ページ番号1007643 更新日 平成30年11月20日
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1.政治・経済情勢
(1)国内
政治・経済
プーチン大統領、9月下旬からの1ヶ月で9地域の首長代行を任命
- 10月12日、ミハイロフ・クルスク州知事、ハミトフ・バシコルスタン共和国首長及びジダノワ・ザバイカル地方知事が辞任した。大統領は同日、スタロボイド運輸省次官をクルスク州、ハビロフ・モスクワ州クラスノゴルスク市長をバシコルスタン共和国の代行に任命。27日には、ザバイカル州知事代行に極東開発省第一次官のオシポフ氏が任命された。任期前辞任によりこれまでにサンクトペテルブルグ市、沿海地方、カバルダ・バルカル共和国、リペツク州、アストラハン州、クルガンスク州の首長代行が任命されている。独立系大手世論調査機関「世論基金」が10月7日に行った理想的な知事像に関する調査によれば、アンケート回答者の46%が知事の年齢は41~45歳、同34%が政党に属さない者、同30%が製造業出身者、同51%が地元の出身者或いは人生の大半を当該地域で過ごした者が望ましいという結果であったが、今回の任命において、国民の理想条件を全て満たす代行者はいない。(Vedomosti, BBC, 2018/10/11-12)
政府は2024年までの基幹インフラ整備計画を承認
- 2018年9月30日、政府は指示書第2101-r号「2024年までの基幹インフラの近代化と拡大のための包括的計画」を承認。同計画は、2018年5月7日付大統領令第204号「2024年までのロシア連邦発展の国家目標と戦略的課題」に従って策定され、11の連邦プロジェクトが含まれる。その内、9つは輸送インフラ、2つはエネルギーインフラの整備を目的とする。輸送部門では、鉄道、航空、道路、海や河川のインフラの拡張と近代化を通じて、物資の輸送及び経済的つながりを向上させるために「西―東」「北―南」間の輸送回廊の発展が規定されており、投資総額は6兆3,000億ルーブルとなっている。このうち、連邦予算から3兆ルーブルが拠出され、残りは民間から投資を募る計画。北極海航路による貨物輸送の拡大も目的の一つであり、船舶の安全航行のためのナビゲーションサービス、救助船停泊のための基地建設などを含む港湾関連設備の整備や北極海航路積み出し能力8,000万トン目標を実現するために、サベッタ港でのLNG・ガスコンデンセートターミナル建設、及びLNG船用の砕氷船4隻の建設が予定されている。北極海航路プロジェクト実現にかかる2019~2024年の総事業費は5,874億5,136万ルーブルで、うち政府予算は2,657億8,479万ルーブル、民間投資など予算外は3,215億6,657万ルーブルとされる。
Doing Business 2019でロシアは昨年の35位から31位に上昇
- 10月31日、世界銀行が「Doing Business 2019」を発表した。同調査では、190カ国を調査対象国とし、事業活動規制等に係る10項目(法人設立、建設許可、電力事情、不動産登記、信用供与、少数投資家保護、納税、輸出入、契約執行及び破産処理)で評価し、ランキングを行っている。ロシアは昨年の35位から31位まで上昇したが、2012年5月の大統領令「長期国家経済政策」では、2018年までに20位に入ることが目標とされていた。世界銀行の専門家によれば、ロシアの強みは不動産登記(12位)であり、輸出入(99位)と少数投資家保護(57位)が弱点とされる。ロシア・NIS諸国で最も順位が高かったのは、ジョージアで6位であった。(Gazeta.ru, 2018/10/31)
金融
プーチン大統領、ドルへの依存度を下げる方針を表明
- 10月18日、プーチン大統領は、ソチで開催されたValdaiクラブの本会議で、「ロシアは、米国ドルへの依存度を徐々に低める方針である」と述べ、ロシアの新しい金融政策を説明した。ロシア政府は将来的に米国の対露金融制裁がさらに拡大し、ロシアの国債や国営銀行が対象となる可能性を視野に入れて、自国経済の米国ドル依存からの脱却を図っている。政府は本年4月、米国政府債への投資を961億ドルから487億ドルに、5月には僅か149億ドルまで減らし「脱ドル化」を進めている。
大統領は当該方針について、「米国ドルを弱体化させたいわけではなく、ロシアは常に制裁を課されており、米国ドルを使用してビジネスを行う機会を与えられていない。自国の安全を確保するための方策だ」と強調した。ゴルコフ経済発展省副大臣は、ロシア及び中国は両国の通貨による支払いに関する政府間協定締結について協議していると発言。(Gazeta.ru,Expert他, 2018/10/18-19)
