ページ番号1004518 更新日 平成30年2月16日

イラン:核問題をめぐる動きと石油・天然ガス事業への影響

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レポートID 1004518
作成日 2014-12-15 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 エネルギー一般基礎情報
著者 増野 伊登
著者直接入力
年度 2014
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抽出データ イラン:核問題をめぐる動きと石油・天然ガス事業への影響 更新日:2014/12/15 調査部:増野伊登 (OPEC統計、IEA統計、BP統計、イラン政府機関プレスリリースや、その他報道など) ?2014年11月24日、イランの核開発問題に関する包括的合意の期限を迎えたものの、イランとP5+1(安保理常任理事国の英米仏露中および独)の間で合意に至らず、協議を再度延長することが決定された。今回の延長期間は全体で7か月間であるが、大枠合意の期限が2015年3月1日、最終合意(技術面など細部に関する合意)の期限が同年7月1日に設定されている。延長が決定されたことにより、少なくとも合意の可能性が無に帰すという最悪の事態は避けられた。 ?これまで同様、「ウラン濃縮の権限」が今後の交渉の最大の争点となり、イランとP5+1間の意見の相違は依然として大きい。また、合意実現に向けて注目すべきは、米・イラン両国における強硬派の動向である。2014年11月に行われた米中間選挙で民主党が大敗を喫したことで、野党である共和党が上院のみならず下院においても多数派となった。今回の延長を受け、共和党からは相次いで追加制裁の必要性を主張する声が上がっており、オバマ政権にとっては舵取りが更に難しくなったことは明らかである。一方のイランにおいても保守強硬派勢力は今なお根強い。こんな中、ハメネイ最高指導者からは交渉の進展を後押しするような発言も見られ、今後同氏が国内の意見対立をどのように収拾していくかが注目される。 ?原油の生産・輸出に関しては、経済制裁の影響で2012年以降は特に急減したものの、2014年からは中国・インドへの輸出量が増加傾向にあり、アジアへの輸出を強化していこうとするイラン国営石油会社NIOCの狙いが見て取れる。 ?天然ガスにおいては、確認埋蔵量世界第1位を誇るイランであるが、国内消費量の上昇により輸出余力はほとんど残っていない状態である。世界最大級のサウスパース・ガス田の開発が待ち望まれているが、経済制裁の発動と、それに続く外資引き上げを受け事業の遅れに見舞われている。欧米企業からの投資が期待できない中、ファイナンスの確保が最大の課題である。 ?資源開発に関連する最近の動向としては、OPEC総会の前日に、ザンギャネ石油大臣がBP、Shell、Total、Lukoilの幹部らと会談するなど、制裁解除後を念頭に置いた協議が繰り広げられている。また、改定作業が進められている新石油契約方式(IPC)については、2015年2月23~25日にロンドンにて説明会が開催される予定であるが、核合意の期限が延長された今、説明会の日程も更に先延ばしとなる可能性が出てきた。現在内閣ではIPC草案に対する審議が行われているものの、最終的な承認までには保守派議員からの反対も予想され、今後の動向に注目が集まるところである。 ?外資の再参入には制裁の解除が大前提になることは言うまでもないが、イランの資源ポテンシャルの大きさを考えれば、イランの石油・天然ガス開発の現状と、それを取り巻く核交渉の進捗状況をつぶさに追っていくことが肝要である。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 1 ? P.エネルギー分野に対する制裁 1979年のイラン・イスラム革命以来、米国は種々の経済制裁をイランに課してきた。中でも、エネルギーに関係する制裁の支柱をなすのは、1996年に制定された「イラン及びリビア制裁法(ILSA:Iran and Libya Sanctions Act)」(2006年に「イラン制裁法(ISA:Iran Sanctions Act)」と名称を変更)であり、イランのエネルギーセクターに対する2,000万ドル以上の投資行為などを対象としている。2002年8月のハタミ大統領政権時代には、国内の反体制派により、IAEAに申告していない核施設(ナタンズのウラン濃縮施設とアラクの重水炉)の存在が暴露されたことで、核問題が大きな焦点として浮上した。同年1月の一般教書演説にて、イランを「悪の枢軸」と名指ししたブッシュ大統領にとっては、これが制裁強化の正当性を裏付ける格好の材料となる。2003~2004年には、EU3(英仏独)との間でウラン濃縮活動の停止に向けた二つの合意が成立するなど、核問題の解決に向け一定の前進が見られたが、2005年8月にアフマディネジャード大統領が就任したことで事態は一変する。