米国:オフショア石油・天然ガス開発の動向
レポートID | 1004469 |
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作成日 | 2014-06-20 01:00:00 +0900 |
更新日 | 2018-02-16 10:50:18 +0900 |
公開フラグ | 1 |
媒体 | 石油・天然ガス資源情報 1 |
分野 | 基礎情報探鉱開発 |
著者 | |
著者直接入力 | 佐藤 陽介 |
年度 | 2014 |
Vol | 0 |
No | 0 |
ページ数 | |
抽出データ | 米国:オフショア石油・天然ガス開発の動向 更新日:2014/6/20 ワシントン事務所:佐藤陽介 (BOEM、BSEE、EIA) ・ 昨今の米国における石油・天然ガス生産量の増加のほとんどは、タイトオイルやシェールガスの生産増加に拠っている。米国エネルギー情報局(EIA: Energy Information Administration)の短期エネルギー見通し(6月)によれば、2014年5月の米国全体の原油生産量835万bbl/d、天然ガス生産量73.5Bcf/dのうち、連邦政府に帰属するオフショア地域からの原油生産量は133万bbl/d、天然ガス生産量は3.39Bcf/dとなっている(但しこの数字はメキシコ湾岸に限定)。割合で示すとそれぞれ15.9%と4.61%である。 ・ しかしながら、米国外大陸棚(OCS: Outer Continental Shelf)を含むオフショア地域の開発管理を司る米国内務省海洋エネルギー管理局(BOEM: Bureau of Ocean Energy Management)によれば、米OCSには未発見技術的回収資源として石油885.9億bbl、天然ガス398.27Tcfの賦存が推定されるという。 ・ OCSにおける石油・天然ガス生産量は、マコンドオイルスピルの影響もあって若干見劣りするかもしれないが、そのポテンシャルは非常に大きい可能性があり、大西洋岸など未だ開発が着手されていない地域も存在することから、次のフロンティアとして期待が持たれる。 ・ 米国が真に(フィジカル面で)エネルギー自立を達成しようとするならば、この地域の更なる開発は避けて通れない道であり、次期5カ年計画の策定着手や大西洋岸OCSにおける地震探査の影響調査、メキシコとの国境地帯の開放など、既にその準備が進められている。 .米国オフショア開発の枠組み 1(1)州と連邦の管轄 州の管轄は、Submerged Lands Act of 1953(SLA)によって、一般的に、公式に認められた海岸(またはベースライン)から3地理マイル(約4.8キロメートル)に渡って広がる地域に対して適用される1。(但しテキサス州やフロリダ州などは海岸から9海里まで管轄が及ぶという例外がある。)これらの州が管轄を有するオフショアでも、アラバマ州やアラスカ州、南北カロライナ、ルイジアナ州、テキサス州などでそれぞれの法制に従って石油・天然ガス開発が行われている。しかし米国エネルギー情報局(EIA: Energy Information Administration)の統計上は、各州の生産量に一括されており、各州のオフショア生産量としては表れていない。 対して連邦政府の管轄は、同じSLAによれば外大陸棚(OCS: Outer Continental Shelf)、すなわち「当該地域(州の管轄地)の外側で海の方へ広がる全ての水中の土地であって、その海底及び下層土が米 1 43 U.S.C.§1331(b) Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - 曹ノ帰属しその管轄及び支配の対象となるもの」が連邦政府の管轄に入ると述べている2。200海里の排他的経済水域(EEZ: Exclusive Economic Zone)も考慮すれば、連邦政府の管轄は州の海岸から3地理マイルから始まりEEZが及ぶ200海里までということになろう。したがって、米国におけるオフショア開発を指した場合、いくらかの州の生産があるものの概ね連邦オフショアにおける開発が大勢を占めるともいえ、そのため本稿では主に連邦オフショア開発について議論を進めてみたい。 2)5カ年計画 ( 連邦オフショアにおける石油・天然ガス開発を規制する主な法律はOuter Continental Shelf Lands Act (OCSLA)である3。OCSLAは州のオフショア境界線から海洋方向に広がる地下部分が連邦政府に帰属することを宣言し、OCSが連邦政府の管理下に入ることを成文化している。OCSLAの目的はまた、米国の競争力の維持やその他の国家的必要性を満たす仕方で、しかも環境面にも配慮した形でOCSにおける資源の迅速で秩序立った開発を進めることにある。この中でもOCSLAの重要な点は、包括的なリースプロセスと、これら連邦政府に帰属する資源から得られるロイヤルティ等の収集と配分に関する仕組みを規定していることである。 米国内務省(DOI: Department of Interior)長官は、オフショアリースを規定する5カ年リース計画(five-year leasing plan)を策定することが求められている。この5カ年リース計画は、リースセールのスケジュールや、リース計画の規模や立地を規定するものである。この計画の策定に当たっては、5年間における国家のエネルギーの必要性や開発に伴う潜在的な経済的、社会的、環境面での影響の程度といった事項に関する長官の判断を含む複数の事項が考慮される。