ロシア情勢(2014 年 8 月モスクワ事務所)
レポートID | 1004499 |
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作成日 | 2014-10-08 01:00:00 +0900 |
更新日 | 2018-02-16 10:50:18 +0900 |
公開フラグ | 1 |
媒体 | 石油・天然ガス資源情報 1 |
分野 | 基礎情報 |
著者 | |
著者直接入力 | 木原 栄治 荒井 智裕 |
年度 | 2014 |
Vol | 0 |
No | 0 |
ページ数 | |
抽出データ | 公開可 更新日:2014/10/8 スクワ事務所:木原 栄治/荒井 智裕 モ ロシア情勢(2014 年 8 月モスクワ事務所) 1.当地動向: (1)ロシア情勢(対外、ウクライナ) ①ウクライナ南東部戦闘は続くが停戦に向けて前進 ・ 7 月 1 日の停戦期限切れ以降、ウクライナ南東部では、ルガンスク州で政府軍がウクライナ連邦化支 持派(親露派)への攻勢を強める一方、ドネツク州では親露派が巻き返しを図るなど激しい戦闘が継 続し、双方に多くの死傷者を出している。 ・ 一方、8 月末に双方の捕虜引き渡し交渉が合意したとし、ドネツク州で親露派に包囲されていた政府 8 月 26 日、プーチン大統領とウクライナのポロ シェンコ大統領は、ベラルーシのミンスクでウク ライナ情勢について会談。会談には、欧州連合 (EU)代表のほか、ロシアが主導するユーラシ ア経済共同体メンバーのベラルーシ、カザフス タンの首脳も参加。会談でプーチン大統領は、 ①停戦の条件およびウクライナ政府とドネツクと 軍の 28 人が政府軍管轄地域に移動した。 ・ ②プーチン大統領とポロシェンコ大統領との会談 ルガンスクの間の合意に関してウクライナの内政問題であって、ロシアが口を挿むことはできない、 ②信頼の醸成を促すことしかできない、③ウクライナ危機は武力の強化で解決してはならず、それ ぞれの代表者による平和的な対話で解決すべきだとして戦闘の即時停止を求めた。 Global Disclaimer(免責 事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 1 ? E 一方、ポロシェンコ大統領は今回の会談目的は、ウクライナ南東部の戦闘を止め、政治的な妥協を 探るプロセスを始めることだとして、双方の主張は平行線。なお、両国と欧州安保協力機構(OSCE) の 3 者協議、ガス協議の継続では一致したとした。 ・ 関係筋によると、この露ウ首脳会談では、プーチン大統領がポロシェンコ大統領に対してウクライナ への本格的なロシア軍介入を示したことによって、9 月の停戦合意につながるとする情報もある。 <写真出典:クレムリン HP:http://news.kremlin.ru/news/46493 > ③対露追加制裁、ウクライナ支援 ・ 7 月末、米国及び EU は対露追加制裁を発動(詳細は前月号に掲載済)。8 月 5 日、G7 諸国である 日本政府は閣議で、ウクライナ情勢を受けた対ロシア制裁のリストを正式に承認し直ちに発動した。 制裁内容は、以下の 2 点。 ? クリミア自治共和国及びセヴァストーポリ特別市のロシア連邦への「併合」又はウクライナ東 部の不安定化に直接関与していると判断される 40 個人及び 2 団体に対し、外為法に基づ き、これらの者に対する支払等及びこれらの者との間の資本取引(預金契約、信託契約、 金銭の貸付契約)等を許可制とする。 ? クリミア自治共和国又はセヴァストーポリ特別市を原産地とする全ての貨物の日本への輸 入を承認制とする。 ・ 具体的な個人の対象は、ウクライナのヤヌコビッチ元大統領、クリミア自治共和国のアクショノフ首相、 テミルガリエフ副首相、ポクロンスカヤ検事総長、ドネツィク人民共和国のストレルコフ国防相、ボロダ イ首相など。団体の対象は、クリミアの企業である CHERNOMORNEFTEGAZ(黒海石油ガス開発 会社)と FEODOSIIA(石油供給会社)とした。 ・ 8 月 5 日、茂木経済産業大臣(当時)は、ウクライナのキエフを 訪問し、ウクライナのプロダン・エネルギー石炭産業大臣と共に、 同国のエネルギー安全保障強化に向けた共同声明に署名。