ロシア: Nord Stream 2の動向と米国の新対露制裁法の影響
| レポートID | 1004739 |
|---|---|
| 作成日 | 2017-09-13 01:00:00 +0900 |
| 更新日 | 2018-03-05 19:32:42 +0900 |
| 公開フラグ | 1 |
| 媒体 | 石油・天然ガス資源情報 1 |
| 分野 | 天然ガス・LNG |
| 著者 | 本村 真澄 |
| 著者直接入力 | |
| 年度 | 2017 |
| Vol | 0 |
| No | 0 |
| ページ数 | |
| 抽出データ | 更新日:2017/9/11 調査部:本村眞澄 公開可 ・ロシアから欧州への天然ガスは、従来ポーランド、ウクライナを経由するルートが主体であったが、これらを迂回するバルト海経由でドイツと直接結ぶNord Streamが2011年に稼働開始した。 ・これを拡充すべく、Nord Stream 2が構想されてきたが、従来の通過国からの迂回が進むことから、これを「政治的」な排除であるとして、通過国側から激しい反対論が展開されてきた。 ・この反対論の表向きの理由は、EUはエネルギー源の分散化に努め、ロシアのガスにこれ以上依存すべきでないというものであるが、実際は両国ともに自国の地下を通過するロシア産ガスの通過料がNord Stream 2開通により減らされることで反対している。 ・一方、欧州の主要国においては、今後も天然ガス需要の増大が予想され、ガスの安定的な供給を確保するためのインフラ整備であるとして、Nord Stream 2は「商業的」な事業との反論がある。 ・2017年8月、米国で「露・イラン・北朝鮮制裁法」が成立したが、同法にはロシアからのエネルギー輸出パイプラインへの投資・技術等の提供を禁止するという条項(232条)が入れられており、これには米国人のみならず外国人も対象となる。計画中のNord Stream 2が対象となる可能性がある。 ・Nord Stream 2に参加を予定していたドイツのWintershallやオーストリアのOMVは猛反発し、両国政府も激しく米国を批判している。 ・一方、今回の対露制裁法は米議会によるポーランドやウクライナへの支援策とも言え、これらの国は米国に対して謝意を示している。 ・2014年のウクライナ問題の発生以来の対露経済制裁は、米とEUが強調し平仄を合わせて対処してきたが今回は米だけが先行し、ここに来て米とEUの利益が一致しないようになった。ロシアから欧州へのガスに一定程度依存せざるを得ない西欧と、反露的傾向の強い旧東欧諸国及び欧露の接近を阻止したい米国という構図が根底にある。 シア: Nord Stream 2の動向と米国の新対露制裁法の影響 ロ はじめに . 2017年8月に「露・イラン・北朝鮮制裁法(Countering America’s Adversaries Through Sanctions Act、米国の敵に制裁で対抗する法)」が成立した。これには、ロシアからのエネルギー輸出パイプラインへの投資・技術等の提供を禁止するという新たな条項(232条)が入れられており、現在計画中のNord Stream 2も対象となると考えられる。これに対して、このプロジェクト 1Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 1 ? ヨの参加を予定していたドイツのWintershallやオーストリアのOMVは法案審議の段階で猛反発し、両国政府も激しく米国を批判した。但し、下院での修正で、「大統領は同盟国と協議し」という文言が挿入されて、批判がトーンダウンしている。本稿では、Nord Stream 、Nord Stream 2を巡る議論を追いつつ、新規制裁の影響を検討する。 Nord Stream の現状 . 2(1) Nord Stream の発足の経緯 Nord Stream 2の議論に入る前に、この先行事例であるNord Stream の状況に触れておきたい。Nord Stream計画の発端に関しては、拙稿「ロシア: 最終段階に来たノルドストリーム」(石油天然ガス資源情報, 2009/6/15)に記した1。当初のドイツとの議論は、ウクライナを通るガスパイプラインの老朽化問題であったが、2004年のウクライナでのオレンジ革命以降、むしろウクライナを迂回し、バルト海を経由して直接ドイツに向かう新たなパイプライン計画が、プーチン大統領とシュレーダー(Shoeder)首相(当時)の間で合意された。 