ページ番号1004470 更新日 平成30年2月16日

チュニジア:資源開発の最新動向

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レポートID 1004470
作成日 2014-06-25 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 基礎情報探鉱開発
著者 増野 伊登
著者直接入力
年度 2014
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ 更新日:2014/06/25 調査部:増野 伊登 チュニジア:資源開発の最新動向 (BP統計、EIA報告、企業プレス・リリース、各種報道など) ?チュニジアは、炭化水素資源の埋蔵量・生産量ともに周辺のアルジェリア、リビア、エジプトの中で一番規模の小さい国である。国内エネルギー需要が上昇する一方、原油生産量は減少を続けており、現在では1980年代のピーク生産量12万b/dの半分にまで落ち込んだ。一方、天然ガスの生産量に関しては2010年以降緩やかに減退し、現在では250MMcf/d程度で推移している。 ?北アフリカの中でも外国企業に対しては開放的な姿勢を維持してきたチュニジアであるが、エネルギー自給率の向上をいち早く推し進めたい今、外資の呼び込みをより一層強化している。今年4月にはチュニジア投資セミナーが東京で開催されたばかりである。 ?現在ではBG、OMG、Eniをはじめとして、大小さまざまなIOCがチュニジアに進出している。近年ではRepsolなどの大手が探鉱契約を締結している。治安、インフラ、開発コスト、国内供給価格、税制など、チュニジアはIOCにとって多くの魅力を併せ持つ国であり、今後も参入企業が増えることが予想される。 ?米国エネルギー情報局(EIA)によれば、チュニジア国内のシェールガスの技術的回収可能資源量(TRR)は23tcf、タイトオイルのTRRは15億バレルに上ると推測されている。近年ではShellがシェールガスのポテンシャルに注目しており、探鉱契約の締結に向けてチュニジア政府と協議中である。しかしながら、掘削の実施に対しては環境破壊を問題視する住民からの反発が強く、開発に至るまでには時間を要すると思われる。 ?南部Nawaraガス田の開発プロジェクトについては、ベン・アリ政権崩壊後の政治的混乱によって交渉が一時中断したものの、2014年3月に暫定政府が事業の承認を決定した。2016年の生産開始を予定しており、1万boe/d(およそ60MMcf/d(1.7MMcm/d)に相当)の生産を目指す。このほかパイプラインをはじめ関連インフラの建設も計画されており、将来的にはガスの増産をもたらすと共に、エネルギーの国内自給率を押し上げることが期待されている。 .チュニジアと炭化水素資源 1(1)原油の生産状況 チュニジアにおける探鉱の歴史は19世紀末にまで遡るが、原油生産は1966年の南部El Borma油田の操業開始と共に幕を開けた。BP統計などによれば、1980年代初頭に12万b/d弱に達して以降生産量は減退を続けており、2007年に一時持ち直すも、2012年には約半分の6.5万b/dにまで落ち込んだ。チュニジア当局の発表では、2014年4月の生産量は55,645b/dと更に減少している。4億バレルに上ると言われる埋蔵量は、周辺国アルジェリア(122億バレル)、リビア(480億)、エジプト(43億)と比較して圧Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 1 ? |的に少なく、北アフリカの炭化水素資源保有国としては小規模である。また、国内需要の上昇に生産量が追い付かず、チュニジアは2000年に原油純輸入国に転じている。 一方、天然ガスについても埋蔵量は2.3tcf(65bcm)、生産量は2009年のHasdrubal油ガス田の生産開始に伴い300MMcf/dを超えるも、2010年以降緩やかに減少しており、チュニジア産業省の調べによれば、2014年第1四半期の生産量は250MMcf/d弱となった。現在チュニジアのガス生産を支えているのはBGが操業するMiskarガス田(1996年に生産開始。全埋蔵量の1/3が集中)と上記Hasdrubal油ガス田(2009年に生産開始)であり、両田から生産されるガスが生産量全体の半分以上を占めている。しかし上昇する国内需要を賄うことは出来ないため、現状では国内供給量のおよそ半分をアルジェリアに依存している。今後ガスの需要は更に拡大することが予想され、消費量は2016年までにおよそ580MMcf/dに跳ね上がるとも言われている。 