ページ番号1004446 更新日 平成30年2月16日

原油市場他:米国でのガソリン在庫減少に加え、ウクライナを巡る懸念が市場で再燃したこともあり、原油価格に上方圧力

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レポートID 1004446
作成日 2014-04-14 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 市場
著者 野神 隆之
著者直接入力
年度 2014
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ 更新日:2014/4/13 調査部:野神 隆之 原油市場他:米国でのガソリン在庫減少に加え、ウクライナを巡る懸念が市場で再燃したこともあり、原油価格に上方圧力 (IEA、OPEC、米国DOE/EIA他) ① 米国では冬用のガソリン在庫処分と見られる動きが出たことを含めガソリン出荷が増加したこともあり、当該製品在庫は減少傾向となったが、例年この時期在庫は減少傾向となることから、平年幅上限付近に位置する量は維持されている。留出油については、製油所が春場のメンテナンス作業シーズンに突入していることもあり生産が大幅に増加したわけではないものの、冬場の暖房シーズンに伴う暖房用石油製品需要期が終わりに接近しつつあったこともあり、需要も旺盛というわけではなかった結果、在庫は微減にとどまり、平年並みの量となっている。原油については、製油所での原油精製処理量が伸び悩む中、国内生産が堅調に推移したこともあり、在庫は増加傾向となり、平年幅を超過する水準となっている。 ② 2014年3月末のOECD諸国推定石油在庫量の対前月末比での増減は、原油については、欧州では需要不振と域外からの石油製品流入に伴い精製利幅が確保できなくなったこともあり、製油所での稼働が低下したことにより原油調達も不活発になったと見られることから微減、日本では春場のメンテナンス作業シーズン突入により製油所での原油精製処理量が減少し始めたことと併せ原油在庫水準が低下した一方で、米国では相当程度の増加となり、欧州や日本での在庫減少を相殺して余りある状態であったことから、OECD諸国全体として原油在庫は増加となり、量としては平年幅上限付近に位置している。製品在庫については、米国ではガソリン在庫が減少したことが影響し製品全体でも在庫は減少、また、欧州や日本でも製油所の稼働低下に伴い製品の生産活動が不活発になったことにより在庫水準が低下したことから、OECD諸国全体としても石油製品在庫は減少となった結果、平年幅の下方付近に位置する量となっている。 ③ 2014年3月中旬から4月中旬にかけての原油市場においては、クッシングから米国メキシコ湾岸地域への原油パイプラインの輸送能力増強見通しに伴う、市場でのクッシングでの原油在庫減少観測の増大に加え、米国でのガソリン在庫の減少、景気回復を示唆する米国経済指標類の発表の一方で同国金融当局による早期の金利引き上げに対する市場の懸念の後退、ウクライナでの新たな親ロシア派勢力の活動活発化と西側諸国及びロシアとの対立激化に対する市場の不安感の再燃から、3月14日の終値では1バレル当たり99ドル弱であったWTIは4月11日には終値で103ドル台後半に到達するなど、総じて上昇傾向を示した。 ④ 今後の石油市場においては、イランやリビアに加え、ウクライナでのクリミア半島以外での地域における親ロシア派勢力の活動活発化に伴う、西側諸国とロシアとの対立激化によるロシアからの石油供給途絶可能性に対する市場での懸念が、原油相場を下支えする一方で、夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期に向け、製油所が春場のメンテナンス作業を終了し、原油精製処理量を引き上げるとともに、原油購入を活発化させていくと見られることから、この面で原油価格には上方圧力が加わりやすくなっていくと考えられる。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 1 ? . 原油市場を巡るファンダメンタルズ等 2014年1月の米国ガソリン需要(確定値)は前年同月比0.2%程度減少の日量821万バレルと速報値(同828万バレル、前年同月比0.8%程度の増加)から下方修正された(図1参照)。これは、しばしば米国に寒波が襲来し気温が平年を割り込む(図2参照)とともに降雪をもたらしたために自動車での外出が当初見込み以上に控えられたことによるものと考えられる。他方、2014年3月の同国ガソリン需要(速報値)は日量882万バレルと前年同月比で2.3%程度の増加となっており、これについては、米国での景気回復に伴う雇用改善によるものと見る向きもあるが、1~2月にしばしば米国に寒波が襲来したことに伴い米国民の多くが外出に伴う自動車運転を控えたことに対する反動という側面もありうるので、このような前年同月比での米国ガソリン需要の増加傾向が4月以降も継続するかどうか注視する必要があろう。一方、4月に入り、製油所では春場のメンテナンス作業シーズンも峠を越えつつあると見られるものの、まだ原油精製処理量には明確な増加傾向は見られない(図3参照)。一方でガソリン生産量は増加傾向と示している(図4参照)が、これは、製油所でのガソリン生産が増加しているわけではなく、調合業者で半製品を調合し最終製品とする量が増加したことに伴うものである。