ロシアから直接ドイツへガスを供給する総延長1,224kmのNord Streamの第1ライン(能力:275億m3/年)が稼働を開始したのは2011年9月6日、バルト海のヴィボルグでプーチン首相(当時)とドイツのシュレーダー前首相を迎えて開通式が行われた。そして、翌2012年10月には、Nord Streamの2本目のラインが開通し、通ガス能力は年間550億m3となった(図1)。 (2)OPALパイプラインの輸送量制限が隘路に Nord Streamは、2011年から第1ライン稼働開始(275億m3/年)、2012年には第2ラインが完成し本格稼働が開始となったが、その後も本来の輸送能力550億m3/年に達することはなかった。その原因は接続先のOPALパイプラインの輸送量制限であった。 OPALパイプラインとは、Nord Streamの陸揚げ地点であるドイツのグライフスバルト(Greifswald)から、チェコのオルベルンハウ(Olbernhau)までの470kmを結ぶ口径55”(1,400mm)、能力360億m3のパイプラインである(図1)。 1 https://oilgas-info.jogmec.go.jp/report_pdf.pl?pdf=0906_out_i_Nord%2dStream%2epdf&id=3347 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 2 ? 図1 ノルド・ストリーム(数字は2013年のガスパイプラインの輸送実績)(JOGMEC作成) 2011年の9月にノルドスリームの第1ラインの完成に併せて、OPALパイプラインも完成した。しかし2012年に、欧州委員会(EC)は、第3エネルギーパッケージに基づき、ガスプロムに対し、OPALパイプラインについてはEU域内にあることから第3者アクセスを可能にするべく、容量の50%しか使用できないことを決定した。2012年10月にはNord Stream第2ラインが完成し、輸送能力は550億m3まで拡大されたが、翌2013年時点でのNord Streamの輸送実績は237.7億m3で、稼働率は43%に止まった2。これはNord Streamから先のOPALパイプラインでの使用制限のためである(図1)。 ガスプロムは欧州委員会に対してOPALへの例外的措置の適用を申請したが、 その後発生した「ウクライナ問題」で、ロシアとウクライナの関係は極度に悪化し、協議は停滞した。 2016年10月、欧州委員会(EC)はOPALパイプラインに関して、年間ガス輸送能力に占める 2 Itar-Tass、2014/1/28 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 3 ? azpromのガス輸送量比率を80%にまで増やすことを認めた3。しかし、ポーランドの国有ガス企業PGNiGが欧州司法裁判所に対してこれを不服として提訴し、裁判所はこれを受けて12月28日にこの決定の実施の裁定を一時中断した。 2017年7月になって、欧州一般裁判所は、ポーランドから提訴されていたOPALパイプラインの使用制限を却下する決定を行い、2017年の8月から、Nord Streamは550億m3の容量の80%をフルに活用できるようになった。なお、一部では能力の90%が活用されていると報道されている4。 .Nord Stream 2事業によるウクライナ迂回ルートの拡大 3(1)Nord Stream 2計画の発足 Nord Streamが紆余曲折を経つつも安定的に操業されている状況から、更にロシアからドイツに直接輸入できる能力を追加すべく、2015年6月にGazpromとShell(英蘭)OMV(墺)、E.On(独、後にUniperと改称)との間で、Nord Stream 2計画に関して覚書が交わされた5(図2)。 これに対して7月15日、マロシュ・シェフチョヴィッチ(Maro? ?ef?ovi?)ECエネルギー連合担当副委員長はNord Stream 2に関して、欧州のエネルギー安全保障に悪影響があると、ECとして初めて批判した。次いでエストニアのウルマス・パエト(Urmas Paet)元外相の率いる欧州議会議員グループがNord Stream 2の建設阻止を求める文書をECに提出した6。 一方で同じ日、Engie(仏、GdF Suezから改称)がNord Stream 2への参加に際しての法的拘束力ある合意書の交渉に入るとGazpromが発表した。