原油市場他:ウクライナ問題で上昇するも、米国原油在庫増加と中国経済減速懸念で下落する原油価格
レポートID | 1004436 |
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作成日 | 2014-03-17 01:00:00 +0900 |
更新日 | 2018-02-16 10:50:18 +0900 |
公開フラグ | 1 |
媒体 | 石油・天然ガス資源情報 1 |
分野 | 市場 |
著者 | 野神 隆之 |
著者直接入力 | |
年度 | 2013 |
Vol | 0 |
No | 0 |
ページ数 | |
抽出データ | 更新日:2014/3/16 調査部:野神 隆之 原油市場他:ウクライナ問題で上昇するも、米国原油在庫増加と中国経済減速懸念で下落する原油価格 (IEA、OPEC、米国DOE/EIA他) ① 米国では製油所が春場のメンテナンス作業シーズンに突入したことに伴い原油精製処理量が低迷するとともに石油製品の生産も鈍化した。このためガソリンや留出油の在庫も伸び悩む傾向が見られる。ガソリン在庫は平年幅の上限付近の量となっているものの、留出油在庫は平年幅の下方付近に位置する水準となっている。一方原油については、製油所での受け入れが不活発になっていると見られる他、国内生産が堅調であることもあり、在庫は増加傾向となっており、量としても平年幅を超過する状態である。 ② 2014年2月末のOECD諸国推定石油在庫量の対前月末比での増減は、原油については、米国と欧州ではほぼ横這いとなった一方で、日本においては春場の製油所メンテナンス作業シーズン突入を前にして製品生産を活発化させるべく製油所での原油精製処理活動が上向いたことから、OECD諸国全体としても原油在庫は減少しており、その結果量としては平年幅上限付近に位置している。製品在庫については、欧州では前月末比で微減にとどまったが、米国では原油精製処理量の減少に伴い石油製品の生産活動が不活発になったことから、また、日本においては冬場の灯油需要期であったことから、両地域では石油製品在庫が減少、結果としてOECD諸国全体としても石油製品在庫は減少となり、平年幅下限付近の量となっている。 ③ 2014年2月中旬から3月中旬にかけての原油市場においては、3月初めに至るまでは、EIAによる米国石油統計におけるクッシングでの原油在庫減少に対する市場の観測や実際の当該在庫の減少に加え、ウクライナのクリミア自治共和国に対するロシアの支配強化の動きに併せた軍事介入の可能性を巡る、ロシアと欧米諸国等との対立の激化に伴う、市場でのロシアからの石油供給途絶懸念の増大により、原油価格は上昇傾向となり、2月14日には1バレル当たり100ドル前後であったWTIは3月3日朝の取引では105ドルを超過する場面も見られた。しかしながら、その後はロシアのクリミア自治共和国に対する軍事介入の可能性に対する市場の懸念が低下したことに加え、米国での原油在庫の増加や中国での輸出額減少等が、原油価格に下方圧力を加えた結果、WTIは3月中旬には100ドルを割り込むこととなった。 ④ 今後の石油市場においては、製油所のメンテナンス作業シーズンに伴う原油精製処理量の低迷と不活発な原油購入が続くことが、当面原油相場に下方圧力を加えるものの、ウクライナのクリミア自治共和国における住民投票の実施とそれを巡るロシアと欧米諸国との対立の激化、そしてそれに伴う市場でのロシアからの石油供給途絶懸念の高まりに加え、4月に入ると夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期が市場関係者の視野に入ってくるとともに製油所でのメンテナンス作業も峠を越えてくることにより原油購入が活発化し始めると見られることから、これらの面で原油相場に上方圧力が加わりやすくなってくるものと考えられる。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 1 ? . 原油市場を巡るファンダメンタルズ等 2013年12月の米国ガソリン需要(確定値)は前年同月比3.4%程度増加の日量868万バレルと速報値(同880万バレル、前年同月比4.9%程度の増加)から下方修正された(図1参照)。12月のガソリン需要(速報値)の算出の際に同国のガソリン輸出量が9~10月時点の確定値(この時のガソリン輸出量は日量46~63万バレル程度、平均すると同56万バレル程度であった)が暫定的に利用されたと見られるものの、実際の12月のガソリン輸出量(確定値)が日量77万バレルと、暫定値を日量21万バレル程度上回っている旨判明したことから、その分を速報値のガソリン需要から差し引いた(つまり、本来輸出に計上するべき量が暫定段階での輸出量の過小評価で米国国内需要に計上されたものを最終的に輸出に振り替え直した)ことが一因となっていると考えられるが、それでも当該需要は2013年9月(この時は前年同月比4.2%程度の増加)以来の高い伸びとなった。ただ、これについては、米国経済がそれなりの成長を見せている(2013年10~12月期の同国国内総生産(GDP)は前期比年率2.4%増加(改定値ベース)であった)ことを反映しガソリン需要が伸びているといった部分もあろうが、前年同月時に米国経済不振(2012年10~12月期のGDPは前期比年率0.1%の増加と2011年1~3月期(この時は同1.3%低下)以来の低い伸びであった)の影響から、この時のガソリン需要が前年同月比で3.4%程度減少したことへの反動といった側面もあると考えられる。他方、2014年2月の同国ガソリン需要(速報値)は日量835万バレルと前年同月比で0.8%程度の減少となったが、これは、1月に引き続き2月も、しばしば米国に寒波が襲来し気温が平年を割り込む(図2参照)とともに降雪をもたらしたことにより米国民の多くが外出に伴う自動車運転を控えたことによるものと考えられる。一方、2014年2月に入り、製油所では春場のメンテナンス作業シーズンに突入するとともに原油精製処理量が低迷(図3参照)したことに併せガソリン生産量も抑制された(図4参照)一方で、寒波の影響で同国のガソリン需要も1月のそれからそう離れない水準で推移したことから、当該製品在庫は減少傾向とはなったものの、平年幅の上限付近の量となっている(図5参照)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 2 ? lobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 3 ? 2013年12月の米国留出油需要(確定値)は前年同月比12.0%程度増加の日量395万バレルと速報値(日量363万バレル、前年同月比3.0%程度の増加)から大幅に上方修正されている(図6参照)。