ページ番号1004738 更新日 平成30年2月16日

映画「バーニング・オーシャン」では触れられなかった「メキシコ湾油流出事故対策」から見える油田開発レジリエンス

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レポートID 1004738
作成日 2017-08-29 01:00:00 +0900
更新日 2018-02-16 10:50:18 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 探鉱開発
著者 伊原 賢
著者直接入力
年度 2017
Vol 0
No 0
ページ数
抽出データ 作成日: 2017/8/29 技術部: 伊原 賢 公開可 (BP、角川映画ほか) 画「バーニング・オーシャン」では触れられなかった「メキシコ湾油流出事故対策」 映から見える油田開発レジリエンス ? 2010年4月20日にメキシコ湾で発生した掘削施設(リグ)「Deepwater Horizon」の暴発・沈没事故により、油流出とそれが米沿岸部に広がった問題について、事故が発生した掘削事業、事故発生の経緯と対策、及び、事故原因の調査について、色々な報道や分析がなされた。今2017年には同事故を題材にした映画「バーニング・オーシャン」が日本でも公開された。 ? 大水深における掘削作業の信頼性確保には、宇宙開発と同じ位の高度な技術力が必要とも言われる。両者の共通点は、地表環境と比べ厳しい環境にあること、修理や回収のためのアクセスが簡単にできないこと(ダイバーの潜水限界は水深300m)が挙げられる。両者とも信頼性を維持し、良好に作動することが必要である。 ? この大惨事をもたらした背景と教訓について、海面下での事故対策、事故の発生原因にかかる技術的考察、石油業界の大規模再編の可能性をレビューする。レビューを踏まえ、最近のメキシコ湾での油田開発は油価下落に対して復元力(レジリエンス)を持ったことを考える。 ? 2010年4月にメキシコ湾沖で発生した原油流出事故は、流出した原油量が78万キロリットルと史上最悪になった。掘削リグ「Deepwater Horizon」の暴発・沈没事故を題材にした映画「バーニング・オーシャン」が、今年の4月21日から日本で公開された。報告者は専門家の立場から映画のパンフレットなどに協力した。 .映画「バーニング・オーシャン」とは? 1 (BP発表) メキシコ湾原油流出事故 ? 2010年4月20日、メキシコ湾沖にて英国石油大手BP操業の石油掘削施設(リグ)で発生した事故。掘削中の海底油田からガス・原油が逆流して掘削リグが爆発し、大量の原油がメキシコ湾に流出した。事故により11人の作業員が犠牲になった。BPの事故対策費用は計616億ドルにのぼる。 ? Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)技術部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 1/8 掘削リグ「Deepwater Horizon」 (BP発表) ? スイスのトランスオーシャン社が所有し、BPとの契約の下で、メキシコ湾の様々な鉱区で石油掘削を行ってきた最先端の海洋油田掘削施設。 ? 自動船位保持装置を備えた半潜水式の石油掘削施設で、海に浮きながら自動で位置を調節し、大水深の海底から石油を掘削することが可能。ディープウォーター・ホライゾンは高度な掘削施設だった。R&Bファルコン社の発注で1998年末から韓国蔚山の現代重工業が建造し、デッキの大きさはサッカー競技場ほどもある。高さ25層で、146人の生活スペースがあり、ジムや映画劇場なども完備されていた。ディープウォーター・ホライズン内の機械類は、掘削の制御モニターからコンピューター制御のムアリングシステムや自動遮断防御装置まで最先端の技術が起用されていた。事故発生時の乗務員は126名。 (BP発表) 事故発生鉱区 ? Mississippi Canyon 252鉱区(MC252鉱区 水深約1,500m、図1) Macondo(マコンド)坑井 ? ルイジアナ州Veniceの南東80kmの海上 ? オペレーター: BP(権益保有65%) ? 掘削コントラクター: Transocean(トランスオーシャン、スイス) ? セメンチング作業者: Halliburton(ハリバートン、米国) ? 防噴装置(BOP, Blow Out Preventer)製造業者: Cameron International(キャメロン、米国) ?ベニス 図1 掘削リグ「Deepwater Horizon」の暴発・沈没地点 (出所: 各種資料を基にJOGMEC調査部作成) 事故の発生までの流れ ? 2009年10月6日にMississippi Canyon 252鉱区において、「坑井32306-1」として掘削リグ (BP発表) ?