ページ番号1004443 更新日 平成30年2月16日

米国:戦略石油備蓄の動向

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レポートID 1004443
作成日 2014-04-08 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 基礎情報備蓄
著者
著者直接入力 佐藤 陽介
年度 2014
Vol 0
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ページ数
抽出データ 米国:戦略石油備蓄の動向 更新日:2014/4/8 ワシントン事務所:佐藤陽介 (⑤基礎情報、⑨備蓄) ・米国の戦略石油備蓄(SPR)は、6億9,600万bblの備蓄量を有する世界最大の国家備蓄である。 ・SPRを取り巻く特に米国内の環境は、急激な原油増産やインフラの変化などをはじめ大きく変化しつつある。 ・この変化に対するSPRの能力の検証を目的に、法制に基づく試験売却が2014年3月に実施された。・米国内の原油増産を背景に原油や天然ガスをいった米国産エネルギーを輸出するという議論が活発になされている。 ・米国からの原油の輸出を規制しているのは1975年に成立したエネルギー政策・保存法であり、今後同法律に基づく輸出規制体系の議論がなされる見込みが高いが、同法はSPRを設立したことでも知られており、原油輸出に関する議論がSPRに波及する可能性も有り得る。 ・しかし、1975年のSPR創設以来、世界的には依然として米国は、不安定な地域からの石油供給を受けている点には変わりがなく、SPRは石油供給途絶時といった緊急事態に対する強力な対応手段となっており、その存在意義は薄れていない。 .SPRの創設と国際エネルギー機関 1 米戦略石油備蓄(SPR: Strategic Petroleum Reserve)は、米国に必須の石油供給の潜在的な供給途絶に対する脆弱性に対処するために、1975年にエネルギー政策・保存法(EPCA: Energy Policy and Conservation Act, PL94-1631, 42 U.S.C.62012以下)によって創設された。SPRは、1973-1974年にかけてのアラブの原油禁輸措置の直後に創設されており、米国経済にとって脅威となる商業原油供給の途絶が生じた際に、米大統領に強力な対応手段を備えさせるものとなっている。SPRはまた、国際エネルギープログラム(IEP: International Energy Program)に関する国際協定の下での米国の義務を満たすことも目的としている。 EPCAは、§151(政策の宣言)において、SPRのミッションを以下のとおり規定している。 ・§151(a) 議会は、石油製品の実質的な貯蔵は、厳しいエネルギー供給途絶の影響に対する米国の脆弱性を減少させ、短期的な石油製品の供給途絶の影響に対する限定的な防御をもたらすことを見出した。 ・§151(b) 石油製品の供給途絶の影響を減少させること及び本法の規定するその他の目的のために、 1 Energy Policy and Conservation Act, PL94-163, as amended, http://www.house.gov/legcoun/Comps/EPCA.pdf 2 42 U.S.C.6201以下参照、http://www.law.cornell.edu/uscode/text/42/6201 - 1 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 0億バレルを上限とする石油製品の貯蔵のための戦略石油備蓄を創設すること、国際エネルギープログラムの下での米国の義務を履行すること、が米国の方針である。 1973年のアラブ禁輸措置はまた、エネルギー危機に緊急的に対応する計画と措置を構築するための 国際エネルギー機関(IEA: International Energy Agency)の創設にもつながった。戦略備蓄は、IEAのIEPにおける方針の一つである。米国を含むIEAの加盟国は、前年の純石油輸入量の90日分に相当する原油在庫の維持、緊急時における需要抑制計画の策定、IEA加盟国間における供給不足を均衡させるための原油配分プログラムへの参加合意、についてコミットしている。2011年においては、米国はリビアからの原油輸出の途絶に対応するためにIEAの協調放出に参加した。SPRの現在の備蓄原油6億9,600万バレルは、米国の純輸入量の94日分(2012年12月31日付)を確保しておりIEAの90日備蓄.SPRプログラムの実施と基地 2義務を遵守している3。 米国エネルギー省(DOE: Department of Energy)は、EPCAの要求事項を実行し、SPRを確立するための権限と責任を有している。この目的のために、連邦政府はSPRの備蓄原油と備蓄施設の双方を所有している。 SPRは米ガルフコーストにおいて4箇所の備蓄基地を有しており、これら基地は岩塩層に構築された地下の貯蔵窟に原油を貯蔵している。SPRは、テキサス州にブライアン・マウンド(Brian Mound)基地とビッグ・ヒル(Big Hill)基地の2基地を、ルイジアナ州にウェスト・ハックベリー(West Hackberry)基地とバイヨ・チョクトー(Bayou Choctaw)基地の2基地をそれぞれ運営している。 