エネルギー自給率の向上を目指すチュニジア政府が国を挙げて取り組んでいるのが南部におけるガス田開発であり、将来的にはアルジェリアへの依存率を1/3にまで抑えることが期待されている。アラブの春以降計画の頓挫が囁かれたが、国営石油会社ETAP(Entreprise Tunisienne d'Activites Petrolieres)は同プロジェクトを「チュニジアの命綱」であるとし、計画続行の意欲を見せている。このほか、ShellをはGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 2 ? 2)天然ガスの生産状況 (カめとする外資企業がシェールガスのポテンシャルに注目しているが、一方で住民からの反発も強く、探鉱開発には時間を要するものと思われる。 (1)「アラブの春」以降の政治・経済情勢 .資源開発を取り巻く環境 2「アラブの春」の発端ともなったチュニジアでは、2011年のジャスミン革命によってベン・アリ政権が崩壊、2013年12月にはジョマア産業大臣が暫定内閣首相に就任した。2014年内には総選挙が実施される予定である(選挙管理委員会によれば11月後半)。現在暫定政権が最優先課題として掲げているのが経済の立て直しだ。2014年に入ってからの財政赤字はGDPの7.5%~8%に上っており、物価の上昇1と失業率の増加2も深刻化している。こんな中、2013年にIMFは経済救済を目的に17億6千ドルに上る金融支援を行うことを決定したほか、今年初めには世界銀行が12億ドルの援助を発表している。IMFの勧告に従い補助金改革が進められており、2014年5月には砂糖やパンなどの食料品に加えガソリンの値上げを再度決定したところである3。6.3%の値上げによってガソリン代は1リットル当たり1.670ディナール(1.03ドル)となり、廉価に抑えられているリビアやアルジェリアと比較すると非常に高い値段設定と言える。経済の悪化ですでに国内各地ではデモが発生しているが、今後更に補助金の削減を推し進めれば、国民の反感を買い治安の悪化に繋がることが懸念される。また、イスラーム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)などテロ組織の動向については、直近では5月末に内務大臣の自宅が襲撃を受けるなどの事件が発生している。これに対しチュニジア軍は、アルジェリアでのイナメナス事件発生以降は特に警戒態勢を強化しており、現在でも武装組織の掃討作戦が国内各所で続いている。 こうした「アラブの春」以降の混乱の中で150社もの外資企業がチュニジアから撤退したとされるが、資源開発を取り巻く環境は概ね安定していると言える。事実、暴動やテロの多くが都市部を中心に起こっているため、人口密集地から離れた油ガス田及びその他関連インフラはこれまでのところ大きな被害を受けることなく通常通りの操業を続けている4。また、2014年3月5日には、2011年に発出された非常事態 1 チュニジア統計局によれば、2013年12月、食糧・飲料の価格指数が前年に比して8.4%上昇。衣料品・靴の価格指数は7.4%まで上昇した。インフレ率は食品価格の高騰によって上昇し、2013年には6.1%を記録した(2012年は5.5%)。 2 失業率は2010~2011年は13%で推移したが、2012年に18.9%に上昇。特に若年層の失業率が高いことが問題となっている。 3 GDPに占める補助金額の割合は、2010年の4%弱から、2013年には8%以上にまで上昇。2014年2月に発表されたIMFの報告によれば、政府の支出総額に占める割合は4分の1以上に膨れ上がっている。前回チュニジア当局が補助金削減に踏み切ったのは2013年3月。 4 2011年7月にアルジェリア・イタリア間パイプライン(Transmed/ Enrico Mattei)が襲撃を受けたものの、人的・物的被害はなかった。また、2013年1月16日には、ストライキの発生を受けて、カナダ企業Winstar Resourcesが操業する南部油ガス田からの生産が一時停止するなどのGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 3 ? 骭セが撤回されるなど、暫定政府の樹立によって政情が落ち着いてきたこと、周辺地域の中では比較的治安が安定していることなどから、外資企業の関心がチュニジアに戻りつつある。政府としても投資の呼び込みには一層の力を入れており、今年4月22日には東京でチュニジア投資セミナーが開催された。