原油市場他:米ドル上昇や石油需給緩和感等で、下落し続ける原油価格
レポートID | 1004510 |
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作成日 | 2014-11-17 01:00:00 +0900 |
更新日 | 2018-02-16 10:50:18 +0900 |
公開フラグ | 1 |
媒体 | 石油・天然ガス資源情報 1 |
分野 | 市場 |
著者 | 野神 隆之 |
著者直接入力 | |
年度 | 2014 |
Vol | 0 |
No | 0 |
ページ数 | |
抽出データ | 更新日:2014/11/17 調査部:野神 隆之 原油市場他:米ドル上昇や石油需給緩和感等で、下落し続ける原油価格 (IEA、OPEC、米国DOE/EIA他) ① 米国では、製油所での秋場のメンテナンス作業は峠を越え始め、原油精製処理量が上向きとなったことから原油在庫の増加速度が鈍化、11月に入ってからは減少する場面も見られるようになったものの、平年を超過する量は維持されている。また、製油所での稼働上昇に加え、一時見られたガソリン製造装置の不具合も終息したことから、ガソリン生産は回復してきたものの、在庫を増加させるには十分ではなかった結果、ガソリン在庫は若干ながら減少となり、量としても平年並みとなっている。留出油については、製油所での生産は増加し始めたものの、在庫減少に歯止めをかけるには至らず、平年幅の下限に位置する量となっている。 ② 2014年10月末のOECD諸国推定石油在庫量の対前月末比での増減は、原油価格が下落した反面、米国での秋場の製油所でのメンテナンス作業実施に伴い製品の生産が伸び悩み気味となったことで製品価格が相対的に維持されたことにより、欧州の製油所での精製利幅が確保できるようになったことから、原油精製処理量が増加したこともあり、欧州での原油在庫は微増にとどまったものの、米国では原油在庫は増加となった他、日本でも製油所における秋場のメンテナンス作業活発化に伴う原油精製処理量の低下により在庫が増加となったことから、OECD諸国全体としても、原油在庫は増加となり、量としても平年幅を超過する状態は継続している。他方、製品在庫については、米国で減少となった他、米国の製油所での石油製品生産水準低下の一方国内需要及び輸出等により同国での留出油在庫が低下した結果、欧州への留出油の流れが鈍化したと見られることから、欧州では中間留分在庫水準が低下したことにより石油製品全体の在庫も減少となった他、日本でも秋場のメンテナンス作業実施に伴う製油所での精製活動低下により石油製品在庫が減少したことから、OECD諸国全体としても製品在庫は減少、量としては平年幅下限付近に位置している。 ③ 2014年10月下旬から11月中旬にかけての原油市場においては、米国での金利引き上げや欧州での追加金融緩和策実施に対する市場での観測等を背景とした米ドルの上昇、中国での軟調な経済を示唆する指標類、サウジアラビアによる原油販売価格の引き下げ、11月27日に予定されるOPEC総会において減産の決定がなされないことを示唆するOPEC産油国関係者の発言等が、原油相場に下方圧力を加えた結果、価格は下落傾向となり、WTIは11月13日には1バレル当たり74.21ドルと終値ベースでは2010年9月21日以来の低水準となった。 ④ ウクライナ/ロシア及びリビアでの地学的リスク要因を巡る最近の展開は市場の石油供給途絶懸念を高める方向で作用する可能性がある他、冬場の暖房シーズン到来に伴う暖房用燃料需要期突入による季節的な需給引き締まり感が市場で発生しやすいことから、この面では原油相場に上方圧力を加えてくると考えられるものの、欧州や中国での経済情勢が不安定であるうえ米国での金利引き上げ観測も根強く米ドルが上昇しやすいことや、OPEC産油国の石油需給均衡のための減産に向けた結束がOPEC総会開催時まで不明確となりうることもあり、少なくとも当面は原油相場の上昇が抑制される可能性があると考えられる。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 1 ? . 原油市場を巡るファンダメンタルズ等 2014年8月の米国ガソリン需要(確定値)は前年同月比で1.8%程度増加の日量929万バレルと速報値(同903万バレル、前年同月比1.1%程度の減少)から上方修正された(図1参照)。8月の米国での自動車運転距離数は前年同月比で0.4%の増加と6~7月のそれ(6月は前年同月比で1.4%、7月は同1.5%、それぞれ増加)から比べると伸びが鈍化しているが、一方で、6月のガソリン需要は前年同月比で0.5%の減少、7月のそれは同0.8%程度の増加と、自動車運転距離数の伸びを相当程度下回っていたことが、8月のガソリン需要の伸びに影響した可能性が考えられる。一方、10月の同国ガソリン需要(速報値)は日量896万バレル、前年同月比で0.1%程度の増加となっている。米国での自動車の燃費効率の改善がガソリン需要を抑制する方向で作用する反面、原油価格の下落に伴いガソリン価格水準の低下による購買意欲の増大がガソリン需要を増加させている可能性もあることから、10月の同国のガソリン需要の実際の動向については速報値のみでは判断が困難な部分もあり、この面では12月末の確定値の発表を待たざるを得ないものと思われる。他方、米国では秋場のメンテナンス作業も峠を越え始めるとともに製油所が稼働を再開させつつあり、それに伴い原油精製処理量も増加し始めている(図2参照)ことに加え、米国での一部製油所で発生していたガソリン製造装置の不具合も改修され、装置が稼働を再開するとともにガソリン生産(最終製品)も増加し始めた(図3参照)ものの、ガソリン向け混合基剤(Blending Components)の生産は十分に回復していなかったと見られることから、当該在庫が減少傾向を示したことにより、米国のガソリン在庫水準は10月中旬から11月上旬にかけては概ね低下傾向を示した結果、11月上旬時点においては平年並みの量となっている(図4参照)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 2 ? 2014年8月の同国留出油需要(確定値)は前年同月比で3.4%程度増加の日量382万バレルと速報値である同386万バレル(前年同月比4.4%程度の増加)から若干ながら下方修正されている(図5参照)。