「Transocean Marinas」により水深4,992ftにて掘削開始。 ? 同年11月28日に坑井状況をsuspended tight(掘管の抑留)とし掘削を中断。ハリケーンIdaにより損傷した掘削リグ「Transocean Marinas」はPascagoula(ミシシッピ州の港)に移動。 ? 2010年2月28日に、「坑井32306-1+」として掘削リグ「Deepwater Horizon」により掘削を再開。リグレート50万ドル/日。 ? 4月14日に13,000ftの垂直深度(掘削長さ18,000 ft)に到達。対象のMacondo層は数千万バレルの埋蔵量が期待。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)技術部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 2/8 }2 事故を引き起こした8つの原因 (出所: 各種資料より、報告者作成) ? 掘削は17日に終了。仮廃鉱中の20日夜に坑井からの暴噴によりリグにて大火災発生。 (報告者推測) ? 事故を引き起こした8つの原因(図2) ①油井部分のセメンチング作業ミス ②坑底のセメント逆止弁が機能しなかった ③セメンチング作業後に行われた圧力テスト不安定 ④掘管の圧力上昇に気付かず ⑤坑井コントロールの遅れ ⑥掘削リグへのガス噴出 ⑦噴出ガスの一部が引火源(副次的) ⑧爆発時に防噴装置BOP不作動 原因の場所 原因の流れ Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)技術部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 3/8 フ直前は「仮廃坑中」だった。油の層が発見され、掘削リグがそこから移動するためには、坑井内にふた 事をしなければならない。そのふたがセメントだ。セメントが効いているかどうかは専門家(映画ではSchlumberger社)が坑井内に機器を下して、その固まり具合をチェックする。 しかし、実際は工期の遅れを取り戻すため、チェックを省略した(原因①)。BP社はセメントのきき具合が不十分でも、坑底に設置した逆止弁があるため、油の坑井への流入は防げると考えた。しかしそれも機能しなかったと考えられる(原因②)。 セメンチング作業後の20時間後には、坑井内の圧力上昇が検知されていたが、あまり重要視されていなかった(原因④)。泥水は油の力に打ち勝つために入れられていたが、それを坑井内から坑口に循環時に泥水中のガスが完全に抜け切れなかったと考えられる(原因⑤)。セメンチング作業前にガスを抜くための坑底から坑口間の泥水循環が不足した。すなわち、坑井コントロールの遅れ(原因⑤)である。映画で海底面からガスが出ていた場面があったが、それは海底面に設置されている坑口の損傷を意味する。 ネガティブ圧力テストは、油やガスが坑井内へ流入しているかをチェックする作業である。海水を坑井内に置換させる。海水は泥水に比べ比重が低いため、坑底の圧力が油の層の圧力より下がり、油が坑井内に流れ込みやすい状態にする作業である。そのテストでも圧力は不安定だった(原因③)。映画でトランスオーシャン側を演じるカートラッセルとBP側を演じるジョンマルコビッチがやりあう場面があった。ガスや油がケーシングの外側(アニュラス)を伝わって上昇、またケーシングハンガー(シール部)からケーシング内に流入したと考えられる。 その後、掘削リグへのガス噴出(原因⑥)、噴出ガスの一部引火(原因⑦)が起き、映画の最後の方で取り上げられた「防噴装置BOPが爆発時に不作動」が起きた(原因⑧)。 ? 映画で描かれた事故発生の経緯詳細 (参考資料 1) 2.海面下での事故対策と事故の意味合い 事故収束までの流れ 2010年4月25日 5月5日-8日 5月26日-28日 5月27日 6月3日 7月10日 7月15日 7月20日 8月5日 9月15日 9月18日 9月19日 海底1,500mで遠隔操作ロボットによる防噴装置のバルブ閉めを試みるが失敗。 海底1,500mで漏油の3個所を封印しようと試みるが失敗に終わる。 防噴装置からの油流出を封印しようと試みるが失敗に終わる。 ルイジアナ州海岸線の160kmにわたって、油膜の漂着を確認。 防噴装置上部のパイプを使い吸い上げを開始、油は船で陸上まで移送され処理。 「油吸い上げ」から「油の流出封印:シーリングキャップ」作業への転換を図る。 海中への油の流出を止めることに成功。 海面に漂う油を燃やして処理する作業も終了。 「海面下での事故対策は収束に向かう」との報道が頻繁にみられる。 リリーフ井によりマコンド坑井からの油止めに成功。 坑内のセメンチングも含め全作業が終了。 マコンド坑井からの油止め作業は無事完了したとBPが関係者と共に公表。 (参考資料 2) ?? 海中及び海面への漏油が2010年4月20日の事故発生後、7月15日まで続いたという点で、深刻な? 