ロシア:ガスプロムが天然ガス輸出戦略を練り直し
| レポートID | 1004359 |
|---|---|
| 作成日 | 2013-07-02 01:00:00 +0900 |
| 更新日 | 2018-03-05 19:32:42 +0900 |
| 公開フラグ | 1 |
| 媒体 | 石油・天然ガス資源情報 1 |
| 分野 | 天然ガス・LNG |
| 著者 | 本村 真澄 |
| 著者直接入力 | |
| 年度 | 2013 |
| Vol | 0 |
| No | 0 |
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| 抽出データ | 更新日:2013/7/2 調査部:本村眞澄 公開可 ・2012年10月23日:燃料・エネルギー大統領委員会においては、Gazpromに対して低迷するガス輸出を回復すべく基本計画策定が指示された。 ・Gazpromは2013年のガス生産量を対前年3.5%増とする方針。但し、ヤマル半島開発は急がないなど、着実な開発計画となっている。 ・欧州ガス輸出は2013年は9.4%増の1,518億m3を目標。この根拠としては、本年1月-5月のガス輸出が回復基調を示し、対前年6.4%増となっている点が挙げられる。また、欧州市場においてGazpromによるガス価引き下げ効果が浸透したこと、欧州経済の回復期待が高まっていることなども要因。 ・主要なガス田に関しては、生産開始と増産ペースを抑制気味とする計画の改定あり。 ・Vladivostok LNGへのソースとなる南キリンスキー・ガス田の開発計画では、開発時期が遅らされた分、LNG生産計画においてスケジュール的には余裕がない状況である。 ・Gazpromと欧州とのガス価格問題はほぼ終結か。 ・一方、BP統計などでは、ロシアのガス埋蔵量の大幅下方修正がなされており、ロシア産ガスに対する評価下げとも受け止められる。 セーチン率いるRosneftの動きが活発であるが、それに比較してGazpromの動向は、明快さに欠け、朝令暮改の政策の迷走が目につく。迷走する政策のなかから、現実的と思われる方向性を探って見た。 2012年10月23日に開催された燃料・エネルギー大統領委員会でVladimir Putin大統領は、次回の会合までにガス部門の輸出政策に係る基本方針を策定するようGazpromに命じた。さらにエネルギー省には、2030年までのガス部門に係る総合開発計画と東方ガスプログラムの修正版の提出が命じられた。 . Gazpromの最近の動き (1)燃料・エネルギー大統領委員会でのプーチン大統領の指示1 1シア: ガスプロムが天然ガス輸出戦略を練り直し ロ 1 Interfax, 2012/10/23 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 1 ? これを受けて、10月30日には、Gazprom側から、①チャヤンダ・ガス田開発 (埋蔵量:ガス1.3兆m3、石油5億バレル)の2014年からのオイルリム生産開始と2016年からの年間250億m3 のガス生産開始、②能力610億m3/年のChayanda-Khabarovskパイプライン(YKVの一部) の2017年:稼働開始、の2件に関する最終投資決定(FID)が出された。 但し、このガスを活用する③ウラジオストック LNG(2018年;稼働開始、能力1,500万t/年、200億m3)に関しては、やや遅れて2013年2月21日に投資根拠承認(Investment Rationale) がなされた。これはFIDの一歩手前の決定と思われる。 その後、2013年2月13日に開催された次なる委員会では、むしろLNGの輸出権に関するGazpromの独占の段階的解消が論議され、提出される予定であった新しいGazpromのガス輸出計画に関しては特段の報道はなされていない。 2)Gazpromの2013年の事業計画(5月21日説明) 6月28日に開催する年次株主総会を控えて、Gazpromは5月21日に以下の方針を説明した2。 1) ガス生産量 (Gazrpomは2013年のガス生産量は2012年の4,787億7,000万?から3.5%増の4,957億?とする。国内外の需要によって50億?/年の変動がある(生産能力は6,000億?/年まで可能)。 2) Bovanenkovskoyeガス田(ヤマル半島)の開発方針 同ガス田は2012年10月23日から操業開始したが、その後生産計画に変更が生じた。2013年の生産量は、当初計画の463億?/年を大幅に下回る295億?