5カ年計画案の策定の間、DOI長官は、公衆からのパブリックコメントの他、影響を受ける州の知事からのコメントを求めそれらを検討しなければならない。また、同計画案が連邦官報に発表される少なくとも60日前までには同計画案を影響を受ける州の州知事に提出してさらなるコメントを求めなければならない。連邦官報での発表の後、司法長官もまた競争性に対する潜在的影響に関してコメントを提出することが認められている。その後、策定された5カ年計画案の承認の少なくとも60日前に、同計画案は受け取ったコメントやコメントを拒否した説明とともに連邦議会及び大統領に提出される。同計画案は議会や大統領から何事もなければ承認され、そこに含まれた地域はリースの対象として利用可能となる。 5カ年計画の策定を行うことは環境に対して著しい影響を与える連邦政府の行為と見做されるため、政府はNational Environmental Policy Act (NEPA)に規定されるところに従い、環境影響報告書(EIS: Environmental Impact Statement)を作成し、当該行為による環境への影響分析、緩和策の検討を含む環 2 43 U.S.C.§1331(a) 3 43.U.S.C.§1331-1356 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - ォへの影響の評価を行わなければならない4。このNEPAに基づく審査は5カ年計画の準備のための情5カ年計画 2007-2012 2002-2007 1997-2002 計画地域 メキシコ湾岸西部204, 207, 210, 215, 218、メキシコ湾岸中央205, 206, 208, 213, 216, 222、チャクチ海193、メキシコ湾岸東部224、クック湾211, 219、大西洋中央224 ビュフォート海186, 195, 202、ノルトン盆地188、クック湾191, 199、チャクチ海/ホープ盆地199, 203 ビュフォート海170, 176、クック湾/シェリコフ海峡173、アラスカ湾179、チャクチ海/ホープ盆地183、メキシコ湾岸西部168, 170, 174, 177, 180、メキシコ湾岸中央169, 172, 175, 178, 182、メキシコ湾岸東部181 出典:BOEM, 過去3期のOuter Continental Shelf Oil & Gas Leasing Programから作成 報収集や分析に関する補完的な手続きとなる。 1:OCSリース5カ年計画(過去3期) 表3)モラトリアム ( OCSLAは連邦政府に対してリース計画の策定や実施を求めている一方、一定の地域が2種類の仕方によって石油・天然ガス開発リースの対象から外されてきた。1つはOCSLAによって認められている大統領によるモラトリアム発令5、もう1つは主に政府機関に対して毎年の予算を措置する歳出法に制限条項を設けることによって連邦議会が課するモラトリアムである。 連邦議会が歳出法を通じて課すモラトリアムは、1982年度歳出法においては初めて現れた。この歳出法では、DOIがOCSの特定の地域のリースや関連活動を行うための支出が禁じられた。同様の文言はその後2008年度の歳出法まで規定され続けたが、2009年度において議会は歳出法からこの文言を削除した。 しかし、議会が課するモラトリアムの他に大統領がOCSLAによって課すモラトリアムも存在する。この大統領が課したモラトリアムで最初のものは、ブッシュ(父)大統領が1990年に発したものである。このモラトリアムは、カリフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州の沿岸と北大西洋、メキシコ湾岸東部を開発の対象から外すもので、その後1998年にクリントン大統領によって延長がなされた。 議会及び大統領が課すモラトリアムが取り除かれる兆しが現れたのは、2008年にブッシュ(子)大統領が1990年から続くモラトリアムを撤廃してからである。この結果、DOIは他の法令によって禁止されていない限り、ほとんどのOCS地域におけるリース関連活動を行えるようになった。ほとんどというのは依然としてリース対象から外されている地域があるためである。これは例えばGulf of Mexico Energy Security Act(GOMESA)of 2006がメキシコ湾岸東部の一部を2022年までリース及び掘削の対象から外している。 4 NEPAは政府の行為が環境に与える程度に応じてこの環境影響評価に3つのカテゴリーを設けている:EIS(当該行為が環境に著しい影響を与える恐れがある場合)、環境評価(EA: Environmental Assessment)(当該行為が環境に著しい影響を与えるかどうかが判明していない。EAの結果次第でEAだけで済むかそれよりも徹底したEISの策定を要するかが決まる)、分類除外(当該行為が環境に著しい影響を及ぼさない) 5 43. U.S.C.§1341(a), “The President of the United States may, from time to time, withdraw from disposition any of the unleased lands of the outer Continental Shelf.” Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 - ブッシュ大統領は行政行為によって課されていたモラトリアムを撤廃したことに加えて、OCS開発のための新たな5カ年計画の策定の意向を示し、2009年にDOIはアラスカ州沖4地域、太平洋岸2地域、メキシコ湾岸3地域、大西洋岸3地域を対象とする2010-2015年の5カ年計画の素案を発表した。