ページ番号1004206 更新日 平成30年2月16日

原油市場他:欧州債務問題解決期待、及びイランと西側諸国との対立深刻化で上昇するも、その後失速気味の原油価格

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レポートID 1004206
作成日 2011-12-19 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 市場
著者 野神 隆之
著者直接入力
年度 2011
Vol 0
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抽出データ 更新日:2011/12/18 石油調査部:野神 隆之 原油市場他:欧州債務問題解決期待、及びイランと西側諸国との対立深刻化で上昇するも、その後失速気味の原油価格 (IEA、OPEC、米国DOE/EIA他) ① OPECは、12月14日に開催した通常総会で、イラクを含めた12加盟国で合計日量3,000万バレルの生産上限を設定する旨決定したが、加盟各国の生産上限は設定されなかった。 ② 米国では、ガソリン需要は前年割れの状態が続いている一方で、秋場の製油所メンテナンスが終了し生産が増加したことに加え輸入も堅調であったことから在庫も併せて増加、量的にも平年幅の上限に位置している。留出油については、秋場の穀物収穫シーズン終了で農機具向け軽油需要は落ち着いてきたものの輸出が好調であったことから、製油所での生産と在庫は増加したものの、量的には依然平年幅の中間付近に位置している。他方、製油所での処理増加に伴い原油在庫は若干減少となったが水準自体は平年幅の上限付近に位置している。 ③ 2011年11月末現在のOECD諸国推定石油在庫量の対前月末比での増減は、原油在庫については米国では微減となった他、欧州では石油需要の先行き不透明感により製油所が原油精製処理を控えた結果当該在庫が増加したものの、日本では冬場の暖房需要期に向けた灯油生産のため製油所の稼働が上昇したことから原油在庫が減少した結果、OCED諸国全体としても減少となり、水準としては平年幅の中間付近に位置している。他方製品在庫については、米国では微減となったものの、欧州ではライン川の水位低下に伴い船舶による出荷に支障が発生したことから在庫が増加したこと、日本でも冬場の寒さと灯油需要が持続しないことから石油製品在庫全体が増加したことから、OECD諸国全体としても製品在庫は増加となったが、水準としては依然平年並みとなっている。 ④ 2011年11月下旬から12月中旬にかけての原油市場においては、欧州一部諸国における債務問題に対する欧州主要国の対策に向けた動きに対する市場の期待、市場の事前予想より良好な米国等での経済指標類、そしてイランのウラン濃縮活動を巡る西側諸国との対立の深刻化等の要因が、原油相場に上方圧力を加える格好となったことから、原油価格(WTI)は、終値ベースで11月下旬の1バレル当たり95~100ドルが12月上旬には100ドルを超過する水準にまで上昇した。しかしながら、12月8~9日に開催されたEU首脳会議と前後して、欧州の債務問題解決に対する関係者間の足並みの乱れと、そのような動きに対する格付け機関による欧州諸国信用格付けの引き下げの検討への意向表明などにより、当該問題に対する市場の悲観的な見方が増大したことから、原油価格はその後12月中旬にかけ総じて下落傾向となり、12月14~15日には終値ベースで1バレル当たり95ドルを割り込む状態となった。 ⑤ 欧州一部諸国の債務問題もイランのウラン濃縮活動を巡る西側諸国との対立の問題も一朝一夕には解決しがたいものであることから、この両者の要素に原油相場が挟まれるという構図は当面続くものと考えられる。ただ、これらリスク要因の成り行きは不安定であるうえ、クリスマス休暇シーズンを控え、先物市場での取引量が低下する等の要因が出てくることが予想されるため、これらの要因の展開具合やそのタイミングによっては、価格が大きく変動する可能性がある。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 1 ? . 12月14日開催のOPEC総会で原油生産目標を変更 石油輸出国機構(OPEC)は、12月14日に、オーストリアのウィーンで通常総会を開催し、2009年1月1日以来適用してきた、イラクを除くOPEC加盟国11ヶ国で合計日量2,484.5万バレルの原油生産目標から、イラクを含めた12加盟国で合計日量3,000万バレルの原油生産上限へと変更する旨決定した(表1参照)。OPEC加盟国の原油生産量は11月時点で日量3,068万バレルと、現在のOPEC加盟国を基準とすれば2008年10月(当時の生産量は日量3,163万バレル)以来の高い生産量となっており、リビアでの生産量が内戦前には戻っていないにもかかわらず、従来の生産目標による減産遵守率は20%程度にまで低下していた一方で、原油価格は前回の通常総会(2011年6月8日開催)以降WTIで一時1バレル当たり80ドルを割り込む場面も見られたものの、今次総会直前には100ドル前後で推移するなどしており、アルジェリアやイランといった、いわゆる高原油価格を望む加盟国ですら満足する水準であった。