/年となる見込み。同ガス田での掘削計画は、当初725坑井だったが、4.9兆平方フィートの範囲に325坑井掘削する。ピーク生産は2017年までに、1,150億?/年となる見込みであるが、将来の需要を見て判断する(後述)。 3) サハリン-3事業(Kirinsky) 2013年後半にKirinskoye石油・ガスコンデンセート田での生産開始。Yuzhno-Kirinskoye鉱床で2坑井の探鉱井を掘削し、2014年に追加で2坑井掘削する予定。同ガス田の東構造での発見期待しており、現状の5,600億?から埋蔵量を追加することが出来る(今年3月の、同鉱区の確認埋蔵量が1兆300億cfになったとの発表3と大幅に違う内容となっている)。 2 IOD, 2013/5/22 3 IOD, 2013/3/26 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 2 ? }1 2013年3月に発表されたキリンスキー鉱区における埋蔵量評価替え値 4) 東シベリアのChayanda油ガス田 従来計画通り、2014年に石油、2017年にガスの生産を開始する予定。 5) Yakutia-Khabarovsk-Vladivostok(シベリアの力)パイプライン 建設は2013年秋に開始予定。総延長3,200km。中国へ向かう支線も建設される予定。中国へのガス供給に関する基本合意を締結するまで、Gazpromが建設初期段階の費用を負担する意向を持っており、他にも資金を提供する可能性がある。同パイプラインを経由しての、国内、中国に向けたガス供給、及びVladivostokの1,000万-1,500万t/年のLNGプラント向けに予定されている140億m3~200億m3/年のガス供給については、必要供給量を確保できるだけのガスがある。 6) Vladivostok LNG事業 同事業のパートナーとなる可能性がある企業と協議を続けているが、具体名は明かせないとした。 7) サハリン-2事業のLNG第3トレーン 2013年末までに最終投資決定がなされる予定。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 3 ? Q)6月4日のMedvedev副社長発言4 しかし、上記の発表から2週間も経たないうち、以下のような楽観的な上方修正がなされた。専門家は、Gazpromが販売攻勢を掛けられるような楽観的な根拠が見当たらず、しかもGazpromの発表して来た数値との整合性も取れておらず(後述)、Gazprom内部での見解の調整が行われていない可能性があ るとしている5。 1) Gazpromの欧州でのシェア (2012年の26%を2020年には30%、2030年には32%まで引き上げる。現状、欧州のガス需要は4,660億m3で、34%は域内生産。欧州は長い経済停滞があるものの、これを踏まえた堅めの予想でも、追加のガス輸入量として2025年までに1,450億m3、2035年までに2,000億m3となる。この輸送手段として、South Streamの建設と、Nord Streamの拡張に関する決定を行う。 Gazpromとしては、欧州側がこの内のどの程度を受け入れるかが焦点で、5月下旬に開催されたEU-Russiaの協議の場でも、Novakエネルギー相はOettingerエネルギー・コミッショナーに対して共同での需給予測を呼び掛けた。 2) 2013年の対欧州ガス輸出の現状 2013年1月~5月の対欧州(含む土)ガス輸出は、前年同期よりも40億m3多く、6.4%増の661億m3となった6。 3) ガス輸出量見込み Gazpromは2013年の欧州(含む土)へのガス輸出量は、年初の予測である2013年全体で1,518億m3については変更しない方針(図2参照)。これは2012年の1,388億m3から9.4%増と大幅なものである。バルト諸国を含むCISへは2013年は748億m3で、2012年の644億m3から16.1%増とこれも大幅なものとなっている。 4 PON, 2013/6/05 5 Vedomosti, 2013/6/05 6 IEAによれば、欧州向けのガス販売量を増加し、寒い3月の欧州市場において占有率を伸ばしたのはGazpromのみである。IEAによれば、2013年3月末現在で、欧州向けガス供給に占めるロシアの割合は前年の22.6%⇒23.2%に伸びた。3月のガス需要は26.7%増の636億m3/年となり、ロシアから非CIS諸国向けガス輸出量は30%増の148億m3/年となった。なお、3月における欧州向けガス輸出量はアルジェリアが64.3.