることはできたが、その後はSakhalin -3への関心を表明した以外にロシアにおいて特段の動きはなく、ExxonMobilにとってロシアの投資環境に対しては、かなりの警戒心があるという印象が持たれていた。しかし、2010年に入り、Rosneftの保有する黒海のTuapse Trough鉱区への参加が決まり、ロシアにおいても技術的にチャレンジングな対象への関心が高いことが窺われた。 今回のRosneftとの合意では、ExxonMobilは新規探鉱、更には高度技術を要する開発事業が主であり、中長期的な埋蔵量獲得を目指す取り組みと言える。これは、Rosneftにとっても西側最新技術の吸収の機会として評価できるものである。 カラ海のEPZN(Vostochno Prinovozemlsk)1,2,3鉱区の概要に関しては、2011年2月10日付けの拙稿「ロシア:BPはロシアの石油埋蔵量取得拡大へ-ロスネフチとBPの提携-」に記述してある4。 4 http://oilgas-info.jogmec.go.jp/report_pdf.pl?pdf=1102_out_j_BP%2dRosnft%2epdf&id=4315 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 3 ? 今回の提携で、最も注目されるのが西シベリアの優勢な石油根源岩として知られるBazhenov層におけるシェールオイル開発である。Bazhenov層にフラクチャーを発生させ石油を取り出そうという構想は30年以上前からあり、一種の伝説的な衣を纏って語られて来た。Shellも1993年から西シベリアのSalym油田に参加し、油田の白亜系油層の開発を行うと同時に、深部にあるBazhenov層の開発に取り組んだが、十分な成果は挙がっていない模様である。 一方、米国では近年、シェールガス開発が開花期を迎え、2007年には米国ガス生産量の7%であったものが、2009年には15%、2011年半ばで30%になっていると言われている。これは水平坑井、水圧破砕、マイクロサイスミックの3つの先端技術の組み合わせを駆使した天然ガスの生産方法が米国において確立したことによる。これは多くはベンチャー企業によって開発された技術体系であるが、メジャーGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 4 ? . 西シベリア・バジェノフ層のシェールオイル開発の現状 3(1)ExxonMobilによるシェールオイル開発参加の意義 図1 BP埋蔵量の変遷とロシア企業との提携効果 ヘこれらを企業ごと買収することにより、技術の取り込みを図った 更に重要なのは、シェールガス開発技術を、Williston盆地のBakken層やテキサスのEagle Ford層に適用して、石油を産することができるようになったことである。現状で、米国において回収可能な資源量は240億バレルと言われている5。米国におけるシェールガスの成功は、完備された市場と輸送インフラ(高密度のガス・パイプライン)によるところが大きく、世界の他国で資源的にシェールガスの賦存は今後も確認され続けることが予想されるものの、直ちに商業性に結び付かない地域も多くあると見られている。これに対して、石油を産する場合、少なくとも市場の懸念はなく、より商業化しやすいことから、この技術面でのブレイクスルーは、今後シェールガス以上の大きな影響をもたらす可能性がある。 既に、Bakken層からのシェールオイルの生産量は、2010年に日量46.8万バレルまで達している。 (2)ロシアにおけるシェールオイル開発の認識 2011年9月に、ロシアにおいて「油層からの増産手法の適用に係る理論と実践シンポジウム」が開催され、ロシア地下資源利用庁(Rosnedra)の開発中央委員会のValentin Shelepov副局長は石油会社のデータを基に、西シベリアにあるBazhenov層の鉱床からの石油生産量が2030年までに835万t(約日量17万バレル)を超えると考えていると語った。現在、Bazhenov層の鉱床における石油生産量は40万t(約日量8,000バレル)であり、その内の10万tをLukoil子会社RITEKが生産している。同鉱床の石油資源量は1,000億~1,700億t(7,300億バレル~1兆2,410億バレル)と見られているが、正確な把握はなされておらず、また技術的な問題から当該鉱床の石油生産手法はまだ確立されていない。また、ハンチ=マンシースク自治管区の下院はロシア政府に書面で、Bazhenov層の鉱床開発を行う石油企業に対する優遇税制の適用を要求しているが、現時 ジュラ系最上部のBazhenov層が有機物に富む層であることは、ソ連時代からつとに知られており、筆者は、1990年代にノボシビリスクにあるロシア科学アカデミー・シベリア支部のKontrovich所長の部屋で、飾棚に陳列してあったBazhenov層のコアサンプルを見たことがある。