ページ番号1007525 更新日 平成30年5月24日
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1.政治・経済情勢
(1)国内
政治
・4月11日、メドヴェージェフ首相がプーチン大統領に2017年度の政府の活動報告を行った。首相によれば、対露制裁や油価の下落で落ち込んだ経済も回復してきており、マクロ経済指標も適切なレベルにあり、大統領の設定した目標値に近付いているとのこと。GDPも拡大に転じ、インフレ率や国の債務も低水準であることより、着実な経済発展を可能にさせると述べた。また、社会保障面の事項は全面的に履行されており、2012年5月7日付大統領令で定められた課題については、賃金等の重要事項の課題を達成できたと報告。これに対し、プーチン大統領は、全ての課題が100%達成できているわけではないとし、政府閣僚らと分析・議論するよう求めた。メドヴェージェフ氏は、設備投資等の解決が必要な課題について早急な対策を約束した。(Kremlin.ru, 2018/04/11)
経済・財政
・財務省の発表によると、2018年1~3月の連邦財政収支は3,443億5,020万ルーブルの黒字(対GDP比1.5%)となった。歳入は4兆750億ルーブル(うち、石油ガス関連は、1兆8,600億ルーブル、39.2%)、歳出は3兆7,310億ルーブル。(Tass, 2018/04/12)
(2)対外関係
1.米国
・4月6日、米国財務省は、クリミア併合やシリアアサド政権への武器売却、サイバー攻撃など、ロシアが世界で悪意のある活動を行っており、新興財閥(オリガルヒ)や政府高官がその恩恵を得ているとし、ロシア政府関係者17名とオリガルヒ7名及びその関係会社12社、軍事関連企業2社を新たに制裁対象として特別指定国民(SDN)リストに追加した。対象者団体の米国内資産は凍結され、米国人及び米国企業との取引が禁止される。発効までの猶予期間として、米国財務省は、米国人に対して、5月7日までにEn+、ルサール、Gazグループの株式処分、6月5日までに制裁対象企業との取引停止解消を課した。(www.treasury.gov, 2018/04/06)
制裁対象者・団体
<オリガルヒ及びその関連会社>
●デリパスカ氏及び関連企業:En+、ルサール、EuroSibEnergo、GAZグループ、Russian Machines、Agroholding Kuban、Basic Element、B-Finance Ltd.
●ローテンベルグ氏及び関連企業:Gazprom Brenie、NPV Engineering
●ベクセルベルグ氏及びレノバグループ
●ボグダノフ氏(同氏がCEOを務めるSurgutneftegazは既に制裁対象)
●シャマロフ氏(シブール取締役)及びLadoga Management
●スコチ氏(ロシア下院議員、親族がUSMホールディングの株式を保有)
●ケリモフ氏(ロシア上院議員、親族がポリュスの株式を保有)
<政府関係者>
●アキモフGazprombank取締役会会長
●デューミン・トゥーラ州知事
●フラトコフ・ロシア戦略研究所所長(元首相)
●フルセンコGazprom Neft取締役会メンバー・サッカークラブ「ゼニート」会長
●ゴボルン大統領府局長(CIS諸国・アブハジア共和国・南オセアチア共和国社会経済協力担当)
●コロコリツェフ内務相
●コサチョフ上院国際関係委員会議長
●コスチンVTB銀行頭取
●ミレルGazprom会長
●パトルシェフ国家安全保障会議書記
●レズニク下院議員
●シュコロフ大統領補佐官
●トルシン中銀副総裁
●ウスチノフ南部連邦管区大統領全権代表
●バリウリン内務省過激派対策総局長
●ジャロフ通信・情報技術・マスコミ監督庁長官
●ゾロトフ国家親衛隊長
<軍需国営企業>
●ROSOBORONEKSPORT
●Russian Financial Corporation Bank(ROSOBORONEKSPORTの子会社)
・4月13日、米国の追加制裁に対する報復制裁法案として、「米国及びその他の外国の非友好的行為への対抗措置について」がロシア連邦議会下院に提出された。米国及び同国の制裁に同調する国が生産する農産物、医薬品(国内生産がない薬品は含まれない)、たばこ、アルコール及びソフトウェア等の輸入を制限し、原子力、航空機、ロケットエンジン製造分野での協力及び米国企業によるロシア民営化への関与を禁止する内容。また、米国および他国企業によるコンサルティング及び法的サービスを含む特定種類のサービスの提供禁止も含まれる。大統領の決定により連邦政府に発動権限を与える枠組み法案となる。18日、マトビエンコ上院議長は、対抗法案の採択時期について「急ぐよりも中身が重要である」と述べ、慎重な審議が必要との考えを示した。法案は、5月15日に連邦議会で第一読会が行われる。(Gazeta.ru,RBC daily,Tass他、2018/04/13,18)
