ページ番号1004362 更新日 平成30年2月16日

タイトオイルとは何か

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レポートID 1004362
作成日 2013-07-04 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 技術非在来型
著者 伊原 賢
著者直接入力
年度 2013
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ 作成日: 2013/7/4 調査部: 伊原 賢 公開可 イトオイルとは何か タ (JOGMEC調査部、石油鉱業連盟、カナダNational Energy Board 、SPE: The Society of Petroleum Engineersほか) 原油生産が減退していた米国では2008年以降、メキシコ湾大水深域とともに陸上の非在来型原油の一つであるタイトオイルの開発が活発化しており、増産に転じている。陸上の非在来型石油開発の復活の背景には、国内においてガスが安値で、反面、原油が高値で取引されていること、また、シェールガスの坑井仕上げ技術(水平坑井や水圧破砕等)が応用されていることが挙げられる。 大幅な増産が見られるのが、孔隙率・浸透率が共に低い岩石からの中・軽質油の生産で、別名「タイトオイル」とも呼ばれる。米国北部からカナダに広がるBakken構造からの軽質油の生産がその代表例である。坑井仕上げを中心に開発方法は改良され、1坑井あたりの推定総生産量は増加しており、探鉱開発コストも低下している。北米では,シェールガス開発に適用された坑井仕上げが、Bakken構造のほか、テキサス州南部のEagle Ford構造など他のタイトオイル開発にも適用され始めている。 本資料では、タイトオイル採掘の歴史から入り、開発技術や坑井仕上げの選択を概説し、今後の原油生産におけるタイトオイルの位置づけを整理したい。 タイトオイルとは非常に孔隙率・浸透率の低い層(頁岩層、シルト岩層、砂岩層、炭酸塩岩層ほか)に閉じ込められている原油である。原油そのものの質は軽質~中質油であるものの、在来型原油と比べると貯留層の流動性が極めて悪く、ただ坑井を掘削するだけではなく、水圧破砕を適用するなどして開発する。タイトオイルは厳密にはシェールオイルとタイトサンドオイルの2つに分類できるが、これらを厳密に区別しているケースは少なく、この2つをまとめてタイトオイルと総称している(図1)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 1/21 . タイトオイル採掘の歴史 1-1. タイトオイルとは? 1o所:カナダNational Energy Board(2011年): Tight Oil Developments in Western Canada Sedimentary Basin. Energy Briefing Note p.38を加筆 図1 タイトオイル貯留層のイメージ 1は筆者がタイトオイルのイメージをまとめたもので「原油供給に少なからず影響をもつ非在来型 表の原油」であることを概説したものである。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 2/21 \1 タイトオイル概説 出所:JOGMEC調査部資料 (2011年6月日揮、2012年8月石油資源開発) 3/21 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 -2. タイトオイルを含む貯留層構造の開発経緯や状況 先行して成功している米国北部のBakken構造のタイトオイルは、米国のモンタナ州、ノースダコタ州からカナダのサスカチュワン州やマニトバ州にかけて広がり(図2)、原油が貯留する油層として永く知られ、1950年代からモンタナ州を中心に細々と開発が行われてきた。しかしながら近年は、油層の厚いノースダコタ州に開発対象が移り、活動が活発化してきた(表2)。カナダ側のサスカチュワン州でも一部開発されている。 図2 Bakken構造の広がり 表2 Bakken構造の概要 出所:USGS及びノースダコタ州資料 出所:USGS及びノースダコタ州資料 ○油層エリア: Bakken構造 (Williston盆地) Upper Bakken(シェール)、Middle Bakken(砂岩、シルト、石灰質泥岩)、Lower Bakken(シェール) 深度9-10千フィート(約3,000m) 対象層厚 平均80フィート(約24m) ○ 可採埋蔵量(USGS調べ): 米国側のみ 1999年評価 1.51億バレル ⇒ 2008年評価 原油36.5億バレル、随伴ガス 1.848Tcf、NGL 0.148億バレル ○ ノースダコタ州全体の生産量 2012年9月 70万バレル/日(2006年 10万バレル/日) ○ ノースダコタ州全体の稼動リグ数 164基(2010年12月) Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 4/21 999年当時、油価がバレル当り10ドルを切った時、米国地質調査所USGSはWilliston盆地のBakken構造でのシェールオイル(米国のみ)の賦存状態を調査した。 