(2)対外関係
1.インド
露印首脳会談:ロシアは、Arctic LNG 2事業、極東LNG事業、大陸棚関連事業などへのインド企業の参加について検討する準備
- 10月5日、プーチン大統領は、インドのデリーを訪問し、インドのモディ首相と首脳会議を実施。会談後の記者会見で、プーチン大統領は、「ロシアは、インド企業によるArctic LNG 2事業、極東LNG事業、シベリア、Yamal半島及びPechora海やOkhotsk海における大陸棚開発関連事業への参加について検討する準備がある」と述べた。両首脳は共同声明で、両国のエネルギー分野における互恵的協力関係の拡大の重要性について言及。今後、長期契約、JV設立、および両国または第三国におけるエネルギー資産の取得などにおける協力の機会について検討を行うとした。また、両国は、NOVATEKとインドのエネルギー企業(複)との間でLNG関連事業における協力関係について継続的な対話拡大を支援することを確認した。(Kremlin.ru,Interfax, 2018/10/5)
2.イタリア
露伊首脳会談:エネルギー協力を含む両国関係の更なる発展に意欲を示す
- 10月24日、イタリアのコンテ首相がモスクワを公式訪問し、プーチン大統領と首脳会談を実施。貿易、経済、エネルギー、投資、文化、人道、及びその他の分野における二国間協力の発展に関して意見交換を行うと共に、2018年はイタリアが欧州安全保障協力機構の議長国であることを踏まえ、国際問題や地域問題、特にシリアとリビア情勢について協議を行った。会談の冒頭、プーチン大統領は、「ロシアとイタリアは過去数十年にわたって、ビジネス関係を発展させており、今日の困難な時期にもかかわらず、両国はハイレベルの外交接触を常に保ってきた」と、両国関係が引き続き発展していることを強調した。また、プーチン大統領は、イタリアはロシア市場におけるポジションを多少落としたものの、両国の経済関係は依然として良好であることに言及。現在、500社のイタリア企業がロシアで活動しており、ロシアの対外貿易量でイタリアは6位に入るなど、貿易量は着実に伸びてきている。コンテ首相は、イタリアとロシアは、非常に強い関係をもつ国であり、困難な外的要因にもかかわらず、両国の関係を質・量共に維持してきたと発言。首脳会談の後、プーチン大統領とコンテ首相も出席し、両国の産業界も交えた拡大首脳会談を実施。プーチン大統領は、「エネルギー分野における協力案件としては、欧州向けのガス供給に留まらず、ロシアの石油ガス企業であるRosneft、NOVATEK、Lukoilと伊のENIが石油ガスの鉱区開発を進めている」と冒頭あいさつで言及した。 (Kremlin.ru他、2018/10/24)
2.石油ガス産業情勢
(1)原油・石油製品輸出税
- 2018年10月、原油輸出税はUSD 18.8/バレルに引き上げ、東シベリア及びカスピ海北部の油ガス田等に対しては、引き続きゼロ課税となった。
- 10月の石油製品輸出税はUSD 41.2/トン、ガソリンについてはUSD 75.6/トンに設定された。
(2)原油生産・輸出量
- 10月、原油、ガス・コンデンセート生産量は4,826.0万トン(約3億5,428万バレル、平均日量1,141万バレル)で、前年同月比4.4%増。1~10月は4億6,082万トン(約33億8,293万トン、平均日量1,111万バレル)で、前年同期比1.1%増。(Interfax, 2018/11/02)
- 10月、原油輸出量は2,328.7万トン(約1億7,095万バレル)。1~10月は2億1,260.9万トン(約15億6,078万バレル)。(エネルギー省HP)
- 10月3日、プーチン大統領はモスクワで開催された「Russian Energy Week」国際フォーラムで、原油価格は米国の対イラン制裁の影響に対する懸念やベネズエラ及び北アフリカの数カ国での減産が要因となり上昇していると指摘し、トランプ米大統領が現在の原油価格は高過ぎるとの認識を示したことに賛同すると述べた。大統領によれば、ロシアの石油会社にとって適正な原油価格は1バレル65~75ドルの水準。プーチン氏は、OPECとの協力の下で原油市場を均衡化させる目標は達成されたとの見解を示した。増産については、ロシアはさらに日量20万~30万バレルの増産の余地があると述べた。(Prime他, 2018/10/03)
(3)天然ガス生産・輸出量
- 10月、天然ガス生産量は636.4億立方メートル(約2.25TCF)で、前年同月比0.8%増。1~10月は、5,953.7億立方メートル(約21.04TCF)で、前年同月比5.2%増。(Interfax, 2018/11/02)
