ページ番号1004320 更新日 平成30年3月5日

大水深探鉱・開発技術の最新動向とオーストラリア北西海洋におけるLNGプロジェクト現況について

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レポートID 1004320
作成日 2013-01-21 01:00:00 +0900
更新日 2018-03-05 19:32:42 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 天然ガス・LNG探鉱開発
著者
著者直接入力 北村 龍太
年度 2012
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ 更新日:2013/1/21 シドニー事務所/北村 龍太 大水深探鉱・開発技術の最新動向と オーストラリア北西海洋におけるLNGプロジェクト現況について (2013年1月トピックス) 要旨: 2012 年 11 月に西オーストラリア州 (以下、WA) パースにて開催された「Deep Offshore Technology 2012 (以下、DOT2012) 」に参加する機会を得たので、概要について紹介する。 ? WA沖合で開発中の3LNGプロジェクト (Wheatstone、Gorgon、Prelude)が紹介された。 特に世界初となる浮遊式LNG (FLNG)を適用するPreludeプロジェクトが注目を集めていた。 ? 豪州での開催ということもあり、主に海洋ガス開発の事例紹介や、豪州の気象・海象条件における大水深開発に関する技術的考察が目立った。 ? ケーススタディとして、高機能型生産ライザーの適用事例、および欧州における長距離海底パイプライン敷設プロジェクトが紹介された。 また、メキシコ湾における掘削リグ爆発炎上・原油流出事故の教訓を生かした取り組みも紹介された。 1. DOT2012について 大水深フィールドの探鉱・開発に関する国際カンファレンスとして、20年以上の歴史を持つイベントである。近年は米国もしくはブラジルでの開催が多いが、本年は2000年代で初めて豪州での開催となった。 3日間のプログラムは、主に技術報告の「カンファレンス」と、展示ブースによるデモンストレーションの「エキジビション」で構成されている。 カンファレンスでは、現在開発作業進行中の豪州における海洋プロジェクトの紹介などは概ね全体セッションにて行われたが、その他の技術講演は「Offshore Gas」「Floating Production Facility」といったテーマ毎に分類された3つのプログラムが同時並行で進行し、総講演数は50を超えた。 エキジビションは、海洋開発に特化するサービス会社を中心に40社程度のuースが出展。中でもTechnip、Subsea 7といった世界的に活動するサービス会社の存在感が際立っていた。 参加者は200名程度と推測され、欧米の他、ブラジル、アフリカからの参加者も確認された。 2. 豪州北西海洋におけるLNGプロジェクト現況について 開催地のパースが位置するWA沖合には多くの油ガス田が存在し、その中で複数のLNGプロジェクトが生産もしくは開発中である。 現在、生産開始に向けて開発中のPreludeプロジェクトを主導するShell およびGorgonプロジェクトとWheatstoneプロジェクトを主導するChevronから、各プロジェクトの現況の概要が紹介された。 ? Preludeプロジェクト オペレータのShellの他、INPEX、Kogas、台湾のCPC Corpが参画するプロジェクトで、2011年に最終投資決定を行い、2017年の生産開始を目指して現在開発中。 世界で初めてのFLNGプロジェクトとして注目されており、その成否はFLNGの適用を検討中の多くのプロジェクトに大きな影響を与えると考えられる。 既に公表されているとおり、同 FLNG は Technip/Samsung Heavy Industries連合が受注しており、現在各モジュール毎に韓国、マレーシア、UEA等で製造中。最終的には韓国のGeoje島にて組み立てられた後、現地に向けて曳航される予定。 全長488mと世界最大の浮遊式生産設備となるLNG船の建造は、順調に進んでいる。LNG船は同プロジェクトの全期間25年間に渡って使用される予定であるが、50年間の使用に耐えうる設計であり、他のフィールドへの転用も視野にあることが示唆された。 またFLNGによるガス生産事業は、豪州への経済的メリットが少ないとの指摘が多いことに配慮してか、同プロジェクトにより1000人規模の雇用が創出される予定であること、さらにはプロジェクトを通じ100億豪ドルを超える連邦政府への納税が見込まれることが強調されていた。 }1 FLNG船イメージ (DOT2012講演資料より) 図2 Preludeプロジェクト進捗状況 (2012年10月現在) (DOT2012講演資料より) ? Gorgonプロジェクト オペレータのChevronの他、Shell、ExxonMobilに加え、大阪ガス㈱、東京ガス㈱、中部電力㈱が参画するプロジェクトで、2009年に最終投資決定を行い、2014年の生産開始を目指し現在開発中。 