同セミナーのために来日したChouariチュニジア外国投資振興庁(FIPA)5国際マーケティング部長によれば、教育水準、労働力の質、ビジネス環境の整備においてチュニジアは中東北アフリカ地域でもトップレベルを誇るとし6、2011年以降は年間400社のペースで外資が増えているとのことである。 2)領海権を巡る周辺国との関係 (イタリアとの間では1971年に領海線が画定しているほか、長期にわたったリビアとの領有係争に関しては、1988年に両国間で合弁石油会社を設立し、共同で係争区域の探鉱に当たることで合意した。一方、2000年にチュニジアが行った沖合鉱区の付与に対してマルタ政府が非難声明を発出しているが、本件により二国間の関係が著しく悪化するという事態には陥っていない。 1972年に設立されたチュニジア国営石油会社ETAPは、炭化水素法が定めるとおり、利権契約の下で締結された探鉱開発事業に参画する権利を持つ。ETAPの権益比率は交渉によって決定されるが、これまでの事例では20~55%の範囲内である。ライセンスの付与はチュニジア産業・エネルギー・鉱業省(Ministry of Industry, Energy and Mines)の管轄下で行われ、公開入札という形ではなく、IOCの希望に応じて随時実施される。付与されるライセンスは以下の4分類に分けられる:評価パーミット、地震探査パーミット、探鉱ライセンス、生産ライセンス。また、データルームはETAPによって管理されており、アクセ3)国営石油会社ETAPの役割 (ス料は発生しない。 4)開発コスト (チュニジアでは陸上の掘削コストが比較的低く抑えられるということが魅力の一つである。中北部の陸 事態が発生したが、死傷者もなく、設備への襲撃も見られなかった。 5 FIPAの詳細に関しては公式ウェブサイト(http://www.investintunisia.tn/)を参照のこと。因みに、在日チュニジア大使館内にはFIPA東京事務所(所長:下田基宏氏)が設置されている。 6 Quality of math and science educationでは31位/148か国中、Availability of scientists and engineersでは22位/148か国中(The Global Competitiveness Report 2013-2014, World Economic Forum)、Curruption Perception Index 2013では77位/180か国中(The Human Capital Report, Transparency International)、Doing Business 2014では51位/189か国(モロッコ87位、エジプト128位、アルジェリア153位、リビア187位)(Doing Business 2014, World Bank and International Finance Corporation)と、いずれもMENA地域で1位。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 4 ? 纃z区BouhajlaとKtititirで探鉱を行うカナダ独立系企業Africa Hydrocarbonsによれば、2,500mの井戸を1本掘るのにおよそ700万ドルを要したとのことである。同社のJohn Nelson CEOが言うには、ケニアやエチオピアなどインフラ設備の整っていない地域で同様の掘削を行う場合には、コストは5,000万ドルにも跳ね上がることが予想される。 5)契約形態・税制 (1999年に制定された炭化水素法によれば、契約形態は利権契約(ETAPとの合弁事業契約)及び生産物分与契約(PSC)の二種類であり、コントラクターの希望に基づいて決定される。利権契約の場合、ロイヤルティーは石油・ガス共に2~15%と、周辺国のアルジェリア(5.5~23%)、リビア(16.67%)や、そのほかアンゴラ(20%)、北米(12.5~30%)などと比べても低く抑えられている。また、液状炭化水素の国内供給義務については法で定められており、チュニジア政府からの要求に応じて、コントラクターは生産量の20%を上限として、FOB(本船渡し条件)価格から10%を差し引いたディスカウント価格で国内に販売せ現在原油生産を支えているのは東部沖合のAshtart、Hasdrubal油田やAdam、El Borma、Cherouq(Jenein Nord)などの南部陸上油田である。一方天然ガスに関しては、東部洋上のMiskar、Hasdrubalから生産されるガスが生産量全体の半分以上を占めている。