同 共同声明はウクライナ各地にある老朽化した石炭火力発電所 の効率運用のための技術支援や、温室効果ガス排出削減など 環境対策が柱のもので、日本政府のウクライナへの協力姿勢を 強調した。 <写真出典:日本経済産業省 HP:http://www.meti.go.jp/press/2014/08/20140811003/20140811003.html > ? 2 ? Global Disclaimer(免責 事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ④制裁に対するロシアの対抗措置 ・ 8 月 5 日、プーチン大統領は、ウクライナ危機をめぐる欧米諸国による経済制裁への対抗措置を取る よう政府に指示した。その一方で、国内の生産者や消費者への影響に最大限注意しなければならな いとも述べ、抑制的な措置になる見通しを示唆した。翌、8 月6 日、プーチン大統領はウクライナ問題 を巡りロシアに対して制裁を科した国からの農産物などの輸入を 1 年間禁止・制限する大統領令に 署名した。 ・ 具体的な内容についてメドヴェージェフ首相は 政府閣議で言及し、米国、EU、カナダ、オース トラリア、ノルウェーからの肉類、魚介類、青果物、 乳製品などの輸入を禁止したと発表した。禁止 措置は 8 月 7 日から 1 年間で日本は含まれて いない。なお、同首相はアジア太平洋地域へ運 航する欧米の航空会社にロシア上空通過を禁 止することを検討していると述べ、追加の制裁措置を警告。ウクライナの航空会社は 8 月7 日、ロシア 上空通過を禁止した。 <上写真出典:ロシア政府 HP:http://government.ru/news/14199/ > ・ 筆者は、この対抗措置後にスーパーに買い物に出向 いたところ見事に欧米産の肉類が消えていた。その他 野菜類等、欧米産は姿を消して CIS 諸国産が多く出回 り品薄感はないが、安全性に疑問が残る。また、残農 薬問題等がある中国産等の大量流入も心配される。日 本からの食料調達制度がある日本企業駐在員によると 通常より多くの品物を注文しており、今回の状況を受け て特別な措置を行っている企業もあるとのこと。 <上写真出典:筆者撮影 > Global Disclaimer(免責 事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 3 ? ⑤強固なクリミア半島支配を演出 ・ 8 月 13 日、プーチン大統領はクリミア半島にて、ロシア下院議員団との会議、国家安全保障会議を 主宰し、クリミア半島がロシア領であることを強烈に印象付けた。プーチン大統領は一連の会議の発 言の中で、7000 億 RUB(約 2 兆円)を越す額のクリミア開発に拠出することを明らかにした。また、ウ クライナ情勢については、ロシアはウクライナの紛争が止められ、一日も早く流血の事態をとめるた め、自国のできることはすべて行うとした。 < 右 写 真 出 典 : ク レ ム リ ン HP : http://news.kremlin.ru/news/46451 > (2)ロシア情勢(対外、ウクライナ情勢以外) ①プーチン大統領の夏季休暇中の外交 ・ プーチン大統領は 8 月中旬から下旬にかけて、冬季五輪が行われたソチを訪問。夏期休暇を兼ね ているとされている。しかしながら、在クレムリン同様精力的に公務をこなしている状況がクレムリン HP から窺うことができ、CIS 諸国首脳をはじめとした訪問者との会談が行われた。 ・ 8 月 9 日、プーチン大統領はアゼルバイジャンの アリエフ大統領及びアルメニアのサルグシャン大 統領と相次いで個別会談を実施。翌 10 日にはロ シア・アゼルバイジャン・アルメニア 3 ヶ国首脳会 議を実施し、先般起こったアルメニアとアゼルバイ ジャンの武力衝突による緊張緩和のための仲介を ? 4 ? lobal Disclaimer(免責 事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 G vーチン大統領が行ったもの。今回の武力衝突は約 20 人の兵士が殺害され、この 20 年間で最悪 の事態であるとされている。 <写真出典:クレムリン HP:http://news.kremlin.ru/news/46427 > ・ 8 月11 日、プーチン大統領はキルギスのアタムバエフ 大統領と会談し、キルギスのユーラシア経済同盟参画 の可能性を中心に議論を行ったとした。 <右写真出典:クレムリン HP:http://news.kremlin.ru/news/46430 > ・ 8 月 12 日には、プーチン大 統領はエジプトのエルシー シ大統領とソチの山脈や、ロ シア黒海艦隊のミサイル巡 洋艦モスクワ(ヤヌコビッチ 前大統領がクリミア半島セヴ ァストーポリから脱出の際に 使用したものとされている。) の視察、ミュージカル鑑賞等 を行いつつ、個別会談を実 施。会談では、中東問題や 国際テロリズムへの取り組みについて、両国の立場が一致していることを確認し、エジプトがユーラ シア経済同盟と協力を確立すること及びエジプト製品をロシアへ輸入するための制度を簡素化する ことについて合意したとした。 <上写真出典:クレムリン HP:http://news.kremlin.ru/news/46442 > ・ この後、頻繁な電話会談やフィンランド首脳等との会談も行い、多忙な夏季休暇であったと窺える。 lobal Disclaimer(免責 事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 5 ? G ②ユーラシア経済同盟関係会議 ・ 8 月 26 日、プーチン大統領はウクライナ情勢に関するウクライナのポロシェンコ大統領との個別会談 後、ウクライナとユーラシア関税同盟 3 ヶ国の全首脳及び EU 代表らが通商問題等についての協議 に出席。CIS と自由貿易協定(FTA)を締結済みのウクライナと関税同盟加盟国の昨年の貿易取引高 は 500 億 USD、今年上半期は 230 億 USD に達しているところ。プーチン大統領はその重要な貿 易相手国が 6 月に EU と連合協定を結んだことで、法的整合性を確保するため、ロシアは同国への 貿易上の特典を廃止せざるを得ないと言及し、EU 製品がウクライナ製品として関税同盟市場へ再輸 出されるリスクについても強調したとした。 ・ なお、ウクライナのポロシェンコ大統領は、EU との協定を国家改革のメカニズムと説明し、協定締結 により従来の提携国との関係が損なわれるわけではないとした。ウクライナ情勢もさることながら貿易 関係議論もかみ合わない。 ③ロシア外交を司るラブロフ外務大臣 ・ 8 月 17 日、ロシア、ウクライナ、ドイツ、フランスの外相は、ウクライナ情勢を協議 すべく約 1 ヵ月半ぶりにベルリンで会談を実施。協議は難航をきわめ、停戦に関 する合意は達せられなかったが、四者は、紛争解決プランの作成およびそうした プランが最終的に承認されうるロシア・ウクライナ・EU サミットの準備に関する作 業を継続する意向とした。ロシア外交の困難は続く。 ・ 米国ケリー国務長官等と対等にやり合うなど、ラブロフ外務大臣に対するクレムリ ン及び政府、ロシア国民の信頼度は日増しに高まっている。プーチン大統領も そうであるが、ラブロフ外務大臣は寝る暇がないのではとの声もある。 <上写真出典:ロシア政府 HP: http://government.ru/gov/ > (3)ロシア情勢(国内) ①対露追加制裁による与信枠の縮小 ・ ロシア顧客に対する与信枠の引き下げなど、欧米による制裁は欧米大手銀行のロシア事業を縮小・ 悪化させている。英国 Royal Bank of Scotland では、今年上半期ロシアでの融資額が約 2 億 USD lobal Disclaimer(免責 事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 6 ? G ク少し 30 億 USD。仏国 Societe Generale では同期間のロシア事業は約 5 億 EUR の赤字とした。 ・ 取引所では今後ロシア企業の上場は不可能となり、Bashneft 等の既に IPO を公表した企業もその実 施は難しいと見られる。 ②インフレ率上昇見込 ・ ロシア民間大手銀行の Alfa Bank の予測によれば、今回の食料輸入禁止の影響でインフレが再加 速し、2015 年のインフレ率が過去 5 年間で最高となる 8%(2013 年は 6.5%)に達する可能性がある とした。今年はじめから欧州産食肉に輸入制限が課される中、食肉輸入量は 40%減少、既に 7 月ま でに 11%の価格上昇が生じており、禁輸対象の食料品は消費者物価指数において 20%の比重を 占めている。