ページ番号1007632 更新日 平成30年10月24日

ロシア情勢(2018年9月モスクワ事務所)

レポート属性
レポートID 1007632
作成日 2018-10-24 00:00:00 +0900
更新日 2018-10-24 14:31:08 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 基礎情報
著者 黒須 利彦井戸 智子
著者直接入力
年度 2018
Vol
No
ページ数 13
抽出データ
地域1 旧ソ連
国1 ロシア
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 旧ソ連,ロシア
2018/10/24 黒須 利彦 井戸 智子
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1.政治・経済情勢

(1)国内

政治・経済

  • 9月9日、ロシアで統一地方選挙が行われた。モスクワ市を含む22の連邦構成主体で住民による直接首長選挙、3の連邦構成主体で議会による間接首長選挙、16の連邦構成主体で議会選挙、12都市で市長選挙等を実施。モスクワ市では、現職のソビャニン氏が70.07%の得票率で再選を果たした。大半の地域では、与党の「統一ロシア」候補が勝利したが、沿海地方、ハバロフスク地方、ウラジーミル州及びハカス共和国では、首位の得票率が50%未満であったため、上位2名で決選投票が行われることとなった。沿海地方は9月16日に、2017年10月から知事代行を務めるタラセンコ氏(与党「統一ロシア」候補)と「共産党」所属の地方議会議員のイシチェンコ氏で決選投票を行ったが、不正があったとして結果が無効化され、12月16日に再選挙を行う予定。なお、9月26日には、現職のサハリン州知事コジェミャコ氏がプーチン大統領の任命により沿海地方の知事代行に就任(コジェミャコ氏が沿海地方知事選への出馬希望を大統領に表明)。9月23日に決選投票が行われた2つの地方の結果は以下のとおり。ハバロフスク地方:「自由民主党」の候補・連邦下院議員のフルガル氏が69.6%の得票率で現職の「統一ロシア」候補のシポルト氏に圧勝。ウラジーミル州:「自由民主党」の候補・同州議会議員のシピャギン氏が現職の「統一ロシア」候補のオルロヴァ氏に勝利。ハカス共和国においても9月23日に決選投票が行われる予定であったが、現職のジミン氏(統一ロシア)の出馬辞退等により、決選投票は11月11日に予定されている。
    また、議会選挙でも、多くの構成主体で「統一ロシア」が得票率や議席数を減らす結果となった。国民は政府が発表した年金制度改革に不満を抱いており、抗議の声が今回の異例の選挙結果をもたらしたと専門家は見ている。(RBC daily,RIA Novosti, 2018/09/21,24等)
  • 9月11~13日の日程で、第4回東方経済フォーラムが沿海地方のウラジオストクで開催された。60カ国より約6,000人が参加し、前年比1.3倍の総額3兆1,850億ルーブル(公開金額のみ)、全220件の合意文書が締結された。その内58文書が外国企業らと締結された。内訳は、中国31件、合計2,906億ルーブル、日本16件、合計1,591.1億ルーブル、韓国9件、合計950億ルーブル(https://forumvostok.ru/news(外部リンク)新しいウィンドウで開きます, 2018/09/28)。
    12日に行われた全体会合では、プーチン大統領、安倍首相、中国の習国家主席、モンゴルのバトトルガ大統領、韓国の李首相がスピーチを行った。また、10日には、安倍首相はプーチン大統領と通算22回目となる日露首脳会談を約2時間半強にわたって行った。北方四島における共同経済活動については、海産物の共同増養殖、温室野菜栽培等の5件のプロジェクト候補の実施に向けたロードマップを承認し、「ビジネス・ミッション」を10月初めに実施することで一致した。首脳会談後には、9件の合意文書が署名された。(外務省,Kremlin.ru, 2018/09/10)
    • NOVATEKとJOGMECの上流開発及び液化事業における協力を目的とした協力覚書
    • Rusagroと三井物産のロシア極東からの農畜産物輸出協業に関する覚書
    • ハバロフスク空港会社と双日、日本空港ビルディング、海外交通・都市開発事業支援機構のハバロフスク空港新ターミナル建設および運営共同実施に関する覚書
    • Skolkovo財団とIoT推進コンソーシアムの協力覚書
    • RostelecomとスカパーJSATの衛星通信分野における相互理解覚書
    • ロシア直接投資基金、ロシア日本投資基金及び国際協力銀行間の共同投資の実施に関する合意書
    • Vnesheconombankと国際協力銀行の金融協力に関する枠組み協定
    • イルクーツク石油と東洋エンジニアリングのウスチクートにおけるエチレンプラント建設プロジェクトに関する協力覚書
    • ロシア直接投資基金、GTM ONE(Aeon)と丸紅間のヴォルゴグラードにおける化学クラスター投資プロジェクトの第一段階実施に関する合意書
露中間企業間の主な合意案件は以下のとおり。(各社プレスリリース等より作成)
ロシア側 中国側 内容
Rosneft Beijing
Gas
Group