・4月23日、米国財務省はアルミニウム大手のルサールが提出した制裁リストからの除外申請の検討を行っていることを明らかにした。ムニューシン財務長官は、声明において「ルサール社は、デリパスカ氏が経営に関与していることにより、制裁の影響を強く受けている。しかし、米国政府の行動は、ルサールや関連会社の労働者を狙ったものではない」と述べ、デリパスカ氏が経営権を放棄すれば制裁リストから解除する可能性を表明した。また、同省は米国人に対するルサールとの取引停止期限を当初の予定の6月5日から10月23日まで延期すると発表した。(Vedomosti,Kommersant, 2018/04/23-24)
・4月27日、En+社(ルサール株を48.13%保有)は、デリパスカ氏が同社の持ち株比率を66.1%から50%未満にすることや取締役を辞任することに合意したとして、OFAC(米財務省外国資産管理室)に株式譲渡及び取引停止期限をそれぞれ5月7日、6月5日から10月末に延期することを要請した。(Vedomosti,Interfax他、2018/04/27)
2.日本
・世耕経済産業大臣は、4月28日、モスクワを訪問し、シュヴァロフ第一副首相及びオレシュキン経済発展大臣との会談やノヴァクエネルギー大臣と第6回エネルギーイニシアティブ協議会を開催するとともに、翌日、日本企業が建設に携わったヤマルLNGプラントを視察し、意見交換を行った。(http://www.meti.go.jp, 2018/05/07)
2.石油ガス産業情勢
(1)原油・石油製品輸出税
・2018年4月、原油輸出税はUSD 15.3/バレルに引き下げ、東シベリア及びカスピ海北部の油ガス田等に対しては、引き続きゼロ課税となった。
・4月の石油製品輸出税はUSD 33.4/トン、ガソリンについてはUSD 61.2/トンに設定された。
<参考:原油及び石油製品輸出税の推移>
輸出税 |
2014年平均 |
2015年平均 |
2016年平均 |
2017年平均 |
2018年3月 |
2018年4月 |
---|---|---|---|---|---|---|
原油(USD/t) |
366.1 |
120.3 |
75.6 |
86.7 |
119.5 |
111.4 |
原油(USD/BBL) |
50.2 |
16.5 |
10.4 |
11.9 |
16.4 |
15.3 |
減税特典原油(USD/t) |
174.9 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
減税特典原油(USD/BBL) |
24.0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
石油製品(USD/t) |
242.0 |
57.7 |
30.2 |
26.0 |
35.8 |
33.4 |
内、ガソリン(USD/t) |
330.0 |
92.7 |
53.6 |
47.7 |
65.7 |
61.2 |
(出所:ロシア経済発展省)
(2)原油生産・輸出量
・4月、原油、ガス・コンデンセート生産量は4,487.8万トン(約3億2,945万バレル、平均日量1,096.5万バレル)で、前年同月比0.3%減。1~4月は1億7,943.9万トン(約13億1,728万バレル、平均日量は1,096.1万バレル)で、前年同期比1.0%減。(Interfax,2018/05/03)
・4月、原油輸出量は2,118.6万トン(約1億5,553万バレル)。1~4月は8,291.1万トン(約6億866万バレル)。(エネルギー省HP)
(3)天然ガス生産・輸出量
・4月、天然ガス生産量は618.6億㎥(約2.2TCF)で、前年同月比14.0%増。1~4月は2,525.7億㎥(約8.9TCF)。(Interfax, 2018/05/03)
(4)協調減産