調査結果は、P-meanの原始埋蔵量は石油換算で4,140億バレル、しかも軽質油(API比重40度以上 = 比重<0.825)と好条件だった。しかし回収可能量はたった1.51億バレルとの推定だった。大手石油会社は取るに足りない開発対象として、無関心を装った。2000年にモンタナ州のElm Coulee油田(図2)のBakkenシェールに最初のパイロット井が掘削された。その3年後にBakkenシェールからの油生産はモンタナ州の油生産量を2倍にした。さらに2008年にはUSGSは、技術進歩に伴う回収可能量を石油換算で30~45億バレル(原油36.5億バレル、随伴ガス1.848Tcf [Tcf:兆立方フィート]、NGL 0.148億バレル)に修正したのである(表2)。 ノースダコタ州における石油生産量は、2006年に10万バレル/日程度であったが、2008年に17万バレル/日、2011年1月にその倍の35万バレル/日まで増加し(図3)、2012年12月にはさらにその倍以上の80万バレル/日に達した。さらに伸びると予想される。 出所:ノースダコタ州資料 006年から2007年頃まで、Bakken構造からの1坑井あたりの初期生産量は200バレル/日以下と 2図3 ノースダコタ州の原油生産量 (主にBakken構造) 少量で、良くても200~400バレル/日程度との認識が一般的だった。当時、原油価格がバレル当り100ドル近くまで上昇していたものの、シェールガス開発ほどには、期待は膨らんでいなかったのだ。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 5/21 オかしながら、シェールガス開発技術の進展とともに、また2009年頃からのガス価格の低位化に伴い、相対的に石油価格が割高となったことで、同タイトオイル開発に拍車がかかったのである。Bakken構造では、坑井仕上げの地道な改良・工夫によって1生産井からの回収量を飛躍的に増大させることに成功した(月産1万バレルを超える生産井の割合は2009年に40%に達した)。 米国では2009年に入って、ガス需給緩和により国内のガス価格(4ドル/百万Btu前後=原油熱量等価24ドル/バレル)が急落したことから、相対的に原油が割高(80ドル/バレル前後)になった。熱量等価で原油はガスよりも3~4倍も高いことになったのだ。収益性を確保したい開発事業者は、シェールガス開発から石油開発に投資先を広げ、分散化を始めた。ガス狙いのリグ稼動数が横ばいに対して、石油狙いのリグ稼動数は過去1年間で3倍増となり、現在も増えているのは、その表れと見て取れる(図4)。 出所:JOGMEC調査部 図4 北米で稼動する掘削リグ数の推移(石油、ガス別) 例えば、シェールガス開発のさきがけとなった、テキサス州のBarnett構造でのシェールガス開発において主要な事業者である独立系石油開発会社は、シェールガスから一転してタイトオイルを含む石油開発を重点化する戦略を打ち出した。これら事業者は、さらなる生産拡大のために、従来からのシェールガス開発投資だけでなく、石油開発をあわせて行うことで収益性を維持することが不可欠と判断した。現在、テキサス州のEagle Ford構造やコロラド州/ワイオミング州周辺のNiobrara構造のタイトオイルや、Permian Basin、Anadarko Basinなど従来の石油賦存地域にあるタイトオイルにまで開発対象はGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 6/21 gがっている(表3)。 表3 米国のシェールオイル・フィールドの概要 出所:米国EIA(2011年) カナダでも、Bakken構造でのシェールオイルの開発成功が低浸透性油層開発の引き金となっている。カナダの石油開発企業は、西カナダへも事業を展開中だ。アルバータ州のCardium層が次の低浸透性油層開発の対象(生産後期に差し掛かった巨大な軽質油田の端に賦存するタイトオイル)と言われる。中小石油会社(低浸透性油層開発専門のジュニア/juniorと呼ぶ)は小規模会社を買収し、開発活動の拡大を図っている。比較的大規模な独立系石油会社(インデペンデント/independent)も買収を通じて、タイトオイルの開発活動を活発化させている。西カナダのタイトオイルフィールドの分布図を図5に示す。主要な8つのフィールドの貯留層のタイプ、埋蔵量と初期生産レートの一覧を表4に示すが、そのうちの4つのフィールドでは埋蔵量は確認されていない。 