(4)その他
北極海航路によるエネルギー資源輸送、2024年には6,300万トンに達するとの予想
- コブィルキン天然資源環境相は、トルトネフ副首相主催のロシア北極圏開発に関する会合において、「北極海航路によるエネルギー資源輸送は、2024年に年間6,300万トンに達する見込みである」と発言。内訳は、LNG生産量:年間3,200万トン、原油・コンデンセート生産量:年間900万トン、石炭生産量:年間1,900万トン、その他の資源の生産量:年間約300万トン。(Interfax, 2018/10/04)
ロシア政府、外国籍LNGタンカーによる北極海航路輸送を認めることも含め検討
- 10月25日、ロシア政府は閣僚会議にて世界市場におけるロシア産天然ガスの輸出のシェア拡大を目的に、LNG生産の拡大に関連する措置について協議を実施。政府は、運輸省及び産業貿易省に、NOVATEKの投資プロジェクトの枠内で生産されたLNGの海上輸送を確保するための提案書を11月20日までに提出するよう命じた。NOVATEKのミヘリソンCEOは2018年8月、運輸省に対して外国籍タンカーによる北極海航路LNG輸送を承認することを要請していた。現行法では、Yamal LNG事業で使用することになるLNGタンカー15隻は外国籍となるため、ロシア領海であるヤマル半島サベッタ港からムールマンスク港やカムチャッカ半島に建設予定のLNG積み替えターミナルまでの輸送が出来ないことになっていた。(Government.ru,Prime, 2018/10/25-26)
天然資源環境相:「大陸棚開発事業で採算を得るには、原油価格200ドル/バレル超が必要」
- 10月1日、コブィルキン天然資源環境相は、「大陸棚開発事業では、探鉱井1坑にあたり、約300~400億ルーブルかかる。個人的には、ロシア大陸棚における原油の開発事業では、原油価格が1バレル200ドルになって初めて採算が取れると考えている」と発言した。ロシアの西シベリア地域のオレンブルグ州、サマーラ州、タタルスタン共和国及びバシコルスタン共和国では、必要なインフラが全て整っている。回収困難な資源の開発は、在来型資源に比べると収益性では劣るが、インフラが既に整備されていることより、大陸棚開発事業よりは魅力的である。大陸棚開発に伴う技術的なリスクを取ることよりも他の選択肢も視野に入れるべきであろうとした。(Prime, 2018/10/01)
3.ロシア石油ガス会社の主な動き
(1)Rosneft
中国における新たな原油供給先
- Rosneftは2017年9月にCEFC Chinaと締結した契約に基づき、5年間、毎年最大1,000万トンの供給を実施する予定であったが(当事者間に問題が生じなければ、5年間の自動延長オプション付き)、Vedomosti紙の情報源によれば、CEFCの破綻後、Rosneftと契約する権利がCITICに譲渡されたことから、子会社のCITIC Resourcesに石油を供給する可能性が出てきたとのこと。BP統計によれば、2017年の中国の石油総輸入量は4億2,210万トンで、そのうち、15%にあたる6,190万トンをロシアから輸入している。Rosneftはその2/3の4,000万トンを供給したとされる。CEFCとの契約が追加された場合、同社の中国向け供給量は年間5,000万トンに増加する見込み。CNPCに対しては、2037年までに合計3億6,000万トンを供給予定。Rosneftの生産量は2018年に入り伸び、1~8月期で前年同期比2%増の1億2,768万トンを記録している。(Vedomosti, 2018/10/30)
(2)Gazprom
OMVに西シベリア上流資源の権益を売却
- 10月3日、サンクトペテルブルグで開催された「International Gas Forum」で両国の首脳立会いの下、GazpromとオーストリアのOMVはGazpromが保有するUrengoi鉱床Achimov層の4A鉱区および5A鉱区の権益24.98%の売却に関する基本合意書を締結した。この取引の結果、Gazpromの権益は、50.01%に減少するが、Wintershallは25.01%の持分を維持する。価格交渉は今後行われる予定であり、2019年初頭の最終合意を目指す。また、両社は4日、戦略的協力に関する覚書を締結。同協定は、上流・下流のガス部門、科学技術、並びに職員育成における協力関係の拡大を目的とするものであり、共同調整委員会の設立を予定している。(Gazprom press release, 2018/10/03)