Wintershall(独)も参加を検討し、Nord Stream 2の欧州側からのパートナーは5社となる見込みとなった7。これにより欧州の産業界と、EUやそれを構成する一部の旧東欧諸国の政治家とは対立関係にある様子が顕在化した。 3 Interfax, 2016/10/31 4 IOD, 2017/9/04 5 PON, 2015/6/19 6 Kommersant, 2015/7/26 7 IOD, 2015/7/17 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 4 ? Nord Streamに新たなラインを増設して能力を引き上げるという計画は、今後増大する欧州でのガス需要に対応しようとするものであるが、同時にウクライナ或いはポーランド、スロバキア等を経由するガスの輸送量が将来大きく低下するということでもある。特に経済破綻が現実化しつつあるウクライナとしては、貴重な収入源を失いたくないのが本音である。2017年のウクライナのパイプライン・ガス通過料の収入は$25億に上ると見られ、これは同国のGDPの2.5%に当たる8。一方で、ロシアとしてはこれ以上、自国のガス輸送に関してウクライナの影響は受けたくない。 現在のパイプライン輸送は、2009年1月のガス紛争を解決させるべく、同年1月19日にプー図2 Nord Stream及びNord Strean-2のルート(Nord Stream 2社のwebsiteより) 2)Nord Stream 2を巡る政治と産業界との論争 ( 8 IOD, 2017/9/08 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 5 ? `ン首相とティモシェンコ首相(ともに当時)との間で11年間の契約として結ばれたものであるが、ロシアとしてはこの契約が満期となる2019年末に、そのまま延長する気はない。ロシアとしては、2014年の紛争時には、2019年末以降のウクライナ経由欧州向けガス輸出は完全に停止する腹積もりであったが、その後年間150億m3を通すという案にやや軟化した9。但し、Nord Stream 2を稼働させて、ウクライナ経由のガス輸出はできる限り低くし、通過国の影響を排除したいと考えている。 しかし、パイプライン建設を巡る議論は、欧州では非常に政治的な色彩を帯びている。2015年11月、ポーランド、スロバキアを中心とする旧東欧9か国が、Nord Stream 2に関して、「EUの有力な加盟国がエネルギー安全保障より自らの経済的な必要性を優先している」として、パイプライン建設の中止を求める書簡をトゥスクEU大統領宛てに出した。旧東欧諸国はNord Stream2の新設で、ロシアの独占企業であるGazpromに対する欧州の依存が高まると危惧し、エネルギー源の多様化や安全保障に関するEUの政策と矛盾し、他の加盟国とは異なるルールがNord Streamの経済効果を受けるドイツ等に適用されるとしている。 これに対して、ECのユンケル委員長は、プロジェクトを「政治的」な問題として見るべきという旧東欧諸国の意見を退け、プロジェクトは「商業的」でありEU内の市場ルールの順守についてのみ調査すべきと主張した10。これは、Nord Stream 2を容認するメルケル首相の発言に同調したものである。ユンケルEC委員長は、現実的な着地点を目指して行動していると思える。 これの問題に関する、反対国の政治家の発言を拾ってみる11。 ・ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領(2015年9月7日):「このプロジェクトはポーランドの利益を完全に無視しており、EUの結束に重大な疑念が生じている」 ・ウクライナのヤツェニュク首相(9月9日、ポーランド・スロバキアを訪問して):「これは反欧州、反ウクライナ的なプロジェクトであり、ウクライナの年間約20億ドルのトランジット収入に損失をもたらす容認しがたい不公平な措置で、欧州委員会が阻止することを期待する」 ・スロバキアのフィツォ首相(9月10日):「Nord Stream 2に署名した西欧ガス企業はヨーロッパ諸国を裏切った。EU諸国がウクライナ経由のトランジット維持の必要性を述べて来たが、突然ウクライナ迂回を可能にするNord Stream 2が合意された。