出所:カナダNational Energy Board(2011年): Tight Oil Developments in Western Canada Sedimentary Basin. Energy Briefing Note p.38 図5 西カナダのタイトオイルフィールドの分布 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 7/21 表4 西カナダのタイトオイルフィールドの概要 出所:カナダNational Energy Board(2011年) akken/Exshaw層: Bakken層はサスカチュワンとマニトバ州、Exshaw層はアルバータとブリティシュ Bコロンビア州に広がっているタイトオイル層である。これらは違う名を持っているが同一の貯留層であり、シルト岩層、砂岩層が有機物リッチなシェール層の間に挟まれている。約3億6,000万年前のデボン紀に堆積した地層で、上下のシェール層はノースダコタ州まで伸びている。カナダ側のBakken層の確認 下に西カナダの代表的なタイトオイルフィールドの概要を紹介する。 以および推定可採埋蔵量は2.25 億バレルと公表されている。 Cardium層: Cardium層はアルバータ州の西に位置するタイトオイルフィールドである。8,800万年前の白亜紀後期に堆積した地層である。砂岩およびシェールの混在した地層で、106 億バレルの資源量を有すると推定されている。Cardium層からは1950年代の発見以来2010年末までに、15億バレルの油が生産された。 Viking層: Viking層はCardium層同様,およそ1億年前の白亜紀後期に堆積した地層である。推定可採埋蔵量は5,800 万バレルと報告されている。 Lower Shaunavon層: 1億6,500万年前のジュラ紀中期に堆積した、石灰岩、シェールと少量の割合の砂岩で構成されている地層である。Crescent Point Energy社は40 億バレルの資源量があると算出している。なお、この層の埋蔵量は9,300 万バレルとして発表されている。 8/21 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 以上のように、Bakken層のみではなく他のフィールドも急激な生産量増加を見せており、2005年に始まったタイトオイル生産も、2011年には約120万バレル/日の生産量に到達し、2012年には200万バ. タイトオイルの開発技術の進展 2レル/日を超えた。 技術進歩とそれに伴う開発生産コストの低下(キャッシュフローの上昇)が、2000年のモンタナ州Elm Coulee油田でのパイロット井掘削以降、Williston盆地のBakken構造(図2)でのシェールオイル(注)各タイトオイル構造の開発に適用された技術の進展について、まとめる。 -1. Bakken構造 2の開発を活発化させたことは前述した。 (注)シェールオイル: 目の詰まった頁岩中で熟成した油。 オイルシェール: 未熟成なケロジェンが主体となって頁岩中に集積したもので、回収には熱により油を蒸気にして流動させねばならない。 技術進歩としては、Extended Reach Well(掘削深度/垂直深度 > 2)と多段階フラクチャリングの適用が,生産井の初期レートを飛躍的に増加させ,その初期レートが6~12ヶ月続くことで、上昇する掘削仕上げコストもオフセットし、シェールオイル開発の経済合理性を向上させている。Bakken構造では周辺に既存油田もあるため、パイプラインが整備され,生産されたシェールオイルのそのラインへの接続も安く済む利点がある。 Bakken構造の開発において、坑井仕上げ(Well Completion)の改良によって1生産井からの回収量を飛躍的に増大させることに成功し、2008年には1坑当りの初期レート800~1,000バレル/日程度、さらに2009年に入って同2,000バレル/日を超える結果も得られている。良好な場合、1生産井あたり初期レートで4,000バレル/日を超えるケースも見られる(図6)。ConocoPhillips社によれば、原油の回収率は10~18%とのことである。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 9/21 出所:ConocoPhillips社資料 図6 Bakken構造の生産井の初期レートの伸び: 水平坑井と多段階フラクチャリングの適用 削された水平坑井では、2007~2008年に1,000m~2,000mの水平区間に沿って4~8段階の水 掘圧破砕を施していたが、2011年に入るとは、石油の生産をさらに引き上げるために、水平区間を3,000m以上に延伸させて20段階以上の水圧破砕を施すことで、多くの割れ目を水平区間から貯留岩の内部にまで形成させ生産量を増加させた。具体的には、水平坑井の裸坑に多段階フラクチャリング(Openhole Packer & Sleeve Completion)を施し、2層同時生産を実現している(図7)。Saskatchewan BakkenでPetroBakken社は20段階の水圧破砕を実施した。North Dakota BakkenにおいてBrigham Exploration社は 30段階以上の水圧破砕を実施した。 図7 水平坑井の裸坑に多段フラクチャリングを施した2層同時生産 出所:SPE論文135268、Baker Hughes社資料 らには図8に示す様に、一度に32段階までのフラクチャリングを実施することが可能となった。