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ロシア情勢(2017年12月 モスクワ事務所)

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レポートID 1007408
作成日 2018-01-26 01:00:00 +0900
更新日 2018-04-10 09:42:05 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 基礎情報
著者
著者直接入力 黒須 利彦 井戸 智子
年度 2017
Vol 0
No 0
ページ数 10
抽出データ 更新日:2018/1/26 JOGMECモスクワ事務所 黒須 利彦/井戸 智子 公開可 ロシア情勢(2017年12月 モスクワ事務所) 1.政治・経済情勢 (1)国内 政治 ・ 12月6日、プーチン大統領は、ニージニ・ノブゴロドのGAZ自動車工場の創立85周年記念式典で大統領選への出馬を表明。労働者の代表が「この会場にいる全員が、例外なくあなたを支持している。我々への贈り物として、自らの決断を明らかにして欲しい」と壇上で問いかけ、拍手が湧き起こると、プーチン氏は「ありがとう。立候補を表明するのに、これほど適した場はない」と述べ、立候補を宣言した。 これに先立ち、同日モスクワで開かれた若者ボランティアの会合において、司会者から出馬の意向を問われたプーチン氏は「出馬は、誰にとっても非常に責任の重い決断である。出馬決定の動機は、国民生活を向上させ、国力をより強化し、守り、未来に向かわせたいという望みだけである。これらの実現には、国民の信頼と支持が必要だ」と述べ、集まった大勢の若者に自分の出馬を支持してくれるかどうかを質問し、会場より「ダー(はい)」との大歓声を浴びていた1。 【上写真出典:http://kremlin.ru/events/president/news/56319/photos/51595,51597】 1 Kremlin.ru,2017/12/06 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 1 ? E 12月14日、プーチン大統領は、年末恒例の大記者会見を開き、3時間42分で65問に回答した。取材登録した報道関係者は過去最高の1640名であった。大統領は、国内経済に関して、GDPおよび鉱工業生産共に1.6%の上昇、自動車産業、化学工業、医薬品、農業においても非常に良い成長率であったことに言及。また、2000年以来、GDPは75%成長し、鉱工業生産は70%の伸び、税収も3倍に、準備金は30倍にそれぞれ増加したと述べた。対立候補として大統領選への出馬を目指すテレビ司会者のサプチャク氏は、ロシアに野党は存在するが、対立候補の参加を妨害する動きがあると指摘。有罪判決を理由に候補登録を阻まれているナヴァリヌィ氏をその例として挙げ、「政権は本当に競争を恐れているのか」と問いかけた。プーチン大統領は「野党は、国民にポジティブな行動の明確且つ分かりやすい政策を示す必要がある。あなたは『全てに反対』である。我々が今日議論している問題に対して、どのような提案が出来るか?」と述べ、会場からは拍手が沸き起こった。プーチン氏は、加えて、政策を持たない野党が権力の座につくことは、国内情勢を不安定化させることにつながると指摘した。その他、「退職年齢の引き上げは議論が必要」「北朝鮮問題については、ティラーソン米国務長官が北朝鮮との直接対話に意欲を示したことは良いシグナル」とし、米国との協力への期待を表明、「露中関係には、選挙の結果に関わらず、2018年も露中は戦略的パートナーであり続ける」との見方を示した2。 【右写真中央女性サプチャク氏 上写真出典:http://kremlin.ru/events/president/news/56378/photos/51763,51768】 ・ 12月25日、中央選挙管理委員会は、ナヴァリヌィ氏を大統領選候補者としての登録を認めない旨の決定を下した。過去に有罪判決を受けたことがあり、立候補資格が無いとしている3。 2 Kremlin.ru他,2017/12/14 3 Interfax他,2017/12/25 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 2 ? o済・財政 ・ 12月15日、取締役会後に行われた記者会見で、ロシア中央銀行のナビウリナ総裁は、政策金利を0.5%引き下げ7.75%にすると述べた。2017年のGDP成長率は、1.7~2.2%、2018年は1.5~2%の予測。2019年以降は協調減産の延長がない場合、油価が42ドルに下がると想定し、2019年は1~1.5%に下方修正、2020年は、1.5~2%に戻るとの予測。2018年のインフレ率は年初は3%で推移し、・ 12月15日、モスクワ地区裁判所は、収賄罪(Rosneftから200万ドルの受取り)で昨年11月に起訴されたウリュカエフ前経済発展相に禁錮8年、罰金1億3,000万ルーブルの有罪判決を下した。厳しい判決内容に関して、大統領選を控え、年金生活者からの支持が多いプーチン大統領が、汚職に厳しい姿勢を見せる必要があったとも言われている5。 の他 そ後半は4%に近付くとの見込み4。 (2)対外関係 ①EU ・ 12月21日、欧州連合(EU)理事会は、ウクライナ情勢を巡る対ロシア経済制裁を2018年7月31日まで半年間延長した。14日にブリュッセルで開いたEU首脳会議で合意されたもの。制裁はエネルギー開発協力、防衛、金融セクターが主な対象である他、ロシア高官らに対し渡航禁止や資産凍結を課・ 12月22日、ストックホルム仲裁裁判所は、ウクライナ向けガス供給契約に関し、Gazpromとウクライナの国営ガス会社Naftogazが互いに提訴していた訴訟の最終判決を下した。両社は速やかに裁判所の判決を公表した。