ページ番号1007530 更新日 平成30年5月31日

石油開発最新事情:海外地質構造調査事業の概要と今後の展望について

レポート属性
レポートID 1007530
作成日 2018-05-31 00:00:00 +0900
更新日 2018-05-31 08:47:26 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 探鉱開発
著者
著者直接入力 山田 憲司
年度
Vol
No
ページ数 6
抽出データ
地域1 アフリカ
国1 ケニア
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 アフリカ,ケニア
2018/05/31 山田 憲司
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※Copyright (C) Japan Oil, Gas and Metals National Corporation All Rights Reserved.

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はじめに

JOGMECは、前身の石油公団時代の1979年から海外地質構造調査事業を実施しています。海外地質構造調査とは、JOGMECが産油国政府もしくは国営石油会社と共同で、当該国における石油・天然ガスの探鉱・開発ポテンシャルの評価を実施し、調査結果から有望性が見出された場合、事業完了後に調査結果や鉱区取得のための優先交渉権や鉱区権益などを我が国企業に譲渡するものです。これまで28カ国で、計65件の調査事業を実施し、2004年のJOGMEC設立以降、5件の本邦企業への事業承継を達成してきました。

本稿では、まず海外地質構造調査事業の概要と目的をご説明し、次に最近の活動例として、ケニア陸上で行っている調査事業の概要についてご紹介します。そして最後に、現状の石油・天然ガス開発業界の情勢を踏まえて、JOGMECが同事業を今後どのように進めていくか、展望をご紹介します。

図1 海外地質構造調査 実施位置図

海外地質構造調査の概要と目的

まず初めに海外地質構造調査の最大の目的は、本邦企業の探鉱開発活動の支援です。その観点から、JOGMECは調査完了の対価として、産油国政府と交渉し、対象地域への本邦企業の参入を可能とする優先交渉権の獲得を目指します。具体的には、調査完了後、JOGMECから共同調査の結果を提供された本邦企業が、対象地域の石油開発ポテンシャルを有望であると判断する場合には、前述の優先交渉権を行使し、優先的に当該鉱区への参入が可能となります。

共同調査は、産油国からの要請を受け、もしくはJOGMECからの働きかけにより共同調査契約を締結することで開始されます。共同調査として実施する内容は、地表地質調査、各種物理探査・地表地化学調査・衛星画像解析といった探鉱初期段階のものから、試掘、試験生産、開発スタディといったより開発段階に近い内容のものまで、多岐にわたります。そうして対象地域における石油ポテンシャルを評価し、最終的には相手国に対して報告会を実施し、今後の探鉱事業に繋がるような技術情報の基盤を共有します。

これら調査を通じて、これまで知り得なかった地下構造や分布する岩石の性状など、相手国にとって自国の探鉱・開発活動を促進する上で有益な情報を明らかにし、技術的な不確実性(リスク)を低減することが可能になります。また、相手国技術者との交流や技術移転を通じて、相手国との石油・天然ガス開発分野における協力関係を構築することも、政府系機関であるJOGMECが産油国政府と協力して事業を実施することの意義の一つでもあります。

石油・天然ガスの大部分を海外からの輸入に依存する日本にとって、安定的な資源・エネルギー供給の確保は必要不可欠です。そのため、政府は、2030年に国産を含む石油及び天然ガスを合わせた自主開発比率(※)を40%以上にするための政策目標を掲げているところです。JOGMECの海外地質構造調査事業は、国の上記目標達成に貢献するべく、探鉱ポテンシャルは認められるものの実績が十分でない地域での活動に繋がる先行的基盤を築くことによって、技術的リスクを低減し、本邦企業による上流権益獲得に繋げていく役割を担っています。

※石油・天然ガスの自主開発比率: 石油及び天然ガスの輸入量及び国内生産量の合計に占める、我が国企業の権益下にある石油・天然ガスの引取量(国産を含む)の割合。平成28年度の我が国の石油・天然ガスの自主開発比率は27.4%。

図2 海外地質構造調査のスキーム図

最近の活動例:ケニア

JOGMECは東アフリカに位置するケニア共和国の陸上で、ケニア国営石油公社(National Oil Corporation of Kenya)と2012年から共同調査事業を実施しています。