この計画は、モラトリアムが課されていた地域を対象として含んでいなかった2007-2012年の5カ年計画を置き換えるものであった。しかし、2009年1月にオバマ大統領が就任するとOCS開発機運は低迷を迎える。DOIは2009年2月に先に発表した2010-2015年の5カ年計画案に対するパブリックコメント期間を6ヶ月間延期することを発表し、9月には2012年までに同計画案の最終化が完了しない可能性を示唆した。最終的にブッシュ大統領の2010-2015年5カ年計画は、2010年12月にDOIが2012年まで新たな5カ年計画を策定しないことを確認したために実行を見るには至らず、そのため、オバマ政権は事実上OCS開発に3年間のモラトリアムを課したと受け取られるようになった。 米国のオフショア開発に対して2010年にメキシコ湾岸で発生した大規模原油漏洩事故が及ぼした影響は大きい。2010年4月20日、メキシコ湾岸における掘削リグで発生した爆発は、死者11名、怪我人17名を出す大事故であり、これに伴って生じた原油漏洩は87日間継続し合計490万bblに達したと言われる6。主要なリース保持者でオペレーターでもあったBPは、浄化作業に140億ドル、連邦政府や州政府、地方政府からの経済的請求に対する支払に140億ドル、民事又は刑事の和解で合意した支払に60億ドルを既に費やしているという。なお、Clean Water Actに基づく民事罰は未だ決定されていない。 この大事故をきっかけにして、オバマ政権はオフショアに石油・天然ガス開発のための掘削や安全に関する規則の見直しをする必要性に駆られることとなった。その結果として鉱物管理局(MMS: Minerals Management Service)の再編、オフショアにおける掘削活動に関する安全規則の見直し、NEPAにおける分類除外の見直し、いくつかの許可又は掘削活動の一時停止、リース計画の修正へと至り、現在もまだ.マコンドオイルスピルの影響 2 2011年5月19日、DOIのサラザール長官(当時)は、MMSが担っていた機能を分割し、それらを遂行する3つの機関の創設を決定した7。MMSはリース、歳入徴収、環境・安全を所管する機関であったが、これらの機能をそれぞれ、1)海洋エネルギー管理局(BOEM: Bureau of Ocean Energy Management)、 6 Congressional Research Service, “Deepwater Horizon Oil Spill: Recent Activities and Ongoing Development”, May 12, 2014, http://www.fas.org/sgp/crs/misc/R42942.pdf 7 DOI, Secretary Order No.3299, “Establishment of the Bureau of Ocean Energy Management, the Bureau of Safety and Environmental Enforcement, and the Office of Natural Resources Revenue ”, May 19,2010, http://www.doi.gov/deepwaterhorizon/loader.cfm?csModule=security/getfile&PageID=32475 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 4 - 継続中である。 1)MMSの再編 ()天然資源歳入室(ONRR: Office of Natural Resources Revenue)、3)安全・環境執行局(BSEE: Bureau of Safety and Environmental Enforcement)に分散させたのである。 この新たな枠組みの下では、BOEMはオフショアリースの管理を含む米国のオフショア資源の開発を管理し、その他環境及び経済分析、資源評価等を行う。BSEEは安全及び環境関連規則の執行に責任を有す。この機能には、オフショア規制プログラムの維持、研究、原油漏洩対応や許可、検査、環境法令遵守のための現場作業等が含まれる。ONRRは、OCS、連邦オフショア、ネイティブアメリカン居留地におけるエネルギー及び鉱物資源リースによって得られた歳入の徴収、説明、分析、監査、配分などを行2)規制の見直し (うことになった。 BOEMやBSEEは、オフショア開発に関するいくつかの方針や規則の変更を行っている。概してこれらの取り組みはオフショアでの掘削中における事故や怪我、漏洩を減らすことを目的としており、これらはリース保持者に対する通知や新たな規制の制定、ガイドラインや基準の設定によってなされている。 BOEMがリースの管理を行う立場から利害関係の衝突に対応するために従業員に対して新たな忌避方針を設定している一方、BSEEはオフショア開発の安全の確保、環境の保護を監督する立場から、掘削活動や作業場所の安全性の向上のために以下のような取り組みを行っている8。 