米国のシェール革命のLNGおよびLPG輸出へのインパクト(短報)
| レポートID | 1004452 |
|---|---|
| 作成日 | 2014-05-09 01:00:00 +0900 |
| 更新日 | 2018-03-05 19:32:42 +0900 |
| 公開フラグ | 1 |
| 媒体 | 石油・天然ガス資源情報 1 |
| 分野 | 天然ガス・LNG企業 |
| 著者 | 伊原 賢 |
| 著者直接入力 | |
| 年度 | 2014 |
| Vol | 0 |
| No | 0 |
| ページ数 | |
| 抽出データ | 作成日: 2014/5/9 調査部: 伊原 賢 公開可 米国発シェール革命のLNGおよびLPG輸出へのインパクトを解説する。 (JOGMEC調査部、米国エネルギー省DOE、日本LPG協会ほか) 国のシェール革命のLNGおよびLPG輸出へのインパクト(短報) 米 2009年12月に住友商事がテキサス州のバーネットシェールガス事業に参画したのが、日本にとってのシェール革命の先鞭となった。 シェールというのは、書道で用いる「すずり」のような黒い岩で「頁岩:けつがん」と呼ぶ。1億数千万年前のシダや藻などの植物の死骸が地下に堆積し、それに圧力がかかって温度が高くなると、有機物が炭化水素に変わる。炭化水素のもとになるので「石油根源岩:ソースロック」とも言う。この岩の隙間に取り残されている油やガスを取り出せるようになってきた。10-9m(ナノメートル)と微小な隙間に閉じ込められている炭化水素である。 隙間の10分の1くらいの大きさ(10-10m:1オングストローム)がメタン分子の大きさだが、それが10倍程度のところに収まっていると動けない。では、どうやって動かすかというと、隙間を大きくする。その隙間を100倍(10-7m)にすると、ガスが自然と流れる状態になる。シェール層にあるナノレベルの狭い隙間では、ガスの圧力が低くなっても、分子1個1個がその壁を跳ね返りながら進む「クヌーセン拡散」と呼ばれる現象が起き、流れやすくなることも最近分かってきた。シェールガスの開発当初1990年頃は、数%しかガスを回収できないと考えられていたが、この自然現象のおかげもあって、シェールガスの商業生産は加速化した。 さて、地下で炭化水素ができた場合、この石油根源岩の中にとどまっているものは80%程度である(図1)。残り20%の炭化水素が地下で加えられた圧力と温度によって非常に長い時間をかけて、中近東やロシアに代表される「在来型の油・ガス田」に移動していくわけだ。途中寄り道をするということで、20%のすべてがここにたまるわけではない。では、どのくらいが石油根源岩から地下から採り出しやすい「在来型の油・ガス田」に移動するのかというと、その1割(全体の2%)だ。この2%に対して20世紀Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 1/5 . シェール革命とは何か 1 ワで、どれくらい地上に取り出せるのかというと油の場合35%程度だ。2%の35%というと0.7%になる。 出所:各種資料より、伊原賢作成 図1 在来型の油・ガス田とシェールオイル・シェールガスの起源と生成 方、最近米国でシェールオイルというものが取り出せるようになってきた。どれくらいのものが取り 一出せるのかというと7%といわれる。シェールという石油根源岩にとどまっている炭化水素80%に7%を掛けると、5.6%である。ここで強調したいのは、5.6%を0.7%で割ると8になる。今まで我々は気にしていなかった、資源にはならないといわれた石油根源岩を割ったり、溶かしたりすれば、8倍の石油がとれるかもしれない。これが石油採掘技術から見たシェールの持つインパクトなのだ。 2. 米国からのLNG輸出計画の背景 米国では近年、シェールガスが大量に採掘されたことで、国内の天然ガス価格が大幅に下落し、電力や化学産業の燃料や原料のコスト削減や雇用創出、資源輸入の減少など革命的な影響をもたらしつつある。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 2/5 齦禔A日本は輸入原油価格(約100ドル/バレル)に連動した液化天然ガス(LNG)輸入価格の高騰に加え、原子力発電所の停止による代替火力発電燃料としてのLNG輸入量急増により、貿易赤字に転落し、電力料金値上げを強いられている。液化・輸送コストを勘案しても日本の7割程度と安く、ガス自体の需給で価格が決まる米国のシェールガスを輸入すべく、日本のガス会社や商社などがシェールガス由来LNGプロジェクトに参画したり、上流権益を取得したりしている。 