ページ番号1007500 更新日 平成30年4月23日
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概要
・2017年の中国の石油需要量増加は世界のそれの4割を占め、引き続き世界の石油需要増加のけん引役である。
・しかし足元では燃費向上、EV推進政策、自動車から天然ガス自動車への代替、高速鉄道の急速な普及などによりガソリン・軽油消費の伸びが鈍化している。
・中国の自動車保有台数は年1800万台のペースで増加。現行レベルの増加が続けば現在の1.9億台から2040年に6.3億台に到達する。
・中国はEVを産業振興の観点から推進している。野心的かつ不確実性はあるものの、政策通り進んだ場合、2040年に世界で走行するEVの5割(1.4億台)が中国と見られる。
・かかる前提のもと、中国の石油需要は2040年までに400万b/d増加し1550万b/dに増加。中長期的に道路輸送が中国の石油需要をけん引する見通し。
・中国の石油需要はEVの普及を含め政策的に輸送燃料の代替が進められており、2000年代に比べ伸びは緩やかに鈍化している。しかし同国の石油需要は輸送燃料を中心に今後も増加し、世界の石油需要を牽引すると見られる。
・中国の石油需給ギャップは今後も拡大が見込まれ、その輸入・調達動向を注視する必要がある。
はじめに
中国は米国に次ぐ石油消費国であり、原油については2017年に米国を上回り世界最大の輸入国となった。同国の石油需要量増加は世界のそれの4割を占めており、今後の世界の石油需給に与える影響が大きい。また近年はEV等の急速な伸びにより今後同国の石油需要がどのように推移するのかについて関心が高まっている。本稿ではCNPC傘下のシンクタンクであるCNPC経済技術研究院(CNPC-ETRI)ならびに国際エネルギー機関(IEA)の見通しを参照し、統計データ等と付き合わせ、今後の石油需要とEVを含む石油需要の伸びを阻害する要因について検証を試みた。
1.中国の石油需給の現状(2017年)
中国は石油消費量について公表していない。国家統計局による原油生産と石油の純輸入を合わせた2017年の石油の見かけ消費は前年比5%増(56万b/d増)の1,166万b/dである。国内生産の減少と製油所の原油精製処理量、輸送・貯蔵インフラの増加に伴い輸入が増加している。IEAによる2017年の在庫、備蓄等を加味した中国の石油消費量は前年比5.4%増(日量64万バレル増)の日量1,245万バレルで、その増加量は世界の石油消費の伸び(日量約160万バレル)の4割を占めた(図1)。
(1)国内原油生産
新華社China OGPによると2017年の原油生産量は前年比4%減(15万b/d減)の383万b/dである。2014年下期以降、低油価のもとで国有石油企業は東部の大慶油田など高コストの成熟油田への投資を削減しており、生産量は前年2016年に続き日量400万バレルを下回った。しかし生産の減少幅は前年(7%減、日量30万バレル減)に比べ縮小している。
IEAのWorld Energy Investment 2017によると価格下落以降、世界の石油・天然ガス投資は縮小しており、2016年は2014年に比べ約4割減少した。2017年は米シェール、中東、ロシアへの投資が増加し投資は上向いた模様であるが、ピーク時2014年の6割弱にとどまっている。
中国の国有石油企業3社の2016年の探鉱開発投資額(国外を含む)は2014年の660億ドルに対し48%減の317億ドルであった(図3)。しかし2017年は前年比15%増の366億ドル、18年予算は同18%増の430億ドルであり、2017年以降増加に転じている。SinopecやCNOOCは増産を表明しており国内生産は若干上向く可能性がある。しかし2018年の投資予算は2014年の65%にとどまっており、また2017年の各社の生産実績を見ると原油に比べ天然ガスの増産が図られており、当面原油の大幅な生産増加は見込めない(例えばPetroChinaは国内原油生産前年比2.7%減に対し国内天然ガス生産は4.8%増となっている)。
(2)原油精製処理量、石油輸出入
