ページ番号1007497 更新日 平成30年4月20日

ロシア情勢(2018年3月 モスクワ事務所)

レポート属性
レポートID 1007497
作成日 2018-04-20 00:00:00 +0900
更新日 2018-04-20 13:51:44 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 基礎情報
著者 黒須 利彦井戸 智子
著者直接入力
年度
Vol
No
ページ数 10
抽出データ
地域1 旧ソ連
国1 ロシア
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 旧ソ連,ロシア
2018/04/20 黒須 利彦 井戸 智子
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1.政治・経済情勢

(1)国内

政治

・3月1日、プーチン大統領が上院で年次教書演説を行った。大統領選直前のタイミングで行われたことから、プーチン大統領の事実上の選挙公約として注目を浴びた演説(1時間56分56秒にわたる)では、生活水準向上等の社会経済問題と軍事力の強化に焦点があてられた。大統領は、国の発展、人口増加のための支援及び医学と教育分野への投資の必要性に関する方針から演説を始めたが、その後半部分(42分)はロシアの防衛力と革新兵器の紹介に費やされた。大陸間弾道ミサイル、原子力推進巡航ミサイルなど最新核兵器が映像で紹介され、ロシアの意見を聞かずMD展開やNATO拡大を進めてきた欧米への対抗措置だとし、自国や同盟国に対する核兵器の使用は、どんな攻撃であれ即座に反撃すると述べた。経済政策については、「一人当たりのGDPを1.5倍に引き上げなければならない。ロシアの経済成長率を世界の平均成長率より上回らせる」とし、以下の指針を掲げた。
①労働生産性の向上:年間5%以上の上昇、②投資拡大:GDPの25%までの引き上げ、③中小企業の発展:5年後までに中小企業によるGDPへの貢献を40%まで引き上げ、雇用者数を現在の1,900万人から2,500万人に増加させる、④非資源・エネルギー輸出の増大:今後6年間で非資源・エネルギーの輸出を現在の2倍にあたる2,500億米ドルまで引き上げる。 (RBC daily,Vedomosti,2018/03/01)

・3月18日、ロシア大統領選が行われ、即日開票された。3月23日付の中央選挙管理委員会議事録によれば、現職のプーチン大統領が得票率76.69%で圧勝した。投票率は、前回の65.34%を上回る 67.5%(有権者数109,008,428人、投票数73,578,992人)であった。大統領の任期は6年で、今回で通算4期目となるプーチン政権は合計24年の長期政権となる。

photo1

   氏名

政党/自薦候補

得票数

得票率(%)

ウラジーミル・プーチン

自薦

56,430,712

76.69

パーベル・グルディニン

ロシア連邦共産党

8,659,206

11.77

ウラジーミル・ジリノフスキー

ロシア自由民主党

4,154,985

5.65

クセーニア・ソプチャク

市民イニシアチブ

1,238,031

1.68

グリゴリー・ヤブリンスキー

ヤブロコ

769,644

1.05

ボリス・チトフ

成長党

556,801

0.76

マキシム・スライキン

ロシア共産主義者共産党

499,342

0.68

セルゲイ・バブーリン

ロシア全人民同盟

479,013

0.65

(出典:中央選挙管理委員会)

・3月18日23時頃、プーチン大統領は、モスクワのマネージ広場で「ロシア・セバストーポリ・クリミア(クリミア編入4周年記念)」集会並びにコンサートに参加中の支持者を前に勝利宣言を行った。聴衆からの「我々はあなたのチームの一員である」との呼び掛けに、プーチン大統領は、「その通りです!我々は共通のチームであり、私はこのチームメンバーです。今日、投票をした人は皆、国家チームの一員です。今回の結果を皆さんの信頼と希望の表れと見ています。国民からは、我々が懸命に仕事に取り組み、より一層の結果を出すことが期待されています。何百万人から成る強力なチームに感謝します。我々には成功が待っています」と述べた。 (Kremlin.ru,2018/03/18)

photo2

経済・財政

・3月22日、教書演説で示した課題についてプーチン大統領は、シルアノフ財相と協議した。財相は、世界経済を上回るGDP成長率、投資の拡大、低所得層への支援、貧困対策(貧困層の半減化)等に向けられる資金は、増税ではなく、各種優遇税制の見直し並びに脱税率を削減し税金の徴収率をあげることで確保すると述べた。また、同氏によれば、会社の利益を増やすことで投資の活性化を図るべく税制改革案を検討しているとのこと。 (Kremlin.ru,2018/03/22)

