原油市場他: 10ヶ月ぶりの低水準にまで下落するも、その後持ち直す原油価格
| レポートID | 1004727 |
|---|---|
| 作成日 | 2017-07-18 01:00:00 +0900 |
| 更新日 | 2018-02-16 10:50:18 +0900 |
| 公開フラグ | 1 |
| 媒体 | 石油・天然ガス資源情報 1 |
| 分野 | 市場 |
| 著者 | 野神 隆之 |
| 著者直接入力 | |
| 年度 | 2017 |
| Vol | 0 |
| No | 0 |
| ページ数 | |
| 抽出データ | 更新日:2017/7/18 調査部:野神 隆之 原油市場他: 10ヶ月ぶりの低水準にまで下落するも、その後持ち直す原油価格 (IEA、OPEC、米国DOE/EIA他) ① 米国では、製油所で高水準の原油精製処理が行われていることもあり、石油製品生産活動は活発であるが、夏場のドライブシーズンに突入したことによりガソリン需要が増加したことから、ガソリン在庫は減少傾向となったが、平年幅を超過する状態は維持されている。他方、留出油については、生産が堅調であったこともあり、当該在庫量は若干ながらも増加したうえ、平年幅も超過している。また、原油精製処理量が高止まる反面、原油輸入は伸び悩み気味となったことから、原油在庫は減少傾向となったものの、平年幅を超過したままとなっている。 ② 2017年6月末のOECD諸国推定石油在庫量の対前月末比での増減は、原油については、米国では減少となった他、日本においては6月に入り製油所でのメンテナンス作業が峠を越え始めていることから原油精製処理量が増加傾向を示すとともに原油在庫は減少した。他方、欧州においては、製油所での原油精製処理量が前月比でほぼ変わらずとなったことから、原油在庫も前月とほぼ同水準となった。結果として、OECD諸国全体として原油在庫は減少となったが、平年幅上限を超過する状態は継続している。製品在庫については、米国ではガソリン在庫が減少した反面留出油在庫が増加したこともあり、製品全体としての在庫は微増となった。また、日本においても、暖房シーズン終了に伴い、暖房用需要の低下とともに灯油在庫が増加したことが牽引し、石油製品全体の在庫も増加している。他方、欧州では中間留分の在庫が減少したことにより製品全体の在庫も若干ながら減少となったが、これは、製油所での大規模なメンテナンス作業を実施している結果石油製品の生産が落ち込んでいるとされるインドに向け軽油が流出しているためと見る向きがある。結果として、OECD諸国全体としての石油製品在庫は増加となり、量としては平年幅上限を上回っている。 ③ 2017年6月中旬から7月中旬にかけての原油市場は、6月中~下旬前半頃は、米国石油坑井掘削装置稼働数が増加したことや、リビアでの原油生産が増加した旨明らかになったことに加え、米国での原油生産が増加を続けたこと等により、原油価格(WTI)は下落、6月21日に1バレル当たり42.53ドルの終値と、2016年8月10日以来の安値となった。ただ、それ以降は、これまでの原油価格下落に対し値頃感から原油を買い戻す動きが発生したことや、米国エネルギー省(EIA)が2018年の米国原油生産見通しを下方修正したこと、米国の原油及びガソリン在庫が減少したこと、国際エネルギー機関(IEA)が2017年の世界石油需要を上方修正したこと等により、原油相場は持ち直している。 ④ 地政学的リスクと米国等経済指標類については、展開によっては原油相場に影響する場合があるが、そうでなければ当面影響は限定的なものになると考えられる。他方、米国で夏場のガソリン需要期の終了が視野に入り始めることから、季節的な石油需給の緩和感が市場で意識されやすく、この面で原油相場には下方圧力を加えやすくなると考えられる。ただ、OPEC及び一部非OPEC産油国で合意した減産につき目標の引き上げが検討され始めたり、米国での石油坑井掘削装置稼働数や原油生産量の増加ペース、また増産を続けるリビアやナイジェリアでの原油生産量に変化の兆しが見られたりなどすれば、それらの要因が原油相場を下支えする格好で作用することもありうる。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 1 ? . 原油市場を巡るファンダメンタルズ等 2017年4月の米国ガソリン需要(確定値)は日量925万バレルと前年同月比で0.4%程度の増加となり(図1参照)、速報値(前年同月比で0.2%程度増加の日量923万バレル)からは若干ながら上方修正されている。当月の同国からのガソリン輸出量が速報値段階では日量68万バレルと推定されるところ、確定値では同66万バレルと若干ながら下方修正されたことで、この分が速報値から確定値に移行する段階で輸出から内需に繰り入れられたことが、当該需要の上方修正の一因になっているものと見られる。また、2017年4月の同国ガソリン小売価格は1ガロン当たり2.528ドルと前年同月比で0.312ドル(約14%)の上昇となっているため、この面でガソリン需要の伸びが抑制されたものの、4月の非農業部門雇用者数が前月比で17.4万人増加したうえ、4月の個人可処分所得も前年同月比で3.6%程度増加していることが、ガソリン需要を押し上げた結果、全体としては前年比で微増となっているものと考えられる。また、2017年6月の同国ガソリン需要(速報推定値)は日量956万バレル、前年同月比で1.0%程度の減少となっている。6月のガソリン小売価格は1ガロン当たり2.460ドルと、前年同月比では0.007ドル(約0.3%)下落している一方で、同時期の米国ガソリンスタンドでの売上高は0.3%程度増加しているところからすると、当該需要は速報値から確定値に移行する段階で上方修正される可能性がそれなりにあるものと考えられる。他方、米国では夏場のドライブシーズン突入に伴い、季節的にガソリン需要が盛り上がった一方で、製油所での原油精製処理量が概ね高水準で推移する(図2参照)とともに、石油製品生産も活発に行われた結果、製油所でのガソリンの生産も堅調であったと見られる(最終製品の生産については図3参照)。このため、ガソリン在庫は6月中旬から7月上旬にかけては、減少傾向となったものの、その度合いは比較的緩やかなものにとどまった結果、在庫は平年を上回る状態を維持している(図4参照)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 2 ? 2017年4月の同国留出油需要(確定値)は日量379万バレルと前年同月比で0.8%程度の減少となり、速報値である日量416万バレル(前年同月比8.9%程度の増加)から大幅に下方修正されている(図5参照)。当月の同国からの留出油輸出量が速報値段階では日量110万バレルと推定されるところ、確定値では同132万バレルと相当程度上方修正されたことで、この分が速報値から確定値に移行する段 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 3 ? Kで内需から輸出に繰り入れられたことが、当該需要の下方修正の一因になっているものと見られる。また、2017年4月の米国北東部の気温が前年に比べて高く、その結果暖房向け需要が低下したことが留出油需要の前年比での減少に影響している可能性はあるが、4月の同国の鉱工業生産が前年同月比で1.8%程度の増加となっており、それに伴い同国の物流活動は前年同月比で2.0%程度増加するなど、経済、そして物流活動は必ずしも極端に悪いわけではなかったところからすると、この面は3月、もしくは5月の当該需要の伸びに織り込まれていることが考えられる(実際3月の需要は前年同月比で5.4%程度の増加となっている)。