ページ番号1007626 更新日 平成30年10月22日

天然ガス・LNG最新動向(2018年1月以降のLNG契約合意、新規プロジェクトFID状況)

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レポートID 1007626
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更新日 2018-10-22 11:10:53 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 市場天然ガス・LNG
著者 田村 康昌
著者直接入力
年度 2018
Vol
No
ページ数 21
抽出データ
地域1 グローバル
国1
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
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国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 グローバル
田村 康昌
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概要

  • 2018年(1月~10月)には、米国Corpus Christi LNG(Train3 4.5百万トン)及びカナダLNG Canada(1,400万トン)の2件のLNG液化プロジェクトががFID(最終投資決定)を行った。LNG Canadaについては、新規(グリーンフィールド)での大型プロジェクトとしては、2013年のロシア Yamal LNG以来のFIDとなった。
  • 2014年以降の油価低迷以前にFIDを行った、豪州・米国・ロシア等の新規プロジェクトの稼働開始による供給増、不透明な長期需要等もあり、2016年以降、最終投資決定(FID)に至ったのは、2016年はインドネシアTangguh拡張(3.8百万トン、PLN・関西電力が引取)、米国Elba Island(2.5百万トン、Shellが引取)の2件のみであった。FIDから稼働開始までの約5年のリードタイムを勘案すると、2022年以降の潜在的な需給逼迫も懸念されてきたが、中国・新興国等の需要増を見越し、カタール、ロシア、米国、多くの計画段階でのプロジェクトのFIDに向けた検討が進んでいる。
  • 2018年1月~10月までに、新規プロジェクト(FID前も含む)から約3,300万トン/年、既存プロジェクトや売主が有するポートフォリオからの供給から約1,300万トン/年相当のLNG契約・引取・液化加工委託契約の合意に至った。このうち、トレーダーや複数の供給源・供給先を有する事業者(ポートフォリオプレーヤー)による引取りが4割を占める。伝統的な買主は、より短期・柔軟性の高い契約を指向することも多く、また、新興国の需要は比較的小規模・信用力も劣る。LNG市場の流動性向上や参画者が多様化する中で、一定の規模を有し、供給源・供給先・価格指標・供給時期等の分散を図り、新規LNGプロジェクトからの長期の引取りを担えるポートフォリオ供給者が存在感を増している。
  • 日本企業(最終需要家)は、2016年以降約1250万トン相当のLNG契約(期間契約)の合意に至った。100万トン超の大型・新規・長期契約は東京ガスとCentricaが共同調達を行う、モザンビークLNGの1件のみ。既存の長期契約(マレーシア・UAE)の更新に際しては、数量減、短期化するとともに、その他長期の契約に際しても仕向地の変更等柔軟性を重視したものとなっている。
  • 中国のLNG輸入は、2017年は39.01百万トンとなり、韓国(37.8百万トン)を超え、日本に次ぐ世界第2位のLNG輸入国となった。また、2018年に入り、中国企業による新たなLNG契約の締結が相次いでいる。PetroChinaはシェニエールと長期契約(120万トン/年、2018年から25年間)、パプアニューギニアと短期契約(45 万トン/年、2018 年から 3年間)、9 月にはカタールと長期契約(340 万トン、2018 年から23 年間)を締結した。2018年10月にはCNPC(PetroChina)として15%出資に相当する持ち分としてLNG Canadaから、210万トンの引取を含むFIDをおこなっている。また、CNOOOCも、2018年10月にカナダ、Woodfibore LNGから、75万トン・13年間の基本合意に至っている。
  • 2018年9月18日、中国は、米国産LNGに対し、9月24日から10%の関税を賦課(2019年1月からは、25%に引き上げ)することを表明した。米国からの中国企業向けの長期LNG契約は、シェニエールとCNPCとの契約のみであり、中国向けLNG輸出(2018年1~7月合計20カーゴ≒約140万トン)の大半は、スポットもしくはポートフォリオによる供給の一部として行われている。短期的には、豪州・ロシア(Yamal LNG)等の新規LNGプロジェクトからの供給が拡大しつつあり、また、北東アジア(日本)でも原発の稼働増もあり上記関税によるLNG市場への影響は限定的。
  • 一方、中長期的には、カタール、豪州、ロシア、カナダ等の売主にとっては、相対的に中国向け輸出を増やす可能性がある。一方で、中国のLNG需要を見込んでいた米国新規LNGプロジェクトにとっては、鉄鋼等、中国からの輸入材料に対する関税等によるコスト増、また、米中貿易摩擦の長期化により、中国企業との新たな長期の売買契約締結の抑制や中国以外のより小さな市場へのマーケティングが必要となり、FIDの遅延の要因ともなる。また、米国産LNGを供給源とするポートフォリオ供給者にとっては、配船計画上の制約や、他の北東アジア需要国とのスワップ等の検討も必要となり、コスト増等の影響も懸念される。

