ページ番号1004402 更新日 平成30年2月16日

メキシコ:オイル・セクター改革の動向

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レポートID 1004402
作成日 2013-11-22 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 エネルギー一般基礎情報
著者
著者直接入力 佐藤 陽介
年度 2013
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ メキシコ:オイル・セクター改革の動向 更新日:2013/11/22 ワシントン事務所:佐藤陽介 ①エネルギー一般、⑤基礎情報 ・エンリク・ペーニャ・ニエト大統領の進めるメキシコのエネルギー・セクター改革には大きな期待が寄せられる。 ・これまでのところ、ニエト大統領は様々な改革を着実に実現させてきており、その推進力はエネルギー・セクター改革についても早くて2013年末にも実現へと導くとも言われている。 ・しかし、メキシコ議会における議論の趨勢如何によっては改革が遅れるリスクも依然存在している。 ・また、現在議論されている改革が実現(憲法の改正)されたとしても、民間企業の参入には、下位法令の整備も必要であり、その整備には更なる時間が必要である。 ・現在政権が提案している利益分与契約においては、メキシコにおける資源の所有権は引き続き国家となり、コンセッションや生産分与契約とは異なる枠組みとなるため、投資家にとってはあまり魅力的ではないかもしれない。 ・しかし、この利益分与契約の内容は政権も詳細を語らず、また、実質的な内容は下位法によって形作られるとことになるため、それまでは大いに期待を持って待つこととしたい。 .はじめに 1 メキシコは、世界で10本の指に入る原油生産国であるが、大規模なオフショア及び他の成熟油田の資源減退を背景に、2004年のピーク生産量の約390万bbl/dを達成後、その生産量及び輸出量は着実に減少してきており、2012年には約290万bbl/dまで下降してきている1。1938年にメキシコのエネルギー・セクターは国有化され、同国憲法が外国企業による炭化水素資源の探鉱、生産及び所有を禁じているために、国営石油会社であるPetroleos Mexicanos (PEMEX)に双肩にその復活がかかっている。メキシコには確認埋蔵量にして原油で103億bbl、天然ガス17.32Tcfの資源が埋蔵していると言われている。また、シェール・オイルの技術的回収資源量は、130億bblで世界第8位、シェール・ガスは545Tcfで世界第6位と言われている2。しかし、これらの多くはオフショア大水深やシェール層に存在しており、PEMEXはこれらの開発には経験や専門的技術を有した外国企業の支援が必要とも聞く。技術的な課題に加えて、政府歳入の約1/3がPEMEXへの課税によって賄われている事実は、PEMEXをして新規の探鉱や投資活動を行うための大きな負担になっているという。 このようななか、2012年に政権に就いたエンリク・ペーニャ・ニエト大統領が掲げるエネルギー・セクタ 1 http://www.eia.gov/countries/country-data.cfm?fips=MX 2 http://www.eia.gov/analysis/studies/worldshalegas/ (Table 5. Corrected version) Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - [改革には、PEMEXのパフォーマンス向上、メキシコ炭化水素セクターの外資への開放など面から大きな期待が寄せられる。本稿では、ペーニャ・ニエト大統領が進めるエネルギー・セクター改革の動向について整理し、紹介したい。 2.ペーニャ・ニエト政権のこれまでの成果 2012年12月に、ペーニャ・ニエト大統領、与党・制度的革命党(PRI: Institutional Revolution Party)、野党・国民行動党(PAN: National Action Party)及び野党・民主革命党(PRD: Party of the Democratic Party)の代表者との間で調印した政治協定、“メキシコための協定(Pacto por Mexico)3”は、メキシコにおける政治・経済・社会改革を進める上で大きな原動力となっている。この協定は、メキシコの国としての強化、経済的政治的民主主義の達成、市民の参加の達成を3本柱に、権利と自由、経済成長・雇用及び競争性、安全と正義、透明性・説明責任及び不正との闘い、民主主義という5つの分野計95項目について合意したものである。 これまでのところ、大きな成果として、教育改革、テレコム改革(競争性改革)、財政改革が達成されている。オイル・セクター改革についても、この協定に規定されており、国による炭化水素資源保有の継続、PEMEXの生産性の向上、炭化水素資源の探鉱・開発の倍増、石油精製・石油化学及び輸送分野における競争性の確保、炭化水素委員会の強化、PEMEXを中心とした気候変動対応等が合意されている。 