・4月20日、減産合意遵守状況に関するモニタリング委員会の席上でノヴァクエネルギー相は「油価市場の好転を受け、減産合意に関与している関係各国は、6月にウィーンで開催予定の会合において、減産割当量の段階的縮小に関し協議を行う可能性がある」と語った。OPEC加盟国と非加盟国との間の減産協定は2017年より発効し、現時点では2018年末まで延長されることが決定している。各産油国は、減産割当量に従い、減産調整を実施しているが、減産割当量が最も大きいのはロシアとサウジアラビアで、2016年10月の生産量を基準として、それぞれ、日量30万バレルと日量46万8,000バレルの減産を実施することが義務付けられている。減産合意協定に署名した24か国合計で日量180万バレルの減産を実施し、合計の日産量を3,250万バレルの水準で安定させることになっている。モニタリング委員会において、サウジラビアのファリハエネルギー相は、「OPEC及び非加盟国の協調減産合意は顕著な成果を生んでいる。OECD諸国の石油在庫量はこの15か月間、一貫して減少し続けており、3億バレル減の28億3,000万バレルとなっている」との発言を行う一方で、「3月の協調減産の規模は計画を49%も上回ったが、OPEC及び非加盟諸国はより厳格に自らに課せられた義務を遂行する必要がある。何故なら、石油生産水準の不安定さが市場に困難をもたらす可能性があるからだ」と語った。減産合意協定の発効以降、サウジアラビアによる減産義務遂行率は113%に達し、ロシアも昨年の6月より義務を100%遂行している。ノヴァク氏は、「OPEC及び非加盟国の協業は2019年も続くことになるだろう。しかし、その形態に関しては議論の余地が残っている。協業継続は確実だが、それが協定の形をとるのかその他の形態のものになるのかについては、6月の会議で協議されることになるだろう。モニタリングの形式、年2回の会合の形式、或いは、今までとは異なる減産割当の数字を採用した新しい協定の締結という形をとるかもしれない。会議に参加するすべての国々と話し合う必要がある」と語った。(Vedomosti, 2018/04/20)
(5)その他
・ロシア連邦エネルギー省燃料エネルギーコンプレクス中央監督局の発表によれば、2018年1~3月期におけるロシアの石油企業による探査井の掘削総延長は前年同期比0.7%増の215,400mであった。生産井掘削は同8.4%増の625.1万m。
> Rosneft:探鉱井掘削56,900m(同9.6%増)、生産井掘削269.6万m(同25.3%増)
> Surgutneftegaz:探鉱井掘削54,500m(同6.4%減)、生産井掘削109.2万m(同3.4%増)
> Lukoil:探鉱井掘削51,000m(同9.9%増)、生産井掘削81.08万m(同14.6%減
> Bashneft:探鉱井掘削9,600m(同80%増)、生産井掘削10.79万m(同30%増)
> Gazprom Neft:探鉱井掘削7,500m(同8.5%減)、生産井掘削43.24万m(同8.9%減)
・Deloitteの調査レポート「2018年石油サービス市場概要」によると、ロシアの石油サービス会社の主要な問題の一つは利用している技術の遅れであり、中期的見通しにおいて、ロシアの石油サービス会社に北極圏や永久凍土の条件下における作業基準を満たすような技術は期待できないとのこと。ロシアの石油サービス市場には、露Eurasia Drilling(EDC)の他、外国企業では、Schlumberger、Weatherford、EniグループのSaipem、Halliburton、Baker Hughes及び中国のZPECやCOSLが参入している。しかし、制裁によりこれらの外国企業は掘削作業や坑井のインフラ整備を陸地でのみ行っており、過去4年間でロシア企業の掘削受注は40%増の2,720万mとなった。ロシアには北極圏を含む大陸棚開発プロジェクトが複数あるが、欧米企業の参画なしに実施するとすれば、掘削技術開発に多額の投資が必要となることに加え、開発自体に少なくとも5~7年かかると専門家はみている。油価が不安定であることより石油会社は技術開発への投資を躊躇しており、欧米企業の手を借りる方が合理的であるとの見解を示す。一方で、制裁導入後、外国の石油サービス会社の多くがロシア市場から撤退したため、現在、欧米企業の協力を得ることはほぼ不可能であり、大陸棚開発は引き続き困難との見通し。(Vedomosti, 2018/04/25)
3.ロシア石油ガス会社の主な動き
(1)Rosneft
・BPは、Rosneftの子会社Kharampurneftegazの株式49%の取得を完了した(Rosneftの子会社RNガスが51%、BPロシア支社が49%を保有)。2017年12月、RosneftとBPは共同でロシアのガス開発を行うことに合意しており、本年2月にロシア連邦反独占局は、BPの参入を認可していた。Kharampurneftegazがヤマロネネツ自治管区で保有するKharampur及びFestivalnyの2鉱区を開発し、まず110億㎥の生産を計画している(両鉱区のガス埋蔵量は8,800億㎥超)。生産したガス販売はRosneftの管轄となっている。(Tass, 2018/04/24)