中国海関統計によると、原油輸入量は前年比10%増(日量79万バレル増)の日量839万バレルで原油輸入額は約1,623億ドル、平均輸入価格は53ドル/バレルであった。中国は消費の6割を輸入する石油純輸入国だが、日本や韓国他に原油を少量輸出しており、原油の純輸入量は日量829万バレルである。また石油製品輸出入を合わせた石油の純輸入量は同10%増(日量71万バレル増)の日量783万バレルである(表1)。なお中国は2017年に初めて原油輸入が800万b/dを超え、米国の原油輸入量(790万b/d)を上回り、世界最大の原油輸入国となった(図4)。米国はシェールオイルの生産増で2015年末に原油輸出を解禁している。中国は積極的に米国からの原油輸入を増やしており2017年は約15.3万b/dを米国から輸入した。
国家統計局によると2017年の精製処理量は前年比5%増(56万b/d増)の1,136万b/dである(図5)。PetroChinaの雲南省昆明製油所(2017年6月末稼働、処理能力26万b/d)など製油所の新設・拡張に加え、地方製油所の輸入原油処理増加に伴う精製処理量の増加が続いている。CNPC-ETRIは2018年の精製処理量を5%増(60万b/d増)と予測している。精製処理能力拡張に伴い輸送・貯蔵インフラの整備も進展しており、これも原油輸入増加の一因となっている。精製処理能力拡張の一方で軽油やガソリンなど余剰製品の輸出が拡大している。輸出は主にシンガポール、香港向けで軽油の輸出が最も多い。
参考:中国の製品別・用途別石油消費、軽油とガソリンの余剰
中国能源統計年鑑によると2016年の石油消費量は1,148万b/dである。日本ではガソリン消費がもっとも多いが、中国では軽油の消費がもっとも多い。軽油とガソリンと灯油・ジェット燃料を合わせると石油消費の6割を占める(図6)。国有石油企業傘下の製油所は軽油の生産比率を落としているが余剰が生じ、輸出が増加している。ガソリンについても余剰品の輸出が増加している。これは地方製油所が2016年以降原油輸入権および輸入原油使用権を得たことで重油の二次処理ではなく原油を直接処理するようになり、原料の軽質化が進み、ナフサやガソリン等の軽質製品の生産が増加したことで国内のガソリン市況が緩んだことが一因である。地方製油所は2015年まで輸入原油の調達が限定的であり、硫黄分の高い重油を調達し、二次処理により軽油などを生産していたが、小規模な精製設備による非効率な操業と環境負荷の高い製品の生産が問題となっていた。政府は国有石油企業の独占打破、環境負荷の軽減、エネルギー利用効率の向上の観点から、2015年に国家の基準に満たない精製設備の淘汰と、国家基準に合致する低硫黄のガソリンや軽油を生産することなどを条件に、地方製油所に対する輸入原油使用権および原油輸入ライセンスの付与を拡大した。
2.中国の短期・中期石油需給見通し
(1)短期石油需給見通し(CNPC-ETRI 、IEA)
短期石油需要見通しについてCNPC-ETRIとIEAのいずれも石油需要は増加するが伸びは鈍化すると指摘している。CNPC-ETRIは2018年1月に発表した「2017年国内外石油ガス産業発展報告」(以下、「石油ガス産業報告」)において2018年の石油見かけ消費は前年比4.6%増(54万b/d増)の1,230万b/dと予測しており、2017年の前年比5.9%増(65万b/d増)に比べ伸びが鈍化している。
IEA のOil Market Report(2018年3月)によると、2018年の石油需要は同3.4%増(42万b/d増)の1,290万b/dで前年の同5.4%増(64万b/d増)に比べ伸びが鈍化している(図7)。
1.軽油の短期需要見通し(CNPC-ETRI)
2012年ごろまで経済・製造業の発展に伴う物流規模の拡大、発電用石炭の輸送増加などにより中国の石油消費は軽油が牽引していた。しかし2012年以降産業構造の変化、電化、天然ガス自動車等省エネ・エネルギー代替の進展、石炭消費抑制政策により軽油の消費は頭打ちとなり、消費のけん引役は中間層の増加、ライフスタイルの変化(マイカー、レジャー需要の高まり)とともにガソリンに移行した(図8)。ガソリンと軽油の消費比率は2000年の1:1.9から2016年は1:1.3にまで接近している。
