ページ番号1004456 更新日 平成30年2月16日

イラク:原油の生産状況と今後の見通し

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レポートID 1004456
作成日 2014-05-16 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 エネルギー一般基礎情報
著者 増野 伊登
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年度 2014
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ 更新日:2014/05/16 調査部:増野 伊登 イラク:原油の生産状況と今後の見通し (イラク石油省、KRG天然資源省、企業プレス・リリース、EIA報告書、各種報道など) ?長期的スパンで見ればイラクの原油生産は着実に伸びており、南部巨大油田の相次ぐ生産開始を背景に今後も更なる増加が見込まれる。一方北部については、パイプラインへの襲撃や原油輸出を巡るクルディスタン地域政府(KRG)との対立が足枷となり、生産量は減退している。 ?今後の見通しとしては、南部油田での増産で生産・輸出能力が拡大していくものと見られるが、それに見合う規模の出荷網と貯蔵タンクの整備が追い付かないという問題も抱えており、治安の悪化がもたらす事業の遅れや、石油収入を巡るKRGとの交渉の長期化などが、今後生産と輸出の伸び悩みに繋がることが懸念される。 ?クルド地域に関しては、KRGは原油生産を現状の約20万b/dから2015年に120万b/dに引き上げる計画であるが、パイプラインや製油所の整備が不足しており、増産目標については実現性は低いと考えられる。 ?4月末にはバルザーニKRG首相がクルド原油の販売を開始すると宣言したばかりであるが、輸出の是非を巡る中央政府との交渉が難航していることや、上流設備の拡大に対して下流設備の能力が追い付ついていないということもあり、輸出能力の拡大には時間を要するだろう。 .生産・輸出動向と今後の見通し 1(1)イラク―南部油田の増産で原油生産は伸びるも、インフラの整備が急務 ?生産・輸出量 イラク戦争以降の長期的スパンで見ればイラクの原油生産量は着実な伸びを見せており、2012年4月以来300万b/d前後で推移している。マジュヌーン油田やガラフ油田の生産開始を受けて、2014年2 月にはフセイン時代(1979年)以来の最高値を記録したとの報道が紙面を賑わしたのも記憶に新しい。2月の生産量341万b/dに対し、3月には310万b/dと多少下降したものの、Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 1 ? ヒ然として300万b/d代を維持している。イラクは、2013年のIEA報告によれば、今後20年間は世界の石油生産増大を牽引する唯一最大の国になるとされ、生産量は2035年に約800万b/dに到達すると予測されている。 一方、輸出に関しては、2月に過去35年間で最高となる280万b/d(うち南部251万)を記録している。3月は239.7万b/d(うち南部237万)と前月比で40万b/dほど減少したが、4月は250万b/dに持ち直 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 2 ? オたとの速報も見受けられる。北部ではパイプラインへのテロ攻撃や、クルド原油輸出を巡るイラク中央政府・クルディスタン地域政府(KRG)間の対立が解消せず、3月の北部からの輸出量は24,000b/dと2月の29万b/dから激減し、2006年以来の最低水準を記録した。南部からの出荷量が輸出全体量の大部 2012年にIEAが発表したイラク原油生産の中心的シナリオでは、2020年の生産量は600万b/dであるのに対し、イラク政府による統合国家エネルギー戦略の中水準シナリオにおいては、2020年に現生産量の約3倍にあたる900万b/d(プラトー生産量)に引き上げるという計画である。以前シャハリスターニ副首相が打ち出していた1,200万b/dと比較すればより現実的な路線であるとは言えるが、それでもなおきわめて野心的な数値設定であり、事実2012年以降の実際の生産レベルはイラク政府のシナリオどころか、IEAの中心的シナリオさえも下回っている。 ‘0,000 BPD IEA及びイラク政府の原油生産シナリオ比較 分を占めているのが現状である。 今後の見通し ? 【IEA world Energy Outlook 2012及びJOGMECテクノフォーラム・ガドバン首相顧問プレゼン (2013年5月)を基に作成】 これに対し、シャハリスターニ副首相は、2014年初め、900万b/d達成に向けての短期目標として、生産能力を2015年に470万b/dまで引き上げるとの意向を表明している。また、目標プラトー生産量の下方修正交渉も進んでおり、イラク政府が締結している石油開発契約上の目標生産値合計は以前の約1,200万b/dから現在のところ1,000万b/d程度にまで引き下げられ、中水準シナリオに沿った態勢づくりを進めようとするイラク側の姿勢が見て取れる。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 3 ? 。後の見通しとしては、治安が比較的安定している南部油田での増産やバスラ出荷施設の一部増強が生産・輸出能力の拡大を牽引していくものと見られ、3月末の西クルナ油田(フェーズ2)の商業生産開始に伴いイラクの生産能力はすでに4百万b/dに達しているとされる。元々の資源ポテンシャルを考えれば更なる生産量の拡大は当然のごとく予想されるが、問題はそれに見合う規模の出荷網の整備が追い付いていないという点である。また、輸送インフラの老朽化や貯蔵タンクの不足など、イラク全体として出荷能力が足りないということ以外にも、北部パイプラインへのテロ攻撃をはじめ各地で治安の悪化が開発事業の遅れをもたらしているほか、石油収入配分に関するクルディスタン地域政府(KRG)との対立によってクルド原油の輸出が停止しているなど、生産・輸出量の伸び悩みに繋がることが懸念される要素は多い。出荷インフラ増設の進捗状況やクルド原油輸出再開に向けた動きが今後注目されるが、こんな中、4月に国営North Oil Company(NOC)とKRGが、クルド・パイプラインを使用したNOC生産原油の輸出に関して基本合意に至ったとの報道が為されており、事態の進展に期待が集まる。 2014年4月に発表されたKRGの定期報告書によれば、クルド原油の生産量は2008年以降、相次ぐ油田の生産開始を背景に好調に伸びており、2012年には20万b/dを超えた。報道によれば、現在では2)クルド地域―生産能力は増加するも、中央政府との対立で輸出はストップ (?生産・輸出量 19万~23万b/d程度で推移している。輸出量に関しては、そのほとんどをクルド北部Tawke油田からの原油が占めており、2014年4月以降10万b/d規模でトルコに向けて輸送された(同年第1四半期は5.7万b/d)。しかし、現在トルコのCeyhanに貯蔵されているクルド原油は220万バレルに上るとされ、タンクは飽和状態になりつつある。輸出販売に関するイラク中央政府からの承認が下りないままの状態が今後も続けば、更なる送油はストップせざるを得ない状況だ。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 4 ? 今後の見通し KRGは、原油生産を現状の約20万b/dから2015年に120万b/dに引き上げる計画である。現在域内油田を結ぶパイプラインを整備中で、それらをトルコ国境のFishkhabur近郊でイラク・トルコパイプライン(ITP)と接続させる計画が進行中である。4月末にはバルザーニKRG首相がクルド原油の販売を5月2日から開始すると宣言したばかりである。しかしながら、輸出の是非を巡る中央政府との交渉が最終的な合意に達していないことや、インフラ整備に時間を要することが予想され、120万b/dへの引き上げの.石油開発の最新動向―イラク 2実現性については疑問視される。 (1)油田開発 最近の開発動向として特筆すべきは、ガラフ、マジュヌーン、西クルナなどの南部油田が生産を開始したことである。今後更なる生産増をもたらす主要なアクターになることは間違いなく、これら巨大油田の開発を着実に進めていくことがイラクにとって優先課題の一つである。しかし、全国的に不足している貯蔵能力と出荷能力が生産拡大の足枷になることが懸念される。 開発生産中の主要油田の生産状況及び目標生産量については以下ルメイラ油田 ?のとおり。 暴動の発生や出荷設備のメンテナンスによる影響が心配されたが、2014年の平均生産量はフル生産レベルの140万b/dに到達する勢いであり、今後更なる増加が期待される。