%減、カタールが50%減、アゼルバイジャンが30%減となっており、欧州内ではロシア最大のライバルであるノルウェーがTrollガス田のコンプレッサー不具合、及びSnohvitガス田の生産停止により供給量を減少させた分、オランダが供給を伸ばしている。(Interfax, 2013/6/13) Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 4 ? 図2 Gazpromによる対欧州ガス輸出。2013年は6月に示された目標。(諸統計がJOGMEC作成) ) Nord Stream7におけるガス輸出制限の問題-OPALパイプライン問題 ロシアのガス販売が欧州で苦戦している理由の一つに、OPALパイプライン等のNord Streamに接 4続する陸域パイプラインの問題がある。これがEUの規制のためにフルに活用できないでいる。 送ガス能力275億m3/年のNord Stream-1が2011年9月に完成した。Nord Streamの陸揚げ地点であるドイツのGreifswaldからチェコのOlbernhauまでの470kmを延伸する送ガス能力360億m3/年のOPALパイプラインも同年完成している。そして翌2012年にはNord Stream-2が完成し送ガス能力は2倍の550億m3/年まで引き上げられた(図3参照)。 しかし、Nord Streamの成約済みの長期契約に関しては、工事の開始された2009年初頭で5社、合計で225億m3年というのが発表されたのみで、その後需要が大きく伸びた形跡が見られず、Nord Stream-2の完成した昨年秋の段階で、その稼働率が能力の550億m3/年近くまで行っているのか、疑問がもたれていた。その後、Nord Streamの稼働率が50%以下であることが明らかとなった。 7 シェアはGazprom(51%), Wintershall Holding GmbH (a BASF subsidiary, 15.5%), E.ON Ruhrgas Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 5 ? アの理由は、マーケティングの不調もあろうが、EUの第3次エネルギーパッケージにおいて規定された第3者アクセス義務によるところが大きい。これは、Nord Stream本体に関しては域外なので適用されないが、ドイツ国内のパイプラインには適用される。2012年にECはGazpromに対しGreifswaldに陸揚げされた後、チェコのOlbernhauまで向かうOPALパイプラインの1/2以下の容量しか提供できないことを決定した。GazpromはECと協議を続け、OPALに関して例外的措置の適用を模索している。同様の問題はSouth Streamにも潜在的にあり、この問題の決着が注目される。 図3 欧州における天然ガスパイプライン網8。ドイツ陸上部のNELとOPAL Pipelineを示す。 AG(15.5%), N.V. Nederlandse Gasunie(9%) and GDF SUEZ(9%) Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 6 ? T) 対欧州ガス価格 欧州向けガス価格は2013年は$370-$380/1,000m3($10.5~$10.8/MMBtu)で2012年より5%-8%下落する 。2012 年は$402/1,000m3($11.4/MMBtu)、CISとバルト諸国は平均$308/1,000m3($8.7/MMBtu)であった。ガス価格に関する遡及支払いは、2012年の33億ドルから、2013年は8億~9億ドルに減額される。 6)ガス価格決定方式 Gazpromはガス価格の決定方式としては、依然として石油連動長期 (Long-term Oil-indexed) 契約を維持する。Eni,GdF Suezとは価格フォーミュラの改定中であるが、スポット価格の扱いは全体のバスケット中の7%に留まり、この比率を上げるのではなく既往のフォーミュラの係数を調整することにより、価格の引き下げを行う。ウィーンで仲裁に委ねているRWEとの係争に関しては、他の仲裁に倣い、今年中に決着の見込み。 3)Gazpromの生産後ろ倒し策 翌6月5日にGazpromは、以下のような生産計画の修正を行っている。これは、増産を先送りするもので前日の発表のやや強気の輸出増期待を実現する上で必ずしも整合的ではないが、着実な増産を行うことを目指しているとすれば、必ずしも矛盾はしていないと言える。 (但し、これは、全体にスケジュールの後ろ倒しが見られるものの、対欧州輸出の見込める西シベリアでも生産量そのものは変更なく、一方でVladivostok LNGへの供給ソースとされているサハリン-3のキリンスキー鉱区では、生産量の拡大を目指すなど、むしろ調整を踏まえた拡大策となっている。 欧州のガス需要の急減を受けて、Gazpromがヤマル半島やサハリン事業における複数の有望鉱床の操業開始時期を1-3年遅らせ、さらにこれらの事業におけるプラトー生産量(計:約2,000億m3/年)の達成時期を1-4年遅らせる計画変更がなされた9。ただし、ヤマロ=ネネツ自治管区におけるプラトー生産量は以前と同水準で、長期的には欧州需要の回復を期待しているものと思われる。Gazpromとしては、対象となるガス田の生産能力の合計は年間や約2,000億m3で、生産余力を有しているとGazpromは強調している。 一方、サハリンに関しては、Sakhalin-3事業からのプラトー生産水準は、Yuzhno-Kirinskoyeガス田において114億m3から132億m3/年へ、Kirinskoyeガス田では43億m3から55億m3/年にそ 8 The Economist, 2009/7/16 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 7 ? 黷シれ引き上げられた。但し、当初2016年からの生産開始を見込んでいたYuzhno-Kirinskoyeガス田が2-3年後ろ倒しとなり、Vladivostok LNGの生産にとっては余裕のないスケジュールとなる。 Gas Field Pestsovoye (lower Cretaceous) Bovanenkovo (Cenomanian) Kharasavei (Cenomanian) Severo-Kamennomysskoye Kamennomysskoye-more Yuzhno-Kirinskoye Kirinskoye 表1 Old Launch New Target date for reaching capacity New Design capacity Old (bcm) 2014 2019-20 2018-19 2 2015-16 2012 2019-21 2017-18 115 2019 2021-23 2022 32 2019-21 15.3 2019-22 2019-20 2021-24 2021-22 2025-26 15.1 2023-25 2023-24 2026-28 13.2 2018-19 2016 2022-24 2020 2015 5.5 2013 2012 2016-18 Gazpromの主力ガス田の開発スケジュールとピーク生産時期 6月13日、GazpromのVitaly Markelov副社長は、Vladivostok-LNG事業への参入について日本企業およびその他の外資企業と交渉を行っており、さらにEPC(設計調達建設)契約に基づき事業を実施する企業とも交渉を行っていると発表した10。複数の外資企業は、LNG事業権益の最大49%を保有することになるが、これらの企業は最低600万t/年のLNGを購入する戦略的パートナーとなる。LNG生産能力は1,000-1,500万t/年となる見込み。原料となるガスは、Sakhalin-3事業のKirinskoyeガス田およびYuzhno-Kirinskoyeガス田から供給される。ガス価格はJCC(Japan Crude Cocktail)と連動する。LNGの第1段階は2018年、第2段階は2020年に開始される。現在、日本、韓国、中国、その他の外資企業との交渉が行われており、年末までに最初の契約が締結される見込みである。 これと、表1のKirinskoyeガス田およびYuzhno-Kirinskoyeガス田の生産規模、生産開始時期を見ると、多少の疑問を抱かざるを得ない。特に、Vladivostok-LNG事業では、2018年の第1段階始動時に、LNGの第1トレーンで500万トン生産する場合、生ガスとしては約70億m3必要であり、55億m3の生産能力を有するKirinskyガス田からガスだけでは不足である。一方、132億m3の生産能力を有 9 Interfax, 2013/6/05 10 Interfax, 2013/6/13 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 8 ? 4) ウラジオストックLNGの動向 (キるYuzhno-Kirinskyガス田の生産開始時期が、2018-19年に後ろ倒しとなり、スケジュール的には余裕がない。