イラン政府の対欧米姿勢が硬化したことで、EU3との交渉はとん挫し、イランは再び濃縮活動を強行した。2006年以降、国連やEU、米国以外の国々も次々と対イラン制裁関連法案を可決している。米国においても、「包括的イラン制裁・責任・剥奪法(CISADA:Comprehensive Iran Sanctions, Accountability, and Divestment Act)」(2010年7月)をはじめとする法案が成立したことで、制裁発動要件は徐々に拡大されていった。 国際社会によるこれら一連の制裁措置はイラン経済の疲弊化につながったが、国内の石油産業に更なる追い打ちをかけたのが、2011~2012年にかけて決定された米国とEUによる石油の禁輸措置である。2011年11月の「米国大統領令13590(この後、イラン脅威削減およびシリア人権法Iran Threat Reduction and Syria Human Rights Act§201として法典化された)」(エネルギーセクター関連機器、サービスおよび石油化学製品のイランへの販売を禁止)、同年12月に制定された「米国防授権法§1245」、2012年1月に採択されたEU制裁決議(イラン産原油・石油製品の禁輸、EU内のイラン中央銀行の資産凍結)、同年7月の「米国大統領令13622」(イラン産原油および石油化学製品、貴金属の禁輸)などがこれにあた政権 年 核問題をめぐる動き 石油・ガス開発をめぐる動き 2002 反体制派が建設中の核施設の存在を暴露 サウスパース(フェーズ6-8、9-10)の契約締結 1. イラン:核問題をめぐる動きとエネルギー関連の動向 表る。 アザデガン油田開発契約締結 (INPEX 75%、NICO 25%) アザデガンのオペレーターシップをNICOに譲渡 出資比率変更(INPEX 10%、NICO 90%) 2003 EU3(英仏独)とイランによるサーダバード合意成立 (イランはウラン濃縮等の活動を停止) EU3とイランによるパリ合意成立 (イランは濃縮関連活動を完全に停止) 2005 EU3との交渉頓挫、ウラン転換を再開 2004 2006 4月 イランが3.5%ウラン濃縮を開始 ハタミ Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 2 ? 12月 ヤダバラン油田開発契約締結(Sinopec) 6月 サウスパース(6‐8)のオペレーターシップ移転(Statoil→イラン) 9月 アザデガン出資比率変更 (INPEX 10%、NICO 20%、CNPC 70%) 6月 サウスパース(11, 13)に関し、Total、Shell等がNIOCと交渉するも、未契約のまま撤退 10月 INPEXがアザデガンから撤退 (NIOC 30%、CNPC 70%) 10月 CNPCがサウスパース(11)から撤退 8月 ザンギャネ石油大臣就任 10月 TotalのE&P部門幹部がイランを訪問、ザンギャネ大臣と会談 12月 ザンギャネ大臣、陸上の5主要油田(Ahwaz、Marun、Gachsaran、Bibi Hakimeh、Aghajari)への外資参入方針を表明 12月 アリ・マジェディ石油省次官、10社以上の欧米メジャーとアジア企業1社と接触したと発言 12月 OPEC総会の場でザンギャネ大臣とEni、OMV、VitolのCEO及びShellが接触 1月 ダボス会議(ロウハニ大統領登壇) の場で、ザンギャネ大臣とEni、Shell、Total、BP等が接触 1月 イタリア、イギリス、スウェーデンが代表団派遣 2月 100人規模のフランスの経済代表団がイラン訪問。Total、GdF、Technip等も参加 3月 サウスパース(12)が生産開始 4月 イラン石油省、CNPCの南アザデガン油田権益を没収 新契約方式(Iran Petroleum Contract)の説明会(於ロンドン)が2015年2月に延期 7月 米国対イラン包括制裁法(CISADA)制定 7月 EU制裁決議(投資・貿易への制限、資産凍結等) 11月 米国大統領令13590 12月 米国FY2012国防授権法§1245制定 1月 EU制裁決議(イラン産原油・石油製品の禁輸、7月より実施) 7月 米国大統領令13622 9月 米国イラン脅威削減およびシリア人権法制定 10月 EU制裁決議(イラン金融機関との取引禁止) 12月 米国イラン自由および対拡散法(FY2013国防授権法)制定 2011 2012 8月 ロウハニ大統領就任 9月 国連総会、ロウハニ・オバマ電話会議 10月 イランとP5+1による核協議開始 2013 11月 イランとIAEA、査察拡大で合意 11月24日 イランとP5+1、制裁緩和に関する「第一段階措置」で合意(包括的合意の期限を2014年7月20日に設定) 1月12日 イランとP5+1、共同行動計画実施で合意 ロウハニ 1月20日 第1段階措置が開始 2014 7月19日 包括的合意の期限を半年間延長(2014年11月24日まで) 8月 