ページ番号1007484 更新日 平成30年4月10日
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JOGMECが日本代表として参加する国際エネルギー機関・原油増進回収実施協定(IEA-EOR)の第38回年次総会が9月にメキシコ・リビエラマヤにおいて開催されました。本稿では、本年次総会の開催報告を行います。
1.IEA-EOR国際共同研究プロジェクトの概要
IEA-EOR国際共同研究プロジェクト(以下、IEA-EOR)は、IEA(International Energy Agency)内に設けられているエネルギー研究開発委員会(Committee on Energy and Research Technology, CERT)の国際協力事業の一環として、昭和54年(1979年)5月に参加国の政府機関または政府指定の団体が実施協定に調印し発足しました(図1)。
IEA-EORは、EOR(Enhanced Oil Recovery, 原油増進回収法)に係る総合的な技術開発を行うための研究、開発、実証の報告及び情報交換を行うことを目的としており、14の参加国(オーストラリア、オーストリア、カナダ、デンマーク、中国、フランス、日本、ノルウェー、イギリス、アメリカ、ロシア、ベネズエラ、メキシコ、コロンビア)により運営されています。日本の代表は、経済産業省の指示によりJOGMECが務めています。
増大し続ける世界のエネルギー需要のうち、26%は2040年になっても石油から供給されると予測されております。現時点における開発計画や既存技術により生産できる石油の量は埋蔵量の最大30-40%程度と言われており、大半が地下に残った状態にあります。IEA-EORでは、今後のエネルギー需要に対応した石油の増産を行うため、各EOR技術に関する総合的な技術開発を支援しています。
IEA-EORの活動の一環である年次総会は、参加国が持ち回りでホストを務めることによって開催され、日本では過去に1985年、1995年、2005年、2015年の4回開催しています。年次総会ではIEA-EORの運営について執行委員会により議論するとともに、シンポジウム・ワークショップにて研究成果を報告し、各参加国におけるEORに関する技術・動向についての情報交換等を行っています。

2.第38回年次総会概要
2017年第38回年次総会は、9月26日(月)~30日(金)にかけてメキシコ・リビエラマヤにおいて、CNH(メキシコ国家炭化水素委員会)主催で下記のスケジュールにて開催されました。
9月26日(月):執行委員会
9月27日(火)、28日(水):ワークショップ
9月29日(木):シンポジウム
9月30日(金):フィールドトリップ ※希望者のみ
執行委員会
執行委員会では、本大会に参加した参加国の委員ならびに関係者で各国の活動ならびに今後の方針について議論がなされました。
本大会よりコロンビアが正式メンバーに加わることになり、今後新しい加入メンバーとして複数の国にコンタクトを取ることが決まりました。本大会においては92件のアブストラクトが投稿されており、来年度以降も各参加国最低2件ずつ投稿することが決まりました。
来年度はデンマークで開催することが決定し、その翌年以降はコロンビア・韓国・オーストラリアが開催候補地となっています。
ワークショップ
ワークショップでは世界各国の政府機関・研究機関・大学および国営・民間石油会社からの参加者により口頭およびポスターにて最新の研究内容の報告が行われました。日本からはJOGMECの他、国際石油開発帝石株式会社、早稲田大学、京都大学、東京大学より5件の発表が行われました。
口頭発表では図2の通り5テーマ計34件について講演が実施されました。

CO2-EOR(二酸化炭素を利用したEOR技術)、ケミカル攻法(界面活性剤等の薬剤を利用したEOR手法)、低塩分濃度水攻法(貯留層内に存在する水よりも塩分濃度の低い水を利用するEOR手法)およびこれらを組み合せたハイブリッドなEOR手法についての発表が目立ち、活発な議論が行われました。
ポスター発表ではケミカル攻法、ガス攻法、低塩分濃度水攻法、熱攻法等に係る研究発表が2日間で計11件実施されました。現地の国営石油会社PEMEXによるガス攻法に関する発表が多く、今後フィールドでの実証試験に進めていくとの発表がありました。
シンポジウム
“EOR in Fractured Reservoirs”をテーマとして、メキシコ国内に数多く存在するフラクチャー型貯留層を対象とするEORを中心に14件の発表がなされました。
冒頭ではPEMEX、ECOPETROL(コロンビア国営石油)、NPD(ノルウェー石油管理局)からはそれぞれの国のEOR戦略が紹介されたほか、CCS(二酸化炭素回収貯留)とCO2-EORを組み合わせたCCUSの展開等についても発表されました。
各国とも新しい油田の探鉱ポテンシャルは低下している一方、既存油田での原油の取り残しの割合が高く、EOR技術の研究開発を今後とも重要視していたことが印象的でした。
3.おわりに
本年次総会では、低油価環境下におけるコスト削減や環境への配慮を各国ともに意識していることが伺えました。本年次総会が今後とも世界各国の技術者や研究者、学生にとって意見交換やネットワーク構築の一助となり、持続的な石油・天然ガス開発へ活用され続けることを期待します。
以上
(この報告は2017年11月24日時点のものです)