(2)対外関係

1.ウクライナ

・3月1日、Gazpromは、両国間のガス論争に対するウクライナの主張を大方認めたストックホルム仲裁裁判所の2月28日付の判決(ガスのトランジット契約に基づき合意した輸送量不足として、Gazpromに対し、ウクライナの国営ガス会社Naftogazへの46.7億ドルの支払いを命じた)を不服とし、適用法に基づきあらゆる手段で自社の権利を守るとの声明を発表した。既にGazpromはNaftogazとのガス供給及び輸送契約の解除手続きを開始しているが、当該契約は一方的に破棄することはできず、まず双方で30日~45日間協議することが義務付けられている。一方、Naftogazは、3月期のガス納入代金の前払いを行ったが、Gazpromは必要な合意文書がそろっていないとしてこの代金を全額返還し、ガス供給の再開を行わなかった。これにより、ウクライナは、日量約1,000万㎥のガス不足に陥ることになるため、ポーランド国営石油会社とガス購入契約を急遽締結し、6,000万㎥超のガスを購入した。また、3月2日には、ウクライナは国民に家庭用ガスの消費節約を呼び掛ける等、ガス消費に関する制限措置を採った。 (Prime,IOD他 2018/03/05)

・3月27日、GazpromとNaftogazは両者の争いを巡る国際仲裁判決が出された2月末以来、初めてとなる会談を数日前に行ったことを明らかにした。Gazpromはこの会談をウクライナに対するガス供給及び輸送契約の解除に必要な話し合いのスタート地点と位置付けているのに対し、一方のNaftogazは、同社の仲裁裁判所での勝訴から次段階での合意に至るための協議であるとしている。当初の予想通り、協議は埋まらぬ溝を示すものに終わり、欧州連合による第3者調停が必要であるとされる。Gazpromは先に、裁判所の決定は権限を逸脱したものであり、訴訟手続き上重大な間違いを犯しているとの理由で、スウェーデンのSvea控訴裁判所に上訴したと発表していた。(IOD,2018/03/28)

2.英国・欧米

・3月4日に英国南西部ソールズベリーで起きた神経剤による元ロシア情報機関員暗殺未遂事件を受け、3月14日、メイ英国首相は、ロシア政府が事件に関与したとし、対抗措置として英国に駐在するロシア外交官23名の国外追放とロシアで6月~7月に開催予定のワールドカップへの王室及び閣僚の派遣中止を発表した。ロシアは対抗措置として、17日、英国外交官23名の国外退去及びサンクトペテルブルグ総領事館の閉鎖等を決定した。 (Vedomosti,2018/03/14)

・3月15日、英米独仏の4ヶ国首脳は、元ロシア情報機関員暗殺未遂事件に対する共同声明を発表した。声明において、「ロシアによって開発された軍用神経剤を用いたこの事件は、第二次世界大戦以降、欧州で神経剤が使用された最初の事例である。これは英国の主権に対する攻撃であり、化学兵器禁止条約締結国による神経剤の使用は、同条約及び国際法に明確に違反であり、安全を脅かすものだ」として事件を強く非難した。また、ロシアが事件に関与した可能性が極めて高いとする英国の見解を同盟国も共有しているとし、ロシアに対し事件に関する全ての質問に答えると共に、化学兵器禁止機関(OPCW)に神経剤の情報を完全に開示することを求めた。 (www.gov.uk,2018/03/15)

・3月26日、英国に追随する形で米国や欧州連合(EU)加盟国は、相次いでロシア外交官の国外追放を発表した。米国がロシア外交官60名の国外追放とシアトル総領事館の閉鎖を決定した他、EU加盟国18カ国で合計35人(ドイツフランス・ポーランド各4名、リトアニアチェコ各3名、デンマークスペイン・イタリア・オランダ各2名、ハンガリーアイルランド・ラトビア・ルーマニア・フィンランド・クロアチア・モンテネグロ・スウェーデン・エストニア各1名)、ウクライナ(13名)、モルドバ(3名)、カナダ(4名)、アルバニアオーストラリア(各2名)、ノルウェーマケドニア(各1名)の英米併せて合計27カ国144人の国外追放となった。 (Tass,2018/03/26)