掘削活動における安全性の向上) (・暴噴や最悪の事態に対する備えがあることの証明の義務付け(Notice To Lessee No.6) ・掘削作業の許可取得のための掘削井の設計、ケーシング、セメント固定に対する新たな基準の遵守と独立の専門的エンジニアによる証明の取得の義務付け、探鉱及び開発段階における機器や安全慣行、環境保護及び監督のための基準の強化(The Final Drilling Safety Rule) ・企業法令遵守声明と大水深における掘削のための水中における暴噴封じ込め物資を求める新たなガイドラインの設定(Notice To Lessee No.10) ・オフショア石油・天然ガス開発に対する検査のための複数人からなる検査チームの設置 作業場所の安全性の向上) (・機器や安全慣行、環境保護、操業やコントラクターに対する管理監督を含むオフショアにおける掘削や生産活動に対する性能ベースの基準の設定といったオフショア開発オペレーターが維持すべき包括的な安全環境プログラムに関する要求事項の設定。これにより企業は安全環境システム(SEMS: 8 BSEE, Regulatory Reform, http://www.bsee.gov/About-BSEE/BSEE-History/Reforms/Reforms/ - 5 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 afety and Environmental Management System)の構築と維持を義務付けられる。(Workplace Safety ・石油・天然ガス、再生可能エネルギーの開発を計画した際に公衆からのパブリックコメントの募集 3.現行5カ年計画:2012-2017年 (1)5カ年計画の概要 現行のOCS石油・天然ガスリース5カ年計画(2012-2017)年は、2012年8月27日に発効したものである。この計画では、6つの計画地域における15のリースセールの対象が含まれている。これらはメキシコ湾西部及び中央、現在連邦議会がモラトリアムを課していない一部のメキシコ湾岸東部、アラスカ州沖合のチャクチ海、ビュフォート海、そしてクック湾である。OCS計画地域は全部で25地域存在するが、メキシコ湾岸東部の一部(GOMESAによる。2022年まで)、北アリューシャン盆地(大統領覚書による。2017年まで)はリース対象から除外されている。BOEMの推定によれば2012-2017年5カ年計画の対象である6つの計画地域に賦存していると見積もられている未発見技術的回収資源の合計は、石油で677.1億bbl、天然ガスで306.62Tcf、原油換算で1,222.7億bblとなっている。OCS合計がそれぞれ、885.9億bbl、天然ガスで398.27Tcf、原油換算で1,594.9億bblであるのでその割合は、それぞれ76%、77%、77%ということになり、今回計画に含まれている計画地域には全OCSのうちでも豊富な推定未発見計画地域 推定未発見技術的回収可能資源 石油(億bbl) 天然ガス(Tcf) 原油換算(億bbl) 技術的回収可能資源が集中していると言える。 2:OCS推定未発見技術的回収可能資源 表・NEPAにおける分類除外の使用に関する見直し ・海洋エネルギー諮問委員会の設置 進行中の改善) (Rule) メキシコ湾岸中央 チャクチ海 メキシコ湾岸西部 ビュフォート海 クック湾 メキシコ湾岸東部 (議会によるモラトリアムが課されていない地域) 計画地域合計 OCS合計 出典:BOEM, Proposed Final Outer Continental Shelf Oil & Gas Leasing Program 2012-2017から作成 130.91 76.77 69.45 27.64 1.20 0.65 306.62 398.37 304.7 153.8 123.8 82.2 10.1 2.5 677.1 885.9 587.6 290.4 247.4 131.4 12.3 3.6 1,222.7 1,594.9 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 6 - }1:2012-2017 OCSリース5カ年計画、計画地域(下方48州)(灰色の部分) 出典:BOEM 図2:2012-2017 OCSリース5カ年計画、計画地域(アラスカ州)(灰色の部分) 出典:BOEM Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 7 - カ年計画と銘打っている通り、BOEMは2012年から2017年の5年の間に、順次対象地域に含まれる鉱区のリースセールを進める。2014年6月現在、2012年から5回のリースセールが実施されており、現在2014年度最後のリースセールとなる第4回目のセールが発表されているところである(入札日は8月20日を予定)。 表3:2012-2017 OCSリース5カ年計画、リースセールスケジュール セール番号 計画地域 229 227 233 225 231 238 235 246 226 241 237 248 244 247 242 メキシコ湾岸西部 メキシコ湾岸中央 メキシコ湾岸西部 メキシコ湾岸東部 メキシコ湾岸中央 メキシコ湾岸西部 メキシコ湾岸中央 メキシコ湾岸西部 メキシコ湾岸東部 メキシコ湾岸中央 チャクチ海 メキシコ湾岸西部 クック湾 メキシコ湾岸中央 ビュフォート海 計画年 2012 2013 2013 2014 2014 2014 2015 2015 2016 2016 2016 2016 2016 2017 2017 状況 2012.11.28入札実施 2013.3.20入札実施 2013.8.28入札実施 2014.3.19入札実施, 不落 2014.3.19入札実施 2014.8.20入札予定 環境評価のための意見募集中 環境評価のための意見募集中 最終環境評価発表 環境評価のための意見募集中 当初情報提供期間終了 環境評価のための意見募集中 入札対象鉱区を特定 環境評価のための意見募集中 事前分析の実施中 OCSLAはリースの方法や連邦政府に対する歳入の種類について規定している。