ロシアにおけるガス充填圧縮機ステーションネットワークの建設と運営のための合弁事業の創設に合意(9月12日)

・双方はロシアにCNGステーションを160ヶ所以上建設する計画であり、LNGを天然ガス自動車燃料として使用する可能性について検討を行う

CNPC

ロシア国内における探鉱・生産に関する協力協定(9月12日)

・CNPCは、Rosneftが保有する東西シベリアの大規模油・ガス田プロジェクトの少数権益を取得することが可能

・炭化水素の探査、開発及び生産分野の鉱床サービス提供に関するCNPCの提案を検討することでも合意

Gazprom Neft CNPC

技術協力関係に関する協定(9月12日)

EOR(石油増進回収法)技術開発等で協力

沿海地方 SINOMEC

石油精製所建設に関する意向表明書(9月13日)

投資額は500億ルーブルを予定

Mail.Ru, MegaFon
ロシア直接投資基金
Alibaba Group

電子商取引分野における合弁事業設立に関する覚書(MOC)(9月11日)

JV会社AliExpress Russiaを設立し、権益比率は、Alibaba Group-48%、MegaFon-24%、Mail.Ru-15%、ロシア直接投資基金-13%となる見込み

KamAZ Weichai

産業用エンジン生産を目的とした合弁会社設立に関する協定(9月11日)

JVは、産業用ディーゼルエンジンとガスエンジンを生産するとともに、そのサービスを提供

 

財政

  • 9月20日、ロシア連邦政府は、2019~2021年の予算案を承認した。歳入に占める石油ガス部門からの収入は次のとおり。2019年:3兆3,690億ルーブル、2020年:2兆2,770億ルーブル、2021年:2兆6,320億ルーブル。今後3年間の石油ガス部門の収入を除いた財政赤字の対GDP比は約6%(2018年は7.3%)。公的対外債務残高は今後増える見込みであり、2019年の16兆2,090億ルーブル(対GDP比15.3%)から2020年は18兆1,380億ルーブル(対GDP比16.4%)に、2021年は20兆930億ルーブル(対GDP比17%)となる見込み。(Vesti, 2018/09/20)
2019~2021年連邦予算(単位:10億ルーブル)
  2019 2020 2021
歳入 19,948 20,195 20,953
歳出 18,063 19,012 20,044
財政赤字 1,885 1,183 909
対GDP比 1.8% 1.1% 0.8%
GDP 105,820 110,732 118,409
インフレ率 4.3% 3.8% 4.0%
平均ウラル原油価格 63.4USD 59.7USD 57.9USD
平均ルーブル為替レート 63.9 63.8 64
  • 9月20日付Interfax紙によれば、2019年から2024年までの6年間、ロシア連邦予算から1,038億ルーブルがArctic LNG 2事業のインフラ(連邦政府の保有インフラも含む)であるサベッタ港のLNG・コンデンセートターミナルの建設に拠出される予定。内訳は、2019年及び2020年:173億ルーブル、2021年230億4,000万ルーブル、2022年:109億5,000万ルーブル、2023年:51億2,000万ルーブル、2024年:300億9,000万ルーブル。また、石油のR&D部門の開発に対し、2019年からの3年間で15億ルーブル(2019年:4億ルーブル、2020年:5億ルーブル、2021年:6億ルーブル)を拠出し、水圧破砕法に必要な機器の自国製造を促す。