8月の留出油輸出についてEIAは速報値時点では暫定的に日量120万バレル程度と見込んでいたものの、実際の輸出量は日量133万バレルと暫定値を日量13万バレル上回っていたことから、この分が国内Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 3 ? v(速報値)から輸出に振り向けられたと見られることが、速報値から確定値への移行段階で下方修正の一因となっているものと考えられるが、下方修正幅は限定的であり、比較的堅調に同国の留出油需要が推移していたことがうかがわれる。他方、2014年9月の留出油需要(速報値)は日量361万バレルと、前年同月比10.6%程度の大幅な減少を示しているが、米国経済がこの時期顕著に減速しているという兆候も見られず、また、中西部を中心とするところの秋場の農作物収穫期到来に伴い収穫用の農機具向け留出油需要が発生していたことを考慮すれば、当該需要は速報値から確定値に移行する際に上方修正される可能性があるので注意が必要であろう。一方、製油所では秋場のメンテナンス作業等が完了に向かいつつあることから原油精製処理量の増加に伴い留出油の生産活動も活発化してきた(図6参照)ものの、国内外の需要を賄うには十分ではなかったことにより、留出油在庫は全体として減少傾向を示したことから、量としては11月上旬としては平年幅下限付近に位置している(図7参照)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 4 ? 2014年8月の米国石油需要(確定値)は、ガソリン及び留出油が前年同月比で増加した一方で、重油の需要が47.9%程度の大幅減少を示した(燃料転換等の影響で重油の需要はここ数年多くの月において前年同月比で減少を示している)ことから、日量1,928万バレル(前年同月比0.8%程度の増加)となった(図8参照)が、前述の通りガソリン需要が速報値から確定値に移行する際に上方修正された反面、「その他の石油製品」の需要が下方修正された(「その他の石油製品」の需要は速報値から確定値に移行する段階で相当程度変動する場合がある)ことで相殺されて余りあったことから、米国での石油需要全体でも速報値(日量1,960万バレル、前年同月比2.5%程度の増加)から下方修正されている。また、2014年10月の米国石油需要(速報値)は日量1,946万バレルと前年同月比で0.8%程度の増加となっているが、これは「その他石油製品」が前年同月比で相当程度増加したことが影響している。他方、製油所での秋場のメンテナンス作業実施に伴う製油所での稼働低下により、10月上~中旬には大幅に増加していた同国の原油在庫は、その後メンテナンス作業が峠を越え始め、製油所の稼働が上昇、原油精製処理量が回復してきたことにより、増加の度合いが緩やかになったうえ、11月上旬には在庫が減少を示すようになったが、それでも量としては平年幅の上限を超過している状態を維持している(図9参照)。なお、原油在庫が平年幅を超過する水準となっており、ガソリンが平年並みの在庫量、そして留出油在庫が平年幅の下限付近に位置する状況となっていることから、原油とガソリンを合計した在庫は平年幅を超過、そして原油、ガソリン及び留出油を合計した在庫は平年幅上限付近に位置する状態となっている(図10及び11参照)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 5 ? lobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 6 ? 2014年10月末のOECD諸国推定石油在庫量の対前月末比での増減は、原油については、原油価格が下落した反面、米国での秋場のメンテナンス作業等実施に伴う製油所の稼働低下で製品の生産と在庫が伸び悩み気味となったことにより製品価格が相対的に維持されたことで、製品と原油の価格差が拡大、精製利幅を確保できるようになったことから、欧州での製油所の稼働が上昇、原油精製処理量が増加したことが欧州での原油在庫の増加を抑制したことにより、当該地域での原油在庫は微増にとどまったものの、米国で増加となった他、日本でも製油所における秋場のメンテナンス作業活発化に伴う原油精製処理量の低下により、原油在庫が増加となったことから、OECD諸国全体としても、原油在庫は増加となり、量としても平年幅を超過する状態は継続している(図12参照)。他方、製品在庫については、米国で秋場のメンテナンス作業実施に伴う製油所での石油製品生産活動の不活発化により、主要石油製品について幅広く減少となった他、米国での製油所メンテナンス作業等に伴う製油所の稼働低下による石油製品生産水準の低下や秋場の国内での収穫期のための農機具向け軽油需要、そして南米諸国への輸出等で、米国内の留出油在庫が低下した結果、欧州への留出油の流れが低下したと見られることにより、欧州での中間留分在庫が減少したことが影響し当該地域での石油製品在庫が減少となった他、日本でも秋場のメンテナンス作業実施に伴う製油所での精製活動の低下が石油製品の生産に影響を及ぼした結果、石油製品在庫が減少したことにより、OECD諸国全体としても製品在庫は減少、量としては平年幅下限付近に位置している(図13参照)。なお、原油在庫が平年幅の上限を超過している一方で石油製品在庫が平年幅の下限付近に位置する水準となっていることから、原油と石油製品を合計した在庫は平年並みの量となっている(図14参照)。また、2014年10月末時点でのOECD諸国推定石油在庫日数は59.2日と9月末の推定在庫日数である58.8日から上昇している。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 7 ? 10月15日時点には1,100万バレル台前半であったシンガポールでのガソリンやナフサといった軽質製品の在庫量は、11月12日には1,100万バレル台後半と10月15日の水準に比べ微増となったうえ、この1ヶ月間1,100万バレル台で推移した。10月末から11月初めにかけ中国からの買い付けが発生したものの、そのような買い付けは一時的なものと見られた一方で、欧州での複数のナフサ分解装置のメンテナンス作業実施による操業停止に伴い余剰となったナフサがアジア地域に流入してくるとの観測から、一時は原油価格に比べて堅調に推移する場面が見られたナフサは、11月中旬には原油価格に比べて総じて軟調に推移するようになった。他方、ガソリンは、インドネシアでの複数の製油所のメンテナGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 8 ? 塔X作業に伴う操業停止により、国外からのガソリン調達活動が活発になったことがアジア地域におけるガソリン価格を支持する場面も見られたが、冬場のガソリン不需要期を控えていることがガソリン価格に下方圧力を加えた結果、ガソリンと原油の価格差はそれなりの変動はしたものの方向感は見出せない状態となった。 