備蓄量(百万bbl) サワー 176.3 96.8 108.6 51.8 434.4 合計 240.7 164.6 215.9 72.9 696.0 払出能力 (千bbl/d) 1,500 1,300 1,100 515 4,415 SPR備蓄基地 備蓄容量 (百万bbl) スウィート ブライアン・マウンド基地 ビッグ・ヒル基地 ウェスト・ハックベリー基地 バイヨ・チョクトー基地 プログラム合計 254 228 171 74 727 64.4 67.8 107.3 21.1 261.5 1:SPR備蓄基地容量と払出能力 表※2012年12月31日時点 ※地上タンク、パイプライン在庫、受入可能量を含む ※ブライアン・マウンド基地の地上タンクの補修のために同基地の放出能力、SPR全体の放出能力が現在15万bbl/d低下している。 ※2014年3月実施のテストセールによりビッグ・ヒル基地から100万bbl、ウェスト・ハックベリー基地から400万bblが払出予定 出典:DOE, “Strategic Petroleum Reserve Annual Report for Calendar Year 2012”, Feb 2014 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 3 DOE/SPR, “Strategic Petroleum Reserve Annual Report for Calendar Year 2012”, Mar 2014, http://energy.gov/sites/prod/files/2012%20SPR%20Annual%20Report.pdf - 2 - 1986年に完成のブライアン・マウンド備蓄基地は、テキサス州ボラゾリア(Brazoria)郡、テキサス州フリーポート(Freeport)の南西約3マイルに位置している。同基地は、20基の備蓄用岩塩窟を備えており、合計承認備蓄量は2億5,400万バレル、備蓄量は2億4,070万バレル(2012年12月31日時点。以下出典:DOE, “Strategic Petroleum Reserve Annual Report for Calendar Year 20104”, Nov 2011 1)ブライアン・マウンド基地 (同様。)となっている。 SPRは基地の能力を維持するために毎年無数のメンテナンスを行っているが、2012年に同基地において払出時に一旦原油を受け入れる地上タンクに故障が発生したため、最大払出し能力が15万bbl/d減少することとなった。この地上タンクの補修は、政府予算の制約もあり実施されていなかったが、2015年度予算要求5において本補修に係る予算が要求されており、政府要求通りに予算が認められれば、 1991年に完成のビッグ・ヒル備蓄基地は、テキサス州ジェファーソン(Jefferson)郡、テキサス州ビュー 4 DOE/SPR, “Strategic Petroleum Reserve Annual Report for Calendar Year 2010”, Nov 2011, http://energy.gov/sites/prod/files/2013/11/f4/2010%20SPR%20Annual%20Report.pdf 5 DOE, “Volume 3 Strategic Petroleum Reserve Appropriation Language”, Mar 2014, - 3 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 2015年度には補修が実施されることになる。 2)ビッグ・ヒル基地 (図1:備蓄基地と配分システム c塔g(Beaumont)から南西約26マイルに位置している。同基地は14基の備蓄用岩塩窟を備えており、合計承認備蓄量は1億7,100バレル、備蓄量1億6,460万バレルとなっている。 3)ウェスト・ハックベリー基地 ( 1988年に完成のウェスト・ハックベリー備蓄基地は、ルイジアナ州キャメロン(Cameron)郡、ルイジアナ州レイク・チャールズ(Lake Charles)の南西25マイルに位置している。同基地は、22基の備蓄用岩塩窟を備えており、合計承認備蓄量は2億2,850万バレル、備蓄量は2億1,590万バレルとなっている。 SPRの備蓄基地においては、備蓄原油から発生する有機ガスが岩盤内の圧力を高めて岩盤の統合性を損ねるとともに、払い出し時に作業員や環境に対して著しいリスクを呈する危険性がある。このためSPRでは解体・搬送可能な排ガス処理プラントを使って、定期的に4基地間を巡回させている。前回の排ガス作業の対象となったのはブライアン・マウンド基地であり、同基地での排ガス作業は2011年に完了し、次はウェスト・ハックベリー基地という順番であったが、これも予算制約があり実施が遅れていた。2013年度にはこの排ガスプラントの解体とウェスト・ハックベリー基地への移送が完了している。2014年度及び2015年度では、ウェスト・ハックベリー基地での排ガス作業が予定されている。 1987年に完成のバイヨ・チョクトー基地は、ルイジアナ州イベルヴィル(Iberville)郡、ルイジアナ州ベイトン・ロージ(Baton Rouge)南西12マイルに位置している。同基地は7基の備蓄用岩塩窟を備えており、合計承認備蓄量は7,350万バレル、備蓄量は7,290万バレルとなっている。 2007年に同基地の承認備蓄量が7,600万バレルから7,350バレルへと一時的に減少している。これは同基地の岩塩窟第20号の状態が悪化し著しい環境リスクを呈したために行われた措置で、同岩盤の備蓄容量250万バレルが純減少となったことによる。