カナダ企業主体で進展するオイルサンド ~Shell、大部分のオイルサンド資産売却~
| レポートID | 1004700 |
|---|---|
| 作成日 | 2017-03-17 01:00:00 +0900 |
| 更新日 | 2018-02-16 10:50:18 +0900 |
| 公開フラグ | 1 |
| 媒体 | 石油・天然ガス資源情報 1 |
| 分野 | 企業 |
| 著者 | 高木 路子舩木 弥和子 |
| 著者直接入力 | |
| 年度 | 2016 |
| Vol | 0 |
| No | 0 |
| ページ数 | |
| 抽出データ | 更新日:2017/3/17 調査部:高木路子、舩木弥和子 カナダ企業主体で進展するオイルサンド ~Shell、大部分のオイルサンド資産売却~ (Platts Oilgram News、International Oil Daily、Shell Web Site他) 2017年3月、ShellはAthabasca Oil Sands Project (AOSP)の権益60%、Peace River Complexの100%等、その保有するオイルサンド資産をCanadian Natural Resources (CNR)に85億ドルで売却することで合意したと発表した。Shell とCNRは共同でMarathon Oil Canadaを取得、折半出資の合弁会社とすることでも合意した。Marathon Oil CanadaはAOSPの権益20%を保有しており、両社はこれを引き継ぐため、ShellはASOPの権益の10%を維持することとなる。 2016年12月にはStatoilがオイルサンド事業から撤退すると表明しており、大手国際石油会社の中には、コスト高のオイルサンドプロジェクトから手を引くものが現れるようになった。 . 12. 3. 今般、Shellは、長年にわたり技術的な発展に貢献してきたカナダのオイルサンド事業を手放すことを決断し、高収益をもたらすための資産ポートフォリオの再構築(Re-Shaping)を行う。今回の売却を通じて、同社は、Integrated Gas(LNG)と大水深を優先的に投資する戦略を一層明確化させたとも言える。 4. 今回資産を買収したCNRのようにカナダ企業は、オイルサンド事業を継続、生産量を拡大させていく方針を示しており、引き続きオイルサンド生産量の増加が見込まれる。 . Shell、カナダのオイルサンド資産を売却 2017年3月9日、ShellはAthabasca Oil Sands Project (AOSP)の権益60%、Peace River Complex(地 1層内回収プロジェクト、Carmon Creekを含む) の100%、Alberta州の未開発のオイルサンドのリースをCanadian Natural Resources (CNR)に売却すると発表した。売却額は85億ドル (111億カナダドル)で、内訳は、現金54億ドルとCNRの株式9,800万株、31億ドル相当となっている。 また、Shell とCNRは12.5億ドルずつを拠出し、共同でMarathon Oilのカナダ子会社、Marathon Oil Canadaを取得、折半出資の合弁会社とすることでも合意した。Marathon Oil Canada はAOSP の権益20% を保有しており、両社はこれを引き継ぐため、ShellはASOPの権益の10%を維持することとなる。 この取引により、CNRはAOSP のオペレーターとなる。一方、Shellは、ASOP内のScotfordアップグレーダーとQuest CCSプロジェクトのオペレーターを続ける。ScotfordアップグレーダーとQuest CCSプロジェクトは、Shellが100%保有する Scotford 精製、石化プラントに隣接しており、同社はカナダ下流事業での競争力を維持することができる。取引は規制当局の承認を経て、2017年中ごろに完了する予定である。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - ウらに、両社は、資産売却完了を条件として、Shellが取得したMarathon Oil Canadaの株式 50%とCNRが取得したAOSPの権益のうちScotford アップグレーダー及びQuest CCS プロジェクトの20%を交換する可能性があることについても合意した。 資産 AOSP 60% Peace River Complex 100% 未開発のオイルサンドのリース表1.ShellがCNRに売却する資産 資産内容 その他 Muskeg River、Jackpine プロジェクト Scotfordアップグレーダー Quest CCS プロジェクト 生産能力は255,000 b/d Peace River、Carmon Creek、Cliffdaleの各プロジェクト 2016年の生産量は14,800 b/d Jackpine Mine 拡張プロジェクト88、89、90、30、36、632、15、631 Pierre River Mine プロジェクト9、14、17、352 探鉱リース(露天掘り)839、512、913、914 権益保有比率は、今回の取引前がShell 60%、Chevron 20%、Marathon 20 %、取引後がOil Canada CNR70%、Chevron 20%、Shell 10% 2015年、Carmon Creekプロジェクトを棚上げ ― (Shellホームページより作成) 2.国際企業から現地カナダ企業にシフト オイルサンドプロジェクトからの撤退は、Shell、Marathonに限られるものではない。 2016年12月には、ノルウェーの国営石油会社Statoil がオイルサンド事業をAthabasca Oil に最高で8.32億カナダドル(6.24億ドル)で売却し、オイルサンド事業から撤退すると表明した。Statoil は現金4.35億カナダドルとAthabasca Oil株式1億株(1.47億カナダドル)を受領し、その後2020年まで原油価格に応じて最高で2.5億カナダドルの支払いを受ける。Athabasca Oilは、Statoilが権益の100%を保有するLeismer SAGDプロジェクト(生産量2.4万b/d)とKai Kos Dehseh (KKD)プロジェクトの一部、Cornerプロジェクトを取得し、同社の生産量を現在の3倍の4万b/dとする。Statoilは2007年に22億ドルでNorth American Oil Sands Corp. を買収し、オイルサンド事業に参入したが、原油価格下落を受けて、2014年9月にはCornerプロジェクト(生産量4万b/d)の開発を少なくとも3年間延期するとしていた。 