ページ番号1007487 更新日 平成30年4月12日
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1.政治・経済情勢
(1)国内
・2月12日付連邦関税局の発表によれば、2017年のロシアの貿易総額は5,840億ドルで対前年比24.8%増となった。そのうち、輸出は前年比25%増の3,570億ルーブル、輸入は前年比24.5%増の2,270億ルーブルであった。主な輸出商品は、燃料エネルギー(シェア59.2%)、金属金属製品(同10.4%)、機械設備(同7.9%)、輸入商品は、機械設備(同48.6%)、化学品(同17.7%)、食料品農産品(同12.7%)。貿易相手国の割合は、EU42%(前年42.8%)、APEC諸国31%(同30%)、CIS諸国12%(同12.1%)、EEU(Eurasian Economic Union)諸国9%(同8.3%)であった。
・日本の財務省貿易統計によれば、日本の対露貿易額は、対前年比25%増の2兆2,224億円であった。そのうち、輸出は前年比21.5%増の6,737億円、輸入は26.3%増の1兆5,531億円であった。主な輸出商品は、自動車二輪自動車等の輸送用機器(シェア56.2%)、建設鉱山用機器等の一般機器(同18.1%)、ゴム製品等の原料別製品(同9.2%)、輸入商品は、原油粗油(シェア26.8%)、LNG(同20.1%)、石炭(同15%)、非鉄金属(同14.5%)であった。(http://www.customs.go.jp/toukei/latest/index.htm)
・2月9日、ロシア中央銀行の取締役会は、政策金利を0.25%引き下げ7.5%にすることを決定した。年間のインフレ率が4%を上回る可能性が大幅に低下したことより、中央銀行は引き続き政策金利を引き下げ、年内には、中立的な金融政策(政策金利6~7%)に移行を行う計画とのこと。(中央銀行Press release,2018/02/09)
・2月23日、S&Pが、ロシアの長期外貨建て発行体格付を投機レベルのBB+から投資適格のBBB-に引き上げ、見通しはStableとした。今回の格上げは、低水準の油価や制裁に適応してきたロシアのマクロ経済政策が評価されたもの。(Vedomosti,2018/02/24)
・2月28日、連邦税務庁の拡大会議でミシュスティン同長官は、連結予算における税収入が対前年度比20%増の17.3兆ルーブル(GDPの3.1%)であったと述べた。その内連邦予算分は前年比32%増の9.2兆ルーブル。内訳は以下の通り。(Tass,2018/02/28)
利潤税:同18.8%増の3.3兆ルーブル、付加価値税:同15.5%増の3.1兆ルーブル、物品税:同17.6%増の1.5兆ルーブル、資産税:同11.9%増の1.2兆ルーブル、個人所得税:同7.7%増の3.3兆ルーブル。
(2)対外関係
1.サウジアラビア
・2月14日、ロシア代表団は、サウジアラビアのサルマン国王と会談を行った。会談に参加したノヴァクエネルギー相は、石油市場における協力の他、エネルギー・産業・農業分野における2国間協力の発展の展望について協議したと語った。同会談には、ロシア直接投資基金のドミトリエフ総裁も参加し、両国間の投資協力の他、同基金、サウジアラビアのPublic Investment Fund及びSaudi Aramco間の具体的なプロジェクトの実現について協議を行った。(Interfax,2018/02/14)
・ノヴァクエネルギー相が、15日に述べたところでは、NOVATEKがサウジアラビアにおけるLNG再ガス化ターミナル建設に関心を示しているとのこと。また、NOVATEKとSaudi Aramco間で締結された覚書に基づき、Artic LNG-2に関する協議は継続されており、記者の「サンクトペテルブルグフォーラムで契約が締結されるか」との問いには、「あるかもしれないし、或いはそれより早く締結することもありうる」とコメントした。サウジアラビア向けLNG供給については、テンダーの結果で決まることとし、ロシア企業は、テンダー参加に関心があると述べるにとどめた。(Interfax,2018/02/15)
2.日本
・2月22日、世耕経済産業大臣兼ロシア経済分野協力担当大臣は、オレシュキン経済発展大臣兼対日貿易経済協力担当大統領特別代表とともに、「協力プラン」の具体化に関する日露ハイレベル作業部会第2回会合を開催した。また、これに先立ってノヴァクエネルギー相と第5回エネルギーイニシアティブ協議会を開催。同協議会では、炭化水素、原子力、再生可能エネルギー・省エネルギーの各分野での具体的な協力案件の確認、今後の更なる推進に向けた協議を行った。(経済産業省,2018/02/22)