2011年に近隣の民間企業の所有する岩塩窟を所得し岩塩窟第102号と命名、2012年に調整作業を完了させ、2013年度には第20号岩塩窟から第102号岩塩窟への備蓄原油の移送を完了させている。この新たな第102号岩塩窟は推定900万バレルの備蓄容4)バイヨ・チョクトー基地 ( SPRは1970年代にSPR基地の原油補充及び払出しに用立てるために、ルイジアナ州セント・ジェームズ(St. James)に所在するミシシッピ河畔に海洋ターミナルの建設を行っている。このターミナルは6基の地上タンクを備えており合計備蓄容量は200万バレルとなっている。このターミナルは、長期リース協定 http://www.energy.gov/sites/prod/files/2014/03/f10/SPR%20FY%202014%20CJ.pdf Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 4 - 5)セント・ジェームズ海洋ターミナル (量を有するという。 フ下でShell Oil Products US社に対して貸与されており、Shell社は全ての通常オペレーションとメンテナンスを行い、SPRの売却・配分地点として必要な支援を行うこととなっている。 (1)エネルギー政策・保存法 .緊急時対応方針 3 SPRの創設を承認したエネルギー政策・保存法(EPCA)は、SPRの放出に関する米国の緊急時対応方針についても規定している。EPCA§161は、SPRからの備蓄原油の放出と売却のための法的権限と要EPCA§161(d)は、SPRの放出権限を米国大統領に委任する。 ・求事項を以下のとおり規定している。 ・EPCA§161(d)は、“SPRからの石油製品(注:現在SPRに備蓄されているのは原油のみである)の放出及び売却は、(1)エネルギー供給の厳しい途絶、又は(2)国際エネルギープログラムの下での米国の義務のいずれかによって求められると大統領が判断しない限り実施されない。”と規定している。 ・EPCA§161(g)は、試験売却を行う権限をエネルギー省長官に付与している。(但し500万バレルを超えない量) ・EPCA§161(e)は、“エネルギー省長官は、戦略石油備蓄から放出される石油製品を、自身によって適切と判断された売却通知の後、入札により、数量、期間の点において最も優れた入札者に対して売却しなければならない。”と規定している。 ・EPCA§161(i)は、米国へと石油製品を戻すための供給に関する取り決めがなされていない場合には、国外での精製や交換のためにSPRから放出される石油製品の売却及び供給を行うことを予め除外している。 EPCA§160は、エネルギー省長官に“購入、交換又はその他の方法によって取得された石油製品の 取得、貯蔵、輸送又は交換を行うこと”を承認している。この“交換”のための権限は、石油の取得又は性状を変更することを目的として確立されたものであるが、SPRが交換取引に際して追加的数量の石油(プレミアム・バレル)を取得する限りにおいてSPRの原油を“緊急時貸与”を通じて放出することに関しても SPRからの原油の放出には、EPCAによって承認されている4つの種類が存在する。これらは(1)完全放出、(2)限定放出、(3)試験売却、(4)交換である。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 5 - 法的に可能であるものと見做されている。 .緊急時対応の種類 4タ施例 ・1991年湾岸戦争-1,730万バレル ・2005年ハリケーン・カトリーナ-1,100万バレル ・2011年リビア内戦-3,060万バレル ・1990年に米国内の特別な供給問題に対処するために本権限が付け加えられる。 ・本権限の使用実績はなし。 ・1985年試験売却-100万バレル・1990年試験売却-390万バレル・2014年試験売却-500万バレル・2000年大統領指示による交換-3,000万バレル ・2008年交換-540万バレル(ハリケーン・グスタフ、アイク) ・2012年交換-100万バレル(ハリケーン・アイザック) オプション 権限及び要求事項 完全売却 ・目的:米国の石油供給の途絶への対応、又は国際エネルギープログラムにおける義務の履行 ・権限:米大統領 ・必要な大統領の判断: (a) “厳しい石油の供給途絶”の存在、又は (b) 国際エネルギー機関の協調行動の下でSPRの放出が求められた場合 限定売却 ・最大放出量:制限なし ・目的:“厳しいエネルギー供給の途絶”の存在を宣言することなしに行う2:SPR放出権限と実施例 表短期的なSPRの使用 ・権限:米大統領 ・必要な大統領の判断: (a) 重大な範囲と期間において国内又は国際的なエネルギーの供給不足を構成する状況又はそのような状況になる恐れの存在 (b) 行動を取ることが直接的に大きくそのような不足による悪影響を防ぎ又は減少させることができる見込みがある ・国防省長官の当該行動が米国の安全保障を害さないという所見が必要 ・最大放出量:3,000万バレル、最大60日間 ・放出前後でSPR在庫が5億バレルの際には使用不可 ・目的:SPRの売却手順の試験及び評価のため ・権限:エネルギー省長官 ・最大放出量:500万バレル ・同等の石油の販売価格の95%以下では売却が制限 ・12ヶ月以内に売却在庫分の再取得が必要 ・エネルギー省長官に試験実施に関する報告書の米議会への提出が求められる。 ・目的:SPRの原油取得権限を通じた交換(原油貸与) ・権限:エネルギー省長官 ・最大放出量:制限なし ・SPR売却数量よりも多い数量の返納を規定する契約条件が必要 試験売却 交換 出典:各種資料より作成 1)完全放出 ( EPCA§161(d)は、大統領に対して、(1)エネルギー供給の厳しい途絶、又は(2)国際エネルギープログラムの下での米国の義務、のいずれかによって求められると大統領が判断した場合には、SPRからの原油の放出及び配分を行うことを承認している。この大統領による“エネルギー供給の厳しい途絶”の判断のためには、EPCA§3(8)又は§161(d)に規定される要求事項を満たさなければならない。 EPCA§3(8)は、“エネルギー供給の厳しい途絶”とは、全米規模でエネルギーの供給が不足している事態であって、大統領が以下の判断を行った際を意味する、と規定している。 (A) 重大な範囲と期間、緊急性によって発生又は発生する恐れがある (B) 国家の安全又は国家の経済に対して大きな悪影響を及ぼす恐れがある (C) (i)輸入石油製品の供給の途絶,(ii)国内石油製品の供給の途絶、又は(iii)サボタージュ又は神の振る舞いの結果として生じる又は生じる恐れがある - 6 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 PCA§161(d)は、“§3(8)において規定された状況に加えて、エネルギー供給の厳しい途絶は、大統領が以下を判断した場合には、存在していると見做されなければならない。”と規定している。 (A) 急を要する状況が存在しており、重大な供給の減少が重大な範囲期間に渡って存在している。 (B) そのような緊急事態の結果が石油製品の価格に厳しい上昇が発生している。 (C) そのような価格の上昇は、国家経済に対して大きな悪影響を及ぼす恐れがある。 完全放出において、SPRから放出される原油の量に制限はない。 2)限定放出 (EPCA§161(h)は、大統領に、“厳しいエネルギー供給の途絶”の存在を宣言することなし、3,000万バレルのSPR原油の放出及び配分を行うことを承認している。限定放出を行うためには、大統領は以下の判断をしなければならない。 (A) §161(d)で規定された以外の、国内において又は国際的なエネルギー供給の不足が重大な範囲又は期間において存在又は発生する恐れがある状況が存在している。 (B) 行動を取ることが直接的に大きくそのような不足による悪影響を防ぎ、又は減少させることができる見込みがある (C) 国防省長官が、そのような行動を取ることが米国の国家安全保障を害することがないと判断した。 この限定放出においては、3,000万バレルを超えて放出を行うこと、又は60日間を越えて放出を行うことができないこととなっている。また、この限定放出を行う権限は、SPRの在庫が放出前後において5億バレルを下回る場合には行使することができない。 EPCA§161(g)は、エネルギー省長官に、放出及び売却手続の継続的な評価を行うために、試験売却を行うことを承認している。この権限の下で、エネルギー省長官は、SPR原油の試験放出と試験売却又は交換の実施を承認されているが、そのような試験放出、試験売却又は交換は、500万バレルを越えて行ってはならないことになっている。 この権限の下では、エネルギー省長官は、実施時に同じ地域で販売されている同等の原油に対する市場販売価格の95%以下の価格ではSPR原油を売却することができず、また、売却がなされた場合には、売却から12ヶ月以内に売却相当分の原油の取得を求められている。 3)試験売却 (EPCA§160は、エネルギー省長官に、“購入、交換又はその他の方法によって取得された石油製品Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 7 - 4)交換 (フ取得、貯蔵、輸送又は交換を行うこと”を承認している。この“交換”のための権限は、石油の取得又は性状を変更することを目的として確立されたものであるが、SPRが交換取引に際して追加的数量の石油(プレミアム・バレル)を取得する限りにおいてSPRの原油を“緊急時貸与”を通じて放出することに関しても法的に可能であるものと見做されている。 この権限の下では、エネルギー省長官は、SPR原油の放出を競争によって行っており、緊急時貸与としては、ハリケーンやインフラの事故、海峡の閉鎖に起因する製油所に対する供給の不足事態に対応する形で用いられてきた。いずれにケースにおいても、SPRは交換取引に際して、追加的数量の原油(プレミアム・バレル)を取得している。 .SPRの緊急時対応能力 5(1)競争売却の手順 米国規則法典タイトル10パート6256に含まれるDOEの規則が、SPR原油の売却契約において用いられる条文に関する標準売却条項(SSP: Standard Sales Provisions)の策定を含む、SPR原油の価格競争売却(入札)に関する手順を規定している。 SPR原油を売却するための最初の手順は、売却数量、原油の特徴、売却地を示す売却の通知(Notice of Sale)の発行である。この売却の通知にはまた、原油の配分日、札入れを成功させるための要求事項や、パフォーマンスや財務能力等を保証するための措置についても記載されている。1回の売却(引取)期間は通常1ヶ月から2ヶ月であり、また、入札の締め切りまでには売却の通知の発行から5日以内が設定される。初動のリードタイムが非常に短期となる可能性があることから、DOEは潜在的な提案者の登録を行っており、登録企業は売却の通知の発行時には電子的な通知を受ける仕組みとなっている。 SPR原油売却のための次の手順は、売却の通知に従ってなされる提案者からの入札である。