資産を買収したCNRのようにカナダ企業の中には、オイルサンド事業を継続、生産量を拡大させていく方針を示すものが多いが、大手国際石油会社の中には、コスト高のオイルサンドプロジェクトから手を引くものが現れるようになった。 なお、2017年2月には、ExxonMobilの子会社Imperial Oilが2016年の原油価格では経済的に生産Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。-2 -ェできないとしてKearlオイルサンドプロジェクトのビチューメン確認埋蔵量を26億bbl、Cold Lakeプロジェクトの確認埋蔵量を2億bbl引き下げた。Totalもコスト高のSurmontオイルサンドプロジェクトの確認埋蔵量4億bbl引き下げた。さらに、ConocoPhillips は油価低迷によりビチューメン確認埋蔵量を2015年末の23.9億bblから2016年末は12.5億bblに引き下げた。 3.Shellのポートフォリオ再構築 オイルサンド資産売却に踏み切ったShellは、2016年2月にガスメジャーを目指していたBG(英)を540億ドルで買収し、ブラジルの大水深油田案件、豪州等のLNG関連資産を増強していた。既に、今後の戦略として、LNG(Integrated Gas)を中核的な事業に、また、長期的な成長エンジンとして大水深及び石油化学を推進していく意向を示していた。現在は、ポートフォリオの再構築に向けて非戦略的な資産を売却するプログラムを実施し、2018年までの3年間に総額300億ドル規模、生産規模で35万boe/d規模の資産売却を実施している。今回の売却もその一環である。Shellは、この売却プログラムによって、買収後に悪化していた財務状況を早期に改善させる方針で、既に下流資産も含めておよそ総額200億ドルの資産売却(表2)が発表されており、これ以外にもガボン、イラクやマレーシアなどの保有資産について売却先を選定中と報じられている。 今回のオイルサンド資産の売却ディールに関し、Shellは、戦略的にフィットしない事業として縮小・撤退を決めたと述べると共に、CEOのコメントとして、“当社は、投資に対する高いリターンの追求に集中するため、Integrated Gas(LNG)や大水深などの世界規模かつ競争アドバンテージな事業の推進を優先していく。また、この売却を通じて自社の負債比率を引き下げ、300億ドルの売却プログラムを意味あるものにしていく”ことを強調する。その一方で、同社は、“カナダアルバータ州での過去数十年にわたるオイルサンド及び地層内回収法操業の発展は誇りであり、これら資産は経験豊かなCNRに十分にフィットするものである”と説明、今後もShellはカナダにおいて総合エネルギー会社として下流事業、CCS事業やシェール事業を通じて操業を継続していく計画であることも表明した。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 - \2.Shellの上流売却案件(2016年8月以降) 売却対象資産 米国メキシコ湾 Green Canyon blocks 114, 158, 248 Brutus/Glider カナダシェール資産 British Columbia州GundyとAlberta州Deep Basin 生産量約25千boe/d マレーシアNorth Sabah EOR PSC(25%) 米国メキシコ湾4鉱区(MC-767, MC-768, MC-811,MC-812)(20%) 英領北海資産(Buzzard(21.73%)、Beryl (39.4%)、Bressay (18.4%)、 Elgin-Franklin (14.1%)、J-Block (30.5%)、Greater Armada(76.4%)、Everest (100%)、Lomond (100%)、Erskine (32%)他) タイBongkotガス田権益(22.2%:鉱区15、16、17、鉱区G12/48) カナダオイルサンド資産 AOSP 60%、Peace River Complex100%、未開発のオイルサンドのリース 売却先(金額) EnVen Energy(米) 4.3億ドル Tourmaline Oil(カナダ) 10億ドル Hibiscus Petroleum Bhd(マレーシア) 0.25億ドル 三井石油開発 非公表 Chrysaor(英) 38億ドル Kufpec(クウェート) 9億ドル CNR(カナダ) 85億ドル 発表時期 2016年8月 2016年10月 2016年10月 2016年12月 2017年2月 2017年2月 2017年3月 .まとめ 4オイルサンド事業は、大水深やLNGと同様に、大規模でロングサイクルな投資の一つに位置づけられる。現在、他メジャーのExxonMobilとChevronは、市場環境に応じて短期間で収益を見込める、シェール事業や拡張案件のショートサイクル投資と、大規模なロングサイクル投資との投資先コンビネーションを重要視し、企業として高効率なリターンを狙っている。Shellは、こうしたロングサイクル投資の中でもLNG開発及び大水深開発に投資集中することを明確にしており、今回のオイルサンド事業の縮小はこうした同社の長期的な投資戦略に沿ったものでもある。 他方で、プロジェクト権益や企業買収を重ねオイルサンド事業の規模拡大を図るSuncor、今回の資産買収前から、2017年は資本支出を39億カナダドルに引き上げ、生産量も6%引き上げるとしていたCNR、原油価格下落後棚上げしていたChristina LakeプロジェクトPhase G等のプロジェクトを再開するとするCenovus等、カナダ企業には積極的にオイルサンドプロジェクトを進めようとするものが多い。今後、オイルサンド事業は、これら地元カナダのオイルサンド大手企業が主体となって推進されるとみられ、オイルサンド生産量も2017年に290万b/d、2020年に350万b/d程度まで増加するとの見方がなされている。 以 上 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 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| 地域1 | 北米 |
| 国1 | カナダ |
| 地域2 | |
| 国2 | |
| 地域3 | |
| 国3 | |
| 地域4 | |
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| 国7 | |
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| 地域9 | |
| 国9 | |
| 地域10 | |
| 国10 | 国・地域 | 北米,カナダ |
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