1 さ坑あたりの掘削コストが例え倍増したとしても,生産期間あたりの生産量である「推定総生産量EUR(Estimated Ultimate Recovery)」がそれ以上に増えて(掘削仕上げコスト2~3倍、期間あたりの生産量Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 10/21 ~5倍)、探鉱開発コストF&D Costは徐々に低下しているのが判る。 80~100ドル/バレルという現状の油価水準であれば、生産開始後、数年内にコスト回収が可能とされる。また、シェールガスと同様に、初期の生産レートは、その後急激に減退するものの、その後数十年に渡って低位で生産することが可能と言われる。 EUR:1生産井あたりの推定総生産量 F&D Cost:探鉱開発 図8 Bakken構造の掘削仕上げの進化と探鉱開発コストの推移 出所:2010年3月 Brigham Exploration社資料 ェールガスと比べての開発技術の難度は、シェールオイルの方が密度と粘度が高いことにある。 シしかしながら、坑井仕上げ技術の進歩がBakken構造の低浸透性油層からの原油生産を現実のものにしている。 開発が進展するとともに、2008年にはBakken構造の下位30mほどのThree Forks構造にも、同程度の原油が賦存していることが確認された。これにより、事業者の開発投資に弾みがついたと言われる。図9に示す様に、地表の一箇所の坑井元から多数の坑井が掘れるようになったことも、掘削仕上げコストや期間の低減に貢献している。Hess社は、2構造の同時開発により、掘削仕上げコストは1坑井あたり1,000万ドル以上割高になるものの、それ以上に原油生産量が増大することを期待している。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 11/21 出所:Hess社資料 図9 Bakken構造とThree Forks構造の同時開発の掘削仕上げのイメージ 同社は、タイトオイルを含む原油開発において、WTIが40ドル/バレルあれば経済合理性があると評価している。 このような動向下で、シェールオイル生産井の掘削が増えれば,初期生産レートや生産の減退傾向を加味すると、2009年末の生産レート32.5万バレル/日が2013年には35~45万バレル/日に伸びるという見通しがある。35万バレル/日レベルには年800坑の掘削、45万バレル/日レベルには年1,200坑の掘削が必要とされる。因みに2008年には700坑弱、2009年には500坑強が掘削された。現状の生産レベル(30~35万バレル/日)を維持するには年800坑程度の掘削が必要となるだろう。 ノースダコタ州では掘削許可数は2009年が500件強だったが、2010年は1,200件を越えた。2010年12月の同州での稼動リグ数は164基だった。Continental Resources社、Whiting Petroleum社、 Brigham Exploration社など地元の小規模事業者、またHess社、Marathon社やEOG Resources社などの中堅クラスが開発に参画してきたが、2008年あたりからスーパーメジャーのConocoPhillipsやExxonMobil(旧XTO Energy社)も国内企業を買収することを通じて、当地域の権益獲得に動いており、参加企業数は全体で50社を超えている。生産レベルの見通しは生産井の仕上げ技術の進化、掘削活動の活発化もあり、79万バレル/日を超えた(2013年4月)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 12/21 オかし、コアエリアを越えて掘削活動を活発化させると、油の密集帯(スイートスポット)をはずし、高い初期生産レートを達成できないケースも出てくる(Barnettシェールガス構造のコアエリア[テキサス州Johnson郡,Tarrant郡]の外での失敗事例)。 陸上のシェールオイル開発の背景には、国内においてガスが安値に対し、原油が高値で取引されていることも挙げられる。このBakken構造でのシェールオイル開発のベンチマークは他地域(Powder River盆地のMowry、Niobrara、Mississippian Heath、Miocene Monterey他)にも拡がっている。 (参考論文SPE 135584、2010年9月発表) 米国陸上Williston盆地に位置するBakken構造での掘削事例の紹介。Bakken構造は、上部・中部・下部の三層に分類され、上部・下部層は有機物が10%程度と豊富な頁岩、中部層は孔隙率5%,浸透率0.04ミリダルシー(3.95 x 10-17m2)のドロマイト・シルト・砂岩が混合したフラクチャー型貯留層となっている。本貯留層において、Open Hole Multi Stage fracturing system(OHMS)で仕上げた坑井(図10) と、Cemented Linerに Plug-and-Perforationの坑井刺激を行い仕上げた坑井の経済性、生産性の比較結果の報告が行われた。