また、同国での製油所等における冬用ガソリンから春用ガソリンへの仕様の変更に伴い、冬用ガソリンを処分する動きが出てきたと見られることを含め、ガソリン出荷が堅調であったことから、当該製品在庫は減少傾向となり、量としては平年幅の上方付近に位置している(図5参照)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 2 ? lobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 3 ? 2014年1月の同国留出油需要(確定値)は前年同月比5.4%程度増加の日量427万バレルと速報値である同392万バレル(前年同月比3.4%の減少)から相当程度上方修正されている(図6参照)。これはEIAが2013年9~10月時点での輸出量(確定値)をもとに算出した数値(日量129~138万バレル)を暫定的に1月の輸出量として使用したと思われる一方で、1月の輸出量の確定値は日量111万バレルと暫定値を日量20万バレル程度下回っていたことにより、この分が国内需要に繰り入れられたと考えられることに加え、2014年1月は米国北東部に寒波が来襲し気温が低下、その結果暖房油需要が堅調であったことが影響していると考えられる。他方2014年3月の留出油需要(速報値)は日量380万バレル(前年同月比0.8%程度の増加)となっている。ただ、この速報値算出の際には米国からの留出油輸出量について2013年12月~2014年1月の確定値をもとに算出した数値(日量116~126万バレル)を暫定的に用いているのに対して、近年実際の3月の留出油輸出量は直前の12~1月の確定値の基づき算出された数値を下回る傾向にある(例えば2012年12月~2013年1月の米国留出油輸出量(確定値)をもとに算出された2012年3月の暫定輸出量は日量90万バレルであるが、同月の確定値は日量80万バレルであった)。このため、2014年3月の米国からの留出油輸出(確定値)が暫定数値から下方修正される可能性があることを考慮に入れると、留出油需要が確定値に移行する段階で上方修正されることもありうる。他方、製油所での原油精製処理量がまだ本格的に回復しないことを反映し、留出油生産の増加も限定的であった(図7参照)が、一方で冬場の暖房シーズンに伴う石油製品需要期も終わりに接近したこともあり、留出油需要もまた落ち着いてきたと見られることから、在庫についても減少傾向とはなったものの、その度合いは緩やかなものであった結果、量としては平年並みの水準となっている(図8参照)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 4 ? 2014年1月の米国石油需要(確定値)は日量1,892万バレル(前年同月比1.5%程度の増加)と速報値(日量1,916万バレル、前年同月比2.7%程度の増加)からは下方修正された(図9参照)。これはガソリGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 5 ? 搭yび「その他の石油」の範疇の需要が速報値から確定値に移行する際に下方修正された(「その他の石油」の需要は速報値では日量361万バレルであったが確定値では日量310万バレルとなっている)ことが影響していると考えられる。また、2014年3月の米国石油需要(速報値)は日量1,847万バレルと前年同月比で0.2%程度の増加となっているが、これは、ガソリンや留出油需要が前年同月比でそれなりに増加している反面、プロパン/プロピレン及び重油の需要が前年同月比で相当程度減少していることにより相殺されたことによるものである。プロパン/プロピレンは米国への寒波到来等に伴う需給逼迫懸念の増大で2月には価格が前年同月比で70%程度上昇、3月時点においてもなお前年同月を20%弱程度上回る状況にあったなど、割高感が出ていたことに加え、冬場の暖房シーズンの伴う暖房用石油製品需要期も残り少なくなってきたことが当該需要減少に寄与していると考えられる(但し3月においてもしばしば気温が平年を割り込む状況が見受けられるので、この需要は確定値に移行する段階で上方修正される可能性があるので注意が必要であろう)。重油については、全体として近年船舶の燃費効率の改善や天然ガス等他のエネルギーへの代替が進んでいると見られ、多くの月で前年割れの状況が続いており、それが3月においてもあてはまっているものと考えられる。他方、米国への原油輸入量は前年同期と比べ減少傾向が続いているものの、米国内でのシェールオイルの生産が堅調である一方で、原油精製処理量が伸び悩んだこともあり、米国全体でも原油在庫は増加傾向となっており、4月初旬においても量としては平年幅の上限を超過している(図10参照)。なお、原油在庫が平年幅を超過、ガソリン在庫が平年幅上方付近に位置し、留出油が平年並みの在庫量となっていることから、原油とガソリンを合計した在庫、そして原油、ガソリン及び留出油を合計した在庫は、いずれも平年幅を超過する状態となっている(図11及び12参照)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 6 ? 2014年3月末のOECD諸国推定石油在庫量の対前月末比での増減は、原油については、欧州では需要不振と域外からの石油製品流入に伴い、精製利幅が確保できなくなったこともあり、製油所での稼働が低下したことにより原油調達も不活発になったと見られることから微減、日本では春場のメンテナンス作業シーズン突入により製油所での原油精製処理量が減少し始めたことと併せ原油在庫水準が低下Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 7 ? オた一方で、米国では相当程度の増加となり、欧州や日本での在庫減少を相殺して余りある状態であったことから、OECD諸国全体として原油在庫は増加となり、量としては平年幅上限付近に位置している(図13参照)。