原油市場他:OPEC及び一部非OPEC産油国による減産の効果に対し疑問視する向きが市場で増大した結果、WTIで1バレル当たり50ドルを割り込む原油価格
| レポートID | 1004701 |
|---|---|
| 作成日 | 2017-03-21 01:00:00 +0900 |
| 更新日 | 2018-02-16 10:50:18 +0900 |
| 公開フラグ | 1 |
| 媒体 | 石油・天然ガス資源情報 1 |
| 分野 | 市場 |
| 著者 | 野神 隆之 |
| 著者直接入力 | |
| 年度 | 2016 |
| Vol | 0 |
| No | 0 |
| ページ数 | |
| 抽出データ | 更新日:2017/3/21 調査部:野神 隆之 原油市場他:OPEC及び一部非OPEC産油国による減産の効果に対し疑問視する向きが市場で増大した結果、WTIで1バレル当たり50ドルを割り込む原油価格 (IEA、OPEC、米国DOE/EIA他) ① 米国の製油所では春場のメンテナンス作業が実施されていることから、稼働の低下とともに原油精製処理量が低迷した一方、原油輸入は比較的堅調であった結果、原油在庫は増加傾向を示すとともに2月10日以降4週連続で週間統計史上最高水準に到達しており、平年幅を超過する状態となっている。他方、製油所の稼働低下に伴い石油製品生産活動が鈍化したことにより、ガソリン及び留出油在庫は減少傾向を示したが、双方とも平年幅を超過する状態は維持されている。② 2017年2月末のOECD諸国推定石油在庫量の対前月末比での増減は、原油については、欧州では減少しているが、これについては、OPEC及び一部非OPEC産油国による減産に伴い欧州向け供給が削減されたことが影響している可能性がある。また、日本でも原油在庫は若干ではあるが減少となった。ただ、米国では原油在庫が相当程度増加したことから、OECD諸国全体では原油在庫は増加となり、平年幅上限を超過する状態は継続している。製品在庫については、米国では製油所の稼働の低迷もありガソリン及び留出油在庫等の水準が低下したことから石油製品在庫全体も減少した他、日本でも冬場の暖房向け需要の発生に伴い灯油在庫が減少したことにより石油製品全体の在庫も減少した。他方、欧州では石油製品在庫は微増となった。結果としてOECD諸国全体としての石油製品在庫は減少となり平年幅上限付近に位置する量となっている。③ 2017年2月中旬から3月中旬にかけての原油市場は、OPEC及び一部非OPEC産油国により実施されている減産につき、今後遵守率がさらに上昇すると予想している旨OPEC産油国関係者が明らかにしたことで、この先の世界石油需給の引き締まりに対する期待感が市場で増大したことが、原油相場に上方圧力を加えた。しかしながら、2月のロシアの原油生産量が前月比で変わらない水準であった旨判明したことに加え、米国の石油坑井掘削装置稼働数が増加し続けている旨明らかになったことや、米国の原油在庫が増加した結果週間統計史上最高記録を更新したこと等を通じ、石油需給の引き締まりに関し懐疑的な見方が市場で発生したことや、米国金融当局による金利引き上げ観測が市場で増大したことによる米ドル上昇などの要因が原油相場に下方圧力を加えた。全体としては原油価格は下落傾向となった。④ 米国経済指標類等は、原油相場に対して変動させるような影響を与えるものの、上昇もしくは下落の傾向を形成するには至らないものと考えられる。他方、地政学的リスク要因面では、リビアとナイジェリアの情勢が気になるところであり、OPEC及び一部非OPEC産油国による減産遵守状況を含め、石油市場関係者の心理上の変化を通じ原油相場に影響する可能性がある。他方、これから夏場のガソリン需要期が市場で意識される結果、原油相場が下支えされると見られる。しかしながら、米国で石油坑井掘削装置稼働数が増加するとともに、シェールオイルを含めた原油生産量が増加するとの観測が市場で発生しやすいことが原油相場の上昇を抑制するであろう。結果としては、引き続き原油相場は当面比較的限られた範囲内で推移する可能性があるものと考えられる。Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。?1 ?. 原油市場を巡るファンダメンタルズ等 2016年12月の米国ガソリン需要(確定値)は前年同月比で1.8%程度増加の日量931万バレルとなり(図1参照)、速報値(前年同月比で2.4%程度減少の日量893万バレル)から相当程度上方修正された。米国からのガソリン最終製品輸出量が速報値では日量117万バレル程度であったものが、確定値では同93万バレル程度となっており、この分が輸出から国内需要に振り向けられたことが上方修正の一因になっているものと考えられる。また12月の同国ガソリン小売価格が1ガロン当たり2.366ドルと前年同月比で0.222ドルの上昇となっている他、前月比でも0.071ドルの上昇となっていることから、この面では需要を押し下げるべく作用するはずであるが、12月の個人可処分所得が前年同月を3.9%上回るなど米国経済が好調である(この結果12月13~14日に開催された米国連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利の0.25%の引き上げが決定された)ことによるガソリン需要押し上げ効果のほうが大きかった可能性がある。他方、2017年2月の同国ガソリン需要(速報値)は日量874万バレル、前年同月比で5.1%程度の減少と速報値ベースでは1月(同4.0%程度の減少)に比べ減少幅が拡大している。2月のガソリン小売価格が1ガロン当たり2.416ドルと前年同月を0.544ドル上回っているため、価格上昇の影響で当該需要が抑制された面はあるものと考えられる。しかしながら、2月の米国の非農業部門雇用者数も前月比で23.5万人の増加と、堅調に雇用が増加していると見られる水準である20万人を上回っていることから、当該需要は速報値から確定値に移行する段階で上方修正される場合もありうる。他方、米国では一部製油所で春場のメンテナンス作業が実施されていることから、稼働が低下するとともに原油精製処理量も低水準となった(図2参照)。ガソリンの最終製品の生産は比較的堅調ではあった(図3参照)が、製油所での稼働低下に伴いガソリン混合基材の生産は低下したものと見られることから、在庫についても混合基材を中心として減少傾向となった。それでも、2月10日には米国全体で2.59億バレルと1990年初以降の同国ガソリン週間在庫統計史上で最高水準に到達していたこともあり、減少したとはいえ、在庫量は平年幅を超過する状態は維持されている(図4参照)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 2 ? lobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 3 ? 2016年12月の同国留出油需要(確定値)は日量406万バレルと前年同月比で6.0%程度の増加となり、速報値である日量379万バレル(前年同月比1.1%程度の増加)から上方修正されている(図5参照)。同月の米国からの留出油輸出量が速報値では日量142万バレルであったが確定値では同121万バレルであった旨判明したことで、この分の量が輸出から需要に振り替えられたことが上方修正の一因になっているものと考えらえる。また、12月の米国の鉱工業生産は前年同月比で0.7%の増加となっていることもあり物流活動が同2.0%程度の増加であったことが留出油需要増加の背景にあるものとみられる。さらに、2016年12月は上旬及び中旬を中心として米国北東部で気温が平年を下回るなど、前年同月に比べ総じて冷え込んだことから暖房向け消費が増加したことも留出油需要を押し上げた部分があるものと考えられる。