リースセールは競争的な入札プロセスによって実施され、最も高い札を提示した者に当該リース鉱区が付与される仕組みとなっている。連邦政府の歳入は、ボーナス札、賃借料、そしてロイヤルティという3つの形態を採っている。これらの財務条件は入札毎に設定される。 ボーナス札は、落札者がリースを確保するために前払いで支払うキャッシュである。入札毎に水深に応じて1エーカー当たりの最低ボーナス額が設定されるが、ここ最近のリースセールでは400メートル以浅の鉱区に対しては$25.00/エーカー、400メートル以深では$100.00/エーカーとなっている。 出典:BOEMホームページ情報から作成 2)リースセールの条件とプロセス (表4:ここ最近のリースセールにおける最低ボーナス額 セール 計画地域 $100.00/エーカー(800メートル以深)$25.00/エーカー(提案中) $100.00/エーカー(提案中) Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 8 - *リースセール225については800メートル以深が対象 出典:BOEM, Final Notice of Sale (229,227,233,225,231), Proposed Notice of Sale, 238から作成 400メートル以浅 400メートル以深 $25.00/エーカー $100.00/エーカー 計画年 2012 2013 2013 2014 2014 2014 229 227 233 231 225 238 メキシコ湾岸西部 メキシコ湾岸中央 メキシコ湾岸西部 メキシコ湾岸中央 メキシコ湾岸東部 メキシコ湾岸西部 タ借料はリースを受けるために連邦政府に支払う鉱区賃借料であるが、これも1エーカーを単位に設定される。現行5カ年計画においてこれまで実施されたリースセールでは、水深に応じた価格設定がなされており、200メートル以浅では基本の5年の間は$7.00/エーカー、同様に200-400メートル以浅では$11.00/エーカー、水深400メートル以上では一段下のものと同様で$11.00/エーカーである。鉱区のリース期間は概して5年+3年間の延長であるが水深1,600メートル以上の大水深では10年間が保証される。賃借料は5年目以降については上昇する傾向である。 表5:ここ最近のリースセールにおける賃借料 セール 計画地域 リース期間 200メートル以浅 200~400メートル (単位:USドル/エーカー) 400メートル以深229 227 233 231 225 238 計画年 2012 2013 2013 2014 2014 メキシコ湾岸西部 メキシコ湾岸中央 メキシコ湾岸西部 メキシコ湾岸中央 メキシコ湾岸東部 2014 (水深800メートル以深) メキシコ湾岸西部 (提案中) 1-5年 6年 7年 8年~ 1-5年 6年~ 1-5年 6年 7年 8年~ $7.00 $14.00 $21.00 $28.00 $7.00 $14.00 $21.00 $28.00 $11.00 $22.00 $33.00 $44.00 $11.00 $22.00 $33.00 $44.00 $11.00 $16.00 $11.00 $16.00 $11.00 $16.00 10年 10年 10年 当初7年 (+延長3年) 当初7年 (+延長3年) 400~800メートル以浅 800~1,600メートル以浅 1,600メートル以深 セール 実施年 計画地域 400メートル以浅6:ここ最近のリースセールにおけるリース期間 表*リースセール225については800メートル以深が対象 出典:BOEM, Final Notice of Sale (229,227,233,225,231), Proposed Notice of Sale, 238から作成 229 227 233 231 225 2012 2013 2013 2014 2014 メキシコ湾岸西部 メキシコ湾岸中央 メキシコ湾岸西部 メキシコ湾岸中央 メキシコ湾岸東部 当初5年 (+延長3年) 当初5年 (+延長3年) 当初7年 (+延長3年) 出典:BOEM, Final Notice of Sale (229,227,233,225,231), Proposed Notice of Sale, 238から作成 ロイヤルティは、生産物の価値に対する一定割合を徴収するもので、現行5カ年計画におけるこれまでのリースセールでは18.75%に設定されている。また、水深に応じた最低ロイヤルティが設定されており、こちらは割合ではなく1エーカー当たりの価格として設定される。ロイヤルティに関しては、OCSの開発を促進する観点から救済策、いわゆる免除が利用できる。BOEMは現在これらの救済のカテゴリーとして大水深、浅海域における深層ガス採取、生産末期のリース、特別ケースを設けている。これらの救済策は、特別な経済評価を行って申請するもの(大水深に対する救済)やリースセールの通知時に予め特定の鉱区を救済の対象とするもの(浅海深層ガス採取に対する救済)などがある。