ページ番号1004498 更新日 平成30年2月16日

豪州非在来型資源(シェールガス、タイトガス)探鉱の現状について

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レポートID 1004498
作成日 2014-10-03 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 探鉱開発非在来型
著者
著者直接入力 北村 龍太 レイニー・ケリー
年度 2014
Vol 0
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ページ数
抽出データ 要旨: 更新日:2014/10/3 シドニー事務所:北村 龍太、レイニー・ケリー 豪州非在来型資源(シェールガス、タイトガス)探鉱の現状について (2014年9月トピックス) ① 豪州ではいくつかのBasinにおいてシェールガス、タイトガスをはじめとする非在来ガスのポテンシャルが有望視されており、2013年の米国EIAによる試算では6つのBasin合計で437TCFの資源量と推定されている。 ② 2010年以降、非在来型資源探鉱に対する外資系企業の参画が続いている。Cooper BasinにおいてはQGC (BGグループ)、ConocoPhillips、Chevron、Santos、Origin Energyといった、現在開発中のLNGプロジェクトをオペレータとして牽引する企業が参画している。 その他のエリアにおいてもCanning Basinでは三菱商事、ConocoPhillips、Georgina BasinではStatoil、Totalが探鉱作業に参画しており、直近では2014年5月にOrigin Energy/Sasol連合がBeetaloo Basinへの参画を果たしている。 ③ 探鉱作業が進むに連れて、生産テストによる生産能力の把握も進んでいる。垂直坑井における生産テストの結果に加えて、水平坑井に対してフラクチャリングを施した坑井における生産テストの結果も徐々に明らかにされている。 ④ 一方で、フラクチャリング作業を伴うシェールガス・オイル開発に対する反対の声も少なからずあるのも事実である。各州・準州政府はそれぞれ独自に法規制を行っている。 . 豪州における非在来型資源のポテンシャル 1米国、カナダを中心としたシェールガス開発ブームに続けと、豪州においてもシェールガス&タイトガス、シェールオイルの探鉱が進められている。 米国エネルギー情報局 (EIA)の2013年6月に発表されたレポートによると、豪州のシェールガス資源量 (Technically Recoverable Resources、コストを勘案せず技術的に採取可能とされる量)は437TCF (Trillion Cubic Feet)と推定されている。2011年に同じくEIAが発表した資料においては396TCFで、当時対象としたBasinが4つ(Canning、Perth、Maryborough、Cooper)であったのに対し、2013年版では6つのBasin(上記4つに加え、Beetaloo、Georgina)に拡大されている。また2011年版ではシェールガスのみを対象としていたが、2013年版ではシェールオイルの資源量の推定も行っており、豪州に関しては6 Basin合計で175億bblと試算されている。これらは、EIAが評価対象とした42カ国中、シェールガスは7位、シェールオGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 1 ? イルは6位となる値である。なお参考までに、シェールガスについては中国、アルゼンチン、アルジェリア、シェールオイルについてはロシア、米国、中国がそれぞれトップ3である。 国内の6つのBasinのうち、シェールガス、オイルともに最も資源量が多いとされているのは西オーストラリア州のCanning Basinである。シェールガスが235TCF、シェールオイルは97億bblと、いずれも6 Basinの総合計の半分以上を占めている。それに続くのは南オーストラリア州とクイーンズランド州に跨るCooper Basinと北部準州のBeetaloo Basinである。Cooper Basinは特にガスが有望視されており資源量は93TCFとなっている。一方、Beetaloo Basinは液体分が豊富と考えられており、47億bblの資源量と推定されている。 なおEIAレポート2013年版とほぼ同時に、豪州学術評議会 (Australian Council of Learned Academies)が豪州におけるシェールガスに関するスタディ結果をレポート (Engineering Energy : Unconventional Gas Production)として発表している。こちらでは国内の計16Basinを対象に「Best Estimate Recoverable Resources」として採取可能な資源量の試算を行っており、豪州全体で1,416TCFという非常に大きな値が報告されている。表1に各BasinのEIA評価資源量と、ACOLA評価資源量を示す。 