彼らは我々をないがしろにしてい 9 IOD, 2017/9/08 10 FT, 2015/11/30 11 Kommersant, 2015/9/11 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 6 ? 驕Bスロバキアは年間数億ユーロのトランジット料金を失う可能性がある」 これらのロシア・パイプラインの通過国首脳の激烈な発言に対して、10月6日、サンクトペテルブルグの国際ガスフォーラムの席上で、Nord Stream 2の参加社の内、E.OnのChristopher DelbruckとOMVのRainer Seele両CEOは、EUの分散化(diversification)・ロシア依存削減策を批判し、LNGについては生産者はより高い価格で購入する供給先を捜すものであり臨時供給手段の傾向が強いこと、カスピ海からのTanapパイプラインによる欧州へのガス供給は量が限られていることから、ロシアが依然として欧州へのガス供給の主力であると主張した。欧州内でのガス生産量は2005年に3,170億m3、2015年2,670億m3、2025年に2,000億m3と減退する一方、Gazpromは2020年まで1,990億m3の既往契約があり、2020年以降もロシア産ガスへの需要がある。このように、Nord Stream 2への参加社は「ロシアとの交渉においては政治的動機よりも経済的な現実が優先されるべき」との立場を示した12。 このように、反露的傾向の強い旧東欧諸国と、欧州のエネルギー産業との間では、大きな見解の相違が見られる。 欧州の天然ガス問題の権威であるオックスフォード・エネルギー研究所(OIES)のJonathan Stern教授は、欧州委員会の法務部門がNord Stream 2パイプライン計画を阻止する法的根拠が存在しないことを認めている以上、これに反対する議論は政治的なものであると断じ、反対者がしてはならないことは、自身の政治的な見解と、経済性、法律、規則、ガス供給の安全保障の問題を混同することであると述べている13。欧州の一部で、政治的な立場とエネルギー安全保障上の立場の乖離が目立ち始めているということであろう。 (3) Nord Stream 2の企業体設立が頓挫 2016年7月に入り、ポーランド当局はNord Stream 2に関して、ポーランドガス市場においてGazpromの寡占化を招くとして同国の競争法を根拠に同計画に反対を表明した 8月12日には、Nord Stream 2のJVを構成するR/D Shell, OMV, Engie Uniper, Wintershall, Gazpromは、ポーランド当局が同計画に反対を表明したのを受けて、合併企業設立の撤回を決めた。これは2019年稼働開始を目指す計画自体の撤回は意味しないが、スイスに登録された運営会社Nord Stream 2 AGについてはGazpromのみが株主となり、他の5社は各々出資以外の方式で 12 IOD, 2015/10/07 13 FT, 2017/7/06 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 7 ? フ参画を検討することとした。当初はGazprom 50%、他5社がそれぞれ10%を出資する計画であったが、Gazpromが総事業費$112億(Eur95億)を単独で調達する必要が出てきた14。 ポーランドに続いて、ウクライナの反独占委員会が8月19日、Nord Stream 2構成6社に対して同委員会の同意が前提であると警告した15。ウクライナは、欧州エネルギー共同体(European Energy Community)の契約メンバーであり、パイプライン建設が認可されればこれは共同体憲章に違反するという立場も明らかにした16。 しかしながら、2017年4月24日、欧州の参加企業5社は、Nord Stream 2の費用の半分にあたる最大47億5000万ユーロの長期資金を拠出することを約束した。各社の拠出上限は事業費の10%に当たる9億5000万ユーロである17。これにより、EU内部での論争は残しつつも、事業推進の体制は整った。 このように外部環境が複雑な動きを見せる中で、Nord Stream 2は2019年末の稼働開始を目指すという姿勢は堅持している。このため、作業に関連する発注は、計画通り進められている。 まず敷設するパイプに関しては、2016年3月に、Nord Stream 2 AGは、2本のパイプラインのための長さ2,500km、重量220万tの高品質鋼パイプの国際テンダーを行った。