中国:サウジアラビアとの新たなエネルギーパートナーシップ
| レポートID | 1004705 |
|---|---|
| 作成日 | 2017-04-17 01:00:00 +0900 |
| 更新日 | 2018-02-16 10:50:18 +0900 |
| 公開フラグ | 1 |
| 媒体 | 石油・天然ガス資源情報 1 |
| 分野 | 企業基礎情報 |
| 著者 | 竹原 美佳 |
| 著者直接入力 | |
| 年度 | 2017 |
| Vol | 0 |
| No | 0 |
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| 抽出データ | 中国:サウジアラビアとの新たなエネルギーパートナーシップ 更新日:2017/4/17 調査部:竹原 美佳 ? 2017年3月、サウジアラビアのサルマン国王は習近平国家主席の招待に応じ、中国を公式訪問した。両国はエネルギー協力関係を双方向で強化・深化することについて合意した。エネルギー協力における主な合意事項は原油供給、精製・石化、サウジアラビアの都市・産業基盤整備への協力、原子力に関する協力である。この他AramcoのIPOへの投資について提案があった。 ? 中国とサウジアラビアの石油分野における協力は、1999年11月の江沢民国家主席のサウジアラビア訪問以降進展している。江主席とファハド国王は石油分野の協力覚書に調印し、同国からの原油輸入が拡大した。また両国における精製・石化事業のジョイントベンチャー(JV)も進展している。 ? 今回のエネルギー協力合意は、従来の国営(国有)石油企業間の原油供給、精製・石化事業のJVに加え、Aramcoと中国軍需企業傘下の精製企業(ティーポット)との事業提携やAramcoのIPOへの提案など新たなパートナーシップにつながる動きがある。 ? 中国の大手国有石油企業は現有の製油所の高度化と稼働率を維持することを優先しており、製油所新設のポテンシャルは高くはない。しかし習政権は国有企業改革により非国有石油企業の投資拡大を奨励、ティーポットは同政策に沿って精製処理能力増強を進めている。Aramcoとこれら非国有石油企業の提携はアジアで精製・石化プラントへの投資拡大と原油供給先確保を進めるサウジアラビアの戦略に合致していると思われる。 ? また、CNPC がAramcoのIPOに投資を行う場合、傘下のサービス・エンジニアリング企業のサウジアラビア市場への参画や対露バーゲニングが期待できると思われる。 ? 近年、サウジアラビアの中国向けの原油供給シェアは低下している。特に2016年はティーポットが近隣で小回りの利くロシアからの調達を拡大したことで、サウジアラビアはロシアに対中原油供給首位の座を明け渡した。さらに足元では減産合意に基づき中国への供給を削減する可能性がある。中国側にも米国産原油の調達を増加する動きがある。 ? しかしサウジアラビアは長期的視野に立ち対中投資、マーケティングを展開しているように見える。また中国はサウジアラビアを重要な原油供給相手国に加え一帯一路沿線国の成長市場と見なしており、同国の対外投資戦略である設備、技術、サービスの投資を拡大しようとしているように見える。 ? 消費国と産油国の両横綱である中国とサウジアラビアのエネルギー協力関係は今回の国王訪中を機に新たなステージに向かう可能性がある。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 1 ? ヘじめに.~サウジアラビア国王のアジア歴訪最終地中国でエネルギー他の協力について合意~ サルマン・サウジアアラビア国王は2017年3月15日から18日にかけて中国を訪問した。両国の共同声明によると習近平国家主席の2016年1月のサウジアラビア訪問時の招待に応じたとあるが、実際は2月26日のマレーシア訪問を皮切りに約1か月に及んだアジア歴訪の一部である。マレーシアの次に3月1日~12日(4日~12日のバリ島における静養を含む)にかけてインドネシアを訪問し、中国の前の3月12日~14日には日本を訪問した。 中国外交部によるとサルマン国王は1999年4月と2014年3月に訪中しているが、国王としての訪中は初めてである。サルマン国王と習主席は16日に北京の人民大会堂で会談を行い、経済・貿易、エネルギー、文化、教育、科学技術などの分野における協力事業に調印した。張明外交部副部長によると35件、総額650億ドルの覚書・基本合意が締結された模様である。 中国のサウジアラビアからの原油輸入は1999年11月の江沢民国家主席の同国訪問以降大幅に増加した。江主席とファハド国王(当時)は石油分野の協力、原油輸入拡大について合意した。またサウジアラビアの原油を精製する福建精製・石化プロジェクトの共同出資・建設について協議を行った。