表1:豪州シェールガス・オイル評価値 Basin Technically Recoverable Resource Best Estimate Recoverable EIA評価値 (2013) ACOLA評価値 ガス (TCF) オイル (億bbl) Resource (Tcf) Canning Cooper Beetaloo Perth Maryborough Georgina Amadeus Bonaparte Bowen Carnarvon Clarence-Moreton Eromanga Gunnedah McArthur Otway Pedirka Total 235 93 44 33 19 13 97 16 47 5 - 10 対象外 437 175 ? 2 ? 965 49 19 23 7 50 16 6 97 9 21 82 13 7 9 43 1416 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 2. 外資系企業の非在来型資源探鉱への参入状況 国内においてシェールガスを対象とした探鉱井としては、2010~11年にBeach EnergyがCooper Basinで掘削した2坑井(Encounter-1、Holdfast-1)が最初とされている。またSantosは2012年10月に同じくCooper Basinにおいて、Moomba-191よりシェールガスの生産を開始したと発表したが、これが豪州における最初のシェールガス商業生産井となっている。 前述の通り国内には有望とされるBasinが複数存在するが、これらのBasinの中で現状で探鉱作業が最も進んでいると考えられるのはCooper Basinで、EIAレポートにおいてもその有望性が高く評価されている。Cooper Basinは古くから在来型の石油・ガスの生産が行われているエリアであり、シドニー、ブリスベンなどの消費地へのパイプラインなども整備されている立地条件の優位性から、在来型資源の生産を行っているSantos、Beach Energyなどが積極的に非在来型資源の探鉱活動を進めている。そのCooper Basinには2011年にQGC (BGグループ)、2013年にChevronといった企業が参入している。 Canning Basinにおいて日本企業としては、2010年に三菱商事がBuru Energyが保有する複数の鉱区において在来型資源探鉱に参入した後、翌2011年より同鉱区群において非在来型資源探鉱へも参画している。同鉱区群に隣接するNew Standard Energyが保有する複数鉱区においては、2011年にConocoPhillips、2013年にはPetroChinaが参入を果たしている。 その他のBasinでは北部準州への企業の新規参入が目につく。Beetaloo Sub-BasinのFalcon Oil & Gas保有鉱区に2011年参入したHessが2013年に撤退を発表し話題になったが、同鉱区群には替わって2014年5月にOrigin Energy/Sasol連合の参入が発表されている。またStatoil、Totalといった企業がいずれも2012年にGeorgina Basinに参入している他、自らCooper Basinで非在来探鉱を進めるSantosは、2012年以降Amadeus Basin、McArthur Basinの鉱区に参入して探鉱作業を進めている。表2に主な企業の参入状況を示す。 表2:豪州における非在来型資源探鉱鉱区への参入状況 参入企業 時期 三菱商事㈱ 2010年12月 CNOOC 2011年2月 ? ? 譲渡企業 鉱区概要 Buru Energy Canning Basin (WA) 計13鉱区 Exoma Energy Galilee Basin (QLD) 5鉱区 (ATP991、996、999、1005、1008) ? 2011年に非在来型資源への探鉱についても参画を表明 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 3 ? Hess Cooperation 2011年2月 ? QGC (BGグループ) 2011年7月 ? ConocoPhillips 2011年9月 ? Statoil 2012年7月 ? Santos 2012年10月 ? 2012年12月 ? 2013年7月 ? Total 2012年11月 ? Chevron 2013年2月 ? PetroChina 2013年2月 ? Apache 2013年11月 ? Origin Energy 2014年2月 ? Origin Energy /Sasol 2014年5月 ? Falcon Oil & Gas Beetaloo Sub-Basin ( NT) 3鉱区 (EP 76、98、117) Drillsearch Energy Cooper Basin (QLD) 1鉱区 (ATP940P) New Standard Energy Canning Basin (WA)にて保有の複数鉱区にて構成されるGoldwyerプロジェクト PetroFrontier Georgina Basin (NT) 6鉱区 (EP103、104、127、128、A213、A252 (A213、A252は認可申請中)) Central Petroleum Amadeus Basin、Pedirka Basin (NT) 計13鉱区 Tamboran Resources McArthur Basin (NT) 4鉱区 (EP161、162、189、A299 (A299は認可申請中)) Drillsearch Cooper Basin (SA) 2鉱区 (PEL513、632) Central Petroleum Georgina Basin 4鉱区 (EPA132 (NT、認可申請中)、ATP909、911、912 (QLD)) Beach Energy Cooper Basin 2鉱区 (PEL218 (SA)、ATP855 (QLD)) ConocoPhillips 上記 Goldwyer プロジェクト (WA) Buru Energy /三菱商事 Canning Basin (WA) 4鉱区 (EP390、438、471、473) Senex Energy Cooper Basin ( SA) 3鉱区 (PEL115、514、516) Falcon Oil & Gas Beetaloo Sub-Basin ( NT) 3鉱区 (EP 76、98、117) 2013年6月撤退 引き替えにConocoPhillipsは中国Sichuan Basinにおける非在来型資源を対象とした共同スタディに参画 2014年8月に同社は豪州事業からの完全撤退を示唆 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 4 ? 3. 非在来型資源探鉱の最新動向 上述した通り2010~11年以降、Cooper Basinを中心にシェールガスを対象とした探鉱作業が進められている。探鉱当初は主に垂直坑井にフラクチャリングを施しフローテストを実施しており、2011年にBeach Energyによってテストされた垂直坑井Holdfast-1では、タイトサンドガスを中心に約2.0MMscf/dのフローが報告されている。 同じく上述の通り、国内最初の商業生産井となったCooper BasinのMoomba-191も、垂直坑井(3ステージフラクチャリング)である。2012年10月の生産開始時には2.6 MMscf/dにて生産されていたが、約1年半経過した2014年2月の時点でも1.8 MMscf/dで順調に生産を継続している。 その他、垂直坑井のフローテストの結果についていくつか公表されている。目を引くところでは、こちらもタイトサンドガス中心であるがBeach Energyが2013年にフローテストを実施したHalifax-1(14ステージフラクチャリング)で、ピークレートは4.2 MMscf/dと報告されている。その他、垂直坑井におけるテスト結果が公表されているものに関しては、1.5~3.0 MMscf/d程度のものが多くなっている。 2012年12月にはシェールガスを対象とした国内初めての水平坑井とされるHoldfast-2が、Beach EnergyによってCooper Basinにて掘削されている。同坑井では600mの水平区間に対して9ステージのフラクチャリングが計画されたが、うち3ステージについては高圧のためキャンセルとなり6ステージ実施後、コイルドチュービングによるクリーニング作業を経て2014年に入ってようやくフローテストが実施されている。公式に発表されているフローレートとしては0.25MMscf/dとあるが、油層管理上の観点から流量を制限した (constrained for reservoir management trials)とされている。 一方、Santosも2013年にCooper Basinにて、同社初めてのシェールを対象とした水平坑井となるRoswell-2を掘削している。同坑井では500mの水平区間に対して5ステージのフラクチャリングを実施後フローテストを実施しているが、公表されたフローレートは0.75MMscf/dとなっている。 Holdfast-2、Rosewell-2のいずれも、その結果については決して期待を満たすものではなかったと思われるが、得られたデータなどは今後の作業計画の改善などに活用されると期待される。実際にSantosは2014年6月に同社2坑目の水平坑井Moomba-193Hにおいて、Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 5 ? 1,000mの水平区間に対して10ステージのフラクチャリングを実施し、1.5MMscf/dのフローを記録したと発表している。 その他現状で、水平坑井でのフローテスト結果が公表されていると確認できたものとして、北部準州のMcArthur BasinにてArmour Energyが2012年に掘削したGlyde-1の例を紹介する。同坑井では天然フラクチャを含むシェール層に対してエア掘りを適用して水平掘削を行っていた際に、3.5~4.5 MMscf/d相当のフローが記録されたとしている。対象層が垂直深度500m程度と浅く、フラクチャリングを施さずともフローがあるという点などで、他の例とは一線を画すものではあるが、参考までに紹介しておく。 表3に、Cooper Basinにて操業する主な3社 (Santos、Beach Energy、Senex Energy)のこれまでのフローテストのデータを紹介する。 表3:主な非在来探鉱井でのフローテスト結果 Permit & Operator Well & Spud Date Primary Target Formation REM* PPL 101 Santos Gaschnitz-1 & Gaschnitz-1 ST1 Nov-12 PPL 101 Santos Roswell-1 Dec-12 Toolachee, Epsilon, Patchawarra, Tirrawarra REM, Patchawarra ? 