5月にはイラク政府がEPC契Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 5 ? ?舛PECCと、またマネージメント・サービス契約を英Petrofacと締結するなど、増産に向けた開発が進んでいる。一方、目標プラトー生産量(現状285万b/d)の修正に関しては未だ交渉中で、210万b/dへの引き下げを巡り協議が進んでいる。 ?ズベイル油田 ズベイル油田は、2013年目標プラトー生産量を120万b/dから85万b/dに修正しており、現生産量は30万b/dに留まっている。 ?西クルナ油田(フェーズ1) 2013年にPetroChina とPertaminaが新たにファームインした西クルナ油田開発フェーズ1については、目標プラトー生産量の修正交渉が行われていたが、2014年2月にイラク石油省が283万b/dから160万b/dに引き下げることを承認している。現生産量は50万b/d弱と見られる。 ?西クルナ油田(フェーズ2) 2014年3月末に生産が開始したばかりであり、生産量は当初の12万b/dから、6週間で25%増の15万b/dに増加した。オペレーターを務めるLukoilは、2014年末か2015年初めまでに40万b/d、2017年には目標プラトー生産量120万b/dを達成したいとしている。 ?マジュヌーン油田 2012年7月以降生産が停止していたマジュヌーン油田であるが、度重なる延期の後、2013年9月に生産を再開した。当初17.5万b/dであった生産量は、2014年に入って最高レベルの21万b/dを記録し、4月には原油輸出の開始が発表されたばかりである。目標プラトー生産量(現状180万b/d)の修正交渉が続いており、イラク側の120万b/dという提案に対し、オペレーターのShellは十分な回収率確保のため100万b/dへの引き下げを主張している。 ?ガラフ油田 2013年8月より生産を開始しており、当初の3.5万b/dから、2017年中に目標プラトー生産量23万b/dへの増産を目指している。 ?バドラ油田 オペレーターのGazprom Neftによれば、2013年12月にファーストオイルを産出しているほか、同油田から南部輸送ネットワークをつなぐ165㎞のパイプラインの工事も完了している。商業生産の開始は2014年になると見られ、当初は1.5万b /d、2017年までに目標プラトー生産量17万b/dの達成を目指している。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 6 ? カイヤラ油田・ナジマ油田 Sonangolは、2014年2月、ニネベ県の治安悪化を理由に両油田からの撤退を決定している。 ?キルクーク油田 石油省の報告によれば、キルクーク油田の輸出量は、2013年12月の296,774b/d、2014年1月の261,300b/dから、同年2月には214,000b/dにまで減少した。減退の原因は油層管理にあるとされており、同油田の再開発に関して契約を締結したBPの今後の働きに期待が寄せられるが、北部パイプラインの修繕作業の遅れ、貯蔵能力不足や水不足などの問題があり、増産実現には時間を要すると考えられる。南部への輸送を視野に入れて、キルクークと西部ハディーサ(アンバール県)の貯蔵供給施設を繋ぐ180kmに及ぶパイプラインの建設が計画されているが、プロジェクトの完了時期は依然として不明である。 ?ナーシリーヤ油田(ナーシリーヤ統合開発プロジェクト) 日本企業2社も応札したナーシリーヤ統合開発プロジェクト(埋蔵量44億バレルのナーシリーヤ油田Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 7 ? フ開発及び製油所建設から成る統合プロジェクト)に関しては、イラク政府が2014年1月に2度目となる落札期限の延期を発表している(1月23日から6月19日に)。最近ではLukoilがZarubezheneftとの共同参画に意欲を示すなど、今後の行方が注目される。 2)インフラ整備の進捗状況 ( 輸出原油のほとんどがバスラ港を経由して出荷されている現状では、ひとたび海上での天候悪化や設備メンテナンスの必要が生じれば輸出量の減少は免れない。出荷網の多様化はイラクのエネルギー政策上きわめて重要な位置を占めていると言える。