12月は米国北東部においてしばしば気温が平年を割り込んだことから、暖房用の留出油需要が発生したと見られる他、ガソリン同様米国経済不振で2012年12月の同国留出油需要が前年同月比で8.4%程度の減少となったことへの反動の影響もあると思われる。また、2014年2月の同国留出油需要(速報値)は前年同月比3.4%程度減少の日量392万バレルとなっている。1月に引き続き寒波の襲来で気温が低下したことに伴う暖房用需要の増加、及び米国の留出油輸出量の下方修正の可能性(速報値の段階では2014年2月は日量128万バレル程度の留出油を米国は輸出したと推定されるが、これは、EIAが2013年10~11月の留出油輸出量(日量127~129万バレル)を暫定的に使用した結果によると思われる一方で、2013年2月の実際の留出油輸出量は日量83万バレルと、前年10~11月の当該製品輸出量(同105Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 4 ? `106万バレル)から相当程度の低下を示していることからすると、2014年2月の実際の米国からの留出油輸出も暫定値程の数量には到達しない、つまり当該輸出量が下方修正されることもありうる)を考慮すると、留出油需要が確定値に移行する段階で上方修正される確率もそれなりにあるものと考えられる。他方、製油所の稼働が低迷していることに伴い留出油生産も低水準で推移した(図7参照)が、当該製品在庫は概ね平年幅下方付近で安定している(図8参照)ところからしても、2月の需要は前月からそれほど変動していない可能性があることが示唆される一方で、速報値ベースでは2月の需要が日量362万バレル、1月のそれが同392万バレルと2月は前月比で30万バレル程度減少したことを示しているため、この面からしても、確定値に移行する段階で2月の当該需要が上方修正されうることが想定されよう。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 5 ? 2013年12月の米国石油需要(確定値)は日量1,908万バレル(前年同月比5.3%程度の増加)と速報値(日量1,959万バレル、前年同月比8.1%程度の増加)からは下方修正された(図9参照)。これは「その他の石油」の範疇の需要が速報値の日量385万バレルから確定値では同326万バレルへと下方修正されたことに伴うものである。この結果「その他の石油」の需要は前年同月比で2.8%程度の増加(速報値発表時点では同21.5%程度の増加)となった。また、2014年2月の米国石油需要(速報値)は日量1,847万バレルと前年同月比で1.0%程度の減少となっているが、これは、ガソリン及び留出油の需要が前年同月比で減少を示していることが影響しているものと考えられる。他方、米国での原油精製処理量が低迷している一方で、米国の原油輸入量は前年同期と比べ日量20~90万バレル程度減少しているものの、国内生産量はシェールオイルの生産が堅調であることもあり前年同期比で日量100万バレル前後伸びていることから、米国全体でも原油在庫は増加傾向となっており、3月初旬においても量としては平年幅の上限を超過している(図10参照)。なお、原油在庫が平年幅を超過、ガソリン在庫が平年幅上限付近に位置し、留出油が平年幅下方付近の在庫量となっていることから、原油とガソリンを合計した在庫は平年幅を超過する一方で、原油、ガソリン及び留出油を合計した在庫は平年幅上限付近に位置している(図11及び12参照)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 6 ? lobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 7 ? 2014年2月末のOECD諸国推定石油在庫量の対前月末比での増減は、原油については、米国と欧州ではほぼ横這いとなった一方で、日本においては春場の製油所メンテナンス作業シーズン突入を前にして製品生産を活発化させるべく製油所での原油精製処理活動が上向いたことから、OECD諸国全体としても原油在庫は減少しており、その結果量としては平年幅上限付近に位置している(図13参照)。製品在庫については、欧州では前月末比で微減にとどまったが、米国では原油精製処理量の減少に伴い石油製品の生産活動が不活発になったことから、また、日本においては冬場の灯油需要期であったことから、双方の地域で石油製品在庫が減少、結果としてOECD諸国全体としても石油製品在庫は減少となり、平年幅下限付近の量となっている(図14参照)。なお、原油在庫が平年幅の上限付近に位置する一方で石油製品在庫が平年幅の下限付近に位置する水準となっていることから、原油と石油製品を合計した在庫は平年幅の下方に位置している(図15参照)。また、2014年2月末時点でのOECD諸国推定石油在庫日数は55.3日と1月末の推定在庫日数である55.7日から若干減少している。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 8 ? シンガポールでのガソリン等の軽質製品在庫は、2月12日の1,300万バレル弱から2月26日には1,400万バレルへと増加したものの、その後減少、3月12日時点では1,300万バレル強と2月12日と比べれば微増、という結果になっている。地域の製油所が、3月以降に活発化すると見られる春場のメンテナンス作業シーズンを控えていることから、製油所での稼働低下と軽質製品の供給減少に対する市場の観測が根強いこともあり、アジア市場でのガソリン価格は欧米諸国等と比べて相対的に堅調に推移した結果、シンガポールに向けて当該製品が流入したことが2月26日に向けての在庫増加の一因であると見る向きもある。その後の在庫の減少については、製油所でのメンテナンス作業開始に向けた稼働低下による石油製品生産の減少と、国内需要を賄うための国外からの輸入の活発化が影響している可能性があると考えられる。そして、ガソリン価格は製油所でのメンテナンス作業に伴う製品供給の減少観測から、シンガポールでの在庫が増加しているときでも、原油価格と歩調をほぼ合わせていたが、在庫が減少傾向を示すと原油価格に比べてより堅調に推移するようになった。一方でナフサについては、アジア地域においてナフサ分解装置の一部でメンテナンス作業を実施することにより需要が低下するとの観測が市場で発生したことがナフサ価格を抑制する格好となっていたが、製油所のメンテナンス作業実施にGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 9 ? 謔體槙Y製品の供給減少に加え、夏場のガソリンシーズンに伴うガソリン需要期を控えて、欧州でガソリンに混入するナフサの需要が増加する結果アジアへの当該製品流入が抑制される との見方が市場で発生したこともあり、ナフサの価格は原油価格に比べて持ち直す傾向が見られる。 