Gazpromは、仲裁裁判所がNaftogazにに対し、2014年第2四半期に受取り一部しか支払っていなかったガス代金として20億ドルのGazpromへの追加支払い、および2018年より契約 4 www.cbr.ru,Tass,2017/12/15 5 Gazeta.ru他,2017/12/15 6 http://www.consilium.europa.eu,2017/12/21 している6。 ウクライナ ②Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 3 ? ェ失効する2019年までの2年間、Take or Pay 条項に従い、Gazpromから年間50億?のガスを購入するよう命じたと声明の中で述べ、契約の主要部分が認められたとして満足の意を表した。一方、Naftogazも、判決により契約の全期間中で750億ドル有利になったとして勝利の裁定としている。 両社は、2009年1月に10年間のガス供給契約を締結した。契約では、2009年は年間400億?、2010年からは同520億?の供給が定められていた。しかし、Naftogazは2012年より契約量の一部しか購入しなくなり、2015年11月には、ロシア産ガスの購入を停止した。双方は、2014年6月にストックホルム仲裁裁判所に互いに提訴。Naftogazは、ガス供給契約からTake or Pay条項の削除、遡及的な価格変更およびガス過払い金の回収を要求し、Gazpromは、供給済ガスの延滞金の支払い、Take or Pay 条項に基づく補償等の総額およそ370億ドルの支払いを求めていた。今回の判決は、両社の主張を部分的に満たす形となっている。Take or Pay条項は、Naftogazからの削除要請には応じず、保持されたが、同社の購入義務量については、年間416億?から50億?まで削減された。一方、価格についてはNaftogazに有利となり、2014年第2四半期のガス価格はGazpromの主張する485ドル/1,000?から27%減の352ドルとなった他、既存契約の条項に基づく巨額の罰金を回避できた。しかし、2014年第2四半期のガス購入費として、さらに6億5千万ドルを支払う必要がある(78億?を1,000?あたり・ 2017年12月、原油輸出税はUSD 14.4/バレルに引き上げ、東シベリア及びカスピ海北部の油ガス田等に対しては、引き続きゼロ課税となった。 ・ 12月の石油製品輸出税はUSD 31.5/トン、ガソリンについてはUSD 57.7/トンに設定された。 <参考:原油及び石油製品輸出税の推移> 輸出税 2014年 2015年 2016年 平均 平均 平均 2017年 12月 2017年 平均 原油(USD/t) 原油(USD/BBL) 減税特典原油(USD/t) 減税特典原油(USD/366.1 50.2 174.9 24.0 120.3 16.5 0 0 75.6 10.4 0 0 96.1 13.2 0 0 86.7 11.9 0 0 7 Vedomosti,2017/12/22 268ドルで支払っていたことによる差額)7。 (1)原油・石油製品輸出税 .石油ガス産業情勢 2Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 4 ? BL) 石油製品(USD/t) 内、ガソリン(USD/t) 242.0 330.0 57.7 92.7 30.2 53.6 28.8 52.8 26.0 47.7 (出所:ロシア経済発展省) (2)原油生産・輸出量 ・ 12月、原油、ガス・コンデンセート生産量は4,633.8万トン(約3億4,017万バレル、平均日量1,097.3万バレル)で、前年同月比2.3%減。1~12月は5億4,680万トン(約40億1,411万バレル、平均日量1,098.1万バレル)で前年同期比0.1%減8。 ・ 12月、原油輸出量は2,066.3万t(約1億5,169万バレル)。1~12月は2億5,692.6万トン(約18億8,612万バレル)9。 (3)天然ガス生産・輸出量 ・ 12月、天然ガス生産量は635億?(約2.24TCF)で、前年同月比4.6%減。1~12月は6,905億?(約24.4TCF)で、前年同期比7.9%増10。 4)その他 (・ 12月4日、マントゥロフ産業商業相は、ロシアの石油・ガス部門における輸入機器の割合は2015年の60%より現在は52%に低下したと述べた。大臣は、当初の予測では55%であったとし、輸入依存度の低減は、期待以上のペースで進んでいると評価した。また、2年後には40%まで低減すると述べた。エネルギー省の担当者によれば、石油精製部門における輸入触媒の割合は2015年には、62.5%であったが、2016年は39%となり、2017年は38%に下がる見込みとのこと。輸入機器に対する依存度は、大陸棚開発プロジェクト及びLNGプロジェクトが最も高い。エネルギー省の2015年の評価によると、ロシアでは2030年までに30基の大陸棚掘削装置が必要となっている。現在、沿海地方では、Rosneftegaz、RosneftおよびGazpromBankのコンソーシアムがZvezda極東工場をベースとしてZvezda造船所を建設しており、将来的には、同造船所で石油・ガスの探査、生産、輸送のため 8 Interfax,2018.01.03 9 エネルギー省HP 10 Interfax, 2018.01.03 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 5 ? フ中・大規模海洋機器を製造する計画となっている11。 ・ 石油会社の代表者たちとの資源基盤の再生をテーマとする会議の後、ドンスコイ天然資源・環境相は、「2017年の石油会社の地質探査への投資額は前年比40%増の3,610億ルーブルに達した」と述べた。掘削作業量は22%、地震探査量は40%、それぞれ増加した。大臣によれば、協調減産合意というファクターはあるものの、2018年の地質探査への投資額が減少することはないであろうとのこと。専門家によれば、RosneftとLukoilが掘削作業量の大半を占めている。Rosneftの2017年1~9月期の掘削深度の合計は前年同期比26%増の880万m、 Lukoilも西シベリアでの掘削量を前年同期比26%増の150万mまで増やした12。 ・ 12月19日、 連邦独占禁止局のツィガノフ次官は、仏米の大手油田掘削サービス会社Schlumberger によるロシア大手の掘削会社Eurasia Drilling Service(EDC)の株式51%の買収について、同局とSchlumbergerが基本合意に達したと発表した。同氏によれば、米国がロシアに対し新たな制裁を発動した場合、Schlumbergerは経営権をロシア側に移譲し、支配株を速やかに売却することで合意し、現在、この2点の詳細について協議を行っているとのこと。SchlumbergerとEDCは2017年7月に購入契約を締結したが、アルテミエフ連邦独占禁止局長は、Schlumbergerは米国の制裁がEDCの活動に影響を与えないという証拠を提供すべきであると述べていた13。 ・ 12月18日、Rosneftの取締役会は、2022年までの発展戦略を承認した。セチンCEOは、「既存プロジェクトの枠内で、液体炭化水素の生産量を石油換算で3,000万トン増やすことが目標である」と述べた。同氏によれば、今年Rosneftは2億8,100万石油換算トンを生産する計画。ガスの生産については、年産量を2016年の671億?から1,000億?まで拡大することを視野に入れているとのこと。2017年の設備投資額は8,910億ルーブルのところ、2018年9,500億ルーブル、2019年には1兆ルーブル超の投資を予定。戦略の実現により、1,800億ルーブルの追加のキャッシュフローがもたらされる見込み。また、掘削部門と燃料販売部門を分離独立する予定であり、現在、パートナー候補たち.ロシア石油ガス会社の主な動き 3 (1)Rosneft 11 Prime,2017/12/04, Vedomosti,2017/12/19 12 Vedmosti,2017/12/06 13 Vedmoti,2017/12/19 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 6 ? ニの交渉を開始していると述べた14。 ・ 12月17日付プレスリリースで、Roneftは、ベネズエラ石油公社よりPataoおよびMejillonesの2つの大陸棚ガス田のライセンスを取得したことを明らかにした。ライセンス有効期間は30年、埋蔵量は合計で1,800億?。年間65億?を15年間生産する計画で、LNG生産も検討している。 ・ 12 月21 日付プレスリリースで、Roneft は、英国BP とヤマロ・ネネツ自治管区に位置するKharampursky鉱区およびFestivalny鉱区の開発に関し、JV(Rosneft51%、BP49%)設立で合意に至ったと発表した。両鉱区のガスの地質埋蔵量は8,800億?超。 2)Gazprom (・ 12月20日、Gazprom の取締役会は2018年の投資プログラムおよび予算を承認した。同社経営管理委員会による11月の承認時からプログラムの大枠に変更なし。投資総額は1兆2,788億3,000万ルーブル、その内、設備投資が7,984億2,800万ルーブル、非流動資産の取得費が409億8,300万ルーブル、長期財政投資が4,394億1,900万ルーブル。外部借入金は4,169億7,100万ルーブル15。 ・ 12月21日、ミレル会長は中国天然気集団公司(CNPC)の王宜林会長とWorking meetingを行った。双方は、「シベリアの力」ガスP/L東ルートの建設によりロシア産ガスの中国向け輸出プロジェクトを着実に実施していること等に言及し、ガス部門における両社の協力関係を高く評価した。会合の後、ロシア極東(サハリン)から中国までの天然ガス供給の基本条件に関する合意(HoA)に調印した。当該文書では、供給に関する主要パラメータである供給量、契約期間、供給開始日、国境渡し地点等が定められている。本契約については、2018年に締結の見通し。双方は、また、「シベリアの力」ガスP/L東ルートによる天然ガスの売買契約の附属書となるCoordination Agreementを締結した16。 14 Vedmosti,2017/12/18 15 Gazprom Press release,2017/12/20 16 Gazprom Press release,2017/12/21 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 7 ? eveloping gas resources and shaping gas transmission system in Eastern Russia 【上図出典:http://www.gazprom.com/press/news/2017/december/article388463/】 ・ 12月28日、Gazprom Neftは、GazprombankおよびSberbankが、22日にVostochno-Messoyakha油田開発への協調融資で合意したとプレスリリースした。10年間の協調融資の総額は1,000億ルーブル(Gazprombankが400億ルーブル、Sberbankが600億ルーブル)。同プロジェクトの開発は、Gazprom Neft(オペレーター)とRosneftのJVであるMessoyakhaneftegazによって進められている。 3)Gazprom Neft ( (4)NOVATEK ・ NOVATEKは12日、2030年までの新戦略を発表した。12月13日付Kommersant紙によれば、同社の最優先課題はLNG生産であり、ヤマルとギダンでのLNGプロジェクトを積極的に発展させる計画。対象は、Yamal LNG(年間生産能力1,650万トン。年間生産能力90万トンの第4トレインの建設も計画されている)、Arctic LNG-2プロジェクト(Utrennee鉱床を資源基盤として年間生産能力1,830万トンのプラントを建設し2023年までに稼働を開始する計画)である。さらに、LNGプロジェクトの枠内で、Gydanskoye 鉱床(1,220 万トン)、Severo-Obsky 鉱区(1,220 万トン)、Shtormovoye 鉱床とVerkhnetiuteyskoye鉱床(各610万トン)の開発も行われる予定。