2013年4月に閣議承認された統合国家エネルギー戦略(INES: Integrated National Energy Strategy)によれば、下図の通り、北部からの輸出能力はトルコ向けが160万b/d、シリア向けが215万b/d、計375万b/dを2017年までに達成するという目標が設定されており、南北連結パイプラインについては2017年までに輸送能力315万b/d、南部からの出荷能力に関しては2014年までに680万b/dの達成が見込まれている。これらが実現されれば南北からの輸出能力は併せて1,055万b/dとなるが、実際には多くの課題を抱えている。 統合国家エネルギー戦略(INES)における出荷能力増強計画 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 8 ? イラク・トルコ間パイプライン トルコ(Ceyhan)向けパイプライン(ITP)については、石油収入配分に関するイラク中央政府とKRGの対立から2013年末に稼働を一時停止した後、2014年3月2日のテロ襲撃により再び稼働を停止している。治安面の問題から修復工事は難航を極めており、Ceyhan向けの原油輸出は今のところ再開の目途が立っていない。このため、2014年2月の輸出量が29万b/dだったのに対し、 3月は2006年以来最低となる2.4万b/dにまで落ち込んだ。老朽化によりITPの現輸送能力は最大でも60万b/dと見られ、イラク政府はハディーサからベイジ(40インチ。輸送能力85万b/d)、更にベイジ・トルコ間を結ぶ新パイプライン(全長340km)の建設を計画しているとのことである。2017年までに能力を160万b/dに引き上げるためには、迅速な治安確保もまた必要不可欠であり、道のりは険しい。 こんな中、2014年4月KRGと国営North Oil Company (NOC)が、イラク側インフラと KRGが建設したKhurmala(キルクーク油田)・Fishkabur(トルコ国境沿い)間パイプラインとを36インチの新ラインで連結させ、NOCが生産する原油の輸出に使用することで基本合意に達したとの発表があった。今後詳細を詰めるための交渉が行われると見られ、進展に注目したい。 ?イラク・シリア間パイプライン 新シリア・イラク間パイプライン建設(旧ラインは1982年以降閉鎖)については、2010年にパイプライン2本(150万b/dと125万b/d)の建設で両国間で合意に至ったものの、シリア情勢悪化の煽りを受け計画自体中断しており、再開については全く目途が立っていないのが現状である。 ?戦略パイプライン(南北連結パイプライン) 戦略パイプライン(双方向輸送が可能な南北油田を結ぶ42インチPL)は、イラク中部ハディーサ(K3)からルメイラ油田(PS-1)、更にファオを繋ぐが、当初の予定能力80万b/dに反し、ポンプ能力不足及びパイプラインの老朽化により現輸送能力は20万b/dを下回ると言われており、現状ではもっぱら国内供給向けに使用されている。能力増強(南部→北部90万b/d、北部→南部100万b/d)に向けた修復作業が大方の工事を終えているとのことであるが、アンバール県での治安悪化を受けて、ハディーサまでの50kmに及ぶ部分については保留状態になっている。 ?バスラ・アカバ間戦略パイプライン(ヨルダン向け) 供給ルートの多様化を図ることを目的に、バスラからハディーサ、更にヨルダン、エジプトを結ぶ新戦略パイプラインの建設計画も進んでいる。当初原油の輸送開始は2017年末あるいは2018年初めを予定していたが、イラク・ヨルダン間で敷設条件を巡り未だ合意が得られていないことに加え、治安状態が劣Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 9 ? ォなアンバール県を通過するパイプラインであるため、テロ等の妨害行為による工事の遅れが懸念される。因みに、現在ヨルダンへの輸出にはタンクローリーが使用されているが、2014年2月初旬以降アンバール県での治安悪化を理由に走行を中断している。 建設計画の詳細については、バスラ・ハディーサ間パイプライン(全長680km。56インチ。輸送能力225万b/d)の建設にはEPC契約が適用され、2014年末または2015年初めまでの契約締結を目指している。ハディーサ・アカバ間パイプライン(全長1000km。42インチ。輸送能力100万b/d)の建設は BOOT(Build, Operate, Own, Transfer)契約の下で行われ、日本企業3社を含む12の企業及びJVがショート【報道等を基に作成】 リストされた。