ブラジル:プレソルトの石油生産量50万バレル/日を突破~今後の生産増はいかに
レポートID | 1004475 |
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作成日 | 2014-07-15 01:00:00 +0900 |
更新日 | 2018-02-16 10:50:18 +0900 |
公開フラグ | 1 |
媒体 | 石油・天然ガス資源情報 1 |
分野 | 探鉱開発 |
著者 | 舩木 弥和子 |
著者直接入力 | |
年度 | 2014 |
Vol | 0 |
No | 0 |
ページ数 | |
抽出データ | 更新日:2014/7/14 調査部:舩木弥和子 (Platt’s Oilgram News、International Oil Daily、Business News Americas他) . プレソルトの石油生産量が50万バレル/日を突破した。ブラジルの石油生産量に占めるプレソルトの割合は20%を超え、Santos Basinで生産される石油の割合も14%を占めるようになった。2014年に入り、同国の石油生産量も回復に向かっている。遅れ気味だったPetrobrasの新規プロジェクトにも進展がみられつつあるようだ。 1. 政府はPetrobrasに、プレソルトで石油換算98億~152億バレルを生産する権利を、入札なしで追加付与した。Petrobrasが現状以上に探鉱・開発を行えるのかとの疑問の声も上がっているが、政府や同社はプレソルト開発に関する法制度の変更や資産売却を含め対応策を検討している。 2. 環境問題、Petrobrasを巡る疑惑、熟練労働者不足、製油所の完成等が、今後のブラジルの探鉱・開発・生産に影響を与える可能性があり、動向を注視していく必要がある。 3ブラジル:プレソルトの石油生産量50万バレル/日を突破 ~今後の生産増はいかに .プレソルトの石油生産量50万バレル/日を突破 1ブラジルでは、プレソルトの石油生産量(NGLを含む)が2014年6月24日に合計で52万バレル/日となり、初めて50万バレル/日を超過した。生産井数は25坑で、Santos Basinの油田の生産量が27.4万バレル/日、Campos Basinの油田の生産量が24.6万バレル/日であった。 2006年にSantos BasinのプレソルトでTupi油田(現在のLula油田)が発見されてから8年、2008年9月にCampos BasinのJubarte 油田でブラジル初のプレソルトからの生産が開始されてから6年での石油生産量50万バレル/日超過となった。1953年にPetrobrasが創立されてからブラジルの石油生産量が50万バレル/日を超えるまでには31年かかっており、当時の生産井数は4,108坑であった。石油生産量が50万バレル/日を超過するまでには、メキシコ湾で20年、北海で10年かかっており、これらと比較しても、ブラジルのプレソルト開発は早いペースで進められているということができるだろう。 プレソルトの石油生産量を月別にみてみると、2013年11月から7か月連続で生産量が増加しており、2014年5月は石油が448,200バレル/日、ガスが16.1MMm3/d、合計で549,300boe/dとなっている。5Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - 獅ヘBaleia Azul、Baleia Franca、Jubarte、Barracuda、Caratinga、Buzios、Linguado、Lula、Marlim Leste、Pampo、 Tupi Nordeste、Sapinhoa、Trilhaの13油田、33坑から生産が行われている。プレソルトで最も生産量が多いのはSapinhoa油田のSPS-77号井で、生産量は3.6万バレル/日となっている。なお、プレソルトの油田で生産が開始された2008年9月から2014年4月までのプレソルトの累計生産量は3.43億バレルとなっている1。 (ANPホームページより作成) ブラジル全体として見た場合にも、5月の石油生産量は218.9万バレル/日と4か月連続で増加しており、回復傾向にあることがうかがわれる。生産井数は沖合が797坑、陸上が8,278坑で、ブラジル全体では9,075坑から生産が行われた。 生産開始が遅れがちとなっているPetrobrasの新規プロジェクトは、3月にBaleia Azul Norte鉱区Parque Baleias 油田のP-58プラットフォームが、5月にRoncador 油田のP-62プラットフォームの生産が開始された。