Gazprom、国内及び欧州での需要増加を背景にガス生産量を増やす
- 10月18日、GazpromのミレルCEOはメドヴェージェフ首相との協議で、同社のガス生産量は欧州における堅調な需要増加を背景に順調に増え続けており、2018年は前年比6.2%増の過去最高となる見通しであることを明らかにした。同社の2017年のガス生産量は4,710億立方メートル、2018年1月1日~10月15日までのガス生産量は前年同期比6.8%増の3,856億立方メートルであった。同社の2018年の欧州へのガス輸出量は、史上最高の2,050億立方メートルとなる可能性がある(2017年の同社から欧州およびトルコへのガス輸出量は1,933億立方メートル)。2018年1月1日~10月15日までの同社から欧州へのガス供給量は、前年同期比5.2%増の1,565億立方メートル。国内市場には、2018年の最初の9カ月半で前年同期比4.5%増の75億立方メートルを供給。国内及び欧州での需要増加を背景に増産を行い、2018年の冬の到来に備えているとのこと。 (Gazprom press release, IOD, 2018/10/18-19)
Gazpromは2019年1月よりトルクメニスタンからのガス購入を再開
- 10月9日、GazpromのミレルCEOは、トルクメニスタンのベルディムハメドフ大統領との会談後、2019年1月1日より、トルクメニスタンからガスの購入を再開することを明らかにした。ミレル氏によれば、同共和国の高いガス供給能力、および従来からの市場において、ガス需要が増加していることを踏まえて決定したとのこと。(Prime, 2018/10/10)
2019年にKovyktinskoyeガス田で最初の生産井を掘削予定
- Gazpromは10月19日付プレスリリースで、2019年にKovyktinskoyeガス田で最初の生産井の掘削を開始する予定を明らかにした。同社は2022年後半にKovyktinskoyeガス田から「シベリアの力」ガスP/Lへのガス供給を開始する予定(Chayandinskoyeガス田からは2019年12月から同ガスP/Lに供給開始予定)。マルケロフ副CEOが2018年年初に述べたところによると、Kovyktinskoyeガス田では合計514坑の生産井を掘削し、年間250億立方メートルのガス、年間140万トンのコンデンセートを生産する計画であり、2025年にプラトー生産に達する見通し。Gazpromは現在、CNPCと「シベリアの力」ガスP/Lに関し、当初計画の送ガス量年間380億立方メートルに加えて、50~100億立方メートルを追加することについて協議している。情報筋によると、追加分はKovyktinskoyeガス田から供給される可能性があり、プラトー生産量は当初計画よりも増える可能性がある。(IOD, 2018/10/23)
(3)Gazprom Neft
今後3年の優先プロジェクトはヤマル半島、ヤマル・ネネツ自治管区の開発、長期的にはシェール開発
- 10月3日、「Russian Energy Week」国際フォーラムでヤコブレフ第一副社長は、「同社の今後3年間の優先プロジェクトはヤマル半島で、その後はヤマル・ネネツ自治管区北部の資産の開発、長期的にはAchimov層のシェール開発である」と述べた。ヤマル半島のヤマルガス・ノボポルトプロジェクト、ヤマル・ネネツ自治管区北部のTazovskoye油田開発、オイルリム及びシェール開発が優先プロジェクトとされる。オフショアの開発も油価が50~70ドルであれば、Sakhalin 3のNeptune 油田等の開発も進める方針とのこと。(Interfax, 2018/10/03)
(4)NOVATEK
NOVATEK及びベルギーFluxysはドイツに中規模LNG積替えターミナルを建設
- 10月17日付Interfax紙によれば、NOVATEK及びベルギーFluxysの共同事業会社は、ドイツのRostock港での中規模LNG積替えターミナル建設を目的として、Rostock港と用地リース契約に調印した。年間積替能力は約30万トン。JVが同ターミナルの設計、建設、ファイナンス及び操業を行う。Cryogas-Vysotsk液化プラントからタンカーで輸送されてきたLNGを受け入れ、トラックに積み替え輸送する。また、バンカリングやバンカー燃料の充てんも検討する。
ムールマンスク LNG積替えターミナルのCapexは1,080億ルーブルになるとの見通し