また、経済制裁以外に、2015 年特有の要因として消費税の導入やガソリン価格の上昇、 ガス価格等の公共料金値上げなどがある。Alfa Bank はこうした情勢に鑑みて、ロシア中銀が年内に 再度金利を引き上げる可能性があると予測している。 ③マクドナルド店舗閉鎖 ・ 連邦消費者監督庁は 8 月 18~20 日、モスクワ市内のマクドナルド店舗に対し一連の監察検査を実 施した結果、多くの衛生基準違反が見つかったとして 4 店舗(プーシキン広場店、マネージ広場店、 アレクセエフスカヤ駅前店、ノボギレーエボ駅前店)の一時営業停止を命じた。プーシキン広場店は ソ連時代の 1989 年に開店したロシア第 1 号店であり、世界で最も客数の多い店舗として知られてい る。今現在も営業が停止されている。 ・ 業界関係者によると、マクドナルドは衛生基準を常に遵守しており、最近は以前にも増して入念な注 意を向けていたと指摘。今回の事態を欧米との制裁合戦と結びつける声もある。 (4)ロシア情勢(石油ガス産業) ①原油・石油製品輸出税 ・ 2014 年 9 月、原油輸出税は 50.4USD/BBL、東シベリア及びカスピ海北部の油ガス田等に適用され る特典輸出税については 24.1USD/BBL と引き上げ。 ・ 9 月の石油製品輸出税は 242.6USD/t、ガソリンについては 330.8USD/t に設定された。 lobal Disclaimer(免責 事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 7 ? G ヮQ考:原油及び石油製品輸出税の推移> 輸出税 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 平均 平均 平均 平均 2014 年 上半期 2014 年 9 月 原油(USD/t) 原油(USD/BBL) 減税特典原油(USD/t) 減税特典原油 ( USD / BBL) 軽質石油製品(USD/t) 重質石油製品(USD/t) 内、ガソリン(USD/t) 273.7 37.5 87.68 11.9 149.1 80.3 11 年 5 月 ~ 408.9 55.3 186.1 25.2 274.1 208.2 388.6 404.3 55.4 199.2 27.3 392.2 53.7 190.1 26.0 382.7 52.4 187.5 25.7 367.6 50.4 176 24.1 266.8 258.8 252.6 242.6 363.8 353.0 344.4 330.8 ②原油生産・輸出統計(エネルギー省発表データ) ・ 8 月、ロシアの原油、ガス・コンデンセート生産量は 4447.1 万 t(約 3.25 億 BBL)で前年同時期に同 じ。 ・ 8 月、ロシアの原油輸出量は 1786.5 万 t(約 1.3 億 BBL)で前年同時期比、4.6%減。 ③天然ガス生産・輸出統計(エネルギー省発表データ) ・ 8 月、ロシアの天然ガス生産量は 427.4 億?(約 1.54TCF)で前年比 10.4%減。 ・ 8 月、ロシアの天然ガス輸出量は 114.2 億?(約 0.41TCF)で前年同時期比 26.5%減。 ④石油ガス産業に係るウクライナ問題 ・ 米国及び EU は 7 月末、更なる追加制裁を発動。これを受けての欧米メジャー企業の主な反応は以 下。 ? Total は Novatek の株式を買い進めることを中止するとした。Total は 6 月末の段階で 18%を 保有しており、19.4%まで買い進める計画であった。但し、Yamal の現場作業は続行し、制 lobal Disclaimer(免責 事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 裁に関する影響を精査するとした。 ? 8 ? G R/D Shell は欧米からの対露制裁にかかわらず、ロシアでの上流・下流でのビジネスを継続 し、ビジネスに係る政策も変更しないとの決意を表明。 ? BP は対露制裁を受けて大きな影響があるが、Rosneft の 19.75%の株式は維持するとした。 ・ 短期的には資機材のストック等があり、各プロジェクトへの影響はないとしているが、このまま制裁が 維持となると厳しい情勢であることはいうまでもない。 ・ なお、深海掘削やシェールオイル開発用設備の対露輸出を禁じる今回の制裁で Schlumberger や Halliburton 等の油ガス田開発サービス企業は大きな痛手を受けることになった。業界最大手の Schlumberger では総売上に占めるロシア事業の割合は昨年約 6%を占め 270 億 USD であっが、 今回の制裁で今年第 3 四半期に 4000 万 USD の利益減となる見込みとした。 ⑤石油税制改定 ・ 7 月 30 日、プーチン大統領は財務省とエネルギー省が提案していた石油関連の税制改革を承認し た。最新の変更点は以下のとおり。 ? 石油天然資源抽出税:2015 年 775RUB/t、2016 年 873RUB/t、2017 年 950RUB/t ? 原油輸出税:2015 年 42%、2016 年 36%、2017 年 30% ? ディーゼル燃料輸出税:2015 年 48%、2016 年 40%、2017 年 30% ? ガソリン輸出税:2015 年 78%、2016 年 61%、2017 年 30% ? 燃料油の輸出税:2015 年 75%、2016 年 82%、2017 年 100% ・ 一旦、本変更で決着したが、財務省は石油天然資源抽出税の更なる上昇を検討しているとのこと。 (5)極東・サハリン ①東シベリア関連 ・ ESPO 原油の購入者である日本の複数の会社が、対露制裁の影響を考慮した複数の銀行が取引の ための融資を拒否したため、7 月分のロスネフチ分の ESPO の購入権を巡るテンダーに参加できな かったとした。公式的には ESPO 原油の購入者は対露制裁措置の適用外であるが、銀行側が慎重 になったもの。 lobal Disclaimer(免責 事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 9 ? G ②サハリン関連 ・ 8 月 14 日、連邦独占禁止局はサハリン 2 のオペレーターである Sakhalin Energy が Rosneft の事 業参入を妨害したとして訴追した。Sakhalin Energy のガス P/L 網に対する Rosneft の接続要求を不 当に拒絶した疑いがありとしたもの。 ・ なお、8 月 19 日付けの報道で、Rosneft がサハリン 2 の P/L にアクセスできるとのことで、Sakhalin Energy の過半株主である Gazprom と合意したが、本件は今だ協議中事項とのこと。 (6)ロシア石油ガス会社 Gazprom ・ 8 月 29 日、ノバク・エネルギー大臣はウクライナへのガス供給再開に向けた協議の開催に前向きで、 ガス価格の約 20%値下げを提案する用意があると表明した。本件に対する Gazprom としての広報 はない。具体的には、ウクライナへの 4~6 月供給分について 1000 ?当たり 100USD の値引きを 遡及適用する用意があるとした。なお、具体的な協議日程は 9 月初旬に決定するとした。 ・ Gazprom の 2014 年のガス生産目標は 4630 億?で、当初計画の 4964 億?から 7%減とした。こ れは、2013 年の 4874 億?から 5%減となるもので、欧州でのガス需要の不透明さや、電力における 再生可能エネルギーや石炭との競争が顕著であるとした。 ・ 8 月 31 日、シベリアの力 P/L 建設開始式典を控え、中国の石 油閥と さ れる 張高麗副首相が Gazprom 本社を 訪問し 、 Gazprom ミレル社長と会談。同社長より合意済の東 P/L ルート 等の説明を受けた。 <上写真出典:Gazprom HP:http://www.gazprom.com/press/news/2014/august/article199954/ > lobal Disclaimer(免責 事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 10 ? G osneft ・ 8 月 9 日、Rosneft は ExxonMobil との共同事業であるカラ海での掘削開始を記念するセレモニーを 開催。プーチン大統領は滞在先のソチからビデオ会議で参加し、同大統領号令でボーリング開始さ れた。