この結果、落札者はEuropipe GmbH, Mulheim/Germany (40 %), United Metallurgical Company JSC (OMK), Moscow/Russia (Chelpipe), Chelyabinsk/Russia (27 %)の3社である18。この時点では、パイプラインの稼働開始を2018年としており、これに合せてパイプの供給は2016年9月から開始予定するなど、かなり前倒しの計画であった。 次いで、パイプの敷設に関する国際入札が2017年に行われた。Nord Stream 2は4月6日、スイスのAllseas社と沖合パイプ敷設工事契約を結んだ。Allseas社は3 隻のパイプ敷設船(Pioneering Spirit, Solitaire, Audacia)を使い、2018~2019年に沖合パイプ敷設工事を行う19。(33 %) 及びChelyabinsk Pipe-Rolling Plant JSC 4)Nord Stream 2の事業発注 ( 14 IOD, 2016/8/15 15 IOD, 2016/8/23 16 IOD, 2017/7/11 17 WSJ, 2017/4/25 18 Nord Stream 2 Press Release, 2016/3/11 19 Nord Stream 2 Press Release, 2017/4/11 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 8 ? _イナミック・ポジショニングを行えるパイプ敷設船の利用により、船舶の往来が過密化しているバルト海の環境保護や安全性をより一層高めることが可能となる。 Allseas社のSolitaireは、フィンランド湾でNord Streamパイプラインが敷設された際にも使われた。AudaciaとPioneering Spiritは、現在同じくGazpromが進めている黒海のTurk Streamの敷設作業に従事している。 ロシア及びドイツの沿岸でのパイプ敷設業者の入札も進行中である。Nord Stream 2プロジェクトでは、エンジニアリング、資機材調達、調査、環境影響評価及び許可取得等に、20カ国の約200社が関係すると見られている。このような大規模インフラ建設が、いかに大きな産業の裾野を有しているか覗える。欧州の産業界にとっては、Nord Stream 2の事業を推進することの重要性は明らかと言って良い。 また、独、墺、チェコのガス配送事業者(Transmission System Operators, TSOs)6社が、ECのユンケル委員長に対して、Nord Stream 2プロジェクトを支持する書簡を送った。6社とは、独Gascade, Ontras, Gasunie Germany, Fluxys Germany、墺Gas Connect Sustria、チェコNet4Gasである。TSOsは陸上のリンクの精査を開始しており、法的枠組みの議論で事業が遅延することは経済的損失を招くとしている20。 .米国による2017年「露・イラン・北朝鮮制裁法」 米国上下両院が推進して来た「露・イラン・北朝鮮制裁法(Countering America’s Adversaries Through Sanctions Act、米国の敵に制裁で対抗する法)」は、当初、ロシアに関する部分は「対露制裁強化法」と呼ばれ、全体に制裁を強化し、且つロシアとの関係改善の意思を疑われるトランプ政権に対して対ロシア制裁を解除する前に議会審査義務付けて制止しようというものである。 4法案は、上院で6月14日、97対2の大差で可決された。次いで7月25日、下院で修正を経て同法案が419対3という大差で可決され、7月27日、上院で再可決された。法案成立から1週間を経た8月2日、大統領がようやく署名し成立した。 同法のエネルギー関係の主要な条項を、以下に記す(太字は下院での修正、追加部分)。 第216条:米国がロシアに対して課している制裁を大統領が停止または緩和する場合、大統領が議会に報告することを義務付ける。 20 IOD, 2017/6/29 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 9 ? ?223条:現行制裁の強化。