シンガポールの中間留分在庫水準は10月15日には1,100万バレル台半ば付近であったが、11月12日においては1,100万バレル台前半と若干ながら減少している。日本等での冬場の暖房シーズンに伴う灯油需要期を控えているうえ、年末の休暇シーズンでの航空機による往来の活発化に伴いジェット燃料の需要が増加するとの観測も発生しやすくなっている一方で、米国での製油所でのメンテナンス作業実施に伴う留出油生産の低迷と穀物収穫期到来による農業用機械稼働のための軽油需要発生に伴う在庫の減少により当該製品に対する需給逼迫感が市場で発生していることから、アジア地域のジェット燃料や軽油価格は原油価格に比べて堅調に推移している。 シンガポールの重質製品在庫は10月15日には2,000万バレルを超過する程度であったものが、11月12日には1,800万バレル強の水準となるなど、総じて減少傾向を示した。この背景には中国等アジア地域における秋場の製油所メンテナンス作業実施による製品の生産水準低下や、価格低下により若干ながらシンガポールの船舶用燃料需要が刺激されているといった要因が存在する可能性はあるが、一方で、夏場の冷房向け電力供給のための発電用重油需要が気温の低下とともに減少してきている中東地域を含め、西側諸国等からの重油流入が高水準になると見られる反面、中国での経済成長減速に伴う重油需要の低迷や韓国での原子力発電所稼働に伴う石油火力発電所向け重油需要の低下などを考慮すると、このような在庫の減少傾向は持続しない可能性もあるので注意が必要であろう。他方、重油価格は原油価格とともに総じて下落傾向を示したが、価格の下落に伴う需要発生の影響もあり、原油価格の下落よりも下落の度合いが緩やかであった。また、11月7日に発生した、デンマークの大手船舶燃料販売会社OW Bunkerの破綻(シンガポール子会社であるDynamic Oil Tradingの社員による不正行為が発端であるとされる)により、OWの保有する船舶燃料が差し押さえられる恐れが生じたことに伴い燃料購入者が代替手当を行わなければならなくなるとの観測が市場で発生したことに加え、船舶燃料販売者の一部が購入者に対する信用条件を厳しくしたことから、市場での当該燃料の流動性が大幅に低下したことにより、シンガポール地域での重油価格はOW破綻以降原油価格に比べて堅調に推移する場面が見られた。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 9 ? . 2014年10月下旬から11月中旬にかけての原油市場等の状況 2014年10月下旬から11月中旬にかけての原油市場においては、米国での金利引き上げや欧州での追加金融緩和策実施に対する市場での観測等を背景とした米ドルの上昇、中国での軟調な経済を示唆する指標類、サウジアラビアによる原油販売価格の引き下げ、11月27日に予定されるOPEC総会において減産の決定がなされないことを示唆するOPEC産油国関係者の発言等が、原油相場に下方圧力を加えた結果、価格は下落傾向となり、WTIは11月13日には1バレル当たり74.21ドルと終値ベースでは2010年9月21日以来の安値となった(図15参照)。 10月20日には、主要OPEC加盟国の減産への明確な姿勢の欠如による世界石油需給緩和の可能性に対する市場の懸念の流れが前週から引き継がれたことが原油相場に下方圧力を加えた反面、10月20日朝に発表された米石油・天然ガスサービス大手ハリバートン及び米メディア大手ガネットの2014年7~9月期の業績が市場の事前予想を上回ったことで米国株式相場が上昇したことにより原油相場に上方圧力が加わったことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり82.71ドルと前週末終値比で0.04ドルの下落にとどまった。また、10月21日には、この日中国国家統計局から発表された2014年7~9月期同国国内総生産(GDP)が前年同期比7.3%の増加と市場の事前予想(同7.2%の増加)を上回ったことにより、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.10ドル上昇し、終値は82.81ドルとなった。(なお、この日を以てニューヨーク商業取引所(NYMEX)の11月渡しWTI原油先物契約取引は終了したが、12月渡し契約のこの日の終値は82.49ドル(前日終値比0.58ドル上昇)であった)。10月22日には、この日米国エネルギー省(EIA)から発表された同国石油統計(10月17日の週分)で、原油在庫が前週Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 10 ? 艪ナ711万バレルの増加と市場の事前予想(同250~300万バレル程度の増加)を上回ったこと、10月22日午前(現地時間)に、カナダのオタワで銃乱射事件が発生したことで投資家の不安心理が増大したことから米国株式相場が下落したこと、10月22日に米国労働省から発表された9月の同国消費者物価指数(CPI)が前月比で0.1%の上昇と市場の事前予想(同横這い)を上回ったことにより米ドルが上昇したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり80.52ドルと前日終値比で2.29ドル下落した。10月23日には、サウジアラビアが、9月に生産した原油の一部を市場に供給しなかった結果、市場への供給量が日量936万バレルと8月の同969万バレルから減少した旨関係者が10月23日に明らかにしたことに加え、10月23日に英大手金融機関HSBCと英金融情報サービス会社マークイットから発表された10月の中国製造業購買担当者指数(PMI)(速報値)(50が当該部門拡大と縮小の分岐点)が50.4と前月の50.2(改定値)から上昇したうえ、市場の事前予想(50.2~50.3)を上回ったこと、10月23日にマークイットから発表された10月のユーロ圏製造業PMI(速報値)(50が当該部門拡大と縮小の分岐点)が50.7と9月の50.3から上昇した他、市場の事前予想(49.9)を上回ったこと、10月23日に発表された米重機大手キャタピラー及び米複合企業3Mの2014年7~9月期業績が市場の事前予想を上回ったことにより米国株式相場が上昇したことから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり1.34ドル上昇し終値は81.86ドルとなったものの、10月24日には、サウジアラビアが9月の市場への原油供給を前月比で減少させた旨前日明らかになったものの、減産しているわけではないことから、市場での石油需給引き締まり感が後退したこともあり、この日の原油価格の終値は1バレル当たり81.01ドルと前日終値比で0.85ドル下落した。 