厳密なスケジュール管理が要求されるLNG事業で、供給できなくなった場合の代替LNGもない状況で、このような計画では疑問なしとしない。 6月22日、伊藤忠、丸紅、Japex, Inpex, Ciecoの5社連合は、GazpromとJVを作り、ウラジオストックにLNG基地を建設することで基本合意した。着工は2015年、2018年生産開始の見込みとなっている11。 なお、6月21日、サンクトペテルブルグのロシア経済フォーラムにおいて、丸紅は、Rosneftの進めるサハリン島でのLNGを2019年から20年間、長期に輸入する契約を結ぶことで合意している。引き取り量は当初125万t/yで順次拡大する。価格決定方式は原油連動からの見直しを求める考え。LNGのソースはサハリン-1からのガスとなる見込み。年産1,000」万tの規模。LNG事業としては競争相手となりうる12。 これらロシアの進めているLNG事業を、図4に示した。 図4 ロシアが進めているLNG事業(JOGMEC作成) 11 日経、2013/6/22 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 9 ? Kスプロムのガス生産の状況 2. (1) ロシアのガス確認埋蔵量 BP統計13によるロシアのガス確認埋蔵量は、2011年末の値で1,575兆立方フィート(446億m3)で世界第1位であるが、2012年末の値では1,162.5兆立方フィート(329億m3)と26%も引き下げた。BPの立場は、商業性のないものを除外した結果とされるが、今年になってのこの引き下げは唐突であり、憶測を呼んでいる。EUとGazpromの近年の対立関係を反映したものなのかは不明である(表2、図5参照)。 (2) ガス生産量(2012年)(PON, 2013/1/03による) 6,550億m3/年(世界第1位) 対前年比 2.3%減 天然ガスの生産減は、資源的な制約ではなく、特に欧州市場の縮小に伴う輸出不振が原因である。 2013年は前述の通りガスプロムにおいては一転して3.5%の増産と9.4%の輸出増を目指している。 1999 305 6.18 0 591 単位\年 石油百万t 百万b/d 伸び率(%) ガスBm3 表2 ロシアの石油・ガスの生産履歴 2000 323 6.54 6 584 2001 348 7.06 8 581 2002 380 7.70 9 595 2003 421 8.54 11 620 2004 459 9.19 9 634 2005 470 9.41 2.5 641 2006 480 9.61 2.2 656 2007 491 9.83 2.3 653 2008 488 9.78 -0.7 663 2009 494 9.92 1.2 582 2010 505 10.17 2.2 650 2011 511 10.27 1.3 670 2012 518 10.40 1.3 655 12 日経、2013/6/21夕刊 13 BP Statistical Review of World Energy 2013 http://www.bp.com/content/dam/bp/pdf/statistical-review/statistical_review_of_world_energy_2013.pdf Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 10 ? i1)独占禁止法問題 2012年9月4日、EUの欧州委員会(EC)は、GazpromがEU競争法(独占禁止法に相当)に違反した疑いがあり、ガス輸送・販売において独占的地位を利用し、公正な競争を阻害したとして正式調査を開始した14。調査内容は、 ①同盟国への自由なガス供給を阻害して市場を分割支配、 ②ガス輸送網を他企業に利用させず供給源の多様化を阻害、 ③加盟国に対して原油価格に連動させた不当に高いガス価格の押しつけ、 の3点に関するもの。対象は旧社会主義圏のリトアニア、チェコ、スロバキア、ポーランド等8図5 ロシア-CISの天然ガス生産の推移(1950-2012)、諸統計からJOGMEC作成 金融危機後のGazpromとEUの関係 参 考] [ 14 共同、2012/9/05 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 11 ? J国におけるGazpromの行動である。EUはGazpromに対し、2011年9月から市場開放を求め予備調査を開始していた。 