しかしながら、8月下旬のリビアにおける内戦の事実上の終結以降、当初は2011年末までに日量40万バレル程度と予想されると言われた同国の石油生産量は11月29日には日量84万バレルに達する(その後12月14日のOPEC総会開催当日にはリビアのベンヤッツァ(Benyazza)石油・ガス大臣が同国の石油生産が日量100万バレルに達した旨明らかにしている)など順調に回復している一方で、欧州一部諸国の債務問題等により、2012年に向けて世界経済が減速し、それに伴い石油需要の伸びが鈍化するとともに需給が緩和するリスクが増大しつつあったことに加え、前回のOPEC通常総会(6月8日開催)では、サウジアラビア、クウェート、UAE、カタールが2011年4月時点のOPEC産油国原油生産量に対して日量150万バレルの実質増産を提案したのに対し、ベネズエラ、エクアドル、イラン、リビア、アルジェリア、アンゴラの6ヶ国が頑なに反対したことから、生産目標についての交渉が不調に終わったことで、当該目標が設定できず、声明も発表されない事態となり、OPEC産油国間の結束力低下を石油市場に対して示す結果となったことから、今次総会では、このような背景を考慮し、OPEC側としては世界の石油需給を均衡させることに対して加盟国間での結束を対外的に示すことができるような合意を打ち出す必要に迫られていた。このような背景から、総会直前の12月13日にOPEC事務局により取りまとめられた、2012年の世界石油需給見通しで対OPEC原油需要等が日量3,009万バレルと予想されたことに加え、現状の原油生産水準にも近いという事情により、今次総会では、日量3,000万バレルの原油生産上限を設けることで決着した。なお、この方策(日量3,000万バレルの生産上限)は、12月5日にOPEC産油国関係者により検討されている旨報じられて以降、個々の加盟国の生産上限については決定されない可能性が高い旨伝えられてきたが、実際総会時においては加盟国の個別の生産上限については協議されなかったとされ、発表時においてもOPEC加盟国12ヶ国全体の生産上限を設定するにとどまった。これは、リビアが依然として内戦前の原油生産量である日量160万バレルに向け増産している途上であり、Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 2 ? 潟rアの生産状況によって世界石油需給均衡に必要な、他の加盟国における生産水準が変化しうることから、柔軟な生産を可能とするためであることが、総会後のOPEC関係者側からの説明で示唆されている。 表1 OPEC加盟国原油生産上限、生産量及び減産遵守率(日量千バレル)2008年9月生産量からの2009年1月1日以降減産割当量2011年12月14日の生産目標(推定)(2009年1月1日OPEC総会2011年11月生産量以降)以降の生産上限(IEA)生産目標超過量(2011年11月)減産遵守率(%)(2011年11月)アルジェリアアンゴラエクアドルイランクウェートリビアナイジェリアカタールサウジアラビアUAEベネズエラOPEC11ヶ国合計イラクOPEC12ヶ国合計注:四捨五入の関係で個々の数字の総和が合計と一致しない場合がある。1,2031,5174343,3362,2221,4691,6737318,0512,2231,98624,845--200244675623742523191221,3183793644,201---------------30,0001,2901,6905003,5502,6705502,1008209,7502,5202,53027,9702,71530,6858717366214448△ 919427891,6992975443,125--5729162△ 20465△ 3427△ 2922△ 4926--原油生産能力(IEA)余剰生産能力(2011年11月現在)1,3101,9005103,6802,8705502,49090012,0402,7402,64031,6303,00034,630(2011年11月現在)20210101302000390802,2902201103,6602853,945出所:OPEC、IEAデータ等をもとに推定 今回のOPEC総会における決定は、これまでイラクが取り込まれておらず、かつ現状の原油生産水準から大きく乖離した原油生産目標を、イラクを含め、かつ現実の生産水準に近づけ、さらに加盟産油国が結束していることを対外的に示すものに変更した、という意味では一定の成果はあったと考えられる。ただ、個別の生産上限が設定されておらず、これについては声明で、必要であれば市場の均衡と合理的な価格の確保のための方策(自発的な産出量の削減調整を含む)を行う旨明記されているが、この場合加盟産油国における生産抑制の動機が働きにくくなる結果供給が過剰になりやすいとの市場の観測を生むことになることから、個別の生産上限を設定する場合に比べて原油価格に下方圧力を加えやすくなるであろう。 総会当日の12月14日の原油市場は、例えばWTIが前日終値比で1バレル当たり5.19ドル、比率にして5.2%余り下落し同日の終値は94.95ドルとなった。ただ、この日は他の商品も軒並み大幅に下落しており、基本的に原油相場にのみ影響を与えるOPEC総会の結果ではなく、より幅広い商品価格の急落をもたらす影響力を持ったユーロの下落と米ドルの上昇により、この日の原油相場の下落はもたらされたと考える方が妥当であろう。ただ、例えばこの日の金先物価格(Comex)は前日終値比で4.6%の下落となったり、また国際商品先物指数であるロイタージェフリーズCRB指数も前日比で3.0%の下落にとどまったりするなど、他の商品の下落幅は総じて原油価格程ではなかったことから、部分的にはOPEC総会での結果がこの日の原油価格下落に影響したと言えよう。 なお、次回総会(通常総会)は2012年6月14日にオーストリアのウィーンで開催されることが今次総Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 3 ? ?ナ決定された。