- 10月9日、NOVATEK のGyetvay副CEOは、ムールマンスク LNG積替えターミナルの建設にかかるCapexは、カムチャッカ半島に建設を計画しているLNG積替えターミナルと同様、1,080億ルーブル程度になる見込みと発言。ムールマンスクLNG積替えターミナル(年間処理能力:2,000万トン)は、ムールマンスク州Ura湾に建設予定。(Prime, 2018/10/09)
4.新規LNG・P/L事業
(1)Nord Stream 2
ドイツ領海大水深でのパイプ敷設作業が開始
- Nord Stream 2 AGによると、ドイツ領海の大水深でのパイプ敷設作業が始まった。ドイツの沿岸浅海部でのP/Lの敷設は伊SaipemのCastoro10 を用いて2018年7月から、9月初めにはフィンランド側でスイスAllseas社のSolitaireにより開始されていたが、10月上旬に深海部での敷設がAllseas社のオフショアパイプ敷設船Audaciaを用いて開始された。2018年末までに作業を完了し、2019年末に稼働開始予定。(IOD, 2018/10/9)
2020年1月1日から欧州へガス供給を開始予定
- GazpromのミレルCEOは、「「International Gas Forum」の本会議で、同社はNord Stream-2ガスP/Lによる欧州向けのガス供給を2020年1月1日から開始する準備がある」と述べた。(Interfax, 2018/10/04)
(2)Turk Stream
ハンガリー、EUにTurk Streamの建設を阻止しないよう要求
- 10月3日、ハンガリーのSzijjarto外務・貿易相はロシアのラブロフ外相との会談後、「ハンガリーは、Turk StreamガスP/L建設事業を阻止しないようEUに要求する。わが国は、セルビア、ブルガリアと共に、同P/Lの2本目が敷設されたら、ガス供給ネットワークの開発を行うことで合意している。西ヨーロッパの国々に北極海航路でガスを購入する権利があるように、我々中央ヨーロッパの国々がTurk StreamガスP/Lを通じてガスを購入する機会を奪わないでもらいたい」と述べた。
当該P/Lの敷設は、ロシア黒海沿岸で2017年5月に始まった。P/Lの1本目は、ロシアから黒海を経由してトルコへとつながり、トルコ国内市場向けのガス供給を目的とする。2本目は、トルコからギリシャ国境まで延び、その先は欧州南部・南東部へとつながる。海底部分は総延長930km、トルコ陸上部分の総延長は180km。各P/Lの年間送ガス能力157億5,000万立方メートル。(Tass, 2018/10/03)
Turk StreamガスP/L、2020年1月1日からガス供給を開始する可能性
- 10月9日、ノヴァク・エネルギー相はニュース番組「Rossiya 24」のインタビューで、「Turk StreamガスP/L事業で建設中の2本のP/Lは当初計画どおり、2020年1月1日から供給を開始する予定である」と発言。欧州へのガス供給を目的とするP/Lの延伸については、いくつか考えられる選択肢の中で、ブルガリアおよびオーストリアを経由するルートを優先させる方針であると述べた。(Prime, 2018/10/9)
(3)「シベリアの力」ガスP/L
Gazprom: 「シベリアの力」ガスP/Lによる中国向け追加ガス供給量は年間50~100億立方メートルとなる見込み
- GazpromのミレルCEOは、「シベリアの力」ガスP/Lによる中国へのガス供給は、CNPCとの供給契約に基づく年間380億立方メートルに加え、追加で年間合計50~100億立方メートルを供給する可能性がある。これによって、冬季のガス需要の増加に最も素早く、効率的に対処することができる。追加供給分のガスは、東シベリアを資源基盤として供給されることになるであろう」と述べた。Kovyktinskoye鉱床およびChayandinskoye鉱床で生産される250億立方メートルのガスがCNPCとの契約(30年間)に基づくガス供給に使用される予定であり、追加分はKovyktinskoyeガス田から供給される可能性があるとのこと。(Interfax, 2018/10/4)
(4)Sakhalin-Khabarovsk-Vladivostok(SKV)ガスP/L
SKVガスP/Lの第2フェーズの事業費は約600億ルーブル