他方、2017年6月の留出油需要(速報推定値)は日量410万バレルと、前年同月比で7.0%程度の増加となっている。6月の同国鉱工業生産が前年同月比で2.0%増加しているなど、米国経済がそれなりに堅調であることが、当該製品需要増加の一因であるものと考えられる(また、シェールオイルやシェールガスの開発のための掘削活動等の活発化に伴い、掘削装置等を稼働させるための軽油需要が発生しているとの指摘も見られる)。他方、製油所の稼働が高水準となったことで、留出油生産も活発に行われた(図6参照)。この結果、留出油在庫水準は6月中旬から7月上旬にかけては上下に変動しつつも若干ながら増加となった他、平年幅は超過したままとなっている(図7参照)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 4 ? 2017年4月の米国石油需要(確定値)は、前年同月比で1.4%程度増加の日量1,953万バレルとなった(図8参照)。ガソリン、ジェット燃料(米国経済が比較的好調で個人所得が伸びていることもあり航空機による往来が活発化していることが貢献している可能性がある)やその他の石油製品(エタン等石油化学製品向け需要が堅調である)が伸びたことが同国石油需要の増加をもたらした一因となっていると考えられる。ただ、留出油需要が速報値から確定値に移行する段階で下方修正されたことが影響し、石油製品全体の需要も速報値(日量1,968万バレル、前年同月比2.2%程度の増加)からは下方修正されている。他方、2017年6月の米国石油需要(速報推定値)は、日量2,018万バレルと前年同月比で5.1%の増加となった。留出油、ジェット燃料、及びその他の石油製品需要が前年同月比で増加したことが、前年同月比での石油需要の増加に寄与したものと考えられるが、6月のその他の石油製品の需要(速報値)は日量367万バレルと、2016年5月~2017年4月の1年間の当該需要(確定値)(同318~367万バレル)と比較しても高水準であるため、速報値から確定値に移行する段階で下方修正される可能性があるので注意が必要であろう。また、米国では製油所の稼働が高水準を保つとともに原Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 5 ? 罇ク製処理も旺盛に行われた一方、米国の原油輸入量は伸び悩み気味となっている(特にサウジアラビアから原油輸入量は5月の日量118万バレル(速報推定値)から6月の同92万バレル(同)へと減少となっているなど、同国の減産の影響が出ていることが窺われる)ことから、同国の原油在庫は減少傾向を示した(図9参照)ものの、平年幅は超過する状態となっている。そして、原油、ガソリン及び留出油の在庫量が平年幅を超過していることから、原油とガソリンを合計した在庫、そして原油、ガソリン及び留出油を合計した在庫は、いずれも平年幅を超過する状態となっている(図10及び11参照)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 6 ? 2017年6月末のOECD諸国推定石油在庫量の対前月末比での増減は、原油については、米国では減少となった他、日本においては、6月に入り製油所でのメンテナンス作業が峠を越え始めていることから、原油精製処理量が増加傾向を示す反面、原油在庫は減少した(しかしながら、7月に入ってからは、製油所での原油精製処理量の増加は継続しているものの、それとともに原油在庫も持ち直してきている)。他方、欧州においては、製油所での原油精製処理量が前月比でほぼ変わらずとなったことから、原油在庫も前月とほぼ同水準となった。結果として、OECD諸国全体として原油在庫は減少となったが、平年幅上限を超過する状態は継続している(図12参照)。製品在庫については、米国ではガソリン在庫が減少した反面、留出油在庫が増加したこともあり、製品全体としての在庫は前月比で微増となった。また、日本においても、暖房シーズン終了に伴い、暖房用需要の低下とともに灯油在庫が増加したことが牽引し、石油製品全体の在庫は増加している。他方、欧州では中間留分の在庫が減少したことにより製品全体の在庫も若干ながら減少となったが、これは、製油所での大規模なメンテナンス作業を実施している結果石油製品の生産が落ち込んでいるとされるインド(後述)に向け軽油が流出していGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 7 ? 驍スめと見る向きがある。結果として、OECD諸国全体としての石油製品在庫は増加となり、量としては平年幅上限を上回っている(図13参照)。そして、原油及び石油製品双方の在庫が平年幅を超過していることから、原油と石油製品を合計した在庫は平年幅上限を上回る状態となっている(図14参照)。なお、2017年6月末時点でのOECD諸国推定石油在庫日数は63.6日と5月末の推定在庫日数(64.4日)から減少している。 6月14日に1,100万バレル台前半の水準であったシンガポールでのガソリン等の軽質留分在庫量は、6月21日には1,000万バレル台半ば程度、6月28日には1,100万バレル台前半、7月5日は1,000Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 8 ? 怎oレル台後半で推移したが、7月12日には1,200万バレル台後半の量へと増加している。アジア市場ではメンテナンス作業等により操業を停止している製油所も存在するものの、他方で、メンテナンス作業完了に伴い操業を再開させつつある製油所も存在することから、必ずしも国外市場から製品を調達する必要性を感じなくなり始めていることが、当該製品在庫の動きの背景にあるものと考えられる。このようにシンガポールで軽質留分在庫が増加していることに加え、米国でのガソリン在庫が高水準であること(最近は減少してきたとはいえ依然過去5年平均の量を6%程度超過している)から、従来米国に向けガソリンを輸出していた欧州からアジア方面へのガソリン輸出が増加するとの観測が、アジア市場でのガソリン価格を抑制する格好となった一方で、夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期接近が市場関係者の視野に入ってきていることがガソリン価格を下支えしたことから、ガソリンと原油の価格差(この場合ガソリンの価格が原油のそれを上回っている)は比較的限られた範囲内での変動となっている。 また、ナフサについては、原油価格の下落にナフサ価格が追い付かなかったこともあり、ナフサと原油の価格差(この場合ナフサの価格が原油のそれを下回っている)は6月下旬には縮小する場面が見られたものの、その後原油価格が上昇に転じる中、日本等でナフサ分解装置がメンテナンス作業の実施に伴い操業を停止する一方で今後製油所のメンテナンス作業の完了に伴い当該製品供給が増加するとの観測が市場で増大したことから、原油価格とナフサのそれとの差は、その後概して拡大傾向を示した。 6月14日には1,200万バレル台前半程度の量であったシンガポールの中間留分在庫は、6月21日には1,200万バレル台半ばの量へと若干増加したものの、6月28日には1,000万バレル弱へと減少、7月5日に多少回復したものの1,100万バレル半ば、そして、7月12日には1,100万バレル台後半の量と、若干ながらも減少傾向となっている。