欧州におけるLNGバンカリングの現状(船舶用燃料としてのLNG)
レポートID | 1004422 |
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作成日 | 2014-01-24 01:00:00 +0900 |
更新日 | 2018-02-16 10:50:18 +0900 |
公開フラグ | 1 |
媒体 | 石油・天然ガス資源情報 1 |
分野 | 基礎情報 |
著者 | |
著者直接入力 | 永井 一聡 |
年度 | 2013 |
Vol | 0 |
No | 0 |
ページ数 | |
抽出データ | 更新日:2014/1/20 調査部:永井 一聡 欧州におけるLNGバンカリングの現状(船舶用燃料としてのLNG) (各社ホームページ、各種報道、他) ○IMO(International Maritime Organization:国際海事機関)は、海洋汚染防止条約(Marpol条約)による船舶からの排出ガス規制を定めている。SOxの排出規制海域(Emission Control Area)として北海・バルト海が追加され、2015年からはその規制が強化される計画となっている。 SOx排出規制は燃料油中の硫黄濃度によって定められていることもあり(ただし、スクラバーによる排出ガスの清浄化も可)、クリーンな燃料であるLNGが注目されている。 ○また、北米・欧州においては、LNGは重油・軽油と比較して、燃料価格面でも優位性を持っている。 ○船舶用燃料としてのLNG(LNGバンカリング)は、LNGタンカーにおいては約40年の歴史を持っているが、それ以外の一般船舶においてもノルウェーを中心に既に利用されており、現在約40隻のLNG燃料船が就航している。 ○世界的には、船舶用燃料としてのLNGの需要は、2020年に400~700万トン/年に増加していくとの予測もされており、2030年には3000万トン/年以上に拡大していくとの見方もある。 ○欧州においては、排出規制への対応、LNG基地の効率的利用などの面からもLNGバンカリングを進めていく動きが活発化しており、EUとしての支援も行っている。 ○今後、欧州において、LNGバンカリング用のインフラ整備も進んでいく見込みで、LNG燃料船も増加していくと思われる。 ○一方、日本においては、SOxの排出規制の強化は当面見送られることとなっており、LNGの価格優位性も乏しいことから、現時点においては北米・欧州ほどの進展は起きない可能性が高い。しかし、船舶は国際的なものでもあり、LNG燃料船導入へ向けた準備は必要なことであると考えらえる。なお、日本国内初のLNG燃料船(タグボート)の建造が2013年12月に決定されている。 .IMO(International Maritime Organization:国際海事機関)の排出規制について 1(1)排出規制海域(Emission Control Areas) IMO(Internationa Maritime Organization)は、海洋汚染防止条約(Marpol条約)にて、船舶からの窒素酸化物(NOx)および硫黄酸化物(SOx)の排出に規制を行っている(SOxについては燃料中に含まれる硫黄濃度によって規制される)。また、それぞれについて、「一般海域」と「排出規制海域(Emission Cotrol Areas:ECA)」の指定を行い、排出規制についても別々に設定している。NOxのECAについては北米地域が、SOxのECAについては北米地域および北海・バルト海が指定されている。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 1 ? i出所:各種資料よりJOGMEC作成) 図1 IMO排出規制地域(ECA) 2)NOxおよびSOx排出規制値 ( IMOが定めるNOxおよびSOxの排出規制値を図2、図3に示す。 NOxの排出規制値(図2)は、エンジン回転数による関数で規定され、船舶の建造年によっても区別されている。Tier Ⅰは、2000年以降に建造された船舶に対し一般海域を含めた全ての海域で適用(ただし、1990年以降に建造された船舶の一部にも遡及して適用)される。Tier Ⅱは、2011年以降に建造された船舶に対し全ての海域で適用される規制値である。Tier Ⅲは、2016年以降に建造された船舶を対象とするが、NOxのECA内を航行する場合のみに適用される。 一方、SOxの排出規制については、燃料中に含まれる硫黄含有量によって定められている(図3)。その対応が特に懸念されているのは、2015年1月から有効となるECAにおける0.1 wt%規制、及び2020年1月から有効となる全海域を対象とした0.5 wt%規制(ただし適合する燃料の入手可否状況の調査結果により2018年に再度その導入時期を見直し)である。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 2 ? 上記の通り、非常に厳格化される排出規制であるが、対応策は以下のようなものになると考えられている。 NOxは、その発生メカニズム上、燃焼条件に起因する部分も大きく、規制への対応策としてはエンジンGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 3 ? 