ページ番号1004493 更新日 平成30年2月16日

チャド:Chevronの撤退で岐路に立つアフリカの小産油国

レポート属性
レポートID 1004493
作成日 2014-09-12 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 エネルギー一般基礎情報
著者 増野 伊登
著者直接入力
年度 2014
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ 更新日:2014/9/12 調査部:増野 伊登 チャド:Chevronの撤退で岐路に立つアフリカの小産油国 (BP統計、EIA報告書、各種報道等) ①チャドの石油生産量は2005年の17.6万b/dをピークに、以降はおおむね減少し続けており、2013年の年間平均生産量は9.45万b/dに留まる。しかし探鉱・開発案件の多くが集中する南部以外の広大な地域は未開発のまま残されている。探鉱が開始した1970年代以降チャド湖一帯でも小規模の発見が為されてきたが、内戦の勃発以降政情が不安定化したため、開発にたどり着かないまま今に至る。国境を接するニジェールからの輸出パイプラインが既存のチャド・カメルーン・パイプラインに繋ぎ込まれれば、チャド湖の資源開発にとって追い風となることが予想され、今後の進展が期待される。 ②しかし、課題は数多く残る。2014年6月にChevronがチャドにおける石油資産を同国政府に売却したこともその一つである。石油収入に依存するチャドにとって、減産を増産に転じさせるための資金力と技術力を兼ね備えた外資の存在は必要不可欠だ。しかし政府の方針は相変わらず石油資源への支配強化に向かっており、資源開発の歩みが急速に進展する可能性は低い。 ③インフラの不足も課題の一つだ。将来的な増産を可能にするためには、精製能力や輸出網の強化だけでなく、道路や空路などの交通網をはじめより基本的なインフラを整えることも肝要である。 ④治安の回復もチャドが長年にわたって抱えている問題である。国内の宗教・民族対立や反政府勢力と中央政府間の衝突が政情不安をもたらしているだけでなく、一般犯罪も頻発している。このほか、周辺国での治安悪化やイスラーム・マグレブ諸国のアルカーイダ(AQIM)やボコ・ハラームの台頭などがチャドにも影響を及ぼす可能性は否定できない。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 1 ? P.チャドにおける資源開発の概況 ①減退する生産量 チャドは、アフリカ大陸において原油確認埋蔵量では第10位(15億バレル)、生産量では第11位の比較的小規模な資源保有国である(2014年BP統計)。米国エネルギー省エネルギー情報局(EIA)によれば、2003年の原油生産開始(3.6万b/d)からわずか1年で生産量は約7倍に急増、しかし2005年の17.6万b/d(BP統計では17.3万b/d)をピーク2500200015001000500-アフリカ諸国の原油生産量(2013年) 千b/d 2014年BP統計を基に作成 に減退を続けており(2010年のみ例外)、2013年の年間平均生産量は9.45万b/dに留まっている。2013年の生産開始10周年記念を前に、Atteib Doutoum財務大臣は、早ければ2014年には生産量が20万b/d、2015年には30万b/dに増加すると発言している。しかし、南部Badila油田(Doba油田群)が2013年10月に生産を開始しているほかは、CNPCがオペレーターを務めるブロックH(Mimosa油田とRonier油田が生産中)以外に今後短期的に増産が見込める有力鉱区はない。このため、目標達成の可能性はかなり低いと言わざるを得ない。なお、天然ガスの商業生産は行っていない。 千b/d チャド石油生産量 20018016014012010080604020020032004200520062007200820092010201120122013? 2 ? EIA統計を基に作成 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 A南部の主要生産油田 1969年にConocoPhillips(当時はConoco)がNorth Chari(Chad堆積盆地)とSouth Chari(Central Africanリフト型堆積盆地)の2鉱区の権益を得たことで、チャドの石油資源開発は幕を開けた。しかし、もともと1960年の独立以降も国内紛争で治安の悪化が続いていたことに加え、1978年のリビアによる軍事介入を機に中央政府の内部闘争が激化したことで、探鉱活動は一時停止を余儀なくされた。故にConocoは1982年にチャドからの撤退を決め、ExxonMobil(当時はExxon)がConocoの権益を買収している。主力油田であるDoba油田群を含め、南部での探鉱が再開されたのは1980年代中盤に入ってからである。 チャドの主要生産油田の多くが南部のDoba堆積盆地に集中しており、同堆積盆内に位置する油田の総埋蔵量は約10億バレルになるとも言われる。各油田の概要については以下を参照頂きたい。 ?Doba油田群 ●権益比率: ExxonMobil 40%、Petronas 35%、Chevron 25% ●Miandoum、Kome、Bolobo、Nya、Moundouli、Maikeri、Timbre油田から成る ●契約形態: コンセッション ●生産開始年: 2003年7月(Miandoum油田) ●油層: 上部白亜紀層(深度約1,000~1,300m)。チャドで産出されている油の大半が同層からもたら されている。 ●生産量: 2005年に最高生産量17.3万b/dを記録するも、低油層圧、水分率の上昇、未固結砂岩1、 不均質性などの問題により、2013年には7.2万b/dに減少した。水の圧入や坑井刺激による回収率の 上昇が試みられている。 ●石油収入の配分を巡って、2005年には世界銀行と、2006年にはChevron及びPetronasと、2014 年初めにはChevron、Petronas、ExxonMobilとの間で対立が生じている(詳細は後述)。 ●権益比率: Caracal Energy 50%(→Glencore Xstrata(現Glencore plc)が買収)、Glencore plc 35%、 1 石油・天然ガス用語辞典の『出砂障害』の項目によれば、未固結砂岩によって生じる問題は以下のとおり。「石油・ガスを採収する地層が砂岩層であるとき、砂岩粒子の結合が緩い場合(未固結砂岩)、相当固く締まっていても、過大なドロー・ダウンの下で採取される場合、あるいは水の産出によって砂岩粒子間を結合する物質(セメンチング物質)が溶解された場合に、採収につれて採取層の砂が流体に伴って移動し、やがて坑井内に流入して、チュービング・パイプ内を閉塞{へいそく}させて生産量の低下を招いたり、坑内および地上機器に大きな損傷を与えることがある。」 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 3 ? Mangara油田・Badila油田 ?HT 15% ●契約形態: PSC(生産物分与契約) ●2014年4月、Glencore Xstrata(現Glencore plc)は、チャドで事業を展開するCaracal Energyの権益を買収することで合意。これにより、生産中油田のMangaraとBadilaにおける権益比率を拡大した(35%から85%に)。 ●生産開始年: 2013年10月(Badila油田) ●油層: 下部白亜紀層(深度約3,000~3,400m)。Mangara、Badila油田の発見により、下部白亜紀層 のポテンシャルにも新たに注目が集まっている。 ●生産量: 2014年4月時点で約1.4万b/dと考えられる。Doba油田群に見られるような生産に伴う 障害(油層圧や水分率の問題など)が少ないため、今後増産が見込まれる。 ●その他: 両田及び中央処理施設を、チャド・カメルーン・パイプライン(CCP)に繋ぎこむための ●67,500平方kmに及び、生産中のMimosa、Ronier油田のほかに、Baobab、Prosopis、Cassia North 油田などがある ●契約形態: コンセッション ●生産開始年: 2011年5月(Mimosa、Ronier油田) ●油層:下部白亜紀層 ●生産量: 国内の石油需要の低さに加え、環境規制の順守を求めるチャド政府との対立もあり、生産 量は限定的である。2013年の生産量は1万b/dに満たない程度に留まっていると見られる。Baobab、 Prosopis、Cassia North油田の生産が開始すれば、ブロックHからの増産につながることが期待され る。 ●インフラ整備: 2011年6月にCNPCとチャド政府が首都ンジャメナ付近に製油所(生産能力2万 b/d。権益比率:CNPC 60%、チャド政府40%)を建設しており、ブロックH油田群と製油所とを結ぶため の約300kmに及ぶパイプラインが敷設されている(2011年5月完成)。地域的に見て石油需要は高く ないが、将来的に輸出パイプラインの整備、Baobab、Prosopis、Cassia North油田の生産開始、Mimosa、Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 4 ? ●権益比率: CNPC 45%、PetroChina 45%、SHT 10% 110kmのパイプライン建設が計画されている。 ブロックH油田群 ?onier油田の増産などが実現されれば、精製能力拡張の必要性が生じてくるものと考えられる。 ●その他: 2014年8月、環境汚染を理由に、チャド政府は、CNPCに付与したブロックH内の Madiago East、Mediago West、Bongor East、Bongor West、Lake Chad油田における採掘許可を取り消し、12億ドルの罰金を請求した(詳しくは2の③を参照頂きたい)。 Doba堆積盆地の大まかな位置 チャド:主要油田とインフラ 各種情報を基にJOGMEC作成 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 5 ? ,000m)などの探鉱井を掘削したところ、1975年に油の出所:ERHC Energyホームページ 存在が確認されている。