引き続きインド等アジア地域での製油所のメンテナンス作業(インドでは4月1日に全国的に軽油の硫黄含有分を50ppmに引き下げた(それ以前は350ppm)ことに伴い、製油所の高度化を含めメンテナンス作業等が大規模に実施されている旨示唆する情報もある)に伴う稼働低下により、国外市場からの軽油調達が活発化していることが、当該在庫の減少傾向の一因となっていると考えられる。このように在庫が減少気味となっていることに加え、原油価格が下落した一方で、軽油等製品価格の下落が原油価格のそれに追い付かなかったこともあり、例えば当該地域での軽油と原油との価格差(この場合軽油価格が原油のそれを上回っている)は概ね拡大する傾向が見られた。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 9 ? 月14日には2,200万バレル台前半程度の量であったシンガポールの重油在庫は、6月21日には2,300万バレル台前半の水準へと増加したものの、6月28日には、2,200万バレル台前半の量へと戻っている。そして、7月5日には2,100万バレル半ばの量、7月12日は2,200万バレル台弱の量となるなど、当該在庫は増加もしくは減少といった明確な傾向を示すことなく推移した。また、6月下旬は原油価格の下落に重油のそれが追い付かなかったことに加え、夏場の空調のための発電向け重油需要の増加が市場関係者の視野に入ったこともあり、重油と原油の価格差(この場合重油の価格が原油のそれを下回っている)は縮小する場面も見られた。しかしながら、その後は原油価格が持ち直したこともあり、2017年6月中旬から7月中旬にかけての原油市場は、6月中~下旬前半頃は、米国石油坑井掘削装置稼働数が増加したことや、リビアでの原油生産が増加した旨明らかになったことに加え、米国での原油生産が増加を続けたこと等により、原油価格(WTI)は下落傾向となり、6月21日に1バレル当たり42.53ドルの終値と、2016年8月10日以来の安値となった。しかしながら、それ以降は、これまでの原油価格下落に対して値頃感から原油を買い戻す動きが市場で発生したことや、米国エネルギー省(EIA)が2018年の米国原油生産見通しを下方修正したこと、米国の原油及びガソリン在庫が減少したこと、国際エネルギー機関(IEA)が2017年の世界石油需要を上方修正したこと等により、原油相場は持ち直している(図15参照)。 . 2017年6月中旬から7月中旬にかけての原油市場等の状況 2重油と原油の格差は概して再び拡大する傾向を示しつつある。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 10 ? 月16日に米国石油サービス企業Baker Hughesから発表された同国石油坑井掘削装置稼働数が同日時点で747基と前週比で6基の増加(同国石油水平坑井掘削装置稼働数は同日時点で677基と同5基の増加)となっている旨判明したことで、この先米国での原油生産が増加するのではないかとの観測が6月19日の市場で増大したことに加え、ドイツ石油会社Wintershallがリビアで操業していたC96及びC97油田での生産再開に関する暫定契約を6月13日にリビア国営石油会社NOCと締結し生産を再開した結果、同国での原油生産量が日量88.5万バレルへと増加した(5月末時点で明らかになっていた同国原油生産量は同82.7万バレル)旨6月19日に明らかになったことで、世界石油需給の緩和感を市場が意識したことから、6月19日の原油価格は前週末終値比で1バレル当たり0.54ドル下落し、終値は44.20ドルとなった。6月20日も、6月16日にBaker Hughesから発表された同国石油坑井掘削装置稼働数が前週比で増加している旨判明したことで、この先米国での原油生産が増加するのではないかとの観測が市場で増大した流れを引き継いだうえ、リビアでの原油生産量が増加したことで世界石油需給の緩和感を市場が意識した流れを引き継いだことで、6月20日の原油価格の終値は1バレル当たり43.23ドルと前日終値比で0.97ドル下落した(なお、NYMEXの2017年7月渡しWTI原油先物契約取引はこの日を以て終了したが、8月渡し契約のこの日の終値は1バレル当り43.51ドル(前日終値比0.92ドル下落)であった)。6月21日には、この日EIAから発表された同国石油統計(6月16日の週分)で同国原油生産量が増加している旨判明したことに加え、2017年第三四半期の通常石油需要期と思われる時期に中国の製油所が稼働を引き下げる予定である旨6月21日に報じられたことで、同国の原油調達が減速するのではないかとの懸念が市場で発生したことから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.70ドル下落し、終値は42.53ドルとなった(そしてこの価格は2016年8月10日(この時は同41.71ドル)以来の低水準の終値であった)。この結果原油価格は6月19~21日の3日間で合計1バレル当たり2.21ドル下落した。6月22日には、これまでの原油価格の下落に対して値頃感から原油を買い戻す動きが市場で発生したことに加え、熱帯性低気圧「シンディ(Cindy)」が米国メキシコ湾を縦断した結果、同湾沖合油田での原油生産に支障が発生(6月22日時点で日量29万バレル程度の生産が停止)した他、LOOP(Louisiana Offshore Oil Port)石油ターミナル(原油受入能力日量100万バレル)が「シンディ」の影響で6月20日より操業を停止していることから、米国での石油需給の引き締まり感を市場が意識したことで、この日の原油価格の終値は1バレル当たり42.74ドルと前日終値比で0.21ドル上昇した。また、6月23日もこの日英国経済情報サービス会社IHS Markitから発表された6月の米国製造業購買担当者指数(PMI、50が当該部門拡大と縮小の分岐点)(速報値)がGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 11 ? 2.1と市場の事前予想(53.0)を下回ったことに加え、同日IHS Markitから発表された6月の米国サービス業購買担当者指数(PMI、50が当該部門拡大と縮小の分岐点)(速報値)が53.0と市場の事前予想(53.5~53.7)を下回ったこともあり、米ドルが下落したことから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.27ドル上昇、終値は43.01ドルとなった。この結果原油価格は6月22~23日の2日間で合計1バレル当たり0.48ドル上昇した。 6月26日も、これまでの原油価格の下落に対して値頃感から原油を買い戻す動きが市場で発生したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり43.38ドルと前週末終値比で0.37ドル上昇した。6月27日も、これまでの原油価格下落に対して値頃感から原油を買い戻る動きが市場で継続したことに加え、6月28日にEIAから発表される予定である同国石油統計(6月23日の週分)で原油在庫が減少している旨判明するとの観測が市場で発生したこと、6月27日にドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁が、緩和政策を微調整する可能性がある旨示唆したことで、9月7日に予定されるECB理事会で緩和政策の縮小が発表されるのではないかとの観測が市場で発生したことにより、ユーロが上昇したことに加え、同日(6月27日)米国議会上院共和党が医療保険制度改革法(オバマケア)廃止法案に関する採決を延期した(当初7月4日の独立記念日に伴う休会前の採決を目指していたが、党内での意見が統一できなかったことから、休会後に採決すべく延期した)ことで、トランプ政権の政策実施能力に対し疑問視する向きが市場で増大したこともあり、米ドルが下落したことから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.86ドル上昇し、終値は44.24ドルとなった。