図2 IMOのNOx排出規制値 IMOのSOx排出規制値 図3 (燃料油中の硫黄濃度規制値) 3)排出規制に対する対応策 (フ設計変更や燃焼調整、水噴射や排ガス後処理などが挙げられる。 一方、SOxの排出規制については、基本的には低硫黄燃料を入手・使用することとなるが、排出量が同等となるるものであれば代替方法におる対応も認められており、スクラバー等による排出ガス清浄化も可となっている。 低硫黄燃料として第一に挙げられるのは軽油であるが、価格面では現状多くの船舶で使用されている重油よりかなり高い。従って、現状、2015年のSOx規制強化に対しては、重油燃料の使用を継続しながらスクラバーによる対応を取る船舶が多いと見られている。しかし、スクラバーに対しては、いまだ成熟した技術ではないとされ、性能面等で疑問を投げかける声もある。 このような状況の中、低硫黄燃料として注目されているのがLNGである。ご存じの通り、LNGは非常にクリーンな燃料(図4参照)で、上記排出規制に対しても、排ガスの後処理を必要とすることなく対応可能である可能性が高い。また、価格面でも、重油・軽油に比較して優位性を持つと思われる(表1)。しかし、現状、一般船舶がLNGを燃料として使用できるインフラが整備されている状況ではなく、船舶自体もLNGを燃料として使用するための設備投資が必要であるのは言うまでもない。 しかし、インフラ整備と需要側である船舶の対応は、にわとりと卵の関係でもある。欧州において、LNGバンカリングを進める動きが活発化している点については後述する通りである。 つまり、現状考えられているSOxの排出規制強化に対する対策として、①重油使用+スクラバー、②軽油使用、③LNG使用の3つが挙げられるが、それらの特徴を表2に記載した。 図4 LNGの環境性(重油と比較して) Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 4 ? ※2013年の価格を元に想定。アメリカのLNG価格は液化コスト3ドル/MMBTUとした 表2 SOx排出規制への対応策比較 重油+スクラバー メリット ・燃料コストは比較的安い ・バンカリングのインフラは整備されている デメリット・ 課題 ・スクラバーを増設する必要あり(追加コスト、船体スペース) ・NOxECA規制をクリアするための対応が必要 ・スクラバーの性能(技術成熟度)に疑問の声もあり 軽油 ・追加設備なしでSOxECA規制値をクリアできる ・バンカリングのインフラは整備されている ・燃料コストは最も高い ・NOxECA規制をクリアするための対応が必要 ・長期的に軽油の供給がひっ迫する可能性 (さらに燃料コスト増) LNG ・追加設備なしでECA規制値(NOx・SOx)をクリアできる ・北米・欧州では燃料コストが最も安い ・特殊かつ大型の燃料タンクが必要 ・バンカリングのインフラが未整備 ・船舶の建造コスト高 ・LNG(-160℃)の取り扱い .船舶用燃料の市場規模とLNGバンカリングの需要見通し 2 図5に、船舶用燃料の需要推移を示す。現在船舶用燃料として使用されているのは価格の安い重油がメインとなっている。需要の動きとしては横ばいからやや微増傾向で、船舶用燃料需要はこの先もやや増加していくと見られている。現在、船舶用燃料としてのLNGの利用は非常に少ないが、仮にこの船舶用燃料需要が全てLNGに置き換わったとすると、約1億8千万トン/年(LNG換算)の市場規模となる。 また、世界の天然ガス・LNGの需要の実績・見通しを図6に示す。 表1 地域別燃料別価格比較 重油 軽油 LNG 欧州 14~15 19~20 10~13 北米 日本・アジア 14~15 18~20 7~8 15~16 20~21 15~17 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 5 ? i出所:Energy Balances of Non-OECD Countries) 図5 船舶用燃料需要推移(石油換算) (出所:「World Energy Outlook」((IEA), 資源エネルギー庁委託調査「アジア・ 太平洋及び大西洋 市場の天然ガス需給動向調査報告書」(みずほ情報総研)のデータを用いてJOGMEC作成) 図6 天然ガス・LNG需要見通し Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 6 ? 船舶用燃料としてのLNG需要見通しは、船級協会を含め、多くの機関で予測が行われている。ノルウェー船級協会は、2020年に全世界で400~700万トン/年になると予測している。一方、BGは欧州/ 北米市場として2030年に3200万トン/年に、CERAについては2030年に全世界で6500万トン/年にまで拡大すると予測している。 しかし、海上における排出規制の進展の状況(特に、今後新たにECAとして指定される地域がどこまで増加するか)や、バンカリング用の小規模LNG基地などインフラ面での整備状況によって、需要拡大の規模も大きく左右される可能性がある。 図7 船舶用燃料としてのLNG需要予測 .LNGバンカリングの現状と欧州における動き 3(1)LNGバンカリングの現状 LNGもしくは天然ガスを燃料として船舶を航行させること自体は新しいことではない。LNGを輸送するLNG船(LNGタンカー)では、40年以上前からLNGのBOG(ボイルオフガス)を燃料として使用している。