ページ番号1004462 更新日 平成30年2月16日

大水深石油開発のトレンド:概説

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レポートID 1004462
作成日 2014-06-11 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 企業技術
著者 伊原 賢
著者直接入力
年度 2014
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ 大水深石油開発のトレンド:概説 作成日: 2014/6/11 調査部: 伊原 賢 公開可 大水深(300メートルより深い水深)における石油開発の経緯と現状、技術や経済性のトレンドを概説する。 (JOGMEC調査部、世界石油工学者協会SPE、IHS社ほか) . 世界的な大水深石油開発の経緯と現状 11960年に石油輸出国機構OPECが発足し、70年代に入ると、中東戦争やオイルショックといった資源ナショナリズムの高まりの中で、中東や北アフリカの産油国において石油資源の国有化が進み、国際石油資本メジャーの追い出しを図った。 追い出しの背景を説明する。50年代初期、巨大油田を保有していた石油メジャーは、膨大になった資源量に応じた石油需要の開拓のために、国際カルテルによって原油価格を低めの安定価格に抑えていた。1973年の第四次中東戦争をきっかけに第一次オイルショックが起きた。石油メジャーから見たOPECによる反乱は、産油国による課税基準となっていた原油の見なし輸出価格(ポステッド・プライス)の引き上げ、油田権益の国有化として現れた。更には、産油国は税金計算のための見なし輸出価格だけでなく、実際の原油輸出価格もコントロール下に置いたのである。 すると、石油メジャーは70年代から政治リスクの少ない、海に目を向けていった。初めは浅いところから、だんだん深い所に移って行った。海洋油田の開発は、油価と深いつながりがある。1986年に原油の公示価格が廃止され、市場価格の時代に入って以降、1990年8月のイラクのクウェート侵攻時に一時1バレル(159リットル)=30ドル台という例外はあったが、ほぼ20ドル以下という時代が長く続いた。その時代には、採算からいって、コストの高い深い海の油はとれなかったのである。その後、2003年のイラク戦争勃発以降の原油価格の高騰で、水深300メートル以上の海底で原油を生産する、大水深油田の開発が一気に本格化した。 現代の油田開発はずいぶん厳しい条件の中で行われている。油田地帯と言えば中東アラブの砂漠地帯が思い浮かぶが、最近は海洋油田、それも深海底油田の存在が重みを増している。浅海も含めると海Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 1/9 m油田からの油の生産量は世界全体の約4割にもなると言われる。現在、世界で脚光を浴びている代表的な大水深油田は、メキシコ湾、西アフリカ沖、ブラジル沖などである(図1)。 出所: NHKテレビ 視点論点「海底油田の世界的現状」2010年8月23日放映、伊原賢作成 図1 大水深での石油開発エリア 983年からの統計では、世界全体で約600フィールドが発見され、内400フィールド程度が生産中で、 1発見から生産開始までに7年弱かかった。生産期間の平均は13年弱である。大水深フィールドの総数の55%は北米で発見されているが、埋蔵量では23%に過ぎない。一方、大水深フィールド数の17%はアフリカで発見され、埋蔵量では31%にもなる。ブラジル沖では、大水深の開発により、97年には50%程度であったブラジルの石油自給率を、2007年までの10年間で100%近くまで上昇させることに成功した。 大水深油田の開発には、技術の進歩という側面もある。ビットと呼ばれる掘管の先端を、地質情報に応じて動かす技術の進歩や、ダイバーの潜水深度の限界は 300mであることから、ROV(Remotely Operated Vehicle)やAUV(Autonomous Underwater Vehicle)と呼ぶロボットなど遠隔操作で深海での様々な作業をこなす機器の性能が向上した。そうした機器を駆使して、海底に広範囲に広がる油井をパイプでつないで、複数の油井の原油やガスをまとめて海上まで吸い上げる、海底仕上げの技術の成熟などが大水深油田の開発を支えている。開発技術の課題としては、油層評価、地質モデル(石油システGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 2/9 ?)、高温・高圧環境、坑井仕上げ技術、フローアシュアランス(管内の流体挙動制御、あるいは生産流体の流路保全)、浮遊式・海底設備が挙げられる。 メキシコ湾にて2010年4月に発生した掘削リグ・マコンドの爆発・沈没、油流出事故は石油業界にとって大きな痛手となった。