製品在庫については、米国ではガソリン在庫が減少したことが影響し製品全体でも在庫は減少、また、欧州や日本でも製油所の稼働低下に伴い製品の生産活動が不活発になったことにより在庫水準が低下したことから、OECD諸国全体としても石油製品在庫は減少となった結果、平年幅の下方付近に位置する量となっている(図14参照)。なお、原油在庫が平年幅の上限付近に位置する一方で石油製品在庫が平年幅の下方付近に位置する水準となっていることから、原油と石油製品を合計した在庫は平年並みの量となっている(図15参照)。また、2014年3月末時点でのOECD諸国推定石油在庫日数は56.6日と2月末の推定在庫日数である56.7日から若干減少している。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 8 ? シンガポールでのガソリンやナフサといった軽質製品在庫は、3月12日の1,300万バレルから4月2日(なお4月9日時点での統計は本稿執筆時点では発表されていない、これは他の製品についての同様である)には1,150万バレル程度と減少傾向を示した。米国での夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期到来を控え米国にガソリンを輸出する欧州でナフサのガソリンへの混入が活発化していることにより、欧州からアジア方面へのナフサの流れが鈍化していることが、シンガポールでの当該在庫減少の一因であると見られる。他方、アジア地域でも製油所が春場の製油所メンテナンス作業シーズンに突入することにより、製油所でのガソリン生産の低下と国外からの当該製品輸入手当の活発化に対する市場の観測が強くなっていることもあり、ガソリンの価格は上下に変動しながらも概ね2~3月時点に比べて相対的に堅調な状態であった他、地域内での製油所のメンテナンス作業等による操業停止に伴う供給の低下懸念に加え欧州からのナフサ流入鈍化もあり、ナフサの価格についても2~3月に比べて相対的に堅調に推移した。 シンガポールの中間留分在庫は3月12日の1,000万バレル余りの量が3月26日には1,150万バレル程度にまで増加したもののその後減少、4月2日には1,050万バレル程度となるなど、多少の増減は見られたものの、1,000万バレルは維持されるという結果となっている。ただ、実際にアジア地域における製油所のメンテナンス作業の影響は在庫には出ていないと見受けられるものの、今後製油所のメンテナンス作業が活発化するにつれ、域内製油所からの中間留分の供給が低下するとともに、低下した製油所での生産の代替として国外からの調達が旺盛になることに伴い、相対的に当該製品需給が引き締まる方向に向かうのではないかとの観測が市場で発生していることもあり、例えばシンガポールの軽油価格は3月中旬以降原油価格と比べ若干ながら上昇の度合いが強くなる傾向が見られる。 シンガポールの重油在庫は3月12日の1,950万バレル弱から一時1,800万バレル台半ば程度にまで低下したものの、その後大幅に回復し4月2日時点では2,200万バレル弱の水準となった。需要が低Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 9 ? タしていることに伴い価格が相対的に低水準となっている西側諸国から価格の高いシンガポール市場へと重油が流入してはいるものの、シンガポールにおいても船舶用燃料需要が必ずしも好調ではない(これについては、船舶における燃費効率の改善が一因となっている可能性がある)ことが、重油在庫の積み上がりに寄与していると考えられる。そして、このように供給が根強い一方で需要が旺盛ではないことから、一時は在庫の減少により価格面で原油に比べて相対的に堅調さを見せた重油価格は、在庫増2014年3月中旬から4月中旬にかけての原油市場においては、クッシングから米国メキシコ湾岸地域への原油パイプラインの輸送能力増強見通しに伴う、市場でのクッシングでの原油在庫減少観測の増大に加え、米国でのガソリン在庫の減少、景気回復を示唆する米国経済指標類の発表の一方で同国金融当局による早期の金利引き上げに対する市場の懸念の後退、ウクライナでの新たな親ロシア派勢力の活動活発化と西側諸国及びロシアとの対立激化に対する市場の不安感の再燃から、3月14日の終値では1バレル当たり99ドル弱であったWTIは4月11日には終値で103ドル台後半となるなど、総じて上昇傾向を示した(図16参照)。 2014年3月中旬から4月中旬にかけての原油市場等の状況 . 2加と前後して原油価格に比べて軟調になった。 3月16日に実施された、ウクライナのクリミア自治共和国における、ロシアへの編入の是非を問う住民投票で、ロシアへの編入が承認されたことを受け、3月17日に、米国政府や欧州連合(EU)が、クリミア自治共和国のロシアへの編入承認を支援したとされるロシアやウクライナ旧政権関係者等に対して、資産凍結や渡航禁止といった制裁の発動を決定したことについて、ロシアからの石油輸出等への影響は軽 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 10 ? ナあるとの認識が市場に広がったことで、3月17日の原油価格の終値は1バレル当たり98.08ドルと前週末終値比で0.81ドル下落した。