・3月29日、ロシア政府は、対抗措置として米国外交官60名の国外退去とサンクトペテルブルグ総領事館の閉鎖を決定した。翌30日、ロシア外務省は、ロシア外交官の追放を決めた25カ国に対し、同人数の外交官の国外追放を伝えた。また、英国に対しては、ロシアにおける英大使館領事館の外交官の人数を英国におけるロシア外交官の人数まで削減(50名の国外退去)するよう伝えた。 (RIA Novosti他,2018/03/29-30)

 

2.石油ガス産業情勢

(1)原油・石油製品輸出税

・2018年3月、原油輸出税はUSD 16.4/バレルと僅かな引き下げ、東シベリア及びカスピ海北部の油ガス田等に対しては、引き続きゼロ課税となった。

・3月の石油製品輸出税はUSD 35.8/トン、ガソリンについてはUSD 65.7/トンに設定された。
 

<参考:原油及び石油製品輸出税の推移>

輸出税

2014年平均

2015年平均

2016年平均

2017年平均

2018年3月

2018年2月

原油(USD/t)

366.1

120.3

75.6

86.7

119.5

117.0

原油(USD/BBL)

50.2

16.5

10.4

11.9

16.4

16.0

減税特典原油(USD/t)

174.9

0

0

0

0

0

減税特典原油(USD/BBL)

24.0

0

0

0

0

0

石油製品(USD/t)

242.0

57.7

30.2

26.0

35.8

35.1

内、ガソリン(USD/t)

330.0

92.7

53.6

47.7

65.7

64.3

(出所:ロシア経済発展省)

(2)原油生産・輸出量

・3月、原油、ガス・コンデンセート生産量は4,639万トン(約3億4,055万バレル、平均日量1,096.9万バレル)で、前年同月比0.7%減。1~3月は1億3,454.5万t(約9億8,771万バレル、平均日量は1,095.8万バレル)で、前年同期比1.2%減。(Interfax,2018/04/02)

・3月、原油輸出量は2,109.7万トン(約1億5,488万バレル)。1~3月は6,167.5万t(約4億5,276万バレル)。 (エネルギー省HP)

(3)天然ガス生産・輸出量

・3月、天然ガス生産量は656.7億㎥(約2.32TCF)で、前年同月比14.1%増。1~3月は1,904.6億㎥(約6.73TCF) (Interfax,2018/04/02)

(4)その他

・3月29日、ノヴァクエネルギー相がプーチン大統領に2017年のエネルギー産業の業績を報告した。大臣によれば、ロシアは原油生産およびガス輸出で世界1位、ガス生産で同2位、石炭輸出で同3位であり、エネルギー供給、安全保障及び供給バランス等において重要な役割を果たしている。2017年の原油生産量は、前年比0.1%減の5億4,680万トン、ガス生産量は過去17年で最大となる6,910億㎥、ガス輸出量は2,240億㎥、石炭生産量は4億900万トンで過去最大となった。原油及びガス輸出の売り上げは、前年より310億ルーブル増加。原油高(前年比約11ドル増となる平均油価1バレル54.7ドル)により、国庫は1.2兆ルーブルの追加収入を得た。2017年の燃料エネルギー部門への総投資額は前年比10%増の3兆5,000億ルーブルとなった。投資増により、石油部門では、ハンティマンシ自治管区のEriginsky鉱床群といった主要なもの含め、55の鉱床で生産を開始。ガス部門では、Yamal LNGプロジェクトが稼働を開始した。ノヴァク大臣は、LNG市場における現在のロシアの占有率は5%であるが、将来的には、15~20%まで拡大する計画であると発言。P/Lに関しては、昨年2,000㎞のガスP/L 及び1,225㎞の幹線石油P/Lの敷設を実施。エネルギー供給の多様化に資する「シベリアの力」ガスP/LやTurk StreamのP/L敷設は鋭意実施されており、Nord Stream-2プロジェクトも欧州パートナーと共に進めているとのこと。 (Kremlin.ru,2018/03/29)

 