これらの鉱床・鉱区の開発が順調にGlobal Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 8 ? iめば、NOVATEKは年間約7,000万トンのLNGを生産するポテンシャルを得る見込み。これは、現時点でのカタールやオーストラリアの年産量に匹敵する数字である。また、LNG生産の関連プロジェクトとして、カムチャツカにおけるLNG積替え基地の建設(処理能力600億?)、コラ造船所の建設、独自の液化技術とそのための設備機器の開発にも投資する計画。独自の液化技術の開発は、米国の金融制裁の対象となっている同社にとって重要な意味を持つが、フリードマン第1副社長は、「Arctic LNG-2の第3トレイン(610万トン/年)に関しては、ロシアの技術をベースに建設される可能性がある」との発言を行った。同社が、LNGプロジェクトを実現させるには2030年までに2兆5,000億~2兆8,000億ルーブルの投資が必要になるとされる。同社は2030年までにガスの生産量を倍増させ、年産1,260億?にする計画であるが、増産を牽引するのはもっぱらLNG専用鉱床になるとされる。統一ガス供給システム向け生産量は年産600億~650億?の水準で維持されるとの見込み。 ・ 12月20日、政府は、2018年以降Transneftのサービス料金を3.95%引き上げることを承認した(2018年の物価上昇率予測は4%)。連邦反独占局の発表によると、同局は、基本料金を4%引き上げ、カザフスタン経由中国向け輸送(Rosneftが実施)料金を16.7%引き下げるよう提案していたが、カザフスタン向け輸送料金の変更は行われなかった。Transneftは、財務省が各国営企業に要求している国際会計基準に基づく純利益の50%を配当に回さなければならないことが考慮されていないとし、2018年の輸送料金の21%引き上げを求めていた17。 5)Transneft (.新規LNG・P/L事業 4(1)Yamal LNG ・ 12月5日、Yamal LNGプラントの第1トレイン(年間生産能力550万トン)で生産が開始した。8日には、プーチン大統領の立会の下、LNGタンカー「Christophe de Margerie」号への積み込みに合わせた記念式典が行われた。大統領は、「これは、国のエネルギー部門のみならず、ガス生産、液化において重要なイベントである。また、これはロシアにとって、重要な方向であり、壮大なプロジェクトである。つまり、我々の前には、北極圏と北極海航路の発展に向けた大きな課題があるということだ」と 17 Vedomosti,2017/12/22 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 9 ? qべた18。 ・ 12月9日、Yamal LNGの第1カーゴがSabetta港を出港、ベルギーのZeebruggeへ向かった。NOVATEK傘下の商社「Novatek Gas & Power」はLNGをマレーシアのPetronasにスポットで売却したが、タンカーが中継地(LNG積替基地)であるZeebruggeに到着する間に、欧州のガス市場が大きく変化したため*、14日、PetronasはLNGをスポットで英国に転売した。到着予定は12月28日以降19。 *11日、北海Forties P/Lの故障で英国のガス生産量が2,000万m3/日減少。12日、墺Baumgartenハブで爆発。英国NBPでガス価格が$400/1,000m3($11.3/MMBtu)超える。 ・ 12月27日付Vedomosti紙によれば、CNPCがYamal LNGの2番目のロットを購入したとのこと。LNGは「Boris Vilkitsky」号に積載され、現在、ロッテルダム港へ向かっている。3番目のロットは、仏Totalに売却予定。Yamal LNGは長期契約が発効する2018年4月1日までに、合計で17ロットのLNG(約124万トン)を出荷する予定であるが、その内3ロットが2017年中に出荷される。ミヘリソン社長によれば、ロットはすべてスポット市場で売却される予定とのこと。 ・ 12月26日、Gazpromのミレル会長は、「年末までに『シベリアの力』ガスP/Lの2/3にあたる1380㎞が建設される」と語った。中国向けガス供給については、「予定通り、2019年12月20日に開始される」と述べた20。 2)「シベリアの力」ガスP/L ( 18 NOVATEK, Press release, 2017/12/05, Kremlin.ru,2017/12/08 19 Vedmosti,2017/12/15 20 RIA Novosti,2017/12/26 Global Disclaimer(免責事項) 本資料は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は本資料に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本資料は読者への一般的な情報提供を目的としたものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本資料に依拠して行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本資料の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨を明示してくださいますようお願い申し上げます。 ? 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地域1 旧ソ連
国1 ロシア
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 旧ソ連,ロシア
2018/01/26 黒須 利彦 井戸 智子
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(1)国内