3.米国
・米国が対ロ制裁を強化する中で、2月28日、米ExxonMobilがRosneftとの合弁事業から撤退したことが明らかになった。この合弁撤退に伴い、税引き後利益で約2億ドルの損失が発生する見込みとなっている。
2011年、ExxonMobilとRosneftは北極圏大陸棚プロジェクトや抽出困難鉱区開発プロジェクトを含む両社の戦略的パートナーシップについて発表した。両社の計画は壮大であり、当時副首相を務めていたセチン氏(2012年にRosneft社長に就任)は、この合意は数十年に及び、投資額は2,000億~3,000億ドルになると述べていた。ExxonMobilのティラーソンCEO(当時)は、同社はRosnefとの協力によりロシアのエネルギー部門の発展に貢献し、この合意は「両社の関係を新たなレベルに導き、双方に多大な利益をもたらすであろう」と述べていた。この協力の特徴は、初期段階における地質探鉱作業の費用を外国企業側が調達するという点であるが(出資比率はRosneftが66.7%、ExxonMobilが33.3%)、その後、RosneftはノルウェーのStatoil及びイタリアのEniとも同じスキームの事業を立ち上げている。
ExxonMobilはまずカラ海の3鉱区に17億ドルを投資することに合意したが、2014年、米国とEUが対ロ制裁を発動し、外国企業がロシアの北極圏で事業を行うことは不可能となり、両社の探鉱調査はカラ海で大規模石油鉱床「ポベダ」が発見された時点で凍結された。ExxonMobilは事業停止による損失を10億ドルと評価していた。さらに、2017年7月、米国財務省は、ExxonMobilが2014年5月にRosneftのセチンCEO(個人として米国の制裁対象となっている)と法的拘束力を有する書類を締結したことを理由に、同社に200万ドルの罰金を科した。制裁発動以来4年間、ExxonMobilはロシアにおけるプロジェクトの再開を望み、米国財務省に制裁を解除するよう要請してきたが、実現しなかった。2017年2月にはティラーソン前CEOが国務長官に就任したが、同長官の後押しへの期待も叶わなかった(国務省の担当者は、長官は同社の事案に介入しないという自らの義務を遵守していると説明している)。2017年秋には、米国財務省は石油ガス部門の制裁をさらに拡大し、2018年1月末の強化制裁発効以降は、合弁事業を続けていくことが不可能な見通しとなった。そして2月28日、ExxonMobilは、制裁の影響を受けている共同プロジェクトから撤退することを明らかにした。
一方、Rosneftは3月1日、事業継続のためのExxonMobilの尽力に対して感謝の意を表明するとともに、同社は、独力で事業を継続するが「法的に可能となった場合、ExxonMobilの復帰」を支援することを約束した。しかしながら、協力が再開される可能性は、事実上ないとされる。第一に、米国の制裁措置が長期にわたることは明らかである。第二に、RosneftはExxonMobilの撤退後も事業を継続すると発表しているが、大陸棚開発の技術を持たずに同社だけで多額の投資を誘致するのは不可能であることより、2020年以降(油価が上昇し、大陸棚プロジェクトが魅力的な事業になる可能性がある)、新たなパートナーを探さなければならないであろう。(Vedomosti,2018/03/02)
2.石油ガス産業情勢
(1)原油・石油製品輸出税
・2018年2月、原油輸出税はUSD 16.5/バレルに引き上げ、東シベリア及びカスピ海北部の油ガス田等に対しては、引き続きゼロ課税となった。
・2月の石油製品輸出税はUSD 36.0/トン、ガソリンについてはUSD 66.0/トンに設定された。
<参考:原油及び石油製品輸出税の推移>
輸出税 |
2014年平均 |
2015年平均 |
2016年平均 |
2017年平均 |
2018年1月 |
2018年2月 |
---|---|---|---|---|---|---|
原油(USD/t) |
366.1 |
120.3 |
75.6 |
86.7 |
111.4 |
120.1 |
原油(USD/BBL) |
50.2 |
16.5 |
10.4 |
11.9 |
15.3 |
16.5 |
減税特典原油(USD/t) |
174.9 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
減税特典原油(USD/BBL) |