しかし、陸上輸送用車両も同様であるが、LNGタンカー以外の一般船舶ではほとんどLNGを燃料として使用されていないのが実情である。マイナス160℃という超低温の液体を取り扱うこと自体が非常に特殊なことで、燃料タンクやバンカリング用インフラなど設備面でほとんど整備されていないためである。 現在、LNGタンカー以外でLNGを燃料として使用するLNG燃料船は、世界で約40隻が主にノルウェGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 7 ? [で運行されている。ノルウェーでは、NOx排出に対する規制・税金が厳しく、かねてよりLNGを船舶用燃料として利用することが注目され、小規模配給用のLNG基地も整備されている。 そして、上述の通り、欧州・北米で輸送用燃料(陸上・海上)としてLNGを利用することに向け、その動きが活発化してきている。欧州のLNG燃料船の導入はやはり北海・バルト海が中心であるが、地中海側欧州でもLNG燃料船の導入に関する検討やバンカリング用小規模LNG基地の計画が起ち上がってきている。陸上車両についてもEuro 6の規制が導入され、船舶へのIMO規制と合わせて排出規制が厳格化しているため、クリーンな燃料であるLNGを利用しようと大規模なLNG受け入れ基地の建設計画とともに、周辺での配給用小規模LNG基地の建設計画が進められている。 また、欧州は経済低迷が続きガス需要が減少しており、LNG基地の稼働率は現状極端に低くなっている。LNGバンカリングの増加は、これらのLNG基地の稼働率を改善し効率的に活用していくことにも寄与する。天然ガス・LNGは、発電部門ではより安価な石炭にシェアを奪われているが、輸送用燃料でメインに利用されている石油製品(重油・軽油)に対しては、環境性の面でも経済性の面でも優位性を持っていると考えられている。 (出所:各種資料を元にJOGMEC作成) 図8 欧州の大規模LNG基地 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 8 ? i2)LNGバンカリングのスキーム 船舶用燃料としてLNGを活用していくためには、インフラ構築は欠かせないものとなっている。 現在ノルウェー等で行われているバンカリングスキームは、小規模LNG分配基地を活用しつつLNGローリートラックから船舶へLNGを積み込むことが多いようである。また、LNGバンカー船(船舶用の燃料補給船)も就航しており、LNGバンカー船からの船舶間移送(Ship to Ship:STS)も行われている。LNG基地からの直接のLNG供給ももちろん考えられる。 今後LNGバンカリングが進んでいくためには、そのためのインフラ整備は欠かせない。各国各地域において、バンカリング用の小規模LNG基地・分配用LNG基地建設の検討・計画を進めている。 図9 LNGバンカリングの供給スキーム 図10 LNGローリートラックを利用したLNGバンカリング作業 (出所:ノルウェー船級協会) Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 9 ? i3)各国・各地域の動き ①欧州TEN-Tプロジェクトによる支援 欧州TEN-T(Trans- European Transport Networks)プロジェクトとは、EU域内の交通インフラ(鉄道、道路、空港、水運、および関連システム等)について、各国ごとに分断・不統一となっているネットワークを再整備し、EUの国際競争力強化のための統合化・効率化された交通インフラの構築を目指すものである。単年度・多年度計画それぞれにおいて、融資・支援するプロジェクトを公募・採択し、資金面等で支援を行っている。 2012年度の公募・採択では、7件のLNGバンカリング関連プロジェクトに対し、合計1.05億ユーロを支援することが決定した。EUとしてLNGバンカリングの導入・発展に対して支援する姿勢が見られる。 ○2012年のTEN-T支援対象プロジェクト ・バルト海におけるLNGバンカリングプロジェクト ・ロッテルダムGate基地周辺におけるLNG分配供給基地建設 ・フランスRoscoff港におけるLNGバンカリング検討 ・地中海スペイン沿岸域でのLNGバンカリングバリューチェーン構築検討 ・イベリア半島北西部でのバンカリング用LNG分配基地開発 ・ライン・マイン・ドナウ運河におけるLNGバンカリング構想 ノルウェーでは2000年にLNG燃料船(フェリー)が初めて就航しており、現在既に40船程度のLNG燃料船が運航されている。このLNG燃料船は、旅客/カーフェリー、タグボート、タンカー、漁船など、様々なタイプの船舶となっている。現在もっとも燃料船の導入が進んでいる国である。 このようにLNG燃料船の導入が進んだ背景には、ノルウェーにおける船舶への厳しい排出規制がある。NOx排出に高い税金がかけられたことによって、産業界ではNOx基金という仕組みも起ち上げられた。これは、各事業者らが出資する基金から、NOx排出削減に資する投資に対して融資が行われ、NOx削減を果たせば結果的に免税となるというものである。 このような背景もあり、ノルウェー国内では小規模LNG設備を含めたインフラ整備も進んでいる。