しかしながら、上述の通り、1978年以降の更なる治安悪化を機に探鉱活動は一時的に停滞、それ以降も南部開発プロジェクト再開の陰に隠れ、チャド湖の開発は十分に進展してこなかった。 しかし、次節で触れることになるが、チャド湖をまたいで国境を接するニジェールからの輸出パイプラインが完成しチャド・カメルーン・パイプラインに連結されれば、SedigiやKumia、Kanemで発見された資源を開発するインセンティブをもたらすことになる。チャド湖で探鉱を行っている企業は、ExxonMobil、CNPC、CPC(台湾)、Atlas Petroleum International(ラオス)であるが、2012年にはUnited Hydrocarbon(カナダ)が新たにLargeauⅢ鉱区を獲得し、近く掘削を開始する予定である。一方、2014年8月に、チャド政府は環境問題を理由にCNPCの採掘許可を取り消すと発表しており、チャド湖における探鉱事業の遅れに繋がることが予想される。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 6 ? ③チャド湖における掘削 チャドはアフリカ大陸で第5位の国土面積を誇るが、探鉱・開発案件の多くは南部のDoba堆積盆地(Central チャド湖 Africanリフト型堆積盆地内に位置)に集中しており(チャド国内で掘削された坑井の約50%は同堆積盆内に位置している)、南部以外の広大な土地はほとんどが手つかずのままで残されている。確かに資源ポテンシャル自体が低い地域もあるものの、今後より広範な範囲で探鉱事業が活発化し、商業発見につながることが期待される。中でも注目されるのは、西部チャド湖における掘削事業である。1969年にConocoPhillipsが獲得した権益の中には、Chad堆積盆地(あるいはLake Chad堆積盆地とも呼ぶ)内に位置する鉱区も含まれていた。この内、Kanem(第三紀、深度約1,000m)やSedigi(白亜紀、深度約Cチャド・カメルーン・パイプラインの稼働状況、ニジェールへの連結 チャド・カメルーン・パイプラインは、南部Doba堆積盆地内の油田群から産出される石油をカメルーンのKribi港から輸出することを目的に、2003年7月に完成した。ExxonMobil、Petronas、Chevronが事業費の約60%を出資、残り40%を世界銀行、国際金融公社(IFC)、欧州投資銀行(EIB)などが融資、米国輸出入銀行による輸出信用の供与などを受け建設された。 チャド・カメルーン・パイプライン ExxonMobil HP掲載地図を一部加工 チャド・カメルーン・パイプラインの概要は以下のとおりである。 ●権益比率: ExxonMobil 40.91%、Petronas 29.83%、Chevron 21.31%、カメルーン政府4.29%、チャド政 府3.65% ●輸送能力: 22.5万b/d ●全長: 1,070km ●Doba油田群のほかに、第三者アクセス権を利用し、Badila、Mangara油田、また将来的にはブロック H油田群などを繋ぐことが計画されている。 現在のところ、チャド国内で生産される石油のほとんどが同パイプラインで輸出されており、国内用に回されるのはごく少量にとどまる(下グラフを参照)。エネルギーの自給自足を目指して製油所や発電所が建設されているが、ユニセフによれば、全人口約1,200万人の内6割以上が貧困ライン以下の生活水準にあり(2007年~2011年のデータ)、国内の主要エネルギー源は依然として木材(木質)燃料であるため、電気を使用する世帯数はかなり限られている。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 7 ? `ャド石油生産量・消費量・純輸出量 また、ニジェール北東部(チャドとの国境付近)のAgademにおける鉱業権をExxonMobilとPetronasが保有していたということもあり、以前よりチャド・カメルーン・パイプラインにニジェールから新たなパイプラインを繋ぎ込むという計画が議論されていた。2006年にAgadem鉱区が契約期限満了を迎え、ニジェール政府との間で契約条件に関する合意に至らなかったため両社ともにプロジェクトから手を引いたものの、2008年にはCNPCが同鉱区を付与されている(後にCPCとニジェール政府が新たに一部権益を買収し、現在の権益比率はCNPC 65%、CPC 20%、ニジェール政府15%となっている)。2012年2月にはすでにニジェールからのパイプライン(全長600km)敷設についてニジェールとチャド政府の間でMOU(覚書)が締結されているが、2014年8月初めには、ニジェールで生産された石油をチャド・カメルーン・パイプラインを利用して2016年から輸出することに関し、両国間で正式な合意に達した。 イスフ・ニジェール大統領は、同パイプラインの完成によって、ニジェールの石油輸出量は8万b/dに到達すると発言している(EIAによれば、2013年の輸出量は約1.4万b/d)。