ただ、翌18日には、この日Enterprise Products PartnersがSeawayパイプライン拡張部分(米国オクラホマ州クッシング~テキサス州フリー・ポート、輸送能力日量45万バレル)が5月後半~6月前半の時期に完成する旨発表したことで、この先クッシングの原油在庫減少傾向が一層強まるとの観測が市場で発生したことに加え、3月19日も、前日のSeawayパイプライン拡張部分の完成見通し発表に伴うクッシングの原油在庫減少に対する市場の観測を引き継いだうえ、3月19日に米国エネルギー省(EIA)から発表された同国石油統計でクッシングの原油在庫が7週連続で減少している旨判明したことから、原油価格は3月18~19日の2日間で併せて1バレル当たり2.29ドル上昇、3月19日の終値は100.37ドルとなった。ただ、3月20日には、3月18~19日に実施された米国連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、イエレン米国連邦準備理事会(FRB)議長が2014年秋にはFRBによる債券購入は終了し、その6ヶ月後には金利を引き上げ始める旨示唆したことから、3月19日に引き続き3月20日にも米ドルが上昇したことにより、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.94ドル下落し終値は99.43ドルとなった(なお、ニューヨーク商業取引所(NYMEX)でのWTIの4月渡し原油先物契約取引はこの日を以て終了したが、5月渡し原油先物契約価格のこの日の終値は98.90ドル(前日終値比0.27ドル下落)であった)。3月21日には、原油価格の終値は1バレル当たり99.46ドルと前日終値比で0.03ドルの上昇にとどまったが、これは、前日の4月渡し原油先物契約価格の終値と3月21日の5月渡し原油先物契約価格の終値を比較したことによるためであり、5月渡し先物契約価格同士の比較では前日終値比で0.56ドルの上昇となった。そして、この日の原油価格の上昇は、3月21日にロシアのプーチン大統領がウクライナのクリミア自治共和国をロシアに編入する法律に署名し、同自治共和国のロシア編入手続きを完了した一方で、この日EUが首脳会議で資産凍結や渡航禁止対象者を12人追加するといったロシアに対するさらなる制裁を決定し同日発動したことから、ロシアと欧米諸国との対立が激化するとの不安感が市場で発生したことによる。 また、3月22日にヒューストン運河(Houston Ship Channel)において重油を輸送していた艀が貨物船と衝突、重油4,000バレルが流出したことにより、その重油回収のために同運河が閉鎖された(3月27日には平常の船舶航行が可能となったと伝えられる)ことから、運河内陸部に点在する製油所での原油調達に支障が発生し、その結果製品供給が減少するのではないかとの懸念が市場で発生したことから、週明け3月24日の原油価格は前週末終値比で1バレル当たり0.14ドル上昇し終値は99.60ドルとなったものの、3月25日には、3月26日にEIAから発表される予定の同国石油統計(3月21日の週分)で原油在庫が増加しているとの観測が市場で発生したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり99.19ドルと前日終値比で0.41ドル下落している。しかしながら、3月26日には、この日EIAから発表さGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 11 ? 黷ス同国石油統計でクッシングでの原油在庫が8週連続で減少した他ガソリン在庫が前週比で510万バレルの減少と市場の事前予想(同120~180万バレル程度の減少)を上回って減少していた旨判明したことに加え、同じくこの日米国商務省から発表された2月の同国耐久財受注が前月比2.2%の増加と市場の事前予想(同0.8~1.0%の増加)を上回ったこと、3月27日も、前日にEIAから発表された同国石油統計でクッシングの原油在庫が8週連続で減少していた他ガソリン在庫が市場の事前予想を上回って減少していた旨判明した流れを引き継いだうえ、3月27日に米国商務省から発表された2013年10~12月期の同国国内総生産(GDP)(確定値)が前期比で年率2.6%の増加と2月28日に発表された改定値(同2.4%増加)から上方修正されたこと、同じく3月27日に米国労働省から発表された同国新規失業保険申請件数(3月22日の週分)が31.1万件と前週比で1.0万件減少、2013年11月29日の週(この時は30.5万件)以来の低水準となった他、市場の事前予想(32.3~32.5万件)を下回ったこと、3月28日には、この日米国商務省から発表された 2 月の同国個人消費支出(PCE:Personal Consumption Expenditures)が前月比で0.3%の増加と2013年11月(この時は同0.6%の増加)以来の高い増加率となったことにより、原油価格は3月26~28日の3日間で併せて1バレル当たり2.48ドル上昇し、3月28日の終値は101.67ドルとなった。 3月31日には、前日(3月30日)のケリー米国務長官とラブロフ露外相との会談の後、3月31日にロシア国防省が、ウクライナ東部国境地帯に集結していたロシア軍の一部撤収を開始した旨発表したことで、ウクライナを巡る欧米諸国及びロシアとの対立に対する市場の懸念が後退したことが、原油相場に下方圧力を加えた一方で、イエレンFRB議長が3月31日の講演で、米国労働市場等が依然として相当緩慢であることから、金融当局による金融支援は当面必要である旨の認識を示したことで、早期の利上げに対する市場の懸念が後退したことにより、この日の米国株式相場が上昇したことが、原油相場に上方圧力を加えた結果、3月31日の原油価格の終値は1バレル当たり101.58ドルと前週末終値比で0.09ドルの下落にとどまった。