(2)対外関係

  1. ウクライナ

    ・ウクライナのNaftogazからの提訴に対して、ストックホルム仲裁裁判所は2018年2月に、Gazpromの欧州における26億ドルの資産差し押さの強制執行の裁決を下した。しかし、Gazpromが異議を唱えたため、6月13日にスウェーデンの控訴裁判所はストックホルム仲裁裁判所の判決執行を一時停止した。9月13日、同控訴裁判所は強制執行の保留を停止するとの裁決を下した。これにより、Gazpromが欧州に保有する資産は再び差し押さえのリスクに晒されることになった。Gazpromは同日、同裁決を不服として、争う方針であると述べた。既に、GazpromがBlue Stream P/Lのオペレーター会社(オランダ登記)において保有する権益は差し押さえとなっており、Gazpromが英国ポンド建てで行う予定だった社債発行も中止となった。同社は、Naftogazが5月29日から開始した英国、オランダ、およびスイスにおける資産の差し押さえに異議を唱えている。(Vedomosti,IOD, 2018/09/13-14)

  2. 中国

    ・9月17日、コザク副首相(エネルギーコンプレックス担当)はモスクワで開催された露中貿易経済協力委員会の会合後、「ロシアと中国は2018年末までに西シベリアから中国へ年間300億立法メートルを送る「西ルート」(「シベリアの力2」ガスP/L)によるガス供給契約を締結する方針であり、必要があれば、政府間協定を締結する用意がある」と述べた。GazpromのミレルCEOによれば、両社はガス価格以外の諸課題については既に解決済みであるとのこと。GazpromとCNPCは、西ルートによるガス供給の主要項目について2015年5月に基本合意したが、それ以降の交渉は停滞していた。しかし、9月に行われた東方経済フォーラムにおける露中首脳会談で、交渉が加速化した。背景には、中国国内での天然ガスの増産がままならず、米国との貿易戦争により、米国から輸入するLNGに関税が課せされる可能性が出てきたということがある。また、Gazpromは、まもなくサハリン島オフショアから中国東部へのガスP/Lによるガス供給契約を締結する予定。中国の国家エネルギー局のNur Bekri局長は、9月17日、「年間ガス供給量50~100億立法メートルの契約が2019年上半期に締結される見込みである」と述べた。(IOD, 2018/09/18)

  3. 米国

    ・9月20日、トランプ大統領は、「既存の法律の範囲内」で、対露制裁措置の厳格な遵守を求める大統領令に署名した。これによる新たな制裁の導入はないが、大統領自身や財務長官、国務省などの国家機関に制裁実施のための必要措置を発動する権限が与えられた。同日、米国は、制裁対象のロシアの軍需品輸出企業から戦闘機や対空ミサイルシステムを購入した中国の中央軍事委員会装備発展部及び同部長李氏を制裁リストに追加した。(Kommersant,Gazeta.ru他、2018/09/20)

2.石油ガス産業情勢

(1)原油・石油製品輸出税

  • 2018年9月、原油輸出税はUSD 17.8バレルに引き下げ、東シベリア及びカスピ海北部の油ガス田等に対しては、引き続きゼロ課税となった。
  • 9月の石油製品輸出税はUSD 39.0トン、ガソリンについてはUSD 71.5トンに設定された。

参考:原油及び石油製品輸出税の推移 出所:ロシア経済発展省

(2)原油生産・輸出量

  • 9月、原油、ガス・コンデンセート生産量は4,647.8万トン(約3億4,120万バレル、平均日量1,135.6万バレル)で、前年同月比4.1%増。1~9月は4億1,250.4万トン(約30億2,823万バレル、平均日量1,107.6万バレル)で、前年同期比0.7%増。(Interfax, 2018/10/02)
  • 9月、原油輸出量は2,107.0万トン(約1億5,467万バレル)。1~9月は1億8,926.6万トン(約13億8,942万バレル)。(エネルギー省HP)

(3)天然ガス生産・輸出量

  • 9月、天然ガス生産量は5,754.2億立方メートル(約2.03TCF)で、前年同月比5.9%増。1~9月は、5,315.2億立法メートル(約18.8TCF)で、前年同月比5.7%増。(Interfax, 2018/10/02)