ノルウェー国内には、大規模なLNG液化基地であるSnohbit液化プラントの他に、国内の地域需要向けの小規・イギリスのバイオLNG供給構想 LNGバンカリングで先駆けるノルウェー ②Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 10 ? ヘLNG液化基地も4箇所存在している。また、分配用の小規模LNG基地も約40が建設されている。 今後もさらにLNG燃料船の導入と拡大が進んでいくと考えられる LNGインフラ整備で連携するバルト海沿岸地域 ③ バルト海はIMOのNOx排出規制地域(ECA)に指定されていることもあり、船舶の排出ガス対策は喫緊の課題である。バルト海の9港と船主らを含む産業界が連携し、バルト海におけるLNGバンカリングのためのインフラ整備を目的としてプロジェクトを起ち上げている。このプロジェクトはTEN-Tから245万ユーロの融資を獲得している。 バルト海では大規模LNG受入基地の建設計画(図11)とともに、バンカリング用の小規模LNG基地の建設も進めようとしている。プロジェクトの中で、これら小規模LNG基地の運営会社の起ち上げも計画されている。 また、既に2013年1月スウェーデンでLNG燃料船(フェリー)が就航し、ストックホルム港でLNGバンカー船による船舶間移送(STS)も行われている。 (出所:Baltic Ports Organization) 図11 バルト海のLNG受入基地 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 11 ? Cその他の欧州地域におけるLNGバンカリングの動き ベルギーでもLNGバンカリングの動きが活発化しており、既にLNGを燃料とするバージ船が運航中である。アントワープ港はLNGバンカリング用LNG基地として2015年に操業開始予定である。 オランダでは、「Green Deal」プロジェクトにおいて、2015年までに50隻のLNG燃料船導入を目指している。Gate基地隣接地では、Gate基地からパイプラインでLNG供給を受ける小規模LNG基地の建設が計画され、バンカリング等分配用のLNG基地として操業することとなっている。 また、ドイツにおいてもハンブルグで2015年にLNGバンカリング基地の操業計画が起ち上っている。 TEN-Tプロジェクトで採択された中でも、スペイン・フランス沿岸におけるLNGバンカリングの実現性調査を行う計画があるなど、各地域でLNGバンカリング導入に向けた動きが見られている。 ロシアの天然ガス生産者Gazpromも欧州バルト海地方でのLNG燃料供給事業へ参画する意思を表明している。これは船舶用・陸上車両用の燃料供給ともに視野に入れているようである。バルト海沿岸国に小規模LNG液化基地の建設についても計画していると述べている。 ロシアGazpromも欧州LNG燃料事業へ ⑤図12 Gazpromのバルト海におけるLNG燃料供給事業計画 (出所:Gazprom) Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 12 ? ネ上 4.日本における排出規制とLNGバンカリングに対する動き ここで日本におけるLNGバンカリングに関する動きについても少し述べておく。 日本においては、LNG燃料船の導入までは至っていないが、これに向けた検討は進められている。 なお、IMOの排出規制に対して、排出規制海域(ECA)の設定の必要性についての検討(「船舶からの大気汚染物質放出規制海域(ECA)に関する技術検討委員会」が2010年から2013年にかけて行われている。この委員会としての結論は、「現時点ではECAを設定する必要性があるとは判断されない」との結論であり、日本の海域におけるECA指定は見送られることとなった。ただし、「国全体としての対応に見直しああった場合などには、ECA設定の必要性について改めて検討すべし」としている。 一方、LNG燃料船の導入については検討が進捗中で、2012~2013年に国土交通省が主管となり、「天然ガス燃料船の普及促進に向けた総合対策検討委員会」が開催されている。この流れを受けて、2013年12月、国内初のLNG燃料船(タグボート)の建造が決定した。このタグボートはLNGと重油の二元燃料(デュアルフュエル)となっているようである。 ・LNG燃料船は現在ノルウェーを中心に40隻程度が就航している。 ・船舶の排出規制強化とLNGの価格優位性から、世界的には北米・欧州で今後LNG燃料船の導入が進んでいくと思われる。 ・2020年までに、LNG燃料船は1000隻に増加、船舶燃料用としてのLNGの需要は400~700万トンになるとの見通しもなされている(ノルウェー船級協会)。 ・欧州においては、EUとしてこれを支援する動きが見られ、各国・各地域でLNG船導入に不可欠なインフラ(小規模LNG基地、など)の整備も進んでいく。 ・日本では、現状排出規制海域(ECA)の設定はなく、燃料価格面でもLNGに優位性が乏しい。 ただし、船舶は国際的なものであり、導入へ向けた準備は必要と考えられる。 実際、日本国内でもLNG燃料船導入に向けた検討は進められており、国内初のLNG燃料船(タグボ.まとめ 5ート)の建造も決定している。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 13 ? |
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