議論は現在、政治改革の分野に移行しており、焦点になっているのは、PAN及びPRDが提案を行っている新たな統一的な選挙監視機関の創設に関する議論である。在ワシントンDCのアナリストから聞いたところによれば、メキシコには各州に選挙機関が存在しており、与党PRIは野党からの提案には反対しているという。エネルギー・セクター改革の議論は、部分的には始まっているものの、野党は政治改革で一定の合意を取り付けない限りは、エネルギー・セクター改革への本格的な議論を進める意向ではないということであり、政治改革の議論如何によっては議論が遅れる可能性もある。 PRD、PANそしてPRIは、それぞれのエネルギー・セクター改革に関する提案を行っている。これらの提案は、石油・天然ガス上流分野のみならず、石油精製、輸送、配給、電力セクターに関する改革案を含んでいる。注目されるのは、メキシコの炭化水素資源を国家に排他的としている既存の憲法が修正されるかどうかという点である。 .エネルギー分野に関する各党の提案 3Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - 3 http://consulmex.sre.gob.mx/toronto/index.php/en/press-and-culture/251 \1:PRD, PAN, PRIのエネルギー・セクター改革案の比較① 項 目 PRD PAN PRI PEMEX、CFE改革 ・PEMEX、CFE(国営電力会社)は国営会社として維持 ・PEMEX、CFEは国営会社として維持 ・詳細は語らず?・PEMEXの財務改革を行い、また、税負担を軽減 ・PEMEXとCFEに予算面運営面での自律性を付与 ・PEMEXを国家予算の管理下から外し操業面での自律性を付与 ・PEMEXへの政府歳入の税収依存を最大で10年の間に減少させる ・PEMEX取締役会から労働組合の代表を排除 ・PEMEXの税負担を軽減、コスト向けに税額から控除できる金額を増加させる ・PEMEXへの課税は今後5年間で現在の71.5%から62.5%まで引き下げる ・PEMEXの取締役会はメキシコ財務省(SHCP)及び石油産業労働組合(STPRM)からの代表者で構成する セクター改革 ・現行通り (PEMEX、CFEによる独占) ・炭化水素セクターにおける上流、石油精製、石油化学、移送、供給分野の民間企業への開放 ・炭化水素セクターにおける上流、石油精製、石油化学、移送、供給分野の民間企業への開放 ・電力セクターにおける発電所建設、操業、伝送、配給分野の民間企業への開放 契約形態 ・現行のサービス契約 ・コンセッション許可 (コンセッション、生産分与契約の禁止) 規制・セクター枠組 ・現行通り 憲法の修正 その他 ・憲法は修正しない ・炭化水素リザーブの増加、炭化水素輸出の減少、ローカルサプライチェーンの開発、生産及び精製量の増加?・CNH(炭化水素規制当局)に炭化水素の探鉱、開発のコンセッション付与の権限を付与 ・CRE(エネルギー規制当局)に発電及び配給のコンセッション付与の権限を付与 ・CREに炭化水素の精製、処理、配給、移送及び貯蔵のコンセッション付与の権限を付与 ・CNH及びCREを憲法上の独立組織として再組織化 ・メキシコ石油ファンドの創設、石油税収等の管理と再投資 ・憲法第27条の修正 ・憲法第28条の修正 ・憲法第25条の修正 ・電力セクターにおける発電所建設、操業分野の民間企業への開放・CFEは引き続き伝送と配球分野でのコントロールを保持 ・利益分与契約 (コンセッション、生産分与契約の禁止) ・詳細は語らず ・憲法第27条の修正 ・憲法第28条の修正 ・再生可能エネルギー技術及びスマートグリッドへの新規投資を行う 野党PRDは、炭化水素資源及び電力セクターに国家の排他的な役割を認めている現行憲法の修正を認めておらず、もっぱら12ないし13種類の下位法の修正により、エネルギー・セクターへの投資誘致Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 - 出典:BNamerica, euarsia group, Energy Intelligence資料から作成 1)PRDの提案内容 (祓EMEXの改革を進めようとしている。その主眼は、PEMEXやCFE(メキシコの国営電力会社、Comision Federal de Electricidad)の国家予算面及び運営面での自律性を向上させることや、PEMEXの課税負担を軽減すること(これによりE&Pへの投資余地を増加させる)により、エネルギー・セクターの改善を進めることを目指している。PRDは、提案内容とは別に、エネルギー・セクター改革に対する国民投票の実施も求めている。RRDは3党の中では政治的には左派であり、その提案も、特に国家によるお炭化水素資源の保有に関しては、最も保守的なものとなっている。 2)PANの提案内容 (野党PANは、現行憲法の第25条、第27条、第28条及び下位法の修正を提案している。PANの提案は、概して炭化水素セクターや電力セクターの国(PEMEXやCFE)の独占を解消し、民間企業からの投資や操業を認めるものとなっている(憲法第27条の修正)。