提案者は、売却の通知において示された契約条件を全て受け入れなければならず、可能性のある最大契約額に5%を上乗せした額か、又は1,000万ドルのいずれか低い額を保証として提供しなければならない。売却の通知から5日以内に、全ての“明らかな落札者(Apparently successful offerors)”は、義務履行と売却契約において支払うべき金額の保証として、契約額の100%に等しい信用状(Letter of Credit)の提出を求められる。金銭的保証の受け取りとDOEの契約担当官による最終決定が期限通りになされると、付与の通知(Notices of Ward)が発せられる。 その後落札購入者へのSPR原油の供給が、商業パイプライン又は海上バッセル輸送による購入者のアレンジに従ってなされる。 6 10 U.S.C. Part 625, “Price Competitive Sale of Strategic Petroleum Reserve Petroleum”, http://www.ecfr.gov/cgi-bin/text-idx?SID=c76d8d4769b7452366e8dc661b014735&node=10:4.0.1.4.18&rgn=div5 - 8 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 SPRは当初の90日間において最大放出量の441.5百万bbl/dで払い出しを行うことができる。この90日間の後には、基地在庫の減少と原油を貯蔵するそれぞれの岩塩窟の数が制約を受けるため放出量が減少する。 SPRによって取得されている原油は、各基地における岩塩窟に備蓄されているが、原油の流れや供給方法、立地等が異なる様々な流通経路を有している。 2)SPRの放出能力 ( (3)配給計画と能力 緊急時においてSPRは、その備蓄原油を製油所へと供給するために、ローカルのパイプラインや、州間パイプライン、海上輸送施設等を利用して供給を行う。 SPRは現在、米ガルフコースト地域における24箇所の製油所へとローカル商業パイプラインを通じて原油を供給する能力を有している。SPRはまた、2本の州間パイプラインシステム(オハイオ州中央へと至るMid-Valley Pipeline Systemと、イリノイ州ポタカへと至るCapline Pipeline Systems)を通じて米国中西部の15箇所の製油所へと原油を供給することが可能である。2012年においては、Seaway Pipelineの流れが逆転されたため、米国中央部10箇所の製油所へと原油を供給する能力を失った。このSeaway Pipelineは、逆転後、現在はオクラホマ州クッシングからテキサス州フリーポートへと至る流れを形成している。合計すると、SPRは商業パイプラインシステムによって米国における製油所のほぼ半分と連結していることとなる。これらSPRと連結する39箇所の製油所は、米国の2012年における原油輸入量の約60%を処理しているという。 また、SPRは5箇所の海洋ターミナルとも連結しており、これらターミナルの合計配給両派約250万bbl/d となる。これらのターミナルは、Seaway Terminal(テキサス州フリーポート)、Seaway Terminal(テキサス州テキサス市)、Sunoco Terminal(テキサス州ネダーランド)、Chevron Beaumont Terminal(テキサス州ネダーランド)、Shell Sugarland, St. James Terminal(ルイジアナ州セント・ジェームズ)の5ターミナルで 以上は、SPRに関する制度の概要であるが、以下ではSPRに関するトピックスやその取り巻く環境について概説する。 (1)テストセールの実施 2014年3月、DOEは、1990年のイラクのクウェート侵攻時の試験売却実施以来となる、備蓄原油の試Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 9 - .SPRに関する最近のトピックスと取り巻く状況 6ある。 ア売却を実施した7。DOEは、サワー原油500万バレルを対象とする入札を3月14日に実施し、3月20日には結果を公表している。今回の試験売却においては、Phillips 66 Company、Shell Trading US Company、Marathon Petroleum Company、ExxonMobil Oil Corporation、MercuriaEnergy Trading, Inc.の5社が成功落札企業となり、落札数量はそれぞれ204万バレル、122万バレル、120万バレル、50万バレル、4万バレルとなった。合計落札数量はSPR提供通りの500万バレルとなり、総落札金額は約5億ドルにも及んだ。参加企業は落札企業も含め全14企業。ChevronやHess、Valero、PBFなどは札入れをしたものの、落札に成功していない。 今回のテストセールの目的は、ワシントン界隈ではクリミア危機との関連を指摘する者もあったが、DOEのステートメントを伝える報道によれば、原油増産等の米国内の激的な変動がテストの実施を必要としたものでありテスト以上の意味はないと述べている。他方ホワイトハウス報道官は、プレスブリーフィングにおいて挙げられた昨今のウクライナ問題との関連性を問う質問に対しては、ロシアへの懲罰的措置としては否定し、純粋なテストであると述べている8。この点、米国におけるタイトオイルの激的な増産とそれに伴うパイプラインなどのインフラの変化といったSPRを取り巻く周辺環境は大きな変化を遂げつつあり、DOEのステートメントが述べているとおり、SPRの対応能力をテストすることが今回の試験売却実施を正当化する上で説得力がある。