6 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 PEL218 Beach PEL218 Beach PEL218 Beach PEL218 Beach ATP 855P Beach PPL 7 Santos Holdfast-1 Jan-11 Encounter-1 REM, Oct-10 Patchawarra REM, Holdfast-2 Patchawarra, Dec-12 Toolachee REM, Patchawarra, Toolachee REM Patchawarra REM Halifax-1 Aug-12 Moomba-191 Dec-11 Moonta-1 Jan-13 Vertical/ Horizontal Flow Rate & Comment Vertical Vertical Horizontal 2.0Mmscfd (Peak flow rate) 2.1Mscfd (Peak flow rate) 0.25Mmscfd Vertical 2.6Mmcfd (Peak flow rate) Vertical Vertical Vertical 4.5Mscfd (Peak flow rate) 2.6Mmscfd (Stabilised flow rate Aug-12), 1.8Mmscfd (Flow rate Feb-14) Fracture stimulated with initial rate of 1.5Mmscfd Vertical Fracture stimulated, flowed gas at 0.4Mmscfd PPL 102 Santos Langmuir-1 Jul-13 SACB JV Santos Moomba-194 Oct-13 SACB JV Santos Roswell-2 Nov-13 SACB JV Santos Moomba-193H Dec-13 PEL 516 Senex Sasanof-1 Jan-12 PEL 90 Senex Paning-2 Dec-12 PEL 115 Senex PEL 115 Senex Hornet-1 Aug 2004 (re-entered 2013) Kingston Rule-1 Oct-12 REM, Patchawarra, Toolachee Tirrawarra Epsilon Murteree Patchawarra Roseneath Vertical Vertical Horizontal Horizontal Roseneath Epsilon Patchawarra Toolachee REM, Patchawarra, Toolachee Toolachee, Epsilon, Patchawarra, Tirrawarra Patchawarra Vertical Vertical Vertical REM, Patchawarra Vertical Fracture stimulated over 10 stages, flowed gas at 1.5Mmscfd (Peak rate) Fracture stimulated, flowed gas at rate 3.1Mmscfd Fracture stimulated, flowed gas at 0.75Mmscfd Fracture stimulated, flowed gas at rate 1.5Mmscfd over 28days 178,000scfd (Peak liquids rich gas flow rate) Liquids volume 10-20bbl Peak flows of up to 90,000scfd from Toolachee coals Multi-zone fracture stimulation, initial gas flow 2Mmscfd Flowed gas up to 1.4Mmscfd with condensate produced at a rate of 10-20 barrels per Mcf of gas *REMは「Roseneath Shale」「Epsilon Formation」「Murteree Shale」を総称したもので、概要は次ページのイメージ図参照 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 7 ? }1:Cooper Basinの層序イメージ (出典:South Australian Government, Department of State Development) Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 8 ? 4. 各州・準州の法規制(フラクチャリング作業に関するものを含む)の対応 豪州でも他国同様、フラクチャリング作業を伴う非在来型資源探鉱・開発に対する懸念があるのも事実である。