技術提案書の提出期限は2014年6月3日、2014年末までの契約締結を予定している。 ?南部出荷施設の拡張 バスラ出荷施設の拡張については、一点係留(SPM)ブイ2基が稼働を開始したこともあり、出荷能力は400万b/dに拡大した(3基目の稼働は2014年半ば頃を予定)。2014年末までに680万b/dに増強することを最終目標として掲げている。一方、ファオにおける貯蔵施設建設事業の遅れがネックとなり、南部油田からのポンプ量を制限せざるを得ない状況にある。また、度重なるメンテナンスによる出荷作業の中断も問題となっており、2013年8月から9月にかけては輸出量が約50万b/d減となった。南部からの生産はマジュヌーンやガラフでの生産開始もあり過去6か月間は好調に伸びており、関係筋によれば、本来であれば南部からの輸出量は260万b/dでも遜色ないはずであるが、現状は250万b/d以上の輸出に対応することすら出来ない状態であるとも言われており、出荷設備の強化に合わせた貯蔵能力及びポンプ能力の増強が喫緊の課題である。 ?貯蔵施設の増設計画 イラクは原油輸出能力の拡大と合わせ、貯蔵タンクの増設も推進している。ナーシリーヤにおいては2014年中もしくは2015年初めまでに、ビンウマルでは22基中8基に関して2014年半ばまでに建設のGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 10 ? J始を予定しているほか、作業の遅れが深刻化しているファオにおいても8基が2015年中の完成を見込んでいる。現在計画中のタンク91基が全て稼働すれば、最終的にタンク能力が約5,750万バレル増強されることになる。 建設が予定されている原油貯蔵タンク 場所 タンク数 能力(タンク毎) 万バレル 能力(合計) 万バレル ビンウマル ナーシリーヤ ファオ ツバ PS1A PS5A 22 7 8 8 28 18 合計 47 47 36 41 82 82 1034 329 288 328 2296 1476 5751 【State Company for Oil Projects (SCOP)及び報道などを基に作成】 精製能力の強化 ?製油所の増設も統合国家エネルギー戦略において重要課題と位置付けられていた一つである。現在の製油能力66万b/dを2018年までに94万b/d、2020年までに150万b/dに引き上げる予定である。 既存及び計画中の製油所 稼働中 場所 現状(万バレル/日) 設計時(万バレル/日) サテライト設備 ベイジ ドーラ バスラ 小計 サテライト設備 サテライト設備 23 7 14 5 13.5 3.5 66 計画中 31 9 18 7 21 6 92 場所 予定能力(万バレル/日) 完成予定年 カルバラ アップグレード工事 ナーシリーヤ ミサーン キルクーク 小計 総計 14 6 30 15 15 80 146 ? 11 ? 2018年 2018年 2018年以降 2018年以降 2018年以降 ― ― 【報道などを基に作成】 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 R.石油開発の最新動向―クルド地域 (1)油田開発 クルド地域の資源開発には約30社の外資企業が参入しており、その中にはExxonMobil、Chevron、Total、Gazprom Neftなどの大手企業の顔ぶれも見られるが、現在クルド原油の生産を支えているのは、Genel Energy、DNO、Gulf Keystoneなどの独立系外資企業が操業する油田である。主要油田の生産見通しについては以下の表のとおりであり、クルド政府(KRG)は域内全体の原油生産量を2015年に120万b/dに引き上げることを目指している。 油田 オペレーター 生産開始年 生産量* (2013年) 生産能力* (2013年) 目標生産量* (2014年) 目標生産量* (2015年) クルド主要油田の生産見通し Taq Taq Genel Energy Tawke DNO Khurmala Kar Shaikan Gulf Keystone ― 2008 2007 2009 2010 ― 77 39 104 10 230 120 120 105 20 365 200 200 140 40 580 225 250 150 150 775 備考 ― ― ― 原始埋蔵量を137億バレルから92億バレルに下方修正 * 000 b/d 【報道等を基に作成】 生産中の油田以外では、MarathonがHarir鉱区のMirawa-1探鉱井で大規模石油ガス資源を発見し、複数の地層から原油1.1万b/d、ガス7.2MMcf/d、コンデンセート0.17万b/dのフローを確認しているほか、Oryx PetroleumがHawler鉱区Demir Daghプロスペクトにおいて開発を進めており、キルクーク油田との地理的類似性を強調、確認及び推定埋蔵量は2億5,800万バレルに上ると見ている。