- Gazpromによれば、SKVガスP/LのKomsomolsk-na-Amur からKhabarovskまでの505km~874km区間の第2フェーズの事業費は、591億4,100万ルーブルとなる見込み。内訳は、請負業者の作業費:333億3,800万ルーブル、資材費:239億9,800万ルーブル、機材:18億600万ルーブル。完工期限は2020年9月。Komsomolsk-na-Amur~Khabarovsk区間は、第1フェーズでは口径70cmのパイプを使用し、敷設作業は、後にGazpromの子会社となったDaltransgasが行った。一方、当該区間の前後の区間はGazpromが担当し、口径120cmのパイプを使用している。ロッテンベルグ氏がオーナーのStroygazmontazhが当該区間の2本目のパイプラインの敷設作業を行う予定である。第1フェーズのP/Lの年間送ガス能力は55億立方メートルであったが、第2フェーズでルーピングコンプレッサーステーションを設置することにより、年間300億立方メートルまで増強する計画。同P/Lの増強により、将来的にNakhodka肥料プラントやVladivostok LNG(計画段階)へのガス供給、および中国へのガス輸出が可能となる。(Interfax, 2018/10/29)
(5)Yamal LNG
NOVATEK、クウェートへのLNG輸出を開始
- 10月11日付Prime紙は、NOVATEKがYamal LNG事業からクウェート向けのLNGの輸出を開始したと報じた。クウェート向けLNGタンカーは、第2トレインの稼動開始後にYamal半島から出荷され、2018年9月半ばにクウェートに到着したとのこと。ロシアの報道機関は、2016年4月に、Kuwait Petroleum Corporation がNOVATEK とクウェート向けLNG輸出に関する交渉を行い、Kuwait Petroleum Corporationがロシアから年間150万トンのLNGを購入する計画があると報じていた。
(6)Arctic LNG- 2
サウジアラビア、Arctic LNG-2事業に50億ドル投資の意向
- 10月23日、ロシア直接投資基金 のドミトリエフ総裁は、テレビ番組「Rossiya 24」のインタビューで、「サウジアラビアのエネルギー相が、Arctic LNG-2事業に約50億ドルを投資する意向があると伝えてきた」と述べた。NOVATEK及びSaudi Aramcoは2018年2月、LNG輸送、地質探鉱及びガス生産協力に関するMOUを締結。NOVATEK のミヘリソンCEO今年9月、Saudi AramcoとArctic LNG-2事業権益について協議中と述べていた。(Interfax, 2018/10/23)
Arctic LNG -2事業のFEEDを完了
- 10月25日、NOVATEKのGyetvay副CEOは投資家との電話会議で、Arctic LNG-2事業のFEEDを完了したと述べた。同事業のFIDは2019年下半期、稼動開始は2022~2023年に予定されている。同事業のCapexは200~210億ドルになるとの見通し。同じくNOVATEKが主導するYamal LNG事業の事業費270億ドルを下回っている主な理由として、Yamal LNG事業のLNGプラントが陸上にあるのに対して、Arctic LNG-2事業のプラントは、重力着底式モジュールベースの液化トレインの使用を予定していることが挙げられる。詳細設計は10月中に開始し、請負業者とガスタービン、熱交換器及びGravity Based Structure製造に関する契約をまもなく締結する予定である。(IOD, 2018/10/26)
(7)Baltic LNG
Gazprom及びShell、Baltic LNG事業のPre-FEEDに関する枠組み協定を締結
- 10月4日、Gazprom及びRoyal Dutch Shellは、サンクトペテルブルグで開催された「International Gas Forum」において、バルト海Ust-Luga港に建設予定のBaltic LNGプロジェクトに関する枠組み協定を締結した。同協定は、Baltic LNG事業(年間生産能力:1,000万トン)のプレFEEDを共同で実施することを目的とするもの。(Gazprom press release , 2018/10/04)
(8)極東LNG
Exxon Neftegas、極東LNGプラントのCapexを当初計画よりも低い98億ドルに
- ロシア政府が10月23日に発表したPSA実施に関する報告書によると、Sakhalin-1のオペレーターExxon Neftegasは、計画されている極東LNGプラント事業のCapexを当初予定の153億ドルから98億ドルへと引き下げた。内訳は、LNGプラントの建設:69億ドル、上流事業:16億ドル、パイプラインの敷設:13億ドル。LNGプラントの生産能力は年間620万トン。(Prime, 2018/10/23)
以上
(この報告は2018年11月19日時点のものです)