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 9 - 238 2014 メキシコ湾岸西部 (提案中) 当初5年 (+延長3年) 当初5年 (+延長3年) 29 227 233 231 225 238 2012 2013 2013 2014 2014 2014 メキシコ湾岸西部 メキシコ湾岸中央 メキシコ湾岸西部 メキシコ湾岸中央 メキシコ湾岸東部 メキシコ湾岸西部 (提案中) 18.75% $7.00/acre or fraction, 年 $11.00/acre or fraction, 年18.75% 18.75% $7.00/acre or fraction, 年 $11.00/acre or fraction, 年$11.00/acre or fraction, 年*リースセール225については800メートル以深が対象 出典:BOEM, Final Notice of Sale (229,227,233,225,231), Proposed Notice of Sale, 238から作成 リースセールを行うためにはパブリックコンサルテーションの実施などの長い過程を経る。まず情報の収集を行い、その後セールの対象となる地域の特定、環境影響評価書の発表を行い、パブリックコメントを募集する。この間並行して、地域の利害関係者等との環境影響に関する協議を行う。これらで得られたインプットを元に最終環境影響報告書、リースセールの提案を発表し、再度パブリックコメントを募集する。そうして最終版のセールの通知を発表し、入札、評価作業を経てリースの付与という流れをたどる。 3)現行5カ年計画の実施状況と札入れの傾向 ( 2012-2017年を対象とする現行OCS5カ年リース計画の下で、BOEMはこれまで5回のリースセールを実施しており(最新のリースセール231については評価作業中)、5回のリースセール合計で約440万エーカーをリースし、最高入札額合計で23億ドルを得ている(これらの数字には評価作業中のセール231の数字も含めた)。BOEMは現在、2014年最後のリースセールとなるセール238を2014年8月20日に予定しているが、現在環境評価書のドラフトとリースセールの提案を発表して、意見募集を行っているところである。 現行5カ年計画で最初のリースセールとなったセール229(メキシコ湾岸西部)は、2012年11月28日に実施された。同セールでは合計2,000エーカー以上をカバーする3,873鉱区が入札対象として提案された9。同セールに対しては、13企業が参加し65万2,522エーカーをカバーする116鉱区に対して入札がなされ、入札額総額は1億5,700万ドル以上となった。BOEMによれば、この116鉱区のうち11鉱区が水深200メートル以下、70鉱区が水深800-1,600メートルに位置し、35鉱区が水深1,600メートル以上の大水深に位置しているという。 次のリースセール227(メキシコ湾岸中央)は、2013年3月20日に行われた。約3,860万エーカーをカバーする7,299鉱区が入札にかけられ、320鉱区に対して合計約16億ドルの入札額が集まった10。評 9 BOEM, “Western Gulf of Mexico Lease Sale 229 Statistics”, http://www.boem.gov/Oil-and-Gas-Energy-Program/Leasing/Regional-Leasing/Gulf-of-Mexico-Region/Lease-Sales/229/STAT_229.aspx 10 BOEM, “Central Gulf of Mexico Lease Sale 227”, http://www.boem.gov/uploadedFiles/BOEM/Oil_and_Gas_Energy_Program/Leasing/Regional_Leasing/Gulf_of_Mexico_Region/Lease_Sales/227/stGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 10 - 表7:ここ最近のリースセールにおけるロイヤルティ セール 計画地域 実施年 ロイヤルティ率最低ロイヤルティ率 200メートル以浅 200メートル以深 ソ作業の結果、BOEMはこのうち合計で165万エーカーをカバーする307鉱区のリースを付与した。BOEMによれば入札を受けた320鉱区のうち、85鉱区が水深200メートル以下の浅海、7鉱区が水深200~400メートルに位置し、19鉱区が水深400~800メートルに位置している。水深1,600メートル以上の大水深に位置するのは131鉱区となった。 リースセール233(メキシコ湾岸西部)は2013年8月28日に行われた。このリースセールでは合計約2,070万エーカーをカバーする3,864鉱区が対象とされ、結果として30万1,000エーカーをカバーする53鉱区に対して札入れがなされた11。最高入札額合計は1億200万ドルに達したという。この53鉱区のうち、4鉱区が水深200メートル以下に位置し、1鉱区が水深400~800メートル、37鉱区が水深800~1,600メートル、11鉱区が水深1,600メートル以上に位置しているという。 リースセール225(メキシコ湾岸東部)とリースセール231(メキシコ湾岸中央)は、2014年3月19日に実施されたが、セール225に対しては札入れが無かった12。リースセール231では、約170万エーカーをカバーする合計7,511鉱区が入札対象とされ、このうち札入れの対象となったのは326鉱区であり、50社が参加した13。最高入札額合計は8億5,081万ドル、最高入札額は6,879万ドルであった。リースセール231で注目されるのは、マコンドオイルスピルの結果連邦政府との契約が一時的に禁止されていたBPが入札に参加したことである。