他方、2017年2月の留出油需要(速報値)は日量399万バレルと、前年同月比で1.0%程度の増加となっている。2月の鉱工業生産は前年同月比で0.3%の増加となっていることから物流活動もそれなりに堅調であったと見られることが留出油需要を押し上げたものと考えられる。そして、製油所の稼働低下とともに留出油の生産も低迷した(図6参照)一方で、需要はそれなりに発生したことから、留出油在庫は2月中旬から3月中旬にかけては減少傾向となったが、平年幅は超過したままとなっている(図7参照)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 4 ? 2016年12月の米国石油需要(確定値)は、前年同月比で1.9%程度増加の日量1,998万バレルとなりGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 5 ? i図8参照)、速報値(日量1,951万バレル、前年同月比0.4%程度の減少)から上方修正されている。ガソリン及び留出油需要が速報値から確定値に移行する段階で上方修正されたうえ前年同月比で増加となったことが寄与している。他方、2017年2月の米国石油需要(速報値)は、日量1,967万バレルと前年同月比で0.1%程度の減少となっている。ガソリン需要が前年同月比で減少した反面、留出油及びその他の石油製品の需要(日量370万バレル、前年同月比10.8%増加)が増加したことが、結果として前年同月比でほぼ変わらない需要となったことに繋がっている。ただ、その他の石油製品の需要(確定値)は2016年1~12月は日量318~367万バレルで推移しており、それらと比べて2月の需要(速報値)は高水準となっているように見受けられることもあり、また、当該需要は速報値から確定値に移行する段階でしばしば下方修正されているところからすると、今回もその他の石油製品の需要が確定値に移行する段階で下方修正されるとともに米国石油需要もその影響を受ける可能性があることが考えられる。他方、米国では製油所の稼働低下に伴い原油精製処理量が低迷した一方で米国外からの原油の流入が依然堅調であり、2017年1月以降実施されているOPEC及び一部非OPEC産油国の減産の影響はまだ米国には及んでいないようである。この結果原油在庫は増加傾向となり2月10日以降毎週のように1982年後半以降の同国週間原油在庫統計史上最高記録を更新した。3月10日時点での当該在庫は前週比で23.7万バレルの減少となり史上最高記録の更新は止まったが、依然史上最高水準近辺の量となっており(図9参照)、平年幅も超過している。そして、原油、ガソリン及び留出油の在庫量が平年幅を超過していることから、原油とガソリンを合計した在庫、そして原油、ガソリン及び留出油を合計した在庫は、いずれも平年幅を超過する状態となっている(図10及び11参照)。 ? 6 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 2017年2月末のOECD諸国推定石油在庫量の対前月末比での増減は、原油については、欧州では減少しているが、これについては、当該地域での製油所の稼働が維持された一方で、2017年1月1日より実施されているOPEC及び一部非OPEC産油国による減産方針に伴い欧州向け原油供給が削減されGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 7 ? スことが影響している可能性がある。また、日本においても若干ではあるが原油在庫は減少した。しかしながら、米国では原油在庫が相当程度増加したことから、OECD諸国全体として原油在庫は増加となり、平年幅上限を超過する状態は継続している(図12参照)。製品在庫については、米国では製油所の稼働の低迷もありガソリン、留出油そして暖房向け需要が発生していたLPGの在庫が減少したことにより、同国の石油製品在庫全体も減少した他、日本においても冬場の暖房向け需要の発生により灯油在庫が減少したことにより、同国の石油製品全体の在庫も減少した。他方、欧州では石油製品在庫は微増となった。結果としてOECD諸国全体としての石油製品在庫は減少となり平年幅上限付近に位置する量となっている(図13参照)。そして、原油在庫が平年幅上限を超過している一方、石油製品在庫が平年幅上限付近に位置する量となっていることから、原油と石油製品を合計した在庫は平年幅上限を超過する状態となっている(図14参照)。なお、2017年2月末時点でのOECD諸国推定石油在庫日数は65.5日と1月末の推定在庫日数(64.7日)から増加している。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 8 ? 2月15日に1,200万バレル後半の水準であったシンガポールでのガソリン等の軽質留分在庫量は、2月22日に1,300万バレル台前半の量へと増加した。その後、3月1日には1,200万バレル台後半へと減少したものの、3月8日には1,400万バレル弱の水準、3月15日には1,400万バレル台前半の量へと増加している。1月11日にUAEでアブダビ国営石油会社ADNOCの操業するRuwais製油所(原油精製処理能力日量84万バレル)のナフサ処理装置(処理能力日量3.4万バレル)で火災が発生したことにより当該製油所が操業を停止、1月20日に原油精製処理装置の操業を再開する旨明らかにされたものの、ガソリン製造装置(RFCC:流動接触分解装置)等一部装置は停止したままとなっていること(RFCCは操業再開が5~7月になる可能性があると見る向きもある)から、ADNOCが製油所での生産低下の穴埋めをするために国外でガソリン調達を行ったものの、その調達も一段落したことが当該在庫を増加させる一因となっている可能性があるものと考えられる。他方、アジア地域では3~5月を中心として製油所のメンテナンス作業シーズンとなることからガソリン等の石油製品供給低下に伴う需給の引き締まり感が市場で発生するとともに、ガソリン価格に上方圧力を加えやすい。しかしながら、米国や欧州ではガソリン在庫が高水準となっており、特に米国では2 月10日には1990年初以降の同国週間統計史上最高水準に到達したことが、アジアのガソリン市場にも影響を与えた結果、2月中旬から3月中旬にかけガソリンと原油の価格差(この場合ガソリン価格が原油のそれを上回っている)は縮小する傾向が見られた。 また、ナフサについては、冬場の暖房シーズンが終わりに接近しつつあることから、LPG需要低下と価格下落に伴い、石油化学産業においてLPGと原料で競合するナフサの需要が弱まるとの観測が市場で発生していることに加え、欧米諸国でガソリン在庫が既に高水準であることから、この先ガソリンに混入されるナフサの需要も低下するのではないかとの見方が市場で広がってきていることが、ナフサの価格に下方圧力を加えたことから、ナフサ価格は2月中旬にはそれなりの程度原油を上回っていたが、徐々にその価格差は縮小、3月に入ってからは原油価格がナフサ価格を上回る場面も見られている。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 9 ? 月15日には1,300万バレル台後半の量であったシンガポールの中間留分在庫は、2月22日には1,200万バレル台半ば程度、3月1日には1,200万バレル台後半の量へと減少した。また、3月8日には1,300万バレル強の水準へと増加したが、3月15日は1,300万バレル弱の量へと減少している。このように、在庫水準は上下に変動しているが、概ね一定の範囲内に収まっている。3月15日時点の在庫量は前年を若干下まわっているものの過去5年のこの時期の実績との比較では多い部類に入る。