コアは漆黒の緻密な頁岩であり、中央部分には貝化石があった。 5 DOE/EIA, Review of Emerging Resources: U.S. Shale Gas and Shale Oil Plays. ? 5 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 点で政府からの回答は得られていない6 。 3)ロシアにおけるBazhenov層探鉱の経緯 (1979年10月4日、西側がソ連によるマグニチュード5.4の人工地震を観測したが、その震源地を求めると、西シベリアのSalym 油田の位置に重なったという。同油田では、当時Bazhenov層の開発が試みられていたことから、地下核爆発によるフラクチャーを発生させる試みではないかという憶測がなされたことがある7。この話は、米国が流布した作り話に過ぎないが、今でも核の研究者の論文に時々引用されることがある。 1980年10月6日、ソ連のエネルギー関係の調査を行っていたPetroStudiesは、西シベリアに産油面積100万km2、埋蔵量4.5兆バレルの「バジェノフ油田」の発見を伝え、一般紙でも大きく報じられた。これは、Bazhenov層の原始埋蔵量を指しているに過ぎず、専門家は直ちにこの報道を否定した。当時からBazhenov層に対する資源として期待度は高く、石油関係者の間で一種の神話を形成していたことUSGS(2000)として知られているWorld Petroleum Assessment 2000の中のSelf-Sourced Bazhenov Fractured Reservoirs, Assesssmnent Unit 11740102に記載されたBazhenov層の分布範囲を図2に示す。同様に、等距離円錐図法にしたものを図3に示す。Yamal半島に分布するガス田の深部において油層の分布することは知られており、この下位にもBazhenov層の分布が期待されるが、図2に示された分布域が、西シベリアの南部に限定されている理由については、同資料には記されていない。 Bazhenov層は、ジュラ紀の大海進によって形成された比較的水深の大きい嫌気性環境に堆積し、白亜紀に入り、ネオコム階(Neocomian)にタービダイト~デルタ性砕屑物の堆積により、Bazhenov層の埋積が進んだ。堆積物の供給元は主に東方の東シベリア楯状地で、西方向に向かってclinoformを形成した。この嫌気性環境において、ジュラ紀末期に優勢な石油根源岩が形成され、西シベリアの主要な石油根源岩となった。 6 Interfax, 2011/9/20 7 1990年代、ユコスの技術者と懇談する機会があり、筆者はこの件を問うと、驚いた表情をし、あり得ない、そんなことは初めて聞いたと語った。ユコスはSalym油田の近隣の鉱区を多く保有しており、核爆発などあれば知らない筈はない。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 6 ? . Bazhonv層の開発に向けて 4(1)Bazhenov層の概要 が伺われる。 }2.西シベリアにおけるBazhenov層の分布範囲(青線)と西シベリア堆積盆地の範囲(赤線)8 8 USGS(2000), World Petroleum Assessment 2000, Self -Sourced Bazhenov Fractured Reservoirs, Assesssmnent Unit 11740102 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 7 ? }3. Bazhenov層の分布範囲、等距離円錐図法(出典は図1に同じ) Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 8 ? i2)Bazhenov層とBakken層の比較 諸文献のデータに基づき、西シベリアBazhenov層とウィリストン盆地Bakken層との比較を行った(表1参照)。両層はともに、地球上でも優勢な石油根源岩として周知の存在であり、ともに開発が試みられた。Bakken層からは、1951年に出油が確認され、今日「シェールオイル」開発技術の完成を待って、米国における主要な産油層となった。一方、Bazhenov層の開発の試みは30年近く繰り返されてきたが、いずれも十分な成果を見ないままであった。 Bakken層におけるシェールオイル開発が軌道に乗った時、真っ先に注目されたのがBazhenov層である。その理由としては、まず根源岩の分布域がBakken層の2倍の100万km2もあり、その期待埋蔵量も、現時点での比較自体が無意味であるにしても、1ケタないし2ケタ大きいこと、西シベリア自体が大規模な石油生産地としての確固たる歴史を有し、石油積み出しに掛る輸送インフラ(石油パイプライン)が完備していて、商業化が容易と見なされていることが挙げられる。 