24.0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
石油製品(USD/t) |
242.0 |
57.7 |
30.2 |
26.0 |
33.4 |
36.0 |
内、ガソリン(USD/t) |
330.0 |
92.7 |
53.6 |
47.7 |
61.2 |
66.0 |
(出所:ロシア経済発展省)
(2)原油生産・輸出量
・2月、原油、ガス・コンデンセート生産量は4,183.6万トンで(約3億712万バレル)、前年同月比11.9%減。平均日産量は1,095.3万バレル(前年同月は1,095.2万バレル)。(Interfax,2018.03.02)
・2月、原油輸出量は1,909.4万トン(約1億4,017万バレル)。(エネルギー省HP)
(3)天然ガス生産・輸出量
・2月、天然ガス生産量は592.9億㎥(約2.09TCF)で、前年同月比1.3%増。1~2月は1,246.4億㎥(約4.4TCF)(Interfax, 2018.03.02)
(4)その他
・2月28日、連邦国家統計局は、2017年の原油市場に関する報告を公表した。原油生産量は前年比0.2%減の5億4,670万トン、その内石油精製は同0.3%減の2億8,430万トン、輸出量は、同0.9%減の2億5,260万トンであった。
3.ロシア石油ガス会社の主な動き
(1)Rosneft
・Rosneftは、カラ海のVostochno-Prinovozemelsky第1及び第2鉱区の2か所において掘削対象構造を選定した。第1鉱区はVikulovsky構造、第2鉱区は、Ragozinsky構造。(Interfax,2018/02/02)
・RosneftとGazpromneftの2月5日付プレスリリースによれば、両社の合弁企業であるMessoyakhaneftegazは、Vostochno-Messoyakha油田の深層部で最初の水平探査井の掘削を完了し、軽質油が産出された。初期生産量は日量250トンであり、これにより、同油田深層部の開発が有望であることが確認された。2本の枝掘りから成る新規坑井の深度は、3.3㎞、総延長は、4.4㎞に及ぶ。Messoyakhaneftegaz は2018年中に、更に10本の坑井掘削を開始する予定。(Rosneft,GazpromNeft, Press release,2018/02/05)
・Rosneftは、2017年の自社の確認埋蔵量を6%引き上げた。米DeGolyer &MacNaughtonの監査によれば、米国証券取引委員会(SEC)基準に基づく2017年末時点のRosneftの確認埋蔵量は、石油換算で2016年末時点より、21億4,000万バレル増の339億1,000万バレルとなり、同社の生産の置換率は186%となった。(Interfax,2018/02/13)
・2月21日付Kommersant紙は、業界関係者の話とし、Rosneftは、自社の生産量不足を補うため、Gazpromから規制価格で50億㎥のガスを購入する契約を締結したと報じた。RosneftはInterRAOとの年間350億㎥の契約を含む長期契約の履行のためにガスを必要としているが、自社生産のガスでは契約量をカバー出来ず、Gazpromからの購入となったとのこと。Rosneftと顧客との契約価格は、規制価格を下回るため、この取引によりRosneftは約12億ルーブルの損失を被る可能性がある(大口顧客との一部契約における平均割引率6%に基づき試算)。
・連邦反独占局は、Rosneftが保有するヤマロネネツ自治管区のKharampurneftegazの株式49%の英国BPへの売却について承認した。RosneftとBPは、Kharampur及びFestival鉱区の探鉱・開発で合意している。両鉱区の合計ガス埋蔵量は8,800億㎥超。生産された石油・ガスはRosneftが販売する予定。(Interfax,2018/02/27)
(2)Gazprom
・2月6日、Gazpromのメドヴェージェフ副社長は、ニューヨークでの投資家との会合において、同社は2017年に「ソ連とロシアのガス産業の全歴史において最大のガス輸出量-1,944億㎥-を記録した」と発表した。同社の資料によれば、欧州市場における同社のシェアは34.7%とされている(2012年のシェアは26%であった)。同副社長は、輸出量の増加理由は、欧州のガス消費量の増加によるものであるが、同社のシェアは市場よりも急速に拡大していると強調している。Gazpromは、欧州のガス輸入量は2035年までに33~50%増えて、年間3,930億~4,590億㎥になると見込んでいる。(Vedomosti,2018/02/07)