また、欧米で軽油在庫が高水準であることもあり、その分シンガポールに軽油が流入しやすくなるとの観測が市場で発生していることが一因となり、アジア市場での軽油価格が抑制された。しかしながら、アジア諸国ではこの先製油所がメンテナンス作業を実施するため、石油製品の生産が低下するとの観測が市場で根強いことが軽油価格を支持した結果、例えば、2月中旬から3月中旬にかけての軽油と原油の価格差(この場合軽油価格が原油のそれを上回っている)は一定の範囲内で推移した。 2月15日には2,400万バレル強の量であったシンガポールの重油在庫は、2月22日~3月1日には2,600万バレル半ば程度の量へ、そして3月8日には2,700万バレル台後半、3月15日には2,700万バレル弱の量と、総じて増加傾向となっている。秋場の欧州及びアジア地域の製油所のメンテナンス作業実施で重油供給が低下したことにより相対的に重油需要が旺盛なアジア市場と欧州市場との間で重油の価格差が拡大した結果、欧州方面からアジア地域に重油が流入する流れが継続していることが背景にあると見られる。このように重油需給の緩和感が市場で醸成されていることから、アジア市場での重油と原油との価格差(この場合重油の価格が原油のそれを下回っている)は拡大傾向を示している。 2017年2月中旬から3月中旬にかけての原油市場は、2016年11月30日に開催されたOPEC総会及び12月10日に開催されたOPEC及び一部非OPEC産油国による閣僚級会合で合意された減産につき、今後遵守率がさらに上昇すると予想している旨OPEC産油国関係者が明らかにしたことで、この先の世界石油需給の引き締まりに対する期待感が市場で増大したことが、原油相場に上昇圧力を加えた。しかしながら、2月のロシアの原油生産量が前月比で変わらない水準であった旨判明したことに加え、米国での石油坑井掘削装置稼働数が増加し続けている旨明らかになったことや、米国の原油在庫が増加した結果週間統計史上最高記録を更新したこと等を通じ、石油需給の引き締まりに関し懐疑的な見方が市場で発生したことや、米国金融当局による金利引き上げ観測が市場で増大したことによる米ドル上昇などの要因が原油相場に下方圧力を加えた。全体としては、原油価格は下落傾向となった(図15参. 2017年2月中旬から3月中旬にかけての原油市場等の状況 2Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 10 ? ニ)。 2月20日は、米国ワシントン大統領誕生記念日(President's Day)に伴う休日のため、NYMEXでの原油先物契約に関する通常取引は実施されなかった。ただ、2月21日には、この日バルキンドOPEC事務局長が、OPEC及び一部非OPEC産油国の原油減産遵守率が今後さらに上昇するとともに、2017年は石油在庫が減少すると予想している旨示唆したことで、この先の石油需給の引き締まり期待が市場で増大したことから、この日の原油価格は前週末終値比で1バレル当たり0.66ドル上昇し、終値は54.06ドルとなった(なお、この日を以てNYMEXの2017年3月渡しWTI原油先物契約取引は終了したが、4月渡し契約のこの日の終値は1バレル当り54.33ドル(前日終値比0.55ドルの上昇)であった)。2月22日には、翌23日に米国エネルギー省(EIA)から発表される予定である同国石油統計(2月17日の週分)で原油在庫が増加している旨判明するとの観測が市場で発生したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり53.59ドルと前日終値比で0.47ドル下落した。ただ、2月23日には、この日EIAから発表された同国石油統計で原油在庫が前週比で56万バレルの増加と市場の事前予想(同325~350万バレル程度の増加)ほど増加していなかった旨判明したことから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.86ドル上昇し、終値は54.45ドルとなった。2月24日には、この日米国石油サービス企業Baker Hughesから発表された同国石油坑井掘削装置稼働数が同日時点で602基と前週比で5基の増加(同国石油水平坑井掘削装置稼働数は同日時点で548基と同9基の増加)となっている旨判明したことで、この先米国での原油生産が増加するのではないかとの観測が市場で増大したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり53.99ドルと前日終値比で0.46ドル下落した。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 11 ? 月27日には、この日ロシアのノバク エネルギー相が当初の減産計画(3月末までに日量20万バレル、4~5月に日量30万バレルの減産を、それぞれ達成)から、会社の能力によっては減産ペースを加速し、4月に日量30万バレルの減産を達成する方向である旨示唆したことで、世界石油需給引き締まりに対する期待感が市場で増大したことが原油相場に上方圧力に加えた一方で、3月1日にEIAから発表される予定である同国石油統計(2月24日の週分)で原油在庫が増加している旨判明するとの観測が市場で発生したことが、原油相場に下方圧力を加えたことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり54.05ドルと前週末終値比で0.06ドルの上昇にとどまった。また、2月28日も、この日夜に実施が予定されている米国のトランプ大統領の演説を控えて持ち高調整が市場で発生したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり54.01ドルと前日終値比で0.04ドルの下落にとどまった。ただ、3月1日には、この日EIAから発表された同国石油統計で原油在庫が前週比で150万バレル増加した結果、1982年後半以降の同国週間原油在庫統計史上最高記録を更新したことで、石油需給緩和感を市場が意識したことから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.18ドル下落し、終値は53.83ドルとなった。また、3月2日も、3月1日にEIAから発表された同国石油統計で原油在庫が同国週間原油在庫統計史上最高記録を更新したことで、石油需給緩和感を市場が意識した流れを引き継いだうえ、ロシアの2月の原油生産量が日量1,111万バレルと1月から変わっていない旨3月1日に同国エネルギー省のデータが示していたことで、OPEC及び一部非OPEC産油国の減産遵守に関して懐疑的な見方が市場で発生したこと、3月2日に米国連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル理事が、根拠が揃いつつあることから、3月14~15日に開催される予定であるFOMCで金利引き上げが議論されることになるであろう旨発言したことで、同国金融当局が次回FOMCで金利引き上げを決定するのではないかとの観測が市場で増大したこともあり、米ドルが上昇したことにより、この日の原油価格の終値は1バレル当たり52.61ドルと前日終値比で1.22ドル下落した。この結果原油価格は3月1~2日の2日間で合計1バレル当たり1.40ドル下落した。しかしながら、3月3日には、この日午後にリビアのEs Sider石油ターミナルが武装勢力により占拠された旨報じられたこと(後述)で、同国の石油供給途絶懸念が市場で増大したことに加え、これまでの米ドル上昇に対する利益確定の動きが市場で発生したことにより、米ドルが下落したことから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.16ドル上昇し、終値は52.77ドルとなった。 