シンガポールの中間留分在庫は2月12日の1,200万バレル強がその後は上下に変動しながらも減少傾向を辿り、3月12日には1,000万バレル余りの水準となった。欧州では総じて暖冬で需要が盛り上がらなかったこともあり、アジア地域へと留出油が流入してきたと見られ、2月12日の在庫水準は2011年10月11日以来の高水準となったが、1月下旬に米国で気温が低下したことに伴い米国での暖房用燃料価格が欧州のそれよりも上昇したことにより米国に留出油が流入したことに加え、2~3月においては中東やアジア諸国で製油所メンテナンス作業に突入しつつあったことから供給が低下する一方で、製油所で生産できない石油製品を輸入により手当しなければならなくなってきていることから、その分だけシンガポールに当該製品が流入しにくくなったと見られることも、シンガポールでの在庫減少の一因であると思われる。ただ、欧州での需要が低迷したことにより欧州への留出油の流れは低迷したとされることから、シンガポールでの中間留分在庫は減少傾向ではあったものの、それでも1,000万バレルは超過する水準は確保できていたこともあり、例えば軽油価格は概ね原油価格と歩調を合わせて変動した。 シンガポールの重油在庫は2月12日の1,800万バレル強から2月19日には2,000万バレル弱へと増加、その後1,700万バレル強の水準にまで低下したものの、3月12日には1,950万バレル弱にまで回復している。西側諸国等からの流入が根強いことから、上下に変動してはいるものの、大幅な落ち込みは短期間なものにとどまっている。ただ、アジア地域の製油所メンテナンス作業に伴う当該製品生産量の減少と、減少分の手当てのための輸入の活発化の動きもあり、2月中旬から3月中旬にかけ総じて下落傾向となった原油価格に比べ重油価格の下落の程度は穏やかなものとなっている。 2014年2月中旬から3月中旬にかけての原油市場においては、3月初めに至るまでは、EIAによる米国石油統計におけるクッシングでの原油在庫減少に対する市場の観測や実際の当該在庫の減少に加え、ウクライナのクリミア自治共和国に対するロシアの支配強化の動きに併せた軍事介入の可能性を巡る、ロシアと欧米諸国等との対立の激化に伴う、市場でのロシアからの石油供給途絶懸念の増大により、原油価格は上昇傾向となり、2月14日には1バレル当たり100ドル前後であったWTIは3月3日朝の取引では105ドルを超過する場面も見られた。しかしながら、その後はロシアのクリミア自治共和国に対する軍事介入の可能性に対する市場の懸念が低下したことに加え、米国での原油在庫の増加や中国での輸出額減少等が、原油価格に下方圧力を加えた結果、WTIは3月中旬には100ドルを割り込むことと2014年2月中旬から3月中旬にかけての原油市場等の状況 . 2Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 10 ? ネった(図16参照)。 2月17日は、米国でのワシントン大統領誕生記念日(プレジデンツ・デー)による休日に伴いニューヨーク商業取引所(NYMEX)での通常取引は行われなかったが、2月15日に中国人民銀行から発表された1月の中国の銀行による新規人民元建て融資額が1兆3,200億元(約2,180億ドル)と市場の事前予想(1兆1,000億元)を上回った他、同国の社会融資総量も2兆5,800億元(約4,250億ドル)と市場の事前予想(1兆9,000億元)を上回ったことに加え、2月20日に米国エネルギー省(EIA)から発表される予定の同国石油統計(2月14日の週分)でクッシングの原油在庫が減少している他留出油在庫が減少しているとの観測が市場で発生したこと、2月18日にニューヨーク連邦準備銀行から発表された2月のニューヨーク地区製造業景況感指数(ゼロが当該部門拡大と縮小の分岐点)が4.48と1月の12.51から低下した他市場の事前予想(8.50~9.00)を下回ったうえ、同日全米住宅建設業者協会(NAHB)から発表された2月の住宅市場指数(50が当該部門拡大と縮小の分岐点)が46と1月の56から低下した他市場の事前予想(56)を下回ったことにより、米ドルが下落したこと、2月19日も、翌20日にEIAから発表される予定の同国石油統計でクッシングの原油在庫が減少している旨判明するとの市場の観測の流れを引き継いだうえ、翌週に米国北東部で気温が低下するとの予報が発表されたこともあり暖房用石油製品需要が増加するとの観測が市場で増大したことから米国暖房油先物相場が上昇したことにより、2月19日の原油価格の終値は1バレル当たり103.31ドルと価格は2月18~19日の2日間で併せて3.01ドル上昇した。ただ、2月20日には、この日英大手金融機関HSBC及び英金融情報サービス会社マークイットから発表された2月の中国製造業購買担当者指数(PMI)(速報値)(50が当該部門拡大と縮小の分岐点)が48.3と1月の49.5から低下、2013年7月(この時は47.7)以来の低水準となった他、市場の事前予想Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 11 ? i49.5)を下回ったことに加え、この日EIAから発表された同国石油統計で留出油在庫が前週比34万バレルの減少と市場の事前予想(同200~210万バレル程度の減少)程減少していなかった旨判明したことから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.39ドル下落、終値は102.92ドルとなった(なお、NYMEXの3月渡しWTI原油先物契約取引はこの日を以て終了したが、4月渡し契約のこの日の終値は102.75ドル(前日終値比0.09ドル下落)であった)。また、2月21日も、米国北東部で気温が上昇してきたことから暖房用石油製品需要が低下するとの観測が市場で発生したことにより米国暖房油先物相場が下落したことで、この日の原油価格の終値は1バレル当たり102.20ドルと前日終値比で0.72ドル下落している。 2月24日には、2月26日にEIAから発表される予定の同国石油統計(2月21日の週分)でクッシングの原油在庫が減少しているとの観測が市場で発生したことにより、この日の原油価格は前週末終値比で1バレル当たり0.62ドル上昇し終値は102.82ドルとなった。翌25日にはこの日中国の興業銀行が不動産融資を一部停止した旨確認されたことで同国不動産市場鈍化に対する懸念が市場で発生したこともあり中国上海株式相場が下落したことにに加え、2月26日にEIAから発表される予定の同国石油統計で原油在庫が増加している旨判明するとの観測が市場で発生したこと、2月25日に米国非営利調査機関コンファレンス・ボードから発表された2月の同国消費者信頼感指数(1985年=100)が78.1と1月の79.4(改定値)から低下した他市場の事前予想(80.0)を下回ったことにより、この日(2月25日)の原油価格の終値は1バレル当たり101.83ドルと前日終値比で0.99ドル下落した。