9月11日、ロシア側は対抗措置として、プーチン大統領が大統領令「ロシアの法人による対外活動でのロシア連邦の利益保護に関する措置」に署名。戦略的企業やその子会社が政府の同意なしに外国の企業との売買価格に関する契約を変更したり、外国の政府組織や国際機関に非公開情報を提供できないと定めた15。 1) 2009年11月:欧州側からガス価格に関するの注文16 ・Wulf Bernotat (E.On):ガスプロムのガス需要予想は楽観過ぎる。E.Onは供給と支払いの後倒しを期待する。 ・Domenico Dispenza (Eni G&P):ロシアのガスは割高なためアルジェリアやオランダより輸出が減少し、ノルウェーが逆に増やしている。これは強い警告と受け止めるべきである。石油連動ガス価格方式を改変してスポットLNGに対抗できるようにする必要がある。 2) 2010年2月:対欧州天然ガス価格の決定方式の改定17 E.On Ruhgas(独)、ENI(伊)、Botas(土)の欧州3社向け契約を3年間、価格バスケットの内10%~15%をスポット価格連動。現状、スポットものは25%低い価格となっている。 3) 仲裁:2011年に入り、RWE, E. On(独)、PGNiG(ポーランド)、GWH(オーストリー)とはガス価の引き下げを巡って仲裁に持ち込み。 4) 2011年12月のガス価格下方修正、2014年まで ・長期契約の石油連動価格での譲歩:EdisonとPremium Gas(伊) ・契約の一部につき市場ガス価格連動(gas-index):GdF Suez(仏), SPP (Slovakia), Centrex, Ecogas(墺), Wintershall傘下JVのWingas, WIEH(独) 5) 2012年1月:欧州5社にガス価格ディスカウント18 ・1月17日、Gazpromは長期契約の相手に対してガス価格を引き下げる意向。相手企業は、GdF 2)ロシアの対欧州天然ガス輸出価格の係争 ( 15 日経、2012/9/12夕 16 WGI, 2009/11/18 17 Vedomosti(2010/2/24)FT(2/26)Interfax(2/27) 18 DJ, 2012/1/17, NC, PON, 1/19 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 12 ? uez, Wingas, SPP(Slovensky Plynarensky Priemysel、スロバキア), Sinergiw Italiane, Ecogaz(墺)。割引率は約10%と言われている。5社の年間輸入量は合計350億m3、Gazpromの輸出量の1/4。仲裁中のRWE,E.On, PGNiGは入っていない。 6) 2012年7月:E.Onとの係争決着 ・ロシアから年間250億m3を購入する独E.Onは7月3日、2010年第4四半期まで遡って価格の改定を可能にし、長期ガス供給契約に関する係争を終結。10億Eur回復。契約に石油製品連動方式は残る。RWEとPGNiGは依然Gazpromと係争中19。 ・RWE Transgas(ドイツのRWEのチェコ支社)がガス供給契約を巡るGazpromとの係争で、「take-or-pay」条項に係る罰金の支払いは必要ないとする初めての判決を受けて、勝訴した。Gazpromとの契約に不満を抱く欧州の顧客たちにとって今回の判決が有利に働き、RWEと同様の訴訟を起こす可能性もある20。 7)ポーランドでのガス価格を巡る交渉 ・2012年11月6日、PGNiGとGazpromは、1996年締結のガス供給契約(石油価格連動、年間102億m3)を、価格15%引き下げることで合意。価格は現状$550/1,000m3を超える。PGNiGは2009年6月からQatarから年間15億m3のガスをLNGで輸入することで合意。2014年7月に第1船の予定21。 (了) 19 IOD, 2012/7/04 20 The MoscowTimes, 2012/10/24 21 PON, 2012/11/07, PGNiG副社長Karabulaが先月Parisで講演したところでは2011年のロシアからのガス平均輸入価格は$420/1,000m3($11.9/MMBtu)。(WGI, 2012/11/07) Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 13 ? |
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