また、10月26日夕方(米国東部時間)に米国大手金融機関ゴールドマン・サックスが2015年第一四半期のWTI予想原油価格を1バレル当たり75ドル、ブレントのそれを同85ドルと、それ以前の予想から双方とも15ドル下方修正した旨の報告書を発表したことが10月27日の原油相場に下方圧力を加えた反面、10月27日全米不動産業協会(NAR)から発表された9月の同国中古住宅成約指数(2001年=100)が105.0と前月比で0.3%上昇したものの市場の事前予想(同0.5~1.0%上昇)を下回ったことにより米ドルが下落したことが原油相場に上方圧力を加えた結果、この日(10月27日)の原油価格の終値は1バレル当たり81.00ドルと前日終値比で0.01ドル下落の下落にとどまった。ただ、10月28日には、この日米大手民間調査機関コンファレンス・ボードから発表された10月の同国消費者信頼感指数(1985年=100)が94.5と9月の89.0(改定値)から上昇、2007年10月(この時は95.2)以来の高水準となった他、市場の事前予想(87.0)を上回ったこと、翌10月29日には、この日EIAから発表された同国石油統計(10Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 11 ? ?24日の週分)で原油在庫が前週比で206万バレルの増加と市場の事前予想(同280~365万バレル程度の増加)ほど増加していなかった他、ガソリン及び留出油在庫が前週比でそれぞれ124万バレル、及び529万バレルの減少と、市場の事前予想(ガソリン同35~100万バレル程度の減少、留出油95~140万バレル程度の減少)を上回って減少している旨判明したこと、10月29日にOPECのバドリ事務局長が、石油需給は将来均衡を取り戻すので最近の原油価格の下落に対してパニックになる必要はない旨示唆したことから、原油価格は10月28~29日の2日間で併せて1バレル当たり1.20ドル上昇し、10月29日の原油価格の終値は82.20ドルとなった。しかしながら、10月30日には、この日米国商務省から発表された2014年7~9月期のGDPが前期比で年率3.5%の増加と市場の事前予想(同3.0%の増加)を上回ったこと、翌31日にも、この日日本銀行が長期国債購入額を30兆円増額することを含めた追加金融緩和策の実施を決定したことにより円が下落した他、欧州中央銀行(ECB)もその流れに追随し早期に追加金融緩和策を実施するのではないかとの観測が市場で増大したことにより、ユーロが下落する反面米ドルが上昇したことに加え、OPEC加盟国による高水準の原油生産が10月についても行われた旨10月30~31日に報じられたことで市場が原油供給過剰感を意識したことから、10月31日の原油価格の終値は1バレル当たり80.54ドルと、原油価格は10月30~31日の2日間併せて1.66ドル下落した。 そして、11月1日に中国国家統計局及び中国物流購買連合会から発表された10月の同国製造業PMI(50が当該部門拡大と縮小の分岐点)が50.8と9月の51.1から低下、2014年5月(この時は50.8)以来の低水準となった他、市場の事前予想(51.2)を下回ったうえ、10月31日の日本銀行による追加金融緩和策実施の流れが11月3日の市場に引き継がれたことに加え、11月3日に米国供給管理協会(ISM)から発表された10月の同国製造業景況感指数(50が当該部門拡大と縮小の分岐点)が59.0と9月の56.6から上昇した他市場の事前予想(56.1~56.2)を上回ったことから、11月3日の外国為替市場で米ドルが上昇したこと、11月3日にサウジアラビアが12月の米国向け原油価格を引き下げた旨明らかにしたこと、11月4日も前日のサウジアラビアによる12月の米国向け原油価格引き下げの流れを引き継いだうえ、11月5日にEIAから発表される予定の同国石油統計(10月31日の週分)で原油在庫が増加しているとの観測が市場で発生したことから、原油価格は11月3~4日の2日間で併せて1バレル当たり3.35ドル下落、11月4日の終値は77.19ドルとなった。11月5日には、この日サウジアラビアの原油パイプラインで火災が発生したとの噂が市場で流れた(実際には軽油パイプラインで火災が発生、間もなく鎮火したとされる)ことに加え、11月5日に米企業向け給与計算サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)から発表された10月の米国民間雇用者数が前月比で23万人の増加と市場の事Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 12 ? O予想(同22万人の増加)を上回ったこと、11月5日にEIAから発表された同国石油統計(10月31日の週分)で原油在庫が前週比で46万バレルの増加と市場の事前予想(同120~235万バレル程度の増加)ほど増加していなかった他、クッシングでの原油在庫が前週比で55万バレル減少していることに加え、ガソリン在庫が前週比で138万バレルの減少と市場の事前予想(同20~60万バレルの減少)を上回って減少していた旨判明したこと、リビアのエル・シャララ油田が武装勢力による生産施設襲撃により停止した(停止前の生産量は日量29万バレルとされる)旨11月5日に報じられたことで、この日の原油価格の終値は1バレル当たり78.68ドルと前日終値比で1.49ドル上昇した。