政治

12月6日、プーチン大統領は、ニージニ・ノブゴロドのGAZ自動車工場の創立85周年記念式典で大統領選への出馬を表明。労働者の代表が「この会場にいる全員が、例外なくあなたを支持している。我々への贈り物として、自らの決断を明らかにして欲しい」と壇上で問いかけ、拍手が湧き起こると、プーチン氏は「ありがとう。立候補を表明するのに、これほど適した場はない」と述べ、立候補を宣言した。 これに先立ち、同日モスクワで開かれた若者ボランティアの会合において、司会者から出馬の意向を問われたプーチン氏は「出馬は、誰にとっても非常に責任の重い決断である。出馬決定の動機は、国民生活を向上させ、国力をより強化し、守り、未来に向かわせたいという望みだけである。これらの実現には、国民の信頼と支持が必要だ」と述べ、集まった大勢の若者に自分の出馬を支持してくれるかどうかを質問し、会場より「ダー(はい)」との大歓声を浴びていた。(Kremlin.ru,2017/12/06)

写真1

【写真出典:http://kremlin.ru/events/president/news/56319/photos/51595】

写真2

【写真出典:http://kremlin.ru/events/president/news/56319/photos/51597】

12月14日、プーチン大統領は、年末恒例の大記者会見を開き、3時間42分で65問に回答した。取材登録した報道関係者は過去最高の1640名であった。大統領は、国内経済に関して、GDPおよび鉱工業生産共に1.6%の上昇、自動車産業、化学工業、医薬品、農業においても非常に良い成長率であったことに言及。また、2000年以来、GDPは75%成長し、鉱工業生産は70%の伸び、税収も3倍に、準備金は30倍にそれぞれ増加したと述べた。対立候補として大統領選への出馬を目指すテレビ司会者のサプチャク氏は、ロシアに野党は存在するが、対立候補の参加を妨害する動きがあると指摘。有罪判決を理由に候補登録を阻まれているナヴァリヌィ氏をその例として挙げ、「政権は本当に競争を恐れているのか」と問いかけた。プーチン大統領は「野党は、国民にポジティブな行動の明確且つ分かりやすい政策を示す必要がある。あなたは『全てに反対』である。我々が今日議論している問題に対して、どのような提案が出来るか?」と述べ、会場からは拍手が沸き起こった。プーチン氏は、加えて、政策を持たない野党が権力の座につくことは、国内情勢を不安定化させることにつながると指摘した。その他、「退職年齢の引き上げは議論が必要」「北朝鮮問題については、ティラーソン米国務長官が北朝鮮との直接対話に意欲を示したことは良いシグナル」とし、米国との協力への期待を表明、「露中関係には、選挙の結果に関わらず、2018年も露中は戦略的パートナーであり続ける」との見方を示した。(Kremlin.ru他,2017/12/14)

写真3

【写真出典:http://kremlin.ru/events/president/news/56378/photos/51763】

写真4

【写真中央女性サプチャク氏 写真出典:http://kremlin.ru/events/president/news/56378/photos/51768】

12月25日、中央選挙管理委員会は、ナヴァリヌィ氏を大統領選候補者としての登録を認めない旨の決定を下した。過去に有罪判決を受けたことがあり、立候補資格が無いとしている。(Interfax他,2017/12/25)

経済・財政

12月15日、取締役会後に行われた記者会見で、ロシア中央銀行のナビウリナ総裁は、政策金利を0.5%引き下げ7.75%にすると述べた。2017年のGDP成長率は、1.7~2.2%、2018年は1.5~2%の予測。2019年以降は協調減産の延長がない場合、油価が42ドルに下がると想定し、2019年は1~1.5%に下方修正、2020年は、1.5~2%に戻るとの予測。2018年のインフレ率は年初は3%で推移し、後半は4%に近付くとの見込み。(www.cbr.ru,Tass,2017/12/15)

その他

12月15日、モスクワ地区裁判所は、収賄罪(Rosneftから200万ドルの受取り)で昨年11月に起訴されたウリュカエフ前経済発展相に禁錮8年、罰金1億3,000万ルーブルの有罪判決を下した。厳しい判決内容に関して、大統領選を控え、年金生活者からの支持が多いプーチン大統領が、汚職に厳しい姿勢を見せる必要があったとも言われている。(Gazeta.ru他,2017/12/15)