(各社ウエブサイト、各種報道、他)

はじめに

2014年の油価下落前に最終投資決定に至った豪州・米国LNGプロジェクトの多くが生産を開始しており、2020年頃まではLNG供給は大幅な拡大局面にある。また、需要面では中国・新興国を中心に需要も増加している。

一方で、新規LNG液化プロジェクトについては、2016年以降、最終投資決定(FID)に至ったのは、2016年は2件(630百万トン相当)、2017年は、1件(340万トン)に留まり、FIDから稼働開始までの約5年のリードタイムを勘案すると、2022年以降の潜在的な需給逼迫も懸念されてきた。

2018年に入り、既存契約の終了に伴う再契約や、今後のLNG需要を見越した新規のLNGプロジェクトとの長期契約の締結が進みつつある。2018年には、米国Corpus Christi LNG(Train3 4.5百万トン)及びカナダLNG Canada(1,400万トン)の2件がFIDに至り、LNG Canadaについては、新規(グリーンフィールド)での大型プロジェクトとしては、2013年のロシア Yamal LNG以来であり、今後も、大型プロジェクトの実現が期待されている。本稿では、中国・日本の買主の契約締結状況も含め、昨今の動向を確認していきたい。

1.LNG契約の動向

2018年1月から10月初めまでに、合意・締結されたLNG契約(期間契約※[1])・LNG引取・液化加工委託契約は表1・表2とおり。現時点でまだFIDに至っていないプロジェクトも含め、新規のプロジェクトからの契約が約3,350万トン相当、既存プロジェクト・売主の有するポートフォリオからの供給が約1,250万トンとなっている。

また、長期契約の買主としては、トレーダーや複数の供給源・供給先を有する事業者(ポートフォリオプレーヤー)が4割となっている。長期需要見通しの不確実性から、これまでの伝統的な買主は、より短期・柔軟性の高い契約を指向することも多く、また、新興国の需要は比較的小規模・信用力も劣る。LNG市場の流動性向上や参画者が多様化する中で、一定の規模を有し、供給源・供給先・価格指標・供給時期等の分散を図り、新規LNGプロジェクトからの長期の引取りを担えるポートフォリオ供給者が存在感を増している。

[1] LNGの契約形態としては、期間契約(契約期間中、所定の算定方法で算出された価格で、継続的な売買が行われる)ものと、スポット契約(合意した価格で、単発・カーゴ単位での取引が行われる)ものに大別され、スポット契約では、各種統計により異なるものの契約から3か月以内(長くとも、1年以内)での引き渡しが行われるものが多くを占める。

図1 2018年1月~10月締結 LNG契約

表1 2018年1月~10月 新規プロジェクトからのLNG売買契約・引取・液化加工委託契約
プロジェクト 国名 FID 生産開始 数量
t/年
売主 買主

契約数量

(万t/年)
契約期間 契約締結
シェニエール
ポートフォリオ
(主にCorpus
Christi Train3)
米国 2018 2022 450 シェニエール CNPC
(Petrochina)
120 2023~20年 SPA
(2018年2月)
米国 2018 2022 450 シェニエール Trafigura 100 2019~15年 SPA
(2018年1月)
Free port
LNG
米国 2014 2019 1,390 Free port
LNG
Trafigura 50 2020~3年 SPA
(2018年6月)
Free port
Train4
米国 2019 2023 510 Free port
LNG
住友商事 220 2023~20年 液化加工委託HOA
(2018年9月)
Calcasieu Pass 米国 (2018) 2022 1,000 Venture
Global
GalpEnergia
(ポルトガル)
100 2022~20年 SPA
(2018年5月)
BP 200 2022~20年 SPA
(2018年5月)
Shell 200 2022~20年 SPA
(2018年3月)
PGNiG
(ポーランド)
200 2022~20年 SPA
(2018年3月)
Repsol
(スペイン)
100 2022~20年 SPA
(2018年9月)
Mozambique Area 1 モザンビーク (2019) 2024 1,288 Mozambique
LNG1
東京ガス/
Centrica
260 2040年代初頭まで
(約20年)
HOA
(2018年6月)
Mozambique
LNG1
EDF 120 15年 SPA
(2018年2月)
LNG Canada カナダ 2018 2020年代中頃 1,400 LNG Canada
(Shell 40%、
Petronas25%、
Petrochina15%、
三菱商事15%、
Kogas5%)
持分に応じて引取
Shell 560 2020年代中頃~40年 FID
(2018年10月)
Petronas 350
CNPC
(Petrochina)
210
三菱商事 210
(東京ガス60、
東邦ガス30)
Kogas 70
Woodfibre
LNG
カナダ (2019) 2023 210 Woodfibre
LNG
CNOOC 75 2023~13年 HOA
(2018年10月)
Port Arthur 米国 -2019 2023 1,350 Sempra PGNiG
(ポーランド)
200 2023~20年 SPA
(2018年7月)