ただ、3月3日にBaker Hughesから発表された同国石油坑井掘削装置稼働数が同日時点で609基と前週比で7基の増加(同国石油水平坑井掘削装置稼働数は同日時点で553基と同5基の増加)となっている旨判明したことで、この先米国での原油生産が増加するのではないかとの観測が市場で増大したGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 12 ? ャれが3月6日の市場に引き継がれたことに加え、3月5日に開会された第12期中国全国人民代表大会(全人代)第5回会議で、2017年の同国の経済成長率目標を前年比で6.5%前後と2016年実績の同6.7%から引き下げる旨示唆したことで、同国の石油需要の伸びの減速に関する懸念が市場で発生したこと、3月6日に国際エネルギー機関(IEA)から発表された「マーケットレポートシリーズ 石油2017年版」(Market Report Series Oil 2017)で、原油価格が1バレル当たり60ドルであれば、米国のシェールオイル生産能力は2022年にかけ日量140万バレルの増加、80ドルであれば同300万バレル程度の増加となるであろうとの見解を示した他、欧州での石油需要が鈍化しつつある旨IEAが指摘したことで、この日の原油価格の終値は1バレル当たり53.20ドルと前週末終値比で0.13ドル下落した。3月7日には、この日サウジアラビアのファリハ エネルギー産業鉱物資源相が、世界の石油需給は改善しつつある旨の見解を示したことで、石油需給引き締まり感を市場が意識したことが、原油価格に上方圧力を加えた反面、同じく3月7日にEIAから発表された短期エネルギー見通し(STEO:Short-Term Energy Outlook)で、EIAが2017年の米国原油生産見通しを日量921万バレルと、2月7日に発表された前回予想である同898万バレルから上方修正したことが、原油価格に下方圧力を加えたことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり53.14ドルと前日終値比で0.06ドルの下落にとどまった。3月8日には、この日EIAから発表された同国石油統計(3月3日の週分)で原油在庫が前週比で821万バレルの増加と市場の事前予想(同160~200万バレル程度の増加)を上回ったことに加え、3月8日に米国企業向け給与計算サービス会社オートマチック・データ・プロセッシング(ADP)から発表された2月の同国民間雇用者数が前月比で29.8万人の増加と2014年4月(この時は同33.1万人の増加)以来の高水準となった他市場の事前予想(同18.7~19.0万人程度の増加)を上回ったことから、米ドルが上昇したことにより、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり2.86ドル下落し、終値は50.28ドルとなった。また、3月9日も、3月8日にEIAから発表された同国石油統計で原油在庫の増加が市場の事前予想を上回った流れを引き継いだことで、この日の原油価格の終値は1バレル当たり49.28ドルと前日終値比で1.00ドル下落した。3月10日も、3月8日にEIAから発表された同国石油統計で原油在庫の増加が市場の事前予想を上回った流れを引き継いだうえ、3月10日にBaker Hughesから発表された同国石油坑井掘削装置稼働数が同日時点で617基と前週比で8基の増加(同国石油水平坑井掘削装置稼働数は同日時点で555基と同2基の増加)となっている旨判明したことで、この先米国での原油生産が増加するのではないかとの観測が市場で増大したことにより、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.79ドル下落し、終値は48.49ドルとなった。この結果原油価格は3月8~10日の3日間で合計1バレル当たり4.65ドル下落しGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 13 ? ス。 3月13日には、翌14日に発行が予定されているOPEC月刊オイル・マーケット・レポートでの2月のOPEC産油国原油生産量統計の発表を控えて市場が様子見となったため、この日の原油価格の終値は1バレル当たり48.40ドルと前週末終値比で0.09ドル下落にとどまった。そして、3月14日には、この日OPECから発表された月刊オイル・マーケット・レポートで、2017年1月のOECD諸国石油在庫が前月比で増加を示した旨報告された他、サウジアラビアが2月の原油生産量を日量1,001.1万バレルと1月の同974.8万バレルから増加させたと報告した旨明らかになったことから、世界石油需給の緩和感を市場が意識したことにより、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.68ドル下落し、終値は47.72ドルとなった。しかしながら、3月15日には、この日IEAから発表されたオイル・マーケット・レポートで、OPEC産油国による現状の原油生産水準が6月末まで維持されれば2017年前半は日量50万バレル分の在庫取り崩しになる旨IEAが示唆したことで、この先の世界石油需給の引き締まりを市場が意識したことに加え、同じく3月15日にEIAから発表された同国石油統計(3月10日の週分)で原油在庫が前週比で24万バレルの減少と市場の事前予想(同313~370万バレル程度の増加)に反し減少している旨判明したこと、3月14~15日に開催されたFOMCで0.25%の政策金利引き上げが決定されたものの、委員による今後の政策金利引き上げ回数に関する見通しが、2017年が残り2回、2018年が3回と、2016年12月13~14日に開催されたFOMCの際に示された見通しから変化がなく、また委員会終了後の記者会見でFRBのイエレン議長がこの先金利引き上げを加速する意向はない旨示唆したことから、米ドルが下落したことにより、この日の原油価格の終値は1バレル当たり48.86ドルと前日終値比で1.14ドル上昇した。ただ、3月16日には、3月15日の原油価格上昇に対して利益確定の動きが市場で発生したこともあり、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.11ドル下落し、終値は48.75ドルとなった。また、3月16日にサウジアラビアのファリハ エネルギー産業鉱物資源相が、石油在庫水準が過去5年平均を大幅に超過するようであれば、OPEC及び一部非OPEC産油国による6ヶ月間の減産を延長する旨示唆したことで、世界石油需給の引き締まり感を市場が意識したことが3月17日の原油相場に上方圧力を加えた一方で、3月17日にロシアのノバク エネルギー相が、現時点でOPEC及び一部非OPEC産油国による減産の延長を協議するのは時期尚早であり、当該協議は4月末か5月半ばに実施されるべきである旨発言したことで、世界石油需給引き締めのための一部産油国の減産方策に対する失望感が市場で醸成されたことに加え、3月17日にBaker Hughesから発表された同国石油坑井掘削装置稼働数が同日時点で631基と前週比で14基の増加(同国石油水平坑井掘削装置稼働数は同日時点Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 14 ? ナ569基と同14基の増加)となっている旨判明したことで、この先米国での原油生産が増加するのではないかとの観測が市場で増大したことが、原油相場に下方圧力を加えた結果、この日(3月17日)の原油価格の終値は1バレル当たり48.78ドルと前日終値比で0.03ドルの上昇にとどまった。 