この他、Zey Gawra、Ain Al Safra、Bananプロスペクトでも発見があり、Zey Gawraの確認及び推定埋蔵量は7,100万バレル、4坑井の確認・推定・予想埋蔵量の総計は12.7億バレルである。同社は、2014年第2四半期に0.7~0.9万b/d、第4四半期には2.5万b/d、2016年には10万b/dの生産を目指している。 大手企業の最近の動向としては、2011年にイラク南部で操業する企業としては初めてKRGとPSC契約を締結し、クルド域内6鉱区の権益を獲得したExxonMobilが現在クルド北部のPirmam鉱区で掘削を行っているが、同事業への共同参画に関してRosneftと交渉中であると言われている。また、露Tatneftもクルドの資源開発に関心を示しているとのことであり、今後更なる新規参入が期待できる。 KRGの現生産能力は40万b/dに上るとも言われている一方、実際の生産量は20万b/d前後に留まGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 12 ? 2)インフラ整備の進捗状況 (gルコ国境のFishkhaburから直接イラク・トルコパイプライン(ITP)に繋ぎ込んでトルコに輸出することを念頭に置いて、連邦政府管轄域を経由しない独自パイプラインが建設中である。すでに稼働中のパイプラインは、北部Tawke油田からトルコ国境沿いのFishkhabur間パイプライン(能力10万b/d)であり、この他南部Taq Taq 油田・Fishkhabur間のパイプライン(能力30万b/d)についても建設が完了している。これを受けKRGは2013年12月よりトルコ向けのパイプライン輸出を強行しているが、Taq Taq・Fishkhabur間パイプラインについては、ポンプ能力の不足やずさんな工事が起因して想定レベル以下での輸送しか出来ない状態にあるとも言われており、クルド原油の輸出に向けては、中央政府との政治的対立以外にも技術的な問題がネックとなるだろう。 クルド:稼働中パイプライン っている。パイプラインや製油所の不足が背景にあると考えられ、現在インフラ整備が進んでいる。 パイプライン ?Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 13 ? 【出典元:Genel Energyホームページより】 Nルド:稼働中及び計画中パイプライン 主要な製油所は3か所あり、クルド地域全体の製油能力は現状14万b/d弱に上ると見られる。この内Bazian製油所に関しては、蒸留施設の拡張事業(8.4万bd)の入札を実施中である。最大規模のKalakについても蒸留能力の拡大(10万b/d)を計画中で、このほかクルド北端部Tawke油田の製油所においても、処理能力を現在の0.5万b/dから将来的に20万b/dに増強することを検討中とのことである。全拡張工事が予定通りに進めば、2018年には製油能力が21万b/d弱にまで上昇する見込みである。 製油所 Kalak Bazian Tawke その他 合計 オペレーター Kar Qaiwan DNO ― ― クルド製油能力の達成見通し 現処理能力 (000 b/d) 目標処理能力 (000 b/d) 目標達成年(000 b/d) 80 34 5 20 139 100 84 ― ― 209 2014 2018 ― ― 【報道などを基に作成】 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 14 ? 【出典元:KRG天然資源省ホームページより】 製油能力の拡張 ?
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2014/05/16 増野 伊登
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