2002年.これまでのエネルギー協力 ~国有石油企業間の原油貿易、精製・石化JV主体~ 1写真①:サルマン国王と習近平国家主席、写真②空港で国王を出迎える子供達 http://news.sina.com.cn/c/nd/2017-03-16/doc-ifycnpiu8832645.shtml (1)原油貿易 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 2 ? ゥら15年までサウジアラビアは中国向けの原油供給の首位に立った。しかし近年中国の原油輸入に占めるサウジアラビアのシェアは減少傾向にある(12年の19.9%<108万b/d>から2016年には13.4%<102万b/d>に減少)。ちなみに日本のサウジアラビアからの原油輸入量は中国を若干上回り、原油輸入に占めるシェアは増加傾向にある(12年の31.2%<114万b/d>から2016年には35.7%<119万b/d>に増加)。 またOPEC減産合意(サウジアラビアは2017年1月以降4.6%<48.6万b/d>減産することで合意)による供給への影響は今後生じる可能性がある。サウジアラビアは東アジア向けの供給についてケースバイケースで削減する意向を示しており、中国向けの供給について2月渡しを5%削減すると通告したと報じられた。2月の同国からの輸入は477万トンで、1月に比べ輸入量は確かに5%減少した。しかし日量換算では1月の118万b/dを上回る124万b/dとなる。また中国の1月から2月の統計は旧正月を挟み安定しないので、3月以降の推移を見ていく必要がある。 万b/dサウジアラビアからの原油輸入 1601401201008060402002007年3月、SINOPECとExxonMobil、Aramcoの3社は計35億ドルを投じ南部福建省で福建聯合石日本中国 図 1:中国と日本のサウジアラビアからの原油輸入推移(03年~17年2月) METI資源エネルギー統計、新華社China OGPに基づき作成 2)中国における精製・石化JV (Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 3 ? 精サ工有限公司を設立し、同年6月に営業を開始した。出資比率はSINOPECが50%、ExxonMobil、Aramcoが各25%で、精製・石化プラントは2009年11月に操業を開始した。精製処理能力は28万b/dでサウジアラビア原油を処理している。また3社は石油製品の小売事業の合弁会社中石化森美(福建)石油有限公司を設立(出資比率はSINOPEC55%、ExxonMobilとAramco各22.5%)し、福建省内で700カ 3)サウジアラビアにおける精製・石化JV (所のガソリンスタンドを展開している。 Aramcoと中国石油化工集団公司(SINOPEC)は2012年1月に紅海沿岸のヤンブーで精製・石化のJV The Yanbu Aramco Sinopec Refining Company Ltd.(Yasref)を設立した。出資比率はAramcoが62.5%、SINOPECが37.5%である。精製・石化プラントは2014年9月に操業を開始し、精製処理能力は40万b/dでArabian Heavy crudeを処理している。2017年1月の習近平主席のサウジアラビア訪問の際、習主席とサルマン国王は同精製・石化プラントの落成式に出席した。またSINOPECはAramcoと原油供給、油ガスサービス、精製、石化、新エネルギーの協力強化について枠組み合意した。 2.今回のエネルギー協力合意の概要と注目点 ~軍需企業Norinco傘下精製・石化企業との提携、Aramco IPOへの投資提案(CIC、CNPC)~ 今回の国王訪中では、従来の国営(国有)石油企業間の原油供給や精製・石化JVに加え、習近平政権下で台頭する国有軍需企業傘下の精製事業者(ティーポット)との事業提携やAramcoのIPOへの打診など新たなパートナーシップにつながる動きがあった。 表 1:エネルギー協力における主な合意事項 石化を含む包括的な提携原油供給、石油精製・石化分野における提携サウジアラビアの都市、産業基盤整備への協力原子力に関する提携中国/サウジアラビアSINOPEC/SABICNorinco/AramcoNorinco/Royal CommissionCNECC/K.A.CARE・SGS概要ヤンブーYasref/天津精製石化事業ならびに非石化部門遼寧(盤錦)精製・石化事業原油供給ジュベイル、ヤンブーの都市・産業基盤開発高温ガス炉、ウラン・トリウム資源の探査この他、CIC・CNPCに対しAramcoのIPOに対する投資提案がなされた。