PEMEXやCFEの国営会社としての地位の維持や、PEMEXの税額負担の軽減などに関してはPRDの提案との共通面があるが、特に石油・天然ガス開発に係るコンセッション契約の付与を許可すること(憲法第27上の修正)や規制当局CNHやCREの役割の強化(憲法第28条の修正)、“メキシコ石油ファンド”の創設などは、RPDや後述のPRIの提案と比べて特徴的となっている。特に、規制当局やセクターの枠組みに関しては、PRIの提案が詳細を明らかにしていないのに対し、PANは具体的な提案を行っている。まず、石油・天然ガス開発規制当局のCNH(Comision Nacional de Hidrocarburos)に探鉱・開発に係るコンセッションを付与する権限を与える一方、既存開発地域におけるPEMEXへの優先権を確保する。また、より広いエネルギー分野の規制当局であるCRE(Comision Reguladora de Energia)に、電力分野における発電及び配給に係るコンセッションの付与、炭化水素分野における精製、処理、配給、移送及び貯蔵に関するコンセッションの付与を行う権限を与える。CNH及びCREは、独立した自律した組織として再編成を行う。さらに“メキシコ石油ファンド”を新設して石油収入やロイヤルティの管理に当たらせ、探鉱・開発プロジェクトへの投資を当てられるようにするという。この“メキシコ石油ファンド”は、ノルウェーのSDFI (State’s Direct Financial Interest)4とその管理企業であるPetoroをイメージしているという。PANは、憲法第25条の修正も提案しているが、これは、国による国家開発の義務として“持続可能で低温室効果ガス排出”による旨を追記するという内容である。PANは、3党の中では政治的には右派であり、その提案も、特にエネルギー・セクターの私企業与党PRIは、現行憲法の第27条、第28条及び下位法の修正を提案している。PEMEXの税額負担軽 4 http://www.regjeringen.no/en/dep/oed/Subject/state-participation-in-the-petroleum-sec.html?id=1009 - 4 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 への開放という面で、ビジネス指向となっている。 3)PRIの提案内容 (クや財務体質の改革などは、PRDやPANの提案と共通性がある。エネルギー・セクターの開放に関しては、利益分与契約(Profit Sharing Contracts)による石油・天然ガス上流分野の私企業への開放、石油精製、石油化学、輸送及び貯蔵分野におけるPEMEXの独占の解消、電力セクターにおける発電所の建設、操業の民間企業(CFEは引き続き伝送及び配給分野へのコントロールを保持)への開放を内容としている。PRIの提案は、憲法の改正を提案している点でPRDより踏み込んでいる一方、コンセッション契約や生産分与契約を引き続き憲法上の禁止事項とする点では、PANの提案よりも後退している。気になる点は、利益分与契約の内容やPEMEX及び規制枠組みの内容であるが、PRIはこの点に関する詳細な提案を行っておらず、憲法に関する議論に後続する下位法の議論において、その内容を明らかにするものと見られる。PRIは3党の中では、中道路線であり、その提案も左右両派の意向を組み、また、エネルギー・セクター改革に必要な妥協を得るために、その提案も中道路線の内容となっている。 4.議論の見込み メキシコ議会における議席配分は、上院128議席中、与党PRIは52議席、野党PANは38議席、野党PRDは22議席であり、対して下院500議席中、PRIは207議席、PAN114議席、PRD100議席となっている5。憲法の修正には、各院の2/3以上の多数が必要になるが、与党PRIはいずれの院においても単独多数に達していないため、野党との連合が必要となる。 下表は、各要素について各党の立場を整理したものだが(◯は賛成、?は反対)、“メキシコの協定”の締結に見られる通り、エネルギー・セクター改革の必要性については各党の間でコンセンサスができあがっていると言える。憲法改正を中心とした改革の必要性については、PRDと、PAN及びPRIの間で分断が生じているが、PANとPRIとの間では、オーバーラップする部分も見られ、両者の相反する部分はPAN ◯ ◯ ◯ ◯ ◯ PRI ◯ ◯ ◯ ? ◯ 2:PRD, PAN, PRIのエネルギー・セクター改革案の比較② 表契約形態に関する論点に集約されるとも思える。 PRD ◯ ? ? ? ? 5 http://www.fas.org/sgp/crs/row/R42548.pdf 項 目 PEMEX、CFE改革 エネルギー・セクター改革 (民間企業への開放) 契約形態 (民間企業の資源開発) 契約形態 (コンセッションの可否) 憲法の修正 (修正の可否) 出典:各種資料から作成 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 5 - PANとPRIが連合した場合には、上院で128議席中90議席、下院で500議席中321議席を占めることができ、憲法改正に必要な2/3以上の多数を獲得することになる。