石油業界がこれだけの環境汚染を引き起こしたのだから、化石燃料からの脱却を目指す方向に米国が動くのではないか、というのが当時の大方の見方であった。メキシコ湾でのセミサブ型掘削リグやドリルシップといった大水深対応の掘削リグ数は35基から2011年に25基まで落ち込んだが、現在事故前のレベルを大きく凌ぐ45基まで戻ってきている事実からも大水深油田の開発には石油の需要サイドからの強いサポートを感じる。事故の当事者のBP社に対しては、非常に厳しい懲罰的な規制がかけられたが、米国社会が現実にクルマ社会で化石燃料に依存した社会である以上、海底油田の開発制限にしても、安全面が担保できれば(暴噴防止装置BOPの機能強化、坑口のキャップ装置)、限定的な規制しか掛けられないと言うのが現実である。 石油の消費量は2013年に日量9000万バレルを超えた。2020年を見据えれば日産2700万バレルの供給増が見込まれる中で、そのうち日産1000万バレルが海洋の油田開発からもたらされると期待されている。また、2010年の時点で大水深からの生産は6%程度であったが、2030年までにはその割合は倍増し、11%程度になる見通しである。その背景となる3点は、 イ) 1バレル(=159リットル)の油を深海から取るのに30ドル、難しくても45ドルで採算が取れる時代になっている。中東の陸上油田の数ドルと比べれば非常に高いのだが、今、油価が1バレル100ドルぐらいなので、その差額が利益になるわけで、経済的な合理性がある(図2)。 出所:国際エネルギー機関 IEA、SPE資料を基にJOGMEC調査部作成 図2 原油の可採埋蔵量と採算コスト 可採埋蔵量(10億バレル) Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 3/9 ロ) 太陽光や風力といった再生可能エネルギーの導入は大事だが、エネルギー投入効率が石油や天然ガスといった化石燃料に比べ非常に悪い。エネルギー投入効率は100のエネルギーを生み出すのにどれだけのエネルギーが必要か、という割合である。石油や天然ガスは大体3ぐらい、再生可能エネルギーの場合は10ぐらい必要である。再生可能エネルギーでまかなうとしたら、その差額を補助金や料金上乗せで埋めなければ普及しない。 ハ) 石油は輸送用燃料や発電だけにつかわれているのではなく、服から化粧品、日用品、化学や機械業界まであらゆる分野で使われている貴重な一次エネルギー源である。輸送用燃料や発電の問題に留まるわけではない。 「大水深石油開発の世界的現状」を理解するには、需給のファンダメンタルズ、石油資源へのアクセス、技術革新、インフラ、地政学、ローカルコンテンツ(機材・部品等の現地調達率)、経済条件に注視する必要がある。以上述べてきたように、世界的な海洋石油開発の動きに障害となる事柄は現状考えにくい。 2. 大水深開発システム 大水深開発プロジェクトに採用された各種生産システムと適用水深の関係を図3に示す。例外はあるものの、基本的に300メートル以浅では、ジャケット(Jacket)、コンプライアントタワー(CPT)、重力式構造物(Gravity Based Structure)などの固定式生産システムが採用され、それ以深では、TLP (Tension Leg Platform)、SPAR (Stationary Production Platform)、FPSO (Floating Production, Storage and Offloading System)、FPS (Floating Production System)、SPS (Subsea Production System)などの浮遊式生産システムが採用されている。水深、離岸距離、高温・高圧の貯留層、海底の低温環境といった要因からの様々な技術課題やそれに伴う開発コストの増加などが予想される。それらに対応すべく、最も効率的な開発システムが要素技術と共に日々開発されている。 海洋石油開発方式の一つの選択肢である海底生産システム(Subsea Production Systems:SPS)は、海底仕上げ井(Subsea Completion Well)と海底機器、海底に設置された生産・処理設備、貯油設備及び積出設備などから成る海底で完結された生産システムを言う。「どこまで信頼性を保ち、機器を海底に設置できるか」が課題となっている。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 4/9 }3 大水深開発プロジェクトに採用された各種生産システム 出所:JOGMEC技術調査部「海洋工学ハンドブック(第4版)」、2007年11月 2-1. 海底生産システムとその課題 生産流体が流れるパイプラインやライザーは長距離・長期間低温下/4℃以下にさらされるため流体挙動が変化する場合があり、海底機器へのアクセス(モニタリング、動力伝達とそのコントロール)や海洋環境への配慮が大事になる。 