また、同時にイラクのルアイビ(Luaibi)石油大臣を2012年1月1日より1年間の任期でOPEC議長に、またクウェートのアル・ブザイリ(Al?Busairi)石油大臣を同議長代行に、それぞれ選出した。 . 原油市場を巡るファンダメンタルズ等 2011年第4四半期に入ってから、米国では、市場の事前予想よりも経済が良好なことを示唆する指標 2類が比較的多く発表されてきている。景況感が改善するとともに小売売上高も前月比での増加基調が続き、12月2日に発表された雇用者数も前月比で12万人増加した反面失業率はそれまでの9.0%から8.6%へと低下する(但し実際には失業率の低下は労働人口の減少に伴う面があり、見た目ほど良好ではないという部分があることに留意する必要があろう)など、少なくとも同国経済と石油需要に対する市場心理を改善させるような事象は見られるようになってきている。しかしながら、ガソリン需要においては、まだ明確な回復の兆候は見いだせない。2011年9月については、まだ経済指標類が明確に好転する前であるので、確定値は前年同月比で3.9%程度の減少(速報値の同2.2%程度の減少から下方修正)となっている(図1参照)が、11月(速報値)は同1.9%程度の減少であるうえ、この減少率は2010年11月が前年同月比で1.0%程度減少しているといったことへの反動も含まれている面もあり、実際には状況はそれほど改善していないことがうかがわれる(なお、米国でのガソリンスタンドにおけるクレジットカードでの支払い記録をもとに推定した11月のガソリン需要は前年同月比で4.1%程度の減少と9月(同2.7%程度の減少)及び10月(同2.9%程度の減少)よりも減少幅が拡大している)。このようにガソリンの需要は低迷しているものの、同国の製油所が秋場のメンテナンスを終了し原油精製処理量を引き上げた(図2参照)こともあり、ガソリンの生産が増加した(図3参照)一方で、9月27日のConocoPhillipsによる米国ペンシルバニア州のトレーナー(Trainer)製油所(精製能力日量18.5万バレル)の操業停止の発表以降、米国北東部でのガソリン需給が引き締まるのではないかとの観測が市場で発生した結果、欧米間でのガソリン価格差が拡大したことに伴う同国へのガソリン輸入量増加の影響が残った(図4参照)格好となったことから、11月中旬以降の同国ガソリン在庫は増加傾向となり、この時期としては平年幅の上限付近に位置するようになっている(図5参照)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 4 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 5 ? 留出油については、2011年9月の確定値は前年同月比で1.1%程度の増加(図6参照)と速報値(同0.4%程度の減少)から上方修正されるなど底堅さを見せている。また、11月の速報値については、秋場の収穫シーズンが終了に近づいたことから農機具向けの需要は落ち着いてきたものの、輸出向けの出荷が堅調である(南米のみならず、11月後半以降はしばしば欧米間での価格差が拡大していることから、欧州向けの輸出も増加している可能性がある)ことが貢献し、前年同月比で0.8%程度と、10月(12.4%程度の増加)からは増加幅は縮小しているが、増加している(なお、需要統計は本来米国内需要を指しており輸出量は含まないはずだが、米国石油需要の速報値はしばしば輸出相当分が部分的に含まれているとされる)。また、このようなことを背景として、留出油の精製利幅は低下しては来たものの依然ガソリンに比べて堅調に推移していることから、製油所でのメンテナンス終了後生産が増加した(図7参照)結果、在庫も11月半ばを底として回復傾向にあるが、現時点では平年幅の中間に位置している(図8参照)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 6 ? ただ、留出油需要は堅調であるものの、ガソリン需要の不振で相殺された結果、米国の石油製品全体の需要は2011年9月の確定値で前年同月比3.3%、11月の速報値で同1.5%、それぞれ減少となって Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 7 ? 「る(図9参照)。また、製油所メンテナンス終了に伴い原油精製処理量の増加したことから、米国原油在庫は11月後半以降比較的限られた範囲で変動しつつも若干減少傾向となったが、それでも現時点では在庫量自体は平年幅を超過する状態となっている(図10参照)。ただ、細かく見てみると、12月9日の週は原油在庫は前週比で193万バレルの減少となっていたが、西海岸地域(この地域は、米国本土の他の地域から輸送網が半ば隔離されていることから、独自の在庫変動を形成しているため、米国原油在庫全体の傾向を見る上で、この要素を取り除いて考える必要が、しばしばある)での原油在庫が332万バレル増加したことで米国全体の原油在庫減少幅が圧縮された格好となっている。実際には米国メキシコ湾岸地域では503万バレルの原油在庫減少が発生しており、製油所の年末に向けた課税対策(米国の一部の州等では年末の石油在庫評価額に対して固定資産税等が課税されることから、原油価格等が上昇してしまうと課税額が増加することになり、その結果精製業者等は必要以上の在庫を保有することを敬遠するとされる)に伴う動きが生じている可能性があることがうかがわれる。