(2)対外関係

EU

12月21日、欧州連合(EU)理事会は、ウクライナ情勢を巡る対ロシア経済制裁を2018年7月31日まで半年間延長した。14日にブリュッセルで開いたEU首脳会議で合意されたもの。制裁はエネルギー開発協力、防衛、金融セクターが主な対象である他、ロシア高官らに対し渡航禁止や資産凍結を課している。(http://www.consilium.europa.eu,2017/12/21)

ウクライナ

12月22日、ストックホルム仲裁裁判所は、ウクライナ向けガス供給契約に関し、Gazpromとウクライナの国営ガス会社Naftogazが互いに提訴していた訴訟の最終判決を下した。両社は速やかに裁判所の判決を公表した。Gazpromは、仲裁裁判所がNaftogazにに対し、2014年第2四半期に受取り一部しか支払っていなかったガス代金として20億ドルのGazpromへの追加支払い、および2018年より契約が失効する2019年までの2年間、Take or Pay 条項に従い、Gazpromから年間50億㎥のガスを購入するよう命じたと声明の中で述べ、契約の主要部分が認められたとして満足の意を表した。一方、Naftogazも、判決により契約の全期間中で750億ドル有利になったとして勝利の裁定としている。
両社は、2009年1月に10年間のガス供給契約を締結した。契約では、2009年は年間400億㎥、2010年からは同520億㎥の供給が定められていた。しかし、Naftogazは2012年より契約量の一部しか購入しなくなり、2015年11月には、ロシア産ガスの購入を停止した。双方は、2014年6月にストックホルム仲裁裁判所に互いに提訴。Naftogazは、ガス供給契約からTake or Pay条項の削除、遡及的な価格変更およびガス過払い金の回収を要求し、Gazpromは、供給済ガスの延滞金の支払い、Take or Pay 条項に基づく補償等の総額およそ370億ドルの支払いを求めていた。今回の判決は、両社の主張を部分的に満たす形となっている。Take or Pay条項は、Naftogazからの削除要請には応じず、保持されたが、同社の購入義務量については、年間416億㎥から50億㎥まで削減された。一方、価格についてはNaftogazに有利となり、2014年第2四半期のガス価格はGazpromの主張する485ドル/1,000㎥から27%減の352ドルとなった他、既存契約の条項に基づく巨額の罰金を回避できた。しかし、2014年第2四半期のガス購入費として、さらに6億5千万ドルを支払う必要がある(78億㎥を1,000㎥あたり268ドルで支払っていたことによる差額)。(Vedomosti,2017/12/22)

 

2.石油ガス産業情勢

(1)原油・石油製品輸出税

・2017年12月、原油輸出税はUSD 14.4/バレルに引き上げ、東シベリア及びカスピ海北部の油ガス田等に対しては、引き続きゼロ課税となった。
・12月の石油製品輸出税はUSD 31.5/トン、ガソリンについてはUSD 57.7/トンに設定された。

<参考:原油及び石油製品輸出税の推移>

輸出税 2014年平均 2015年平均 2016年平均 2017年12月 2017年平均
原油(USD/t) 366.1 120.3 75.6 96.1 86.7
原油(USD/BBL) 50.2 16.5 10.4 13.2 11.9
減税特典原油(USD/t) 174.9 0 0 0 0
減税特典原油(USD/BBL) 24.0 0 0 0 0
石油製品(USD/t) 242.0 57.7 30.2 28.8 26.0
内、ガソリン(USD/t) 330.0 92.7 53.6 52.8 47.7

(出所:ロシア経済発展省)

(2)原油生産・輸出量

・12月、原油、ガス・コンデンセート生産量は4,633.8万トン(約3億4,017万バレル、平均日量1,097.3万バレル)で、前年同月比2.3%減。1~12月は5億4,680万トン(約40億1,411万バレル、平均日量1,098.1万バレル)で前年同期比0.1%減。(Interfax,2018.01.03)

・12月、原油輸出量は2,066.3万t(約1億5,169万バレル)。1~12月は2億5,692.6万トン(約18億8,612万バレル。(エネルギー省ホームページ)

(3)天然ガス生産・輸出量

12月、天然ガス生産量は635億㎥(約2.24TCF)で、前年同月比4.6%減。1~12月は6,905億㎥(約24.4TCF)で、前年同期比7.9%増。(Interfax, 2018.01.03)

(4)その他

・12月4日、マントゥロフ産業商業相は、ロシアの石油・ガス部門における輸入機器の割合は2015年の60%より現在は52%に低下したと述べた。大臣は、当初の予測では55%であったとし、輸入依存度の低減は、期待以上のペースで進んでいると評価した。また、2年後には40%まで低減すると述べた。エネルギー省の担当者によれば、石油精製部門における輸入触媒の割合は2015年には、62.5%であったが、2016年は39%となり、2017年は38%に下がる見込みとのこと。輸入機器に対する依存度は、大陸棚開発プロジェクト及びLNGプロジェクトが最も高い。エネルギー省の2015年の評価によると、ロシアでは2030年までに30基の大陸棚掘削装置が必要となっている。現在、沿海地方では、Rosneftegaz、RosneftおよびGazpromBankのコンソーシアムがZvezda極東工場をベースとしてZvezda造船所を建設しており、将来的には、同造船所で石油・ガスの探査、生産、輸送のための中・大規模海洋機器を製造する計画となっている。(Prime,2017/12/04, Vedomosti,2017/12/19)