・2月15日、Gazpromの創立25周年記念日の前日に、ミレル会長はプーチン大統領と面談し、同社の実績と現在の活動状況について報告をした。ミレル氏は、社会的に最も重要なプログラムとして国内のガス化を挙げ、2005年半ば以降、3万キロ以上のガスP/Lが建設され、4千余りの集落にガス供給が開始されたことに言及。2018年1月1日時点のガス供給率は68.1%。(Kremlin.ru,2018/02/16)
・ 2月28日、ストックホルム仲裁裁判所はGazpromに対しガスのトランジット契約に基づき合意した輸送量不足(2009年~2017年分)として、ウクライナの国営ガス会社Naftogaへの46億ドルの支払いを命じた。同裁判所は、昨年12月にNaftogazに対して、Gazpromから購入したガス代金として、20億ドルの支払いを命じており、差引25.6億ドルをGazpromが支払うことになる。(Kommersant,2018/03/01)
(3)Gazprom Neft
・2月20日付プレスリリースでGazprom Neftは、DeGolyer & MacNaughtonの評価による2017年12月31日時点の炭化水素埋蔵量を公表した。確認及び推定埋蔵量(SPE-PRMS国際基準に基づく2P)の合計は、前年比2.3%増の石油換算27億8,000万トン。2017年の石油換算生産量は8,975万トンで、置換率は170%となった。2017年末時点の確認(1P)埋蔵量は、前年比0.6%増の石油換算15億2,000万トン、置換率110%。可採年数(R/P)は17年。米国証券取引委員会(SEC)基準の合計埋蔵量は、前年比3.4%増の石油換算13億4,000万トン。Gazprom Neftは、2017年に27坑の探査井の掘削を実施し、掘削総延長は9万4,600mで前年より41.2%増加した。昨年、同社ラインセンス鉱区で発見された油ガス田は、42鉱床である。
・2月28日、Gazprom Neft は2017年の連結決算(IFRS基準)を発表。概要は以下のとおり。(Gazprom Neft Press release,2018/02/28)
>売上:前年比18.2 %増の2兆35億7,500万ルーブル
>EBITDA(調整済):前年比20.8%増の5,509億6,700万ルーブル
>純利益:前年比26.5 %増の2,532億7,400万ルーブル
>投資額:前年比7.2%減の3,570億9,000万ルーブル
>生産量:石油換算で前年比4.1%増の8,975万トン
(4)NOVATEK
・2月19日付プレスリリースで、NOVATEKはサウジアラビアの国営石油会社Saudi AramcoとMOUを締結したことを公表した。MOUに基づき、両社は、LNG供給、LNG市場の発展、ガスの探鉱生産プロジェクト、研究・技術開発を含む天然ガスプロジェクトで協力することで合意した。ミヘリソン社長は、NOVATEKはLNG生産を急速に拡大し、外国企業を誘致する戦略を採っており、世界的に重要な企業であるSaudi Aramcoとガス市場において協力する機会を得たことを歓迎すると述べた。
・2月21日、NOVATEK は2017年の連結決算(IFRS基準)を発表。概要は以下のとおり。(NOVATEK Press release, Kommersant,2018/02/21)
>売上:前年比8.5%増の5,831億8,600万ルーブル
>EBITDA:前年比5 %増の1,983億3,500万ルーブル
>純利益:前年比39.3%減の1,563億8,700万ルーブル・・・中国のシルクロード基金へのヤマルLNGの持分9.9%の売却益、外貨建ての借入金に関連した為替差益分などが反映されたため、2016年の利益が大きかったために生じた現象。それらの要因を排除した2017年の修正済利益は、前年比16.8%増の1,561億6,600万ルーブルとなっている。
>生産量:ガス生産量は前年比6.3%減の634億㎥、石油及びガスコンデンセートの生産量は前年比5.4%減の1,177万トン。
(5)Lukoil
・2月5日、Lukoilのアレクぺロフ社長は、プーチン大統領に2017年の業績と2018年の計画について報告を行った。副社長によれば、同社はカスピ海沿岸のBudennovskでのガス化学加工プラント建設に1,200億ルーブルの投資決定をした。プラントは、二つの主要なラインで構成され、一つのラインでは化学製品が、2023年~2024年に予定されている第二期にはポリエチレンやポリプロピレンを生産する予定。600人を雇用し、建設期間中は3,000人の作業員が従事する見込みである。(Kremlin.ru,2018/02/05)