この環境変化は例えば、先述のSeaway Pipelineの流れの逆転などが顕著であろう。 表3:2014年3月SPR試験売却成功落札企業 合計入札量 配送方法 (bbl) パイプライン/バージパイプライン/バージPhillips 66 Shell Marathon Exxon Mercuria 出典:DOE/SPR/PMO, "Successful Awards Report9", Mar 20,2014から作成 4,160,000 3,290,000 1,200,000 500,000 100,000 パイプライン パイプライン バージ 平均入札額 ($ per bbl) $99.4347 $97.5970 $99.0400 $97.6770 $95.4038 合計合計落札量 合計落札金額 (bbl) 2,040,000 1,220,000 1,200,000 500,000 40,000 5,000,000 (US$) $204.470,080$118,981,040$118,876,500$48,838,475$3,816,152$494,982,247 SPRの備蓄4基地はいずれもテキサス州かルイジアナ州に立地しており、この地域は米国の石油供給の区分からいうと米ガルフコースト地帯のPADD(Petroleum Acquisition Defense District)3に該当する。PADD3は米国の精製能力の約半分を占めているが、同地域では他のPADDで処理される原油と比べて重い原油が処理されている。しかし、下表に見られるとおり、SRPが備蓄する原油とその主な放出先で 7 DOE, “Notice of Sale DE-NS-96-14PO10000”, Mar 12,2014, http://www.spr.doe.gov/doeec/TestSale14/Notice_of_Sale.pdf 8 Whitehouse Office of Press Secretary, “Daily Press Briefing by the Press Secretary, 3/12/2014”, Mar 12,2014、http://www.whitehouse.gov/the-press-office/2014/03/12/daily-press-briefing-press-secretary-31214 9 DOE/SPR/PMO, "Successful Awards Report9", Mar 20,2014, http://www.spr.doe.gov/doeec/TestSale14/Successful_Awards_Report.pdf Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 10 - 2)SRP備蓄原油と米国市場とミスマッチ (?るPADD3の製油所が処理する原油との間には、API度にしていくらかの隔たりが生じている。SPR備蓄原油はAPI度30強の軽質油に分類される原油であり、PADD3処理原油は中質油あるいは重質油に分類され得る。API度の隔たりはより地域毎に見た場合さらに大きくなる。 備蓄原油 SPR備蓄 性状 スウィート サルファー スウィート サルファー スウィート サルファー スウィート サルファー 原油 36.3 33.3 35.4 30.8 37.0 33.1 35.2 32.4 PADD3 平均 2013年:30.01 2012年:30.66 2011年:30.00 2010年:29.94 2009年:29.55 2008年:29.54 API度 PADD3 テキサス・ガルフコースト地域 2013年:28.53 2012年:29.57 2011年:28.76 2010年:28.82 PADD3 ルイジアナ・ガルフコースト地域 2013年:30.32 2012年:30.56 2011年:29.97 2010年:29.74 LA ウェスト・ハックベリー基地 バイヨ・チョクトー基地 出典:EIA、International Energy Statistics、SPR、Annual Report for Calendar year 2012から作成 LA 4:SPR備蓄原油とPADD3消費原油のAPI度 基地 所在地TX TX SPR備蓄基地 ブライアン・マウンド基地 ビッグ・ヒル基地 表 折しも米国内における軽質原油のタイトオイルの生産量が増加しており、例えばSeaway Pipelineの流れがかつてはガルフコーストから米中央部に流れていたのが、中央部のタイトオイルの市場をガルフコーストに求めて逆転している。PADD3の製油所はメキシコやベネズエラから輸入している重質油にこれら軽質油をブレンドすることによって、精製処理に適した形にして消費している。しかし、今後より一層のタイトオイルの流入を受け、軽質油の吸収能力が限界を迎えるとも指摘されている。 SPRは備蓄原油の質を変更するための措置を採るのか、しかしそのハードルは高いといえる。第1に、SPRの維持には予算要求上、基地の操業管理を行うためのSPR会計、備蓄原油の取得等のためのSPR石油会計が設定されている。しかし、この備蓄原油の取得等を行うための石油会計は、2013年末の民主共和党の予算合意によって廃止が決定されており10、2015年政府予算要求においても要求額がゼロとなっている11。第2にSRP原油の取得ために活用されていた仕組みであるロイヤルイティ・イン・カインド(RIK: Royalty in Kind)プログラムが2009年9月に廃止されている。