このセレモニーには、Rosneft セーチン社長と ExxonMobil ロシアのウォーラー社長が出席し た。当該掘削作業では、ExxonMobil が探鉱費用で最初にかかる 17 億 USD を出資し、次の段階の 探鉱費用5 億USD のうちの半分を負担する予定としている。事業の進捗に対露制裁を心配する声も あるが、ExxonMobil 関係者によると開発用設備等のストックが潤沢にあり、心配はないとしている。 <上左及び下写真出典:Rosneft HP:http://www.rosneft.com/news/pressrelease/09082014.html > <上右写真出典:クレムリン HP:http://news.kremlin.ru/news/46421 > ・ 8 月 14 日、Rosneft は政府から 1.5 兆 RUB(約 4.5 兆円)の資金援助を要請した。調達方法は、政 lobal Disclaimer(免責 事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 11 ? G {が Rosneft の債権を、国民福祉基金からの供出で買い取る方式である。Rosneft は昨年 TNK-BP を 550 億 USD で買収し負債が積み上がっている。その借入残は、今年初めに CNPC との石油供 給契約に基づく 600 億 USD の前払い金の内、200 億 USD を受けたことで改善していた。制裁の前、 Rosneft セーチン社長は安定的なキャッシュフローがあり返済計画には支障がないとしていた。 ・ Rosneft の懐具合は各種報道によると、自社口座に約 200 億 USD の蓄えがあるとのことで、2014 年6 月末の債務総額は約600 億USD あり、2014 年末までに約120 億USD、2015 年に更に約170 億)を返済する必要があるとされている。 ・ 8 月 22 日、欧米からの制裁を背景として Rosneft は、Seadrill(ノルウェー)の子会社である North Atlantic Drilling(NAD)(バミューダ登記)の株式取得によって、油田サービス、および海洋鉱床にお ける作業での技術的な能力の拡大をはかるとした。取引内容として、Rosneft は NAD の株式を 1 株 当たり 9.25USD で約 30%取得し、NAD に対し、5 年間の契約を締結して 150 基のロシア製陸上掘 削リグを新規に使用できる権利などを提供するとしている。 GazpromNeft ・ 8 月 27 日、欧米による対露制裁に対する対策として、GazpromNeft は 9 月出荷分の、Novy Port 原油 8 万 t(約 58 万 BBL)を RUB 建て、ESPO 原油スポット契約 10 万 t(約 73 万 BBL)を元建てと すると発表した。 2.その他 モスクワ国際モーターショー lobal Disclaimer(免責 事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 12 ? G E 8 月 27 日から約 2 週間、モスクワ国際モーターショー2014 がモスクワ市近郊のクロッカス展示場で 開催された。制裁等の影響はまったく感じさせず、欧米各社もコンセプトカー等展示がなされていた。 ロシア国民は元来、大きい物は良いものと考えがあるとされ、燃料消費の効率化や繊細な作りこみ等 に興味がないとされているが、日本各社のブースが欧米各社のブースより多くの人を集めていたよう に思われた。日本の匠の技の良さが伝わりつつあるものと思われる。 <上写真出典:筆者撮影 > 以 上 lobal Disclaimer(免責 事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含ま れるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの 投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責 任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 13 ? G |
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