3.ロシア石油ガス会社の主な動き

(1)Rosneft

・Rosneftの3月19日の発表によれば、同社の2017年の石油生産量は、前年比7.3%増の2億2,550万トン、ガスは同2%増の684億㎥であった。2017年の生産井の掘削総延長は前年比29.5%増の1,200万m、新規坑井数は、同28%増の3,400坑。水平井の割合は36%に高まり、多段階水圧破砕水平井の数は67%増となった。自社による掘削作業の割合は約60%で前年からほぼ横ばいであった。 (Interfax,2018/03/19)

・3月22日付Kommersant紙によれば、RosneftとイタリアのEniは、黒海のZapadno-Chernomorsky鉱区で最初の坑井掘削を完了したが、油兆を発見することはできなかった。しかし、Rosneftはこの地域には300mの炭酸塩岩層が発見されており、炭化水素を含む可能性が高いとし、引き続きデータを分析し、作業を継続するとしている。Zapadno-Chernomorsky鉱区のMariya-1坑井の水深は2,100m。掘削装置はSaipemのScarabeo-9大水深用半潜水型リグを使用。

(2)Gazprom

・3月13日付独Linde Groupのプレスリリースによれば、LindeはGazprom Export(100% Gazprom子会社)と2017年以降アムールガス処理センターからヘリウムを購入する契約を締結した。合意に基づき、Lindeは、ブラゴベシェンスク市近郊のスバボードヌイ市に建設中の新プラントにおける生産施設から、相当量のヘリウムを購入する予定。 

・3月29日の天然資源環境省の発表によれば、Gazpromが保有するTambeiガス田群のC1+C2カテゴリーの天然ガス埋蔵量は、2017年に1兆6,000億㎥に引上げられ、2017年末時点で3兆5,000億㎥(127兆cf)となった。探鉱が活発に行われた結果、Tambeiガス田群のZapodno-Tambeiskoye,Severno-TambeiskoyeおよびTasiiskyガス田が1つのTambeiガス田に繋がっていることが明らかになったとのこと。 (Prime,2018/03/29)

・天然資源・環境大臣のドンスコイ氏が、3月30日にPrime紙に述べたところによると、Gazpromは、カラ海にあるLeningradガス田の埋蔵量C1カテゴリーを6,700億㎥(23.7兆cf)引き上げたとのこと。

(3)Gazprom Neft

・Gazprom Neftのストリジネフプロジェクト本部長が記者団に対し述べたところによれば、同社は2018年7月末を目処に、自社のBazhenovプロジェクトの管理を任せる特別法人バジェノフ技術センターを立ち上げる計画である。設立については既に決定しており、手続きも開始していると明かした。2018年7月末までに法人設立後、2018年末までに関連ライセンスを当該特別法人に移管し、2019年にも業務を開始する予定とのこと。本部長によれば、Bazhenovシェールの技術的試験場であるPalyanovsky鉱区のライセンスに加え、Salymsky油田群のライセンス3件およびNyalinsky油田群のライセンス5件を新規法人に移譲する予定。 (Interfax,2018/03/01)

(4)NOVATEK

・3月13日に開かれたNOVATEK取締役会は、2017年の配当金として、普通株1株当たり8ルーブルの支払いを年次株主総会で承認するよう提案した。NOVATEKは既に2017年上半期の中間配当として、普通株1株当たり6.95ルーブルを支払っているため、2017年の配当金の総額は、普通株1株当たり14.95ルーブルとなる。これは、2016年実績の13.9ルーブルと比較すると、7.6%の上昇となる。同社が2017年分として支払う予定の配当金の総額は453億9,277万4,700ルーブル。これは、国際財務報告基準に基づく純利益の30%以上を支払うという同社の配当方針に合致している。年次株主総会は4月20日に開催予定。 (NOVATEK Press release,2018/03/13)

・NOVATEKは、2017年3月16日に「Arctic Cascade」というLNG技術の特許登録申請を行っていたが、2018年2月16日にロスパテントが特許登録を公表した(発効日は、申請日と同日の2017年3月16日)。Yamal LNGでは、米Air ProductのC3MRという技術が使用されているが、外界温度が-34℃から+45℃の範囲での操業を想定しており、最高外気温が+10℃とされる北極圏の特性が活かされていない。天然ガスを液化するには、温度を約-160℃まで下げる必要があるが、NOVATEKの新技術では、冷却の第一段階において、北極圏の気象条件を利用することを想定しており、LNG生産に係るエネルギーコストはAir Productの技術より20%減の約220kW/トンとされる。但し、外気温度が+5℃以上になると技術の適用効率が低下するとのこと。NOVATEKは本技術をYamal LNGの第4トレイン(年間生産量90万~95万トン)及びArctic LNG-2の第3トレインに用いる計画。 (Vedomosti,2018/03/20)