ただ、2月26日には、この日EIAから発表された同国石油統計でクッシングの原油在庫が前週比で108万バレル減少していた他全米の原油在庫が前週比7万バレルの増加と市場の事前予想(同120~150万バレル程度の増加)ほど増加していない旨判明したことに加えガソリン在庫が前週比で281万バレルの減少と市場の事前予想(同100~150万バレル程度の減少)を上回って減少している旨判明したこと、2月26日に米国商務省から発表された1月の同国新築住宅販売件数が年率46.8万戸と2013年12月の同42.7万戸(改定値)から増加、2008年7月(この時は同47.7万戸)以来の高水準となった他市場の事前予想(同40.0万戸)を上回ったこともあり、米国株式相場が上昇したことにより、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.76ドル上昇、終値は102.59ドルとなった。2月27日には、同日ウクライナのクリミア半島の政府庁舎が武装勢力により占拠された旨この日報道されたことで、旧ソ連及び欧州情勢の不安定化に対する懸念が市場で発生したこともあり、欧州株式相場が下落したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり102.40ドルと前日終値比で0.19ドル下落したものの、翌28日には、米国バッケン・シェールでの原油出荷量が過去2日間において日量20万バレル減少し同34.5万バレルになった旨2月28日に報じられた他、2月28日に欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)から発表された2月のEU諸国消費者物価指数Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 12 ? ェ前年同月比0.8%の上昇と市場の事前予想(同0.7%)を上回ったことで、3月6日開催予定の欧州中央銀行(ECB)理事会での追加金融緩和策実施に対する観測が市場で後退したことからユーロが上昇したことに加え、同日米国商務省から発表された2013年10~12月期のGDP(改定値)が前期比年率2.4%の増加と1月30日に発表された速報値(同3.2%増加)から下方修正された他市場の事前予想(同2.5%増加)を下回ったことにより、米ドルが下落したことから、この日(2月28日)の原油価格は前日終値比で0.19ドル上昇し、終値は102.59ドルと2月26日の終値に戻った。 ただ、3月1日には、ロシアのプーチン大統領がウクライナのクリミア半島に対して軍事介入を実施する権限の保有につき同国議会上院から承認を得た旨明らかにしたことで、今後ウクライナ及び欧州への天然ガス供給減少と代替燃料としての石油製品需要の増加、ウクライナとロシアとの衝突に伴うロシアからウクライナ経由欧州に向かう原油パイプラインでの輸送停止、及び欧米諸国の対ロシア経済制裁実施の影響によるロシアからの石油供給低下の可能性に対する懸念が市場で増大したうえ、3月2日の市場において、3月5日にEIAから発表される予定の同国石油統計(2月28日の週分)でクッシングの原油在庫が減少しているとの観測が発生したこと、3月3日に米国商務省から発表された1月の同国個人消費支出(PCE:Personal Consumption Expenditure)が前月比0.4%の増加と市場の事前予想(同0.1%増加)を上回ったこと、さらに、3月3日に米国供給管理協会(ISM)から発表された2月の同国製造業景況感指数(50が当該部門拡大と縮小の分岐点)が53.2と1月の51.3から上昇した他市場の事前予想(52.0~52.3)を上回ったことから、3月3日の原油価格は前週末終値比で1バレル当たり2.33ドル上昇し、終値は104.92ドルとなった他、この日の朝には一時1バレル当たり105.22ドルに到達する場面も見られたが、3月4日には、この日、ロシアのプーチン大統領が、ウクライナに対する軍事介入は最終手段である旨明らかにしたことで、ロシアによる軍事介入実施に伴う、同国からの石油及び天然ガス供給途絶の可能性に対する市場の懸念が後退したことに加え、3月5日にEIAから発表される予定の同国石油統計で同国原油在庫が増加しているとの観測が市場で発生したこと、翌5日には、ロシアによるウクライナへの軍事介入に伴うロシアからの石油及び天然ガス供給途絶の可能性に対する市場での懸念後退の流れを引き継いだうえ、この日EIAから発表された同国石油統計で原油在庫が前週比で143万バレルの増加と市場の事前予想(同130~150万バレル程度の増加)の一部を上回っていた旨判明したこと、3月5日に米企業向け給与計算サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)から発表された2月の米国民間部門雇用者数が前月比で13.9万の増加となり市場の事前予想(同15.5~16.0万人)を下回ったこと、3月5日に米ISMから発表された2月の同国非製造業部門景況感指数(50が当該部門拡大と縮小の分岐点)が51.6と1月の54.0から低下、2010年2月(この時は50.8)以来の低水準となった他市場の事前予想(53.5)を下回ったこと、3月5日に米国連邦準備理事会(FRB)から発表された地区連銀経済報Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 13 ? 吹iベージュブック)において、同国に襲来した寒波により、一部地域で経済成長が鈍化するか経済が縮小したとの認識が示されたことから、3月5日の原油価格の終値は1バレル当たり101.45ドルと、価格は3月4~5日の2日間で併せて3.47ドル下落した。しかしながら、3月6日には、この日米国労働省から発表された同国新規失業保険申請件数(3月1日の週分)が32.3万件と前週比で2.6万件減少、2013年11月29日の週(この時は30.5万件)以来の低水準となった他、市場の事前予想(33.6~33.8万件)を下回ったことに加え、3月6日に開催されたECB理事会で追加金融緩和策実施が見送られたことでユーロが上昇した反面米ドルが下落したことしたこと、3月6日にオバマ米大統領が、ウクライナ情勢を理由としてロシアやウクライナの個人や企業を念頭に置いた米国での資産凍結や査証発給制限といった制裁を発動する旨の大統領令に署名したことで、ウクライナを巡る欧米とロシアとの対立の激化、及びロシアからの石油供給途絶の可能性に対する懸念が市場で再燃したこと、また、3月7日には、この日米国労働省から発表された2月の同国非農業部門雇用者数が前月比17.5万人の増加と市場の事前予想(同14.9万人増加)を上回ったことに加え、3月7日にロシア国営ガス会社ガスプロムのミレル最高経営責任者がウクライナに対して天然ガス代金支払い遅延を理由に同国向け天然ガス供給を停止する可能性がある旨警告したことで、ウクライナを通過するパイプラインにより天然ガス供給を受ける欧州諸国において供給が減少するのではないかとの懸念が市場で発生したことから、原油価格は3月6~7日の2日間併せて1.13ドル上昇、3月7日の終値は102.58ドルとなった。 