イエメンでは、3月2~3日に米国軍がアルカイダの流れをくむ武装勢力を標的として30回以上の空爆を実施したと3月3日に米国国防省が発表した(また、3月6日までに40回以上の空爆を行ったと3月6日に伝えられる)。他方、3月7日には、マレーシア当局が、2月21日~26に同国を訪問したサルマン国王の一団を襲撃することを計画していたとして、イエメン人4名を逮捕している。 ウクライナについては、2月18日に、ペンス米国副大統領が、安全保障会議(於ミュンヘン)で、ロシアはウクライナ停戦合意を遵守すべきである旨発言、ロシアのラブロフ外相はウクライナ停戦は国内問題であると反論した。また、同日ウクライナ、ロシア、ドイツ、フランス間での外相会談の結果、2月20日からウクライナ政府と親ロシア派勢力との間で戦闘地域からの軍事関連資機材の撤収を実施することで合意したものの、同日プーチン大統領はウクライナの親ロシア派勢力が査証なしでロシアに渡航できる措置を実施すると発表、ウクライナ政府側はこれを停戦合意に反すると非難したが、ロシア側は停戦合意に反していない旨反論している。また、停戦を行っているとされる前線において、停戦合意に違反するとされる重火器類が準備され、実際に攻撃のために使用されている旨停戦状況を監視している欧州安全保障会議(OSCE)が明らかにしたと3月9日に報じられている。 イラクのアバディ首相は、2月19日に、イスラム国(IS)が支配するモスル西部の支配権の回復のための作戦を開始する旨宣言、2月23日には、モスル南部の空港の支配権を奪還した旨報じられる。また、2月24日に、イラクは同国国境に近いシリアでのISの拠点に対し越境して空爆を実施した旨発表。さらに、サウジアラビアのジュベイル外相が2月25日にバグダッドを訪問し(2003年以来14年ぶりとされる)、ISに対する戦略を含め両国間の関係を強化する方策につき協議を実施した。3月7日にはモスル西部においてイラク軍が政府関係の建物を制圧、3月12日には、イラク政府軍がモスルの西部の3分の1を掌握した旨明らかにされている。ただ、他方で3月8日には同国北部のティクリート郊外で爆弾テロ事件が発生し20名以上が死亡したと伝えられるなど、依然情勢が不安定な部分もある。 イランでは、2月20日に同国東部と北東部で新型ロケット砲の試射を含む大規模軍事演習を実施する旨革命防衛隊幹部が2月18日に明らかにした。また、イラン海軍は2月26日にホルムズ海峡付近で大Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 15 ? . 今後の見通し等 3K模軍事演習を実施し最新型のミサイルの試験発射を行った旨報じられている。イランは3月4日にもロシア製地対空ミサイルの発射実験を実施した他、3月9日にも短距離ミサイルの発射実験を行っている。また、3月6日にトランプ大統領が署名したイランを含む中東・アフリカ6ヶ国の一般市民の入国禁止に関する大統領令に関し、3月7日にイラン外務省は対抗措置を実施する方針である旨明らかにしている。他方、5月19日に実施される予定であるイランの大統領選に、アフマディネジャド前大統領時代の副大統領であるバガイ氏が立候補することを2月18日に表明したが、ロウハニ大統領も出馬する意向を固めた旨2月26日に報じられる。また、2016年に中止となったイランのメッカ(サウジアラビア)巡礼につき、2017年は再開する旨3月17日にサウジアラビア巡礼省が発表している。 リビアでは、それまでリビア国民軍(LNA:Libyan National Army)が管理していたEs Sider とRas Lanufの両石油ターミナルを、敵対する武装勢力であるベンガジ防衛旅団(BDB: Benghazi Defense Brigades)が3月3日占拠、これに対し3月5日には、リビア国民軍が空爆を実施するなどの戦闘状態になった。この影響で、当該ターミナルに原油を供給する油田では原油生産が削減された。また、Es Siderに向かっていた原油タンカーは進路を変更し、西部のZawiyaターミナルに向かう見通しであると3月9日に伝えられる。ただ、3月14日にはリビア国民軍がベンガジ防衛旅団から両ターミナルの支配権を奪還した。 シリアについては、ティラーソン米国国務長官は、反体制派をテロリストとみなす限りは同国においてロシアとの軍事的な協力は実施しない旨発言した。2月23日には、ジュネーブでアサド政権側と反体制側との和平協議が再開した(当該協議は2016年4月28日に中断していた)が、特段の成果もなく3月3日に終了した。これについては、3月23日に協議を再開する予定であると3月8日にデミストゥラ国連特使が発表している。また、3月6日には、欧州連合(EU)のモゲリーニ外交安全保障上級代表が、4月5日にシリアを支援するための国際会議を国連に加え、英国、ドイツ等5ヶ国と共同で開催する旨発表している。そのような中、米国軍はシリアに対してIS掃討の目的で海兵隊を含め400名程度の部隊を派遣した旨3月9日に報じられている。これによりシリアに派遣される米国軍関係者は約900名程度となると見られる他、トランプ政権はシリア及びイラクに対する米国軍関係者派遣上限(約5,000人)を撤廃することを検討している旨3月15日に報じられる。 地政学的リスク要因面では、それぞれの国でそれなりの動きがあるが、当面石油市場に直結するような注目点はナイジェリアとリビアであろう。リビアについては、2016年9月11日に、同国東部を拠点とするハフタル将軍を支援する武装勢力であるリビア国民軍が同国の主要石油ターミナルであるEs Sider(原油出荷能力日量34万バレル)及びRas Lanuf(同22万バレル)を占拠したうえで、9月14日にリビア国営Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 16 ? ホ油会社NOCに引き渡した。これにより、リビア国民軍の管理下の下、それまで操業を停止していた両石油ターミナルは原油の出荷を再開するとともに、同国の原油生産量も2016年8月の日量28万バレルから2017年2月20日には同72万バレルへと増加した旨NOCは明らかにしていた。しかしながら、3月3日に、リビア国民軍と敵対する武装勢力であるベンガジ防衛旅団が両石油ターミナルを占拠した影響で、3月9日にNOCは同国の原油生産量が日量62万バレルへと減少した旨明らかにしている。もっとも、前述の通り、3月14日にはリビア国民軍がベンガジ防衛旅団から両石油ターミナルの支配権を奪還している。このように、リビアでは原油生産量は増加基調にはあるものの、武装勢力間の戦闘に巻き込まれる場合もあり、その道程は紆余曲折を経る可能性がある。3月15日には、リビア全土を支配するNOCが本部を東部のベンガジに移さないことを不服として、東部を管轄するNOCが統一組織から離脱する方針である旨、同国東部トブルクを拠点とする暫定議会が明らかにしている。また、3月12日には、国連が支持する統一政府がトリポリにおいて敵対する武装勢力の拠点を攻撃し征服するなど、情勢は依然不安定である。同国の原油生産量が順調に回復すれば、OPEC産油国等による減産効果を低減させる一因となるが、反対にしばしば石油ターミナルの支配権を巡り武装勢力間での衝突が発生する結果当該ターミナルからの原油出荷に支障が生じるようであれば、原油の生産も伸び悩む(展開によっては減少する)ことになるため、OPEC産油国等による減産の効果を増幅する方向で作用することも考えられる。