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 4 ? (1)エネルギー協力における主な合意事項 ①石化を含む包括的な提携:SINOPEC/SABIC SINOPECとサウジアラビアの石油化学や製鉄、肥料などを統括する素材企業であるサウジアラビア基礎産業公社(Saudi Basic Industries Corp;SABIC)は両国における石化事業(ヤンブーYasrefおよび中沙天津石化)の協力の他、自動車、電気、建設、包装、医薬設備など)非石化部門を含む包括的な提携(Strategic cooperation agreement)について合意した。SINOPEC会長の王玉普(Wang Yupu)とSABIC 原油供給、石油精製・石化分野における提携:Norinco/Aramco ②Chairman (Prince Saud bin Abdullah Al-Saud)が調印した。 中国兵器工業集団公司(North Industries Group;Norinco)とAramcoは精製・石化分野における協力機会を模索することについて覚書(MoU)を締結した。Norincoは従業員数27.6万人を有する中国最大の国有軍需企業グループであり傘下に国外の石油探鉱開発、精製、石油貿易を行う中国北方工業公司(Norinco)、その子会社で国外石油・天然ガス探鉱開発や石油貿易を行う振華石油(Zhenhua)、国内で精製・石化事業を行う北方華錦化学工業集団公司(North Huajin Chemical Industries)を有している(図2)。振華石油(Zhenhua)は現在カザフスタン、イラク(アフダブ油田)、エジプト、ミャンマー、シリアで生産中鉱区を保有(シリアは13年に内戦により生産停止)している他、パキスタンでは2鉱区で探鉱を行っている。 Aramcoは合意に先駆けて2017年2月に北方華錦化学工業集団公司と原油売買契約を締結している。期間は1年でArab Extra Light、数量は明らかになっていないが少量の模様である。北方華錦は傘下に盤錦北方瀝青股?(株式)有限公司(盤錦北方;North Huajin)ならびに遼寧華錦通達化工股?(株式)有限公司(遼通化工)を持つ。盤錦北方は2015年7月に遼寧省国家発展改革委員会から同省盤錦市に精製処理能力30万b/d、エチレン100万t/yの精製・石化プラントを建設する承認を得ている。Aramcoは各種情報に基づきJOGMEC作成 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 5 ? NorincoはAramcoの他サウジアラビアの都市・産業開発・育成を推進するRoyal Commision(王立委員会)とジュベイル、ヤンブーの鉄道輸送、発送電、通信、インフラ、建設、石油・鉱業、再生可能エネルギサウジアラビアの都市、産業基盤整備への協力(枠組み合意):Norinco/Royal Commision ③図 2:中国兵器工業集団公司と傘下の石油関連企業 各社ホームページ、「中国の石油産業と石油化学工業」(東西貿易通信社)に基づき作成 ーに関する協力について枠組み合意した。 ④原子力に関する提携:CNECC/K.A.CARE・SGS 原子力利用の技術開発、原子力施設の設計・建設を行う中国核工業建設集団公司(CNECC)とサウジアラビアの原子力や再生可能エネルギー事業を行うKing Abdullah City for Atomic and Renewable Energy (K.A.CARE)はサウジアラビアにおける高温ガス炉(ヘリウムガスを一時冷却として使う第4世代原子炉)の共同商業性調査に関する覚書を締結した。またCNECCとサウジアラビア地質調査所(Saudi 同精製・石化プラントへの投資ならびに原油供給を検討している。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 6 ? eological Survey ;SGS)はサウジアラビアの9つの鉱区におけるウラン・トリウム資源の探査について覚書を締結した。 AramcoのIPO(投資提案):CIC・CNPC /Aramco サウジアラビアは早ければ2018年にAramcoの新規株式公開(IPO)を計画しており、世界最大規模(約1000億ドル)となる可能性がある。ロンドン、ニューヨーク、シンガポール、東京などとともに香港も上場先候補と目されている。合意事項ではないが、今回の訪問時に中国の政府系ファンド(SWF)の中国投資有限責任公司 (CIC) とCNPCに対しAramcoからIPOへの投資の提案があった模様である。中国石油天然気集団公司(CNPC)子会社PetroChinaの汪東進総経理(社長)兼副会長は2016年の業績発マレーシア:石油精製・石化分野における提携(Petronas/Aramco) 表時にAramco側から提案を受け、検討していると述べた。 