また、4月1日には、この日英大手金融機関HSBCと英金融情報サービス会社マークイットから発表された3月の中国製造業購買担当者指数(PMI)(確定値)(50が当該部門拡大と縮小の分岐点)が48.0と3月24日から発表された速報値(48.1)から下方修正されたこと、同じく4月1日に米国供給管理協会(ISM)から発表された3月の同国製造業景況感指数(50が当該部門拡大と縮小の分岐点)が53.7と市場の事前予想(54.0)を下回ったこと、4月2日にEIAから発表される予定の同国石油統計(3月28日の週分)で原油在庫が増加しているとの観測が市場で発生したこと、翌2日には、この日にリビア政府が今後2~3日中に東部地域の石油ターミナルでの操業再開に向け当該地域の部族との間で合意に至る可能性がある旨明らかにしたことで、同国からの石油供給増加観測が市場で発生したことに加え、4月2日に企業向け給与計算サービス会社オートマチック・データ・プロセッシング(ADP)がGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 12 ? ュ表した3月の米国民間部門雇用者数が前月比で19.1万人の増加と2013年11月(この時は同24.5万人増加)以来の高い伸びとなったうえ、同日米国商務省から発表された2月の同国製造業受注額が前月比で1.6%の増加と市場の事前予想(同1.2%の増加)を上回ったこともあり、米ドルが上昇したことから、原油価格は4月1~2日間の2日間併せて1バレル当たり1.96ドル下落、4月2日の終値は99.62ドルとなった。ただ、4月3日にはリビア東部地域のZwaitina石油ターミナルを数日中に同国政府に引き渡すことで当該地域の部族と政府が合意したとのこの日の報道に対して東部地域の部族がそれを否定した旨同日報じられたことで、同国の石油供給増加が間近に迫っているとの観測が市場で後退したことに加え、4月4日には、この日米国労働省から発表された3月の同国非農業部門雇用者数が前月比で19.2万人の増加と市場の事前予想(同20.0万人の増加)とほぼ一致した他、2月も同19.7万人の増加と3月発表時点(同17.5万人の増加)から上方修正されたことで、同国経済の改善と石油需要増加に対する期待が市場で増大したことで、4月4日の原油価格の終値は1バレル当たり101.14ドルと、原油価格は4月3~4日の2日間併せて1.52ドル上昇した。 4月7日には、前日(4月6日)にリビア政府が、東部地域の石油ターミナル4ヶ所を封鎖している部族との間で、封鎖を解除していくことで合意したことで、同国からの石油供給が増加するとの観測が市場で増大したことに加え、4月8日夕方より始まる2014年1~3月期企業業績発表を前にして市場に警戒感が発生したこともあり、米国株式相場が下落したことから、この日の原油価格は前週末終値比で1バレル当たり0.70ドル下落、終値は100.44ドルとなった。しかしながら、ウクライナのドネツク州で4月6日に親ロシア派勢力が州庁舎を占拠したうえで、4月7日にドネツク人民共和国の設立を宣言したことから、ウクライナを巡る西側諸国とロシアとの間での対立が深刻化するのではないかとの懸念が4月8日に市場で増大したこと、4月9日にEIAから発表される予定の同国石油統計(4月4日の週分)でクッシングでの原油在庫及びガソリン在庫が減少しているとの観測が市場で増大したこと、4月7日にコンスタンシオ欧州中央銀行(ECB)副総裁が追加金融緩和措置導入の前に中期的な物価上昇展望を検討する必要がある旨発言した他、4月8日にECB理事会委員であるバイトマン独連邦銀行総裁が必要であれば緩和的金融政策を実施することは妥当と考えるもののその実施には慎重な検討が必要である旨発言したこともあり、ECBの追加金融緩和実施に対する観測が市場で後退したことから、ユーロが上昇した反面米ドルが下落したこと、翌9日には、この日EIAから発表された同国石油統計でガソリン在庫が前週比519万バレルの減少と市場の事前予想(同73~130万バレル程度の減少)を上回って減少していることが判明したうえ、4月9日に発表されたFOMC議事録(3月18~19日開催分)で、FRBの示した金利見通しに対して市場が金利引き上げ速度の面で過剰に反応するのではないかとの懸念が一部委員から示されていた旨明らかになったことで、米国金融当局による早期の利上げに対する不安感が市場で低下したこともあGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 13 ? 閨A米国株式相場が上昇した一方で米ドルが下落したことから、4月9日の原油価格の終値は1バレル当たり103.60ドルと原油価格は4月8~9日の2日間合計で併せて3.16ドル上昇した。また、4月10日には、この日中国税関総署から発表された3月の同国輸出額が前年同月比で6.6%の減少と市場の事前予想(同4.8%増加)を下回ったことに加え、4月10日正午(現地時間)を以てリビア国営石油会社NOCがHariga石油ターミナルにおける不可抗力条項適用を停止したことで、同国からの石油輸出増加観測が市場で発生したこと、4月10日に発表されたOPECによる月刊オイル・マーケット・レポートで対OPEC原油需要が下方修正されている旨明らかになったことから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.20ドル下落、終値は103.40ドルとなったものの、翌11日には、この日発表された4月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)(1966年=100)が82.6と3月の80.0から上昇し2013年7月(この時は85.1)以来の高水準に到達した他市場の事前予想(81.0)を上回ったことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり103.74ドルと前日終値比で0.34ドル上昇している。 . 今後の見通し等 4月8~9日にウィーンで開催された、イランのウラン濃縮活動を巡る西側諸国等(国連安全保障理事 3会常任理事国5ヶ国にドイツを加えた計6ヶ国)との間での第3回の協議では、次回の協議を5月13日にウィーンにおいて開始することを決定して終了した。また、今回実施された交渉においては、7月20日の交渉期限に向け5月には最終合意案の起草作業を開始する方針であるものの、なお、草案内容の半分については現時点でも双方の意見に隔たりがあることが明らかになっている。また、ウクライナ問題を巡るロシアと西側諸国との対立に伴い両者間でのイランに対する姿勢についての足並みが乱れ始めているように見受けられることもあり、当該問題のこの先の成り行きに関しては依然不透明性が払拭できない状態となっている。このため、イランについては原油相場に対して押し下げる圧力が加わる可能性は低いと考えられ、むしろ少なくとも当面は価格下支え要因として作用するものと考えられる。このように不安要素は存在するものの、一方で、イランと西側諸国等との間での関係が極度に悪化しているわけでもなく、石油供給途絶の可能性が以前と比べて相当程度高まっているわけでもないので、原油相場を強力に押し上げるという力も乏しいものと考えられる。 リビアについては、4月6日にリビア政府が、東部地域の石油ターミナル4ヶ所を封鎖していた部族との間で、Hariga(石油出荷能力日量11万バレル)及びZwaitina(同8万バレル)の両石油輸出ターミナルについては即座に封鎖を解除し操業を再開、残りのEs Sider(同34万バレル)及びRas Lanuf(同22万バレル)の両石油輸出ターミナルについては2~4週間中に操業を再開すべく部族との間で協議をしていくことで合意したと伝えられる。そして4月10日正午(現地時間)を以てリビア国営石油会社NOCがGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 14 ? ariga石油ターミナルにおける不可抗力条項適用を停止したことで、市場では同国からの石油供給増加観測が増大しており、原油相場に変動を来す一因となっている。ただ、リビアについては、石油ターミナルの操業に関し、これまでしばしば操業を再開するという情報が流れたものの、2013年7月下旬以降実際同国での石油ターミナルの操業は再開後持続したという実績がなく、その結果、石油市場関係者のリビア石油供給に対する信頼感が著しく低下する状態となっている。このようなことから、リビアについては、本当に石油ターミナルの操業再開が確認されるとともに、石油供給が実際に増加し、さらにその状態が持続することにより、石油市場関係者が、もはやリビアに関する地政学的リスクは相当程度低下したと確信を持てるようになるまでは、原油相場に継続的に下落圧力を加えにくい状況となっていると言え、この面では今後も東部地域の石油ターミナルの操業状況につき注視していく必要があろう。 図17 リビア東部の港湾稼働状況(4月11日現在) 出所:各種資料をもとに作成 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 15 ? Eクライナ情勢については、3月30日のケリー米国務長官とラブロフ露外相との会談の後、3月31日にロシア国防省が、ウクライナ東部国境地帯に集結していたロシア軍の一部撤収を開始した旨発表したこともあり、一時小康状態になったものの、その後クリミア半島のみならず、同国東部のドネツク州でも親ロシア勢力が4月6日に州庁舎を占拠したうえ、翌7日にドネツク人民共和国の創設を宣言するなど、混乱は拡大する傾向が見られる。ただ、特にヨーロッパとロシアは石油や天然ガスで相互に強い依存関係にあるので、ウクライナ情勢を巡る西側諸国とロシアとの対立の激化により、ロシアからの石油供給が途絶する可能性は低いと市場では引き続き考えられている。しかしながら、他方で、ロシアと西側諸国等との意思疎通の失敗から、石油供給途絶が全く発生しない、という保証もないことから、同時に原油相場が下支えされる格好となっている。そして、ドネツク州に関する問題が発生して以降は、相対的にウクライナを巡る地政学的リスクが増大したと市場が認識し、原油相場に上方圧力を加える格好となっている。今後も同国情勢を巡る米国等西側諸国とロシアとの関係については、明確に改善する兆候が見られないと、少なくとも当面は原油相場を下支えし続けることになるであろう。 米国では経済指標類の発表に加え、4月8日夕方のアルコアから2014年1~3月の米国等の企業業績発表シーズンに突入している。このような経済指標類や企業の発表する業績が直接的に、もしくは株式相場を変動させることにより間接的に、原油相場に影響する可能性が考えられる。ただ、これらについては、原油相場に対して相反する力が作用する。つまり、経済状態が改善しつつあることを示唆する経済指標類が発表されれば、市場での米国での景気回復と石油需要増加の観測から原油相場に上方圧力が加わる一方で、米国金融当局による金融緩和策縮小加速観測が増大することで、原油相場に下方圧力が加わりやすくなる。また、経済状態が悪化しつつあることを示唆する経済指標類は、市場での景気減速と石油需要鈍化の観測から原油相場に下方圧力が加わる一方で、米国金融当局による金融緩和策縮小加速観測が後退することで、原油相場に上方圧力が加わりやすくなる。このため、米国等での経済指標類は原油相場を変動させることはあっても、上下傾向を形成する可能性は高くないものと考えられる。