米国人あるいは米国内滞在者に対し(United States persons or persons within the United States)、金融機関への14日超の資金調達禁止、エネルギー企業(Rosneft, Gazprom Neft, Transneft, Novatek)への60日超の資金調達禁止、①石油の可能性のある②露企業が33%超の支配権・所有権を持つ新規の大水深・北極海・シェール事業の技術支援禁を禁止する。 232条:大統領は同盟国(allies)と協同(in coordination)し、米国人および外国人に対し(with respect to a person)ロシアのエネルギー輸出パイプライン建設に貢献する投資、或はそのメインテナンスを進め、建設、近代化、改修を拡大するような1回$100万或は年に$500万以上の市場価格のある物品、役務、技術、情報の提供した場合には制裁を課す。 233条:露国有資産民営化への$1000万超の参加禁止する。 第223条において、米国人あるいは米国内滞在者に対し(United States persons or persons within the United States)と明記してあることを踏まえると、第232条の”a person”という一般的な表現は、「米国人および外国人」を指すと解される。 232条に記された「エネルギー輸出パイプライン」は、石油とガスのパイプラインが該当するが、特に現在計画の進行しているNord Stream-2を念頭に置いていると思われる。ただ、上院での採決後に欧州側から澎湃と批判が寄せられ、これに対して下院の修正で「大統領は同盟国と協同して」という文言が挿入された。即ち、米国による一方的な処置ではなく、欧州諸国との協議を義務付ける形式にしてあり、欧州諸国の立場に配慮した形となった。一部にはこれを以って制裁は免れたと捉える向きもある。 大統領の署名後、ホワイトハウスは、「イランと北朝鮮、ロシアに厳しい制裁を課し、挑発的で安定を脅かす行動を抑止することは支持するが 、この法案には重大な欠陥がある」との声明を発表し、不本意な署名であることを窺わせた。 2014年のウクライナ紛争以降の対露制裁と今回の制裁を表1にまとめた。 1 米国とEUによる対露制裁の概要(2017年の「対露制裁強化法」を含む) 表Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 10 ? ァ 裁 第1次 (2014年クリミア併合への対応) 第2次 第3次 (2014年マレーシア航空機撃墜で強化) 第4次 (2014年ウクライナ東部の不安定化) 露・イラン・北朝鮮制裁法 (2017年) (ロシア関連は特に「対露制裁強化法」とも称される) EU 米 3月6日:3段階の対露制裁。まずは露とのビザ交渉凍結 3月17日:露、クリミア当局者ら21名の資産凍結・渡航禁止 3月21日:12名の資産凍結・渡航禁止 5月12日:13名、2社の資産凍結・渡航禁止 7月12日:追加資産凍結渡航禁止 7月16日:EIB, EBRDの融資禁止 7月31日:大水深・北極・シェールオイル用機材の輸出は事前認可。ガスは非対象、8月1日前の契約は不問。90日超の調達禁止(Sberbank, VTB) 9月12日:大水深・北極・シェールオイル事業への掘削・テスト・検層等のサービスの禁止。Rosneft, Transnft, Gazpromneft に対する30日超の資金調達の禁止。24名の資産凍結・渡航禁止。 Gabriel独外相とKern墺首相は米国を非難。 3月6日:露政府高官・軍関係者等の資産凍結・渡航禁止 3 月17 日:7 名の資産凍結・渡航禁止追加、Yanukovich前ウクライナ大統領など 3月20日:20名の資産凍結・渡航禁止追加、NovatekのTymchenko 4月28日:RosneftのSechin社長を含む7名17社の資産凍結・渡航禁止 7月16日:経済制裁。90日超の資金調達禁止(Gazprombank, VEB, Rosneft, Novatek) 8月6日:大水深・北極海・シェール用機材の米国から輸出禁止。3銀行と統一造船の米市場調達禁止 9月12日:5社(Gazprom, Lukoil, GazpromNeft, Surgutneftegaz, Rosneft)に対する大水深・北極海・シェール事業を支援する機器,サービス,技術の提供禁止。5 銀行の30 日超の調達禁止。Transneft,GazpromNeftの90日超の社債禁止。 12月18日:ウクライナ自由支援法(未発動) 8月2日:216条;制裁緩和の議会審査義務付け。