出所:各種情報をもとにJOGMEC作成

既存プロジェクトからのLNG契約、契約延長に際しては表1表2のとおり。中国(CNPC)は、既に稼働済みの米国・カタール・パプアニューギニアから相次いで契約を締結し、足元の需要増にも対応できるよう2018年下期からの供給開始される予定である。

表2 2018年1月~9月 既存プロジェクト・売主ポートフォリオからのLNG契約
LNGプロジェクト 国名 売主 買主 契約数量(万t/年) 契約期間 契約締結 備考
シェニエール
ポートフォリオ
(Sabine Pass、Corpus Christi等)
米国 シェニエール CNPC
(Petrochina)
(120)
(参考)
2018~5年 SPA
(2018年2月)
当初5年間の契約数量は、
詳細未公表。(2023年以降、120万t/年)
米国 シェニエール Vitol 70 2018~15年 SPA
(2018年9月)
米国 シェニエール CPC 200 2021~25年 SPA
(2018年8月)
Qatargas カタール カタールガス CNPC
(Petrochina)
340 2018~22年 SPA
(2018年9月)
主に、QatarugasⅡ
からの 供給
MLNG マレーシア マレーシア
LNG社
東京ガス 90 2018~13年 SPA
(2018年3月)
1983年締結
マレーシアLNGⅠ
(サツ)の契約満了に
伴う再契約。
2017年6月公取報告書に
準じた契約。2018年~6年は50万トン/年
Bontang インドネシア Pertamina ペトロバングラ 100 2018~10年 LOI
(2018年1月)
 
PNG LNG パプアニューギニア PNGLNG BP 90 2018~5年 SPA
(2018年8月)
当初3年45万トン、
その後2年間90万トン
PNGLNG CNPC
(Petrochina)
45 2018~3年 SPA
(2018年7月)
 
オマーンLNG オマーン オマーンLNG BP 110 2018~7年 SPA
(2018年1月)
※オマーンLNG
(770万トン/年、
2000年開始。
大阪ガス・伊藤忠・
KOGAS等が既に買主)
ポートフォリオ   OTC
(オマーン・
オイル・
トレーディング)
ペトロバングラ 100 2018~10年 SPA
(2018年5月)
OTC(オマーンオイル、
Vitolとの合弁会社)
Woodside
ポートフォリオ
  Woodside Uniper(独) 60 2019年~4年 HOA
(2018年9月)
 
Abu Dhabi LNG
(ADGAS)
UAE Abu Dhabi Gas Liquefaction
Company Limited
JERA 50 2019~3年 SPA
(2018年8月)
既存契約は1994年から
2019年まで25年間の契約、340万トン

出所:各種情報をもとにJOGMEC作成

2.LNG需給動向

(1)建設中のLNGプロジェクト

足元の天然ガス・LNG市場は、北米のシェールガス革命による生産増、米国・豪州における大型LNGプロジェクトの稼動開始が進み、世界のLNG供給は大幅な拡大局面にある。

2018年1月から9月までに、4プロジェクト・1,640万トン相当のプロジェクトが稼働を開始し、また、最終投資決定を経て建設段階にあるプロジェクトから、2022年までに、9,010万トンの稼働が見込まれている。

表3 2018年1月以降に稼働・稼働予定LNGプロジェクト
プロジェクト名 FID 生産開始 生産能力
(万トン/年)
Cove Point LNG 米国 2014 2018 525
Cameroon FLNG カメルーン 2015 2018 120
Wheatstone LNG(Train2) 豪州 2011 2018 445
Yamal LNG(Train2) ロシア 2013 2018 550
Ichthys LNG 豪州 2012 2018予定 840
Prelude FLNG 豪州 2011 2018予定 360
Corpus Christi LNG(Train1) 米国 2015 2018予定 450
Senkang インドネシア 2011 2018予定 200
Yamal LNG(Train3) ロシア 2013 2019予定 550
Elba Island 米国 2016 2019予定 250
Corpus Christi LNG(Train2) 米国 2015 2019予定 450
Cameron LNG 米国 2014 2019予定 1,350
Freeport LNG 米国 2014 2019予定 1,390
Sabine Pass LNG(train5) 米国 2015 2019予定 450
Petronas FLNG 2(Dua) マレーシア 2014 2020予定 150
Tangguh(拡張) インドネシア 2016 2020予定 380
Coral FLNG モザンビーク 2017 2022予定 340
Corpus Christi LNG 米国 2018 2022予定 450
LNG Canada カナダ 2018 2020年代中頃 1,400
合計       10,650

出所:各種情報をもとにJOGMEC作成

(2)新規LNGプロジェクトと今後のLNG需給

新規LNGプロジェクトのFIDは、2011年から2015年頃まで、毎年2000万トン超で推移してきたが、2014年以降続く低油価・低ガス価とその長期化、また、長期の需要見通しの不確実性から、2016年はインドネシアTangguh拡張(3.8百万トン、PLN・関西電力が引取)、米国Elba Island(2.5百万トン、Shellが引取)の2件、2017年には、モザンビークCoral FLNG(3.4百万トン、BPが引取)の1件のみであった。