3トレイン合計15.6百万トン/年のLNGプラントをWA北部Barrow島に嚼ンする計画で作業は進行しており、プラントの規模としては豪州において最も長い歴史を持つNorth West Shelfプロジェクト (オペレータ:Woodside) の16.3百万トン/年と並ぶ、豪州最大規模のLNGプロジェクトである。そのため使用される機器は、非常にサイズの大きいものが用いられることが強調されていた。例として、海底パイプラインに用いられる34インチのサブシーボールバルブが本プロジェクトのために新規開発された世界最大レベルのものであり、また海底に設置されるマニフォールドは500トンもの重量になるとのこと。 なお、今回の講演では、作業は順調に進行しているとしつつも、コスト増加の可能性がこれまで幾度となく指摘されたが、本講演の翌週にはChevronが当初予定の開発コスト370億米ドルが40%増の520億米ドルとなる見通しを公式に発表することとなった。増加の要因は豪ドル高に加え、人件費単価の増加および生産性の問題だとしており、いずれも豪州の多くのプロジェクトに対してこれまで指摘されてきた内容であった。 また2012年中にFEED(詳細設計作業)を開始すると発表されている第4トレインの拡張計画については、本講演では特に言及はなかった。 図3 Gorgonプロジェクト開発イメージ (Chevron社HPより) ? Wheatstoneプロジェクト Gorgonプロジェクト同様にChevronが主導するプロジェクト。パートナーはApache、Kufpec (クウェート)、Shellに加え、日系企業4社 (三菱商事㈱、日本郵船㈱、東京電力㈱、JOGMEC)が出資するPE Wheatstone Pty Ltd.と九州電力㈱。2011年に最終投資決定を行い、2016年の生産開始を目指して現在開発作業中。 NGプラントの規模は8.9百万トン/年で、WA北部Ashburton Northアシュバートンノースに建設される。なお、25百万トン/年程度まで拡張可能な敷地面積も確保されている。 現在はプラント建設の設計中で、34%程度の進捗。並行して作業用道路の建設、作業用水の配管などが行われており、プロジェクト全体の進捗率としては8%程度。 2013年には3つの掘削センターより生産井計9坑の掘削が開始される予定。 図4 Wheatstoneプロジェクト陸上プラント敷地現況 (Chevron社HPより) 3. その他の技術報告について 上述の50を超える技術講演のうち特に印象に残った点について概要を下記に紹介する。 ? メキシコ湾暴噴事故後の大水深掘削における技術的取り組み (Shellによる) 2010年のDeepwater Horizon爆発炎上事故を受け、深海掘削プロジェクトにおいて以下5つの方針を策定し、計画立案・作業実施において複合的に活用している。 ① Automation ② 掘削コントラクターおよびサービス会社と共同で開発した、坑井からのフロー検知時の坑井密閉自動化システムの適用。 Information 掘削機器などの整備記録、認証記録、乗船者の保有資格など安全に関する情報をデータベース化して一元管理。 B Emergency Separation Tool 通常のシェアラム(BOPでの遮断装置)による緊急離脱システムに加えて、LMRP (Lower Marine Riser Package) 下に接続される独自に開発されたツールを用いてバックアップシステムを構築。 ④ Collasible Insert 同じく独自に開発されたシステムで、特殊ツールをケーシングに予め組み込んだ状態で坑内に設置し、緊急時に音波などの遠隔操作により坑井内深部にて坑井を密閉することを可能とするシステムの開発。 ⑤ Cap & Contain Shellが初期創設メンバーとして参加する「Marine Well Containment Company」が提供する非常時の坑口キャップシステムの適用水深を7,000 ftへ増加させ、また圧力を10,000 psiへ向上させるといった改良を施すとともに、傾いた状態の坑口への適用も検討。 図5 Emergency Separation Tool 図6 Collasible Insert (SPEX Service社HPより) 図7 緊急時坑口キャップシステム (Marine Well Containment Company社HPより) ? 長距離パイプライン敷設作業概要紹介 (Saipemによる) 弊機構「石油・天然ガス資源情報」2011年7月 (ロシア: ユーラシアの東西で稼働開始するロシアからの天然ガス・パイプライン) などで既報の通り、ロシアとドイツを結ぶ海底ガスパイプライン「ノルドストリーム」の敷設作業が2010年より実施されてきたが、2012年4月に2本目のラインの敷設工事が完了した。敷設工事はSaipem社所有のCastro-6 (Sei) 号を中心に実施されてきた。 48インチのパイプラインが、世界最長となる1,224kmに渡って敷設されたが、1本あたり約12mのパイプを接続するため、1条当たり10万本以上が接続されることになり、1日当たりの最高設置距離は3.5kmを記録した。海底面の状況調査など安全にかかる作業を入念に行いながらの作業だったが、海中における溶接技術なども駆使して最適化した結果、いずれのラインも予定工期を短縮して終了。