一方、油層の深度に関しては、Bakken層が平均2,000mであるのに対して、西シベリアでは中央部で3,000m近くなり、世界的には大した深度ではないにせよ、ロシアにおいて配備されている掘削装置にとっては負担の重い深度である。当初はExxonMobilが最新鋭機を導入するとしても、面的な開発に入る段階では、資機材の不足の懸念が表面化するものと思われる。 堆積盆地 地質時代 岩種 厚さ 広さ 深度 孔隙率 有機物含有量 Kerogenタイプ 原油の性状 硫黄分 熟成時期 期待埋蔵量 生産量 Bakken層 Williston(米国、カナダ) デボン紀末期~石炭紀初期 深海頁岩、ドロマイト 2~20m 52万km2 2,000m 平均5% 平均10%、最大40% II 42°API - - 36.5億bbl(最大240億bbl)1.85兆cf 日量45.8万bbl(2010年) Bazhenov層 西シベリア(ロシア) ジュラ紀末~白亜紀初期 深海珪質・石灰質頁岩 20~50m 100万km2 2750m~2950m(Salym油田) 平均6.1% 平均5.1%。、最大20% II、 39°API~42°API 0.08%~0.48% 白亜紀末~暁新世に石油ウインドウに 7,300億bbl~1兆2,410億bbl 日量8,000bbl 表1 西シベリアBazhenov層とウィリストン盆地Bakken層との比較 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 9 ? i3) Bazhenov層における「シェールオイル」層開発の意義 シェールオイルの開発が期待される最大の理由は、これまでの石油開発が石油の移動集積理論に基づいた背斜構造等に規定される構造高所に対する構造狙い(structural hunting)的な探鉱であったものが、石油根源岩自体が開発の対象となるため、その分布域全体がシート状に事業対象にできる点にある。即ち、従来の「狩猟」的アプローチから、「農耕」的な、或いは「鉱山開発」的アプローチへの転換である。 Bazhenov層は、広大な西シベリアの主要部に一様に分布していると考えられ、100万km2という広い分布域は、そのまま広大な探鉱対象が存在することを意味する。今後活発化すると予想される世界の「シェールオイル」開発のなかでも、最も恵まれた条件を提示している。西シベリアはすべてがRosneftの保有する鉱区ではないが、Rosneftは最大の石油生産量を有し、かつてのYukosの6割の生産を受け持ったYuganskneftの鉱区を受け継いでおり、ExxonMobilとの共同事業を行う上で、対象が不足することはない。 更に、この動きは西シベリアで同様に広範な事業を展開しているTNK-BP、Lukoil、Surgutneftgaz, GazpromNeft等のロシア・メジャーズにも必ずや波及してくると思われる。これらの企業が、そう遠くない将来に、それぞれ「シェールオイル」開発の技術を持つ米国企業と事業提携を結ぶ可能性は大いにある。従来から言われているように、米国の先端技術とロシアの地質ポテンシャルの組み合わせは、大きな効果が期待できる。 ロシアの石油生産は現状は好調であるが、それでも1987年の最大生産量にはいまだ及ばない。ということは、パイプラインという輸送インフラの容量にはまだ空きがあるということで、石油輸送のボトルネックはない。 「ロシアにおける2030年までのエネルギー戦略」においては、ロシアにおける西シベリアの生産シェアは2015年頃に、現状の65%から55%まで急落する図が描かれている。一方で、東シベリアにおける増産により、国全体の生産量では漸増を維持できるという予測であるが、政策当局にとって、石油生産量の維持は薄氷を踏むような緊張を伴う。西シベリアの「シェールオイル」開発には、さほどの即効性はないであろうが、中期的には有効な施策であることは明らかで、今後主要な政策課題として掲げられて来るものと思われる。プーチン首相の談話にこの点が強調されていないのは、政策当局の勉強不足もあるかも知れないが、やや物足りない感がある。 他のロシア・メジャーズの外資との提携の動き、そして政策当局が減税措置等の支援措置を講ずるかGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 10 ? ロか、この2点が注目されるところである。 (了) Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 11 ?
地域1 旧ソ連
国1 ロシア
地域2
国2
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国8
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国9
地域10
国10
国・地域 旧ソ連,ロシア
2011/10/21 本村 真澄
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