Petrobrasが2013年に策定した5ヵ年計画Business and Management Plan(BMP)2013-2017よりは生産開始の時期が数か月遅れてしまったものの、2014年2月に発表したBMP2014-2018にそった生産開始となった。2014年第2四半期に生産開始が予定されていたBC-20鉱区PapaTerra油田のP-61プラットフォームはすでに同油田に到着、間もなく生産を開始する予定とされ、FPSO Norte Cidade de IlhabelaとCidade de Mangaratiba も同年下半期にはBM-S-9鉱区Sapinhoa 油田、BM-S-11鉱区Iracema Sul油田に到着予定とされている。メインテナンスが続けられてはいるものの、2013~2014年に生産を開始した生産設備と油井のつなぎこみが進み、Petrobrasの生産量も増加量は少ないながらも4か月連続で増加し5月には197.5万バレル/日となった。 (ANP、Petrobrasホームページより作成) 1 Platts’ Oil gram News 2014/6/4 - 2 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 013~2014年生産開始(予定)のPetrobrasの生産設備 (PETROBRAS AT A GLANCE他をもとに作成、*P-61とP-63をあわせた生産能力) プレソルトの油田で生産される石油が増加したことで、ブラジルの石油生産量に占めるプレソルトの石油生産量の割合は2010年9月に2.5%、2011年5月に6.2%と増加し、2014年5月には20.5%と20%を上回るようになった。このような変化に伴い、ブラジルで生産される石油に占めるCampos Basinで生産される石油の割合は2010年9月の84.4%から2014年5月には75.6%に減少、Santos Basinで生産さ れるそれは2010年9月の2.4%から2014年5月には14.3%に増加している。一方で、Petrobrasがオペレーターを務める油田で生産される石油の割合は90.7%となっており、2010年当時と大きな変化がなかった。Petrobras 以外では、BG が61,736バレル/日、Statoilが47,122バレル/日を生産している。生産される石油のAPI比重は22度以下の重質が31.5%、22~31度の中質が58.5%、 (ANPホームページより作成)Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 - 1度以上の軽質が10%で、平均は24.5度となっており、これについても変化がなかった。 Petrobrasによると、プレソルトで坑井を掘削するには1日当たり約100万ドルのコストがかかっているが、Lula油田やSapinhoa油田で坑井を掘削するのに必要な日数が2010年の126日から2013年には60日に減少したことで、必要とされるコストも1坑当たり55%、約6,600万ドル削減できるようになった2。PetrobrasのMaria Graca FosterCEOによると、同社は2004~2013年の10年間にプレソルトの探鉱・開発に200億ドルを投じており、2018年末までには累計で1,020億ドルを投じることになるという3。その結果、プレソルトの生産量は2014年末までに60万バレル/日に達し、2014年年間ではプレソルトで50万バレル/日を生産予定であるという4。PetrobrasはBMP2014-2018で、2018年の同社のブラジル国内生産目標を320万バレル/日に設定しているがこの52%にあたる166.4万バレル/日をプレソルトの油田か6月24日、国家エネルギー政策会議(CNPE:National Energy Policy Council)はPetrobrasに、プレソルトの4鉱区で既に契約を結んでいる累計50億バレルを超えて原油を生産する権利を、入札によらずに付与することを決定した。Petrobrasは2014年にサインボーナスとして20億レアル(8.97億ドル)を政府に支払う。Petrobrasは、また、利益原油の政府シェア分として130億レアルを生産に先立って、2015年に20億レアル、2016年30億レアル、2017年、2018年は各40億レアルと分割して支払うことになる。さらに、税、ロイヤルティとしてコスト回収後に76.5%を政府に支払う。 Petrobrasは2010年9月に史上最大といわれる新株発行(670億ドル)を行った。その際、ブラジル政府はサントス盆地のプレソルトの7つの鉱区で石油換算50億バレル相当を生産する権利を認めるTransfer of Rights(TOR)契約をPetrobrasと締結、その見返りとして同社より新株の一部425億ドル相当を取得した。