2013年5月第3週には米国エネルギー省(DOE)の長官にモニツ氏が就任し、ガス対日輸出へ期待が高まった。DOEは2013年5月に自由貿易協定(FTA)を結んでいない日本に対してLNGの輸出(フリーポートLNG基地:大阪ガス、中部電力、東芝が参画)を認めた。なぜか。それはシェールガスの利害関係者の中でも、輸出に前向きな関係者のほうが優勢だったからだ。ガスの開発者やLNG基地の運営者は、輸出拡大による需要増で価格が上がれば潤う。州政府もガス輸出・生産拡大による税収増、雇用増への期待が大きい。一方、輸出拡大に反対なのがダウ・ケミカルを始めとする石油化学産業で、原料のガス価格上昇を警戒している。ただ、シェールガス生産本格化前の価格が今の3倍前後だったことを考えれば、多少の値上がりは許容範囲だろう。 遡ってDOEは2012年12月5日、LNG輸出問題に関して外部に委託して作成したレポートを公表した。「いかなるシナリオでも、米国にとってLNG輸出はプラス効果がマイナス効果を上回る」と述べた。日本には追い風の内容であり、レポートへの75日間のパブリックコメント受付が終了して2013年2月末以降のDOEの対応が注目された。日本の企業が参画する米国内のLNG生産は2017年からとはいえ、2013年5月にフリーポートLNG基地からの日本へのLNG輸出が許可されるだけで、インドネシア、カタル、オーストラリアといった産ガス国からのLNG輸入契約の更新交渉にも大きな影響を与えた。2014年4月時点の米国から日本へのLNG輸出計画を表1にまとめた。 年1720万トンと日本のLNG需要の2割確保は朗報だろう。しかし、DOEの次には、連邦エネルギー規制委員会FERCに輸出やLNG液化基地建設の許可を求める申請の費用だけでも約1億円とばかにならないことも頭の片隅に置かねばならない。隣国カナダのLNG輸出計画は米国に比べ遅れているが、2020年頃までに2件がLNG生産を始める見込みだ。米国の天然ガス価格は採掘コストが徐々に上昇し、2020年までに百万BTU(英国熱量単位=25.2万キロカロリー)当たり5~6ドル、2025年までに7ドルまで上がると見るが、日本着のLNG価格は液化コスト(3ドル)、タンカーによる輸送コスト(3ドル)を加味しても13ドルを上回ることは考えにくい。今年3月に緊迫したウクライナ情勢においても、米国からの天然ガス輸出検討は、同国を通じて欧州へパイプラインでガスを輸出しているロシアへの一つの外交カードになりうるとの指摘もあった。しかし、欧州のガス指標価格はアジアより4割ほど安く、売り手にとって収益が低く魅力に欠ける。政治的な思惑とは裏腹に、民間企業が欧州市場で米国産LNGの販売Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 3/5 」進するのは容易ではなかろう。 表1 米国から日本へのLNG輸出計画(2014年4月末現在) 出所:米国エネルギー省DOEほか情報より、伊原賢作成 LNG基地 フリーポート コーブポイント キャメロン 場所 テキサス州 キンタナ・アイランド メリーランド州 カルバート郡ラスビー ルイジアナ州 キャメロンパリシュ 操業者 フリーポート社 ドミニオン社 センプラエネジー社 天然ガス液化能力 880万トン/年 【拡張】440万トン/年 天然ガス液化開始 2018年(含む拡張) 輸出期間 20年 非FTA向け輸出承認(DOE) FERC承認は未定 2013年5月17日 【拡張】2013年11月15日 575万トン/年 1200万トン/年 2017年 20年 2017年 20年 2013年9月11日 2014年2月11日 日本企業のLNG引き取り契約 計 1720万トン/年 大阪ガス 220万トン/年 中部電力 220万トン/年 【拡張】東芝 220万トン/年 住友商事 260万トン/年 (内 東京ガス 140万トン/年、関西電力 80万トン/年) 三菱商事 400万トン/年 三井物産 400万トン/年 FERC:Federal Energy Regulatory Commission(米国連邦エネルギー規制委員会) 3. 日本の液化石油ガス(LPG)業界にも変化 米国では21世紀に入るとシェールガスの採掘本格化が始まり、天然ガスを今までよりも安価で大量に得ることが出来るようになり、米国のあらゆる産業に活気を呼び戻すシェールガス革命が現れた。 シェールガスの主成分はメタンであるが、エタン・プロパン・ブタンなどの天然ガス液(NGL)も含まれている。プロパンは液化石油ガス(LPG)として消費地に送られる。