・2月16日付プレスリリースでLukoilは、米国証券取引委員会(SEC)基準の評価による2017年12月31日時点の炭化水素埋蔵量を公表した。合計可採埋蔵量は、石油換算160億バレルで、そのうち75%が石油であった。可採年数は19年。同社は、探鉱作業の結果、2017年に石油換算5億100万バレルを追加した(西シベリアで1億9,800万バレル、カスピ海で1億バレル)。
(6)Surgutneftegas
・2月14日付Prime紙によると、Surgutneftegasは、2018年に石油6,140万トン(そのうち、910万トンが東シベリア地域)及びガス93億㎥を生産する計画。2017年の生産量は6,054万トンであった。
(7)Slavneft
・2月12日、Slavneft(RosneftとGazprom Neftの合弁会社) は2017年の連結決算(IFRS基準)を発表。概要は以下のとおり。(Slavneft Press release,2018/02/21)
>売上:前年比12.5%増の2,412億5,300万ルーブル
>EBITDA:前年比0.2%増の698億7,300万ルーブル
>純利益:前年比24%減の217億700万ルーブル(同社株主帰属:前年比30.2%減の120億3,100万ルーブル)
4.東シベリア・極東・サハリン情勢
(1)サハリン
・2月26日付Prime紙はGazpromのユーロ債発行目論見書からの情報として、サハリン島大陸棚のYuzhno-Kirinskoyeガス田の生産を2023年~2024年に開始予定であると報じた。同社は、年間ガス生産量210億㎥に達するのは生産開始から11年と見ている。
・2月28日の電話会議で、Gazprom NeftのYankevich財務担当副社長は、オホーツク海大陸棚のNeptune鉱床(Ayashisky鉱床からNeptuneに改名。Sakhalin-3)の開発は、パートナー企業との協力で行う計画であると述べた。副社長は「単独でプロジェクトに取り組む計画はなく、リスクのシェアや技術面での相乗的効果を得るため、パートナー企業と進めて行く予定である」と発言。同社のジュコフ社長は、2017年10月、Neptune油田の炭化水素生産量は年間500万~600万トンになる可能性を示唆し、2025年に同油田の稼働を開始する予定と述べていた。( Prime,2018/02/28)
5.新規LNG・P/L事業
(1)Arctic LNG
・2月22日付のInterfax紙によれば、NOVATEKが手掛けるArctic LNG-2の資金調達モデルは、Yamal LNGと異なるものとなる見込みである。投資家との電話会議において、NOVATEKのミヘリソン社長は、同プロジェクトはYamal LNGよりリスクがはるかに低いと見ており、外部からの資金調達の割合を大幅に減らし、資金調達構造を最適化出来る可能性が高いと発言した。また、Yamal LNGよりも30%のコスト削減が可能であると述べた。
(2)Turk Stream
・2月8日にロンドンで開催された投資家との会合において、Gazpromのクルグロフ副社長はTurk Streamの投資額を明らかにした。「当初、建設費は60億ユーロ程度と見ていたが、現時点では、70億ユーロに達すると見ている」と発言した。また、資金調達については、「今のところ外国の銀行からの融資を獲得出来ておらず、見通しも立っていないことより、当初よりGazpromの自己資金により作業が進められるであろう。Turk Streamの建設に伴い増加した債務の一部は、プロジェクトボンドを発行することにより返済することを計画している」と語った。2017年6月にクルグロフ副社長は、当該プロジェクトのプロジェクトファイナンスに関し、外国の銀行及びロシアの銀行との間で既に交渉を開始していると述べていた。しかし、昨年8月2日に、米国が新たな対露制裁を発動し、ロシアの輸出用P/L建設の為に一度に100万ドル以上を投資した者、並びに当該P/Lの建設のために設備機器・サービスを提供した者に対し制裁を発動する権限が米国大統領に与えられた。専門家は、制裁による影響を受け、プロジェクトファイナンスが成立しなかったことをGazpromが事実上認めたことを意味するとしている。(Vedomosti,2018/02/09)
以上
(この報告は2018年3月20日時点のものです)