11月6日には、前日に操業停止が報じられた、リビアのエル・シャララ油田につき、武装勢力が撤退したことにより、間もなく操業を再開する旨、11月6日に報じられたことに加え、11月6日にOPEC事務局から発表された「世界石油展望2014年版」(World Oil Outlook 2014)で、OPECが対OPEC産油国原油需要を2035年に至るまでの殆どの期間につき2013年版のそれから下方修正したこと、11月6日に米国労働省から発表された同国新規失業保険申請件数(11月1日の週分)が27.8万件と前週の28.8万件(改定値)から減少した他、市場の事前予想(28.5万件)を下回ったことに加え、同日ECB理事会後の記者会見において、ドラギ総裁が、必要な時に追加金融緩和策を実施することについて、ECB内での意思統一はできている旨発言したことで、ECBによる追加金融緩和策実施に対する観測が市場で増大したことにより、ユーロが下落する反面米ドルが上昇したことから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.77ドル下落、終値は77.91ドルとなったものの、11月7日には、この日ウクライナ政府が、戦車や軍事用車両がロシア側から越境してウクライナ国内に進入した旨明らかにしたことで、西側諸国とロシアとの間での対立が高まることによる、ロシアからの石油供給途絶の可能性に対しての市場の懸念が増大したことに加え、11月7日に米国労働省から発表された10月の同国非農業部門雇用者数が前月比で21.4万人の増加と、市場の事前予想(同23.1~23.5万人の増加)を下回ったことから、米ドルが下落したこと、北極の寒気団が11月14日の週末までに米国に流入することで、暖房向け需要が増加するとの観測が市場で増大したことから米国暖房油先物相場が上昇したことにより、この日の原油価格の終値は1バレル当たり78.65ドルと前日終値比で0.74ドル上昇した。 11月10日には、11月27日に開催される予定のOPEC通常総会において、原油生産量削減の決定がなされる可能性は低いと予想している旨クウェートのオメール石油相が11月10日に発言したことで、石油需給緩和感の継続を市場が意識したことに加え、ECBが近いうちに追加金融緩和策を実施するとの市場の観測からユーロが下落する反面米ドルが上昇したことで、この日の原油価格は前週末終値比Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 13 ? ナ1バレル当たり1.25ドル下落し、この日の終値は77.40ドルとなったが、11月11日には、これまでの米ドル上昇に対する利益確定の動きが市場で発生したことから米ドルが下落したことにより、この日の原油価格の終値は1バレル当たり77.94ドルと前日終値比で0.54ドル上昇した。しかしながら、11月12日には、翌13日にEIAから発表される予定の同国石油統計(11月7日の週分)で原油在庫が増加しているとの観測が市場で発生したことに加え、11月12日にECB理事会委員であるバイトマン氏(ドイツ連邦銀行総裁)が、EU域内のインフレは相当程度長期間低水準にとどまるとの見解を明らかにしたことで、ECBによる追加金融緩和策実施の可能性に対する市場の観測からユーロが下落する反面米ドルが上昇したこと、11月13日には、この日EIAから発表された同国石油統計でクッシングの原油在庫が前週比で170万バレル増加し2,253万バレルと同年5月16日(この時は2,322万バレル)以来の高水準となっていることが判明したことから、11月13日の原油価格の終値は1バレル当たり74.21ドルと、価格は11月12~13日の2日間で併せて3.73ドル下落した(なお、11月13日のWTIの終値である74.21ドルは終値ベースでは2010年9月21日(この時は73.52ドル)以来の低水準となった)。ただ、11月13日にWTIで1バレル当たり75ドルを割り込んだこともあり、OPEC産油国が減産に向け動き出すのではないかとの観測が市場で発生したことにより、11月14日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり1.61ド地政学的リスク要因面では市場の石油供給途絶懸念を高めうる動きがみられる。まず、ウクライナにおいては、同国政府の許可なく東部ドネツク州およびルガンスク州の親ロシア派勢力が11月2日に首長及び議員選挙実施を強行、これに対してウクライナのポロシェンコ大統領はウクライナ東部の親ロシア派勢力の支配する地域に幅広い自治を付与する旨定めた「特別な地位」に関する法律(9月16日に議会が当該法案を可決していた)を撤回する旨11月3日に表明するとともに、11月4日には親ロシア派勢力によるウクライナ政府に対する攻撃に備え、東部地域に追加の軍隊を派遣する旨軍部に指示した。他方、西側諸国は親ロシア派勢力による選挙の結果について認めない旨明らかにしているが、ロシアは選挙結果を尊重する旨示唆している。他方、11月7日にはロシアから32台の戦車を含む軍用車両等がルガンスク州に侵入したとウクライナ政府が発表している。このようにウクライナでは、9月5日になされたウクライナ政府と親ロシア派勢力間での停戦合意が破綻の危機に瀕するなど、再び情勢が悪化する兆しが見える。他方、リビアでは、南西部のエル・シャララ油田が武装勢力により襲撃された結果操業を停止したGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 14 ? ル上昇、終値は75.82ドルとなっている。 . 今後の見通し等 3|、11月5日にリビア石油省が明らかにしている他、11月8日には、同国東部のハリガ石油ターミナル(原油出荷能力日量12万バレル)で、警備兵が未払い分の給与支払いを求めて抗議行動を実施したことにより同ターミナルが操業を停止した旨判明(その後警備兵への未払い分給与が支払われたことから抗議行動は終了、同ターミナルは操業を再開した旨同国国営石油会社NOCが11月14日に発表している)、11月9日には同じく南西部にあるエル・フィール油田が電力供給不足で停止したことが明らかになっている(同油田のかつての原油生産量は日量8万バレルとされるが、操業停止時直前の生産量は明らかになっていない)。また、同国では従来の議会である制憲議会(国民議会)と、それに対抗する勢力で2014年6月25日に実施された選挙の結果発足した暫定議会の2つの議会が並立し、それぞれに首相の役職を務める人物が存在する。11月6日にはリビア最高裁判所は暫定議会を無効とする旨の判断を下したが、同日暫定議会は裁判所の判断を受諾しない旨表明するなど、同国での政情不安は継続している。 このようなことから、この先ウクライナ情勢を巡りロシアと西側諸国との対立が激化することがロシアからの石油供給途絶に繋がるという観測が市場で強まったり、リビアにおいてエル・シャララ油田等の操業再開がうまくいないなどして同国での原油生産が低迷したりするようだと、原油相場に上方圧力が加わってくることも考えられる(但し最近対ロシア経済制裁に伴いロシアそしてロシアと貿易関係等で結びつきの強い欧州での経済が減速することが石油需要に負の影響力を及ぼす部分もあり、これが原油相場の上方圧力に対抗する結果、原油相場上昇が緩やかになるといった展開もありうる)。 