流体挙動の変化としては、管内における化学的沈澱、腐食、エマルジョン、間欠流/スラグ流、物理的摩耗ほかがあげられる。洋上施設からのケーブルとコネクターを介して、海底機器へ動力が伝達され、そのコントロールが実施される。数十から数百キロメートルと長距離の動力伝達が必要になることがある。Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 5/9 Pーブルとコネクターには電気的および機械的な完成度と信頼性が求められる。また、環境基準に対応した海洋環境への配慮が必要となる。 海底生産システムにおける課題は流体系と情報系に係るものが多そうだ。この流体系と情報系に関する技術への知見の蓄積は、人体の血液や神経の動きを理解することにも通じている。その意味で、特に大水深に係る要素技術の内、「海底昇圧ポンプ」、「海底セパレーター」、「フローアシュアランス」、「動力とコントロール機器」とその設計基準や標準化の動向を注視していくことは重要である。 海底生産システムの信頼性確保には、宇宙開発と同じ位の高度な技術力が必要とも言われる。両者の共通点は、地表環境と比べ厳しい環境にあること、修理や回収のためのアクセスが簡単にできないことが挙げられる。両者とも信頼性を維持し、良好に作動することが求められる。 2-2. 海底生産システムの標準化 今後、大水深における石油・ガス開発が継続される限り、これに係る標準化技術を進展させることは、信頼性、安全性、経済性の向上の観点からも避けては通れない課題である。自動車、電気等の他産業の例を見ても歴史的に証明されている。エネルギーの分野でも原子力産業や省エネルギー産業も着実に標準化が進んでいる。 しかしながら、石油・天然ガス産業、とりわけ、海底生産システムにおける標準化となると、オペレーター、サプライヤー双方の協力・歩み寄り(一定の妥協)が必要であると考えられるが、標準化の今後を議論する会議では、総論賛成、各論反対という雰囲気が少なからずあり、それぞれが自社技術を標準化に適用させたいという意向が見え隠れしており、標準化までの道のりはそう平坦ではないだろう。 大水深開発は既に北海、メキシコ湾、ブラジル沖、西アフリカ沖等と世界中に展開していることは既に述べた(図1)。いわばグローバル化している。しかしながら、海底生産システムにおける標準化の議論となると、油ガス田の操業者であるオペレーターと機器ベンダーの両サイドがお互いに協力をして双方がメリットのある標準化環境を設定する必要は再認識しつつも、実現への足取りが重い。 その理由として、標準化の直接の利害関係にない第3者(ISOなどの標準化機関、API(American Petroleum Institute)などの石油ガス産業界、そして各国政府)の介入、圧力が少ないことが考えられる。また、石油ガス産業の上流分野においては、サービスが我々消費者に直結している自動車産業や通信機器産業とは異なり、そのエンドユーザーがオペレーターとサプライヤーという利害関係(Business To Business)であるため、一定の安全性、信頼性を確保するための政府規制等も他産業に比べて少ないという背景もあるであろう。 今後、大水深における石油ガス開発は着実に進むであろうし、大水深域に少なからず依存せざるを得Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 6/9 ネいのは否定できない。その意味では、大水深開発に必要な技術革新、コスト低減、安全性・信頼性の向上等の観点からも、海底生産システムの標準化は必要不可欠である。 . 大水深開発活動の推進 3アフリカと米州(北米・中南米)が活動の中心で有り続けよう。アフリカでは、東アフリカでの天然ガス開発が活発となろう。ただし、中南米が最大の投資の場であり、アフリカがそれに続く。 大水深開発活動の推進力は、①減退する陸上や浅海域の油ガス田の埋め合わせ、②東アフリカでの大規模発見、③採算コストの低減、となろう。東アフリカのタンザニアやモザンビークでのMambaやProsperidadeといった大規模ガス田の発見は大型投資の賜物だ。現在最も深い水深に対応する海洋石油生産システムは、2012年2月から米国メキシコ湾の水深2600メートルで稼働するBW PioneerというFPSOである。 3-1. 経済性 1バレルの油を大水深から取るのに30ドル、難しくても45ドルで採算が取れる時代になった(図2)。中東の陸上油田の数ドルと比べれば非常に高いのだが、採算コストと油価の間には原価率50%という石油開発の経験則があるので、油価WTIがここ数年バレルあたり90ドル以上で推移している状況は、大水深開発にとって追い風である。油価との差額が利益になるわけで、経済的な合理性を持つのだ。 しかし、大手コンサルタントIHS社によれば、探鉱開発コストは年10%増えているので、開発移行が滞るプロジェクト(例えば、Chevron社のHadrian-Rosebankプロジェクト)もあるとしている。 