考:その他訪問国との石油関連合意 参 2月28日、PetronasとAramcoはPetronasがマレー半島ジョホール州の南東部Pengerangで進めるRAPID精製・石化プロジェクト(精製処理能力30万b/d、2019年稼働予定)にAramcoが70億ドルを出資し50%参加することについて合意し、Share Purchase Agreement (SPA)を締結したi。同製油所への原油ンドネシア:精製事業(拡張)提携の再確認(Pertamina/Aramco) イ供給の7割はサウジアラビア原油となる。 2016年12月にPertaminaとAramcoはPertaminaが中部ジャワ州で進めているCilacap製油所の拡張プロジェクト(精製処理能力34.8万→40万b/d)にAramcoが45%参加することで合意した。今回の訪問ではその再確認が行われた模様である。同製油所への原油供給の最大7割はサウジアラビア原油となる。 日本:協業検討(JXTGエネルギー/Aramco) 3月14日、JXエネルギー(現JXTGエネルギー)は「日・サウジ・ビジョン2030ビジネスフォーラム」においてAramcoと石油精製・石化事業等中下流事業の協業検討に関する覚書を締結したii。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 7 ? T要マレーシアRAPID精製・石化プロジェクトにAramcoが50%参加インドネシアCilacap製油所の拡張プロジェクト(精製処理能力34.8万b/d→40万b/d)にAramcoが45%参加石油精製・石化事業等中下流事業の協業検討 マレーシア石油精製・石化分野における提携(SPA)インドネシア精製事業(拡張)提携の再確認Petronas/AramcoPertamina/Aramco日本協業(MoU)JXTGエネルギー/Aramco各社プレスリリースに基づき作成 2)今回のエネルギー協力における注目点 (表 2:その他訪問国との石油関連合意 ①SINOPECのSABICとの提携 ~中国の対外投資政策に合致したサウジアラビアの探鉱開発、精製・石化、エンジニアリング等幅広い分野への参画拡大~~ SINOPECは傘下に中核子会社中国石油化工有限責任公司(Sinopec Corp)の他、国外における石油探鉱開発子会社である中国石化国際石油勘探開発有限公司(Sinopec International)、工程建設公司などの子会社を有している。またすでにサウジアラビアに事務所を開設している(表3)。王会長はサウジアラビアにおける探鉱開発、精製、エンジニアリング分野における協力を希望すると述べており、SABICとの提携を通じサウジアラビア市場への更なる参画拡大を目指していると思われる。また同社の方針は「中国に優位性のある設備、技術、標準、サービスの対外投資を拡大する」という13次五か年計画の対外投資戦略にも合致している。 ②CNPCのAramcoのIPOへの投資 ~~実現の場合、中国の対外投資政策に合致したサウジアラビア探鉱開発から油田サービス、ロジスティクス市場進出への足掛かり、対露バーゲニング効果が期待できるか?~ CNPCがIPOへの投資を行う場合、サウジアラビア市場への参入のきっかけにつなげたいのではないかと思われる。CNPCもSINOPECと同様傘下に国外探鉱開発子会社のCNODC、物理探査子会社東方地球物理(BGP)、掘削子会社長城掘削他(GWDC)、エンジニアリング子会社寰球工程(HQCEC)など探鉱開発から油田サービス、ロジスティクス部門に至る子会社を保有しており(表4)、前述のSINOPECとGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 8 ? ッ様に13次五か年計画の対外投資戦略に合致する動きとなる。さらに、Aramcoへの接近は原油調達で対露依存が進む同社にとり対露バーゲニングが期待できるのではないか。 表 3:SINOPECグループ企業 http://www.sinopecgroup.com/group/gsjs/shwq/ に基づき作成 表 4:CNPCグループ企業 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 9 ? ICがAramcoのIPOに投資を行う場合、他の政府系ファンドと同様に(例えばアブダビ投資庁Abu Dhabi Investment Authority<ADIA>はPetroChinaの株式0.1%を保有)投資が主目的であると思われる。CICのエネルギーへの投資は2015年現在5%である(図3)。