6月28日は、この日EIAから発表された同国石油統計で同国のガソリン在庫が前週比で89万万バレルの減少と市場の一部事前予想(同0~90万バレル程度の減少)を上回って減少していたうえ、原油生産が前週比で減少している旨判明したことで、この日の原油価格の終値は1バレル当たり44.74ドルと前日終値比で0.50ドル上昇した。6月29日も、前日にEIAから発表された同国石油統計で同国のガソリン在庫が市場の一部事前予想を上回って減少していたうえ、原油生産が前週比で減少している旨判明した流れを引き継いだことで、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.19ドル上昇し、終値は44.93ドルとなった。また、6月30日には、この日中国国家統計局から発表された6月の同国製造業購買担当者指数(PMI、50が当該部門拡大と縮小の分岐点)が51.7と5月の51.2から上昇したうえ、市場の事前予想(51.0)を上回ったことに加え、6月30日にBaker Hughesから発表された同国石油坑井掘削装置稼働数が同日時点で756基と前週比で2基の減少(同国石油水平坑井掘削装置稼働数は同日時点で693基と同2基の減少)となっている旨判明したことで、この先米国での原油生産が鈍化するのではないかとの観測が市場で増Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 12 ? 蛯オたことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり46.04ドルと前日終値比で1.11ドル上昇した。この結果原油価格は6月26~30日の5日間で合計1バレル当たり3.03ドル上昇した。 7月3日も、6月30日にBaker Hughesから発表された同国石油坑井掘削装置稼働数が前週比で2基の減少となっている旨判明したことで、この先米国での原油生産が鈍化するのではないかとの観測が市場で発生した流れを引き継いだことで、この日の原油価格は前週末終値から1バレル当たり1.03ドル上昇し、終値は47.07ドルとなった。7月4日は、米国では独立記念日(インディペンデンス・デー)の休日に伴いNYMEX原油先物取引に関する終値は記録されなかったが、7月5日は、これまでの原油価格上昇に対して利益確定の動きが市場で発生したうえ、7月24日にロシアのサンクト・ペテルブルグで開催される予定であるOPEC及び一部非OPEC産油国による共同閣僚監視委員会(JMMC:Joint OPEC-Non-OPEC Ministerial Monitoring Committee)において、ロシアとしては現在合意されている減産の拡大については如何なるものにも反対する旨ロシア政府幹部が発言したと7月5日に伝えられたことで、世界石油需給の引き締まりに対する市場の期待感が後退したことにより、この日の原油価格の終値は1バレル当たり45.13ドルと前日終値比で1.94ドル下落した。ただ、7月6日には、この日EIAから発表された同国石油統計(6月30日の週分)で原油及びガソリン在庫がそれぞれ、前週比で630万バレルの減少、367万バレルの減少と、市場の事前予想(原油同160~230万バレル、ガソリン同100~180万バレルの、それぞれ減少)を上回って減少している旨判明したことで、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.39ドル上昇し、終値は45.52ドルとなった。ただ、7月7日には、この日Baker Hughesから発表された同国石油坑井掘削装置稼働数が同日時点で763基と前週比で7基の増加(同国石油水平坑井掘削装置稼働数は同日時点で701基と同10基の増加)となっている旨判明したことで、この先米国での原油生産が増加するのではないかとの観測が市場で再燃したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり44.23ドルと前日終値比で1.29ドル下落した。 ただ、7月9日に、クウェートのマズルーク石油相が、リビアとナイジェリアが現在の原油供給量で安定できれば、可及的速やかに供給制限を課するよう要請するとして、7月24日に開催が予定されるJMMCに両国を招待した旨発言したことで、この先の石油需給の引き締まり感を市場が意識したことから、この日の原油価格は前週末終値比で1バレル当たり0.17ドル上昇し、終値は44.40ドルとなった。また、7月11日には、この日EIAから発表された短期エネルギー見通し(STEO:Short-Term Energy Outlook)で、EIAが2018年の米国原油生産見通しをそれまでの日量1,001万バレルから同990万バレルへと下方修正したことに加え、7月11日に欧州石油情報機関Euroilstockから発表された6月の欧Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 13 ? B石油在庫報告で、中間留分在庫が前月比で減少している旨判明したことにより、米国暖房油先物価格が上昇したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり45.04ドルと前日終値比で0.64ドル上昇した。さらに、7月12日には、この日EIAから発表された同国石油統計(7月7日の週分)で原油在庫が前週比で756万バレルの減少と市場の事前予想(同160~230万バレル程度の減少)を上回って減少している旨判明したことで、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.45ドル上昇し、終値は45.49ドルとなった。そして、7月13日には、この日中国税関総署から発表された6月の同国原油輸入量が3,611万トン(約881万バレル)と前年同月比で17.9%の増加となっている旨判明したうえ、同じくこの日IEAから発表されたオイル・マーケット・レポートでIEAが2017年の世界石油需要見通しを日量12万バレル上方修正した旨判明したことから、この日の原油価格の終値は1バレル当たり46.08ドルと前日終値比で0.59ドル上昇した。7月14日も、ナイジェリアの原油パイプラインであるNembe Creek Trunk Line(原油輸送能力日量30万バレルとされる)の操業停止によりBonny Light原油の出荷につき7月13日正午に不可抗力条項の適用を宣言した旨同原油を取り扱うShell が7月14日に明らかにしたことで、同国からの原油供給低下に対する懸念が市場で発生したことに加え、7月14日に米国労働省から発表された6月の同国消費者物価指数(CPI)が前月比で横這いと市場の事前予想(同0.1%の上昇)を下回った他、同日米国商務省から発表された6月の同国小売売上高が前月比で0.2%の減少と市場の事前予想(同0.1%の増加)に反し低下を示していた旨判明したことで、同国金融当局者による金利引き上げペースが鈍化するのではないかとの観測が市場で発生したことにより、米ドルが下落したことから、この日の原油価格は前日終値比で1バレル当たり0.46ドル上昇し、終値は46.54ドルとなった。