3-2. 開発プロジェクトの遅れやキャンセル 2008年のリーマンショックを端とする世界的な経済危機から油価も下落し、投資は2009年~2011年にかけて減少した。開発対象は、陸上や浅海域の油ガス田にシフトし、2014年まで大水深プロジェクトの遅れやキャンセルにつながった。 上昇するローカルコンテンツに従うと技術者、熟練した労働者や掘削リグ等の資機材を確保することが難しくなるため、ブラジルの国営石油会社ペトロブラスは2015年にブラジルでのFPSO設置遅延による投資の落ち込みを想定している。開発プロジェクト遂行の課題となる遅延やコストオーバーランは日常的になりつつある。アンゴラやブラジルに見られるローカルコンテンツ導入や熟練した労働者の不足はプロジェクト遅延につながる日常的な課題である(ブラジルの第12回入札ラウンドでのローカルコンテンツは73%にまで上昇)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 7/9 ワた、開発業界には、探鉱開発コストの上昇(年10%)に油価(100ドル/バレル近辺で安定)が追いついていかないのではないかという懸念が広がる。採算ベースでは大水深開発は北米のシェールガス・オイル開発と競合するのではとの声も聞かれる。シェール開発の場合、発見から生産開始までの時間が数ヶ月と大水深の数年に比べ短い。そのため、開発オペレーターは大水深開発投資を減らし、それがプロジェクトの遅れやキャンセルにつながっているとの見方もある。 大水深の開発は実際、大手企業に限られているが、それは大水深のプロジェクトが莫大な資本と技術力を求めるプロジェクトであるという背景に起因している。しかし、前述したように2020年を見据えれば、日産1000万バレルが海洋の油田開発から新たにもたらされると期待されている中では、開発業界は上向き姿勢にあると考える。地域ごとのポイントは以下と見る。 ブラジルOGXの倒産やペトロブラスの生産伸び悩みにも関わらず、投資は堅調に推移する。 ペトロブラスの2014年~2018年の5ヵ年計画では、5年間に2,206億ドルを投じ、石油生産量を2014年は2013年(193万バレル/日)比6.5~8.5%増の207.5万バレル/日程度に、2018年には320万バレル/日に、2020年には420万バレル/日に増加させるとしている。現状石油生産量の1割が陸上で、残り9割が海洋からだが、大水深域からは全体の80%を超える。 メキシコではエネルギー改革により、メキシコ湾の大水深の入札が2016年以降に期待される。 <北米> 投資額の伸びは年2%に過ぎず、他地域に比べ成熟期にある。 <東アフリカ> 2018年に向けて大規模ガス田からの生産開始が期待される(アジア向けLNGへの期待)。西豪州大中南米> <陸棚との競合となろう。 <他地域> サウスストリーム・パイプライン(東欧-旧ソ連間)の敷設。 アジア:掘削リグ不足(印リライアンス社のブロックD3)。 4. まとめ 大水深の定義は、その時代の技術レベルや石油会社が掲げる目標と共に変化している。1990年頃は300メートル以深が大水深の共通認識となっていたが、種々のシステムが技術的に完成し、かつ、ある程度の実績のある水深を“大水深”、それ以上を“超大水深”と仮定すれば、現時点での大水深と超大水深Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 8/9 ネ上 の境は1,500メートルが一つの目安になる(図2)。一方、浅海域は、プラットフォームとしてジャケットや重力式構造物が十分な競争力を持つ300メートル以浅と考える事が出来る。ちなみに、大水深開発をリードしているブラジルのペトロブラスでは、1,700メートルを大水深と超大水深の境と定義している。 投資に伴うファイナンスは世界的な景気回復基調により得やすくなったと言える。一方、開発プロジェクト遂行の課題となる遅延やコストオーバーランは日常的となった。アンゴラやブラジルに見られるローカルコンテンツ導入や熟練した労働者の不足は、プロジェクト遅延につながる日常的な課題だろう。東欧・旧ソ連・中東・西欧における大水深開発は歴史的に低調だが、今後5年間にはトランクラインの据付等が予定されている。世界の原油生産において、2010年時点で大水深からの生産は6%程度であったが、2030年までにはその割合は倍増し、11%程度になる見通しである。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 9/9
地域1 北米
国1 米国
地域2 中南米
国2 ブラジル
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 北米,米国中南米,ブラジル
2014/06/11 伊原 賢
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