(5)Lukoil

・3月21日、Lukoilは2017年の決算(IFRS基準)を発表。概要は以下のとおり。 (Lukoil Press release,2018/03/21)

> 売上:前年比13.6%増の5兆9,367億ルーブル
> EBITDA:前年比13.8%増の8,316億ルーブル
> 純利益:前年比2倍強の4,188億ルーブル
> 投資:前年比2.9%増の5,115億ルーブル
> 生産量:炭化水素生産は前年比0.3%減の226万9,000boepd、ガスは同15.8%増の289億㎥、石油精製は、同1.8%増の6,350万トン。

(6)Bashneft

・3月30日付Rosneftのプレスリリースによれば、同社傘下のBashneftは2017年にバシコルトスタン共和国およびハンティマンシ自治管区で5カ所の新規油田を発見した。合計埋蔵量はC1+C2カテゴリーで690万トン。新規油田の発見は、地質調査作業の効率性の向上によって実現された。2017年の探鉱探査掘削の成功率は前年実績を33%程上回る84%に上った。

発見鉱床:
> Sorovskneft(Bashneft子会社)は、ハンティ・マンシ自治管区スルグト地区に位置するSevero-Ityakhinsky第3ライセンス鉱区内で、Severo-Ityakhinskoye油田を発見。埋蔵量はC1+C2カテゴリーで430万トン。
> Bashneft-Dobycha(Bashneft子会社)は、バシコルトスタン共和国内でKiparisovy、Telekeyevsky、Abdukayevsky及びAnastasyinskyの4カ所の新規油田を発見した。これら油田の合計埋蔵量は、С1+С2カテゴリーで260万トン超。

4.東シベリア・極東・サハリン情勢

(1)サハリン

・3月2日付Interfax紙によれば、Sakhalin-2 プロジェクトを運営するSakhalin Energyの2017年のLNG輸出量は、前年比5.2%増の1,150万トンとなり、過去最高を記録した。主な輸出先は、日本韓国・台湾である。

 

5.新規LNG・P/L事業

(1)Nord Stream 2

・Nord Stream 2ガスP/Lの建設においてGazpromのパートナーの1社である墺OMVは、LNGの輸送はロシア産P/Lガスほどの信頼性はないと確信している。ライトナーOMV取締役は、同社の戦略に関するプレゼンテーションの中で、欧州、特にオランダや英国におけるガス生産が減少傾向にある中、欧州ではガス需要が伸びて行くとの予測を発表した。同社の予測によれば、石炭からガスへの転換により、欧州のガス需要は年間4,600億㎥から2030年には5,000億㎥に増加する一方で、欧州におけるガス生産が年間1,300億㎥から850億㎥に減少するため、輸入ガスの消費量は年間3,300億㎥から3,750億㎥に拡大する見込み。ライトナー取締役は、LNGは自由度の高い資源であるが故に、最も高値の付く地域へ向かうものであり、LNGがP/Lガス同等の安全を保障するとは考えていないとし、Nord Stream 2 P/Lは西欧におけるガス供給の安全保障に欠かせないものであると述べた。(Interfax,2018/03/13)

・3月16日、ドイツのマース新外相は、Nord Stream 2について、民間企業同士の経済的枠組みで行われている純粋に商業的経済的な計画であり、英国で元ロシア情報機関員が重体となった暗殺未遂事件と関連付けられる可能性はないとの見方を示した。 (Tass,2018/03/16)

(2)「シベリアの力」ガスP/L

・3月21日付Gazpromのプレスリリースによると、全長2,158㎞の「シベリアの力」ガスP/Lは、75.5%  にあたる1,629.3㎞が完成しており、年末には全線が開通する。Chayandaガス田からの供給開始は2019年12月20日で、それまでに加圧ステーションの建設等が実施される。2020年には、更に800㎞を敷設してKovyktaガス田につなげる。同ガス田からの供給開始は2023年の予定。 (Gazprom Press release,IOD,2018/03/21)

photo3

以上

(この報告は2018年4月18日時点のものです)

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