ただ、3月8日に中国税関総署から発表された2月の同国輸出額が前年同月比で18.1%の減少と2009年8月(この時は同23.4%の減少)以来の大幅減少となった他市場の事前予想(同6.8~7.5%の増加)を下回ったこと、また、3月11日には、翌12日にEIAから発表される予定の同国石油統計(3月7日の週分)で原油在庫が増加しているとの観測が市場で発生したこと、果たして、3月12日には、このEIAから発表された同国石油統計で原油在庫が前週比618万バレルの増加と市場の事前予想(同200~230万バレル程度の増加)を上回って増加している旨判明したことから、原油価格は3月10~12日はいずれの日も終値ベースでは下落となり、3月12日の終値は1バレル当たり97.99ドルと原油価格は3日間合計で4.59ドル下落した。しかし、3月13日には、この日米国商務省から発表された2月の同国小売売上高が前月比で0.3%の増加と市場の事前予想(同0.2%の増加)を上回ったことに加え、同じく同日米国労働省から発表された同国新規失業保険申請件数(3月8日の週分)が31.5万件と前週比0.9万件の減少となった他市場の事前予想(33.0万件)を下回ったこと、3月14日には、この日国際エネルギー機関(IEA)から発表されたオイル・マーケット・レポートでIEAが2014年の世界石油需要を上方修正したことに加え、3月16日に実施予定のウクライナのクリミア自治共和国による、ロシアへの編入の是非を問う住民投票を控え、市場が地政学的リスクの高まりとロシアからの石油供給途絶の可能性を意識したことで、3Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 14 ? ?14日の原油価格の終値は1バレル当たり98.89ドルと原油価格は3月13~14日の2日間合計で0.90ドル上昇している。 . 今後の見通し等 2月18日にオーストリアのウィーンで、イランのウラン濃縮問題に関するイランと西側諸国等(国連安保 3理常任理事国5ヶ国にドイツを加えた6ヶ国)との間での協議が再開され、2月20日には、今後の協議日程(4週間に1回の頻度で開催)や議題について合意した。また、2月20日に国際原子力機関(IAEA)が取りまとめた報告書では、イランでの遠心分離機設置数が増加していない他、濃縮ウランの製造停止と希釈化が進展した結果、20%程度の濃縮ウランの貯蔵量が2013年11月の水準からは低下している旨明らかにされており、イランのウラン濃縮活動が縮小しつつあることが示されている他、2月以降複数回の石油代金の送金が日本をはじめとする各国からイランに対してなされているなど、イランと西側諸国との対立解消に向けた動きは現在までのところ順調に推移しているようである。イランと西側諸国等との次回協議は3月17~19日にウィーンで実施される予定である。アシュトンEU外交安全保障上級代表は「今後の交渉は容易ではない」旨明らかにしているなど、この先の協議は紆余曲折を経ることが予想される一方で、短期的にはホルムズ海峡封鎖に伴う石油供給途絶の恐れは低下したと見られることから、この要因で原油相場が大きく変動する可能性は高くないものと考えらえる。 リビアにおいては、2月12日にリビア国営石油会社NOC幹部が同国の原油生産量が日量60万バレルである旨明らかにしたが、Wafaガス・コンデンセート田から、El Sharara油田と石油輸出ターミナルであるZawiya及びMellitahを結ぶパイプラインへと至るパイプラインが武装勢力と抗議者により部分的に閉鎖され供給が停止した旨関係筋が2月13日に明らかしており、その結果2月18日にはリビアの原油生産量が日量38万バレルにまで低下した旨NOCが明らかにしている。さらに、同国については、抗議者が2月20日にEl Sharara油田を閉鎖したことで、原油生産量が日量23万バレルにまで低下した旨2月24日にNOCが明らかにしたと報じられているなど、同国の情勢及び原油生産は依然として不安定である。しかしながら、リビアの不安定な状況は既に相当期間継続、市場の心理としては目新しいものではなくなってきており、また、これ以上原油生産量が減少することにもなりにくいと考えられることから、原油価格にとっては下支え要因にはなりうるものの、これだけで原油価格を大きく上昇させる要因にはなりにくいと思われる。ただ、3月10日には、El Sharara油田での抗議行動が終了するとともに、操業が再開された旨NOCが明らかにするなど、同国の原油生産量は日量23万バレルからは増加していると見られるが、3月11日には、ゼイダン首相が東部の部族の掌握するエス・シデル(Es Sider)石油ターミナルで原油を積み込んだ北朝鮮船籍タンカー(但し運行はエジプトの企業が担っていると北朝鮮側は主張している)のGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 15 ? Cへの航行を許したとして、議会により解任されるなど、混乱が生じ始めている。このようなことから、今後はリビア中央政府の統率上の問題が発生することにより、部族による抗議行動による油田や石油ターミナルの封鎖の解決になお時間を要する恐れもあり、この面ではこの先夏場のドライブシーズンに伴うガソリン等需要期を控えて、原油相場に上方圧力を加えてくる可能性もある。 シリアについては、内戦は継続している他、化学兵器関連物質の国外への搬出が遅延していることから、当初の目標である6月末の当該兵器の全廃は困難になりつつある旨の指摘もなされているが、当面米国による軍事行動の可能性は低下したままとなっていることから、この面では、原油相場にとっては中立的にであると考えられる。エジプトについては、労働者を中心とするストライキが実施されている一方で、2月16日午後に同国北東部のシナイ半島で観光バスに対する爆弾テロにより韓国人4名が犠牲になったことに対してイスラム過激派が2月18日に犯行声明を発表するなどしているが、政情が急激に悪化しつつあるというわけでもないため、エジプト情勢も少なくとも当面は原油相場にとっては大きな変動要因とはなりにくいと見られる。さらに、南スーダンでも、ユニティ(Unity)州における政府軍と武装勢力による戦闘で、戦闘前の2013年12月には日量24.5万バレルであった同国の原油生産量は、2月17日には日量17万バレル程度にまで減少したものの、その後は日量16万バレルで安定していると伝えられることから、この面でも原油相場への影響は限定的なものとなると考えられる。 