要因として、クルーの習熟度向上などに加え、下記に示すとおりプロジェクトの進行に合わせて資機材・人員ベースを移動させ徹底したロジスティック面の管理を行った。 }8 (左)資機材ベースと(右)ヘリコプターベースの変遷 (DOT2012講演資料より) ? 豪州北西海域における開発コンセプトについてのコスト分析(KBR/Granherneによる) エンジニアリング/プラント大手のKBRグループから合計9件の技術講演が行われたが、その中で主にエンジニアリングを担当するKBR/Granherne社は、豪州北西海域の気象・海象条件を考慮した石油・ガス開発につき複数の講演を行った。 本講演は豪州北西海域で近年探鉱が進む大水深フィールドにおけるガス開発コンセプトについて、米国メキシコ湾の例との比較検討を行ったもの。 豪州において事業化されたLNGプロジェクトの多くは、埋蔵量規模が比較的大きいことに加え、浅い水深および短い離岸距離という要因によって、他国と比較してコスト高であっても収益性が確保されているが、近年探鉱が進んでいるエリアでは離岸距離が長い大水深海域における比較的小規模ガス田の発見が多く、開発に際してはコスト削減が必須となっている。 埋蔵量、水深、離岸距離などをある一定の条件で同等に設定した上で、豪州北西海域 (Case A) とメキシコ湾 (Case B) についてそれぞれコスト(主に施設に掛かる費用で、生産井の掘削・仕上げコストは含まれず)試算 した結果が図9である。 ここで、気象・海象条件、輸送費、施設設置に掛かる傭船費など、地域的な条件に起因して必ず発生する差を「NWA Regional」としているが、これらは増加分のうち30%程度であり、決して大きな要因とは言えない。 一方、残りの70%にあたる部分は「Design Choice」、すなわち様々な設vの選択の違いによって生じる差であり、豪州北西部ではより高価なデザインが好んで選択される傾向にあることがわかる。その主な要因はガス供給における信頼性の確保だ。メキシコ湾ではガス供給インフラが整備されており、万が一不具合が生じた際のバックアップが比較的容易だが、LNGによる出荷が前提の豪州北西海域では供給信頼性のため設計・建設コストが高額とならざるを得ない。図10は「Design Choice」における分類を示すが、SURF (Subsea、Umbilical、Riser、Flowline) における防食デザインや、生産処理施設のバックアップ機器の搭載、といった違いが主なコスト高の要因である。 図9 豪州北西海域とメキシコ湾における施設費比較 (DOT2012講演資料より) 図10 豪州北西海域におけるDesign Choice増加分内訳 (DOT2012講演資料より) 高機能フレキシブルライザーパイプの概要紹介 (Technipによる) 大水深フィールド開発において用いられる生産ライザーに、様々な機能を併せ持たせた高機能パイプの紹介。 Technip社は1970年代よりFlexible Pipe技術を生産ライザーを中心に適用させている。これまで最も深いフィールドでの生産ライザー設置はメキシコ湾Thunder Horse プロジェクト(オペレーターはBP)での水深1,890mだが、自社によるフィールド実験では3,000mの水深での適用も実証済み。 また、同社はハイドレート生成防止のための加温系統や、ガスリフトライン、サブシー機器のコントロールライン、温度測定機能などをFlexible Pipeに組み込んだ高機能パイプを「Integrated Production Bundle (IPB)」という商品名でサービスを行っている (図11参照)。 これまで2006年のアンゴラのDalia (Total)プロジェクトを皮切りに、2012年には同じくアンゴラのPazflor(Total)、ブラジルPapa-Terra の(Petrobras & Chevron)各プロジェクトにおいて適用されている。なおこれまでの最大水深はDaliaの1,350mとなっている。 IPBの適用により従来の方式と比較して、オペレーションは簡素化でき、設置に掛かる時間も削減できることなどから、今後大水深プロジェクトにおいてますます適用例が増えると見込まれる。 図11 Integrated Production Bundle (IPB)イメージ (DOT2012講演資料より) 4. 所感 筆者は本年5月に米国にて開催されたOTC (Offshore Technology Conference) にも参加する機会を得ているが、その際「Active Arena Australia」という一つのセッションとして成立していた豪州LNGプロジェクトに対する注目の高さを今回改めて認識した。 チにFLNGを世界で初めて適用するPreludeへの注目は一際高く、引き続き注視する必要性を感じた。 以上
地域1 大洋州
国1 オーストラリア
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 大洋州,オーストラリア
2013/01/21 北村 龍太
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