BPは今回入札に先立つ2014年3月14日に連邦政府を代表する環境保護庁(EPA: Environmental Protection Agency)との間で、連邦政府との契約の禁止を解除する5年間の協定に署名したところであった14。BPはリースセール231において、最高入札額の入札数、最高入札額の合計額で上位10位に入る好成績を収めている。 下表はリースセール229から231における水深毎の入札数をグラフ化したものである。これを見るに水深200メートル以浅の鉱区と水深800メートル以上の鉱区とに人気が割れているようである。 at_227.pdf 11 BOEM, “Western Gulf of Mexico Lease Sale 233”, http://www.boem.gov/Sale-233-Statistics/ 12 BOEM, “Eastern Planning Area Lease Sale 225 Information”, http://www.boem.gov/Sale-225/ 13 BOEM, “Central Gulf of Mexico Lease Sale 231 Statistics”, http://www.boem.gov/Sale-231-Stats/ 14 BP, EPA “Administrative Agreement”, Mar 13,2014, http://www2.epa.gov/sites/production/files/2014-03/documents/bpadmin-agreement-mar-13-2014.pdf Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 11 - }3:水深毎の入札札数(リースセール229,227,233,231)1401201008060402000-200m以内200-400m以内400-800m以内800-1600m以内1600m以上セール229セール227セール233セール231出典:BOEM, 各Lease Statisticsのデータから作成 最高入札額の金額の多さを、当該鉱区を希望する度合いの大きさと解釈すれば企業の水深毎に対する選好の度合いがわかるかもしれない。そこで最高入札額についてグラフ化したものがもう一つのグラフである。最高入札額の観点から整理した場合、水深800メートル以上の鉱区に対する入札額が突出しているのが読み取れる。もっとも、水深400メートルで区切られる最低ボーナス額の違い(1エーカー$25.00対$100.00)や鉱区自体の広さも考慮しなければならないが、企業の選好としては800メートル以上の水深に何らかの魅力を感じていると考えてもよいかもしれない。 図4:水深毎の最高入札額の合計(リースセール229,227,233,231)(単位:USD)$800,000,000$700,000,000$600,000,000$500,000,000$400,000,000$300,000,000$200,000,000$100,000,000$00-200m以内200-400m以内400-800m以内800-1600m以内1600m以上セール229セール227セール233セール231出典:BOEM, 各Lease Statisticsのデータから作成 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 12 - S.米国OCS開発に係る最近のトピックス 以下では米国におけるOCS開発で注目される動向について整理したい。 (1)2017-2022年次期OCS開発5カ年リース計画策定の着手 2014年6月13日、DOI及びBOEMは、2017-2022年の5年間を対象とする次期OCS開発計画の策定を進めることを発表した15。現行の5カ年計画は、2012年8月27日に採用されたものであり、2017年8月27日に失効する。 次期5カ年計画で注目されるのは、これまで計画地域からほとんど外されていた大西洋岸が含まれるかどうかである。米石油協会(API: America Petroleum Institute)はQuest Offshore Resources社に調査委託を行い、大西洋OCSで2017-2035年に石油・天然ガス開発が進めば少なくとも28万の新規雇用と1,950億ドルの民間投資が見込めるとの結論を得ており16、雇用・景気対策とエネルギー安保強化のために太平洋OCSでの地震探査を早急に解禁するようオバマ政権に迫っている。この点BOEMは2014年2月27日に、大西洋岸OCS開発が海洋環境に与える影響調査結果を発表して同地域開発の第一歩を踏み出している(同調査結果では地震探査を行えば大西洋OCSに生息するイルカが2万7,000頭、クジラが4,600頭、毎年死傷する可能性があると推定しているが、取り返しがつかない被害が及ぶとは見通していない)17。 BOEMは今後3年間を費やして次期OCSリース計画の策定を進めるが、今回の発表により2014年7月30日まで45日間のイニシャルパブリックコメントの募集を行う。 2)米-メキシコとのオフショア国境地帯での開発 ( 1978年の米国-メキシコ間の国境協定の締結以来、同国境線の両側各1.4海里までの緩衝地帯と両国の排他的経済水域の境界によって囲まれた隙間地域(ギャップ)における地下資源の開発はモラトリアム状態に置かれてきた。しかし、2012年の米-メキシコ越境炭化水素協定(US-Mexico Transboundary Hydrocarbon Agreement)の締結、そして2013年12月までの両国議会の批准によりこれら緩衝地帯とギャップ地域の開発が可能となった(協定の発効は2014年7月18日から)。 