事故。 5月27日ルイジアナ州の海岸線160kmにわたり、油膜の漂着が確認。7月19日までに油膜回収に6,500隻以上の作業船が動員され、106.9万バレルが回収された(80.7万バレルすくい、26.2万バレル 4/8 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)技術部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 (報道ベース) 事故の意味合い ?R焼)。油膜中の油分は約3%とされる。 ? 流出した油膜は、潮流・海流・風によって広がり、メキシコ湾の暖流にのって、フロリダ海峡さらにはキューバにも達する可能性が示唆されたが、現実にはそこまで至らなかった。 ? BPの損害賠償は油膜汚染除去費用だけで100億ドル、環境保護団体からの損害賠償も加えると300億ドル超という見方が、6月頃より報道されるようになった。 6月23日、BP‘s Gulf Coast Restoration Organizationが設立。 ? ? BPの株式時価総額は、事故発生後6月半ばまでに4兆円減(BPの自己資本10兆円の40%)を記録。BPの2009年の純利益1.25兆円も水泡に帰すかもしれないとの報道が出てきた。BP自身も損害賠償額次第では上流戦略の見直しが必要となろうとの見方が強まった。 ? 坑井から漏洩した流量は最大で、1989年アラスカ沖で座礁したExxon社のオイルタンカーValdez号からの流出量25.7万バレルの8倍程度とも言われる(6月11日までの流出量は210万バレル、米国地質調査所USGS)。 8月4日、米政府の科学者チームは累計流出量を493万バレルと推定した。シーリングキャップによりBOPを介した海中への油流出が止まった7月15日までの洋上への油吸い上げ量は、80万バレル強なので、この推定が正しいとすれば410万バレルの油が海に流出した計算となる。 ? ? 海岸での漂着回収や海面ですくったり(100万バレル)、焼却されたり(27万バレル)、また、海中での中和剤の噴霧による油分の分散量(41万バレル)を全て足しても、410万バレルには至らない。 ? この要因としては、流出した油のガス油比が2,200立方フィート/バレルと非常に高い揮発性の油のため、流出量の大半が暖かい海水や大気にも助けられ蒸発したと考えられている(240万バレル)。 事故には八つの原因が重なった。 ― 「背景として工期が約50日間遅れていたことがある。1日約5000万円の損失が発生していた。事故の原因の一つに、海底下の井戸をセメントで仮止めする際、工期の遅れを取り戻そうと、井戸の仮止めを確認する安全テストを省いた。1工程を省いても大丈夫だろうと過信した。」 ?? 海底からの油の逆流を防ぐ逆止弁も機能しなかった。 ― 「八つの原因をみていくと『まさか』という想定外が重なった。最後に地中から上がってくるガスと原油を途中で遮断する予定が、パイプを切断できず海上施設に達して爆発した。(事故を起こした)英国BPはメキシコ湾で石油掘削の実績が豊富で、それまではうまくいっていた。そのBPが事故を起こしたという衝撃があった。」 ? 人災の側面があるのか。 ― 「工事は最終段階に達しており、次の井戸に向かおうとしているタイミングだった。作業員が一番安心しており、気の緩みがあったのかもしれない。」 ? この事故から得た教訓は何か。 ― 「技術面で安全対策が不足していたわけではなかった。安全確認の作業を手抜きせず、手順通りやることが重要だ。現在は安全対策のチェック機能が厳しくなった。その結果、石油産業への新規参入はより難しくなり、大手がさらに強くなったとも言える。」 ? 事故の発生で有名な経験則に「ハインリッヒの法則」がある。1件の重大事故の背後には29件の小さな事故があり、その背後に300の異常がある、とされる。メキシコ湾の原油流出事故も、それまでに小さな事故や異常があったのかもしれない。事故を未然に防ぐには、当たり前のことを着実に実行する必要があるだろう。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)技術部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 5/8 4.事故がもたらした海洋石油開発へのインパクト (事故発生当時の報告者推測) 大水深の油・ガス田開発地域は増えており、掘削作業は年々増加。 ?3.事故のポイントと得た教訓 (報告者推測) 大水深開発エリア:米国メキシコ湾(1980年代~)、ブラジル沖(1990年代~)、西アフリカ沖(1990年代後半~)、東南アジア(2000年代~)。近年は東アフリカ、南アジアも(図3)。 図3 世界の大水深石油ガスフィールド分布 ? 大水深の掘削コントラクターとしてTransocean社は最大手で経験・実力ともに十分な信頼性あり(図4)。