シェールガスの生産増により、LPG生産も増加した(2011年500万トン)。米国エネルギー情報局(EIA)によれば、2015年には800万トンに達すると見られる。指標となるモントベルビュー渡しの価格もトンあたり400ドルに下落し、LPG大手のエンタープライズ社は余剰の米国産LPGの輸出を活発化させている。米国ではLPGは石油製品扱いとなり、戦略物質である原油のように禁輸とはならないのだ。 さて、我が国は年間約1600万トンのLPGを消費しているが、1300万トンを海外からの輸入に頼っている。サウジアラビア、カタル、アブダビといった中東諸国やオーストラリアが主な輸入先だが、その長期契約者向け出荷価格はサウジアラムコCPという通知価格であり、プロパン1トンあたり800ドル程度Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 4/5 ネ上 と高く、価格設定が若干不鮮明、アジアのLPG需給が反映されていないとの不満が、以前より我が国のLPG元売り会社には根強い。しかしながら、LPGは先物市場が整備されていないとして、LPG輸出国はサウジアラムコCPを好ましい価格としてきた。 市場の需給により価格が決まる米国産のLPGが日本に輸入されると状況は一変する。既に2012年度は46万トンが輸入された。モントベルビュー渡しがトンあたり400ドルとサウジアラムコCPの約半分だと、大西洋周りの船賃を勘案しても、日本着の輸入価格はトンあたり500ドルと中東産のLPGより安価となる。日本が輸入する1300万トンに比べ、現状の50万トン程度では日本全体に与える影響は限定的だが、米国からのLPG輸入は、その調達先の多様化につながり、サウジアラムコCPというLPG価格体系に風穴を開けることとなり、より安価なLPG獲得につながることが期待される。我が国のアストモスエネルギー社、ENEOSグローブ社、出光興産ほかは既にアクションを起こしている。日本LPG協会は、米国産LPGの日本の輸入量に占める割合を、現在の4%から2016年に20%へと高める目標を掲げている。米国産LPGの輸入拡大が、少子高齢化による国内市場の縮小という岐路に直面する我が国のLPG業界にとって朗報となるかが問われている。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 5/5 |
| 地域1 | アジア |
| 国1 | 日本 |
| 地域2 | 北米 |
| 国2 | 米国 |
| 地域3 | 中東 |
| 国3 | サウジアラビア |
| 地域4 | |
| 国4 | |
| 地域5 | |
| 国5 | |
| 地域6 | |
| 国6 | |
| 地域7 | |
| 国7 | |
| 地域8 | |
| 国8 | |
| 地域9 | |
| 国9 | |
| 地域10 | |
| 国10 | 国・地域 | アジア,日本北米,米国中東,サウジアラビア |
Global Disclaimer(免責事項)
このウェブサイトに掲載されている情報は、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性、完全性、又は適時性を保証するものではありません。また、本資料の内容は、参考資料として提供されるものであり、法的、専門的、又は投資に関する助言を構成するものではありません。したがって、本資料の利用により生じた損失又は損害について、機構は一切の責任を負いません。本資料の内容は、第三者に対する権利又はライセンスの付与を意味するものではありません。本資料に記載された見解や意見は、著者の個人的な見解であり、必ずしも機構の公式見解、政策、決定を反映するものではありません。本資料には第三者の著作物が含まれる場合があります。機構又は各著作権者の事前の書面による承諾なしに、本資料の全部又は一部を無断で複製、頒付、又は引用することは固く禁じられています。私的利用、教育利用、引用など、日本国の著作権法に基づき利用できる範囲を超えて本資料を利用する場合は、機構又は関連する著作権者からの事前の承諾が必要です。
※Copyright (C) Japan Organization for Metals and Energy Security All Rights Reserved.
PDFダウンロード480.4KB
本レポートはPDFファイルでのご提供となります。
上記リンクより閲覧・ダウンロードができます。
アンケートの送信
送信しますか?
送信しています。
送信完了しました。
送信できませんでした、入力したデータを確認の上再度お試しください。