本地域は、石油・天然ガスに対する探鉱活動が実施されたことがない、所謂フロンティア地域に属します。当該地域の堆積盆地の形成の歴史から、炭化水素の胚胎ポテンシャルが考えられる地域ですが、一方、地下深くの堆積物の種類・分布・性状を把握するための坑井も存在しておらず、不確実性の高い地域です。また本地域の地表付近は、過去の火山活動によって噴出し堆積した分厚い火山岩類によって被覆されており、地下構造の正確な可視化(イメージング)を目的とした反射法地震探査の際、地下に伝播させるエネルギー(地震波)が、火山岩層の影響で減衰され、地下深くまで届きづらくなっています。従って、調査を行う際には、地震波を発生させる仕様を工夫する他、重力探査・電磁探査などの様々な調査手法を有機的に組み合わせ、イメージングの質向上に努めています。

更に同地域は、技術的にフロンティア地域というだけでなく、地元住民の生活基盤や、パイプラインや製油所といったインフラも未整備であることが特徴的です。JOGMECは単に共同調査を実施するだけでなく、ケニア国営石油公社と共同で、調査を通じた地元コミュニティへの貢献を継続的に実施しています。例えば飲料水でさえ確保する事が困難な地域に対しては、浅層ボーリング調査の後、その井戸を飲料水確保用の水井戸に転用する、といった活動を行っています。

このように、技術的調査と・地域への貢献事業を組み合わせて共同調査を運営しており、現在は、各種調査の結果を踏まえJOGMECで解釈・総合評価を実施しているところです。JOGMECは、本共同調査で得た技術情報・データ等について、今後本邦企業への情報提供を行うこととしており、平成30年度以降、本邦企業への事業の承継を目指しています。

図3 ケニア事業実施地域の一部風景写真

図4 ケニア地震探鉱作業の写真(左) ケニア国営石油公社及びJOGMECによる地元奉仕活動(調査地域のマサイ族に水を提供)(右)

今後の展望

ここまで海外地質構造調査の概要、および私共の最近の活動について触れてきましたが、現在、低油価の影響を受けて、本邦企業の探鉱活動は低調であり、また、精製・販売などの下流事業に重点をシフトする戦略も見られます。更に、脱炭素化を推進する世界的な風潮もあり、海外のメジャー企業も相次いで再生可能エネルギー戦略を打ち出しており、例えばフランスやニュージーランドでは、新たに自国内地域で石油天然ガス探鉱開発プロジェクトの新規開始を禁止する政策が導入されるなど、大きな業界情勢の変化がおきつつあります。

更に、海外地質構造調査を開始した当時は、世界各地で種々の理由により探鉱活動が活発でない地域は数多く存在し、また相対交渉による鉱区参入が可能な国も数多く存在していましたが、近年は世界的に鉱区参入の際は国際競争入札が一般的となっています。従って、以前と比べ優先交渉権を担保する海外地質構造調査の立上げ機会は少なくなってきており、時代に見合った戦略を立て、実行する必要が出てきています。

本邦企業における探鉱事業の優先度が下がっている中で、海外地質構造調査事業のツールを企業により活用してもらうためにはどうするべきか?、これはJOGMECにとっても低油価環境におけるチャレンジと言えます。JOGMECは、平成30年4月に新たな第四期中期目標期間をスタートさせましたが、今期の方向性としては、アウトカムを重視し、「本邦企業への事業承継」や、「本邦企業の目線に立ち、企業の関心やニーズに基づくスタディや新規案件組成」を打ち出したところです。

JOGMECは、これまでフロンティア地域を主なターゲットとして海外地質構造調査を実施してきましたが、本邦企業のニーズ等を勘案すれば、フロンティア地域以外の企業の関心エリアにも目を向ける必要があります。また、既に協力事業・友好関係を有する産油国とのパイプを最大限活用することで、新たな協力事業の組成につなげることも重要です。更に、これまで以上に本邦企業とより密接に連携し、本邦企業の探鉱重点地域におけるスタディや事業を組成することをより意識して活動することが求められています。例えば、本邦企業が参入を決断できるような調査結果を得るべく、調査仕様策定の段階から緊密に意見交換したり、事業承継スキームを柔軟に運用したりすることも考えられます。

新たな中期目標期間では、上記認識を常に持ち、政府、本邦企業及びJOGMEC間での更なる連携を強化するとともに、JOGMECの海外地質構造調査事業がゲーム・チェンジャーとなる働きができるよう、引き続き、本邦企業による探鉱活動を支援して参ります。

以上

(この報告は2018年5月31日時点のものです)

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