(2)Gazprom
・4月4日、Gazpromのミレル会長は、伊SnamのアルヴェラCEOとモスクワで実務者会合を行った。両者は欧州域内のガス生産が減少傾向にある中、欧州諸国は新たに信頼性の高いガス輸入ルートを確保する必要性があることを確認した。その上で、特にTurk Stream計画に焦点を当て、協力の方向性について協議した。アルヴェラ氏は、Snamが地中海を横断する新規のガス輸送路の建設を支援する意思を伝えた。(Gazprom press release, 2018/04/04)
・4月25日付Vedomosti紙によれば、Gazpromは、サンクトペテルブルグ近郊のウスチルガに巨大なガス精製工場及びガス化学製品製造工場の建設を検討しているとのこと。年間最大で450億㎥の精製が可能であり、プロジェクトの総額は約200億ドルと評価される。年間150万トンのポリエチレンが生産され、欧州に出荷される可能性がある。このプロジェクトにおいてGazpromのパートナーになると目されているRusgazdobychaとは、2017年5月にガス精製並びにガス化学製品生産部門における協業に関するメモランダムを締結している。
・4月25日付Kommersant紙は、Gazpromの幹部がNord Stream 3の建設の可能性について初めて言及したと報じた。テレビ局「ロシア24」のインタビューに対し、メドヴェージェフ副社長が「Gazpromには欧州へのガス供給のために追加のガスP/L例えばNord Stream の3列目を建設する準備がある」と語った。同氏は24日、「ヤマルの新鉱床を資源基盤として北ルートである「ボヴァネンコヴォ~ウフタ」「ウフタ~グリャゾヴェツ」「グリャゾヴェツ~ヴィボルグ」「Nord stream」の各P/L経由で欧州にガス供給を行った方が、資源が枯渇しつつあるナディムプル・タズ地区の古い鉱床を資源基盤等するウクライナ経由の中央ルート経由の供給よりもGazpromが得る利益は大きくなる」と説明した。輸送距離の点では、ヤマルを起点としてドイツ北部に向かうルートの方が、ヤマルを起点としてドイツ南部に至るルートよりも短い(前者の3,200㎞に対し、後者は4,700㎞)。しかし、供給先が中央ヨーロッパの場合(墺のバウムガルデンまでの輸送)、両ルートの際は、前者が4,000㎞に対し、後者は4,400㎞と大幅に小さくなる。更に、ハンガリー、スロヴァキア及び南欧諸国の場合は、後者のウクライナルートの方がより魅力的なものとなる(両ルートの諸条件が同じ場合)が、Gazpromは追加分のガスをウクライナ経由で輸送することを視野に入れていない模様。
・2017年、Gazpromのガス販売量は増加し、外国におけるガス価格も上昇したが、同社の純利益は前年比25%減の7,140億ルーブルであった。ルーブル相場の上昇、投資プログラムの拡大(前年比10.5%増の1兆5,000億ルーブル)、及び債務の増加により業績は想定通りの悪化となった。投資プログラムの資金調達及び債務の借換えのため、同社の純債務は、前年比24%増の2兆4,000億ルーブルとなったが、EBITDAの1.63倍にとどまっている。また、税負担も債務増加の間接的な要因となった。昨年、同社の主要税金(鉱物資源抽出税輸出関税・物品税及び資産税)は、主に鉱物資源抽出税の増加により38.4%増の1兆2,460億ルーブルとなった他、ストックホルム仲裁裁判所の判決に基づくNaftgazへの支払のために26億ドルを引当金に計上したことも利益指標に影響を及ぼした。(Kommersant, 2018/04/26)
(3)NOVATEK
・4月25日、NOVATEKは2018年第1四半期の決算(IFRS基準)を発表。概要は以下のとおり。
> 売上:前年同期比16%増の1,794億ルーブル
> EBITDA:前年同期比4.8%増の564億ルーブル
> 純利益:前年同期比39%減の431億ルーブル・・・為替差損等によるもの
> ガス生産:前年同期比2.2%増の165億m3
> 販売:LNGを含め、前年同期比8%増の203億m3
(NOVATEK press release, 2018/04/25)
4.東シベリア・極東・サハリン情勢
(1)サハリン