17年間にわたってチュニジアのガス生産に携わってきたBGは、同国における資源開発の最大の立役者であり、生産量及び埋蔵量も外資の中では圧倒的な上位を占めている。オーストリアのOMVもまた2003年、2011年と相次ぐファームインによって存在感を強めている。大手企業ではEniが1960年代から事業を展開しているほか、近年ではRepsolが北部沖合鉱区の権益を獲得、Shellは陸上鉱区の探鉱契約締結に向けてチュニジア政府と協議中である。また、その他にもPA Resources、En Quest、ADX Energy、Petroceltic、Cooper Energy、DNO、Gulfsands Petroleum、Independent Resources、Circle Oil、Serinus Energy、Cygam Energyなど数多くの中小企業が参入している。 これら外国企業の主な投資対象は、炭化水素資源埋蔵量の大半が集中するチュニジア東部Pelagian堆積盆地と、ガス田の発見が相次ぐGhadames堆積盆地におけるE&P事業である。ここ数年の探鉱動向Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 5 ? .探鉱開発の歩み 3ねばならない。 T観すると、油層よりもガス層の方が多く発見される傾向にある。2010年のOMVによる発見(Jenein SudやNawaraなどの南部鉱区において4つのガス・コンデンセート層を発見)や、シェールガスへの期待の高まりも更なる追い風となって、チュニジアのガス開発には特に注目が集まっている。ETAPによれば、2013年時点で60の企業がチュニジア国内で探鉱活動に従事しており、現在付与されている鉱区は50を超える(9評価ブロック、42探鉱ブロック)。同社のAkrout・CEOは2014年中に前年と同様15本の坑井を掘削する予定であると発表している。 一つ留意すべき点は、暫定政権への政権移譲、新憲法の立案、選挙に向チュニジアの堆積盆地 けた準備など政治的過渡期にあって、チュニジア当局による事業認可作業の遅れが目立っているということである。事実2013年5月にPA ResourcesとEnQuestの間で合意に至った洋上鉱区Zarat PermitとDidon鉱区の権益売却(及びオペレーターシップの譲渡)について、1年以上経った今もなお承認が下りていない。少なくとも今年末に予定されている総選挙の実施までは、政府側の事務的手続きがある程度停滞するものと思われる。 1)日本との関わり (日本企業の進出事例としては、MCX North Africa(三菱商事100%子会社)が陸上のChaal Permit(Candax Energy 60%、MCX North Africa 20%、チュニジア企業SMIP 20%)にて2005年以降評価作業を実施、2006年に開始した試掘の結果ガスの存在を確認したものの、2010年5月に契約期間の満了を迎えた。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 6 ? G Miskarガス田 BG Hasdrubal油ガス田 OMV 各種情報を基にJOGMEC作成 OMV Jenein Nord油田 OMV Nawaraガス田 2)注目されるシェールガス (2013年の米国エネルギー情報局(EIA)の報告書によれば、チュニジア南部のIllizi-Ghadames堆積盆(アルジェリア東部、チュニジア南部、リビア西部にまたがる)はシェールガスのポテンシャルにおいて非Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 7 ? Eni El Borma油田 Ashtart油田 Eni、OMV Adam油田 チュニジアの油ガス田 Repsol 墲ノ有望であると考えられている。特にSilurian Tannezuft層とDevonian Frasnian層には、技術的回収可能資源量(TRR)にしてそれぞれ11tcfのシェールガスと1億バレルのタイトオイル、12tcfのシェールガスと14億バレルに上るタイトオイルがあるとされる。隣国のアルジェリアはシェールガスのTRRが707tcfと中国・アルゼンチンに次いで世界第3位(米国は665tcf)に位置しているが、同国の国営石油会社Sonatrachは、チュニジアにもまたがるIllizi堆積盆と、それに隣接するBerkine堆積盆のシェールガス原始埋蔵量をそれぞれ106tcf、954tcfとする評価結果を出している。 