米、追加制裁を決定(イランの核・ミサイル開発に関与した約30企業を制裁対象に追加) 9月 協議再開 11月11日 露がブーシェフルに原子炉を最低2基建設することで合意 11月24日 包括的合意の期限を7か月間延長 (大枠合意の期限を2015年3月1日、最終合意の期限を6月30日に設定) 2月 イランが20%ウラン濃縮に着手 2010 6月 国連安保理決議1929採択 7月 国連安保理決議1737採択 9月 米国イラン自由支援法制定 2007 3月 国連安保理決議1747採択 2008 3月 国連安保理決議1803採択 1月 オバマ大統領就任 2009 アフマディネジャード Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 3 ? Q.核交渉の今後の行方 注目されるのは今後の核交渉の行方である。2013年11月24日にイランとP5+1(安保理常任理事国の英米仏露中および独)の間で、制裁緩和にかかる「第一段階措置」の履行に関し暫定合意が成立するも、2014年7月20日に期限が設定されていた包括的合意は実現せず、協議を4か月間延長することが決定された(同年11月24日まで)。そして、二回目の期限を迎えた2014年11月、更なる延長が発表されたのは記憶に新しいところである。今回の延長期間は全体で7か月間暫定合意におけるP5+1側の措置概要 ?原油輸出規制(約100万b/d) ?在外凍結資産(原油売上金月額7億ドル)の一部還流 ?石油化学製品、貴金属、自動車産業制裁の停止 ?民間航空機へのスペアパーツ提供 ?追加制裁の凍結・・・など であるが、大枠合意の期限が2015年3月1日、最終合意(技術面など細部に関する合意)の期限が同年7月1日に設定されている。延長が決定されたことで、少なくとも合意の可能性が無に帰すという最悪の事態は避けられたわけである。 2014年11月25日の米財務省の発表によれば、「第一段階措置」は維持する方向とのことであり、アーネスト報道官も記者会見にて、交渉中は追加制裁を科さない立場を明らかにしている。本決定により、イランに対して課されている原油輸出規制措置(100万b/d)や、在外凍結資産の一部還流(イランが海外凍結口座に預金している石油収入を、イラン・リアルで月当たり7億ドル受け取ることができる)などの制裁緩和措置が据え置かれることになった。2014年夏から続く油価の下落(同年12月の二週目には5年ぶりの最安値を記録し、65ドルを下回った)を受け、イランの原油収入は約3割減少したとされるが(ロウハニ大統領の発言:2014年10月29日付イラン石油省公式情報サイトShana記事)、「月額7億ドル」という上記措置が維持されるため、原油安はイラン経済にとって当面のところ直接の打撃要素にはならないと考えられる。 2014年12月12日の米国務省の発表によれば、ジュネーブでの協議は12月17日に再開される予定だ。今後の協議の最大の争点は、これまで同様「ウラン濃縮の権限」をめぐる意見の相違である。イランの最高指導者ハメネイ氏は、遠心分離機の規模を現状の1万9千機から将来的に10倍に拡大したいとしている一方、米国は数千機への削減を要求しており、両者間の隔たりは依然として大きい。また、合意実現においてネックとなるのは、米・イラン両国における強硬派の存在だろう。2014年11月に行われた米中間選挙で民主党が大敗を喫したことで、野党である共和党が上院のみならず下院においても多数派となった(上院:民主党53名→46名、共和党45名→53名。下院:民主党199名→186名、共和党233名→244名)。上下院間の「ねじれ」が解消されたことで、政策方針の決定は以前よりは円滑に行われるGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 4 ? ゥもしれない。しかしながら、イランとの核合意への道のりということで言えば、オバマ政権にとって舵取りが更に難しくなったことは明らかである。今回の延長を受け、共和党からは相次いで反発の声が上がっている。ロイス下院外交委員長は自身の声明にて、延長期間中は制裁緩和措置を撤廃すべきとの姿勢を打ち出しているほか、マケイン上院議員も声明を発表、追加制裁の必要性を主張している。また、共和党員のみならず、民主党内部にも制裁を支持する議員は少なくない(2013年12月19日、民主党のロバート・メネンデズ上院議員をはじめとする超党派グループが「新イラン制裁法案(Nuclear Weapon Free Iran Act of 2013, S1881)」を議会に提出している)。これら強硬派の圧力に押され、もしオバマ大統領が追加制裁を余儀なくされる事態に陥れば、イラン側の反発を招き、交渉が暗礁に乗り上げることも予想される。 一方、イラン国内の動きはどうか。保守派の温床でもあるイスラーム革命防衛隊(1979年の革命を機に設立。国防省の管轄下にはなく、独自の権限を持つ。