Agademだけで見た場合、現生産量は約2万b/dと見られ、国内需要の0.7万b/d(EIAによれば2013年の国内需要は0.6万b/dを下回る)を差し引いても1.3万b/dが輸出に向けられると考えられる。加えて、2013年11月にCNPCはニジェール政府から新たにAgadem内の別の鉱区を付与されている。政府の発表によれば、CNPCがGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 8 ? ?益を獲得した新鉱区だけでも、将来的に10億バレルの生産量が見込まれるとのことであり、今後の動向が注目される。 .石油資源に対し影響力の強化を図るチャド政府 2輸出パイプライン整備の進展に伴い、南部Doba堆積盆地や西部チャド湖における探鉱開発のペースが加速化することが期待される一方、石油収入を増やしたいチャド政府の思惑は、これまで国際機関や外資企業との間で多くの対立を生じさせてきた。2005年には、チャド・カメルーン・パイプライン事業に1億2,400万ドルの融資を行った世界銀行との間で、ドバ油田群から得られる石油収入の配分をめぐって係争に発展した。チャド政府が、世銀の協力の下策定された「石油収入管理法(Petroleum Revenue Management Law)」(収入の80%を健康、教育、社会福祉、農村開発、インフラ、環境・水資源開発分野に、15%を政府予算に、5%をドバ地域の振興開発に充当するというもの)を一方的に改定し、政府取り分の引き上げ(15%から30%)を強行した。2006年8月にはChevronとPetronasに対し、法人税2.8億ドル分の未納を理由に国外退去を命じているほか(同年10月に2社は支払いに応じた)、2014年初めにはChevron、Petronas、ExxonMobilとの間でロイヤルティーの未払い(8億ドル)に関して対立(Chevronの報道担当が後に業界紙に語ったところによれば、チャド政府との間で和解に達している)するなど、チャド政府と外資企業の間で度々意見の相違が表面化している。 2014年6月13日、Chevronは、チャドにおける資産を同国政府に対し13億ドルで売却したことを明らかにした(同日のチャド石油省の発表によれば、Glencore plcが買収資金の13億ドルをチャド政府に融資したとのこと)。欧米大手による一連の資本引き揚げの中では最も新しい動きである。これにより、チャド政府は主力油田であるDoba油田群開発事業における権益(25%)を新たに獲得したほか、輸出の要となるチャド・カメルーン・パイプラインにおいても、権益比率が3.65%から25%近くにまで増加した。 今次撤退は、2014~2016年に100億ドルの資産売却を目標として掲げているChevronにとってはポートフォリオ整理の一翼を担うものとなるが、一方のチャド政府にとっては石油収入源の確保、引いては国内の中核事業におけるプレゼンスの拡大を意味する。しかし生産が減退する今、資金的にも技術的にも外資の参入は必要不可欠な要素であることも確かだ。ExxonMobilも撤退を検討しているとの話も聞Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 9 ? Chevronの撤退 ①ゥれ、資金力のある大手外資が相次いで撤退した場合、チャドにおける資源開発の停滞をもたらすことチャド政府、環境問題をめぐりCNPCに罰金の支払いを要求 ②が懸念される。 2006年8月の中国との国交回復以降、同国のチャドにおけるプレゼンスは拡大したが、資源ナショナリズムの余波は中国企業にも及んでいる。既述のとおり、CNPCとチャド政府の合弁事業の下、首都ンジャメナの北に製油所が建設されており、2011年に運用を開始している。しかし、2012年1月に石油製品の販売価格について折り合いがつかず、同年2月6日に稼働を再開するまでの間一時操業が停止した。2013年8月には環境基準を満たしていないとするチャド政府の申し立てにより、ブロックHにおける操業が一時差し止められるなどの事態も発生している(同年10月には操業再開が許可される)。また、直近の出来事としては、2014年3月、環境汚染を理由に、政府がCNPC対し12億ドルの罰金を請求、同年5月には同社の国内におけるあらゆるE&P活動の停止を要求したほか、2014年8月9日にはブロックH内のMadiago East、Mediago West、Bongor East、Bongor West、Lake Chad油田におけるCNPCの探掘権を剥奪すると発表した。両者間の交渉が決裂したことを受け、チャド政府は国際商業会議所(パリ)の仲裁裁判所に対して訴訟の申し立てを行う予定とのことである。これに対し、8月13日、CNPCは、環境規制に違反した事実がないと弁明している。このような再三にわたる開発の中断が、外資企業の参入意国際連合開発計画(UNDP)の人間開発指標(2013年)において187か国中184位に位置付けられているチャドでは、生活水準の向上が最重要課題である。これまで国際機関や欧米を中心とする各国からの経済援助を受けている。