他方、新たな地政学的リスク要因としては、ベネズエラが挙げられよう。同国では2月12日にマドゥロ大統領の辞任を要求して数千人規模の反政府デモが発生したが、政府支持派の集団との衝突が発生、その中で死亡者が発生したと報告されるなど、国内情勢が混乱し始めており、現在でも散発的に衝突は発生している模様である(3月13日現在衝突により28名が死亡、365名が負傷した旨明らかにされている)。さらに同国情勢が混乱するようだと、同国からの原油生産及び輸出に影響が及ぶとの懸念が市場に発生することになるので、同国情勢については今後も注視していく必要があろう。 また、ウクライナについては、3月16日にクリミア自治共和国でロシアへの編入の是非に関する住民投票が実施される予定である。ここで、ロシアへの編入が決定されれば、投票結果を無効と主張するウクライナや欧米諸国の反発を招き、クリミア自治共和国のロシアへの編入を事実上支援していると見做されているロシアに対してさらなる制裁の実施が検討されうるなど、欧米諸国とロシアとの対立が激化、それにより、ロシアから報復措置としての欧州諸国に向けた天然ガス供給の削減と代替エネルギー源としての石油需要の増加に加え、ロシアからの欧米諸国等向け石油輸出の制限や欧米諸国等によるロシアからの石油輸入の制限といった事態が発生するという展開も皆無ではない、という市場の懸念から原油相場に上方圧力を加えてくる可能性があろう。また、仮に住民投票でクリミア自治共和国のロシア編入が否決されたからといっても、それで、クリミア自治共和国に対するロシアの支配力が即座に低減するとは考Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 16 ? ヲにくく、クリミア自治共和国を巡るロシアとウクライナ及び欧米諸国との瀬戸際外交を通じた対立は当面継続すると見られることから、この面では原油相場の下落は限定的なものとしやすくすると考えられる(後述)。 米国での経済指標類については、引き続き原油相場の変動要因として作用するであろう。経済状態が改善しつつあることを示唆する経済指標類が発表されれば、市場での米国での景気回復と石油需要増加の観測から原油相場に上方圧力が加わる一方で、米国金融当局による金融緩和策縮小観測が増大することで、原油相場に下方圧力が加わりやすくなる。また、経済状態が悪化しつつあることを示唆する経済指標類は、市場での景気減速と石油需要鈍化の観測から原油相場に下方圧力が加わる一方で、米国金融当局による金融緩和策縮小観測が後退することで、原油相場に上方圧力が加わりやすくなる、といったように、米国での経済指標類は原油相場に上下双方から変動圧力を加える要因になりうるが、原油相場に傾向を与える要因にはなりにくいと考えられる。なお、3月18~19日には米国連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されるが、債券等購入額を100億ドル引き下げ月額550億ドルとする旨決定されるであろうと市場では主に予想されているようであるが、他方で、2014年2月の失業率が6.7%と金利引き上げのタイミングである失業率6.5%に接近していることから、低金利策継続のための基準について調整を行うと予想されており、結果的にはFOMCにおける、債券購入額の引き下げ決定が、低金利継続を示唆する方策の決定により相殺されることにより、原油相場への影響は限定的になると考えられる。また、4月8日夕方のアルコアより米国企業の2014年1~3月期を中心とする業績が発表され始める予定であることから、その業績が株式価格を通じて原油相場を変動させることもあり得よう。中国については、輸出、小売、鉱工業生産等などの指標が同国経済が減速し始めていることを示唆している。これまで中国は世界石油需要を牽引してきたことから、同国経済が減速する、ということになると、世界石油需要の伸びの鈍化に直結、その結果原油相場に影響することも考えられるので、今後も引き続き注意する必要があろう。 需給面では、当面注目されるのは、米国での石油在庫統計であろう。これについては、製油所の稼働が低下してきており、原油精製処理量も減少傾向にある中、原油在庫が増加傾向を示すことから、この面では原油相場に下方圧力を加える展開となりやすいものと考えられる。ただ、最近しばしば米国メキシコ湾と内陸部の複数の製油所を結ぶヒューストン運河(Houston Ship Channel)において濃霧発生による視界不良でタンカー等の船舶の航行が停止させられており(最近でも3月10日午前6時30分から午後10時半、及び3月11日午前4時55分から同10時30分(いずれも現地時間)にかけ船舶の航行が停止している)、今後もこのような事態が頻発するようだとメキシコ湾岸地域の製油所への原油輸入が低下、その結果原油在庫の増加が抑制され、それが相場に影響を及ぼす恐れがある。また、最近市場関係者Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 17 ? ヘクッシングに加え、米国メキシコ湾岸地域での原油在庫の増減具合で同国の石油需給状態を判断するようになってきている。つまり、クッシングでの原油在庫が減少しても、それ以上にメキシコ湾岸地域での原油在庫が増加していれば、それは単にクッシングから流出した原油がメキシコ湾岸に移動しただけと理解されるので、クッシングでの原油需給引き締まりとは判断されず、従ってこの場合には、かえって原油相場には下方圧力が加わる可能性がある。他方、クッシングの原油在庫の減少幅ほどメキシコ湾岸での原油在庫が増加しない、ということであれば、原油需給引き締まりと市場は見做し、原油相場に上方圧力を加えることになろう。また、最近では米国北東部の気温も上昇傾向にはあるものの、引き続き平年を下回る気温となる日も散見される他、米国の気象予報機関の中には、ほぼ3月一杯米国北東部では平年を下回る気温となる旨の予報を発表しているところもあることから、冬場の暖房シーズン終了(通常は3月31日を以て冬場の暖房シーズンに伴う石油需要期は終了と考えられている)接近に伴う暖房油石油製品需要の低下に対する認識が市場関係者間で広がらず、そのために暖房油を含めた留出油先物相場が下支えされる結果、原油相場にも下方圧力が加わりにくくなる恐れもある。その意味では、今後も米国北東部の実際の気温状況や気象予報機関による気温予報に留意していく必要があろう。また、3月中は製油所のメンテナンス作業に伴う原油購入の不活発化と原油在庫増加から原油価格には下方圧力が加わりやすいという側面があるものの、4月に入ると、製油所のメンテナンス作業も峠を越え始め、夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期を控えた製油所での稼働上昇及び原油購入の活発化が市場関係者の視野に入ってくることから、原油相場に上方圧力が加わりやすくなってくることも考えられる。 . ウクライナ情勢が石油・天然ガス市場に与える影響 ここにきてウクライナにあるクリミア自治共和国情勢(表1参照)を巡るウクライナとロシア、そして欧米諸 4国との対立に市場の注目が集まるようになっている。ここでは、ウクライナを巡る情勢の石油及び天然ガスの面での影響について考えてみたい。 ウクライナには、ロシアから石油と天然ガスパイプラインが敷設されている。ただ、ウクライナへの原油及び天然ガスパイプラインはウクライナで終点、というわけではない。ロシアからウクライナへと敷設されている原油パイプラインは、ハンガリー、スロバキア、及びチェコへの製油所へと通じている(ハンガリーのシャザロムバッタ(Szazhalombatta)製油所(原油精製処理能力日量16万バレル)、チェコのリトヴィノフ(Litvinov)製油所(同11万バレル))、スロバキアのブラチスラヴァ(Bratislava)製油所(同12万バレル)に原油が供給されていると推定される)。当該パイプラインによる各国への原油輸送量は合計で日量30万バレル程度と言われている。また、天然ガスパイプラインもイタリア、ドイツ、フランス等の欧州へと繋がっている。このため、ロシアからウクライナ向けの天然ガス供給が停止することに伴いウクライナがロシアかGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 18 ? 迚「州向けの天然ガスを利用すれば欧州への天然ガス供給がその分低下(2009年1月には実際にロシア国営ガス会社ガスプロムへの天然ガス代金の未払いで、ロシアからウクライナ向けの天然ガス供給が停止したことがあり、この時はウクライナが欧州向け天然ガスを利用したことにより、欧州への天然ガス輸送量が低下するといった事態が発生した)、ロシアからの天然ガス供給が低下した場合には、欧州はその穴埋めをすべく、他の天然ガス供給源からの購入を活発化させるか、天然ガスを代替すべく石油の利用を増加させる、との観測が市場で発生することから、欧州での天然ガス価格やブレントのような欧州での原油価格に対して上方圧力を加えることになり、これが3月初めの原油相場や欧州の天然ガス相場において見られた現象であった(なお、この時は、ウクライナ情勢の影響で欧州諸国等からの米国に対する石油需要が増加するのではないかとの市場での観測により、米国の原油価格が上昇する場面が見られたが、欧米間での天然ガス貿易関係が希薄であることから、米国の国内天然ガス価格においては目立った影響は見られなかった)。 表1 ウクライナを巡る最近の主な情勢年月日2014年2月23日 ウクライナで親ロシア派であったヤヌコビッチ政権が事実上崩壊出来事2月27日 ウクライナで親欧州派の暫定政権が発足したが、クリミア自治共和国政府庁舎が武装勢力により占拠3月1日 ロシアのプーチン大統領がウクライナのクリミア半島に対して軍事介入を実施する権限の獲得につき同国議会上院から承認3月4日 ロシアのプーチン大統領が、ウクライナに対する軍事介入は最終手段である旨明らかに3月6日 オバマ米大統領が、クリミア自治共和国に対する実効支配を強め始めたロシアの個人や企業を念頭に置いた米国での資産凍結や査証発給制限といった制裁を発動する旨の大統領令に署名、他方で、クリミア自治共和国政府議会は3月16日にロシアへの編入の是非を問う住民投票を実施することを決定3月7日 ロシア国営ガス会社ガスプロムのミレル最高経営責任者がウクライナに対して天然ガス代金支払い遅延を理由に同国向け天然ガス供給を停止する可能性がある旨警告3月9日 ブリケン米大統領次席補佐官(国際安全保障担当)が、ロシアのウクライナ介入が継続した場合には、ロシアに対して追加制裁を実施する意向である旨明らかに3月14日 ケリー米国務長官とロシアのラブロフ外相がウクライナ問題につきロンドンで会談するも合意に至らず3月16日 ウクライナのクリミア自治共和国政府でロシアへの編入の是非を問う住民投票を実施出所:各種資料をもとに作成 また、ウクライナへの事実上の介入を進めようとするロシアに反発する欧米諸国がロシアに制裁を加えるという流れの中で、欧米諸国がロシアからの石油及び天然ガスに対して禁輸措置を実施するか、ロシア側も欧州諸国等に対する石油及び天然ガスの輸出禁止措置を実施する、ということもありうる。ただ、Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 19 ? タ際に欧州諸国及びロシアが石油や天然ガスの輸出や輸入禁止措置を行う可能性はそれほど高くないと考えられる。その理由は以下の通りである。 ロシアのGDPに占める輸出の割合は22%(2012年)で、日本のGDPに占める割合の15%(同)と比べても大きく、また輸出額に占める原油、石油製品、及び天然ガスの割合は、それぞれ原油で34%、石油製品で21%、天然ガスで12%(いずれも2012年データをもとに推定、以下同様)であり、合計すると、68%となる。このように石油及び天然ガスはロシアにとって重要な輸出品である(ロシアの国別原油、石油製品、及び天然ガス輸出量は表2、3及び4参照)。また、ロシアにとってみれば、原油及び石油製品輸出量の60%程度は欧州諸国向けであり、反対に欧州諸国にとって原油及び石油製品輸入量の約4分の1がロシアからのものであると推定される(欧州諸国の国別原油及び石油製品輸入量は表5及び6参照)。欧州諸国はロシアから日量400万バレル程度の原油及び石油製品を輸入しており、つまりロシアは欧州諸国に対し等量を輸出していることになる。また、天然ガスについても、ロシアの天然ガス輸出のうち93%がパイプラインによるものであり、ロシアのパイプラインによる天然ガス輸出の70%が欧州諸国向け(なお、残り30%は旧ソ連諸国向け)である。従って、例えば、ロシアによる対欧州諸国への石油及び天然ガス輸出禁止、そして欧州諸国によるロシアから石油及び天然ガス輸入禁止となった場合、ロシアは代替の販売先に困ることになるであろうし、自国の外貨収入に大きな影響をおぼす可能性がある。また、ロシアによる石油及び天然ガスの輸出禁止措置は、勿論欧州諸国に打撃を与えるのであるが、その結果欧州諸国はそのような石油・天然ガス供給国としてのロシアに対しての信頼感を大きく失うことになり、ロシアへの石油及び天然ガス依存度を低下すべく供給源の多様化等の方策をより積極的に推進するようになろう。これはロシアにとってみれば、中長期的に輸出収入の低下を招くことになるため、自国にとって得策ではない。一方で、欧州諸国にとってみても、パイプラインによる天然ガス輸入の34%がロシアからの輸入である(なお、欧州諸国はLNGでも天然ガスを輸入しているので、当該地域での天然ガス輸入総量に占めるロシアからの輸入の割合は29%になる)(欧州諸国の国別天然ガス輸入先は表7参照)。