ページ番号1004379 更新日 平成30年2月16日

シェール革命の自動車への影響

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レポートID 1004379
作成日 2013-09-02 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 基礎情報非在来型
著者 伊原 賢
著者直接入力
年度 2013
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ 作成日: 2013/9/2 調査部: 伊原 賢 公開可 ェール革命の自動車への影響 シ 20世紀まで資源にはならないといわれていた石油根源岩(シェール)を割ったり、溶かしたりして、北米では膨大な原油や天然ガスを取り出せるようになった。世界のエネルギー政策、産業、安全保障問題に劇的な変化を生じさせた「シェール革命」の自動車への影響について解説する。 (JOGMEC調査部、日刊工業新聞社、日経BP社) シェールというのは、書道で用いる「すずり」のような黒っぽい岩で、「頁岩」(けつがん)と呼ぶ。泥岩の一種で、1億数千万年前のシダや藻などの植物の死骸が地下に堆積し、それに圧力がかかって温度が高くなると、有機物が炭化水素に変わる。炭化水素のもとになるので「石油根源岩」という言い方もする。英語で「ソースロック(source rock)」と呼び、今、この岩の中に取り残されている油やガスを取り出せるようになってきた。 では、どれくらいの隙間にあるのかというと、10-9m(ナノメートル)、それを面積に直すと10-18㎡、そういった隙間に閉じ込められている炭化水素である。 例えば地下で100の炭化水素ができた場合、石油根源岩中に留まっているガスや石油は80%程度といわれている。残りの20%の炭化水素が地下で加えられた圧力と温度で非常に長い時間をかけて在来型の油・ガス田に移動していく。しかし、途中に“寄り道”をするので、その約10%、つまり全体の2%程度だけが在来型の油・ガス田に移動すると考えられている。この2%のうち、地上への採取分は、石油で35%といわれるので、全体に占める石油の地上採取分は0.7%ということになる(図1)。 一方、シェール層に対しては、水圧破砕(フラクチャリング)、水平坑井(すいへいこうせい)といった採掘技術が米国で確立されたことで開発が始まった。地下に宝があるとはいえ、80%×0(ゼロ)だったものが、石油で80%の7%、ガスは25%も地上に取り出せることが現実となったことは大きな驚きであり、資源開発の技術屋には大きな喜びとなった。ガスの場合、米国は大消費国で天然ガスを輸入していたが、2012年にはほぼ自給できるようになり、シェールガスが天然ガス消費量の35%ぐらいを占めるまでGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 1/5 . シェールガス/シェールオイルとは 1ノなった。この量は2012年の日本のLNG 消費量の1.75倍に相当する。 一方、最近米国でシェールオイルというものが取り出せるようになってきた。では、どれくらいのものが取り出せるのかというと、7%といわれている。では、80%に7%を掛けると、5.6%。ここで最も強調したいのは、5.6%を0.7%で割ると8になる。今まで我々は気にしていなかった、資源にはならないといわれている石油根源岩を割ったり、溶かしたりすれば、8倍の量の石油がとれるかもしれない。これがある意味でのシェールの持つインパクトなのだ。 現にシェールガスの採掘技術を応用することで、シェールから生産される軽質油(シェールオイル)が米国のノースダコタ州やテキサス州での生産急増によって、注目されている。米国エネルギー情報局(EIA)によれば、米国のシェールオイル生産量は2011年120万バレル/日、2012年200万バレル/日と急増した。軽質油はジェット燃料やガソリンが豊富に抽出できる。米国のシェール革命は天然ガスや軽質油の生産増を通じて、同国がエネルギーの宝庫になることを示唆している。 在来型の油・ガス田は炭化水素が移動したものに対し、シェールガスやシェールオイルは石油根源岩に残留しているので、両者に成分の違いはない。 出所: 各種資料より、伊原賢作成 図1 在来型の油・ガス田とシェールオイル・シェールガスの起源と生成のイメージ Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 2/5 2.