原油価格50ドル/bblで収支バランスを目指す米系石油会社
| レポートID | 1004716 |
|---|---|
| 作成日 | 2017-06-13 01:00:00 +0900 |
| 更新日 | 2018-02-16 10:50:18 +0900 |
| 公開フラグ | 1 |
| 媒体 | 石油・天然ガス資源情報 1 |
| 分野 | 企業 |
| 著者 | 高木 路子 |
| 著者直接入力 | |
| 年度 | 2017 |
| Vol | 0 |
| No | 0 |
| ページ数 | |
| 抽出データ | 原油価格50ドル/bblで収支バランスを目指す米系石油会社 更新日:2017/6/13 調査部:高木路子 (各社のホームページ他) ・低油価リスクを抱えた上流投資環境に直面し、石油企業はどう対処するのか。OPECの減産合意後、原油価格が50ドル前後で推移する中で、石油会社は50ドル前後で収支バランスを目指し、資産ポートフォリオの入れ替えや投資計画を策定している傾向がみられる。 ・加えて、不透明な市場環境の中で、石油会社は、短期的な面において投資実施計画を柔軟に運用していこうとする姿勢も見受けられる。最大手ExxonMobilでさえも、大型事業への関心を維持しつつも、シェール等のショートサイクルな案件への投資を当面引き上げる方針を打ち出した。 ・経営面に関わる主な動きとしては、 ? 財務バランスの不安定化を回避すること ? 高コストあるいは収益性の低い資産を売却して、売却益を見込む ? シェール開発への投資集約を高め、生産量及び短期的な収益を狙う ? 加えて、メジャー系は、配当の維持・増加とともに自社株買い早期再開を行うことを標榜 1.2016年業績結果 2016年の実績は、米系中堅上流企業は全社赤字であり、厳しい状況であった(表1., 表2)。上流専業企業は、低油価の影響を強く受けるため業績が著しく悪化した。一方、メジャー企業は下流部門の利益に支えられて、Chevronを除き黒字決算であった。Chevronは米国上流部門の赤字幅が大きく響き、他地域や下流収益で一部相殺したものの、全体としては赤字決算となった。同社は、Texacoとの合併以降、初めての赤字収支であった。 2017年の投資計画では、欧米メジャーが慎重な姿勢を崩していないが、米系中堅企業は前年並みあるいは微増を計画しており上向きの投資傾向がみられる。 表1.欧米メジャーズの2016年業績 売上高($mm) 純利益($mm) 石油・ガス生産量(千boe/d) 石油(千b/d) ガス(mmcf/d) 米国 ExxonMobil 218,608 7,840 4,053 2,365 10,127 Chevron 米国 110,215 -497 2,594 1,719 5,252 Shell 英・蘭 233,591 4,575 3,607 1,838 10,613 BP 英 183,008 115 3,227 2,048 7,075 Total 仏 149,743 6,196 2,346 1,271 6,447 出所:各社財務諸表より作成 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 1 - \2.米系中堅企業の2016年実績 ConocoPhillips Anadarko Occidental 売上高($mm) 純利益($mm) 石油・ガス生産量(千boe/d) 石油 (千b/d) ガス (mmcf/d) 23,693 -3,615 1,569 7,153 -3,071 794 926 444 3,857 2,098 6,377 -574 630 471 954 Apache 5,367 -1,405 522 338 1,102 Marathon 3,753 -2,140 404 276 767 各社の投資額推移(実績と計画)ConocoPhillipsApacheAnadarkoOccidental(百万ドル) 20,000 15,000 10,000 5,000 -20132014201520162017(計画)20132014201520162017(計画)ExxonMobil上流投資Chevron上流投資ConocoPhillipsAnadarkoOccidentalApache いくつかの米系企業は、原油価格50ドル/bbl-55ドル/bblの範囲での収支均衡を目指して、2017年の投資活動を行う方針を示していると同時に、財務の健全性の維持を最優先に掲げている。