つまりは、PANとPRIとの間で、契約形態のあり方についてどのような議論がなされるか、PRIがPANに対してどの程度譲歩を行うかということにかかってくるだろう。この点、PANは、現在行われている政治改革において、PRIから一定の譲歩を得ることを目指しているのは前述のとおりである。 アナリストの間では、2013年中にエネルギー・セクター改革に係る憲法改正が実現すると予想する者も多い。他方で、その実現を懐疑的に見る者もいる。2008年の改革が民間企業への開放を目的とするものであったのに対して、改革は多くの重要な成果を達成したものの、その最大目標を達成することができず期待を裏切られたからである。しかし、あるアナリストは2008年の改革時点を比べて議論に関する構造的な変化が生じていると述べる。1つは、2008年の改革時点では、与党はPANであり、改革に反対したのはPRI(及びPRD)であったということである。現在改革を推進しているのはPRIであり、PANも依然として市場指向のセクター改革を追求しているために、2008年時点とは事情や国内全体の構造が全く異なっているという。もう一つは、これまでニエト政権が進めてきた改革のスピードである。政権は、2012年12月の就任以来、教育改革、テレコム改革などの重要アジェンダを数ヶ月で達成してきているという事実は、政権が議会対策の上手く行っていることや“メキシコの協定”締結に見られるような各党の改革を求める意向の強さを示すものと言えよう。 では、憲法改正が無事成功したとして、直ちに民間企業や外資系企業がオイル・セクターに参入できるかというと、依然多くの課題がある。まず、各党が提案しているとおり、改正された憲法を施行するための下位法の整備が必要となる。特に、PRIが提案している利益分与契約に関しては、その内容がほとんど不明であり、政権も今後議論を行う下位法の中で具体化を行っていくとみられる。また、税制やロイヤルティの設定、公開入札を行うための制度設計、運営を行う規制当局の役割なども今後詰めていかなくてはならない課題である。憲法改正が2013年中に実現とするとして、これら下位法の提案は2014年前 PRIが提案している利益分与契約に対して、コンセッションや生産分与契約を期待した投資家は残念に思っていることと思われる。しかし、この利益分与契約が如何なるものなのかについては、PRIは多くを語っていないため、ことの判断は今後明らかになる下位法の内容を見てからも遅くはないだろう。現時点において、この利益分与契約がどのようなものかについてはわからないが、アナリスト達は想像を巡らしている。1つには、資源の所有は引き続き国家だということである。メキシコでは依然として資源をナショナルトレジャーとする意識が特に労働組合や左派に根強いと聞く。この点、ペーニャ・ニエト大統領は、Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 6 - 半にはなされると予想する声もある。 .利益分与契約について 5?くまで改革の遂行を優先して譲歩を示し、利益分与契約なるものを提案したようにも見える。この中では、生産された石油・天然ガス資源は、国家が販売し、その利益を国家と企業がシェアすることになるが、企業は石油・天然ガス資源を直接引き取っていないので、国の財産である天然資源は、民間企業、特に外国企業の搾取の対象にはならないという論法が成立つ。 この利益分与契約について、イラクのサービス契約の類似物と指摘する者もある。イラク憲法は国家の資源は全て人民に帰属することを宣言しており、イラク中央政府は生産分与契約や外国企業による地下資源の所有を憲法違反と述べている。現在、イラク中央政府との石油契約はサービス契約となっており、そこでは、生産された生産物の単位あたりの固定報酬が定められ、企業は生産量に応じた報酬を受け1:リスクサービス契約の特徴(一般論) 図取ることになっている6。 資源の配分探鉱費用の回収国家の取り分開発費用の回収企業の報酬操業費用探鉱投資開発投資投資財務出典:IFP Training資料 時間 ●リスクサービス契約(Risk Service Contracts)の概要・企業は自らのリスクで、国営石油会社の代理として探鉱を行う ・企業は生産に至った場合には費用の償還と報酬を得る ・生産物は国営石油会社に帰属し、企業は合意された条件の下で生産物の一定量の購入を許可される ・企業は国営石油会社のコントロールの下で操業を行い、国営石油会社は開発又は生産が開始された時点でオペレーターとなる場合がある ・国営石油会社は設置物を所有し、企業はそれを使用する権利を得る ・リスクサービス契約が生産分与契約と根本的に異なるのは、報酬を現物ではなくキャッシュで得る点である しかし、別の論者が述べるように、この利益分与契約は生産分与契約、あるいは(リスク)サービス契約 との類似点を有しているように考えられる。生産分与契約では概して、国家又はその国営石油会社が地下資源を保有し、コントラクターとしての企業に単独あるいは国営石油会社との共同で探鉱・開発を行わ 6 多くの企業はイラク中央政府とのサービス契約に利益性の面から不満を抱いており、イラク領域内のクルド自治政府との生産分与契約を締結する動きが最近では見られる。