契約期間は40年で、5年の延長が可能である。このうち、最初の4年間は探鉱期間とされ、2年の延長が認められた。 2014年5月9日、Petrobrasは、探鉱の結果Transfer of Rightsの6鉱区で合計石油換算約50億バレルの石油、ガスの埋蔵量を確認したと発表した5が、実はこれらの6鉱区には当初想定していた50億バレルよりも5倍程度多い可採埋蔵量が賦存していることが判明した6。特にBuzios(元Franco)鉱区、Entorno de Iara鉱区、Florim鉱区は合計で、昨年10月に入札が行われたLibra油田(可採埋蔵量80~ .Petrobrasにプレソルトで生産を行う権利を付与 2ら生産するとしている。 2 Enrgymen 2014/7/3 3 Platts’ Oil gram News 2014/6/4 4 Platts’ Oil gram News 2014/5/28 5 中南米経済速報2014/5/12 6 International Oil Daily 2014/6/30 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 4 - 010年に政府がPetrobrasに50億バレルの生産を認めた サントス盆地プレソルトの鉱区 (石油換算 百万バレル) (各種資料より作成。Peroba鉱区は、今後、Petrobrasが他の6鉱区の埋蔵量の再評価を 行い、その結果、これらを合わせても埋蔵量が50億バレルに満たない場合の予備とされた。) ブラジル主要鉱区図 (各種資料より作成) Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 5 - 20億バレル)を上回る可採埋蔵量が賦存すると評価された7。 そこで、政府はBuzios、Entorno de Iara、Florim、Nordeste de Tupiの4鉱区で50億バレルを超えて生産することをPetrobrasに認めることとした。Petrobrasは石油換算98億~152億バレルと推定される追加生産が可能になった。 4鉱区で98~152億boeの石油を生産する権利を取得したことを、FosterCEOは素晴らしい機会であると評価している。しかし、Petrobrasに探鉱・開発余力があるのかという点については疑問を呈する向きもある。 というのも、Petrobrasは、現在Campos Basinのポストソルト、プレソルト、Transfer of Rightsの探鉱・開発を推進中で、短期的、中期的に自らが探鉱・開発可能な以上の可採埋蔵量を保有しており、すでに手いっぱいの状態にある。Petrobrasは2014年4月に、Santos Basin、BM-S-10鉱区を政府、ANPに返還した。同鉱区ではParati油田、Macunaima油田が発見されていたが、評価井を掘削したところ生産ポテンシャルが限定的であったというが、Petrobrasがプレソルトの鉱区を政府に返還したのは初めてのことであった。 また、政府のインフレ抑制政策に協力するため、Petrobrasは国際市場価格で輸入したガソリンやディーゼル、LNGを国内で割安な価格で販売し、その逆ザヤを負担しており、そのため、Petrobrasの収支は逼迫している。今回、Petrobrasは政府に5年間で150億レアルを支払うこととなったが、これは同社の2014年から2018年の探鉱・開発・生産部門への投資額1,539億ドルの約4.5%にあたる。新たに付与された権益の開発には、この1,539億ドルとは別に600億ドルの投資が必要との見方があるが、これは同社の2014年から2018年のプレソルトの探鉱・開発・生産に対する投資額の3/4にあたる。苦しい財務状況の中から、これだけの資金を捻出するのは、Petrobrasにとって厳しいことと考えられる。 さらに、ブラジルではローカルコンテンツが厳しいので、資機材やサービスの入手は難しいとされており、そのような状況で追加してこれらを確保することは困難を伴うと思われる。 このような状況から、Petrobrasはすでに過剰な債務負担をさらに増やし、業績が圧迫されるのではないかとの懸念も高まっている。今回取得した権益の開発を進めるために、Petrobrasは、すでに進めている資産売却を加速させたり、現在の生産計画を遅らせたりする必要も出てくるのではないかとの見方をする向きもある8。 