CNPC-ETRIは軽油の短期需要見通しについて2017年は回復も2018年は微減と分析している(図8)。2017年の消費(推計)は前年比2%増の343万b/dで工業生産の上昇、石炭輸送の回復、高速物流の成長等により2012年以来の需要の伸びであったと指摘。しかし2018年は同0.2%減の343万b/dと予測。その理由として建設後居住者のいないゴーストタウンの建て替え・リノベーション事業の一巡と不動産市場の調整、環境規制強化、LNGによる代替等をあげている。
2.ガソリンの短期需要見通し(CNPC-ETRI)
CNPC-ETRIはガソリンの短期需要見通しについて2017年から18年にかけて中~低成長が続くと分析している(図8)。2017年の消費(推計)は前年比3%増の286万b/dであり、中~低成長の理由として乗用車販売の伸びの鈍化、ナンバープレート抽選などの乗用車の販売制限、乗用車の販売制限、新エネルギー車や相乗り(シェアリング)の進展等をあげている。中国における新エネルギー車(New Energy Vehicle)は純電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド(PHEV)、燃料電池車(FCV)を指す。また2018年は同2.8%増の296万b/dと予測した。乗用車市場の高成長が見込めないこと、新エネルギー車の免税政策(2018年1月より購入時3年免税)、シェアリング、エタノール混合ガソリン拡大政策(中国政府は2017年9月にエタノール10%混合ガソリン(E10)の生産・利用を促すガイドラインを公布、北京・天津・河北省、山東省などの汚染重点対策地域で先行的に導入し、2020年に全国に展開する計画)等の要因により中~低成長が続くと指摘している。
(2)中期石油需要見通し(IEA)
IEAはOil 2018(2018年3月公表)において中国の石油需要は2018年の1,280万b/dから2023年に1,440万b/dに増加すると分析している。需要は年平均2.4%増加(33万b/d増加)の一方で、石油製品別の需要増減の推移を見ると、伸びは2018年の38万b/dから2023年には32万b/dへと徐々に鈍化している(図9)。ガソリンは年平均15万b/d増と予測期間通期に亘り需要を牽引しているが、2010~17年に比べ伸びは鈍化している。また世界有数のプラスチック消費国として、ナフサ・LPG等石化原料需要が需要を牽引する(年平均10万b/d増)と分析している。同国の製油所のエチレン生産能力は2018~21年にかけて770万t/年増強の見通しとされる。なお、米国ではガスケミカル(エタン)が隆盛だが、中国における石化原料はナフサが主体である。この他重油はIMOのサルファ規制の影響で鈍化、軽油は2021年以降微減の見通しとなっている。
3.輸送燃料需要の伸び鈍化の要因
CNPC-ETRIは「石油ガス産業報告」においてガソリン消費の伸びが鈍化した要因として乗用車販売の伸びの鈍化、乗用車の販売制限、新エネルギー車や相乗り(シェアリング)の進展、高速鉄道の急速な発展をあげている。中国各機関が公表している統計データに基づきこれらについて検証を試みた。
(1)乗用車販売の伸びの鈍化
中国自動車工業協会(以下、自工会)によると2017年の中国の乗用車販売台数は前年比3%増の2,887.9万台で、このうち乗用車は2,471.8万台(同1.4%増、35万台増)であった(図10)。同国の販売台数は世界1の自動車販売台数を誇る(米国約1,720万台、日本は約520万台)。しかし排気量1.6L以下の小型車購入減税終了の影響もあるが、2016年の15.3%増(同323万台増)に比べ伸びは鈍化している。なお2018年の自動車需要予測(中国自動車工業協会2018年1月)は2,998万台で乗用車は3%増、商用車は1%増となっている。中国では内燃機関自動車(ICE)について大都市を中心にナンバープレートの抽選や入札、走行規制などの厳しい規制がある。例えば北京ではナンバープレートが抽選だが入手は困難で、入手してもナンバープレートの奇数、偶数で走行可能日が限定される。上海の入札価格は150万円と車体価格を上回る程だという。これらも乗用車販売の伸びの鈍化につながっている。