この仕組は米メキシコ湾岸における連邦政府所有の石油鉱区をリースした際に、連邦政府に支払うロイヤルティをキャッシュの代わりに原油実物をもって代えるというプログラムであり、連邦所有地のリースセールを行う米内務省が管轄していた。SPRはこのRIKプログラムを利用して原油在庫の維持を行っていた。上記の手段が絶たれるとすれば、SPRに残されているのは、先述のSPR原油の交換の後、放出先企業から返還されるプレミアム・バレルを利用するしかない(但し、現状ではプレミアム・バレルは放出された原油と同質であることが求められてい 10 House of Representative, “Summary of Bipartisan Budget Act of 2013” Dec 10,2013, http://budget.house.gov/uploadedfiles/bba2013summary.pdf 11 Whitehouse OMB, “Appendix, Budget of the United States Government, Fiscal Year 2015, Department of Energy”, P402, http://www.whitehouse.gov/sites/default/files/omb/budget/fy2015/assets/doe.pdf - 11 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 驕j。量の観点からいえば、SPRは現在6億9,600万bbl、米国の純石油輸入量の94日分(2012年12月31日時点)の備蓄量を有しており十分な量を確保しているが、今後その備蓄原油の質を問われた場合にSPRがどのような対応をなすかが注目される。 3)SPR備蓄量の日数換算量の増加 (米国内における原油生産量の増産に伴って、SPR備蓄量の純石油輸入量に対する日数換算値が増加することが予想される。 米エネルギー情報局(EIA: Energy Information Administration)発表のAnnual Energy Outlook 2014 Early Releaseによれば、国内タイトオイル生産の急激な増加を伴って、米国国内原油生産量は2019年のピーク時には961万bbl/dに達し、これと平行して米国の純現輸入量は2017年には577万bbl/dまで減少することが予測されている。この堅調な原油生産は、2019年以降ゆるやかに減少するが2040年まで750万bbl/dの水準を維持する見通しである。 SPRの在庫は2014年3月末時点で6億9,600万bblであり、SPR Annual Report for Calendar Year 2012によれば、これは米国の純石油輸入量の94日分に相当するという。米国をはじめ、IEAの加盟国は純石油輸入量の90日相当分を維持することが義務付けられている。IEAの計算方法では、純石油輸入量は、前年の純石油輸入量として以下のとおり規定される。 ・一次生成物の純輸入量であって、そこからナフサ分を4%除いたもの。一次生成物には、原油、天然ガス液(NGL: Natural Gas Liquids)、製油所フィードストック、添加物/含酸素化合物(バイオ燃料を含む)、その他炭化水素(オイルサンドから生産された合成原油といったもの)から構成される。 ・それに加えて、全て石油精製品の純輸入量(ナフサ、国際的な海上燃料庫貯蔵物を除き、既に燃料へと混合されているバイオ燃料といった添加物を含む)であって、係数1.065を乗ずることによって原油相当分へと換算したもの ・上記合計を当該年の日数で減じたもの 筆者の方で、上記定義を参考にSPR備蓄量の日数換算値を試算したものが以下の図である。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 12 - }2:米国原油生産量とSPR備蓄量の日数換算(試算)(単位:100万bbl/d)12.0010.008.006.004.002.000.00160 140 120 100 80 60 40 20 0 204020392038203720362035203420332032203120302029202820272026202520242023202220212020201920182017201620152014201320122011SPR備蓄量純輸入量相当日数原油純輸入量原油国内生産量タイトオイル国内生産量出典:EIA, AEO2014ERデータ、SPR資料から作成 の図からみるに、今後数年のうちにSRP備蓄量の石油純輸入量の日数換算値は急激に上昇し、120 こ日分、さらには140日分までに達し、その後2040年まで100日分以上の水準を維持する可能性があることが読み取れる。なお、SPRによると過去の最大値は1985年に達成された118日分となっている。 現在のところ、新聞等ではクリミア情勢に対応してのSPR放出を求める論考などが見られるが、米議会や公聴会においては、SPRの備蓄量やそのあり方に関する議論はまだ取り上げられてはいない。ウクライナ情勢との関連では、LNGや原油などの米国の豊富なエネルギー資源を活用して同盟国に輸出することにより、当該国の供給に対する脆弱性を低下させるべきだとの議論が活発である。他方、米国内産原油の生産量増加を背景に、石油産業興隆の維持・促進、国内経済・雇用確保等の観点からも現在の原油輸出規制体系を見直そうとする議論も始まっている。