ナイジェリアにおいては、武装勢力の活動が活発化したという情報は最近では聞かれないが、かといって完全に停戦状態にあるとも言い切れないことで、リビア同様世界石油需給バランスに影響を及ぼし得ることから、同国の原油関連インフラ稼働状況を含め原油生産を巡る情勢については注意する必要があろう(因みに2016年2月21日の武装勢力による爆破以降、ほぼ操業を停止しているTrans Forcadosパイプライン(原油輸送能力日量20万バレル超)については、2017年第二四半期末までには操業を再開する予定である旨ナイジェリア石油会社Seplatが明らかにしている)。 米国では、3月14~15日に開催されたFOMCで、政策金利の0.25%の引き上げが決定した。ただ、FOMC委員及びイエレンFRB議長からは今後金利引き上げペースを加速する意向は示唆されていないことから、この面では米ドルにさらに継続的に上方圧力が加わるといった展開とはなりにくいと考えられる。しかしながら、金利引き上げ方針自体は従来通り変更はないため、この面では米ドルが継続的に下落しにくい状態になるものと考えられる。このようなことから、米国経済指標類等はその内容によって、米ドルの変動を通じて原油相場に影響を及ぼすことはありうるが、日々の変動の類となる結果、この面で原油相場に上方及び下落の傾向を創出するまでには至らないものと考えられる。しかしながら、欧州のGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 17 ? o済指標類等を含めた政治経済情勢によっては(特に、4~5月にはフランスで大統領選挙が予定されている)、ユーロが変動する結果、米ドルを通じて原油相場に影響が及ぶ可能性がある。なお、4月13日朝にはJPモルガン・チェースから、2017年第一四半期の業績が発表される予定であるので、その内容によっては米国株式相場を通じる等することで、原油相場にその影響が織り込まれることになる場面が見られうる。 米国では、春場の製油所メンテナンス作業が峠を越え始めるとともに、夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期(2017年は5月27日(メモリアル・デーに伴う連休初日)~9月4日(レイバー・デーに伴う連休最終日)である)到来を控え、稼働を上昇させるとともに原油精製処理量を増加、それに向け原油の購入を活発化していくと見られることから、季節的な需給の引き締まり感が市場で醸成されると考えられる。このため、この面で原油相場には上方圧力が加わるものと考えられる。 他方、11月30日に開催されたOPEC総会で合意したOPEC産油国による減産状況であるが、2月の原油生産量については、原油生産目標を設定されている11ヶ国全体では日量128.6万バレルと減産目標(同116.4万バレル)を超過している(遵守率110.5%)が、実際減産を完全に遵守しているのは、サウジアラビア(減産目標日量48.6万バレルのところ同74.7万バレル、遵守率153.7%)及びアンゴラ(同7.8万バレルのところ同11.0万バレル、遵守率141.0%)となっており、残りの加盟国(減産目標のないナイジェリア及びリビアを除く)については減産目標を下回っている状態にある他、イランについても増産枠は日量9.0万バレルであったところ、2月の生産量は同10.7万バレルと当該枠を超過している(表1参照)。また、非OPEC産油国の減産遵守率は35.8%となっている(表2参照)。このように、全体として減産は遵守できてはいるものの、各産油国の遵守状況はまだら模様となっている他、一部産油国を除き総じて減産は緩やかな形で進んでいるという状況もあり、サウジアラビアのファリハ エネルギー産業鉱物資源相は、「OPECは(減産に)ただ乗りする者の負担を負うつもりはない」旨明らかにするなど、減産遵守の進捗具合に対し苛立ちを見せているともとれるような姿勢を見せるといった様相を呈している。この警告は、米国といった非OPEC産油国のみならず、事実上、減産を実施することになっているOPEC産油国やロシアをはじめとする減産を実施している非OPEC産油国にも向けられていると考えられる。従って、このまま、減産の完全遵守がサウジアラビア等少数にとどまるようだと、サウジアラビアとしても対抗策を検討し始める可能性があるので、今後のOPEC産油国等の遵守状況については注意する必要があろう。また、前述の通りリビア及びナイジェリアの原油生産を巡る状況も石油需給に影響を与えうる。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 18 ? 他方、OPEC産油国の減産実施に関連する動き伴う原油価格の上昇により、米国での掘削装置の稼働数の上昇とともにシェールオイル生産が2016年12月の推定日量412万バレルを底として回復する兆しを見せている。EIAのデータをもとに推定すると2017年4月には日量435万バレルと2016年3月(この時は同437万バレル)以来の水準にまで到達すると見られる。また、シェールオイルを含めた米国での原油生産量はここ数ヶ月間上方修正されており(図16参照)、このような上方修正が今後も継続するようであれば(そしてその可能性はそれなりにあると考えられる)、市場関係者間でもOPEC産油国等によGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 19 ? (単位:日量1,000バレル)2016年10月原油生産量①基準原油生産量(推定)?原油生産目標(2017年1月1日以降)③減産幅(③-?)④2017年2月原油生産量⑤減産幅(⑤-③)⑥減産遵守率(⑥/⑤)(%)アルジェリア1,0911,0891,039△ 501,053△ 3672.0アンゴラ1,4981,7511,673△ 781,641△ 110141.0エクアドル543548522△ 26526△ 2284.6ガボン203202193△ 9194△ 888.9イラン3,7093,7073,797903,814107-イラク4,5714,5614,351△ 2104,414△ 14770.0クウェート2,8482,8382,707△ 1312,709△ 12998.5カタール645648618△ 30622△ 2686.7サウジアラビア10,56610,54410,058△ 4869,797△ 747153.7UAE3,0683,0132,874△ 1392,925△ 8863.3ベネズエラ2,0722,0671,972△ 951,987△ 8084.2小計30,81430,96829,804△ 1,16429,682△ 1,286110.5リビア528---669--ナイジェリア1,615---1,608--合計32,957---31,959--(出所:OPEC他より推定)表1 OPEC産油国原油減産状況(単位:日量1,000バレル)減産目標①2016年10月原油生産量②2017年2月原油生産量③減産実績(③-②)④減産遵守率(④/①)(%)ロシア30011,22911,108△ 12140.3メキシコ1002,1032,006△ 9797.0オマーン451,012965△ 47104.4アゼルバイジャン35814786△ 2880.0カザフスタン201,6401,71878△ 390.0マレーシア2063866729△ 145.0赤道ギニア12234229△ 541.7バーレーン10197193△ 440.0南スーダン810412824△ 300.0スーダン47672△ 4100.0ブルネイ4125100△ 25625.0合計55818,17217,972△ 20035.8(出所:IEA他データをもとに推定)表2 非OPEC産油国原油減産状況骭ク産の効果が削がれるとともに、世界石油需給緩和感が市場で醸成され、原油相場の上昇を抑制することになろう。