一方、イラン問題については、11月4日に実施された米国での中間選挙の結果、イランに対して強硬な姿勢を示すと見られる野党共和党が議会を主導することになったことから、11月24日の期限に向けウラン濃縮問題を巡るイランと西側諸国等との間での最終合意に向けた交渉に不透明感が漂うようになってきている。イランのウラン濃縮活動を巡る問題については、現時点においても、活動の縮小を主張する西側諸国等と活動の拡大を模索するイランとの間での意見の相違が大きいことからすると、11月24日までに両者が当該問題で合意に至る可能性は低く、その意味では、原油相場に下方圧力が加わる確率はそれほど高くないものと考えられる。ただ、11月24日までに合意に至らないものの交渉を延長する旨の決定がなされれば、制裁の緩和に伴う同国からの原油増産も遠のくことになる一方で、イランと西側諸国等との対立が激化することによりホルムズ海峡が封鎖され大規模な石油供給途絶が発生する可能性もまた低いままとなることから、原油相場に対し影響は中立的ということになろう。しかしながら、米国がイランに対して強硬姿勢になるとともに、ウラン濃縮活動の制限と引き換えとなるはずの制裁解除に関してイGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 15 ? 宴唐ェ疑心暗鬼になる結果、当該交渉が決裂しまうようだと、西側諸国等によるイランへの制裁が強化されることなどによる同国等から石油供給途絶懸念が市場で高まることから、原油相場に上方圧力を加えてくる可能性がある。このように、イランの情勢については、今後少なくとも11月24日までは交渉の行方に関して市場が神経質となりうることから、原油相場変動リスク要因として注意していく必要があろう。 米国等の経済に関する指標類については、米国では雇用統計などにより比較的順調に景気が回復しつつあることが示されている。しかしながら、このような状況から、市場では同国金融当局による金利の引き上げ観測が根強いうえ、欧州等の経済不振による当該地域での追加金融緩和策実施に対する観測が市場で発生していることに伴いユーロが下落しやすくなっていることから、米ドルが高水準となりやすい状況となっていることで、この面から原油相場にはかえって押し下げる力が作用しやすいと考えられる。また、そもそも7月の対ロシア経済制裁実施前の2014年4~6月期にユーロ圏の経済成長率は前期比横這いとなっていたが、現時点においても対ロシア経済制裁は緩和すらされない状況であることから、ロシアとの貿易関係等を通じて欧州経済が減速、それが石油需要、もしくは石油需要に対する市場の認識に影響を及ぼし、その結果原油相場に下方圧力を加えることも考えられる。一方、中国での経済指標類は改善を見せているものや、市場の事前予想を上回るものも見られるものの、全般的に同国の経済が目覚ましく回復していることは示されておらず、この面でも原油相場を押し上げる力は限定的であるものと考えられる。そして、以上のような要因を考慮すれば、今後も発表される経済指標類の原油相場上昇への圧力はそれほど強くなく、内容によっては原油相場に下方圧力を加えることもありうる。 北半球では、11月に入り、冬場の暖房シーズン到来に伴う暖房用石油製品需要期突入が意識され始めており、また、秋場のメンテナンス作業等を終了した製油所では稼働を引き上げるとともに原油精製処理量を増加させつつある。これに伴い、例えば米国での原油在庫は10月に見られたように前週比で最大900万バレル近く増加するという現象は見られなくなってきており、この面では石油市場に季節的に需給引き締まり感が出てきているものと考えられ、原油相場に対しては押し上げる圧力が加わってもおかしくない状況にある。そして、今後このような需給引き締まり感に影響するのが、米国での冬場の暖房用石油製品需要の中心地である米国北東部の気温、もしくは気温に関する予報である。現時点では、同国政府関係機関によれば、米国北東部は11月下旬にかけ平年を下回る気温となると予測されている。ただ、一部民間予報機関は11月下旬の寒さは厳しくないとの予報も発表しており、この面では、原油相場の上方圧力を削ぐ格好となっているが、予報は短期化に急激に変化する可能性もあるため、今後の米国北東部等での気温の状況や気象予報機関から発表される米国北東部などでの気温予報に留意すべきであGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 16 ? ?、。 OPEC産油国は11月27日にオーストリアのウィーンにおいて通常総会を開催する予定である。6月以降原油価格が下落傾向となってきたにもかかわらず、サウジアラビアは原油の生産量を引き下げて需給均衡に努めるというよりも、販売価格を引き下げることにより生産量を維持させようとする姿勢を示しているという印象を市場に与えている。一方で、11月11日にサウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相は、同国が価格競争を始めているとの市場の見方を根拠がないものとして否定している他、サウジアラビアの石油政策は過去数十年変わっておらず、それが今になって変更されたというわけでもなく、サウジアラビアとしては安定した石油市場及び安定した価格を望んでおり、それが生産者、消費者、そして投資家にとっていいことである旨発信しているものの、サウジアラビアが次回OPEC総会における原油生産上限の引き下げ等の意志を固めた旨明らかにしているわけでもないことから、OPEC総会における原油生産上限の引き下げの決定に関して石油市場関係者が確信を持てないどころか、11月10日にクウェートのオメール石油相は次回OPEC総会では減産が決定しないであろう旨発言したこともあり、むしろ次回総会ではOPEC加盟国は減産を決定せず、その結果2015年にかけ石油供給過剰感が増大するとの観測を市場で強め、原油相場に下方圧力を加える結果となっている。 しかしながら、現時点でのOPEC事務局による試算では、2015年の対OPEC産油国原油需要(但し在庫の増減等を含む、以下同様)は日量2,920万バレルと原油生産上限(日量3,000万バレル)を日量80万バレル程度下回る状況となっており、次回OPEC総会で原油生産上限を引き下げる決定がなされない場合、石油供給過剰感が市場で醸成される他、市場占有率を巡りOPEC加盟国間による価格引き下げ競争を行うとの見方が市場で発生することにより、原油価格が急落することが考えられる。一方で、価格下落競争により加盟国間等で市場シェア争奪戦となると考えられることから、原油販売量は容易には増加させることができないことにより加盟国の収入は大幅に落ち込むことが予想される。