なお、原油が平年幅を超過している一方で、ガソリン在庫が平年幅上限付近、留出油在庫が平年幅の中間付近に位置していることから、原油とガソリンを合計した在庫は平年幅を超過、そして原油、ガソリン、及び留出油を合計した在庫は、平年幅の上限付近に位置する結果となっている(図11及び12参照)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 8 ? lobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 9 ? 011年11月末現在のOECD諸国推定石油在庫量の対前月末比での増減は、原油在庫については米国では微減となった他、欧州では石油需要の先行き不透明感から製油所が原油精製処理を控えた結果当該在庫が増加したものの、日本においては冬場の暖房需要期に向けた灯油生産のため製油所の稼働が上昇したことから原油在庫が減少した結果、OCED諸国全体としても減少となり、水準としては平年幅の中間付近に位置する状態となっている(図13参照)。他方製品在庫については、米国では微減となったものの、欧州ではライン川の水位低下に伴う輸送コストの上昇(輸送船舶に積載できる石油製品の数量が減少することから利用できる船舶数が限られる他座礁等を懸念する船主が輸送船舶の供給を控えることに伴うものとされる)と輸送量の低下により出荷が鈍化したこともあり中間留分を中心として在庫が増加したこと、日本でも冬場の寒さと暖房用需要が持続しないことから灯油在庫が積み上がった一方で、ガソリン需要の低下で当該製品在庫が増加となったこともあり、石油製品在庫全体も増加したことから、OECD諸国全体としても増加となったが、水準としては依然平年並みとなっている(図14参照)。なお、原油及び石油製品在庫が平年並みとなっていることから、原油と石油製品を合計した在庫も平年幅の中間付近に位置する状態となっている(図15参照)。また、2011年11月末時点でのOECD諸国推定石油在庫日数(月末の在庫量をその直後の3ヶ月間の1日当たり需要で除したもの)は56.9日と10月末の57.2日から減少している。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 10 ? 他方、11月のシンガポールにおける石油在庫については、Shellの操業するPukau Bukom製油所(9月28日(シンガポール現地時間)に火災が発生して以降減産体制となっていた)がほぼ正常の操業に復帰した(これは11月24日に報じられた)こともあり、石油製品の生産が増加した結果、従来から需要が旺盛ではなかったガソリン等軽質製品については在庫水準が上昇した。一方、日本や韓国で冬場の国内での暖房シーズン向けの灯油生産の最大化に伴い軽油の生産及び輸出が減少した影響もあり、シンガポールでの軽油等中間留分在庫は低下したままなっている。ただ、軽油不足が伝えられる中国では11月に入って製油所の稼働が急上昇したこともあり、アジア市場での軽油調達を積極的に行っているわけではないこともあり、シンガポール市場での中間留分に対する引き合いは必ずしも堅調というわけではない。シンガポールでの重油在庫については11月以降ほぼ一定の範囲内での変動となっているが、イラン等中東地域からの供給が増加しつつあると伝えられる。 2011年11月下旬から12月中旬にかけての原油市場においては、欧州一部諸国における債務問題に対する欧州主要国の対策に向けた動きに対する市場の期待、市場の事前予想より良好な米国等での経済指標類、そしてイランのウラン濃縮活動を巡る西側諸国との対立の深刻化等の要因が、原油相場に上方圧力を加える格好となったことから、原油価格(WTI)終値ベースで11月下旬の1バレル当たり95~100ドルが12月上旬には100ドルを超過する水準にまで上昇した。しかしながら、12月8~9日に開催されたEU首脳会議と前後して、欧州の債務問題解決に対する関係諸国の足並みの乱れとそのような動きに対する格付け機関による欧州諸国信用格付けの引き下げの検討への意向表明などにより、当該問題に対する市場の悲観的な見方が増大したことから、原油価格はその後12月中旬にかけ総じて下落傾向となり、12月14~15日には終値ベースで1バレル当たり95ドルを割り込む状態となった(図16参2011年11月下旬から12月中旬にかけての原油市場等の状況 . 3照)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 11 ? 11月21日には、米国議会の超党派特別委員会から、財政赤字削減策に関する具体策の取りまとめに関して民主党及び共和党間で合意ができないとの発表がなされる見通しとなり(実際この日の夕方(米国東部時間)に発表された)、2013年から自動的に歳出が削減される政策が発動されることになることから、米国経済への影響に対する不安感が市場で増大したことにより、この日の原油価格は前週末終値比で1バレル当たり0.49ドル下落し、この日の終値は96.92ドルとなった。ただ、11月21日夕方(米国東部時間)に、米国が、英国及びカナダとともに、企業等がイランの石油及び石油化学産業を支援することを禁止するなどの措置を発表したことで、イランを巡る地政学的リスクに対する懸念が市場で増大した他、11月22日に国際通貨基金(IMF)が6ヶ月間の短期流動性供給制度の創設を発表したことで、欧州の一部諸国の債務問題の拡大が防止されるとの観測が市場で発生したことにより、ユーロが上昇した反面米ドルが下落したことから、11月22日の原油価格の終値は1バレル当たり98.01ドルと前日終値比で1.09ドル上昇した。