2014年5月30日、DOIとBOEMは米-メキシコ越境炭化水素協定の対象となるメキシコ湾のオフショア国境地帯において最初となる3鉱区の石油・天然ガスリースをExxonMobilに付与することを発表した18。 15 DOI, News Release, “Secretary Jewell Announces First Step in Robust and Open Public Process to Develop a Proposed Offshore Oil and Gas Leasing Program for 2017-2022” Jun 13, 2014, http://www.doi.gov/news/pressreleases/five-year-leasing-plan.cfm 16 API, “The Benefits of U.S. Offshore Oil and Natural Gas Development in the Atlantic”, http://www.api.org/oil-and-natural-gas-overview/exploration-and-production/offshore/benefits-of-us-offshore-oil-and-natural-gas-development-in-atlantic 17 BOEM, Press Release, “BOEM Completes Environmental Review for Geological and Geophysical Survey Activities Off the Atlantic Coast”, http://www.boem.gov/press02272014/ 18 DOI, BOEM, “Secretary Jewell Announces Award of First Oil and Gas Leases in Gulf of Mexico Subject ot U.S.- Mexico Transboundary Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 13 - OEMによれば、ExxonMobilは2013年8月28日に行われたリースセール233において当該鉱区に対する札入れを行っていたが、BOEMは当時提出された札を開封せず、その代わりに2014年3月19日に行われたリースセール231の間にこれを開封したという。 米-メキシコ越境炭化水素協定は、モラトリアム地域を開放する以外にもこれら国境線付近での石油・天然ガス開発の法的枠組みを明確にするものでもある。同協定の下では、米国企業とメキシコ国営石油会社Pemex19は、国境付近の開発を共同で行うための協定を自発的に締結することが可能である。他方で同協定は、共同開発の合意が成立しなかった場合には、各自がそれぞれの国境内で個別に開発を進めるための手続きを規定している。同炭化水素協定はまた、適用法規の遵守を確保するためのBSEE及びメキシコ政府からなる共同査察チームの派遣や両国政府機関による開発計画の審査などについても規定している。 DOIによれば、現在準備中のリースセール238においてもこれら緩衝地域及びギャップ地域が入札対象に含まれる可能性があるという。 .むすびに 5 本稿では、米国でのオフショア開発、特に連邦政府に帰属するOCSの開発の動向について概説してきた。OCSにおける石油・天然ガス開発は、マコンドオイルスピルの影響や昨今の米国におけるシェールブームもあって生産量の観点からは若干見劣りし、また話題性という観点からはより多く議論になっているLNGの輸出やキーストーンXLパイプラインに比べると影が薄い。しかし、BOEMが推定しているとおりそのポテンシャルは非常に大きい可能性があり、大西洋岸など未だ開発が着手されていない地域も存在することから、次のフロンティアとして期待が持たれる。米国が真に(フィジカル面で)エネルギー自立を達成しようとするならば、この地域の更なる開発は避けて通れない道であろう。本稿で見てきたとおり、次期5カ年計画の策定着手や大西洋岸OCSにおける地震探査の影響調査、メキシコとの国境地帯の開放など、既にその準備が進められている。 (了) Hydrocarbons Agreement”, May 30, 2014, http://www.doi.gov/news/pressreleases/secretary-jewell-announces-award-of-first-oil-and-gas-leases-in-gulf-of-mexico-subject-to-us-mexico-transboundary-hydrocarbons-agreement.cfm# 19 メキシコにおける炭化水素資源の開発は1938年の国有化以来Pemexが独占的に行ってきた。しかし2013年末に炭化水素資源開発に外国企業の参入を禁止する憲法規定が修正されたため外資の参入が可能となった。しかし米国との国境地帯における開発についてはPemexが引続き最低20%のステークを保持して関与することになっている。現在メキシコでは憲法の修正を受け必要な法整備を進めている。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 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