また、同国の石油水平坑井掘削装置の稼働数についても増加傾向が続いており、今後もそのような傾向が継続するようだと(そしてその可能性もそれなりにあると考えられる)、将来の米国での原油生産増加観測が市場で強まる結果、原油相場に下方圧力を加えてくると考えられる。 全体としては、米国経済指標類等は、原油相場に対して攪乱的に変動させるような影響を与えるものの、上昇もしくは下落の傾向を形成するには至らないものと考えられる。他方、地政学的リスク要因面では、リビアとナイジェリアの情勢が気になるところであり、OPEC及び一部非OPEC産油国による減産遵守状況を含め、石油市場関係者の心理を通じて原油相場に影響を与える可能性がある。また、これから夏場のガソリン需要期が市場で意識される結果、この面では原油相場が下支えされるであろう。しかしながら、米国で石油坑井掘削装置稼働数が増加するとともに、シェールオイルを含めた原油生産量が増加するとの観測が市場で発生しやすいことが原油相場の上昇を抑制するであろう。結果としては、引き続き2016年11月~2017年1月に、主な市場関係者により、2035~40年にかけての世界長期エネルギー展望の類が発表された。そこで、ここでは、それらを総合することにより、石油を含むエネルギー市場についての関係者間での長期的展望に対する認識に関する大きな流れにつき触れることとしたい。ここで考慮する長期エネルギー展望資料類はIEA(WEO2016: World Energy Outlook 2016(2016年11月16日発表))、OPEC(WOO2016: World Oil Outlook 2016(2016年11月8日発表))、ExxonMobil(2017 Outlook for Energy: A View to 2040 (2016年12月16日発表))、BP(BP Energy Outlook(2017年1月25日発表))といった、各機関発表のものとする。これらの展望類につき考察を加えるとともに、適宜前回Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 20 ? 原油相場は当面比較的限られた範囲内で推移すると考えられる。 . 長期石油市場等に対する市場関係者の考え方 4ュ表された同様の展望類と比較することにしたい。なお、機関によっては、必ずしも統計数値が明示されていない場合があるので、その場合は当方で推定することとした。また、予測期間であるが、特に明記しない限り、IEA及びOPECが2014~40年、ExxonMobilが2015~40年、BPが2015~35年とする。そして「前回」の見通しは、IEAがWEO2015(World Energy Outlook 2015)(2015年11月10日発表))、OPECがWOO2015(World Oil Outlook 2015(2015年12月23日発表))、ExxonMobilがThe Outlook for Energy: A View to 2040 (2016年1月21日発表)、BPがBP Energy Outlook 2035(2016年2月10日発表)を指す。 まず、世界の一次エネルギー需要の伸び率であるが、IEAが年率1.0%の増加、OPECが同1.3%の増加、ExxonMobilが0.9%の増加、BPが1.3%の増加となっている(図17参照)。このように世界の一次エネルギー増加率は年率0.9~1.3%の範囲内となっており、IEA及びExxonMobilは前回の見通しとほぼ同様の伸び率となっているが、OPEC及びBPは前回の見通し(OPECが年率1.5%、BPが同1.4%)から下方修正されている。多くの機関で石炭の需要の伸びを下方修正している(但しExxonMobilは年率0.2%の減少から同0.1%の減少へと上方修正)(図18参照)が、これは、地球環境問題を含む環境問題対策により、利用されるエネルギー源がより迅速に石炭から天然ガス、原子力発電、そして再生可能エネルギー等他のエネルギーへと転換していくと考えていることによる。ただ、一方で、OPECとBPは天然ガス需要見通しも併せて相当程度下方修正している(OPECが年率2.4%の伸びから同2.1%の伸びへと下方修正、BPが同1.8%から同1.6%へと下方修正)(図19参照)。OPECについては、前回が年率2.4%の伸びとかなり高水準であったうえ、例えば足元の基準となる2014年の世界の天然ガス需要が前年比で0.5%の伸びと前回の見通しの際に基準となった2013年の前年比伸び率(同1.8%)から急速に鈍化したことを考慮した可能性がある(因みに2014年の天然ガスの伸びの鈍化は欧州での天然ガス需要の減少が影響しているが、これは気温の変動による冷暖房向け需要に伴うものが一因と考えられる)。他方BPは世界の一次エネルギー需要の伸びの下方修正につき、経済が当初予想よりも大きく減速していることから世界経済展望を前回から下方修正したことによるものとしている他、コスト低下に対する展望の修正により、再生可能エネルギー需要が上方修正された分、天然ガス(及び石炭)需要の増加を下方修正したと説明している。他方、IEA、OPEC、ExxonMobil及びBPいずれも長期的には天然ガス需要が石炭需要を追い越すと見ている(図20参照)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 21 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 22 ? }20 世界一次エネルギー源別シェア見通し(BP) *:Renewablesは風力、太陽光、地熱、バイオマス、バイオ燃料を含む 出所:BP 石油の需要の伸びについては、BPが年率0.7%の増加と前回の見通し(年率0.9%の増加)から下方修正しているが、これも世界経済見通しの下方修正に伴うものと考えられる(図21参照)。他方、IEA、OPEC、及びExxonMobilについては、前回の見通しからの修正は見られない(IEAが年率0.4%の伸び、OPEC及びExxonMobilが同0.7%の伸び)。石油需要は他のエネルギー源による代替が効きにくい輸送部門(自動車、航空機、及び船舶)や石油化学部門を中心として伸びていく、としている。また、OECD諸国では、この先需要は減少していく(当該地域では石油需要の伸びは航空部門と石油化学に限定されるとIEAは指摘している)一方で、インドをはじめとして中国等非OECD諸国では多数の国民が中産階級入りするとともに自動車等の利用が増大することから、燃費効率の改善や非石油系燃料を使用する自動車の導入等により、伸びは鈍化していくとは見られるものの、石油需要自体は増加していくと考えられている。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 23 ? 石油供給については、シェールオイル生産の見通しが注目されるところである。IEAは前回見通し時にはシェールオイルは2030年に日量550万バレルで頭打ちになり、以降減退に向かう旨示唆されていた。しかしながら、今回の見通し時には2035年に日量750万バレルで頭打ちになり、以降減退に向かう旨示唆されており、事実上の上方修正がなされている(図22参照)。また、OPECについても、前回の見通し時には2030年に日量561万バレルで頭打ちとなり以降減退していくと見込んでいたのに対し、今回の見通しでは、頭打ちになる時期は2030年と同様であるが、その量は同673万バレルと上方修正されている。なお、OPECによれば、世界のシェールオイル生産のうち、2040年にかけては米国シェールオイルの生産が大部分を占めるが(他はカナダ、ロシア、アルゼンチンである)、同国での生産は2030年に日量581万バレルで頭打ちになると見ており、これは前回見通し時(2025年に同489万バレルで頭打ち)から上方修正されている。