一方で、昨年入札が実施されたSantos BasinプレソルトLibra油田(可採埋蔵量80~120億バレル)のサインボーナスが150億レアルであったのに対し、ほぼ同量の生産が期待される今回の権益はサインボーナスが20億レアルであったことから、Petrobrasは入札なしで有望な鉱区を取得し、生産目標を達成す 7 Eurasia Group Note”Brazil:Contract extension to Petrobras makes opening of pre-salt in 2015 more likely” - 6 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 驍スめの埋蔵量基盤を確立できたとの見方をする向きもある。 いずれにせよPetrobrasは厳しい状況の中、探鉱・開発を進めざるを得ないわけで、政府、Petrobrasは以下のような対応策を検討していると伝えられている。 (1)ライセンスラウンド実施時期 ブラジルでは、2013年に3回のライセンスラウンドを実施したばかりで、石油会社、国内の資機材会社、サービス会社はいずれも次のライセンスラウンドまでに時間を必要としているとの観点から、ANPのChambriard長官等が、次回のプレソルトライセンスラウンドは2016年、第13次ライセンスラウンドは2015年以降に実施すべきであると主張していた。Petrobrasに追加してプレソルトで生産する権利が付与されたことで、Petrobrasへの負担を増やさないために、第2次プレソルトライセンスラウンドは2016年に、第13次ライセンスラウンドは2015年上半期(6月が有力)に実施される模様である。 (2)石油製品価格引き上げ Petrobrasの財務状況を改善し、探鉱・開発に資金が向けられるように、2014年10月の大統領選挙後に、政府がガソリン等石油製品価格の引き上げを認めるのではないかとの観測が強まっている。 (3)プレソルト開発に関する法制度の変更 プレソルトの新規鉱区については、Petrobrasがオペレーターを務め、鉱区権益の最低30%を保有することがプレソルト開発法で定められている。Petrobrasを中心にプレソルトの資源開発を進め、それによりブラジルも発展を遂げようとする制度であったが、これがPetrobrasの負担を過度に増加させ、よりスムーズに進展するはずのプレソルト開発の出端を挫いている感がある。 ブラジル政府も、Petrobrasがプレソルトの油田開発を推進するために資金面、技術面での支援を必要としているということを理解しており、プレソルトの新規鉱区でPetrobras以外の企業にもオペレーターを務めさせることを含め、プレソルトの探鉱・開発に係る政策を再調査することを検討している9との情報がある。 また、10月の大統領選挙でRouseff大統領以外の候補者が選出されれば、Petrobras以外の企業もプレソルトの新規鉱区のオペレーターとなることが可能になり、プレソルト、プレソルト以外のいずれを対象とするライセンスラウンドも毎年実施されるようになるのではないかとの見方10もある。 ブラジルでは、通常、Petrobrasも他の企業とともに入札に参加し鉱区権益を取得しているが、今回入札を経ずにプレソルトで生産を行う権利が付与されたことで、IOCがブラジルのプレソルトで探鉱・開発を行う機会が減少したとの指摘もあり、多くの企業が納得のいく制度の整備が望まれる。 8 Financial Times 2014/6/26 9 Business Monitor International 2014/5/20 10 Rigzone 2014/5/19 - 7 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 4)Petrobras、資産売却 PetrobrasのFoster CEOは、今回の資金を捻出するため、同社は今後5年間で110億ドルの資産売却を行う可能性があると発言した。 現在、PetrobrasはLibra鉱区の権益40%を保有しているが、プレソルト開発法で定められたプレソルト新規鉱区のPetrobrasが保有しなくてはならない権益の比率は30%となっているため、同油田の権益10%を売却する可能性も考えられる。また、今回50億バレルを超えて生産することを認められた鉱区については、Petrobrasが権益100%を保有しており、この一部を売却する可能性もあるとみられている11。 (5)ローカルコンテンツ 資機材等の調達を容易にするため、政府がローカルコンテンツの目標値引き下げを行うのではない.環境問題や各種疑惑等、探鉱・開発に影響? 3かとの見方がなされている。 2014年に入り、環境問題やPetrobrasを巡る各種疑惑、Petrobras従業員のレイオフ等これまであまり取りざたされたことのない問題が大きく取り上げられるようになっている。2014年中に期待されるAbreu e Lima製油所の完成と合わせて、今後のPetrobrasやブラジルの探鉱・開発に大きな影響を与える可能性Rio de Janeiro州立大学は、Santos Basinの油流出量はCampos Basinの400倍であるとの調査を発表した。