ガソリン自動車 米国のガソリン自動車への影響を述べる。天然ガス自動車の動向は、参考資料1あるいは2を参照されたい。 2-1.逆オイルショックは来るか 米国は中国に台数では抜かれたが、世界第2位の自動車市場である。シェールオイルの急増産によりガソリンが安くなるとすれば、米国のクルマユーザーは強気になり、立派なクルマが嗜好される。これに呼応したクルマ作りをしないと、日本の自動車メーカーは流れに乗り遅れることとなる。 米国では原油や天然ガスを狙う掘削装置(リグ)は1800基ほどが稼働している。需給で価格が左右され下げ止まっている天然ガスに対し、国際的に金融商品化して高値がつく原油を狙うリグ数は天然ガス狙いの数を2010年に追い越した。米国では、「シェールガス革命」から「シェールオイル革命」にシフトしているのだ。シェールガスの採掘技術を応用することで、シェールから生産される軽質油(シェールオイル)が米国のノースダコタ州やテキサス州での生産急増によって、注目されている。米国エネルギー情報局(EIA)によれば、米国のシェールオイル生産は2009年から本格化したにも関わらず、2011年120万バレル/日、2012年200万バレル/日と急増した。今後の生産量予測は多くの会社が実施しているが、予測を発表して3ヶ月も経つと、それよりも高い実績が発表されるので、どの予測も信用されなくなっている。米国におけるシェールオイルの生産急増による中東やアフリカへの石油依存の低下によって、2020年までに米国の原油生産量はサウジアラビアを抜いて世界一になるという国際エネルギー機関IEAの予測もある。 原油は極めて運びやすい商品である。実際に運ばないまでも、実需に関係の薄い金融商品であるため、裁定取引によって自然に同じ価格に落ち着く。これが原油指標としての米国のWTI価格、中東のドバイ価格、欧州のブレント価格の位置付けであった。ところが、2011年頃からWTI価格はドバイ価格やブレント価格に対して、下方に5~10ドル/バレルの差で推移している。それだけ、シェールオイルの生産量の大きさが原油価格に影響を与えてしまう日が来たことを意味している。シェールオイルは軽質油に加え、天然ガスや天然ガス液(NGL)が各々全体の2割ほどを占める。NGLは極めて軽い揮発性の油でガソリンの成分に近い。このため、WTI価格を介さずに、実際に安いガソリンが出回るという形でガソリン価格を押し下げる可能性があるのだ。しかし、この可能性は北米内に留まろう。シェールオイル開発における成功の鍵は、地質データの蓄積や地下資源の所有権の自由度にあるからだ。 軽質油中心であるシェールオイルはジェット燃料やガソリンが豊富に抽出できることが魅力だ。米国にGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 3/5 ィいて「逆オイルショック」が起きるサポート材料となろう。 また、米国は極端にガソリンにかかる税金が安く、税抜きの本体価格を合計した販売価格は、ほかの国よりも大幅に安い。極論だが、ガソリンの本体価格が半分に下がった場合を想定する。税金はガソリンの量に対してかかる。とすると、税込みでは米国は4割減に対し日本は3割減だ。自動車ユーザーの消費行動に大きな影響を与えるのは、車が生活の足である米国から始まると考えられる。 -2.ピックアップトラックがターゲット 2ガソリンが安くなると、ユーザーの気持ちも大きくなる。燃費志向が強まってきた車選びから、風向き変化の可能性がある。大きい、速い、豪華なクルマが求められるのであれば、それに応じた品揃えをしておく必要がある。エコカー一辺倒ではビジネスチャンスを逃してしまうかもしれない。 米国は自動車販売台数世界一の座を中国に奪われた。それでも世界2位を占める大市場である(2011年中国1853万台、米国1304万台)。米国市場を抜きにして、日本の自動車メーカーの成功は語れない。 米国工場で「シェール革命」で沸き立つ中西部向けに何を作るかだが、安定して売れているエコカー(カムリ、アコード、アルティマほか)に集中していては、シェール革命がもたらしたチャンスを逃してしまう。 特に重視すべきは、大型のピックアップトラックだろう。シェールガス・オイルの採掘業者、農場・牧場経営者、コンサルタントほか、この地域の富裕層の生活には大きな荷台が欠かせない。