・石油会社の代表者たちとの資源基盤の再生をテーマとする会議の後、ドンスコイ天然資源・環境相は、「2017年の石油会社の地質探査への投資額は前年比40%増の3,610億ルーブルに達した」と述べた。掘削作業量は22%、地震探査量は40%、それぞれ増加した。大臣によれば、協調減産合意というファクターはあるものの、2018年の地質探査への投資額が減少することはないであろうとのこと。専門家によれば、RosneftとLukoilが掘削作業量の大半を占めている。Rosneftの2017年1~9月期の掘削深度の合計は前年同期比26%増の880万m、 Lukoilも西シベリアでの掘削量を前年同期比26%増の150万mまで増やした。(Vedmosti,2017/12/06)

・12月19日、 連邦独占禁止局のツィガノフ次官は、仏米の大手油田掘削サービス会社Schlumberger によるロシア大手の掘削会社Eurasia Drilling Service(EDC)の株式51%の買収について、同局とSchlumbergerが基本合意に達したと発表した。同氏によれば、米国がロシアに対し新たな制裁を発動した場合、Schlumbergerは経営権をロシア側に移譲し、支配株を速やかに売却することで合意し、現在、この2点の詳細について協議を行っているとのこと。SchlumbergerとEDCは2017年7月に購入契約を締結したが、アルテミエフ連邦独占禁止局長は、Schlumbergerは米国の制裁がEDCの活動に影響を与えないという証拠を提供すべきであると述べていた。(Vedmoti,2017/12/19)

 

3.ロシア石油ガス会社の主な動き

(1)Rosneft

・12月18日、Rosneftの取締役会は、2022年までの発展戦略を承認した。セチンCEOは、「既存プロジェクトの枠内で、液体炭化水素の生産量を石油換算で3,000万トン増やすことが目標である」と述べた。同氏によれば、今年Rosneftは2億8,100万石油換算トンを生産する計画。ガスの生産については、年産量を2016年の671億㎥から1,000億㎥まで拡大することを視野に入れているとのこと。2017年の設備投資額は8,910億ルーブルのところ、2018年9,500億ルーブル、2019年には1兆ルーブル超の投資を予定。戦略の実現により、1,800億ルーブルの追加のキャッシュフローがもたらされる見込み。また、掘削部門と燃料販売部門を分離独立する予定であり、現在、パートナー候補たちとの交渉を開始していると述べた。(Vedmosti,2017/12/18)

・12月17日付プレスリリースで、Roneftは、ベネズエラ石油公社よりPataoおよびMejillonesの2つの大陸棚ガス田のライセンスを取得したことを明らかにした。ライセンス有効期間は30年、埋蔵量は合計で1,800億㎥。年間65億㎥を15年間生産する計画で、LNG生産も検討している。

・12月21日付プレスリリースで、Roneftは、英国BPとヤマロ・ネネツ自治管区に位置するKharampursky鉱区およびFestivalny鉱区の開発に関し、JV(Rosneft51%、BP49%)設立で合意に至ったと発表した。両鉱区のガスの地質埋蔵量は8,800億㎥超。

(2)Gazprom

・12月20日、Gazprom の取締役会は2018年の投資プログラムおよび予算を承認した。同社経営管理委員会による11月の承認時からプログラムの大枠に変更なし。投資総額は1兆2,788億3,000万ルーブル、その内、設備投資が7,984億2,800万ルーブル、非流動資産の取得費が409億8,300万ルーブル、長期財政投資が4,394億1,900万ルーブル。外部借入金は4,169億7,100万ルーブル。(Gazprom Press release,2017/12/20)

・12月21日、ミレル会長は中国天然気集団公司(CNPC)の王宜林会長とWorking meetingを行った。双方は、「シベリアの力」ガスP/L東ルートの建設によりロシア産ガスの中国向け輸出プロジェクトを着実に実施していること等に言及し、ガス部門における両社の協力関係を高く評価した。会合の後、ロシア極東(サハリン)から中国までの天然ガス供給の基本条件に関する合意(HoA)に調印した。当該文書では、供給に関する主要パラメータである供給量、契約期間、供給開始日、国境渡し地点等が定められている。本契約については、2018年に締結の見通し。双方は、また、「シベリアの力」ガスP/L東ルートによる天然ガスの売買契約の附属書となるCoordination Agreementを締結した。(Gazprom Press release,2017/12/21)

Developing gas resources and shaping gas transmission system in Eastern Russia

map

【図出典http://www.gazprom.com/press/news/2017/december/article388463/】

(3)Gazprom Neft

12月28日、Gazprom Neftは、GazprombankおよびSberbankが、22日にVostochno-Messoyakha油田開発への協調融資で合意したとプレスリリースした。10年間の協調融資の総額は1,000億ルーブル(Gazprombankが400億ルーブル、Sberbankが600億ルーブル)。同プロジェクトの開発は、Gazprom Neft(オペレーター)とRosneftのJVであるMessoyakhaneftegazによって進められている。