(4)その他

  • 9月25日、ユジノサハリンスクで開催されたサハリン石油ガス会議で、エネルギー省の石油・ガス生産・輸送局のグラトコフ局長は、ロシアのLNG生産量を2035年までに現在の年間2,100万トンから4倍増の8,300万トンに拡大する見通しを示した。同氏によれば、Yamal LNGプロジェクトの第3ライン、第4ラインおよびサハリン2 LNGプラントの第3ラインの稼働によって実現されるとのこと。エネルギー省の試算によれば、世界市場におけるロシア産LNGのシェアは、2035年までに現在の4.5%から15~20%に増加する可能性がある。(Interfax, 2018/09/25)
  • 9月18日、ノヴァクエネルギー相は、メドヴェージェフ首相が主催するエネルギー生産の見通しに関する会議で、西シベリア地域における石油生産促進のための6つの措置を提案した。同氏は、支援策の導入で、2035年までに約7兆ルーブルの追加歳入が得られると説明し、「ロシアの原油コンデンセートの生産量は2021年に年間5億7,000万トン(日量1,144万7,000バレル)となり、ピークに達するであろう。しかし、政府が上流部門への刺激策を取らないのであれば、それ以降、生産量は急減し始め、2035年までに西シベリアにおける生産量は現在の3億1,000万トン/年から1億8,000万トンまで減少するであろう」と語った。最も悲観的なシナリオでは、2035年までに僅か1億4,600万トン/年にまで減る可能性があるとのこと。エネルギー省は、原油コンデンセート生産量の増加および将来の減退予防のために、以下の6つの方策を提言した。同省は11月1日までにロシアの油田の一覧表を作成し、提案した6つの刺激策のうち、どれが有効であるかを詳細に検討する方針。(RBC daily, IOD, 2018/09/18-19)
  1. 西シベリア地域における投資の加速度償却。西シベリアの鉱床は、成熟鉱床であり、減退の危機に瀕している。投資に対する減価償却係数の引き上げにより、キャッシュフローは1バレル3.1ドルから6.2ドルに増え、投資の促進につながるとした
  2. 探鉱作業費の利益税からの控除
  3.  2019年から西シベリア地域の35鉱床で試験導入予定の超過利潤税の適用範囲の拡大(2035年までに税収は年1.2兆ルーブル増、投資は3.5兆ルーブル増)
  4. 新規鉱床で減退率が1%に達した鉱床に対して、地下資源抽出税(MET)の優遇措置を適応
  5. EOR(原油増進回収法)の導入によって、追加で生産された原油・コンデンセートに対して、MET減額を提案
  6. オイルリム開発の推進
  • 9月23日、OPEC+の共同閣僚監視委員会はアルジェリアで開催された会合後に、「次回の会合まで、2018年6月にOPEC+で合意した日産100万バレルの増産目標を100%達成することに専心することで合意し、それ以上の増産に関する協議は行われなかった」と発表した。同委員会の次回会合は11月11日にアブダビで開かれる予定であるが、情報筋によると、12月6日か7日に延期される可能性もあるとのこと。ノヴァク・エネルギー相は、「2018年6月の合意内容の目標達成率は、2018年8月は129%だった。9月及び10月も100%の達成が可能である」と発言。また、「現在の原油価格は地政学的な要因や期待感に基づいたものであり、原油市場は均衡が取れている。OPEC +諸国は、世界経済の不確実性が高いことを考慮して、今後も市場均衡を維持する努力をしなければならない」と述べた。大臣によれば、ロシアは依然としてOPECからの加盟提案を検討しているとのこと。(Prime, 2018/09/24)

3.ロシア石油ガス会社の主な動き

(1)Rosneft

  • 9月7日付プレスリリースでGlencoreは、Rosneftの株式14.16%をQIAに売却する取引の完了を明らかにした。今回の取引完了に伴い、GlencoreはRosneftの株式0.57%を、QIAはRosneftの株式を18.93%保有することとなった。
  • 9月5日付Kommersant紙によれば、Rosneftは50.1%保有していたRN-ペチョラLNG社の株式をペチョラLNGの創設者であるボソフ氏傘下のCH Gas Pte Ltdに戻し、持ち株比率を1%まで減らした。Rosneftは、ペチョラLNGをベースにLNG生産と輸出拠点の創設を試みていたが、LNGの輸出許可を得ることが出来ず、プロジェクトの事業性の確保が困難と判断した模様。Rosneftは、「現時点でこのプロジェクトに発展の展望があると見ておらず、いかなる損失も義務を伴わずに同プロジェクトを離脱した」と説明している。
  • 9月18日付プレスリリースによると、RosneftのセチンCEOは中国国務院の韓正筆頭副首相と会談を行った。会合では、エネルギー分野における露中協力の発展について議論し、中国との協力関係は不可欠であることを確認した。セチン氏によれば、Rosneftは原油輸出量の3分の1を中国に販売しているが、本年の供給量は5,000万トンに達する見込みである。また、「Rosneftと中国企業(複)は、2018年9月に開催された東方経済フォーラムにおいて、協定(複)を締結したが、今年11月に開催予定の露中エネルギーフォーラムにおいて、さらに協力関係が深化することに大きな期待が寄せられている」と述べた。同フォーラムには、ロシアから44社、中国から35社が参加の予定とのこと。