イラク中央政府はクルド自治政府との契約を憲法違反と宣言しており、クルド自治政府及び契Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 7 - ケる。国家(国営石油会社)は、企業との間で生産物を配分し、企業は、コスト原油を受け取ることによって探鉱・開発費用を回収し、利益原油を受け取ることによって利益に代える。この点、利益分与契約では、企業による生産物の所有は認められそうもないために、企業は代わりに国家が原油の販売によって得られた利益の配分を受けるということになりそうである。生産物現物ではなく、キャッシュによって配分を得時間 国の取り分企業の利益探鉱費用の回収企業の利益開発費用の回収企業の利益費用上限操業費用利益原油コスト原油るという点がポイントになろう。 2:生産分与契約の特徴(一般論) 図資源の配分探鉱投資開発投資投資財務出典:IFP Training資料 ●生産分与契約(Production Sharing Contracts)の概要 ・国家は鉱業権を保持するか、リザーブを採取するために企業と契約を行うその国営石油会社に委ねる ・企業は自らのリスクで投資と探鉱を行い、ディスカバリィの開発決定後、開発投資と生産を行う ・国営石油会社は、施設を所有し、開発フェーズに参加することもある -企業は、コスト・オイルと呼ばれる生産分のシャアによって費用が償還される -企業は、プロフィット・オイルと呼ばれるコスト・オイル間引き後の生産物のシャアによって報酬を得る 仮に利益分与契約が生産分与契約の亜種のようなものになるとすれば、今後そのコスト回収条件や国家へ配分される利益(生産分与契約でいう利益原油)がどの程度になるかが問題となろう。また、企業としてはリザーブのブッキング(従事している鉱区の埋蔵量を財務諸表等に含めて対外的に発表すること。リザーブをブッキングすることで企業は投資家に対して企業価値を示すことができる。)が可能となるかが気になる点である。この点、2013年10月25日に開かれたPEMEXの第3四半期決算説明会において、同財務幹部であるロドルフォ・カンポス(Rodolfo Campos Villegas)氏が、このメキシコのケースにおいてもリザーブのブッキングが可能となる見通しを示している7。また、その場合には政府又は国家が炭化 約した国際企業を批判、紛争となっている。 7 http://www.ri.pemex.com/files/content/MEXP-B-Transcript-2013-10-25T15_00.pdf - 8 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 痩ニの参加探鉱費用の原価償却企業の利益開発費用の原価償却税金ロイヤルティ操業費用水素資源の所有権を維持することになると付け加えた。このことは、投資家及び企業にとっての朗報であるのみならず、PRIからより市場志向の改革を求めるPANに対するシグナルともなったであろう。 3:(参考)コンセッション契約の特徴(一般論) 図資源の配分時間 ●コンセッション契約(Concession Contracts)の概要 ・国家は、地下資源の探鉱又は採取の権利を企業に与える ・企業は自らのリスクで投資と探鉱を行い、成功した場合には開発・生産を決定する -企業は、生産物(地表に現れた炭化水素資源)を所有できる -企業は、投資を行った全ての施設を保有できる -企業は、国家に対してロイヤルティ及び税金を支払う .むすびに 6探鉱投資開発投資国家の参加投資財務出典:IFP Training資料 これまでメキシコにおけるオイル・セクターの改革についての動向を見てきた。オイル・セクターを民間の投資に開放するという試みは、同国では何年にもわたって議論されてきたが、僅かな進展しか実現できなかったという歴史がある。そのことから今回の改革についても懐疑的な者も多い。確かに議会における政治的な議論の趨勢が及ぼす影響や根強い資源ナショナリズムといったリスクも存在しているのは事実である。しかし、これまでのニエト政権が進めてきた改革はほんの数ヶ月内でのできごとであり、改革のためのコンセンサス形成に至る過程やその推進力には目を見張るものがある。 仮にオイル・セクターへの民間企業の参入が認められることになっても、利益分与契約の内容を詰めることやセクターの編成、公開入札のための制度設計などなすべきことは多い。現在のところ状況を静観するしかないが、今後の動向について大きな期待をもって果報を待ちたい。 (了) Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 9 -
地域1 中南米
国1 メキシコ
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 中南米,メキシコ
2013/11/22 佐藤 陽介
Global Disclaimer(免責事項)

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