また、仮に原油価格急落の過程でOPEC加盟国が原油生産上限引き下げに向け協議を開始し、その結果上限引き下げの合意に至ったとしても、一旦結束がなくなったと判断されたOPEC加盟国に対し結束が回復したと市場が判断するには、減産の合意のみならず、実際の減産が統計等で市場関係者の目に見えるようになり、かつその状態がある程度の期間継続することが必要となる。つまりこれは、OPECの結束崩壊後、市場関係者がOPEC加盟国間での結束回復に関して確信を持ち、市場で原油を買い進められるようになるまでには、ある程度の期間を要することになり、その期間中はOPEC加盟国の石油収入は低迷したままとなる、ということを意味する。他方、原油価格の急落は、原油価格の大きな変動を意味することから、Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 17 ? アれは少なくとも「市場の安定」を意味しておらず、サウジアラビアにとっても望むところではないと考えられる。このようなことから、原油価格が下落するなどの「市場が不安定」な状態に陥る前にOPEC加盟国間では原油生産上限引き下げに向けた協議を実施、次回総会で合意するといった展開になる可能性があるものと思われる(但し、北半球で気温が大きく低下したり、また低下するとの予報が発表されたりすることにより、暖房用燃料需要の増加が見込まれたり、地政学的リスク要因面での動向により市場での石油供給途絶懸念が高まったりすることにより、原油相場が上昇に向け反転した場合には、総会において世界経済の維持・発展に貢献するとの立場等から原油生産上限を据え置くといった選択肢も残されていると考えられる)。そして前述の通り2015年は対OPEC産油国原油需要が原油生産上限である日量3,000万バレルを日量80万バレル程度下回ることから、生産上限引き下げ幅としては日量50~100万バレル程度が想定される。ただ、欧州や中国の経済情勢や地政学的リスク要因等の存在など、石油市場を巡っては不透明性もかなり存在することから、石油市場の状況が急激に変化する兆候が見られた時に備え、加盟国はそのような事態に迅速に対処できるよう準備する旨総会では合意する可能性もあるものと思われる。ただ、早い時期にサウジアラビアが原油生産上限引き下げに積極的な姿勢を示せば、他の加盟国はサウジアラビアによる生産量調整に期待する一方で、自国の減産努力を怠る恐れもあることから、サウジアラビアとしては、他の加盟国による減産に対する協力姿勢を引き出すためにも、本当に決断しなければならないぎりぎりのところまで自国の姿勢を不明確にする可能性もあり、その意味では11月27日の総会開催直前まで、原油生産上限引き下げに関する情報は市場には明確には出てこないという展開も考えられ、そうなった場合には原油相場は当面不安定な状況が続くことも予想される。 全体としては、ウクライナ/ロシア及びリビアでの地学的リスク要因を巡る最近の展開は市場の石油供給途絶懸念を高める方向で作用する可能性がある他、冬場の暖房シーズン到来に伴う暖房用燃料需要期突入による季節的な需給引き締まり感が市場で発生しやすいことから、この面では原油相場に上方圧力を加えてくると考えられるものの、欧州や中国での経済情勢が不安定であるうえ米国での金利引き上げ観測も根強く米ドルが上昇しやすいことや、OPEC産油国の石油需給均衡のための減産に向けた結束がOPEC総会開催時まで不明確となりうることもあり、少なくとも当面は原油相場の上昇が抑制される2014年6月17日に国際エネルギー機関(IEA)は中期オイル・マーケット・レポート(MTOMR:Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 18 ? . 中期需給見通しー緩和感強まる 4可能性があると考えられる。 edium-term Oil Market Report 2014)を発表し、2019年までに予想される中期的な世界石油需給の分析を行った。また、OPEC事務局は11月6日に世界石油展望2014年版(WOO:World Oil Outlook 2014)を発表したが、その中においても2019年までの中期的な世界石油需給の見通しを行っている。そこで、ここでは、最近の世界経済情勢等から、今後の中期的な世界石油需給がどのように展開されると考えられるかにつき、2014年に発表されたIEAやOPECの展望に加え、IEAの2013年の中期見通し(2013年5月14日発表)及び2008年当時の見通し(2008年7月1日発表)とも比較しながら考察してみることとしたい。なお、MTOMR及びWOOのデータは2014年11月14日発表のIEAのオイル・マーケット・レポート(OMR:Oil Market Report)における2015年の予測値をもとに調整を加えた。 まず、世界石油需要であるが、国際通貨基金(IMF)が2014年10月7日に発表した「世界経済展望」(World Economic Outlook)に記載されるデータを用いて当方で独自に世界石油需要を試算してみる。世界経済展望によれば、2014年の世界経済成長率は3.3%であるが、その後経済は回復に向かい、2015年は3.8%程度、2016~19年は4.0~4.1%程度の成長になると見ている。そこで、このような景気回復を織り込むと世界石油需要はどうなるのか、というシナリオを設定する(景気回復シナリオ、以下「回復シナリオ」)(図16参照)。ただ、2014年の経済成長率は2012年10月9日発表時点のIMFの世界経済展望では4.1%であったところ、その後2年の間に相当程度下方修正されている。このため、足元において、欧州や中国で経済が持続的に回復する傾向を示していない状況を考慮し、中期的に現在IMFが予想している程には世界経済が成長していかない場合のシナリオも想定する(景気回復遅延シナリオ、以下「遅延シナリオ」)。この場合の2019年までの世界経済成長率は1984~2013年の30年間における平均である3.7%とする。これをもとに中期的な世界石油需要を算出すると2014年の日量9,244万バレル程度が2019年には回復シナリオで日量9,922万バレル程度、2014~19年の需要増加率が年率1.4%程度、遅延シナリオでは2019年に日量9,883万バレル程度、2014~19年の需要増加率が年率1.3%程度となる(図17参照)。なお、2014年6月発表のIEAのMTOMR(但し足元の需要状況で調整を施したもの、以下同様)では、2019年の世界石油需要が日量9,843万バレル、増加率が年率1.3%と遅延シナリオとほぼ等しい状態で推移することになる。