(2)Gazprom

  • 9月12日、東方経済フォーラムの枠内で、GazpromのミレルCEOは、CNPCの王義林CEOと会談を行った。同社のプレスリリースによれば、急速に拡大するガス需要を背景に中国はガス輸入を拡大してしており、両社の戦略的協力に関して幅広い議論を行ったとのこと。極東から中国向けのガス供給プロジェクトに関する現状と西側ルートを通じたガス供給計画の見通しについて検討を行った他、ガス火力発電、地下ガス貯蔵、および車両燃料としてのガス利用に関する協力についても協議した模様。(Gazprom Press release, 2018/09/12)
  • 9月26日、経済発展省は、EUとの「第3次エネルギー・パッケージ」を巡る係争において、EUが世界貿易機関(WTO)を提訴したことに対し、ロシア政府は反訴したことを明らかにした。ロシアが2014年に欧州のガス・電力市場における競争促進を目的とする「第3次エネルギー・パッケージ」が、第三国に対する差別条項を含んでおり、WTOの原則に反しているとして提訴していた係争に関し、8月10日、ロシアの立場を支持した裁定をWTOが下していた。(Prime他, 2018/09/27)

(3)Gazprom Neft

  • Gazprom NeftのデュコフCEOは、RBCテレビでのインタビューで、「Gazprom NeftとCNPCは、2020年にSutorminskoye鉱床でEOR(石油増進回収法)技術開発の事業に取り組む方針であり、FSを2020年末までに完了する予定である。2018年末にはパイロット試験について承認し、2019年にパイロット試験を実施し、2020年初にはSutorminskoye鉱床での界面活性剤攻法を本格的に導入する予定である。界面活性剤攻法の導入には、政府から優遇税制が認められることが重要である。同攻法のリーディングカンパニーであるCNPCとの事業は、Gazprom NeftがEOR分野において技術的進歩を遂げるための合理的な判断である」と述べた。(Interfax, 2018/09/12)
  • Royal Dutch Shellは、ロシアの上流事業への参画機会を探っており、Gazprom Neftが開発を行うTazovsky石油・コンデンセート鉱床(ヤマロ・ネネツ自治管区)をその対象として検討しているとのこと。Shellは、Gazprom Neftが2017年に取得した同鉱床の権益の50%を取得する可能性がある。当該鉱床の埋蔵量は原油7,200万トン(5億2,300万バレル)、ガス1,833億立方メートル。両社はロシアのシェールオイル層を共同開発する計画があったが、欧米の対露制裁により、中止となっている。(IOD, 2018/09/28)