このようなことから、長期的に見れば、OPECによる非OPEC産油国の石油供給見通しは前回見通し時から上方修正されている。また、ExxonMobilについては、推定ではあるが、前回の見通しの際にはシェールオイル生産は2040年の日量1,100万バレル程度の水準に向け増加傾向を示していたが、今回の見通しでは同様に増加傾向を示すものの2040年の生産水準は日量1,400万バレル強程度の水準へと増加していくと見受けられるなど、上方修正されている旨示されている。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 24 ? 他方、他の非OPEC産油国の石油生産量に関しては各機関で見解が分かれている。ロシアについては、OPECは2015年の日量1,080万バレルが概ねこの水準でこの先も推移し2040年も日量1,080万バレルとなっている他、BPは2015年の日量1,100万バレルが2040年には同1,220万バレルへと増加すると見込んでいる。他方、IEAは、新規油田等の開発によっても既存油田の生産減退を補うには不十分である結果、2015年の日量1,110万バレルが2040年には同850万バレルへと減退すると見ている。カナダについては、オイルサンド由来の原油の増産もあり、IEA、OPECともに2015年の日量440万バレルが増加を続け2040年には日量610~630万バレルに到達すると見込んでいる。ブラジルについても、IEA、OPEC、及びBPともに、深海油田の開発が進む結果、2015年の日量250~260万バレルの石油生産量からは増加傾向を示すと見られる(因みにIEAは2040年で日量510万バレル、BPは2035年に同440万バレルになると見ている)ものの、OPECについては、当該生産量は2025~2030年に日量410万バレルで頭打ちになり、2040年には同390万バレルへと減少すると考えている。非OPEC産油国のNGLについては、IEAは2015年の日量900万バレルが2040年には同1,090万バレルになると見込んでおり(但し2035年の同1,110万バレルで頭打ちの後減退)、ExxonMobilは2015年の日量1,000万バレル程度(推定)が2040年には同1,400万バレル(同)へと増加すると考えている。また、ExxonMobilは今後深海での石油生産が増加、2015年の日量推定600万バレル程度が2040年には同推定900万バレル程度に到達すると見ている。 このように、米国のシェールオイル等一部石油関連資源の供給は伸びるものの、非OPEC産油国全体としては世界の石油需要の伸び以上の伸びを示すとは予想されておらず、この結果、長期的にみると世界石油供給に占めるOPEC産油国の比率は、ペースの差はあるものの、2040年に向け上昇傾向を示Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 25 ? キと各機関は考えている(図23参照)。 天然ガス需要については、中国、インドをはじめとした非OECD諸国を中心として、発電及び産業部門等で伸びていくと見られている(図24参照)。これに対し供給については、IEAのように、2020年前後までは多くのLNGプロジェクトが進行中である豪州やシェールガスの生産が伸びてきた米国が中心となるが、それ以降は東アフリカを含め供給源が多様化するとの指摘もある。ExxonMobilは2040年には世界の天然ガス総供給(日量推定約4,900億立方フィート)の3分の1程度は非在来型ガスによるものと見ている。また、供給源の多様化に伴い遠距離、そして海を隔てた天然ガス輸送がより行われるようになることから、2040年はLNGによる天然ガス貿易が2015年比で2.5倍超とExxonMobilは考えている他、IEAも天然ガス貿易増加量の70%はLNGであり、従って地域間の天然ガス貿易に占めるLNGの割合が2014年の42%から2040年には53%へと増加するとしている。LNGの主な輸出地域は米国、豪州、アフリカ(東アフリカ)等になり(図25及び26参照)、LNGの主な輸入地域はアジア太平洋及び欧州になる旨ExxonMobil及びBPは示唆している(図27参照)。また、IEA及びBPはこのようなLNG貿易の活発化により、現在は地域市場が併存している形となっている世界天然ガス市場が統合に向かう旨指摘している。IEAは世界天然ガス市場において、より天然ガス需給バランスが価格を決定するようになると見ている他、BPは、米国の天然ガス価格が世界天然ガス市場に影響を与えていく可能性がある旨の見解を示している。他方、IEAは現在のLNGの供給過剰は2020年台半ばまでには消滅するので、安定した市場を持続していくためには時宜を得たインフラ投資が必要になると指摘している。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 26 ? }24 世界部門別天然ガス需要見通し(BP) 出所:BP 図25 LNG供給見通し(ExxonMobil) 出所:ExxonMobil Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 27 ? }26 LNG供給見通し(BP) 出所:BP 図27 LNG需要見通し(BP) 出所:BP Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 28 ? |
| 地域1 | グローバル |
| 国1 | |
| 地域2 | |
| 国2 | |
| 地域3 | |
| 国3 | |
| 地域4 | |
| 国4 | |
| 地域5 | |
| 国5 | |
| 地域6 | |
| 国6 | |
| 地域7 | |
| 国7 | |
| 地域8 | |
| 国8 | |
| 地域9 | |
| 国9 | |
| 地域10 | |
| 国10 | 国・地域 | グローバル |
Global Disclaimer(免責事項)
このウェブサイトに掲載されている情報は、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(以下「機構」)が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性、完全性、又は適時性を保証するものではありません。また、本資料の内容は、参考資料として提供されるものであり、法的、専門的、又は投資に関する助言を構成するものではありません。したがって、本資料の利用により生じた損失又は損害について、機構は一切の責任を負いません。本資料の内容は、第三者に対する権利又はライセンスの付与を意味するものではありません。本資料に記載された見解や意見は、著者の個人的な見解であり、必ずしも機構の公式見解、政策、決定を反映するものではありません。本資料には第三者の著作物が含まれる場合があります。機構又は各著作権者の事前の書面による承諾なしに、本資料の全部又は一部を無断で複製、頒付、又は引用することは固く禁じられています。私的利用、教育利用、引用など、日本国の著作権法に基づき利用できる範囲を超えて本資料を利用する場合は、機構又は関連する著作権者からの事前の承諾が必要です。
※Copyright (C) Japan Organization for Metals and Energy Security All Rights Reserved.
PDFダウンロード2.2MB
本レポートはPDFファイルでのご提供となります。
上記リンクより閲覧・ダウンロードができます。
アンケートの送信
送信しますか?
送信しています。
送信完了しました。
送信できませんでした、入力したデータを確認の上再度お試しください。