2018年に入り、米国Corpus Christi LNG(Train3 4.5百万トン、CNPC・Trafigulaが引取)、カナダLNG Canada(1,400万トン、シェル他参加各社が原料ガスを独自に調達した上で、持分比率に応じて引取)[2]の2件がFIDを行った。特に、LNG Canadaについては、新規(グリーンフィールド)での大型プロジェクトとしては、2013年のロシア Yamal LNG以来となる。

カタールは、現在の7,700万トンの供給力を、2023年以降に、約1.1億トンに拡張する計画(2019年FIDを目指す)明らかにしているが、毎年2000万トン弱の需要増が続くとすれば2030年頃には年間LNG需要約5億トン/年に達し、この2020年代後半の需要増に対応するには、カタール以外の供給増も必須となる。主な計画段階のLNG液化プロジェクトは、図2に示す通りであるが、米国、ロシア、東アフリカ等、需要の確保を前提に最終投資決定に移行可能なプロジェクトは、カタールを除き約2億トンを超える。需要の確保を前提に投資が進めば中長期的には、2030年頃までの世界の需要増にも対応は可能と考えられる。

なお、短中期的には、米国等で建設段階にある大規模プロジェクトが順調に稼働すれば、2020年代初めまで一旦需給が緩和(1,000~3,000万トンの供給余力)となる。しかしながら、想定外の供給支障、建設遅延が生じれば、簡単に需給がひっ迫する可能性もある水準である。中国・新興国を中心に、2015年~2016年頃の想定以上に需要も増加しつつあり、需要の確保を前提にFIDに移行できる計画段階のプロジェクトは多くあっても、FIDから稼働開始までの約5年のリードタイムについては、2022年以降の潜在的な需給逼迫、スポット価格の高騰も懸念される。

[2] Shell Canada Energy (40%)、North Montney LNG Limited Partnership (PETRONASの子会社、25%)、PetroChina Canada Ltd. (15%)、Kogas Canada LNG Ltd (5%)、Diamond LNG Canada Ltd. (三菱商事子会社、15%)

図2 計画段階の新規LNG液化プロジェクト

図3 LNG 需要・供給見通し

(3)LNGプロジェクト成立のための新たな動向

探鉱開発・液化・輸送に係る初期投資が大きな新規LNG液化プロジェクトの実現・資金調達に際しては、約8割超に相当する数量の引取(長期契約)を確保することが通常、前提となってきた。売買主・サプライヤーの多様化、仕向地制限のない米国産LNGの開始等により、LNG市場の柔軟性・流動性は高まっているものの、FIDに至った案件はいずれも、最終需要家や一定の供給先の目途があるポートフォリオプレーヤーによる引取が前提となっている。現時点では、将来の需要増を見越した資金調達、投機的な投資には至っていない。

長期契約がなくともスポット契約での販売や、最終的にはパイプラインガス等複数の供給源を有する欧州市場での受入も可能であるが、欧州におけるロシアからの天然ガスや、コンデンセート・LPGによる収入も含めてコスト競争力・資金力があり長期売買契約によらずFIDが可能なカタール等が新規プロジェクトにとっての競合となる可能性がある。また、需要面でも再エネ・石炭等との競合、政策面でも自由化、環境(特に大気汚染対策)、原発政策等により大きく変動する可能性もある。

天然ガスは、環境、安定供給等々から今後の利用拡大が期待されるものの、多額の初期投資に必要な資金調達が必要であり、そのためには、長期的に見た競合や、需要の不確実性による稼働率低下・価格低迷への懸念への対処など、困難な課題を克服しなけばならないという構図には大きな変化はない。

実際、2018年にFIDに至ったLNG Canadaでは、参画者の持ち分比率に応じた投資が資金源であり、長期引取り契約に基づくプロジェクトファイナンスによる資金調達[3]とはなっていない。

また、LNG液化プロジェクトの、小型化、モジュール化も注目される傾向である。これまで1系列400~500万トンの設備でプロジェクトにあわせた最適な設計・液化効率の向上・大規模化によるコスト低減が図られてきた。一方、米Elba Islandでは、25万トン×10系列を予定しており、FIDから約3年での稼働開始を見込んでいる。Venture Globalの推進するCalcasieu Pass プロジェクトも、1.2mtpa ×9系列FIDから約3年での稼働を目指す。

上流開発と液化プラントの建設を一体で行う必要がない北米のLNGプロジェクトにおいては、需要・契約数量に応じ、モジュール化した設備の導入数により柔軟な計画・投資決定も可能となる。探鉱から生産までに時間を要する石油・天然ガス産業は、ブームとバストのサイクルを繰り返してきたが、こういった設備面での柔軟性、リードタイムの短期化は、市場環境の平準化に一定程度寄与するものも考えられる。