カザフスタン国営Kazmunaigaz子会社Kazmunaigaz E&Pの株式取得やAthabasca Oil Corpをはじめカナダの複数のオイルサンド企業への投資を行ってきた。しかし収益性悪化を受けてカナダからは2016年に撤退し事務所もニューヨークに移した。一方、カナダのオイルサンド事業に投資したCNOOCをはじめ他の中国企業はカナダから撤退していない。 http://www.cnpc.com.cn/cnpc/yqtqy/lxxx_index.shtml に基づき作成 Aramcoの国有軍需企業傘下ティーポットとの提携 ~サウジアラビアの精製石化事業への投資や原 ③油供給拡大戦略に合致、ロシアの対中原油供給への牽制にもつながる?~ Aramcoの国有軍需企業傘下の精製石化企業(ティーポット)との提携は複数の点で注目に値する。SINOPECやPetroChinaなど中国の大手国有石油企業は現有の製油所の高度化と稼働率を維持することを優先しており、製油所新設のポテンシャルは高くはない。しかし習政権は国有企業改革の一環として投資主体の多様化(「混合所有制経済」)を進めており、非国有石油企業の投資拡大を奨励している。テIndustries10%Healthcare12%Consumer discretionary13% 図 3:CICの投資先(2015年) CIC年報に基づき作成 Telecommunication services3%Matelials4%Energy5%Consumer staples9%Utilities2%Others6%Financials21%Information technology15%Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 10 ? Bーポットは同政策に沿って精製処理能力増強を進めている。さらに軍需系傘下の石油企業は国外探鉱開発投資やブラジルとのLoan for Oilへの参加(振華石油<Zhenhua>)などで存在感が拡大している。人民解放軍退役後の雇用が社会問題化している中、軍需企業の拡大による雇用創出は社会安定に資する政府の後押しがあるのではないかと思われる。Aramcoとこれら企業との提携はアジアで原油供給先確保と精製・石化プラントへの投資拡大を進めるサウジアラビアの戦略に合致していると思われる。ティーポットは信用力が課題だが、親会社の身元が明確で、政府の後押しがある国有軍需系傘下ティーポットとの提携は興味深い選択であると思われる。 また、Aramcoの遼寧省ティーポットへの原油供給は中国北部市場開拓、ひいてはロシアの対中原油供給への牽制にもつながると見ることができる。ロシアから中国への原油供給はいわゆるLoan for Oil(2009年の国家開発銀行によるロシア国営RosneftとTransneftへの融資によるESPO原油パイプライン大慶支線<輸送能力30万b/d >の開通(2011年11月)とRosneftとCNPCおよびSINOPECの原油長期売買契約)により2014年以降拡大した。輸入は2013年の49万b/d(輸入の8.7%)から2016年は山東省に位置する地方製油所(ティーポット)による調達の増加で前年比20万b/d増加の105万b/d(輸入の13.8%)となった(図4)。 遼寧省ではPetroChinaが大連(精製処理能力41.5万b/d)、撫順(22.3万b/d)などの大型製油所を操業しており、PetroChinaは減退する大慶油田等中国東部油田産原油の代替としてロシアESPO原油の輸入を増やしている(図5)。またSinopecもRosneftとの売買契約に基づき主に山東省など北部の製油所でロシアESPO原油の調達を増やしている。一方、サウジアラビアの原油は主に東部から南部沿海地域のSINOPEC系列の製油所で処理されている(図6)。 万b/d原油輸入推移(1997~2017年1-2月)140120100806040200サウジアラビアロシア Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 11 ? } 4:サウジアラビア、ロシアからの原油輸入推移 新華社China OGPに基づき作成 図 5:遼寧省の主な製油所 各種情報に基づきJOGMEC作成 図 6:国有石油会社(PetroChina、Sinopec、CNOOC)の主な製油所 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 12 ? D新たなパートナーシップの陰で ~難航するPetroChina精製・石化JVと米原油調達増加を志向する 3SINOPEC~ (1)難航する雲南省精製・石化JV事業 ~PetroChina・Aramco~ NorincoとAramcoの間で新たな精製石化JV計画が検討される一方でPetroChinaとAramcoの精製・石化JVは難航している。