さらにCSG (石炭層メタン、他国ではCBM)埋蔵量が豊富なクイーンズランド州、ニューサウスウェールズ州では、将来的にCSG開発におけるフラクチャリング作業が増える可能性もあることから、フラクチャリングなどについての規制、検討が進められている。そのためCSGも含め、フラクチャリングなどに対する各州・準州の規制の動きについて概要を紹介する。なお豪州においては陸上鉱区に関しては、各州・準州によってそれぞれ法規制がなされているが、いずれの州においてもシェールガス・オイルに特化した法規制は行ってはおらず、在来型資源と同様に扱われている。 ? クイーンズランド州 上述の通り豊富なCSG埋蔵量を有し、現在3つのLNGプロジェクトの開発作業が進行する同州においては、主にCSG探鉱・開発に関して法規制の見直しが進められている。具体的にはQueensland Competition Authorityが州政府からの要請を受け、2013年7月からCSG法規制の見直しについての提言をまとめており、本年1月に最終報告が完了している。今後その提言を受け、重複する法規制の是正、より効率的な法規制の運用が進められていくこととなる。フラクチャリングに関してはCSGに対する適用も含めて、州の環境保護法に準じた作業、許認可の取得が求められる他、BTEX (ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン)の使用についても禁止が明記されている。 また労働党政権時の2011年に、人口密集地およびその周辺2kmに対しては全ての鉱物資源の探鉱ライセンスを認めない「2km Buffer Zone」が導入され、CSGもその対象とされていた。しかしながら、これはその翌年の2012年、政権交代により自由国民党が政権の座に就くと撤回され、現在は同州においてはそのような規制は存在しない。 ? ニューサウスウェールズ州 クイーンズランド州同様CSG埋蔵量に恵まれる同州であるが、開発に関してはクイーンズランド州に大きく遅れを取っている。その要因としては、主なCSG賦存エリアが人口密集地域、農業・酪農地域に比較的近いという状況に加えて、州政府による法規制が挙げられる。 同州においても2011年にそれまでの労働党政権から保守連合に政権交代が行われ、同時にフラクチャリング作業承認の凍結、新規探鉱・開発ライセンス発行の凍結を実施 (現在はGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 9 ? いずれも解除されている)。2012年9月には“Strategic Regional Land Use Policy”が発表され、その後人口密集地域およびその周辺などにおける新規CSG探鉱・開発を禁止する「2km Exclusion Zone」が導入されたことは、クイーンズランド州での動きと全く相反しており、興味深い。なお上述の2012年9月以降、ニューサウスウェールズ州のCSG事業から多くの企業が撤退している。 フラクチャリング作業については、約18ヶ月間に及ぶ作業実施凍結は解除されているが、同時に宣言されたBTEXの使用禁止は引き続き適用されている。加えて、CSGにおけるフラクチャリング作業に関しては“Fracture Stimulation Activities (FSA) Code”の遵守が義務づけられている。FSA Codeではフラクチャリング作業手順に加え、使用薬品、作業水の確保などについて規定されているものであるが、CSGのみを対象としており、在来型ガス、シェールガスなどには適用されない。 ? ビクトリア州 タスマニアとの間のBass海峡において、在来型の石油、ガス生産の歴史が長いビクトリア州であるが、CSG、シェールガスともにこれまで目立った実績はない。 同州の特徴として、CSGのライセンスなどが鉱物関連法によって規定されていることが挙げられる。ほとんどの他州においては、CSGは在来型資源、シェールガス、タイトガスと同様、石油・ガス関連法で規定されるのが一般的である。 また、ビクトリア州はニューサウスウェールズ州に続き、2012年8月より陸上鉱区における全てのフラクチャリング作業承認凍結、およびBTEXの使用を禁止している。同時に新規探鉱ライセンスの発行についても凍結されている。これらの凍結、禁止はいずれも継続中であり、少なくとも2015年7月までは継続される見通しである。 ? 南オーストラリア州 Cooper Basinの西半分が位置する同州は、シェールガス探鉱において最も進んでいる州の一つであると言える。州政府も 2012 年12 月には他州に先駆けて“Roadmap for Unconventional Gas Projects in South Australia”を発表し、後押しする姿勢を見せている。 そのため現状では、フラクチャリング作業等に対する特段の規制強化の動きは見られていない。同州政府のホームページには「1969年以降同州では700を超える坑井において生産量増加の目的で安全にフラクチャリング作業が遂行されている」との記載がされている。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 10 ? ? 西オーストラリア州 ビクトリア州同様、海洋における在来型石油ガスの生産を長年続けている同州であるが、近年は陸上鉱区においてもシェールガス・オイル、タイトガスの探鉱が進められている。 