メジャー系は、投資集約や個別事業のコスト削減等によって財務の悪化を回避する一方で、株主向けに増配や自社株買いの再開を早期に行う姿勢である。 Chevronは、年間投資額を2013年のピーク時420億ドルから2017年はその半減以下の200億ドルまで削減する計画である。原油価格50ドル/bblの投資環境においても、配当差し引き後のキャッシュフローを生み出すために、この2年間(2016-2017年)で総額50-100億ドル規模の資産売却プログラムを実施する。現状、下流事業(インドネシアの地熱権益、カナダ下流、南アフリカ下流)に加えて、バングラディシュやトリニダード・トバゴの上流ガス資産の売却が合意され、発表されている。また同社は、2008-2012年に10%未満であった負債比率が、急激な収入減によって借入れが増えているために現在24.1%まで上昇している。2020年まで、資産売却、コストや投資の削減によって負債比率を20%からGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 2 - .各社の投資計画 2(百万ドル) 50,000各社の投資額推移(実績と計画)出所:各社財務諸表より作成 1.投資額の実績と計画 図ChevronExxonMobil 40,000 30,000 20,000 10,000 -5%以内に収め、財務基盤の不安定化を回避する姿勢を明確にした。 ExxonMobilは、投資環境に応じて投資プログラムを変更できるよう、ショートサイクルな投資(同社によると定義は3年以内に投資回収)を柔軟に実施していく方針を示した。同社は、2017年は世界全体の同社の掘削費のうち3分の1程度をシェールに振り向け、またその後の3年間は掘削費のシェール比率を最大2分の1まで引き上げる計画を明らかにした。このシェール投資は、2017年1月に買収を発表したPermian Basinと操業中のBakken Shaleが主であり、これらからの増産を目指している。他方で、従来からのロングサイクルな大型事業も進めていく方針である。2017年末には、南米ガイアナのLiza大水深油田開発の投資決定を行う予定である。同社CEOの説明では、ショートサイクル投資にシフトするからといってロングサイクル投資の関心が薄れたわけでは決してなく、あくまでも、現行の投資環境を踏まえ投資戦略を柔軟に変更することで収益性を高める狙いだと説明する。 上流専業の米国企業も同様に資産ポートフォリオの入れ替えを行っている。ConocoPhillips(米)とMarathon(米)は2017年3月にオイルサンド事業資産をカナダ企業に売却することを発表し、米国シェールへの投資集約化を進める方針だ。 ConocoPhillipsは、Cenovus(加)にカナダのオイルサンド資産の大半を113億ドル相当で売却、2016年央に発表したセネガル大水深の既発見資産の売却に続き、大型の資産売却を今回実施した。今後も、引き続き、北米ガス資産を中心に総額50-80億ドの資産売却を推進すると説明する。同社は、2017年の投資規模は、2014年比で70%減の50億ドルに維持して生産量の維持に努めるとともに、原油価格50ドル/bblを下回った場合に投資計画を柔軟に運用していく方針である。また、投資家向けには、短期的にも配当の引き上げの実施と自社株買い再開を優先することを表明しており、将来的な生産増よりも短期的な株主還元を重視した企業経営が見受けられる。 Marathonは、保有していたAthabasca Oil Sands Project (AOSP)の20%分をShellとCNR(加)に対して25億ドルで売却して撤退することを表明し、それとほぼ同時に、米国シェールのPermian BasinとフロンティアであるSTACK/SCOOPの鉱区を追加で取得した。同社は、2017年の投資計画は22億ドル、そのうちBakkenに最大3割、Eagle Fordに最大3割、STACK/SCOOPでも最大3割まで引き上げ、全体投資の9割以上を米国シェールに投資を集中させる。同社は、2017年、原油価格55ドル/bblあれば、年10%程度の増産を計画している。 Permian Basin最大の権益保有者Occidental(米)は、同Basinでのシェール生産(2017年:10-14億ドル)の拡大を中心に2020年までに年5-8%の増産を目指す。2017年の投資額は、柔軟な投資運用を行って30-36億ドルの間を予定している。同社は、投資額の維持、配当維持を最優先項目として、市場環境に応じて投資額の引き上げ、資産買収の実施、さらに自社株買いの再開を行うことを明らかにしている。