この結果原油価格はこの週はいずれの取引日も終値ベースでは上昇となり、7月10~14日の5日間で1バレル当たり合計2.31ドルの上昇となった。 イランでは、ペルシャ湾内で同国の漁船がサウジアラビアの沿岸警備隊から発砲を受け、漁師1名が死亡したと6月17日に報じられる(欧米メディアよれは6月16日の発生としている)(イランの漁船は高波の影響でサウジアラビア領海に侵入していた可能性がある)。また、6月19日には、サウジアラビア政府が、6月16日にサウジアラビア油田の沖合でマルジャン(Marjan)油田を目指していると見られたイランの革命防衛隊の船舶を拿捕し(船内で武器が発見されたと報じられる)、革命防衛隊員3名を拘束した、と発表した(イラン側は漁船と主張)。これらの動きにつきイラン側は、サウジアラビア側に船員の射殺にGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 14 ? . 今後の見通し等 3ホする補償金支払いと拿捕された3名の解放を要求している。他方、7月7日にはイランの革命防衛隊が同国南部のブシェール州沖合の同国領海にサウジアラビアの船舶が侵入したとして当該船舶を拿捕し、乗組員を拘束したとされる。 シリアの北部のラッカ(現在ISが支配中)では、クルド人が中心となる部隊である「シリア民主軍(SDF)」が奪還作戦を実施中である(既に4分の1を制圧した旨、6月26日に明らかになっている)が、そのような中、6月18日には、アサド政権の戦闘機がSDFの所在する場所付近を攻撃したことから、米国軍が当該戦闘機を撃墜した。これについては、シリア政府とそれを支援するロシア、そして米国との間で非難の応酬がなされている。また、6月20日には、シリア南部で米国軍主導の連合軍が、アサド政権による無人機を撃墜したと発表した。他方、6月18日には、イラン革命防衛隊がイラン西部からシリア北東部デリソール県に地対地ミサイル6発を発射したと伝えられる(少なくとも65名のIS関係者が死亡と、6月20日に革命防衛隊が発表)。他方、7月7日には、米国のトランプ大統領とロシアのプーチン大統領との間で会談が実施された後、両国はシリア南西部に安全地帯を設置することで合意した。この合意は7月9日に発効した。さらに、7月10日には、シリアに関する和平協議がジュネーブで再開した(7月14日まで行われ、現在は休会となっている)。ここにおいては、アサド政権と反体制派との間では直接協議は行われておらず、デミストゥラ国連特使を通じた交渉となったが、次回の協議(9月に予定されると伝えられる)では、アサド政権と反体制派との間での直接交渉を実現することを模索する方針である旨デミストゥラ氏は明らかにしている。 サウジアラビア等カタールに対して断交した4ヶ国は、カタールに対し13項目の要求を提示した、と6月23日に報じられる(検討期間は10日間で、当初期限は7月2日夜、但し7月2日夜(7月3日未明との情報もある)にはサウジアラビア等は回答期間を2日間延長したと伝えられる)。4ヶ国がカタールに対して提示した条件は以下の通りである。 <サウジアラビア等4ヶ国がカタールに対して提示した条件> ① イランとの外交的関係を削減し、在外公館を閉鎖する。カタールからイラン革命防衛隊員を追放し、イランとの如何なる共同軍事協力を停止する。イランとの間では米国や国際的な制裁条件に則るような貿易と商業のみが許される。 ② 「テロ組織」、特にムスリム同胞団、ISIS(IS)、アルカイダ、レバノンのヒズボラとの全ての関係を遮断する。これらの組織を正式にテロリスト団体と宣言する。 ③ アルジャジーラとその関係局を閉鎖する。 ? 15 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 C Arabi 21、Rassd、Al Araby Al-Jadeed、Middle East Eyeを含む、カタールが資金供給する新規の報道機関を閉鎖する。 ⑤ 現在のトルコ軍のカタールでの駐留を即時終了し、カタール内でのトルコとの共同軍事協力を終了する。 ⑥ サウジアラビア、アラブ首長国連邦、エジプト、バーレーン、米国及びその他の国々によりテロリストとして指定された個人、団体または組織に対する資金提供を全て停止する。 ⑦ 「テロリスト」及びサウジアラビア、アラブ首長国連邦、エジプト、バーレーンから指名手配されている個人をそれぞれの国に引き渡す。彼らの資産を凍結し、彼らの住居、移動、資金に対して求められる情報を提供する。 ⑧ 主権国家への内政干渉を終了させる。サウジアラビア、アラブ首長国連邦、エジプト、バーレーンにより指名手配される個人に対し市民権の付与を停止する。カタールの市民権付与がこれら諸国での法律に違反するような個人に対し市民権を取り消す。 ⑨ サウジアラビア、アラブ首長国連邦、エジプト、バーレーンの政治的反対勢力との接触を全て停止する。これらの反対勢力に対するカタールのこれまでの接触と支援に関する詳細についての全てのファイルを引き渡す。 ⑩ 近年のカタールの政策により生じた人命等の喪失、資金的損失に対し賠償金及び補償金を支払う。額はカタールとの調整で決定される。 ⑪ 2014年のサウジアラビアとの合意に沿って、他の湾岸諸国やアラブ諸国との間で、経済的問題に関してのみならず、軍事的、政治的、社会的、経済的にカタールを整合させる。 ⑫ カタールに提出された後10日以内に全ての要求に同意しなければ、この項目は無効となる。この文書は、カタールが遵守を拒否した場合、(要求の)提示国が行う行動については明記しない。 ⑬ 要求に同意した後の初年度は毎月監査を行い、2年目には四半期毎に監査を行うことに同意する。その後の10年間は、カタールは毎年遵守状況につき監査される。 (報道内容をもとに仮訳) 当初から、これらについては、事実上のカタールへの内政介入であり、カタールも「合理的ではない」(カタールはアルカイダ等のテロリストとの関係はないと主張しており、従って関係の遮断の受け入れは不合理なことになる)旨6月24日に批判するなど、同国がこれらの項目を受け入れるのは困難と見られていた。また、サウジアラビア等からカタールにある基地の閉鎖を要求されたトルコ(トルコはエジプトの前政権であるムスリム同胞団政権(ムルシ政権)を支援した経緯もあり、前政権を打倒した格好で成立した現政権(シシ政権)との関係は必ずしも良好ではない)のウシュク国防相が6月23日に基地を閉鎖するGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 16 ? ツもりはない旨発言した他、エルドアン大統領も6月25日にサウジアラビア側の要求は「無礼である」旨非難している。このような中、米国は6月25日に、ティラーソン国務長官が、両者協議により解決することが望ましい旨表明、その後クウェート、カタール等関係者と6月27日に会談した他、トランプ大統領も6月30日にエルドアン大統領と電話で会談、7月2日にサウジアラビアのサルマン国王及びカタールのタミム首長と会談し、湾岸協力会議(GCC)として団結してテロ活動に対抗するように促した他、7月2日にはアラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド皇太子とも会談、7月5日にはエジプトのシシ大統領と会談している。