現在の米国からの原油輸出規制は、SPRを創設したのと同じEPCAにその根拠を置いている。国内エネルギー資源の保存の観点から、米国からの原油流出を制限する原油輸出規制措置と、供給途絶などの緊急時のための備えとしてのSRPの創設がなされており、両者はその出自からも密接な関連性を有している。その一方である原油輸出規制が議論の焦点となっている今、遅かれ早かれSPRにも議論の関心が集められることが予想される。 本稿では、米国戦略石油備蓄制度の概要とSPRを取り巻く最近の情勢について概観してきた。1975年の創設以来、SPRを取り巻く環境は、様々な変化を遂げてきたが、SPRのミッションや機能に関しては不動のままである。上記のとおり、SPRの米国内における周辺環境は大きな変化を遂げつつある一方、世Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 13 - .むすびに 5E的にみれば、例えば米国の原油輸入に関するペルシャ湾岸諸国への依存状態は1975年からそれほど変化していない。米国の原油・石油製品消費量は、1975年から近年まで上昇傾向にあったが、追加的な需要は非OPEC諸国からの輸入によって補われており、また、近年の米国内原油生産量の増加による輸入量の減少はその非OPEC諸国からの輸入量削減によって対応されている。2013年の米国の世界からの原油・石油製品輸入量は約9,800万bbl/d、このうちOPECからの輸入量は約38%(約3,700万bbl/d)、非OPECからの輸入量は約62%(約6,100bbl/d)となっているが、ペルシャ湾諸国からの輸入量は約21%(約2,000万bbl/d)である(OPECからの輸入量のうちペルシャ湾諸国が占めるのは約54%である)。このことは、米国がその原油・石油製品輸入の一部を未だに不安定な地域に依存しているということである。そのため、例え短期的な米国における原油生産量の増加があったとしても緊急時対応手段としてのSPRの意義は失われてはいない。 図3:米国原油・石油製品輸入量、米国原油・石油製品消費量(単位:千bbl/d)2500020000150001000050000米原油・石油製品輸入量(世界)(千bbl/d)米原油・石油製品輸入量(ペルシャ湾)(千bbl/d)米原油・石油製品輸入量(OPEC)(千bbl/d)米原油・石油製品輸入量(非OPEC)(千bbl/d)米原油生産量(千bbl/d)米原油・石油製品消費量(千bbl/d) 201320112009200720052003200119991997199519931991198919871985198319811979197719751973出典:EIA, International Energy Statisticsデータより作成 また、価格安定への貢献としてのSPR在庫の存在は意義を有しているとも考えられる。近年のWTIとブレントとの価格差は、米国内の原油の地域的需給のミスマッチ、インフラの不足と市場へのアクセスの不均衡などからも説明されるが、原油価格の変動に関しては米国内在庫の増減という観点からも説明できる。下図は米国原油在庫と原油価格の動きを示したものだが、米国原油在庫と原油価格との間には、例えば、原油在庫量が減少した場合には、原油価格が上昇するなどの対応関係が見られる。景気の大きな変動や地域的紛争から生じる大きな価格変化に対しては、在庫量は価格安定要因とはならないが、それでも豊富な在庫の存在は供給に対する潜在的な心理的安心材料を提供している。この点、SPRのGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 14 - c大な在庫はそのような安心材料としての在庫の存在を下支えしており、その6億9,600万bblの不動の備蓄量は、一定の物理的、心理的な効果に寄与しているとも考えられる。 図4:米国石油在庫と原油価格(単位:千bbl(在庫量)、US$/bbl(原油価格))米週末原油、石油製品在庫(千bbl)米週末原油在庫(千bbl)米週末原油在庫(SPR除く)(千bbl)米週末SPR原油在庫(千bbl)各週WTIスポット価格(US$/bbl州欧州ブレント原油スポット)各価格(US$/bbl)米週末ガソリン在庫(千bbl)200000018000001600000140000012000001000000800000600000400000200000160140120100806040200Jan 04, 2008Jan 04, 2009Jan 04, 2010Jan 04, 2011Jan 04, 2012Jan 04, 20130Jan 04, 2014(了) 出典:EIA、International Energy Statisticsデータから作成 米国における需給の関係や価格の動向などは現在進行形であるため、将来どのように発展していくか はそのときになってみないとわからない点が多々ある。しかし、SPRは、予算的制約や米国内環境の変化など様々な課題を抱えているものの依然として世界最大の備蓄量を誇る国家備蓄であり、緊急時対応手段をはじめとする重要な機能を担い続けていくことであろう。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 15 -
地域1 北米
国1 米国
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 北米,米国
2014/04/08 佐藤 陽介
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