他方、WOO(但し足元のIEA石油需要で調整を施したもの、以下同様)では、2019年の世界石油需要が日量9,733万バレル程度、2014~19年の需要増加率が年率1.0%程度と、他の展望と比べて伸びが緩慢であることが示される。MTOMRとWOOのシナリオを比較してみると、世界経済成長率に関する見通しについては、MTOMRについては、IMFの2014年4月時点での世界経済成長率見通し(2014年の世界経済成長率が3.6%、2015年が3.9%、以降4.0%前後)をGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 19 ? l慮していると見られる一方で、WOOのそれは、IMFの見通しに比べて低めになっている(2014年3.1%、2015年3.4%、以降3.6~3.8%)ものの、2016年以降においてはそれほど決定的な相違とは言い切れない。しかし、発展途上国の石油需要の伸びの見通しがWOOの方がMTOMRに比べて低くなっており(2016年以降についてMTOMRは2.6~3.1%程度の伸びとなっているのに対しWOOは2.4~2.6%程度の伸び)、この面が世界石油需要の見通しに影響していると考えられる。ただ、いずれにしても、この先世界石油需要は伸びる方向である。なお、景気回復及び遅延両シナリオ、そしてMTOMR及びWOOの世界石油需要見通しは、2013年5月のMTOMRのそれを超過しているが、これは、2013年5月のMTOMRが2012~13年の世界石油需要を現時点に比べると控えめに推測していたことに伴うところが大きいと考えられる(2013年5月発表のMTOMRでは2013年の世界石油需要を日量9,058万バレルとしているが、現時点では日量9,176万バレルに上方修正されている)。また、2008年7月のMTOMRによる見通しは2013年が最終年となっているが、この年は日量9,414万バレルに達すると予測されていたものの、その後のリーマンショックなどによる世界経済低迷及び米国等での燃費効率改善による先進国での石油需要の伸びの鈍化により、大幅に下方修正されている。 ? 20 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 シ方、非OPEC産油国石油供給量については、MTOMR及びWOOで大きな相違が認められないため、基本的には2014年6月発表のMTOMRでの展望を用いる。そしてそれに基づけば、非OPEC産油国石油供給量は2014年の日量5,640万バレルが2019年には同6,135万バレルとなる(図18参照)。そして、例えば2018年の非OPEC産油国石油供給量が2014年6月のMTOMRでは日量6,075万バレルと推測されるところ、2013年5月のMTOMRのそれでは、日量5,931万バレルと日量100万バレル超の相違が発生する部分も見受けられる。このような2014年6月と2013年5月のMTOMRで発生した大きな差異は、米国での原油生産によるところが大きく、同国でのシェールオイル生産見通しが1年の間に上方修正されたことを反映していると考えられる(図19参照)。なお、2008年7月のMTOMRでは、2013年の非OPEC産油国石油供給は日量5,185万バレルと2008年の供給である同5,076万バレル(当時、現時点では日量5,054万バレルへと下方修正されている)から殆ど増加しないと見られていたが、現時点では2013年の非OPEC産油国石油供給量は日量5,463万バレルと相当程度上振れしている。 世界石油需要から非OPEC産油国石油供給量、及びOPEC産油国NGL等供給量を差し引くと対Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 21 ? PEC産油国原油需要量が算出されるが、これは回復ケースでは、2019年時点で日量3,082万バレル程度と2014年時点(同2,962万バレル)よりも日量120万バレル程度の増加、遅延ケースでは日量3,043万バレル程度と日量81万バレル程の増加、2014年6月のMTOMRでは日量3,003万バレルと日量41万バレルの増加ということになる(図20参照)。他方、WOOは日量2,893万バレルと日量69万バレル減少する。ただ、いずれの見通しも2013年5月のMTOMRによる2018年時点での対OPEC産油国原油需要よりも低い水準となることに加え、2012~13年の対OPEC産油国原油需要量(日量3,087~3,107万バレル)を下回る他、世界石油需要に占めるOPEC産油国の原油供給量の割合についても、例えば回復ケースにおいて、2014年の32.0%から2019年の31.1%へと若干ながら低下する他、他のケースでは2019年時点で29.7~30.8%程度と、いずれのケースも2014年の水準を下回ると考えられる(図21参照)。また2008年7月のMTOMRでは2013年の対OPEC産油国原油需要量は日量3,508万バレルと2008年の同3,099万バレル(現在では同3,142万バレルへと上方修正されている)から大幅増加すると見られていたが、現時点では2013年の対OPEC産油国原油需要量は日量3,087万バレルと2008年当時の予測を大幅に下回っている他、OPEC産油国による原油供給の世界石油需要に占める割合も2008年のMTOMRでは2008年の35.7%から37.3%へと上昇すると考えられており、このため将来的には原油相場はさらに上昇していくといった類の見解が市場関係者からしばしば発信されたところではあったが、実際の2013年の占有率は33.6%とむしろ低下しており、当時の市場関係者の考え方がもはや当てはまらない状況になってきていることがうかがわれる。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 22 ? OPEC産油国の原油生産能力から対OPEC産油国原油需要を差し引くと余剰生産能力が導き出されるが、その量は回復及び遅延シナリオ、そして2014年6月のMTOMRシナリオで、2015~18年で日量600~700万バレル程度、WOOで同600~800万バレル程度と現時点の500万バレル台を上回ると見られる(図22参照)。世界石油需要に占める余剰生産能力の割合も、6%台後半から8%台前半と2014年の6%から上昇する。従って、当面は世界石油需給の緩和感が市場で醸成されやすい状況となることが予想される。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 23 ? |
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