外資企業の動向としては、アルジェリアでシェールガスの評価作業を行っているShellが、2012年以降チュニジア政府との間でも陸上鉱区におけるシェールガス探鉱の実施に向けた交渉を続けている。カナダの独立系企業Cygam EnergyやWinstar Resourcesなども関心を示しており、後者が権益を持つ南部の4陸上鉱区(Chouech Essaida、Ech Chouech、Sanrhar、Sabria)については、シェールガスのTRRは4.8tcfに上ると推測されている。 今後の探鉱活動の進展に注目されるが、チュニジアにおけるシェールガス開発はコスト以外にも課題を抱えている。2012年9月、Chakari産業大臣が東部のカイラワーン(Kairouan)、エルジェム(El Jem)、スース(Sousse)、スファックス(Sfax)において掘削作業を行う予定であると発言したことが引き金となり、環境保護団体や東部住民によるデモが発生した。これを受け産業省は、国内におけるシェールガス採掘許可を発出した事実はないと前言を撤回している。昨年末には、Perenco、Rigo Oil、Storm Ventures、Schlumbergerなどによってすでに35本以上の抗井が掘削されたとの情報がチュニジア国内に出回ったものの、これまでのところ実際に掘削が行われたか否か真偽の程は定かではない。現行のチュニジアの法制度は非在来型資源の探鉱開発を想定して整備されたものではないため、今後はシェールガスの開発も視野に入れた環境規制の整備などが進められていくものと思われる。 3)Nawaraガス田開発プロジェクト (エネルギー自給率の向上に向けてチュニジア政府が推し進めているのが南部におけるガス開発である。当初、Adam、Nawara、Anaguid、Jenein Nord、Jenein Sud、Borj El Khadra、Oued Zar、Larichなど複数のガス田を併せた一大「チュニジア南部ガス・プロジェクト(STGP)」7(OMV 33.33%、Eni 16.67%、ETAP 50%)が計画されていたが、2011年以降の政治的混乱や2012年のEniの撤退(OMVに権益を売却)などが相次ぎ、計画は思うように進まなかった。2013年6月、南部開発の目玉としてSTGPに取って代わっ 7 ガス田の開発に加え、圧縮プラントや、ガベス湾(工業団地)のガス処理施設までを繋ぐパイプライン(320㎞、24インチ、最大輸送能力Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 8 ? スのがNawaraガス田(OMV 50%、ETAP 50%)の開発を中心とする「Nawaraガス田開発プロジェクト」である8。現状では国内ガス供給量のおよそ半分をアルジェリアに依存しているが、ETAPは、埋蔵量が178bcfに上るとも言われる同ガス田の生産が軌道に乗れば、将来的にアルジェリアへの依存率を1/3にまで抑えられると考えている。オペレーターのOMVによれば生産開始予定年は2016年(当初の予定では2014年)で、目標生産量は1万boe/d(約60MMcf/d(1.7MMcm/d)に相当)程度を想定しているとのことである。また、ガス田開発と併せて、コンデンセートとLPGを分離するためのNawara中央生産施設や、GabesとTataouineにおける処理施設(それぞれ能力90MMcf/d(2.5MMcm/d)、21,180cf/d(600cm/d))の建設に加え、これらインフラを結ぶためのパイプラインの敷設も同時に計画されている9。 6年間を経てようやく着地点を見出した南部開発構想であるが、最近の動向としては、欧州投資銀行からの2億900万ドルに上る融資が決定したほか、2014年3月にはOMVによって最終投資決定(FID)が行われ、同5日にプロジェクトに対するチュニジア政府の正式な認可が下りた。5月30日のOMVのプレス・リリースによれば投資額は6.8億ドルに上ると見られる。今後EPC事業の発注が随時行われ、事業の完了には2~3年を要する見込みである。 4)インフラの整備 (?パイプライン 北アフリカ西端のモロッコでは、治安や税制の面でチュニジアと同様周辺国よりも条件が良いとされている一方、パイプライン網の不足が開発のネックになっている。これに対しチュニジアでは、国内の各油ガス田と、GabesやLa Skhiraをはじめとする地中海沿岸の貯蔵タンクや処理施設、またチュニジア北端のBizerte製油所をつなぐパイプライン網が張り巡らされている。