ただ、その一方で、7月3日にはカタールのムハンマド外相がクウェートのサバハ首長にサウジアラビア等の13項目に渡る要求に対する回答書を手交、サウジアラビア等4ヶ国(サウジアラビア、エジプト、UAE、バーレーン)は7月5日にカイロでその内容を協議した後共同で記者会見を実施したが、その際カタールはサウジアラビア等による要求に対して事実上の拒否を行ったとしてカタールを非難した(なお、次回の協議はバーレーンのマナマで実施する予定(但し日程は未定の模様))ものの、追加制裁の実施は見送った旨明らかになった。また、7月6日には、カタールのアティーヤ国防担当相と米国のマティス国防長官が電話会談を実施し、サウジアラビア等のカタールに対する断交問題の解決に向け努力することが重要である旨協議した他、両国間での戦略的関係強化につき努力することについても確認した。他方、ティラーソン長官は7月11日にカタールを訪れタミム首長と会談、両国はテロ組織への資金供与対策協力に関する覚書に署名したが、サウジアラビア等は同日覚書だけでは不十分である旨の共同声明を発表している。7月12日には、ティラーソン長官は、サウジアラビア、UAE、エジプト、バーレーンの外相と会談したうえで、7月13日には再びカタールのタミム首長と会談後、同国を離れている(なお、7月10日にはクウェートを訪問)。 このように、カタールについては、サウジアラビア等がカタールに提示した13項目の要求をカタールが拒否する一方、米国がサウジアラビアやカタールを初めとする各国を訪問し、調整を試みている。米国としては、対イランで団結することを希望するサウジアラビアを含むGCC諸国等の陣営が分裂するのは不本意であるため、今後も米国を含め、カタールとサウジアラビア等の関係改善のための努力が継続されると見られるが、少なくとも現時点ではお互い強硬な姿勢を殆ど崩していないように見受けられるところからすると、この先両者の対立が極度に高まるといった可能性はそれ程高くないと考えられるものの、関係が改善するにはなお紆余曲折を経るものと思われる。また、このような外交、軍事問題は時として関係者の意図せぬ方向に事態が発展する場合がありうるので、当面この問題に関しては注視していく必要があろう。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 17 ? Cラクでは、北部モスルでのIS掃討に関し、7月10日にはアバディ首相が勝利宣言を行った。ただ、この結果、同国では新たな問題が生ずる恐れがある。従来イラクでは、イスラム教シーア派(現在の政権の中心)、スンニ派(かつての政権の中心)、クルド人の連合で政府が成り立っており、以前はしばしば各勢力間で争いが発生してきた。ただ、2014年6月のISによる進撃開始以降は、各勢力は「対IS」ということで団結するようになったが、今般「IS」という共通の敵が消滅しつつあることで、再び各勢力間の争いが強まるといった展開も否定できなくなっている(既に6月7日にはクルド自治区が独立の是非を問う住民投票を9月25日に実施する方針を明らかにしている)。そして各勢力間の対立が激化した場合、政府機能が混乱、麻痺するとともに、例えば治安や軍事面での機能が一時的にせよ低下することで、破壊行為により同国の石油関連施設の運営が影響を受けるといった懸念が市場で発生することを通じ、原油価格に上方圧力を加えるといった展開となることもありうる。 また、イラクのみならず、シリア、イラン、サウジアラビア、米国、ロシア等についても「ポストIS」を巡る動きが注目される。前述の通り、現在SDFがシリア北部のISの支配中心地であるラッカの奪還をめざし作戦を展開中であるが、それをアサド政権軍機が攻撃しようと見受けられたことに対し米国が撃墜、さらにはそれをロシアが非難する一方、イランはシリアに向けミサイルを発射している。他方、ペルシャ湾では、革命防衛隊と見られる船舶がサウジアラビアの油田を攻撃しようとしたとして、サウジアラビア側に拿捕されたり、反対にイランがサウジアラビアの船舶を拿捕したりするなどの事態も発生するなどしている。このように、これまではISの掃討に各関係者の意識が向けられるといった側面が多分にあったが、そのような目的が達成されつつある現在、関係各国間を巡る情勢がかえって複雑化する兆候が見られる。このため、今後中東各国、そして米国をはじめとする関係国の行動等がどうなるかにつき注目していく必要性があろう。 米国では、7月25日~26に連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される予定であるが、既に6月13日~14に開催された前回のFOMCで金利の引き上げが決定されたことから、次回FOMCでは、金利は据え置きとなる可能性が高い(7月15日時点での金利据え置き確率は97%である)。このため、この面で短期的に米ドルを上昇させる圧力が強く加わるといった状態になるとは考えにくい。ただ、2018年3月20~21日に開催される予定であるFOMCでは45%程度の確率で金利が1.25~1.50%に引き上げられると予想されている(7月15日時点)ところからすると、引き続きこれまで変動してきた範囲を逸脱して大きく米ドルが下落するといった展開もまた可能性としてはそれほど高くはないものと考えられる。反面、米国のトランプ大統領が行き過ぎた米ドル上昇に関し牽制する発言をしている他、オバマケアの代替法案等Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 18 ? ノ関する議会与党内での意見統一に手間取るなど、同政権の政策実施能力に関して疑問視する向きが市場で発生していることなどが、米ドルの上昇を阻んでいる格好となっていることもあり、米ドルは比較的限られた範囲内での動きとなる可能性があり、このようなことから、米ドルが大規模に上昇もしくは下落することによって原油相場に上昇もしくは下落傾向が創出されるまでには至らないものと考えられる。そのような中、米国等での経済指標類の発表や米国金融関係者(もしくは欧州金融関係者)等の経済情勢や金融政策に関する発言によっては、米ドルが規模は大きくないにせよ変動するとともに、その影響が石油市場にまで及ぶことは考えられる。 また、米国では7月に入り、主要企業から4~6月期業績が発表され始めているが、この発表はもう暫く続く予定である。これらの企業による業績によっては、米国での株式相場が影響を受けるとともに原油価格にそれが反映される場面が見られうる。また、中国経済指標類でも同国経済と石油需要見通しに関する市場の考え方が変化したりすることを通じて原油相場に影響を及ぼしうる。 米国では、9月4日の労働祭(レイバーデー)に伴う連休(9月2~4日)まで、夏場のドライブシーズンに伴うガソリン需要期が継続する。しかしながら、製油所の段階では7月後半以降は徐々に9月以降の秋場の石油不需要期が視野に入ってくることもあり、メンテナンス作業実施等に向け稼働を引き下げるとともに原油精製処理量を減少させ始める。それに従い原油の購入も不活発になってくると考えられる。このためこの面では、原油相場に下方圧力を加えてくると考えられる。そしてこのような中で、米国の石油坑井掘削装置稼働数、原油生産、及びリビアやナイジェリアといったOPEC産油国減産合意範囲外の産油国の原油生産増加具合、減産に合意したOPEC及び一部非OPEC産油国の減産遵守状況及び減産拡大等の方針に関する議論が、市場から注目されるであろう。ここで、米国の石油坑井掘削装置稼働数や原油相場が継続して減少を示し始めたり、これまで増産基調であったリビアやナイジェリアにおいて、原油生産量が頭打ちになったり、もしくはこれらの国で政情不安が再燃し原油生産が脅かされたりなどするようであれば、この面では原油相場を下支えする格好で作用することになろう。 