アフマディネジャード前大統領も同隊の一員であったと言われている)、前アフマディネジャード政権関係者、その他強硬派議員など、核交渉において欧米諸国におもねることを良しとしない勢力は今なお根強い。こうした状況の中で最も注目されるのは、ハメネイ最高指導者の対応である。ハメネイ氏自身、核交渉においては超えてはならない一線、いわゆる「レッドライン」が存在することを再三強調しており、核開発の権利を放棄しないとの基本姿勢は変えていない(2014年10月には、「ウラン濃縮の能力を19万SWU (Separate Work Units)に強化することは絶対的に必要である」と発言している)。しかしながら、2014年11月27日に同氏は、核協議に反対しなかったのと同じ理由で、協議の延長にも反対はしないと言明するなど、交渉の進展を後押しするような姿勢も見せており、穏健・改革派および保守・強硬派の二大勢力間のバランス取りに尽力していることが窺われる。二度目となる交渉期限に向けては、ハメネイ最高指導者がどこまで保守勢力を懐柔できるかが重要な鍵BP統計によれば、原油の確認埋蔵量は、ベネズエラ、サウジアラビア、カナダに次ぐ1,570億バレルで、世界第4位に位置している。原油生産量(コンデンセートを含む)に関しては、1974年に606万b/dを産出するも、1979年のイラン革命を機に、1981年には132万b/dにまで落ち込んでいる。革命と、続くイスラーム共和国の成立を受け、外資が保有していた石油権益は全て国営石油会社NIOCに強制的に引き継がれたことで、外国からの投資は停滞したばかりか、米国をはじめとする国際社会からの制裁措置を受けたことで、生産量は未だ革命前のレベルを大きく下回っている。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 5 ? .石油・天然ガスの生産と輸出の状況 3となるだろう。 ①石油 最近では、2011年末から2012年夏にかけて米国とEUが禁輸に関する制裁措置に踏み切ったことで、下図のとおり生産量・輸出量の減少に拍車をかけている。サウスパース・ガス田からの天然ガス増産に伴いコンデンセート生産自体は増加傾向にあったが(ザンギャネ大臣によれば、コンデンセートの現状の輸出量は25~30万b/d)、対イラン制裁の影響による輸出減と投資額減少により、生産能力の伸び悩みに直面することが予想される。2014年4月、ザンギャネ石油大臣は、イラン暦1396年(2017年3月~)に生産量を570万b/d(原油470万、コンデンセート100万)に増加させたいとの姿勢を明らかにしているが、制裁の解除と十分な投資額の維持が実現しなければ、目標の達成は困難な状況である。 2011年に約240万b/dだった輸出量(コンデンセート含む)も、2013年には130万b/dにまで急減しているが、2014年以降は中国・インドへの輸出量が増加している。現在、イラン産原油の主要輸入国は、日本、中国、韓国、インド、トルコの五か国であるが、この内同年1月から8月までの中国、インド、日本、 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 6 ? リ国の輸入総量は対前年比で20%増加しており、中でもインドが最大の増加率を見せている(19.064万b/dから29.682万b/dへ55.7%増加)。一方、2014年1~9月の対中国向け輸出量は、前年比32%増の56.6万b/dとなったほか、コンデンセート(約10万b/d)、ナフサ、重油、LPGなどの輸入も増えている。また、イラン国営石油会社NIOCは、中国をはじめ東アジアに向けた中継基地として使用することを念頭に、2013年2月に大連の原油・コンデンセート貯蔵タンクのリース契約を締結しており、アジアへの輸出を更に強化していこうとする狙いが見て取れる。 ②天然ガス 天然ガスの確認埋蔵量は1,192.9Tcfで世界第1位に位置しているが、第2位のロシア(1,103.6Tcf)とGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 7 ? ?3位のカタール(871.5Tcf)と比べ、輸出国としての存在感を発揮出来ないでいるのが現状だ。2013年の天然ガス生産量は161億cf/dであり、対前年比6億cf/d増となったものの、下図のとおり生産量の大半は国内消費と油層圧力維持のための圧入に利用されている。トルコや旧ソ連圏に向けてパイプラインによる小規模な輸出が行われているが(2013年0.9Bcf/d)、輸出余力はほとんど残っていない状態であるため、主要な外貨収入源とはなっていない。 南部沖合のサウスパース(South Pars)ガス田は、イランの確認埋蔵量のおよそ4割を占める世界最大級のガス田である(埋蔵量476Tcf)。しかし、開発の進捗状況は同ガス田と地質的に連続する構造にあるカタールのノースフィールド(North Field)ガス田に大きく後れを取っている。当初イラン政府は、年間5,500万トンのLNGをアジア市場向けに生産するという方針を打ち出すと共に、サウスパースの全開発フェーズの完了によって年間1,000億ドルの収入が得られると発表していた。