しかしながら、11月23日には、この日英金融情報サービス会社マークイットが発表した11月のユーロ圏総合購買担当者指数(PMI:Purchasing Managers' Index、50が景気拡大と縮小の分岐点)(速報値)が47.2と3ヶ月連続で経済活動が縮小していることを示したうえ、11月23日に実施されたドイツ10年物国債入札で応札額が募集額を大きく下回ったことで、ドイツ経済に対する信頼性の低下に関する不安感が市場で増大したこと、同じくこの日米国商務省から発表された10月の個人消費支出(PCE:Persosnal Consumption Expenditures)が前月比で0.1%増加と9月の0.7%増加(改定値)から伸びが鈍化したうえ、市場の事前予想(0.3~0.4%増加)を下回ったこと、また、11月23日に英大手金融機関HSBCとマークイットが発表した11月の中国製造業購買担当者指数(PMI、50が景気拡大と縮小の分岐点)が48と10月の51.0(確報値)から低下し、2009年3月以来の低水準となったことで、同国経済を巡る懸念が市場で発生したことから、11月23日の原油価格は再び前日終値比で1バレル当たり1.84ドル下落、終値は96.17ドルとなった。11月24日には、米国での感謝祭(サンクスギビング・デー)の休日に伴Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 12 ? 「ニューヨーク商業取引所(NYMEX)での原油先物の通常(いわゆる「場立」)取引は行われなかったが、この日フランス政府が欧州の他の諸国との協調を通じてイランからの原油輸入の禁止を実施する意向(但し「意向」であり禁輸を同日付で実施したわけではない)を発表したことで、イランを巡る地政学的リスクが市場でより大きく意識されたこと、そして翌25日には、同日を以て始まった年末商戦に対する市場の期待感が増大したことから、米国株式相場が一時上昇したことにより、この日の原油価格の終値は1バレル当たり96.77ドルと前日終値比で0.60ドル上昇した。 また、11月27日に独「ヴェルト」(Welt)紙(日曜版)が、ドイツとフランスが欧州債務問題の解決に向け、早期発効できる財政規律協定を計画しており、この週に発表する予定である旨報じたことで、ユーロ圏統合の促進に伴う債務問題解決に対する市場の期待が増大したうえ、11月27日に全米小売業協会(NRF:National Retail Federation)から発表された感謝祭時の週末(11月24~26日)の米国小売売上高が524億ドルと過去最高を記録したことで、同国経済に関する楽観的な見方が市場で増大、そして、11月29日には、この日米大手民間調査機関コンファレンス・ボードから発表された11月の米国消費者信頼感指数(1985=100)が56.0と2011年7月以来の高水準となった他、市場の事前予想(44.0)を上回ったことに加え、同日テヘランにおいて西側諸国によるイラン制裁に抗議するデモ隊が暴徒化し、英国大使館とその関連施設を襲撃したことで、イランと西側諸国との対立の深刻化に関する懸念が市場で増大したこと、また、同じくこの日ユーロ圏財務大臣会合のユンケル議長(ルクセンブルグ首相兼国庫相)が、同会合でギリシャ向けの次回融資を12月半ばまでに実施する旨決定した旨発表したことで、欧州一部諸国の債務問題に関する市場の不安感が後退したこと、また、同日スーダンのオスマン(Osman)石油大臣が、同国をパイプラインで通過し輸出される南スーダン産の原油に対し、南スーダンが過去4ヶ月間通過料を支払わないことを理由に輸出を停止した旨明らかにしたことから、同国を巡る石油供給途絶懸念が市場で増大したこと、11月30日には、この日中国人民銀行が市中銀行の預金準備率を0.5%引き下げる旨発表(実施は12月5日)した他、同日米国連邦準備制度理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行、カナダ銀行、日本銀行、スイス国立銀行が、米国のドル資金供給金利を0.5%引き下げることで合意したことにより、国際金融市場の安定性に関する市場の心配が後退したこと、同じくこの日企業向け給与計算サービス会社オートマチック・データ・プロセッシング(ADP)子会社他が発表した11月の米国民間部門雇用者数が20.6万人の増加となり市場の事前予想(13.0万人増加)を上回ったことにより、原油価格は11月28~30日はいずれの日も終値ベースで上昇、11月30日の原油価格の終値は1バレル当たり100.36ドルと、この3日間(11月28~30日)において11月25日の終値比で3.59ドル上昇した。 12月1日には、この日中国物流購買連合会の発表した11月の同国製造業購買担当者指数(PMI、50が景気拡大と縮小の分岐点)が49.0と2009年2月以来の低水準かつ景気縮小を示すものとGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 13 ? ネった他、市場の事前予想(49.8~50.0)を下回ったことに加え、同日HSBCとマークイットが発表した11月の中国製造業PMI(改定値)が47.7と2009年3月以来の低い水準にまで低下した旨判明したこと、同じくこの日マークイットが発表した11月のユーロ圏製造業PMI(改定値)が46.4と2009年7月以来の低水準となった旨判明したこと、また、同日米国労働省から発表された同国新規失業保険申請件数(11月26日の週分)が40.2万件と前週比で6,000件増加した他、市場の事前予想(39.0万件)を上回ったことにより、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.16ドル下落、終値は100.20ドルとなったものの、翌2日には、この日米国上院議会において、イラン中央銀行と取引した外国金融機関に対し制裁を課す旨の法案が可決されたことで、イランと西側諸国との対立深刻化に対する不安感が市場で増大したうえ、前日(1日)夕方にSunocoがマーカス・フック(Marcus