また、リビアとナイジェリアに関しては、現在の原油供給量で安定できるのであれば、速やかに供給制限を実施するよう要請するとして、7月9日にクウェートのマズルーク石油相が7月24日に開催される予定であるJMMCに両国を招待する旨発言したが、これに対しリビア国営石油会社NOCのサナラ会長は、供給制限を検討する際にはリビアの政治的、経済的、人道的観点を考慮すべきである旨7月10日に表明するなど、同国は即時供給制限の設定に関しては後ろ向きである姿勢が示唆される(なお、リビアについては、原油生産量が日量105万バレルに到達したと同国石油産業関係筋が明らかにした旨7月12Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 19 ? 冾ノ報じられる)。また、7月12日にナイジェリアのカチク石油資源担当国務相が、自国の原油生産量が日量180万バレルに到達すれば、減産に参加する方針であり(同氏によれば、現時点での原油生産量は日量170万バレル程度)、そうなるためには少なくともなお2~3ヶ月は要する旨示唆している。従ってそれまでは減産参加は見合わせるものと見られるが、同国では、7月13日にNembe Creek Trunk Lineが不具合の発生で操業を停止、それに伴い同国産Bonny Light原油の出荷に関し不可抗力条項の適用が宣言されるなど、同国の原油生産が安定したと判断されるまでにはそれなりの期間を要する可能性がある。このようなこともあり、クウェートのアルガイス(Al-Ghais)OPEC理事は、7月14日に、両国の原油生産安定化を確認する必要があるため、現時点での供給制限の設定は時期尚早である旨表明している。なお、7月9日にはバルキンドOPEC事務局長が、7月24日に開催される予定であるJMMCでは、減産幅の拡大を議題とする予定はない旨明らかにしている。 大西洋圏ではハリケーン等の暴風雨シーズンに突入した(暴風雨シーズンは例年6月1日~11月30日である)。ハリケーン等の暴風雨は、進路やその勢力によっては、米国メキシコ湾沖合の油田関連施設に影響を与えたり、また、湾岸地域の石油受入港湾施設や製油所の活動に支障を与えたり(実際に製油所が冠水し操業が停止することもあるが、そうでなくても周辺の送電網を切断することにより、製油所への電力供給が停止することを通じて操業が停止するといった事態が想定される)、さらには、メキシコの沖合油田操業や原油輸出港の操業等が停止することにより米国の原油輸入に影響を与えたりする(米国メキシコ湾岸地域はメキシコから日量57万バレル程度(2016年)の原油を輸入している)。2017年のハリケーン等暴風雨発生予測は、平年並み、平年よりも活発、平年よりも不活発、といった見通しが混在している状況にあるものの、予測機関の中には、暴風雨等の発生予想を上方修正しているところもある(表1参照)。最近では米国の原油生産に占める陸上の割合が大きくなってきているものの、それでも米国メキシコ湾でもそれなりの量(2016年は日量161万バレル)生産されていることから、今後のハリケーン等暴風雨発生に関する見通しの更新、及び実際のハリケーン等暴風雨の発生状況及び進路、そして強さ等により市場での石油供給懸念が増減する結果、原油相場に影響が及ぶといった展開も考えられる。 ? 20 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 表1 2017年の大西洋圏でのハリケーン等発生個数予想発表日熱帯性低気圧(命名されるもの)うちハリケーンとなるものうち強い勢力*のハリケーンとなるものコロラド州立大学4月6日1142米国海洋大気庁5月25日11-175-92-4コロラド州立大学6月1日1462コロラド州立大学7月5日1583平年(1981~2010年平均)12.06.52.0*:カテゴリー3(風速時速111マイル(時速178km))以上のハリケーン出所:各機関予測をもとに作成S体としては、地政学的リスクと米国等の経済指標類については、展開によっては原油相場に影響する場合があるが、そうでなければ当面影響は限定的なものになるものと考えられる。他方、夏場のガソリン需要期の終了が視野に入り始めることから、季節的な石油需給の緩和感が市場で意識されやすく、この面で原油相場には下方圧力を加えやすくなると考えられる。ただ、そのような中で、OPEC及び一部非OPEC産油国で合意した減産につき目標の引き上げが検討され始めたり、米国での石油坑井掘削装置稼働数や原油生産量の増加ペース、また増産を続けるリビアやナイジェリアでの原油生産量に変化の兆しが見られたりなどすれば、それらの要因が原油相場を下支えする格好で作用することもありうる。 IEAは6月14日に、OPECは7月12日に、それぞれ初めて2018年の石油需給見通しの詳細を発表した。ここでは、既に2017年1月10日に2018年見通しの詳細を発表しているEIAを含め2018年の世界石油需要及び供給見通し等の特徴などにつき述べることとしたい(なお、データは原則、EIAが7月11日、OPECが7月12日、IEAが7月13日に、それぞれ発表したもの(つまり最新のもの)に基づくものとする)。 まず、需要面であるが、2018年の世界石油需要は、前年比で日量127~161万バレル程度の増加を見込む(IEAが同141万バレル(前年比1.4%)、EIAが同161万バレル(同1.6%)、OPECが同127万バレル(同1.3%))の、それぞれ増加)(図16参照)。増加量で見ると、2017年と同様か、もしくは拡大することが示唆される(2017年は、IEAが同141万バレル(前年比1.5%)、EIAが同147万バレル(同1.5%)、OPECが同126万バレル(同1.3%)の、それぞれ増加)。地域的には、中国、インド、米国等で需要が増加すると予想されているが、その中でも中国とインドでの需要の伸びが世界の需要の伸びの相当程度の割合を占めると考えられている。また、製品別にはLPG、ガソリン、ジェット燃料等が需要の伸びの中心になると見られている。特にLPGの伸びが顕著になるのが、2018年の予想の特徴であると見受けられる。これは、米国で2017年前半に2基のエタン分解装置(エチレン製造装置)が操業を開始する他、2018年末までにさらに5基のエタン分解装置が操業を開始する予定であることから、エタン(LPGの主要成分の一つ)に対する需要が増加することが一因である。また、中国でも、新規のプロパン脱水素化装置(PDH)の稼働により、プロパン(LPGの主要成分の一つ)の需要が伸びると考えている。さらに、EIAやOPECは、中国でガソリン需要が伸びると予想している他、EIAやIEAは中国でジェット燃料の需要が伸びる旨指摘している。他方、インドでは、2016年11月8日にモディ首相により突然Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 21 ? . 2018年に向けた世界石油市場に対する関係者の見方 4ュ表された通貨単位変更(デノミ)政策により同国経済が混乱した結果、2017年前半にかけ、同国のガソリンや軽油といった石油需要が鈍化するといった影響が生じたが、その反動で2018年の同国の石油需要が伸びるとIEAが予想している他、EIAやIEAはインドでの低所得者層向けのLPG転換により、当該製品の需要が増加するとしている。また同国では、石油化学産業向けのナフサやエタンの需要も伸びるとEIAは見ている。他方、サウジアラビアでは、2016年は発電部門で天然ガスが利用されるようになったことから、この時は原油の需要が減少したが、2018年は天然ガスが石油化学部門に利用されるようになるため、発電部門では再び原油に対する需要が増加するとEIAは説明している。 