核問題に関連する一連の経Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 8 ? マ制裁が発動する以前に、大手外資などの参入を得て開発が進んでいた一部の生産開始済みフェーズにおいては生産量がある程度伸びているものの、外資引き上げ以降は徐々に事業が停滞しつつある。24ある開発フェーズ中、すでに生産が開始しているのはフェーズ1~10のほか、以前からイランが単独で進めていたフェーズ12も2014年3月に生産を開始、2014年6月には初となるNGLカーゴ(95万バ石油・天然ガス開発に関連する新しい動きとしては、OPEC総会前日の2014年11月26日、ザンギャネ石油大臣が、ウィーンにてBP、Shell、Total、Lukoilの幹部らと会談し、イランへの将来的な投資の可能性について協議したことを明らかにしている。これに先んじて、TotalのBreuillac中東探査・生産部門担当社長も、「制裁解除とともに、利益性の高い契約が必要」とする一方、「これらの条件が整えば競争に参Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 9 ? レル)を出荷している。ジャヴァディNIOC総裁によれば、2014年3月までの1年間のサウスパース全体の生産量は92Bcmに上り、以降の1年間で100Bcm に増加する見込みである(2014年7月2日付Shana記事)。とはいえ、残り13のフェーズについては依然開発が遅れており、欧米企業からの投資が現状期待できない中、ファイナンスの確保が最大の課題である。また、LNG事業については、ガス液化技術の供与が制裁に抵触することから、自ずと棚上げになり、実現の見通しは立っていない。これを受け、トルコ、欧州、湾岸産油国やパキスタンにパイプラインでガスを供給する構想が再検討されている。しかし、上述したのと同じ理由から、すぐの実現は難しいと考えられる。 .資源開発に関連する注目点 3チする」とし、イランへの再進出に一定の意欲を見せている(2014年11月14日付日刊工業新聞記事)。経済の再興を目指すイランにとっても外資の存在は必要不可欠であり、2014年6月には、洋上鉱区(Resalat、Esfandiar、Arash、Reshadat、Towsan、Mahshahr、Farzal、Alfa、Norouz)の開発を外国企業に開放すると発表しているほか、同年8月には、150億ドル規模のガス事業(イラン西部における処理施設の建設とパイプラインの敷設)について国内外の企業(英仏企業4社、日本企業3社、韓国企業2社、中国企業4社、イラン企業4社)と交渉中であることを明かしている。 また、改定作業が進められている新石油契約方式(IPC:Iran Petroleum Contract)についてであるが、2015年2月23~25日にロンドンにて説明会が開催される予定である(詳細は以下URLを参照頂きたい:http://www.iranoilgas-summit.com/)。しかし、過去数回にわたって日程が延期されていることから、2月の開催をすら危ぶむ声はある。事実、契約改定委員会のメフディ・ホセイニ会長によれば、IPCの発表は経済制裁の解除が前提になるとの話である(2014年10月7日付Shana記事)。加えて、ザンギャネ大臣からも「(説明会の開催日程については)どうなるか分からない」との発言が出ており、核合意の期限が延長された今、説明会の日程も更に先延ばしとなる可能性が出てきた。既存のバイバック契約は外資にとってのリスクが高く、投資意欲の減退につながってきたという背景があるため、制裁によって経済の疲弊化するイランにとっては、なおさら契約条件のいち早い改革が求められる。現在内閣ではIPC草案に対する審議が行われているものの、最終的な承認までには保守派議員からの反対も予想され、今後の動向に注目が集まるところである。 外資の再参入には制裁の解除が大前提になることは言うまでもなく、また肝心の核交渉の先行きが依然不透明であることに変わりはないが、イランの資源ポテンシャルの大きさとビジネスチャンスの広がりには、今なお多くの外資企業が関心を寄せていることも事実だ。だからこそ、出来る限り早い段階から、イランの石油・天然ガス開発の現状と、それを取り巻く核交渉の進捗状況をつぶさに追っていくことが肝要である。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 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地域1 中東
国1 イラン
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 中東,イラン
2014/12/15 増野 伊登
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