Hook)製油所(精製能力日量19.4万バレル)を当初予定の2012年7月から前倒しして廃棄する計画を明らかにしたことで、米国北東部のガソリン需給が引き締まるとの観測が市場で発生、12月2日の米国ガソリン先物相場が上昇したこと、また同じく2日に米国労働省から発表された11月の同国失業率が8.6%と10月の9.0%から低下したことで、同国の経済に対する楽観的な見方が市場で発生したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり100.96ドルと前日終値比で0.76ドル上昇し、この週の取引を終了している。 他方、12月4日にイラン外務省が同国のSharq紙を通じ、西側諸国によるイラン原油禁輸措置に対する脅威が高まれば原油価格は1バレル当たり250ドルへと上昇することになるだろうという旨の発言をしたことで、イランを巡る地政学的リスクを市場が意識したこと、翌5日にはイタリアのモンティ首相が緊縮財政を含む経済対策を前日(4日)夜に内閣が承認したと発表したことで、同国を巡る債務問題に関する市場の懸念が後退したことが、12月5日の原油相場に上方圧力を加えた反面、12月5日にHSBC及びマークイットから発表された11月の中国非製造業PMIが52.5と10月の54.1から低下したうえ、同日英経済紙フィナンシャル・タイムス等から、米格付け機関スタンダード・アンド・プア-ズ(S&P)が、ユーロ圏諸国の信用格付けを弱含みとする方向で見直す可能性があるとの情報が流れ、ユーロ圏の信頼性に対する市場の不安感が増大したこと、同じくこの日米国供給管理協会(ISM)から発表された11月の米国非製造業景気指数(50が景気拡大と縮小の分岐点)が52.0と10月の52.9から低下、2010年1年以来の低水準となった他、市場の事前予想(53.5~53.9)を下回ったことが、原油相場に下方圧力を加える格好となったことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり100.99ドルと前日終値比で0.03ドルの上昇にとどまった。12月6日には、この日独経済技術省から発表された10月の同国鉱工業受注指数が前月比で5.2%の上昇と2010年3月以来の高い伸びとなった他、市場の事前予想(0.8~1.0%上昇)を上回ったことに加え、同日欧州委員会のエネルギー担当委員であるエッティンガー(Oettinger)氏がEU諸国間でイランからの原油禁輸について合意が形成されていると思う旨発言した(但し禁輸開始時期につGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 14 ? 「ては明言せず)ことで、イランを巡る地政学的リスクに対する不安感が市場で増大したこと、同じく同日フィナンシャル・タイムスが、12月8~9日に開催予定のEU首脳会議では、ユーロ圏救済基金の拡充について協議される予定である旨報じたことで、欧州債務問題に関する市場の悲観的な見方が後退したことなどから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.29ドル上昇し、終値は101.28ドルとなったものの、12月7日には、この日米国エネルギー省(EIA)から発表された同国石油統計(12月2日の週分)で、原油及び石油製品在庫が市場の事前予想(原油125万バレル程度の減少~130万バレル程度の増加、ガソリン70~100万バレル程度の増加、留出油115~150万バレル程度の増加)に対し原油133万バレル、ガソリン515万バレル、留出油253万バレルの、それぞれ増加と、市場の事前予想に反すか、もしくは事前予想以上に増加していることが判明したこと、同日独政府高官が12月8~9日開催予定のEU首脳会議での結果について悲観的に見ている旨明らかにしたことで、欧州一部諸国の債務問題に対する懸念が市場で増大したこと、また、12月8日には、この日に開催されたECB理事会後の記者会見でドラギ総裁が欧州債務問題対策のための国債のさらなる買い入れにつき否定的な見解を明らかにしたことに対して、国債買い入れの拡大を期待していた市場が失望したことから、原油価格は12月8~9日の2日間にわたり終値ベースで1バレル当たり合計2.94ドル下落し、12月9日の終値は98.34ドルとなった。ただ、12月9日には、この日発表されたミシガン大学消費者信頼感指数(12月速報値、1966年=100)が67.7と2011年6月以来の高水準となった他市場の事前予想(65.5~65.8)を上回ったことに加え、12月8~9日に開催されたEU首脳会議において、英国を除く欧州26ヶ国が財政規律強化を盛り込んだ新規の条約へ参加する意向を示したことで、欧州債務問題が解決に向け前進しているとの認識が市場で増大したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり99.41ドルと前日終値比で1.07ドル上昇した。 しかしながら、12月10日に中国税関総署から発表された11月の同国輸出額が、前年同月比13.8%の増加と、旧正月に伴う特殊な変動の影響を除くと2009年12月以来の低水準にとどまったことから、同国経済と石油需要に対する不安感が市場で増大した他、12月12日に米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが、12月8~9日に開催されたEU首脳会議においては新たな対策が殆ど提示されなかったため、2012年第一四半期にEU諸国に対する信用格付け見直しを行う旨発表したことから、欧州地域の債務問題に対する市場の不安感が増大したことで、12月12日の原油価格は前週末終値比で1バレル当たり1.64ドル下落し、終値は97.77ドルとなった。