次に非OPEC産油国による石油供給である。2018年は、前年比で日量114~144万バレル程度の増加を見込む(IEAが同144万バレル(前年比2.5%)、EIAが同116万バレル(同2.0%)、OPECが同114万バレル(同2.0%))の、それぞれ増加)(図17参照)。これは増加量で見ても増加率で見ても、2017年よりも伸びが加速することを示している(2017年は、IEAが同73万バレル(前年比1.3%)、EIAが同96万バレル(同1.7%)、OPECが同81万バレル(同1.4%)の、それぞれ増加)。そしてその伸びの中での主要な部分を占めるのが米国である。2018年の米国の石油生産量は前年比で日量85~104万バレルの増加と予想している(IEAが同104万バレル(前年比8.0%)、EIAが同99万バレル(同6.3%)、OPECが同85バレル(同5.9%)の、それぞれ増加)(図18参照)。これも増加量で見ても増加率で見ても、2017年よりも伸びが加速することを示している(2017年は、IEAが同61万バレル(前年比4.9%)、EIAが同78万バレル(同5.3%)、OPECが同85万バレル(同5.4%)の、それぞれ増加)。EIAは、パーミアン盆地での原油生産の増加が中心になるとの見解を明らかにしている。ただ、EIAは、原油価格が2017年後半から2018年にかけ下落すると予想されることが米国のシェールオイル生産に影響すると見ているようであり、この結果2018年の原油生産見通しを6月時点の予測である日量1,001万バレル(うち本土48州陸上が同762万バレル)から7月時点の予測では同990万バレル(うち本土Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 22 ? 8州陸上が同752万バレル)へと下方修正している。OPECも、米国のシェールオイル生産のコストが上昇するというのがアナリスト間での統一した意見であり、加えて、生産性が良好な坑井からその周辺地域にある坑井へと操業地域が移行していくことから、各坑井の生産性は過去に比べると劣る旨指摘していることもあり、米国の原油生産量の増加度合いが控えめになっていると見られる。他方、米国メキシコ湾沖合では、2017年にはTahiti油田の拡張が完成するとともにHorn Mountain Deep油田が生産を開始、そして2018年にはBig Foot及びStampedeプロジェクトが操業を開始する他、他のプロジェクトも2017~18年に操業を開始することが米国メキシコ湾岸での増産に寄与するとしている。さらに、EIAは、石油化学産業に向けのエタン需要増加により、天然ガス処理施設でのNGL(そしてその大半の成分はエタン等のLPGである)生産が増加する旨予想している。 米国以外では、カナダのアルバータ州のFort Hills、Meadow Creek、Kirby North等のオイルサンドプロジェクトやニューファンドランド州のHebron重質油プロジェクトで生産を開始することが2018年の同国での石油生産増加に寄与すると、IEAやEIAは考えている。他方、ブラジルでは、サントス盆地のプレソルト層開発が進展、2017年中にさらに浮遊式生産・貯蔵・出荷装置(FPSO)1基(P-67)、加えて2018年に5基(P-69、70、74~76)が、それぞれ操業を開始することで、生産が増加すると見られていGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 23 ? 驕Bまた、カザフスタンでもカシャガン油田での生産拡大が、同国での石油供給増加に貢献するとしている。さらに、カタールではNGLの生産が伸びるとEIAは指摘している。他方、メキシコや、原油価格下落で経済性の低い坑井での生産を停止したうえ新規油田開発投資を抑制した中国等では、石油生産は減少すると見られている。 そして、世界石油需要から非OPEC産油国石油供給とOPEC産油国のNGL等を差し引いた、いわゆる対OPEC原油需要等(「Call on OPEC」、但しこれには在庫変動も含まれる)は、IEAとEIAで2018年に日量3,281万バレル、OPECで同3,220万バレルになると予想しており、これは2017年とほぼ同水準である(IEAが前年比で日量13万バレル減少、EIAが同22万バレル増加、OPECが同5万バレル減少)(図19参照)。従って、いずれの予想に従ってみても、2018年第一四半期末でOPEC及び一部非OPEC産油国による減産が終了し、以降各産油国が増産体制に入ると、2018年は再び供給過剰の状態に戻る恐れがある。IEAの例を見ると(表2参照)、2018年第一四半期まで現状の生産をOPEC産油国及びロシアが継続した場合、産油国での供給削減の影響が消費国で感じられるようになるために2ヶ月程度の時間差が発生することを考慮すると、2017年末迄にOECD諸国全体では、石油在庫が約2.7億バレル程度減少することになる。6月末時点でOECD諸国石油在庫が対5年平均を超過する量は2.4億バレル程度と見られることから、この余剰分は解消できるものと見られる。しかしながら、非OECD消費国における余剰在庫分まで一掃できるかどうかは微妙なところである。そして、2018年第一四半期までOPEC及び一部非OPEC産油国が減産を継続した場合の2018年の世界石油需給バランスシナリオを考えた場合(表3参照)、2018年第一四半期は需給がほぼ均衡するものの、減産終了後の第二四半期以降は再び供給が需要を上回ることが予想される。このため、次回OPEC総会等においては減産の再延長等を検討する必要性に迫られる可能性があることが示唆される。 ? 24 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 25 ? 表2 世界石油需給バランスシナリオ(2017年)(単位:日量百万バレル)20161Q172Q173Q174Q172017総需要①96.5596.4597.4498.7299.2097.96非OPEC生産57.3757.7857.6258.3358.6558.10OPEC原油生産32.7832.0232.2732.6032.6032.38OPEC NGL生産6.826.876.886.996.986.93総供給②96.9696.6796.7797.9198.2497.40在庫変動その他(②-①)0.410.22-0.66-0.80-0.97-0.56出所:IEAデータをもとに推定*: OPEC産油国については2017年6月の原油生産量がその後も維持されるものと仮定。表3 世界石油需給バランスシナリオ(2018年)(単位:日量百万バレル)20171Q182Q183Q184Q182018総需要①97.9698.2898.65100.01100.5199.37非OPEC生産58.1058.7359.1959.9460.2759.54OPEC原油生産32.3832.6033.7333.7333.7333.45OPEC NGL生産6.937.017.057.027.017.02総供給②97.4098.3499.97100.69101.01100.01在庫変動その他(②-①)-0.560.071.320.680.500.65出所:IEAデータをもとに推定*: OPEC産油国については2017年6月の原油生産量が2018年3月まで継続、その後減産実施以前の状態まで増産されるものと仮定。 |
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