加えて、チュニジア国内を370kmにわたって横断しているアルジェリア・イタリア間パイプライン Transmed/Enrico Mattei(輸送能力3,290MMcf/d)も、支流パイプラインよって国内のガス処理プラントや製油所へとつながっている。このように、輸送システムが確立されていることがチュニジアにとっての強みであると言える。 すでに稼働中のパイプラインとは別に、Nawaraガス田開発プロジェクトの一部を成すNawaraガス田・Gabes間の新パイプライン(輸送能力350MMcf/d)建設計画も進んでおり、2016年に稼働を開始する予定である。国内を走るパイプラインのほかにも、アルジェリアのIn AmenasとLa Skhiraを結ぶ輸送能力 353MMcf/d(10MMcm/d)の建設も計画され、当初は2012年の完了を予定していた。 8 Nawaraガス田は2006年にOMVによって発見され、2010年には新たにガス/コンデンセート田が発見されている。 9 当初の計画では、輸出を想定した小規模のLNG出荷プラントを建設し、アルジェリア・イタリア間パイプライン(Transmed/ Enrico Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 9 ? 8.5万b/dの石油パイプラインが走っているほか、リビアからのガス輸入を視野に入れて、トリポリの85km西に位置するMellitahとGabes間のガス・パイプラインも計画されている。 インフラの整備状況 各種情報を基にJOGMEC作成 Mattei)に繋げるなどの構想もあったが、後に立ち消えた。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 10 ? 製油所 石油精製及び石油製品の輸入を管理する国営STIR(Societe Tunisienne des Industries de Raffinage)のTaoufik Bendaly社長が2013年10月に述べたところによると、チュニジア政府は2026年までに石油製品の自給自足を達成することを目指している。一方で、国内には北端のBizerteに唯一の製油所(1962年建造。処理能力3.4万b/d)があるのみで、約10万b/dに上る国内需要の半分程度を賄うことしか出来ない。そのため石油製品の供給を輸入に頼らざるを得ないのが現状である。 Bizerteの拡張計画がかつて議題に上がったものの、資金調達が上手くいかず計画は棚上げになっている。このほか、2007年のカタール国営石油会社(QP)とのMoUに基づき施工費30億ドルの製油所建設(能力25~35万b/d)プロジェクトも進んでいたが、2013年10月にQPが事業からの撤退を決定するなど、計画は再度頓挫した。ガベス湾のLa Skhiraターミナル付近に処理能力12万b/dの製油所を新設する計画も浮上しているが、完成予定年は不明である。 Hannibal、Hasdrubal、Gabes、Cercina(Kerkenahと表記される場合もあり)島、El Franig、Baguelの5か所にガス処理施設がある。中でも最大の規模を誇りるHannibalプラントはMiskarガス田から生産されるガスの処理を行うために建設された(処理能力は230MMcf/d(6.5MMcm/d))。2009年にはHasdrubalガス田向けにHasdrubal処理プラント(能力120MMcf/d(3.4MMcm/))が建設されている。この他Cercina島にもCerguiガス田用のプラント(能力19MMcf/d(0.55MMcm/d))がある。また、El Franigガス田とBaguelガス田近郊、及びGabesにもそれぞれ小規模のプラントが存在する。 出入荷ターミナル ?出入荷のためのターミナルは地中海沿岸の5か所(La Skhira、Ashtart、Gabes、Sfax、Bizerte)に点在している。この内、免税特区のLa Skhiraには最大12万dwtの船舶を受け入れ可能なタンカーバースが2か所あるほか、190万バレル規模の貯蔵タンクも備わっている。 ガス処理施設 ?Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 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地域1 アフリカ
国1 チュニジア
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 アフリカ,チュニジア
2014/06/25 増野 伊登
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