また、この日イラン国営Fars通信がイラン議会の国家安全保障外交政策委員会委員の発言として、イランがホルムズ海峡で軍事演習を実施すると伝えた(イラン外務省はその後否定)ことについて、12月13日に、ホルムズ海峡での石油輸送途絶の可能性に市場が注目した他、同じく13日に独非営利研究機関欧州経済センター (ZEW)から発表されGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 15 ? ス12月のドイツ景気期待指数(今後6ヶ月間の見通し、ゼロが景気拡大と縮小の分岐点)がマイナス53.8と11月のマイナス55.2から上昇したうえ、市場の事前予想(マイナス55.8~56.6)を上回ったこと、また、12月13日に実施されたスペインの短期国債入札における応札額が募集目標額を上回ったうえ、利回りも前回実施時から低下したことで、同国を巡る債務問題に対する市場の不安感が後退したこと、さらに、12月13日午前8時頃(現地時間)にヒューストン運河(Houston Ship Channel)で、タンカーと貨物船が衝突したことにより同運河が閉鎖された(12月15日には一時的に開通したが同日午後5時55分(現地時間)に濃霧のため再び同運河は閉鎖、通常操業に戻ったのは12月16日午前5時と伝えられる)ことで、同運河沿いに点在する製油所への原油供給に支障が発生するのではないかとの懸念が市場で発生したこと、 12月13日開催の米国連邦公開市場委員会(FOMC)での決定事項発表を前にして、当該委員会で追加金融緩和等の経済刺激策決定が発表されるのではないかという観測が市場で発生したことから、12月13日の原油価格の終値は1バレル当たり100.14ドルと前日終値比で2.37ドル上昇したが、12月14日には、この日開催されたOPEC通常総会で、加盟産油国全体で日量3,000万バレルの原油生産上限を設定することで合意したことものの個別加盟国の生産枠を設定しているわけではないため供給過剰となる可能性が増大するのではないかとの観測が市場で発生したうえ、12月14日に実施されたイタリアの国債入札で応札額は募集目標額上限に達したものの落札利回りが6.47%と11月14日入札実施時の6.29%から上昇したことで、欧州債務問題の深刻さを市場が認識したことから、ユーロが下落した反面米ドルが上昇したこと、12月15日も、14日の欧州債務問題に対する市場の不安感増大の流れを引き継いだうえ、この日(15日)にHSBCとマークイットから発表された12月の中国製造業PMI(速報値)が49.0と2ヶ月連続で当該部門の活動が縮小していることを示唆したことで、同国経済と石油需要の伸びの鈍化に対する市場の懸念が発生したこと、また、同日米国連邦準備制度理事会(FRB)から発表された11月の米国鉱工業生産指数が10月に比べて0.2%低下と市場の事前予想(0.1~0.2%上昇)を下回ったこと、翌16日には、この日格付け会社フィッチ・レーティングスが、フランスの信用格付け見通しを「安定的」から「弱含み」へと変更するとともに、イタリア、スペイン、ベルギー、アイルランド、スロベニア、キプロスの6ヶ国の国債について格下げの方向で見直す旨発表したことで、欧州債務問題に関する市場の心配が増大したことから、原油価格は終値ベースでは、この3日間(12月14~16日)連続終値ベースで下落、12月16日の終値は1バレル当たり93.53ドルと、下落幅はこの3日間で6.61ドルに達した。 . 今後の見通し等 現在原油市場では、欧州債務危機は順調に解決に向けて前進している状況ではないという認識が市 4場で広がりつつあることが価格上昇を抑制する一方で、イランのウラン濃縮問題を巡る西側諸国との対Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 16 ? ァが価格を下支えする恰好となっている。イタリアの国債利回りは再び上昇傾向となっている他、欧州信用格付け引き下げの可能性があるなど、欧州債務問題はむしろ徐々に悪化する一方で、イラン問題についても、米国下院が12月14日に下院でイランに対する制裁措置(エネルギーや銀行部門でのイランとの取引を事実上禁ずるもの)を可決するなど、こちらも情勢的には悪化しつつある。イランについては、日量370万バレルの原油生産量のうち220万バレル程度を輸出している。輸出先としては中国、日本、インド、韓国といったアジア諸国の他、イタリア、スペイン、ギリシャといった深刻な債務問題を抱える欧州諸国であり、もしイランからの原油の禁輸措置を実施するということになれば、これらの諸国は代替の原油調達先を確保しなければならなくなる。ただ、その場合これだけ大量の原油を代替調達するとなれば、比較的大量の余剰生産能力を有するイラン以外の湾岸OPEC産油国(サウジアラビア、クウェート、UEA、イラク、カタール)といったように、調達先に関する選択肢は限られることになる。しかしながら、イランに面するホルムズ海峡が同国によって封鎖される、といった事態に陥れば、これら湾岸OPEC産油国からの余剰生産能力(上記5ヶ国合計で日量308万バレルとOPEC産油国全体(日量395万バレル)の約4分の3を占める(数字は2011年11月現在))が利用できないばかりか、これらの産油国の石油輸出(5ヶ国合計で日量2,246万バレルと世界供給全体の約4分の1を占める(数字は2011年11月現在))まで影響をうける恐れがある(但し一部は紅海沿岸のヤンブーまでのパイプラインで原油を輸送することによりホルムズ海峡を迂回して輸出することが可能と見られる)。