日本もその一つで、国連との連携などを通して複数回にわたり無償資金協力や技術提供などの人道支援を実施してきた(外務省によれば、2001年に初めて草の根・人間の安全保障無償資金協力の導入が決定された)。 資源開発分野での日本企業の参入実績は認められない。そもそも石油資源という観点からはポテンシャルが小さいことや、資源ナショナリズムの表れとも取れる政府による強気姿勢に加え、治安の不安定化や言語の壁(チャドはアラビア語・仏語圏)などが日本企業にとっての参入障壁になっていると考えらGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 10 ? 欲を削ぐ可能性は否定できない。 .日本との関係 3960年のフランスからの独立以降、1990年のイドリス・デビー(現大統領)による軍事クーデターを経て、現在までのところ治安の回復はチャドが一貫して抱えている問題である。宗教間(北部のイスラーム勢力と南部のキリスト教徒勢力)、部族間(チャド国内には約200の部族が存在)、また北部の反政府勢力と中央政府間の対立は、北に隣接するリビア、西のナイジェリア、南のコンゴ(かつてはザイール)や、旧宗主国の仏による政治的・軍事的介入によって更に複雑化し、チャドの政情が長期にわたる安定を享受したことはない。デビー大統領による20年以上にもわたる政権運営の最中にあっても、反政府勢力との衝突は続いており、2003年にはスーダンにおけるダルフール紛争の激化を機に大量の難民が流入、以降混乱に乗じて首都ンジャナメは数回にわたって襲撃を受けている。 強盗や窃盗といった一般犯罪に加え、身代金目的の誘拐も頻発している。近年、国内におけるテロ事件の発生は確認されていないものの、ニジェール、ナイジェリア、スーダンなど周辺国での治安悪化やイスラーム・マグレブ諸国のアルカーイダ(AQIM)、ボコ・ハラームの台頭などがチャドにも影響を及ぼす可能性は否定できない。9月12日現在、外務省によれば、スーダンや中央アフリカと国境を接するチャド東部地域(ワディ・フィラ州、ウアダイ州、サラマト州)については退避勧告が、またそれ以外の地域につ十分な投資と技術的な後押しがあれば石油の増産は見込めるが、問題はチャド自身にはそのどちらともが欠けているということである。このため、資金力と技術力を兼ね備える外資にとってのインセンティブをどう創出するかが鍵となるが、チャド政府の姿勢は相変わらず石油資源へのコントロール強化に向いている。今後政府の方針が短期間で変わることは考えにくく、このため資源開発の歩みが急速に進展するとは考えにくい。また、チャドが抱える問題としてインフラの整備不足も挙げられる。将来的な増産を可能にするためには、精製能力の強化、輸出パイプラインの送油能力増強が必要であるだけでなく、全国的に探鉱活動を進めていくためには、物資を輸送するための道路や空路など交通網をはじめとするGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 11 ? いては渡航延期勧告が発出されている。 .今後の見通し 5.治安回復への道は険しい 4れる。 謔闃軏{的なインフラを整えることも肝要である。 一方で、輸出パイプラインの整備が進展すれば、南部油田や探鉱中のチャド湖一帯においても開発に対する一定の機運が生まれることが期待されるほか、近年の傾向として、ERHC Energy(米)、KNM Group(マレーシア)、Simba Energy(カナダ)、United Hydrocarbon(カナダ)などの独立系中小企業が相次いで参入しており、企業によってはむしろ進出への意欲が増しているとも見て取れる。課題の多いチャドの石油開発が今後どこに向かっていくのか、注目されるところである。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 12 ?
地域1 アフリカ
国1 チャド
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 アフリカ,チャド
2014/09/12 増野 伊登
Global Disclaimer(免責事項)

このwebサイトに掲載されている情報は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。

※Copyright (C) Japan Oil, Gas and Metals National Corporation All Rights Reserved.

本レポートはPDFファイルでのご提供となります。

上記リンクより閲覧・ダウンロードができます。

アンケートにご協力ください
1.このレポートをどのような目的でご覧になりましたか?
2.このレポートは参考になりましたか?
3.ご意見・ご感想をお書きください。 (200文字程度)
下記にご同意ください
{{ message }}
  • {{ error.name }} {{ error.value }}
ご質問などはこちらから

アンケートの送信

送信しますか?
送信しています。
送信完了しました。
送信できませんでした、入力したデータを確認の上再度お試しください。