[3] Montneyのガス生産地域からKitimatのLNGカナダ基地の近くのDawsonCreekまでを結ぶ670kmのパイプラインの建設については、トランスカナダ社と、LNG Canadaの参画者で合意した25年間の輸送契約(延長可能条項あり)を前提に、プロジェクトファイナンスによる資金調達を行っている。

3.日本企業の動向

日本の最終需要家が締結しているLNG契約(FID)の推移を出所:JOGMEC"天然ガスリファレンスブック2017"他、各種情報をもとにJOGMEC作成 図4に示す。

今後、主に2014年以前に合意した米国・豪州からの供給が順次開始される予定であり、日本のLNG長期契約の合計は、2020年代前半まで概ね需要を上回る数量を確保している。一方、既存の長期契約の終了も続き、カタールとは、2017年時点では約900万トン/年の長期契約を有するが、このうち、2021年から2022年までに約700万トン相当が長期契約の期限を迎える。

日本国内においては、2016年4月の電力小売自由化、2017年4月のガスの小売りが自由化された。また、原発稼働、想定外の供給支障等の不確実要因が残る中、一定数量は短期・スポットにより競争市場で確保しながら、安価な天然ガス調達と、柔軟かつ多様なLNG調達の選択肢(調達先・調達期間・価格フォーミュラ)の両立、また、長期のLNG引取りによりLNG市場の健全な発展を支えてきた買主としての役割をいかにして担うか等についても、より難しい課題となってきている。

図4 日本の最終需要家のLNG契約(FID済)

このような不確実な市場環境の中で、2016年以降に日本企業が締結した主なLNG契約(期間契約)は表4のとおり。100万トン超の新規プロジェクトからの長期契約は、東京ガスとCentricaが共同調達を行う、モザンビークLNGの1件のみとなっている。

既存の長期契約(マレーシア・UAE)の更新に際し、数量減、短期化するとともに、その他長期の契約に際しても欧州にも仕向けられるよう、柔軟性を重視したものとなっている。また、これらの契約締結に際しては、2017年6月に公正取引委員会が公表した「液化天然ガスの取引実態に関する調査報告書」に準じた内容であることも同時に明らかにしている。

表4 2016年以降に日本企業(最終需要家)が合意した主なLNG契約(期間契約)
買主 売主 国名 プロジェクト 契約締結 契約数量 契約期間・条件
JERA PETRONAS マレーシア MLNG 2017 250 2018年~3年間
※公取報告に沿った内容
Total Nigeria NLNG Plus 2017 40 2017-18年にかけて、約6カーゴ
Abu Dhabi LNG(ADGAS) UAE Abu Dhabi LNG(ADGAS) 2018 50 1994年から2019年まで25年間、
430万トンの既存契約の更新。
公取報告書に沿った契約
東京ガス 三菱商事 米国 Cameron LNG
Export
2016 20 2020年~19年間
MLNG マレーシア MLNG 2018 90 1983年締結 マレーシアLNGⅠ
(サツ)の契約満了に伴う再契約。
2017年6月公取報告書に準じた契約。
2018年~6年間は、最大50万トン/年。
三菱商事 カナダ LNG Canada 2018 30 2026年~13年間
東京ガス/   
セントリカ
Mozambique
Area 1 LNG
モザンビーク Mozambique
Area 1 LNG
2018 260 2040年代初頭まで(約20年)。
セントリカと共同調達で、
欧州向けも可能
東邦ガス 三菱商事 米国 Cameron LNG
Export
2016 20 2019年~19年間
PETRONAS マレーシア MLNG Train 9 2016 50 2017年~10年間
三菱商事 カナダ LNG Canada 2018 30 2024年~15年間
中国電力 Total 米国 Sabine Pass
Export Train 5
2016 40 2019年~19年間
北陸電力 MLNG マレーシア MLNG 2016 40 2018年~10年間
東北電力 Mozambique
Area 1 LNG
モザンビーク Mozambique
Area 1 LNG
2017 28 2020年代初頭~15年間
北海道ガス 三井物産 米国、Cameron他 Cameron LNG
Export
2017 20 2019年~10年間
北海道電力 関西電力 関西電力ポートフォリオ 2017 20 2018年~10年間
MLNG マレーシア MLNG 2017 13 2018年~10年間
合計         1,251  

出所:各種情報をもとにJOGMEC作成

※ 上記以外にも、2018年9月住友商事が、FreeportLNG Train4の液化加工委託契約(220万トン/年、20年間)に合意。また、三菱商事は、LNG Canadaに参画し、1400万トン/年のうち15%の持分に相当する210万トン/年を引取予定。

なお、日本のLNG需要に大きな影響を与える原子力発電所の稼働については、2018年-2019年冬季には9基の原子力発電所が稼働・稼働予定となっている。冬場の需要期を前に定期点検もほぼ終了見込みであり、実稼働数としては、2017-18年冬季の約2倍の水準であり、当面の冬場のLNG需要の平準化には一定程度寄与するものと考えられる。