(4)NOVATEK

NOVATEKは12日、2030年までの新戦略を発表した。12月13日付Kommersant紙によれば、同社の最優先課題はLNG生産であり、ヤマルとギダンでのLNGプロジェクトを積極的に発展させる計画。対象は、Yamal LNG(年間生産能力1,650万トン。年間生産能力90万トンの第4トレインの建設も計画されている)、Arctic LNG-2プロジェクト(Utrennee鉱床を資源基盤として年間生産能力1,830万トンのプラントを建設し2023年までに稼働を開始する計画)である。さらに、LNGプロジェクトの枠内で、Gydanskoye鉱床(1,220万トン)、Severo-Obsky鉱区(1,220万トン)、Shtormovoye鉱床とVerkhnetiuteyskoye鉱床(各610万トン)の開発も行われる予定。これらの鉱床鉱区の開発が順調に進めば、NOVATEKは年間約7,000万トンのLNGを生産するポテンシャルを得る見込み。これは、現時点でのカタールやオーストラリアの年産量に匹敵する数字である。また、LNG生産の関連プロジェクトとして、カムチャツカにおけるLNG積替え基地の建設(処理能力600億㎥)、コラ造船所の建設、独自の液化技術とそのための設備機器の開発にも投資する計画。独自の液化技術の開発は、米国の金融制裁の対象となっている同社にとって重要な意味を持つが、フリードマン第1副社長は、「Arctic LNG-2の第3トレイン(610万トン/年)に関しては、ロシアの技術をベースに建設される可能性がある」との発言を行った。同社が、LNGプロジェクトを実現させるには2030年までに2兆5,000億~2兆8,000億ルーブルの投資が必要になるとされる。同社は2030年までにガスの生産量を倍増させ、年産1,260億㎥にする計画であるが、増産を牽引するのはもっぱらLNG専用鉱床になるとされる。統一ガス供給システム向け生産量は年産600億~650億㎥の水準で維持されるとの見込み。

(5)Transneft

12月20日、政府は、2018年以降Transneftのサービス料金を3.95%引き上げることを承認した(2018年の物価上昇率予測は4%)。連邦反独占局の発表によると、同局は、基本料金を4%引き上げ、カザフスタン経由中国向け輸送(Rosneftが実施)料金を16.7%引き下げるよう提案していたが、カザフスタン向け輸送料金の変更は行われなかった。Transneftは、財務省が各国営企業に要求している国際会計基準に基づく純利益の50%を配当に回さなければならないことが考慮されていないとし、2018年の輸送料金の21%引き上げを求めていた。(Vedomosti,2017/12/22)

 

4.新規LNG・P/L事業

(1)Yamal LNG

・12月5日、Yamal LNGプラントの第1トレイン(年間生産能力550万トン)で生産が開始した。8日には、プーチン大統領の立会の下、LNGタンカー「Christophe de Margerie」号への積み込みに合わせた記念式典が行われた。大統領は、「これは、国のエネルギー部門のみならず、ガス生産、液化において重要なイベントである。また、これはロシアにとって、重要な方向であり、壮大なプロジェクトである。つまり、我々の前には、北極圏と北極海航路の発展に向けた大きな課題があるということだ」と述べた。(NOVATEK, Press release, 2017/12/05, Kremlin.ru,2017/12/08)

・12月9日、Yamal LNGの第1カーゴがSabetta港を出港、ベルギーのZeebruggeへ向かった。NOVATEK傘下の商社「Novatek Gas & Power」はLNGをマレーシアのPetronasにスポットで売却したが、タンカーが中継地(LNG積替基地)であるZeebruggeに到着する間に、欧州のガス市場が大きく変化したため*、14日、PetronasはLNGをスポットで英国に転売した。到着予定は12月28日以降(Vedmosti,2017/12/15)。
*11日、北海Forties P/Lの故障で英国のガス生産量が2,000万m3/日減少。12日、墺Baumgartenハブで爆発。英国NBPでガス価格が$400/1,000m3($11.3/MMBtu)超える。

・12月27日付Vedomosti紙によれば、CNPCがYamal LNGの2番目のロットを購入したとのこと。LNGは「Boris Vilkitsky」号に積載され、現在、ロッテルダム港へ向かっている。3番目のロットは、仏Totalに売却予定。Yamal LNGは長期契約が発効する2018年4月1日までに、合計で17ロットのLNG(約124万トン)を出荷する予定であるが、その内3ロットが2017年中に出荷される。ミヘリソン社長によれば、ロットはすべてスポット市場で売却される予定とのこと。

(2)「シベリアの力」ガスP/L

12月26日、Gazpromのミレル会長は、「年末までに『シベリアの力』ガスP/Lの2/3にあたる1380㎞が建設される」と語った。中国向けガス供給については、「予定通り、2019年12月20日に開始される」と述べた。(RIA Novosti,2017/12/26)

以上

(この報告は2018年1月26日時点のものです)

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