メキシコ湾では過去10年に全体で1,000坑以上掘削されるも、大きな事故発生はなかった。 出所: PFCレポート) ( 図4 メキシコ湾の大水深掘削リグ数 ? 一方、BPは、ExxonMobilの生産量規模に並ぶ、石油換算で400万バレル/日(2009年)を生産する国際石油会社(メジャー)。同社はメキシコ湾でも生産量の23%を占め、最も活発に活動する企業であった(図5)。 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)技術部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 6/8 (出所: PFCレポート) 表1 大水深石油開発へのインパクト (出所: 各種資料より、報告者作成) 図5 メキシコ湾の石油開発オペレーター(生産量ベース) ? 石油・ガス開発は深い水深域(水深2,000m以上)へ、加えて高温・高圧化する大深度(掘削深度6,000m以深)に挑戦していた。 メキシコ湾での石油や天然ガスの生産量は、国内生産量の各々30%(170万バレル/日)、11%(2.7兆立方フィート/年)。事故のこれら生産量への下げの圧力は短期的にはほとんどなかったが、中長期的には掘削や保守の中断や新規プロジェクトの延期から徐々に影響を受けると考えられた。石油・ガス上流業界全体としては、今回米国における暴噴事故の発生、それに端を発した地元住民や環境に甚大な被害をもたらした原油大量流出の惨事に関し、真摯に受け止めることになった。 ?? この事故の大水深石油開発への影響は表1にまとめられる。 7/8 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)技術部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 毎年5月初旬にメキシコ湾のお膝元である米国テキサス州ヒューストンで開かれるOffshore Technology Conference(OTC)は、海洋石油開発技術に関する世界最大級の見本市である。過去二年(OTC2016、OTC2017)を見ても100か国以上から6万5千人以上もの関係者が集った。開発効率の向上、安全な海洋油ガス田操業、高温・高圧下での海底機器の機能向上、油価50ドル/バレルのレベルにおけるイノベーションと収益確保ほかに関心が集まった。 米国エネルギー情報局EIAによれば、2016年のメキシコ湾の原油生産量160万バレル/日と過去最高になった(図6)。2017年1月には170万バレル/日に達した。2018年にかけても増産が見込まれる。大水深プロジェクトは、経済性を正当化するのに貯留層からの油ガス回収量を増やす必要があるため複雑である。スケジュール・コスト・生産目標を達成したのは、わずか8%のプロジェクト数に過ぎない(OTC2016)。掘削コストは海洋石油開発コストの50~80%も占める。掘削リグの稼働数は2014年の55基から2016年には22基に減った。しかしながら、掘削リグレートの低下に伴い、油価40~50ドル/バレルでも採算性があうと考える開発事業者が増えている。安全を担保したうえでの掘削作業の効率向上が図られている。具体的には、ベンチマークの洋上での掘削スピードは、数年前に1,000フィート掘削するのに8日かかったが、今日では4日間に低減できていると言われる(OTC2017)。掘削作業の効率向上が原油増産に寄与していると見る。 ?5.最近のメキシコ湾での油田開発動向 (出所: EIAレポート) 以上 図6 メキシコ湾の原油生産量推移 図6に示すように、メキシコ湾の原油生産量は2010年4月の事故発生後、数年間は下落傾向にあったが、2014年半ばの油価下落にも関わらず、その後反転し生産量は伸びる傾向にある。メキシコ湾の油田開発は油価下落に対して復元力(レジリエンス)を持つことを示している。これを支える背景として、2010年の事故対策及びその後の油田開発に適用された技術改良が、油価下落に耐えうるレベルを維持し続けたことが挙げられよう。 ?<参考資料> 1 角川映画「バーニング・オーシャン」、2017年4月、伊原賢 技術解説 2 JOGMECホームページ 石油・天然ガス資源情報「米国: 掘削リグDeepwater Horizonの暴発と沈没についての技術的考察」、2010年6月14日、同 執筆 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)技術部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 8/8
地域1 北米
国1 米国
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 北米,米国
2017/08/29 伊原 賢
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