このようなことから、実際に同国からの原油の禁輸措置やホルムズ海峡封鎖といった事態が発生しなくても、例えば西側諸国のイランに対する発言や原油禁輸以外の制裁強化、そしてイラン政府要人等による発言や原油禁輸以外の行動(例えば軍事演習やミサイルの試験発射、ウラン濃縮活動進展の報告)といったものは、原油市場等の関係者の心理に大きく影響し、その結果原油相場に上方圧力を加える可能性がある。 欧州一部諸国の債務問題もイランのウラン濃縮活動を巡る西側諸国との対立の問題も、前述の通りどちらも情勢は悪化しつつあるように見受けられる一方で、これらの要因は一朝一夕には解決しがたいものであることから、この両者の要素の影響に原油市場が挟まれるという構図は当面続くものと考えられる。ただ、事態がこのままほぼ膠着するといった状態であれば、イラン問題による相場が下支えはされつつ欧州債務問題で上値が重い状態が続くということが予想されるが、これらリスク要因の成り行きは不安定であるうえ、クリスマス休暇シーズンを控え、先物市場での取引量が低下(従って市場での流動性の欠如から価格は乱高下しやすい)する等の要因が出てくることが予想されるため、これらの要因の展開具合やそのタイミングによっては、価格が大きく変動する可能性があるので、注意が必要であろう。 他方、石油需給ファンダメンタルズ上の要因についても注目する必要があろう。11月後半から12月にかけては米国メキシコ湾岸のヒューストン運河等において濃霧の影響で原油運搬タンカーの航行にしばGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 17 ? オば支障が生じることにより当該製油所での原油在庫に影響が及ぶことがありうる(前述の通り、既にヒューストン運河においては濃霧が発生しタンカー等の航行に支障が発生していると伝えられる)他、年末の課税対策から精製業者等が原油在庫等を減少させる可能性がある。米国メキシコ湾岸地域では12月9日の週には500万バレル程度の原油在庫の減少を示しており、このような傾向が年末にかけて続くことも考えられることから、これが市場で石油需給の引き締まりの兆候と受け取られ、原油価格に上方圧力が加えられる、といったことも想定される。 現在米国での暖房油消費中心地である北東部は温暖な気候であると伝えられる(図17参照)。また、12月15日には米国海洋大気庁(NOAA)から発表された2012年1~3月の長期予報では平年を超過する気温が米国北東部の一部と中西部に予想されるとして、以前よりも温暖なものとなっている。ただ、だからといって原油相場に下方圧力が加わるかというと、まだ、冬の暖房シーズンも始まってそれほど期間が経過していない状況であることから、原油価格下落の可能性は低く、温暖な気候が原油相場に下方圧力を加え始めるのは、製油所の段階で暖房油の出荷が一段落し始める1月後半以降ということになろう。それまでは、気温低下の状況とその予報により、原油相場を上振れさせてしまう可能性の方がむしろ大きいであろう。 さて、もう少し先を見渡すと石油需給上はどのような状況が想定できるか。OPEC産油国による原油生産量について2011年11月現在の水準が2012年にかけ継続すると仮定した場合(但しリビアの原油生産量が回復途上にあるので、実際には増加に向かうことも否定できない)には、2012年の世界石油需給は供給が需要を上回り(表2参照)、現在57日弱程度あるOECD石油在庫日数は2012年半ばには再び60日程度に増加すると見られ(図18参照)、その結果石油需給自体はこの先緩和する方向に向かう、ということが示唆される。従って原油価格については、欧州債務問題やイラン(に加えシリア、エジプト、サウジアラビア)に関する地政学的リスクの問題に左右される面はあるものの、需給状態からは原油価格に下方圧力を加えてくる可能性があり、例えばサウジアラビア等の湾岸OPEC産油国がリビアでの増産Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 18 ? ノ加え石油需給緩和抑制のために、減産に踏み切らざるを得ない、といったことになる場合もあり得よう。 表2 世界石油需給バランスシナリオ20111Q122Q123Q12(単位:日量百万バレル)20124Q12総需要非OPEC生産OPEC原油生産OPEC NGL生産総供給在庫変動その他89.0152.6829.985.8088.46-0.5589.9753.6230.696.1690.460.4989.2253.5230.696.2090.401.18*: OPECについては2011年5月の原油生産量がその後も維持されるものと仮定90.7653.5930.696.5090.780.0291.1254.0130.696.5591.250.1390.2753.6830.696.3590.720.45出所:IEAデータをもとに作成 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)石油調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 19 ?
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国・地域 グローバル
2011/12/19 野神 隆之
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