なお、100万kWクラスの原子力発電所が年間を通じて稼動すれば、約80~100万トン/年のLNG火力の稼動減要因となる。2015年7月の経済産業省 長期エネルギー需給見通しによれば、2030年時点での総発電電力量(10,650億kWh)の20~22%を原子力発電で担い、2030年の天然ガス需要は約6,300万トンと長期的には減少する見通しとなっている。なお、2018年7月のエネルギー基本計画においても、原子力発電について、“2030年のエネルギーミックスにおける電源構成比率の実現を目指し、必要な対応を着実に進める”と位置付けられている。しかしながら、想定した原発の再稼動、省エネの進展、再生可能エネルギーの増加等の進展度合によっては、LNGが補完的な役割を果たすことも考えられる。

表5 日本における原発再稼動状況(2018年10月1日 現在)
  発電所名 認可出力 稼動状況
関西電力 高浜3号機
(定期点検中)
87万kW 2016年2月再稼動後稼動後、大津地裁仮処分命令により、
2016年3月10日から運転停止、2017年6月再稼働。
2018年8月3日~定期点検。2018年12月営業運転開始予定
高浜4号機
(稼働中)
87万kW 2017年5月再稼動。2018年5月~定期点検。2018年9月営業運転再開。
大飯3号機
(稼働中)
118万kW 2018年3月再稼働
大飯4号機
(稼働中)
118万kW 2018年5月再稼働
四国電力 伊方3号機
(停止中)
89万kW 2016年8月再稼動、2017年10月~定期点検、2017年12月広島高裁運転差止仮処分。
2018年9月差し止め仮処分、広島高裁が取り消し。2018年10月末再起動予定
九州電力 玄海3号機
(稼働中)
118万kW 2018年3月再稼働、2018年3月停止(微小蒸気漏れ)、2018年5月営業運転再開
玄海4号機
(稼働中)
118万kW 2018年6月再稼働、7月営業運転開始
川内1号機
(稼働中)
89万kW 2015年8月再稼動、2018年1月~定期点検、2018年7月営業運転開始
川内2号機
(稼働中)
89万kW 2015年10月再稼動、2018年4月~9月定期点検、2018年9月営業運転再開

出所:各社報道発表等をもとにJOGMEC作成

4.中国企業のLNG需給動向

(1)天然ガス・LNG需要

中国の2017年の天然ガス消費(生産+純輸入)は237Bcm(LNG換算約1億7300万トン)であり、消費の6割を国産天然ガス、22%をLNG輸入、17%がパイプラインによる輸入で担っている。

中国のLNG輸入は、2017年は39.01百万トンとなり、韓国(37.8百万トン)を超え、日本に次ぐ世界第2位のLNG輸入国となった。

中国の天然ガス需要急増の要因として世界経済が比較的好調であったことや、5年に一度の共産党大会開催にあたり、インフラ投資などの景気刺激策が需要を喚起したことがあげられる。しかしながら、最大の要因は大気汚染改善への対応で石炭から天然ガスへの転換政策が急速に進められたことにあり、2017年9月以降、冬場の需要期を前に、不足するLNGを市場から短期・スポットから大規模な調達を行ったことから北東アジアスポットLNG市場が急騰する一因となった。

なお、2018年も引き続き、消費、輸入ともに高いレベルで推移しており、2018年1月から9月までのLNG輸入量は約35百万トンを超え、前年(1月~9月)よりも約10百万トン増となっている。

図5 中国向け天然ガス供給

中国企業の主なLNG契約(期間契約)は、表 6下表のとおり。中国は、2009年から2013年頃にかけて、に豪州、パプアニューギニア、ロシア(Yamal LNG)等からのプロジェクトおよびポートフォリオ供給の契約を順次締結し、受け入れ基地の建設も順次進めていた。しかしながら、製造業からサービス産業への移行、2014年以降の油価下落局面において統制価格である天然ガス卸価格が相対的に高止まりしたこともあり2016年までは当初の想定よりも需要が低迷した。長期契約で約4000万トン程度の契約を有し、また、長期契約に基づく豪州等から新規プロジェクトの稼働が順次開始したこともあり、2016年頃までは新たな長期契約締結の締結は進んでいなかった。

2018年に入り、中国企業による新たなLNG契約の締結が相次いでいる。PetroChinaはシェニエール長期契約(120万トン/年、2018年から25年間)、7月にパプアニューギニアと短期契約(45 万トン/年、2018 年から 3年間)を、9 月にはカタールと長期契約(340 万トン、2018 年から23 年間)を締結した。2018年10月にはCNPC(PetroChina)として15%出資に相当する持ち分としてLNG Canadaから、210万トンの引取を含むFIDをおこなっている。また、CNOOOCも、2018年10月にカナダ、Woodfibore LNGから、75万トン・13年間の基本合意に至っている。