223条;米国人に対し金融機関への14日超の資金調達禁止、エネ企業(Rosneft,Gazprom Neft, Transneft, Novatek)への60日超の資金調達禁止、①石油の可能性のある②露企業が33%超の支配権・所有権を持つ新規の大水深・北極海・シェール事業の技術支援の禁止。232条;大統領は同盟国と協同しロシアのエネルギー輸出パイプライン等への投資、及び1回$100万か年に$500万以上の物品、役務、技術、情報提供の禁止。233条:露国有資産民営化への$1000万超の参加禁止。(太字は下院での修正) 第232条のエネルギ―輸出パイプラインは石油・ガスともに対象ではあるが、現在進行形で議論されているのは、Nord Stream 2であることから、これへの参加を考えていた欧州企業からは、法案が上院を通過した時点では、以下のような厳しい反応が見られた。 EngieのIsabelle Kocher CEO:「米国が欧州のNord Stream 2を止めることはできない」 2)欧州産業界の反応 (Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 11 ? azpromのMedvedev副CEO:「これは米国のLNGを欧州に輸出するための方策に過ぎない」21 ドイツのGabriel外相とオーストリアのKern首相:「欧州の市場からロシア産ガスを締め出して米国産ガスを輸出し、米産業の雇用を確保することがこの法案の狙いだ。対露制裁を米国の経済的利益と結び付けるべきではない。欧州の産業の競争力と、何千人もの雇用がかかっている。誰がどのように欧州にエネルギーを供給するかは米国ではなく、われわれが市場経済の競争原理に基づいて決めることだ」22 EU当局者によると、対抗措置として、欧州委員会(EC)がEUのエネルギー企業を制裁の対象から外すことを米国に約束するよう求める可能性や、EU法を用いて欧州企業に対する米国の措置を阻止する可能性があるほか、特定の米企業と事業を行うことを全面的に禁止する可能性もあるとした。ただ、米企業によるEU金融機関へのアクセス制限といった報復措置は、加盟国の全会一致での承認が必要となり、現実的でない23。 ユンケル欧州委員長らは米上院での採決を控えた7月26日、EUのエネルギー政策に影響を与えかねないと懸念を示す声明を発表した。法案成立によりロシアのエネルギー産業を支える外国企業が制裁対象になる可能性があり、ロシア産天然ガスをドイツに運ぶパイプライン(Nord Stream 2のこと)に関与する欧州企業などが標的になる恐れがある。米欧はこれまで、対ロシア制裁を協調して実施してきたが、今回は米国が一方的に制裁強化へと動いていると指摘し、米国に対して苦言を呈した形となった24。 米国は2016年初頭から、LNGの輸出を開始し、2017年7月には、旧東欧圏としてはポーランドが初めて米国のLNGを受け入れた国となった。8月にはリトアニアにも輸出された。ドゥダ大統領はトランプ大統領との会談後、ロシアの「脅迫」への依存を減らすために米国産LNGの長期輸入契約を結ぶ意向を明らかにした。しかし、これはビジネスとしては長続きするものとは思われない。 過去1年間に欧州が輸入した米国産LNGの平均価格は$6.29/MMBtuであるのに対して、ドイツ国境渡しのロシア産ガスは$4.86/MMBtuである25。Gazpromの2016年の欧州へのガス輸出は 21 IOD, 2017/6/16 22 共同, 2017/6/16 23 Reuters, 2017/7/24 24 共同, 2017/7/27 25 DJ, 2017/8/19 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 12 ? 2%増の1,790億m3となり、欧州市場でのシェアは過去最高の33.5%となった26。これには、Gazpromのガスが価格競争力を重視するようになった点が大きい。 (3)欧州のパイプライン通過国の動き Nord Stream 2を巡る米国と旧東欧諸国の反対の声は、欧州では劣勢と言える。 法案審議中の7月9日、ウクライナのキエフを訪問したティラーソン国務長官に対して、ポロシェンコ大統領は、米国によるNord Stream 2建設反対の動きに関して、「この極めて政治的なプロジェクトを許さないというワシントンの明確で効果的、断固たる姿勢」が示されたとして、謝意が表された。