それが一つの象徴(アイコン)になってしまえば、実際に荷台が必要でない人も荷台のある大型ピックアップトラックに憧れる。舗装をしていない所を走る頻度も高い。中西部はテンガロンハットをかぶり、ワークブーツを履いた人達が消費の主役である。もともと大らかな人達なのに加え、シェール景気で気が大きくなっている。著者も中西部のオクラホマ州とテキサス州に計6年住んでいた土地勘からもそう感じる。 実は、米国のベストセラー車は以前からピックアップトラックである。2013年2月の販売台数(Ford社の1位ピックアップトラック「Fシリーズ」5万4489台、GM社の1位ピックアップトラック「Silverado」4万1643台、Chrysler社の1位ピックアップトラック「Dodge Ram Pickup」2万3289台)を見れば明らかだ。これらビック3とも1位はピックアップトラックで、2位を1万台以上引き離している。ピックアップトラック3車種の合計は11万9421台で、米国でのホンダの販売台数を超えている。ピックアップトラックは単価が高い。米国メーカーの主な収益源はピックアップトラックなのだ。米国メーカーはこの「ピックアップトラック」というセグメントに力を入れているのだ。 この分野で日本メーカーは全く戦えていない。2013年2月の販売台数はトヨタの「Tundra」が7306台。日産の「Titan」は1634台、ホンダの「Ridgeline」は1301台に過ぎない。戦えない理由に、エンジンのV6Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 4/5 i6気筒)主流があげられよう。この差は米国メーカーが採用しているV8エンジンが日本メーカーにとって「リストラ対象」であり、あまり力を入れたくない分野なのだ。但し、米国ではV6ハイブリッドはV8に比べて商品力が落ちることは覚悟しなければならない。日本人にとっては、ハイブリッドのモーター分だけ上のクラスと考えるかもしれないが、米国人の排気量・気筒数崇拝が根強いことを忘れてならない。 Fシリーズ、Silverado、Dodge Ram Pickupとピックアップトラックの米国市場には磐石のヒット車種が待ち構えている。後発の日本メーカーが追いすがって存在感を示すには、ブランド構築力、デザイン力、技術力と持てる力の全てを投入する必要があろう。 「逆オイルショック」が起きれば、単価、数量とも見込める市場がこれから出現するだろう。 . 周辺業界や末端の市民生活に将来的にどのような影響が出るか 3米国では、石油輸入量の急減、天然ガス自給率の急上昇、これがシェールオイルあるいはシェールガスがもたらした一番の効果ということで、併せて石油社会からガス社会への舵切りもされている。外交面に目を向けると、米国におけるシェールオイルの生産急増による中東やアフリカへの石油依存の低下によって、米国にとって中東での軍事プレゼンス、あるいはシーレーンの防衛の重要度について取り沙汰する人も出てきており、米国の動向が注視される。 米国では天然ガス自動車の急増が見られる。また、「シェール革命」の動きがガスからオイルへシフトする中で、“逆オイルショック”に備える動きも出て来た。シェールオイルの急増でガソリン価格が下がるという見通しだ。消費者はピックアップトラックのような立派なクルマを求めよう。 「シェール革命」によってもたらされた、米国経済、ドルの復活、そして資源価格低下は、日本株に本格的な上昇(天然ガスシフトにともなう産業活性化)をもたらすであろう。「シェール革命」によって世界のエネルギー地図とマネーの流れが劇的に変化することにより、日本復活へのシナリオがそこから見えてくることに期待したい。 参考資料> <1. 日刊工業新聞社「天然ガスシフトの時代」、2012年12月、伊原賢 末廣能史 2. JOGMEC石油・天然ガスレビューVol.47 No.4「火力発電以外で進む天然ガスシフト ?天然ガス自動車、天然ガス燃料船、プラスチック材料、肥料-」、2013年7月、伊原賢 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 5/5 以上
地域1 北米
国1 米国
地域2 アジア
国2 日本
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 北米,米国アジア,日本
2013/09/02 伊原 賢
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