この調査によると、2008~12年にSantos Basinでは原油33,300リットルを生産する毎に1リットルの原油が流出した計算になるという。ブラジル平均では349,600リットル、Campos Basinでは1,360万リットルを生産する毎に1リットルが流出している計算になるという。同レポートは、Santos Basinで原油流出が多いのは、技術的に探鉱・開発を行うことが難しいためとしている12。 Petrobrasはこの調査結果を否定し、例えば2014年はSantos Basinでは一度の油流出もないと主張しているが、環境規制強化につながる可能性もあり、引き続き注視していく必要があると考える。 (2)Petrobrasを巡る疑惑 不当に高い価格で米国のPasadena製油所を買収した問題やSBM Offshoreから職員への贈賄問題等Petrobrasを巡る疑惑に関して、2014年4月に複数の議会調査委員会が設置され、調査が行われている。 11 Eurasia Group Note “Brazil:Contract extension to Petrobras makes opening of presalt in 2015 more likely” Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 8 - 2 Reuters 2014/7/8 1があり、動向が注目される。 (1)環境問題 BM Offshoreは、贈賄容疑の調査中は入札に参加しない旨を発表していたが、7月に入りPetrobrasはSBM Offshoreとの契約が解除されることになれば、2014年から2018年のPetrobrasの利益は150億ドル減少することになるだろうとの推定を発表した。Petrobrasによると、同社の原油生産のうちSBM Offshoreのプラットフォームのレンタルが占める割合は2014年は9%で、2017年には14.3%、2018年には11.2%となるとされていた。SBM Offshoreとの契約が解除されれば、Petrobrasの原油生産は2014年に19万バレル/日、2017年に39.2万バレル/日、2018年に37.3万バレル/日減少すると予想されている。 (3) Petrobras従業員のレイオフ ブラジルでは2015年までにプレソルトの探鉱・開発だけで46,000人の雇用が必要となり、熟練労働者の不足が探鉱・開発に影響を与える可能性があるとされている13。ブラジル以外から労働者を集めたり、給与水準を引き上げたりすることも必要となる模様だ。 Petrobrasは2002年から2012年に32,000人を新規雇用した。しかし、長年勤務したPetrobras従業員が退職期を迎え、このように新たに雇用を進めているのだが、経験のある熟練労働者は短期間では育たず、ギャップを埋めるのには10~15年かかるとしている。そのような中、Petrobrasは2014年1月に、コストを削減し、生産性を上げるため、従業員85,000人の約10%にあたる8,379人をレイオフする計画を発表した。55歳以上、退職後も引き続き働いている者が主な対象とされており、熟練労働者不足に拍車をかけてしまうのではないかと懸念されている。 (4)Abreu e Lima製油所完成 Abreu e Lima製油所(精製能力23万バレル/日) が2014年11月に完成する予定だ。同製油所は、権益40%を持つことが検討されていたPDVSAが負担分10億ドルを支払わず、そのため完成が遅れ、建設コストも当初予定の25億ドルが185億ドルに高騰してしまった14。同製油所が完成すれば、ブラジルのディーゼル輸入量が減少する見通しで、Petrobrasのディーゼル輸入の逆ザヤ改善につながるものと考えられる。 13 BNamericas 2014/3/6 14 Business Monitor International 2014/5/1 - 9 - Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 |
地域1 | 中南米 |
国1 | ブラジル |
地域2 | |
国2 | |
地域3 | |
国3 | |
地域4 | |
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国8 | |
地域9 | |
国9 | |
地域10 | |
国10 | 国・地域 | 中南米,ブラジル |
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