これは、6月に議会に提出された対露制裁法案を指してのものである。ウクライナは、欧州エネルギー共同体(European Energy Community)の契約メンバーであり、パイプライン建設が認可されればこれは共同体憲章に違反するという立場も明らかにした。更に、ウクライナは、もしもECがパイプライン計画を認可した場合には、告訴することを示唆した27。 これに先立ち、ウクライナのフロイスマン(Groisman)首相は、6月9日「ウクライナだけでなく、他の諸国の国家安全保障を脅かすこの政治的プロジェクトの実施を阻止するために、他国と協調することも含め、我々は自国の国益を守るためにあらゆる政治的・法的手段を取る」と述べた。また、ウクライナのエネルギー企業ナフトガスのコボレフ(Kobolev)CEOは先に、Nord Stream 2およびTurk Streamパイプラインによって、ウクライナはガス輸送の役割を失い、同国のガス輸送システムの価値は5分の1に低下してしまうと発言した28。こちらの発言は本音そのままであろう。 同様の趣旨の発言は、ポーランドのシドゥウォ首相もしており、Nord Stream 2ガスパイプラインは欧州に脅威を与える「政治的プロジェクト」だと述べている29。 Nord Stream 2に関して、「政治的」という形容詞で非難するようになったのは、新しい傾向と言える。しかし、ロシアと欧州の「6企業」で進められている「民間」の計画が、どうしてビジネスではなくて「政治的」と言えるのか、説明はない。 2017年夏に、各国の首脳からこのような発言が頻出しているのは、米議会の動きと呼応しているように思われる。 26 IOD, 2017/1/03 27 IOD, 2017/7/11 28 IOD, 2017/6/14 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 13 ? 今回の制裁問題の渦中にあるNord Stream 2であるが、8月31日、イタリアのパイプライン敷設会社のSaipemが、Nord Stream 2 AG社とNord Stream 2の浅海部およびGreifswaldの港湾へのアプローチ部分のパイプライン建設の契約を結んだと公表した30。これは米国の制裁が8月2日に発効してから最初の案件である。米の制裁では、ロシアのエネルギー輸出パイプラインに対して、1回$100万、12か月間の累積で$500万以上の市場価値を持つ投資、或は資機材、サービス、技術、情報を提供すること、及び投資することを禁じている(第232条)が、本件はまさにこれに該当すると思われる。なお、バルト海の深海部は黒海のTurk Streamと同様にスイスのAllseasが請け負うと見られている。 更に9月5日、Gazprom子会社でTurk Streamを建設・運営する事業体であるSouth Stream Transportは、英国のエンジニアリング会社Petrofacに対してトルコ海岸KiyikoyのTurk Streamからのガス受け入れターミナルの建設をEur3.4億($4.04億)で発注する契約を結んだ31。今回の制裁法の第232条を殆ど意識していないかのようである。Petrofacは既にGazpromとTurk Streamプロジェクトの準備作業で5か月作業をしており、その延長の事業という位置づけと見做している可能性はある。 更にその翌6日、Petrofacはサハリン大陸棚で事業を行っているSakhalin-2からルニ・ガス田の生産レベルを維持するための加圧装置を$7億で受注したと、Vladivostokの東方経済フォーラム(Eastern Economic Forum)で発表した32。これは2022年に稼働開始の予定である。本件も米による制裁に抵触する可能性があるが、特に技術サービス会社は果敢にこのような政治状況の挑んでいるかのようである。 (了) 4)制裁発効後の外国企業の動き ( 29 PAP, 2017/5/08 30 IOD, 2017/9/01 31 PON, 2017/9/06 32 IOD, 2017/9/07 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 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| 国1 | ロシア |
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