他方、イエレンFRB議長をはじめ米国等の金融当局関係者等の発言でも、米国等での金融政策に関する観測が市場で発生することにより、直接的に、もしくは米ドル為替相場を通じて間接的に、原油価格に影響を与えることが想定される。また、中国でも今後2014年1~3月期のGDPや鉱工業生産、及び小売売上高が発表される予定であるが、ここでこれら数字が良好であれば、原油相場に上方圧力を加える可能性があるが、4月10日に中国税関総署から発表された3月の同国輸出額が前年同月比で6.6%の減少と市場の事前予想(同4.8%増加)を下回るなど、同国経済が減速基調にあることが示唆されており、GDPについても、このような要素を織り込んでくることもありうる。しかしながら、今後は中国経済が減速しつつあることを経済指標類が示していても、中国政府による景気刺激策実施がより間近に迫Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 16 ? 驍ニいう観測が市場で強まることで、原油相場の下落幅を抑制してくることも考えられる。 米国では今後夏場のドライブシーズンに向けたガソリン需要期(最終消費部分では2014年は5月24日~9月1日とされる)を控えており、製油所が春場のメンテナンス作業を終了し、稼働を上昇、原油精製処理量が増加するとともに、原油購入を活発化させていくことが考えられる。このため、これまではクッシングでの原油在庫が減少する反面米国メキシコ湾岸地域での原油在庫が増加していれば、クッシングでの原油在庫がパイプラインを通じて米国メキシコ湾岸地域に移動しただけと市場では認識されがちであり、その結果原油相場への影響が限定的となった場面も見られたが、今後はクッシングの原油在庫も減少傾向になるうえ、米国メキシコ湾岸地域での原油在庫も伸び悩み気味となることもありうることから、この面で原油相場、特にWTIに上方圧力を加えてくる可能性がある。他方、4月8日には国際通貨基金(IMF)による世界経済見通しが発表され、2014年の世界経済成長予想を年率3.6%と前回の見通し(2014年1月21日発表)の3.7%から下方修正している(なお、2015年は同3.9%で据え置かれた)。このため5月に発表される予定のEIA、OPEC及びIEAによるオイル・マーケット・レポートの類では、世界石油需要が下方修正される可能性があり、この面で原油相場に影響を及ぼすことも想定される。 全体としては、当面(この先1ヶ月程度)は、地政学的リスク要因が下支えしつつ(勿論ウクライナ等で武力衝突等新たな展開が発生すれば、それは原油相場にとっての上振れリスク要因となりうる)、夏場のガソリン需要期到来が市場で意識されることから、原油相場には上方圧力が加わりやすい展開となるものと考えられる。そのような中で、米国や中国から発表される経済指標類等により原油相場が変動してくものと思われる。 . 世界天然ガス市場動向 米国では、平年を下回る気温が引き続きしばしば訪れた結果、民生用(つまり暖房用)天然ガス需要 4が前年同月比で増加、それが同国の天然ガス需要全体を牽引する結果となった(暖房用エネルギー需要という観点からは2013年12月~2014年2月の米国は1981~1982年の同時期以来の厳しい寒さであったとの指摘もある)(図19参照)。一方で天然ガス生産は、北東部ではMarcellusシェール鉱床での増産が寄与し若干増加傾向にあるが、依然天然ガス価格が安定的に開発・生産コスト(概ね100万Btu当たり4~6ドル程度とされる)を上回るようにはなっていないことから、2010~11年に示されたような目覚ましい国内天然ガス生産の増加傾向は見られておらず、また、以前と比べれば若干上方修正されてはいるものの、2015年にかけての同国での天然ガス生産見通しにおいても、比較的緩やかな増加と展望されている(図20参照)。このように、米国では冬場の寒波に伴う天然ガス需要が旺盛であった(なお、それでも2012年4月に見られたような100万Btu当たり2ドルを割り込む価格からは上昇してきたこともあGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 17 ? 閨A発電部門においては、天然ガス価格が石炭と比べて相対的に競争力が低下したことから、当該部門における天然ガス需要は前年同月比で減少する場面も見られるようになっているが、暖房用天然ガス需要がそれを相殺して余りある状況となっている)一方で、国内の天然ガス供給の伸びが比較的緩やかであったことから、同国での天然ガス在庫は減少を続け、需給はさらに引き締まることになった(図21参照)。米国の冬場の暖房シーズン終了時(米国での冬場の暖房シーズンは11月1日~翌年3月31日とされる)である3月28日時点の地下貯蔵量は8,260億立方フィートと冬場の暖房シーズン突入当初(11月13日発表)時の予想である1兆8,820億立方フィートの40%強程度という、冬場の暖房シーズン終了時前後としては2003年4月11日(この時は6,420億バレル)以来の低い水準にまで減少した。また、3月28日時点での天然ガス貯蔵量は過去5年平均のそれを約55%下回っているが、これは米国での週間天然ガス貯蔵統計(1993年末以降)史上で最大の割り込み率である(但し2005年以前は過去5年平均値の計算方法が現在のそれとは異なるのでこれは推定によるものである)。このように米国での天然ガス需給が引き締まる傾向となったことから、同国での天然ガス価格も上昇、2月19日には100万Btu当たり6.149ドルという、終値としては2008年12月3日(この時は同6.347ドル)以来の高水準に達した他、2月24日には一時同6.493ドルと、こちらも2008年12月2日(この時は同6.659ドル)以来の高価格となる場面も見られた(図22参照)。