(4)NOVATEK

  • 9月10日付プレスリリースで、NOVATEKは東方経済フォーラムの枠内で、極東発展省およびカムチャッカ州政府と同州におけるLNG積み替えターミナル建設に係る基本合意書を締結したと公表した。同文書では、NOVATEKが同事業に約700億ルーブルを投じることを規定している。ミヘリソンCEOは、「LNG積み替えターミナルの建設により、輸送ロジスティクスが最適化され、ヤマル及びギダン半島からのLNG供給をより効率的にすることが可能となる」と声明で述べた。また、極東地域に新規の雇用を生み、LNG積み替えターミナルで生じるボイルオフガスの利用により、同州のガス化を進めやすくなるであろうと述べている。(NOVATEK Press release,Interfax, 2018/09/11)
  • 9月11日、ミヘリソンCEOは、カムチャッカ半島のLNG積替えターミナルの稼働時期に関し、プーチン大統領に2022年を計画していると報告したと述べた。同氏によれば、当該ターミナルの利用によりアジア太平用地域向けLNG供給コストは7~10%削減出来る見込み。また、ムールマンスクのLNG積み替えターミナルの稼動については、評価(Assessment)が必要であるが、2022年以前に稼働出来る見込みであるとした。(Prime, 2018/09/11)
  • 9月12日付プレスリリースで、NOVATEKは東方経済フォーラムの枠内で、国営Rosatomと合弁事業の創設に関する基本合意書を締結したと公表した。北極圏におけるNOVATEK主導のLNG事業の支援を目的として、LNGを燃料とする砕氷船を共同で建造する計画。ミヘリソンCEOは声明において、本事業は、砕氷船の開発と北極圏の貨物輸送の拡大に貢献するものであり、当社のみならずロシア経済全体にとって重要なものであると言明。
  • 9月18日付プレスリリースで、NOVATEKはヤマロ・ネネツ自治管区ギダン半島のUtrenneye鉱床のジュラ紀中期の貯留層において、新たに2つの新しいガス層を発見したとの発表を行った。埋蔵量(ロシアの埋蔵量分類に準拠)は、ガスが4,050億立法メートル、コンデンセートは4,000万トンと評価されているが、国家鉱量委員会による埋蔵量認定後に数字が確定する。Utrenneye鉱床は、Arctic LNG 2事業のLNGプラント(2023~2025年に稼動開始の計画。生産能力は1,980万トン/年)の資源基盤と目されている。2017年12月31日時点における同鉱床の埋蔵量(ロシアの埋蔵量分類に準拠)は、ガス:1兆5,000億超立方メートル、コンデンセート:6,500万トンであり、今回新たに発見された貯留層の埋蔵量を加えると、同鉱床の天然ガス埋蔵量は約2兆立方メートルとなる。
  • 9月25日、仏のTotalのプヤンヌCEOは、ニューヨークで行った「2030年までの石油ガス産業の戦略ビジョン」のプレゼンテーションにおいて、同社のNOVATEKの株式保有比率を先週19.4%に増やしたと述べた。これは、2011年にNOVATEKの株主間と合意した同社の株式保有比率の上限にあたる。プヤンヌ氏によれば、株式取得総額は68億ドルであるが、現在の市場価格は96億ドルに相当するとのこと。ロシアへの投資にリスクがあるのは認めたが、10年近く前にTotalは市場で急速に成長しているプレイヤーの一つを特定するのに成功したとCEOは語った。(Vedomosti, Interfax, 2018/09/25)

7.東シベリア・極東・サハリン情勢

(1)サハリン

  • 9月10日付プレスリリースで、Gazprom Neftは東方経済フォーラムの枠内で、三菱商事とオホーツク海の大陸棚浅海でのハイテクプロジェクトの開発における協力機会の評価を目的とするMOUを締結したと公表した。本覚書には、探鉱・開発分野での知見や技術の共有の可能性も含まれている。サハリン島大陸棚北東部オホーツク海から約55kmのオフショアに位置するAyashskyライセンス鉱区では、既に約2,150平方メートルに及ぶ3D地震探査が完了している。Gazprom Neftは親会社であるGazpromから移管された6つのオフショア鉱区(北極圏のDolinskoye、Kheisovskoye、Severo-Zapadnoye、およびSevero-Vrangelevskoye鉱床と、サハリン島近隣のAyashoi地区)を保有している。(Interfax, 2018/09/11)
  • 9月11日、Gazprom NeftのデュコフCEOは、国家鉱量委員会がNeptun鉱床の原油埋蔵量(C1+C2カテゴリー)を4億1,580万トン(30億バレル)と認定したと述べた。同社は、2017年、サハリン島のAyashskyライセンス鉱区においてNeptun鉱床を発見した。同社の当時の可採埋蔵量の評価は、7,000~8,000toe(5億1,300万~5億8,600万バレル)だった。現在、同鉱床では2番目の探鉱井の掘削中であり、埋蔵量はさらに増える可能性がある。(IOD, 2018/09/12)
  • 9月28日付Vedomosti紙は、Sakhalin 1プロジェクトの参加企業の一社であるONGC Videshの取締役の言とし、Sakhalin 1コンソーシアムがRosneftとの紛争を裁判外手続きにより解決し、Rosneftに2億3,000万ドルを支払うことで合意したと報じた。Rosneftは、同社が保有するNorth Chayvo油田からSakhalin 1が保有するChayvo油田に原油が流れ、Sakhalin 1コンソーシアムが不当に利益を得たとして、891億ルーブルの支払いを求めて提訴していた。今回の和解により、同社の子会社であるSakhalin 1参加企業2社(Sakhalinmorneftegazshelf、RN-Astra。両社で株式20%を保有)の支払い分を除くと、Rosnetは1億8,400万ドルを受け取ることになる。