(2)新エネルギー車(NEV)販売の急速な成長
一方、新エネルギー車の伸びは著しい。中国の新エネルギー車(NEV) の販売台数は2014年の7.5万台から2017年には77.7万台(前年比53.5%増)に増加した(図11)。中国は世界の新エネルギー車販売(2017年は122.3万台)の過半を占めている。また中国の新エネルギー車累計保有台数は172.9万台(うちBEVは80.1万台)で、中国の自動車保有台数の0.9%に相当する。中国のEV保有台数の同国自動車保台数シェアは世界のそれに比べ高い(世界のEV保有台数<2016年>は約200万台で世界の自動車保有台数12.6億台の0.16%に相当)。マークラインズは2018年の中国における新エネルギー車販売予測を100万台(同28.7%増)としている。
富士通総研の金研究員は、中国はエネルギー安全保障、都市環境保護や渋滞対策、新規産業育成、並びに最近ではモビリティの「シェア」化や自動運転などの視点から自動車産業の電動化を強力に推進していると指摘している[1]。また2016年10月に公表された「省エネ・新能源自動車技術ロードマップ」の発表会において清華大学の王陽明高教授は、自動技術の発展は国家のエネルギー戦略の安全と環境圧力の軽減、「中国製造2025」(製造業振興政策、2015年5月)目標発表のための重要な手段としている。
「省エネ・新能源自動車技術ロードマップ」では新車の平均燃費の目標(2020年5.0ℓ/100km、2025年4.0ℓ/100km、2030年3.2ℓ/100km)に加え自動車生産に占めるNEV割合目標を2020年に7%以上、2025年に15%以上、2030年に40%以上とする目標を設定している。これまでは消費側に対し自動車の購入規制と新エネルギー車購入優遇策(補助金の支給や走行日規制除外、バス優先レーンの走行等)を適用していた。しかし今後補助金について連続航続距離150km未満には支給しないなど支給要件が厳格化される。2017年9月の「新エネルギー車クレジット管理弁法」では燃費規制(企業平均燃費<CAFE[2]>目標は2020年が5.0ℓ/100km、2025年4.0ℓ/100km)と新エネルギー車の生産義務付け(19年10%、20年12%)が設定されるなど供給側(自動車メーカー)に対する生産促進政策が展開されるようだ。
[1] 「中国の新エネルギー車をめぐる動向(上):急拡大する市場と育成政策の転換」(株)富士通総研2018年1月
[2] 企業平均燃費:Corporate Average Fuel Efficiency(CAFE)
(3)高速鉄道による輸送代替
CNPC-ETRIは高速鉄道の急速な発展によりその経済的、時間的な優位性が発揮され、短中距離旅客輸送において道路輸送から鉄道へのシフトが進んだ。また道路の旅客輸送は5年連続対前年比で減少しており、ガソリン消費の伸びが鈍化した要因の2割程度は道路から鉄道へのシフトにあると指摘している。中国の鉄道敷設距離は世界2位の12.4万キロで、高速鉄道(最高時速200km以上)敷設距離世界1位の2.4万kmである(中国国民経済・社会発展統計公報によると2017年単年で2,182kmを新設)。鉄道の旅客取扱量は2013年以降道路輸送を上回っている(図13)。
(4)その他天然ガス自動車(NGV)の普及、相乗り(シェアリング)
中国では天然ガス自動車535万台(主にCNG車)が普及しており、推計で2017年7.5万b/dの石油を代替している。さらにLNGトラックの販売も伸びており、現在は26万台程度だが2020年には50~60万台に増加するとの見方もある。相乗りについて石油をどの程度代替しているかCNPC-ETRIは言及していないが、配車サービス大手の滴滴行車は4億人が登録しているとされる。シェアリング(配車サービス)はむしろ自動車利用が増え、ガソリン消費を増加させるとの見方もあるが今後も影響が気になる分野である。