・Gazprom Neftは、2017年に発見したSakhalin-3 Ayash鉱区のNeptune油田(埋蔵量7,000~8,000万トン)のうち、有望とされるBautinskaya構造を対象とする評価井の掘削を今年8月~9月に行う。油田全体の推定埋蔵量は石油換算2.55億トン、生産開始は2025~26年頃で、ピーク生産量は日量10万~12万500バレルとの発表。(IOD, 2018/04/13)
・本年3月の国家埋蔵量委員会において、Gazpromが保有するYuzhno-Kirinskoyeガス田のC1+C2のガス埋蔵量が8,146億6,000万㎥、ガスコンデンセート埋蔵量が1億9,978万トンで承認されたことがMarkelov副社長への社内報インタビューによって明らかになった(2018年初時点の可採埋蔵量は、ガス埋蔵量が7,112億㎥、ガスコンデンセート埋蔵量が1億1,150万トン)。同副社長によれば、Yuzhno-Kirinskoyeガス田では、37坑の生産井により210億㎥のガスを生産する計画である。生産井の掘削開始は、2018年を予定しており、自社の半潜水型リグPolar Star号とNorthern Lights号を使用する。生産開始は、2023年の予定。(Rambler News Service, 2018/04/26)
5.新規LNG・P/L事業
(1)Nord Stream 2
・4月5日、フィンランド政府は、バルト海経由でロシアとドイツを結ぶガスP/L「Nord Stream 2」建設計画を認可した。全長1,220kmのP/Lのうち、約374㎞がフィンランドの排他的経済水域を通過する。(Ministry of Economic Affairs and Employment of Finland,Sputnik, 2018/04/05,15)
・4月10日、メルケル独首相はポロシェンコ宇大統領との共同記者会見で、「Nord Stream 2の実現は、ガス通過国としてのウクライナ将来の役割が明確でなければ不可能。単に経済的な観点だけなく、政治的な考慮も払うべき」と述べた。これは、今までの商業プロジェクトには介入しないという方針から転換したもの。昨年のウクライナ経由でのロシア産ガス輸送量は935億㎥を記録し、通過料収入は30億ドルでウクライナのGDPの3%に当たる。(RIA Novosti,IOD, 2018/04/10)
・4月10日、Gazpromのミレル会長は、ウクライナ経由で欧州に送るガスの量は年間100億~150億㎥になる可能性があると述べた。同氏は声明において、「我々はウクライナ経由のガス通過を放棄するという問題を一度も提起したことはない。しかし、ロシアの資源基盤は北方に移っており、中央ガス輸送回廊の資源量は、かつてと同じではなくなっている。年間100億~150億㎥といった一定量の輸送は今後もあり得るが、ウクライナ側は、新しい輸送契約締結に関して経済的妥当性を説明する必要がある」と述べた。(Tass, 2018/04/10)
・4月11日、エネルギー省は、ノヴァク・エネルギー相と欧州委員会のシェフチョビッチ副委員長が、欧州市場向けガス供給に関し、4月10日に電話会談を行ったと発表した。ロシア側は、経済性があれば、ウクライナ経由で欧州市場にガス供給を行うことを言明したとのこと。(ロシア新聞, 2018/04/11)
(2)Turk Stream ガスP/L
・4月30日付プレスリリースで、GazpromはTurk StreamガスP/L第一期の海底部分の工事完了を明らかにした。同時並行でロシアトルコの黒海沿岸における作業も進めており、現在、トルコ沿岸のクユキョイで受け入れ基地の建設を行っている。この作業が終わると第一期工事が完全に完了する。Gazpromによると、建設のテンポは速く、第一期、二期の2本のP/L総延長の62%に及ぶ1,161㎞の海底部分が建設済であるとのこと。
(3)Arctic LNG 2
・4月29日、オレシュキン経済発展貿易相は、Yamal LNG プラントの視察の際、共に訪れていた世耕経済産業相にNOVATEKと日本企業がArctiv LNG 2プロジェクトにおいて協力合意に至るよう支援するつもりであると語った。「最初のプロジェクト発足時の何もなかった頃に失敗を恐れずにプロジェクトに参画した企業は、現在の発展に非常に満足している。プロジェクトを計画通り、或いは計画より早く進めるためのモデルが既にあることより、第2プロジェクトとなるArctic LNG 2のリスクは少ない。Yamal LNGの知見を活かすことで、より効率的に進められる」と述べた。(Interfax, 2018/04/29)
以上
(この報告は2018年5月23日時点のものです)