これらの新規LNG供給に加え、2019年末にはロシアからのパイプラインによる天然ガス輸入が始まる。2018年9月にウラジオストクで開催された「東方経済フォーラム」では中国 CNPC が露 Novatek とArctic LNG-2 への参加について協議を行うなど、長期的なエネルギー確保に向けた動きも活発化している。

表6 中国企業のLNG契約
プロジェクト名 国名 売主 買主 契約数量
(万トン/年)
契約期間
TangguhTrain1,2 インドネシア Tangguh CNOOC 260 2009~2033(25年間)
MLNG Ⅲ マレーシア MLNG 上海LNG
(CNOOC)
300 2009~2034(25年間)
North West Shelf 豪州 NWS Guangdong
Dapeng LNG
(CNOOC)
330 2006~2031(25年間)
Gorgon LNG 豪州 Shell CNOOC 200 2016~2036(20年間)
QCLNG 豪州 QCLNG CNOOC 360 2014~2034(20年間)
APLNG 豪州 APLNG Sinopec 760 2015~2035(20年間)
PNG LNG パプアニューギニア PNGLNG Sinopec 200 2014~2033(20年間)
PNG LNG パプアニューギニア PNGLNG CNPC
(Petrochina)
45 2018~3年間
QatargasⅡ カタール カタールガス CNPC
(Petrochina)
340 2018~22年間
QatargasⅢ カタール カタールガス CNPC
(Petrochina)
200 2009年~2034(25年間)
QatargasⅣ カタール カタールガス CNPC
(Petrochina)
300 2011年~2036(25年間)
LNG Canada カナダ LNG Canada CNPC
(PetroChina)
210 2020年代中頃~40年間
Woodfibre LNG カナダ Woodfibre LNG CNOOC 75 2023頃~13年間
Yamal LNG ロシア Yamal LNG CNPC
(Petrochina)
300 20年間
シェニエール
ポートフォリオ
(Sabine Pass他)
米国 シェニエール CNPC
(Petrochina)
2018~5年間
※数量未公表
シェニエール
(主にCorpus
Chirsti train3)
米国 シェニエール CNPC
(Petrochina)
120 2023~20年間
Shell ポートフォリオ CNOOC 500 2015~2035(20年間)
Total ポートフォリオ CNOOC 100 2010~2024(15年間)
ENN LNG Trading 50 2018~2028(10年間)
BP ポートフォリオ CNOOC 150 2019~2039(20年間)
Petronas ポートフォリオ JOVO Group 65 ~2023
Chevron ポートフォリオ ENN LNG Trading 65 2018~10年間
China Huadian Green Energy 100 2020~10年間
Pavilion Energy ポートフォリオ China Huadian Corporation 80
合計 5,110  

出所:各種情報をもとにJOGMEC作成

また、中国政府は需要増に対し国産ガスの供給増加、天然ガス・LNGの輸入増加ならびにインフラの整備(幹線パイプライン・LNG受入基地の新増設、南北地域間輸送網の連携、地下貯蔵設備、都市ガス配管網の整備など)も進めている。

国産ガスの供給についてシェールガスや炭層ガス(CBM)など非在来型の供給が伸び、2030年には190~270Bcm(LNG換算1.4~2億トン)に達すると見られるが、IEAやCNPCの需要見通しに対して不足する155~290Bcm(LNG換算1.1~2.1億トン)を中国国外から調達する必要がある。

現在のLNG長期契約量は約4,200万トン(58Bcm)に対し、長期契約に基づき、2017年は31百万トン(42Bcm)が輸入された。一方、締結済みの輸入パイプラインガスの長期契約量は128Bcm(LNG換算約9400万t) となっているが、2017年の輸入量は41Bcmに留まる。トルクメニスタンをはじめ中央アジアからの輸入は上流のガス田の開発の遅れ等もあり伸び悩んでおり、中長期的に契約量を下回る懸念があるが、ロシアからの輸入は東シベリアの開発が進めば上振れする可能性もある。

IEAの2030年需要見通し(480Bcm)、国産ガス生産量見通し(260Bcm)、パイプライン既契約(128Bcm)、LNG長期契約(58Bcm)を前提にすれば、35Bcm(LNG換算 26百万トン)の追加調達・供給が必要となる。

しかしながら、中国のエネルギー需要見通し、天然ガス需要見通しは政策により大きく変動する上、国産ガスの生産量や輸入パイプラインガスの供給量にも左右される。

これらの変動を補うために、国際取引市場からのLNG調達が行われれば、同じ北東アジアでのエネルギー輸入を行う日本(韓国、台湾)等にとっての影響も大きく、需要増・需要減の両面の可能性もあり、自国の需給と同様に注視していく必要がある。