Aramcoが2011年に投資・提携について合意したPetroChinaの雲南省製油所(26万b/d)について今回投資、原油供給契約締結は行われなかった。ミャンマー~中国原油パイプライン(輸送能力44万b/d)は調達源未定のまま2017年4月中に輸送開始予定であり、雲南省製油所は6月に稼働予定である(図7)。 各種情報に基づき作成 中国の中東からの原油輸入比率(2016年)は中東が49%、アフリカが18%、ロシア・中央アジアが15%、その他18%で日本ほどではないが中東からの輸入比率がもっとも高い(図8)。サウジアラビアと中国の共同声明では中国市場へのサウジアラビアの石油供給の増加を含む石油分野の協力レベル向上で合意しているが、同国の原油の最大の輸入企業であるSINOPECは中東プラス1として米国の軽質低硫黄原油を選好する模様である(同社年報によると2015年に必要量の83.7%の原油を輸入。同年の精製処理量図 7:ミャンマー~中国原油パイプラインおよび雲南省案寧製油所 2)中東に加え米軽質低硫黄原油の調達を増やすSINOPEC (Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 13 ? ヘ473万b/dであり、中国の輸入原油の5割を使用していると推計)。 SINOPEC傘下のトレーディング子会社中国国際石油化工聯合有限責任公司(Unipec)のZhong Fuliang副社長は3月に北京で開催されたエネルギーフォーラムにおいて今後10年間米国の軽質・低硫黄原油の輸入を増やすと述べた。また米国からの輸入拡大についてこれまで中東の原油を主に輸入してきたタイ、韓国、日本などの製油所とも協調したいと述べた。米国からの輸入拡大の理由として中東産油国の国内消費、国内供給増加、アフリカの増産ポテンシャルの限界、また政情不安に伴う輸出障害の可能性上昇などをあげた。2017年2月に中国は米国から808万バレルの原油を輸入、カナダを抜き最大の輸入国となっている。ただし808万バレルは中国の2月の1日分の輸入量に過ぎないこと、現在はOPECが生産調整を行っていることに留意する必要がある。やはり世界最大の輸入国中国が頼らなければならないのはこれまでも、そしてこれからも中東であり、なかでもサウジアラビアは重要な位置を占めていると思われる。 アジア・太平洋, 3%中東, 49%欧米・中南米, 15%ロシア・中央アジア, 15%アフリカ, 18%いごに.~消費国と産油国と両横綱である中国とサウジアラビアのエネルギー協力関係は新たなステ さージに~ 近年、サウジアラビアの中国向けの原油供給シェアは低下していた。特に2016年はティーポットが近隣で小回りの利くロシアからの調達を拡大したことで、サウジアラビアはロシアに対中原油供給首位の座図 8:中国の地域別原油輸入(2016年) 新華社China OGPに基づき作成 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 14 ? セけ渡した。さらに足元では減産合意に基づき中国への供給を削減する可能性がある。中国側も米国産原油の調達を増加する動きがある。しかしサウジアラビアは長期的視野に立ち投資、マーケティングを展開しているように見える。Aramcoの国有軍需企業傘下ティーポットとの提携はサウジアラビアの精製・石化事業への投資や原油供給拡大戦略に合致する他、ロシアの対中原油供給への牽制にもつながる動きとして注目している。 一方、中国はサウジアラビアを重要な原油供給相手国に加え、一帯一路沿線国の成長市場と見なしており、同国の対外投資戦略である設備、技術、サービスの投資による市場参画を目指している。また、サウジアラビアの石油・ガス探鉱開発事業への参加は容易ではないが、CNPCやSINOPECは設備、技術、サービス事業の受注による信頼醸成をてこに石油・ガス探鉱開発事業への進出も目指していると思われる。 消費国と産油国と両横綱である中国とサウジアラビアのエネルギー協力関係は今回の首脳会談を機に新たなステージに向かう可能性がある。 i Saudi Aramco, PETRONAS sign SPA for equity participation in Malaysia’s RAPID downstream project(Aramco 2017/2/28) iiサウジアラムコとの協業検討に関する覚書の締結について(旧JXエネルギー 2017/3/15) Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 15 ? |
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