Bakken構造自体が、Extended Reachの水平井などの高度な掘削技術の適用によって、経済的に生産可能になった貯留層ということであり(現在の原油可採埋蔵量は36.5億バレル) 、OHMSは施工時間とコスト両面を効率化するための水圧破砕技術で、連続的なポンプオペレーションで18-20の段数のフラクチャリングで仕上げることが可能な技術である。さらにOHMSは、Bakken構造のように天然亀裂が卓越したフラクチャー型貯留層に対しては、裸孔仕上げであるためフラクチャーの流動性を損なうことがなく、有効な仕上げデザインとなる。実際、本発表で示された結果からも、OHMSで仕上げた坑井は、Cemented Linerに Plug-and-Perforationで仕上げた坑井に対して、優れた生産性を示した。Slawson Exploration 社とPackers Plus Energy Services社の発表論文である。 出所: http://www.packersplus.com/pdfs/Products/StackFracBroch%200818reg.pdf 図10 OHMS概念図 カナダでは、シェールガス開発の技術を利用することで、古くから知られるタイトオイルに再投資をGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 13/21 -2. 他の構造 2sう企業が増えている。その中で、カナダ中堅企業のPenn West Energy Trust社は、国内西部に広がるCardium、Colorado、Amaranthの各地域 のタイトな油層に対してシェールガス開発技術を適用して、面的な開発を行うことで、油の採取が可能となることを期待している(図11)。オイルサンドを除く石油生産が減退しつつあるカナダにとって、新技術による回収率の上昇は埋蔵量の増加にも繋がることが期待されている。 図11 Penn West Energy Trust社によるタイトオイルの開発イメージ 出所: Penn West Energy Trust社ホームページ 坑井の仕上げは、できる限り改修(注)作業を少なくするため、信頼性の高い(失敗が起こりにくい) システムとすることが第一条件である。坑井の仕上げエンジニアは、使用実績の長い信頼性の高い機器を適用し、できるだけシンプルにデザインする。 坑井仕上げの構築には、オペレーター/事業者は(待ちの姿勢ではなく)自らシステムのアイデアを出し、機器やソフト技術を提供する業者との意思疎通や連携が重要である。それが今後縮小する投資機会に対応した石油開発のコストを適正化し、可採埋蔵量を最大化し、経済的な開発プロジェクトへとつながる。 (注) 改修/Workover: 坑井内の機械的損傷・故障の修復、油やガスの採収層あるいは圧入層の障害除去、採収目的以外の流体あるいは砂などの遮断、仕上げ層及び仕上げ法の変更、及び生産性の増大を図る坑井刺激などを目的として、比較的大がかりな装置や機械を用いて坑井に処置を施す作業を、一般に「改修」と呼ぶ。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 14/21 -1. 坑井仕上げの考え方 33. 坑井仕上げの選択 -2. 水圧破砕(フラクチャリング)技術の選択 タイトオイル開発では生産物が中・軽質油である。油はガスに比べ密度が約1,000倍と大きいため、水圧破砕を施しても、貯留層においてガスほどの流動性は期待しにくい。また多段階の水圧破砕では1坑井当たり5,000~10,000m3もの多量の水を用いるため(カナダHorn Riverシェールでは水圧破砕のために1坑あたり15,000m3、米国テキサス州Barnettシェールでは水圧破砕のため1坑当たり11,000m3程度の水を使用)、水を使わず、流動障害を起こしにくいとされるフラクチャリング技術の適用も視野に入ってきている。以下にフラクチャリング技術の動向を整理する。 ・水圧破砕によるフラクチャリングでは、成分の約95%が水であり、その他、プロパントと呼ばれる細かな砂*や、粘性を高める化学物質等により構成される。 *水圧により開口した亀裂(フラクチャー)を開口状態に支持・維持する目的で使用。 (参考)フラクチャリング流体の組成例 1)水圧破砕によるフラクチャリング (①フラクチャリング流体 出所: 「シェールガス革命とは何か」 東洋経済新報社 伊原賢 ページ169 シェールガスの開発の拡大に伴い、フラクチャリングに必要となる大量の水の削減努力の一環として、フラクチャリング後に地上に戻る水(Flowback Water)を処理して水を再利用する技術開発が進展している。なお、大量な水の利用は、環境派の主な攻撃材料(**)となっており、こうした点への配慮という側面もある。 ・ (**)環境派/開発反対派が指摘する主な懸念事項 ・大量の淡水使用 ・フラクチャリングによる地下水汚染、及びガスの漏洩等 15/21 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ・現在の処理技術の一つは、塩分濃度の高い(45,000ppm以上)場合に採用されるもので、Flowback Waterを圧縮し、高温蒸気化した後、冷却し、蒸留水として再利用する、「蒸溜」による水処理技術。 ・塩分濃度の低い(45,000ppm以下)場合には、逆浸透膜等を使用する。 ・Fountain Quail Water Management 社やGE Water & Process Technology社などが、蒸溜による水処理技術を保有する。 (参考1) Fountain Quail Water Management 社の技術 (2004年~) ・Flow Back 処理量は約760~950m3/日。水回収率は80~85%程度。 ・MarcellusシェールやFayettevilleシェールで実施に使用されている。 Flowback Water処理技術の進展 ②出所:Fountain Quail Water Management 社資料 参考2) GE Water & Process Technology社の技術 (2010年~) ・トレーラー積載型蒸留装置で、処理能力は273m3/日程度。 ・水回収率は98-100%。 ・使用地域ガス田はMarcellus Shale他270か所(2011年12月現在)。 ( Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 16/21 出所:GE Water & Process Technology社資料 i参考3) ハリバートン(Halliburton)社の技術 (2010年~) ・CleanWave水処理技術。 ・トレーラー積載型で、20個の処理ユニットを備え、1ユニットあたり20バレルの水を処理できる。処理能力は4,000m3/日程度。 ・各ユニットの中では電気を通すことにより、イオンを発生させて、排水中の懸濁物質を凝固させるシステム。 ・使用地域ガス田はPermian Basin(US)など。 出所:Halliburton社資料 (参考4) Siemens社の逆浸透膜技術 (2006年~) ・逆浸透膜は、海水淡水化に広く適用されている技術で、低い塩分濃度(45,000ppm以下)の処理に使用される。 ・Wyoming州のWild Turkey とMitchell DrawのCBM(Coal Bed Methane)開発に伴う随伴水処理に逆浸透膜脱塩プラントの事例などがある。 Wild Turkey plant of Petro-Canada Resources (USA) 17/21 出所:Siemens社資料 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 i2)水を使用しないフラクチャリングの検討 水を使わないフラクチャリング60年余りのフラクチャリング技術の歴史と実績を見るに、まだ主力にはほど遠い。 ① ドライフラッキング(Dry Fracturing) ・Chimera Energy 社(本社:テキサス州ヒューストン)が、水を使用するのではなく、地層下で化学反応を生じさせ、発生する高温ガスでシェール層を砕く技術を開発中。 ・技術の詳細は、特許の関係等もあり、現時点では未公表であるが環境的には安全であり、既存のシェールガスの井戸にも適用が可能であるとのこと。 ・報道によると、メキシコのシェールガス層で現在、実証中であるが、ガス産出の有効性は、水圧破砕より劣るとの評価。水源確保に課題ありとする中国でも使用を検討(Ener Geopolitics, 2012年8月31日)。 ② LPG(液化石油ガス)フラッキング ・NGL(天然ガス液)フラッキングとも呼ぶ。 ・カナダアルバータ州のガスフラック・エナジー・サービス社(GasFrac Energy Services)が広く実施。 ・プロパントをうまく圧入できるようにするために、LPGに増粘剤を添加することでジェル状にし、フラッキング流体として使用。圧入時は液体であるが、フラッキングした後Flowbackに伴い、地下で低圧になるため、LPG流体はガス相となり、生産が促進される(1段階のフラッキング当たり初期生産77%増の報告もある)。水は使わない。閉回路のシステムが必要。水圧破砕に比べコストアップ。 ・同社の研究では、圧入したLPG流体は、水を使った場合と比べて回収されるまでの時間が短いとのデータがあり、また、水を使った場合に起こるシェールとの不適合の問題が発生しにくく、環境対策上も問題ないとされている。フローバックされたLPG流体は販売し、水圧破砕に比べ10~15%のコスト増に留める。 ・これまで、カナダ西部や米国テキサス州(Eagle Ford)、コロラド州など657カ所で、約2,000回フラッキングを実施している。 出所:GasFrac Energy Services社資料 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 18/21 B(液体)窒素フラッキング ・アメリカのSuperior Well Service社、Air Products社などが、実施をしている。 ・水を使わず窒素をそのまま使う場合と、水と混ぜてFoam状で使う場合などがある。 ・いずれも水の使用量を大幅に削減できることや、Flowbackに時間がかからないなどの利点がある。生産障害も少ないとされる。 ・窒素をそのまま使う場合は、プロパントを使わないことになるが、高圧の圧入窒素ガスでフラックを行うことにより、できたフラクチャーが高浸透性を維持できる状態になると説明されている。 ・Air Products社の事例としては、カナダのMontney Shaleなどでの実績がある。 出所:Air Products社資料 0年余りのフラクチャリング技術の歴史と実績を見るに、水を使った水圧破砕がその主流であり続け 6るであろうが、水の確保や環境面への配慮からも他の選択肢も検討する必要が出てくるだろう。 . タイトオイル開発の今後 4米国の石油生産量は2008年まで下げ止まらなかった(1995年860万バレル/日、2000年800万バレル/日、2008年690万バレル/日)のだが、2009年より一転して増産(2009年740万バレル/日、2010年770万バレル/日、2011年810万バレル/日)に転じた。3年連続の増産は25年振りの快挙で、2008年の経済危機を考えると信じがたい事実である。これに大きく貢献したのが、シェールオイルの生産だ。シェールオイルの生産にもシェールガス同様に水圧破砕技術が使われる。 水圧破砕と出来た割れ目の支持材(プロッパント)が、シェールオイルの貯留岩から坑井への流路Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 19/21 @何に確保するかの鍵となる技術であることは言うまでもない。高品質なプロッパントと増加する生産レートや総推定生産量との関係をイメージ化した(図12)。高品質なプロッパントにより割れ目の開度である坑井への流路が低品質なプロッパントに比べじゅうぶんに保たれ、シェールオイル採掘ビジネスの内部収益率が上がる。 図12 水圧破砕による岩石中の流路のヒエラルキー 出所: SPE論文135584に基づき作成 ェールオイル開発の場合、油価が50ドル/バレル以上だと採算がとれることが判ってきた。ノース シダコタ州のBakken、テキサス州のEagle Ford、コロラド州のNiobraraというシェールエリアにおいて、その採掘が盛んであり、米国のシェールオイル生産は2012年には日量200万バレルを超えた。シェールオイルの増産に伴い、米国は2020年にサウジアラビアを抜いて、日量1110万バレルと世界一の産油国に踊り出るとの見通しも、2012年11月にIEAから出された。シェールが世界のエネルギー政策に及ぼす影響は計り知れない。 現在埋蔵量の大半が産油国の国営石油会社(NOC)に握られている環境下では、メジャーズ(IOC)や独立系石油会社(インデペンデント)は、新規油田開発よりも既発見油田からの回収率向上や生産効率向上を目指した技術(EOR/IOR、水平坑井,多段階の水圧破砕、坑井コントロール)の適用や非在来型資源(タイトガス、オイルサンド、タイトオイル)の開発に軸足を移している。北米ではシェールガス開発のブームが見られる。そのブームが米国内におけるガスの安値取引につながっている。反面、原油は高値で取引されていることから、状況を敏感に感じ取っている石油会社は、これまでは開発が困難であったタイトオイルに対してシェールガスの坑井仕上げ技術を適用させ、増油につなげる動きと見るのが関係者の妥当な見識である。 シェールガス開発技術の登場は、世界のシェールガス評価に繋がったのみならず、シェールや在Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 20/21 ?^でも浸透性の悪い油層(砂岩、シルト、石灰質泥岩)への開発の一手法として利用され、今後の石油・ガス埋蔵量の増加及び生産に貢献していくものと期待される。シェールや在来型でも浸透性の悪い油層の開発はガスと異なり、輸送パイプライン等インフラ投資への依存性が比較的低く、また昨今の販売価格が高いという利点にも後押しされる。 以上 ・ 伊原賢, 2011年1月14日:坑井仕上げの進化 -シェールガス開発技術のタイトオイル開発への適用-, 石油天然ガス資源情報, 石油天然ガス・金属鉱物資源機構 http://oilgas-info.jogmec.go.jp/report_pdf.pl?pdf=1101_out_e_well_completion_for_tight_oil%2epdf&id=4286 ・ 栗原正典, 2012:タイトオイル, 石鉱連資源評価スタディ2012年, 258-263, 石油鉱業連盟 参考文献 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 21/21
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2013/07/04 伊原 賢
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