図6 中国のエネルギー需給見通し

(2)米国からのLNG輸入

2018年9月18日、中国は、米国産LNGに対し、9月24日から10%の関税を賦課(2019年1月からは、25%に引き上げ)することを表明した。これは、9月17日に米国から発表された、2000億ドル規模の中国製品に対する追加関税に対抗する措置である。

2016年2月に米本土からのシェールガス由来のLNG輸出開始後、中国向けには56カーゴ(約400万トン)、2018年1月~7月までに、合計20カーゴ(約140万トン)が米国から中国向けに輸出された。これは、メキシコ、韓国に次ぐ第三位の数量となる。

一方で、米国からの中国企業向けの長期LNG契約は、2018年2月に締結された、シェニエールとCNPCとの契約のみであり、上記中国向けLNG輸出の多くは、スポットもしくはポートフォリオによる供給の一部として行われたものと考えられる。

2018年下期から、2019年上期にかけて、豪州(Prelude・イクシス)・ロシア(Yamal)等の新規大型LNGプロジェクトの稼働が進み、また、日本の原発も9基稼働体制(2017-18冬季の約2倍)が見込まれるため、昨年度とくらべて北東アジアのスポットにも若干の余裕が見込まれる。このため、短期的には必要なLNG供給を確保できる可能性は高く、追加関税による影響は軽微であるとの見方もある。北東アジアのスポットLNG価格も、10%の関税賦課が発表後、前日に比べ▲0.3$/MMBtu下落となった。

中長期的には、カタール、豪州、ロシア、カナダ等の売主にとっては、相対的に中国向け輸出を増やす可能性がある。一方で、中国のLNG需要を見込んでいた米国LNGプロジェクトにとっては、鉄鋼等、中国からの輸入材料に対する関税等によるコスト増につながり、また、米中貿易摩擦の長期化により、中国企業との新たな長期の売買契約の締結が抑制され、中国以外のより小さな市場へのマーケティングが必要となり、FID時期の遅延といった影響も考えられる。また、米国産LNGを供給源とするポートフォリオ供給者にとっては、配船計画上の制約や、他の北東アジア需要国とのスワップ等の検討も必要となり、、コスト増等の影響も懸念される。

図7 米国LNGの輸出先推移

図8 米国LGN 輸出先内訳

5.まとめ

2018年に入り、LNG液化プロジェクトの最終投資決定(2件)に加え、中長期のLNG契約(期間契約)の合意が相次いできている。特に、新規プロジェクトからの契約に関する合意も約3,000万トンを超え、2020年代後半のLNG需要増にむけたプロジェクトの推進も期待される。なお、LNG契約の締結者は、最終需要家だけではなく、約4割相当がポートフォリオプレーヤーによる引取となっている。長期需要見通しの不確実性から、これまでの伝統的な買主は、より短期・柔軟性の高い契約を指向することも多く、また、新興国の需要は比較的小規模・信用力も劣る。初期投資の多きなLNGプロジェクトの実現・資金調達に際しては、市場の流動性・柔軟性が高まってきてはいるものの、約8割超に相当する数量の引取(長期契約)が前提となる。一定の規模を有し、供給源・供給先・価格指標・供給時期等の分散を図り、新規LNGプロジェクトからの長期の引取りを担える、ポートフォリオ供給者の存在感を増している。

足元のLNG市場は、米国等で建設段階にある大規模プロジェクトが順調に稼働すれば,2020年代初には一旦需給が緩和(1,000~3,000万トンの供給余力)となるが,想定外の供給支障,建設遅延が生じれば,簡単に需給がひっ迫する可能性もある水準である。また,年間を通じた需給のバランスはとれていても,想定外の供給支障,冬場の需要期における供給確保も課題となる。需要の確保を前提にFIDに移行できる計画段階のプロジェクトは多くあっても,2022年以降,FIDから稼働開始までの約5年のリードタイムにおいてはスポット価格の高騰も懸念される。

長期的には、2018年10月にFIDに至ったLNGカナダを始め、カタール、ロシア、モザンビーク、豪州他、大型のプロジェクトの実現が期待される。また、LNGプラントの小型化・モジュール化の検討も進んでいる。これまで、探鉱から生産までに時間を要する石油・天然ガス産業は、ブームとバストのサイクルを繰り返してきたが、こういった設備面での柔軟性、リードタイムの短期化や、市場から原料ガスの調達が可能な北米におけるLNGプロジェクトは、市場環境の平準化に一定程度寄与するものと考えられる。

なお、天然ガスは、環境、安定供給等々から今後の利用拡大が期待されるものの、炭素価格も含めた価格競争力、原発稼働、再エネ・石炭等との競合といった点では長期的な不確実性への対処が必要である。また、大消費国である中国のエネルギー政策等によりLNG市場がより影響を受けやすい状況となっており、同じ北東アジアでのエネルギー輸入を行う日本(韓国、台湾)におとっては、需要増・需要減の両面から自国の需給と同様に注視していく必要がある。

以上

(この報告は2018年10月15日時点のものです)

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