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 3 - pache 31億ドル (米国Permian 20億ドル) 2018年 32億ドル 7割増 Permianに63%、 エジプト、北海、スリナム等国外に29%、 その他北米 8% 421 千50ドル/bbl計画 2016Q4 boe/d⇒ 2018Q4 千boe/d 485-537Marathon 22億ドル (米シェール90%) Ford(~100%増 Bakken(~30%) Eagle 30%), STACK/SCOOP(~30%) 55ドル/bblフラットケース:2021年まで年10-12%増 4割増 米国のシェール (DJ Basin, Permian等)とメキシコ湾に全体80%を集中、その他大水深探鉱、LNG他 2割増 中東:オマーン、カタール、UAE 米国Permian コロンビア 2017年625-645千boe/d 2019 年までにPerminaを中心に年5-8%増 - 4 - 表5.Permian Shale大手鉱区保有者 Occidental Chevron Apache ExxonMobil Concho 保有鉱区面積(百万エーカー) 2016年末生産量 2.5 2.0 1.75 1.75 1.00 26万boe/d 10万boe/d 15万boe/d 12万boe/d 14万boe/d (Petrostrategies 2017/4/3付け) 表3.メジャーズ投資計画額(2017年、それ以降) 2017年投資計画 2016年比 2018年以降の投資計画 生産目標 ExxonMobil 220億ドル Shell 250億ドル BP 160-170億ドル Chevron 198億ドル Total 160-170億ド 1割引き上げ - (2016年BG買収) - 1割強削減 - 400-440万boe/d - 2016 年度より高い水準 1割強削減 2020 年まで年170-220億ドル 2割削減 年 150-170億ドル 2017年、4%以上の増産計画 2017年、資産売却を考慮しない場合、前年比4%-9%増(50ドル/bbl前提)。 各社発表資料より作成 表4.米系中堅上流企業の2017年計画 ConocoPhillips 50億ドル Anadarko 45-47億ドル (GOM 含め最大80%) Occidental 柔軟な投資計画、30-36億ドル 2017 年投資計画 (米国シェール比率) 2016年比 投資エリア (2017年) 据え置き 米国陸上 アラスカ アジア・中東 欧州・アフリカ 原油価格50ドル想定 017年2%増 2原油価格想定及び 生産量目標 各社発表資料より作成 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 同じく米国企業のAnadarkoは、2017年の投資額45-47億ドルのうちメキシコ湾とシェール事業で米国に最大80%を占め、そのほか大水深探鉱やLNG関連(モザンビーク)に最大15%、国外生産資産(アルジェリア、ガーナ)に3%を投資する計画である。同社の2017年生産量は、2016年比10%増を目標に掲げる。米国シェールのDJ BasinとPermian Basinでの増産に集中することで石油生産の大幅増を見込み、全体の収益性を高める狙いである。 2017年第1四半期に発表された米国上流企業の投資計画では、財務の改善・安定化を第1に掲げ、資産の入れ替えを継続して実施していくと同時に柔軟に投資計画を修正していく姿勢を明らかにした。大手企業でさえも、大型投資のみに依存する投資戦略ではなく、シェール等の短期的に収益を生むような上流投資を柔軟に組み入れることで、収益力と生産量を同時に引き上げられるよう、投資戦略を修とめ ま原油価格及び米国ガス価格 (原油価格 ドル/bbl、ガス価格 ドル/百万btu) Brent原油価格 WTI原油価格 HH価格(米国ガス価格) (米国EIA データより作成) 2012 111.6 94.1 2.75 2013 108.6 98.0 3.73 2014 99.0 93.2 4.37 2015 52.3 48.7 2.62 2016 43.7 43.3 2.51 参考:原油価格> <正したといえる。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 - 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