また、米国北東部に厳しい寒波が訪れた1月21日には、ニューヨーク等一部地域で天然ガス需給逼迫懸念が高まった結果スポット価格が終値ベースで100万Btu当たり120ドルを突破するなどの記録的な価格水準に到達する場面も見られた(なお、当該地域のスポット天然ガス価格は4月11日現在概ね4ドル程度、もしくはそれ以下の水準にまで下落している)。ただ、発電部門における石炭コストは100万Btu当たり4.5ドル前後になっていると推定される(図23参照)ことや冬場の暖房シーズンに伴う天然ガス需要期も終了に近づいてきたことから、2月末以降は米国での天然ガス価格も発電部門における石炭コストと互角となる水準である100万Btu当たり4.5ドル前後で推移するようになっている。ただ、次の冬場の暖房シーズン突入時に、例えば2013年並みの天然ガス貯蔵量(3兆8,000億立方フィート程度)に到達するためには、今後1週当たり1,000億立方フィート(1日当たり140億立方フィート)と前年の700億立方フィート(同100億立方フィート)の約1.4倍程度の割合で貯蔵を行わなければならない。その一方で夏場の気温によっては冷房のための発電向け天然ガス需要が増加する恐れもある。加えて、米国の天然ガス価格が発電部門での石炭コストを大きく下回って推移するようになれば、当該部門において石炭から天然ガスへの燃料転換が促進されることにより天然ガスの需要が増加、それにより貯蔵量の増加速度が鈍化し、その結果いつまでも市場で需給引き締まり感が継続することになり、この面で価格に上方圧力を加えてくることが想定される。このような状況から考えると、米国での天然ガス価格は、夏場の気温がそれほど上昇せず、従って発電部門向け天然ガス需要が盛り上がらず、その結Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 18 ? ハ冬場の暖房シーズン突入時にそれなりの貯蔵量を確保できると市場が確信を持てるようになるまでは、現状(つまり100万Btu当たり4.5ドル前後)から大幅に下落する余地はそれほど大きくはないものと考えられる。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 19 ? 一方、欧州では、トルコ等一部地域で一時期気温が平年を下回る状態となった場面も見られたものの、概ね冬場の大部分を通じて暖冬であった(図24参照)。このようなこともあり、2013~14年の冬場の暖房需要期終盤には、前年同期の倍程度の天然ガス在庫水準を確保できている(図25参照)。このように欧州は米国と異なり天然ガス需給が比較的緩和状態であったことから、3月初めにはウクライナのクリミア情勢を巡るロシアと西側諸国との対立に伴うロシアからの天然ガス供給途絶懸念が市場で高まったことにより、天然ガス価格が一時急反発する場面も見られたものの、価格は総じて下落傾向になり、例えば英国では、2013年12月初旬には100万Btu当たり12ドル程度であったものが、4月初めには同8ドル程度となった(それでもウクライナ東部のドネツク州での親ロシア派勢力による州庁舎占拠により、同国情勢を巡る市場の懸念が再燃したこともあり、4月11日には同8.7ドル程度にまで価格は戻ってきている)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 20 ? 他方、アジアについては、韓国で、安全装置に使用されている部品につき性能確認試験結果書類が偽造されていた旨発覚したことにより停止した原子力発電所が1月に稼働を再開したものの、稼働停止時の代替発電燃料として天然ガスが調達されていたこともあり、同国のLNG輸入量は2014年1~2月は若干ながら前年同月を上回る水準で推移した(図26参照)。他方、日本においては、2014年1~2月のLNG輸入量は概ね前年並みという状況であった。しかしながら、1月後半~2月前半には気温が平年を割り込むとの予報が発表されたこともあり、LNG在庫の再充填のための調達が活発化したことに加え、ブラジルでは渇水のため水力発電所の稼働が低下、その代替として天然ガス火力発電所向けLNG需要が増加した一方で、エジプトやアンゴラ等でLNG出荷施設の稼働が低下した(エジプトでは気温の低下で本来天然ガス液化施設に向けられるはずの天然ガスが国内需要に向けられた旨伝えられる他、アンゴラLNGについては資機材上の支障で2015年まで当初能力での操業は不可能である旨2014年1月Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 21 ? 1日に操業者であるChevronは明らかにしている)ことにより、LNG需給に引き締まり感が出てきたことから、アジア地域でのスポットLNG価格が2月に入って上昇、一時100万Btu当たり20ドル程度に達する場面も見られた。しかしながら、その後はアジア地域での冬場の暖房シーズンも終わりに近づいてきたことや、ブラジルでも降雨に伴い相対的に天然ガス需給逼迫懸念が後退し始めたこともあり、アジア地域でのLNGスポット価格は3月下旬には16ドルを割り込んでいる。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 22 ?
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2014/04/14 野神 隆之
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