このため、まずはシェールガス・タイトガス、およびフラクチャリングに関する法整備の一環として、まずは本年2月に「Natural Gas From Shale and Tight Rocks」に関するFact Sheetを発表している。 また昨年8月からはStanding Committee on Environment and Public Affairsが州政府議会からの要請を受け“Inquiry into the Implications for Western Australia of Hydraulic Fracturing for Unconventional Gas”を実施している。フラクチャリング作業が各方面に与える影響、フラクチャリングに使用される化学物質の制限などについて、広く意見を聴取して提言を取りまとめる予定で、2015年央あたりに結果が公表される見通し。 ? 北部準州 準州内陸上鉱区においては在来型石油ガスの生産がごく僅かに行われているのみであるが、ダーウィンにて生産操業中のDarwin LNGプラントに続き、Ichthys LNGプラントの建設も進められていることに加え、EIAレポートにて複数のBasinでのシェールガス・タイトガスのポテンシャルが指摘され、上流開発においては最も活気のある州の一つである。 フラクチャリングに関して現状では特段の規制は行われていないが、作業実施申請にあたっては「Water Management」「Chemicals」「Well Integrity」「Communication」および「Reporting」に関する十分な考察結果の提出を求めている。 また、今後シェールガス・タイトガスに対してフラクチャリング作業が増えることを見越して、西オーストラリア州が実施している“Inquiry into the Implications for Western Australia of Hydraulic Fracturing for Unconventional Gas”と同様に、広く意見を聴取して提言を取りまとめるために“Inquiry into Hydraulic Fracturing in the Northern Territory”を、首席大臣の指示の元2014年3月から実施している。こちらは本年中に結果が公表される見込みとなっている。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 11 ? 5. 総括 世界のガス供給の図式を変えたと言われている北米のシェールガス開発に続けと、豪州におけるシェールガス探鉱が注目され始めて4年ほど経過している。途中2012年にはSantosのMoomba-191からの商業生産開始、さらにChevron、Total、Statoilなどのメジャー各社の参入と明るい話題が続いていたが、最近に限っては若干トーンダウンしてきている感は否めない。その象徴的なものが、今年になって発表されたBeach Energy、Santosの水平坑井におけるフローテスト結果であろう。北米において効果を発揮している「水平坑井&フラクチャリング」であるが、その原理はフラクチャリング作業によって坑井の水平区間に直交する円状に人工的に割れ目(フラクチャ)を生じさせることにより、油・ガスの流路を広く確保することであった。一方で豪州では垂直応力と水平応力の大小関係によって、北米での適用例と同様にはフラクチャを形成しない可能性が以前から指摘されてきており、現状ではその懸念を克服できていない形となっている。今後、応力特性に応じたフラクチャリングデザインの改善、水平坑井のデザイン最適化などが必要とされるかもしれない。 一方、最近の豪州における在来型資源開発において問題となっている高い人件費等に起因する高コスト体質、およびパイプラインなどのインフラ整備状況の乏しさなど、プロジェクトの進捗のために改善を要する項目は、今後の非在来型資源探鉱および開発にも共通する問題である。これらはいずれも国内労働者保護政策の転換、重複する許認可システムの簡素化、東西を結ぶ幹線パイプラインの整備など、政策的要素を多く含むものであり、国を挙げた取り組みが必要とされる。 現在クイーンズランド州ではCSGを原料としたLNGプロジェクトが3件同時に進行中であり、早ければ本年中にも輸出が開始される見込みとなっている。国内においてCSG探鉱が開始されたのは1970年代後半とされており、その後1990年代後半の国内ガス供給による商業化開始まで約20年、LNG生産まではさらに15年以上を費やしている。シェールガスをはじめとした非在来型資源探鉱もまだまだ始まったばかりであり、本格的開発に向けて先に述べたエンジニアリング的課題の克服、およびインフラ整備など時間を要する可能性も高く、しばらく長い目で見守る必要があると思われる。 以上 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 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地域1 大洋州
国1 オーストラリア
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 大洋州,オーストラリア
2014/10/03 北村 龍太 レイニー・ケリー
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