ロシアからの石油及び天然ガス禁輸措置を実施した場合には、相当量の代替のエネルギー供給源を確保しなければならないことから、原油価格や天然ガス価格が上昇することになり、それは欧州諸国経済にとって大きな痛手となるであろう。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 20 ? \2 ロシアの主な原油輸出先と輸出量(2012年)輸出先オランダドイツポーランドイタリアフィンランドスロバキアハンガリースウェーデンスペインブルガリアギリシャチェコベラルーシカザフスタンリトアニア中国韓国日本米国その他合計日量千バレル1,020431415397164110109979786746142812953451180153772974,832出所:ロシア連邦関税局データをもとに作成 表3 ロシアの主な石油製品輸出先と輸出量(2012年)輸出先オランダイタリアトルコスイスフランス英国マルタベルギーキプロスギリシャドイツスペインラトビアベラルーシウクライナエストニアカザフスタン中国シンガポール韓国モンゴル台湾日本米国その他合計*1:LPG除く*2:トン表示の統計を1トン=7.35バレルで換算日量千バレル72517817119597915740393627301441937085391003730232714903692,773出所:ロシア連邦関税局データをもとに作成 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 21 ? 0123,2915053861,1774881,0152825038759141,77211,2082013 %(2013年)293,05456054164111,169438493191112548588485966202,10010010,654出所:IEAデータをもとに推定 20128768664874284923,3006,44820131,0008975164144833,4006,711%(2013年)151386751100出所:IEAデータをもとに推定 ? 22 ? 表4 ロシアからの天然ガス輸出量(2012年)日量十億立方フィート輸出先ドイツトルコイタリアポーランドベルギーフランスチェコハンガリーオーストリアスロバキアフィンランドギリシャオランダその他欧州ウクライナベラルーシその他旧ソ連日本韓国中国2.92.41.30.90.70.70.60.50.50.40.30.20.21.02.91.80.81.10.30.012.55.41.419.4出所:BP統計データをもとに作成欧州合計旧ソ連合計アジア合計合計パイプラインLNG 表5 欧州原油輸入先日量千バレルロシアカザフスタンアゼルバイジャンノルウェー英国サウジアラビアイランイラクナイジェリアリビアその他輸入合計20103,3465714731,4275976537593854531,0861,52511,27620113,2885725141,3414508657844286352931,78710,959表6 欧州石油製品輸入先日量千バレルロシアオランダベルギー英国米国その他輸入合計*:トン表示の統計を1トン=7.35バレルで換算20109609484835162973,3366,54120119089054874944343,3206,548Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 アのように、欧州諸国とロシアは石油及び天然ガス需給面で相互に大きく依存していることから、ロシアによる対欧州諸国への石油及び天然ガスの輸出禁止、そして欧州諸国によるロシアからの石油及び天然ガスの輸入禁止は、可能性としてはそれほど高くない。また、市場もそれを織り込んでおり、3月3日に原油や欧州天然ガス相場が上昇したものの、その後下落、様子見の状態が続いている。だた、これは相手のある話である。互いの意思疎通の失敗した場合には、石油及び天然ガスの供給途絶という事態が全く発生しないとも言い切れない。そのようなことから、ウクライナを巡る問題が根本的に解決されるか、解決の方向性が見えてくるまでは、もしくはこれ以上両者間の対立が激化しない、という確信を市場関係者が持つようになるまでは、欧州諸国を中心とした原油や天然ガス相場を下支えする恰好で、この要因は作用する恐れがあり、また、欧米諸国やロシアによる、交渉力強化を狙った挑発的な発言や行動によっては、原油相場や天然ガス相場が一時的であれ上昇するといった展開となることもあり得よう。 なお、2013年6月10日にはEIAが、欧州ではポーランドやフランスを中心として、470兆立方フィートの技術的に回収可能なシェールガス資源が存在していると推定される旨明らかにする一方、ウクライナにおいても技術的に回収可能なシェールガス資源量128兆立方フィートが賦存していると推定している(因みに、ロシアでは同様に287兆立方フィートの技術的に回収可能なシェールガス資源が存在するとしている)。しかしながら、これら諸国のシェールガス資源については、賦存状況の精査、法制及び税制の整備、開発及び生産予定地域周辺における環境面等での住民の説得、掘削機器や水資源等の確保日量十億立方フィート10.35.31.22.412.50.30.73.20.60.30.30.33.01.40.21.10.136.46.743.1出所:BP統計データをもとに推定 輸入先ノルウェーオランダ英国その他欧州ロシアその他旧ソ連イランアルジェリアリビアトリニダード・トバゴペルーノルウェーカタールアルジェリアエジプトナイジェリアその他パイプラインLNGパイプライン合計LNG合計輸入量合計表7 欧州の天然ガス輸入量(2012年)Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 23 ? ワめた産業基盤の整備等の過程を経なければならないことから、本格的な生産は早くても2020年前後以降になると見られる。また、米国でのシェールガスを含む天然ガスをLNGに転換してウクライナや欧州諸国に輸出することについては、現時点では米国ではアラスカのケナイ(Kenai)LNG基地(LNG輸出能力年産130万トン)を除き、LNG輸出基地は存在しないことから、そもそも供給能力が限定的である。現在建設中のサビン・パスLNG(ルイジアナ州)の完成が2015~16年、その他のLNG輸出プロジェクトは早くて2017年である。このようなことから、欧州諸国やウクライナでのシェールガス開発・生産や米国から欧州諸国やウクライナに向けたLNGの輸出といった方策は即効性という面では乏しいと言わざるを得ない。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 24 ? |
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