4.EVの普及と石油需要への影響
IEAは世界エネルギー展望(WEO)2017新政策シナリオにおいて、世界の石油需要は2016年の9,390万b/dから2040年までに約1100万b/d増加し1億490万b/dに達する。世界のEV保有台数は2025年の約0.5億台から、2040年には2.8億台に増加し、EV保有の5割は中国になる。中国は政府促進政策のもと25年に新車販売の5分の1、40年には走行車の4台に1台がEVになると述べている。このような前提のもと、世界のEV普及による石油需要代替について2025年に70万b/d、2040年250万b/dと示した上で燃料需要への影響は保有自動車(ストック)の大半を占める内燃機関自動車(ICE)の燃費向上、新興国の自動車保有台数の増加による需要増の影響がより大きいと指摘している(図14)。
IEA新政策シナリオが示す中国の自動車保有台数40年までに4.6億台増加には、同年まで保有台数増加の現行水準(10~16年平均1,800万台増加)維持が必要である。同様にEV保有台数が2040年に1.4億台に到達するには、同年までに保有台数増加が年平均600万台必要となる(図15)。自動車は中間層の厚みを考えれば可能性は否定できないが、EVについては野心的かつ不確実性が高いと思われる。中国においてEVは投資が過熱しており生産能力はすでに2,000万台に達していると報じられている一方で、新エネルギー車の中古車市場が形成されておらず、残価率が2年落ちで4割になってしまう場合があることや公共充電器の設置場所と需要のミスマッチ、充電規格の不統一などの課題も指摘されており、市場動向を注視する必要がある。
5.中長期的に道路輸送が中国の石油需要をけん引
IEAによると中国の石油需要は2000~2010年に年平均7%増加(43万b/d増加)している。需要はその後も増加を続けているが伸びは2010~17年にかけて年平均4.6%増に鈍化し、2018~2023年には2.4%増(33万b/d増)に鈍化の見込みである(図16)。
長期の石油需要についてIEAは2016年の1,150万b/dから2040年までに400万b/d増加し1,550万b/dになると見ている。ただし需要の伸びは2025年から30年は年平均1.2%増(同18万b/d増)、30年から35年は同0.1%増(同2万b/d増)、35年から40年は横ばいと次第に鈍化し横ばいとしている。
また輸送部門の最終エネルギー消費において道路輸送は2040年まで8割を維持する見通しである。輸送部門の石油消費は2016年の約520万b/dから2040年までに約260万b/d増加し780万b/dに増加するとみている。ただし需要の伸びは2025年から30年は年平均1.6%増(同12万b/d増)、30年から35年は同0.2%増(同1万b/d増)、35年から40年は横ばいとやはり次第に鈍化し横ばいとしている。
ちなみに天然ガスは2040年まで需要の伸びは次第に鈍化(25から30年の年平均4.9%増から35~40年は同2.4%増)するものの伸びが続くシナリオとなっている。輸送部門における消費は2040年までに現在の21BCM(35万boed)から約3倍増の62BCM(105万boed)と見ている。
2000年以降中国の石油需要は輸送部門の中でも道路輸送が牽引していた。伸びは次第に鈍化するものの輸送部門は今後も増加が見込まれ、長期に亘り石油需要の5割以上を占める見通しである。
主な参考資料
・新華社China OGP
・IEA(Oil2018、World Energy Outlook2017、Oil Market Report)
・中国能源統計2017
・「2017年国内外油ガス産業発展報告」石油工業出版社 2018年1月
・「中国の新エネルギー車をめぐる動向(上):急拡大する市場と育成政策の転換」(株)富士通総研2018年1月
・「世界のメーカーが突撃する中国EV市場の行方」(JB Press 2018年3月14日)
・「2018年中国市場予測は2,998万台、メーカー各社は慎重な計画」(マークラインズ2018年3月9日)
以上
(この報告は2018年4月20日時点のものです)