8.新規LNG・P/L事業

(1)Nord Stream 2

  • 9月5日付プレスリリースで、Nord Stream 2 AGは、フィンランドの排他的経済水域でP/Lの海底敷設作業が開始したと公表した。スイスのAllseas社所有のSolitaireが敷設を行っている(最大420名が乗船し、24時間体制で作業可能)。
  • 9月19日、Nord Stream 2ガスP/L事業に参画する一社である仏EngieのCharerye副社長は、同社はNord Stream 2 AG(Nord Stream 2ガスP/Lの事業会社)に対して、既に5億ユーロを拠出しているが、更に5億ユーロのファイナンスを行う準備があると発言。「米国の対露制裁に関わらず、同事業は完遂するであろう。我が社は欧州の安全保障のために同事業が重要であると考えている」と述べた。
  • 9月18日、トランプ米大統領は、米国はNord Stream 2ガスP/L事業に対して制裁を課す予定はないと述べていた。(Prime, 2018/09/19)
  • 9月25日、Nord Stream 2 AGのスポークスマンによると、ドイツ領海に既に総延長約30~35kmのパイプラインを敷設した。ドイツ政府の作業認可要件に基づき、ニシンの繁殖地であるバルト海での敷設作業は2018年末までに完了させなければならないとのこと。(Prime, 2018/09/25)

(2)Yamal LNG

  • 9月24日、NOVATEKは、Yamal LNG事業のLNGプラントから出荷されたLNGが、初めてブラジル市場に到着したとの声明を出した。同社の100%子会社Novatek Gas & PowerがPetrobas社保有のブラジルのBahia再ガス化ターミナルにLNGカーゴを輸送したもの。ミヘリソンCEOは、「我が社にとって、南米市場に向けた初のLNGカーゴの輸送である。今回、Yamal LNG事業のロジスティックスが実行可能で、LNGを世界中の至るところへ競争力のある価格で輸送することが可能であることを証明した」と声明で述べた。(NOVATEK Press release, 2018/09/24)

(3)Arctic LNG

  • 9月11日、ミヘリソンCEOは東方経済フォーラムのブリーフィングで、「わが社はArctic LNG-2事業(生産能力1,980万トン/年)における権益をTotalと同条件で、CNPCに売却する準備が出来ている」 と述べた。2018年5月に同氏は、「TotalはArctic LNG-2事業の権益10%を25億5,000万ドルで取得することに同意した。今後、同事業に参加するパートナー企業は、Totalに対する条件よりも良い条件で参画することはない」と明言していた。ミヘリソン氏によると、NOVATEKは同事業のFEEDを2018年10月上旬に完了し、2019年半ばに投資決定を行う方針。事業費は、Yamal LNGの事業費270億ドルを下回る200~210億ドルとなる見込み。(IOD, 2018/09/12)

(4)Baltic LNG

  • 9月25日、Shellのロシア支社のCremers社長は、「GazpromおよびShellは、Baltic LNGプラントの建設事業を実施するJVの設立に関する主な課題については全て解決しており、現在、残ったいくつかの課題に取り組んでいるところである。協定の締結は間近である」と述べた。同氏によれば、両社は現在、pre-FEEDを行っており、あと6~9ヶ月で完了となる見込みであり、その後にFIDを行う予定。両社は2016年6月、LNGプラントをレニングラード州Ust-Luga港に建設することを含むBaltic LNG事業に関するMOUを締結。その後、同プラントの生産能力を当初予定の年間1,000万トンから同1,500万トンへと引き上げた。2017年6月、両社は同事業の実施にあたるJVに関する協定の主要要件を規定する文書に署名。Cremers社長は、「ロシア産LNGは、世界市場で厳しい競争に晒されることが予想され、優遇税制や政府からの支援が必要となるであろう。また、Shellは今後5~6年でロシアにおいてガス充填ステーションの設置数を倍増の600箇所超まで増やす計画である」と語った。(Prime, 2018/09/25)

以上

(この報告は2018年10月19日時点のものです)

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