ページ番号1007656 更新日 平成31年1月7日
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概要
- OPEC産油国は、2018年12月6日よりオーストリアのウィーンで通常総会を開催し、12月7日に2019年1月1日から6ヶ月間の期間において、原油生産量を2018年10月の水準から日量80万バレル調整(事実上減産)する(但し4月に見直しを行う)ことで合意した。
- 12月7日のOPEC総会開催に続き、同日OPEC及び一部非OPEC産油国による閣僚級会合が開催され、2019年1月1日から6ヶ月間原油生産量をOPEC及び一部非OPEC産油国で併せて日量120万バレル調整(事実上減産)し、このうち非OPEC産油国の負担分を同40万バレルとする旨決定した(OPEC産油国同様2018年10月の原油生産水準からの減産と見られる)。
- 次回のOPEC総会(通常総会)、そしてOPEC及び一部非OPEC産油国閣僚級会合は2019年4月にウィーンで開催される予定である。
- 原油価格はWTIで2018年10月3日に1バレル当たり76.41ドルと4年ぶりの高水準に到達して以降、米国によるイラン原油禁輸措置の一部免除もあり、石油需給緩和感が市場で醸成された結果、原油価格が下落し始めた(11月29日には一時49.41ドルに到達した)ことから、2019年第一四半期の石油需給の均衡を目指すとともに、原油価格の回復を図るべく、OPEC産油国等は減産を決定したものと見られる。
- OPEC産油国による事実上の減産方針決定により、石油需給の引き締まり感を市場が意識したことから、12月7日の原油価格は反発、同日の終値はWTIで1バレル当たり52.61ドルと前日終値比で1.12ドル上昇した。
- 今後は、OPEC産油国等の減産状況に市場の注目が集まる一方で、トランプ大統領による原油価格上昇牽制への懸念から、原油相場は上昇しても比較的限られた程度になる可能性がある。
(OPEC他)
1.協議内容等
(1) OPEC産油国は2018年12月6日よりオーストリアのウィーンで通常総会を開催し(2018年6月22日に開催された前回総会では12月3日に開催する旨決定されたが、10月1日に12月6日開催へと延期された旨報じられた)、12月7日に2019年1月1日から6ヶ月間(つまり6月30日まで)の期間において、原油生産量を2018年10月の水準から日量80万バレル調整(事実上減産)することで合意した。
(2) なお、この原油生産調整は4月に見直すこととしている。
(3) この合意の背景としては、減産をしなければ2019年はOPEC産油国に対して求められる石油需要以上の供給がなされるとOPEC産油国が認識していたことがある旨声明では示唆される。
(4) また、引き続きOPEC及び非OPEC閣僚監視委員会(JMMC: The OPEC-Non-OPEC Joint Ministerial Monitoring Committee、サウジアラビア、クウェート、アルジェリア、ベネズエラ、ロシア、オマーンが委員だが、今般のOPEC総会で同委員会は再編される旨示唆されている)が減産状況に対し時機を得た監視を行い、定期的にOPEC議長に報告していくこととした。
(5) さらに、OPEC産油国と一部非OPEC産油国との協力関係を一層強化していく方針であることを確認した。
(6) 次回のOPEC総会(通常総会)は2019年4月に、オーストリアのウィーンで開催される予定である。
(7) なお、今次総会では、ベネズエラのケベド(Quevedo)人民権力石油相が2019年1月1日から1年間OPEC議長を務めることも決定された。
(8) また、2019年1月1日を以てOPECを脱退する旨12月3日に表明したカタールに対し、今次総会で当該脱退を確認した。
(9) 12月7日のOPEC総会に続き、同日OPEC及び一部非OPEC産油国による閣僚級会合が開催され(2018年6月23日に開催された前回会合では12月4日に開催する旨決定されたが、10月1日に12月7日開催へと延期された旨報じられた)、2019年1月1日から6ヶ月間OPEC及び一部非OPEC産油国で併せて日量120万バレルの原油生産量を調整(事実上減産)し、このうち非OPEC産油国の負担分を同40万バレルとすることを決定した(OPEC産油国同様2018年10月の原油生産水準からの減産と見られる)。
(10) また、OPEC総会時と同様、引き続きJMMCが監視を行い、閣僚級会合に報告していくこととした。
(11) さらに、これまでのOPEC産油国と一部非OPEC産油国との協力関係が成功裏に構築されていることに鑑み、この関係を継続的なものとしてさらに制度化していく方針であることを確認した。
(12) 次回のOPEC及び一部非OPEC産油国閣僚級会合は2019年4月に、オーストリアのウィーンで開催される予定である。
2.今回の会合の背景等
(1) 2017年1月1日より実施されていたOPEC産油国による減産については、2018年4月20日に米国のトランプ大統領が高水準の原油価格を批判する旨表明したこと(「OPECがまたやっているようだ。(中略)原油価格は人為的に高い!」)により、前回のOPEC総会、そしてOPEC及び一部非OPEC産油国閣僚級会合では、2018年5月時点で152%(OPEC産油国)及び147%(OPEC及び一部非OPEC産油国)となっていた減産遵守率を100%に引き下げることにより、事実上の増産を決定した。
(2) そして、11月5日の米国の対イラン制裁発動とそれに伴うイランからの原油輸出の事実上の制限(6月26日には国務省がイランからの原油輸出を全面停止させる方針である旨示唆した)に対するイランからの原油供給の減少を代替すべく、サウジアラビア、UAE及びロシア等が増産を実施した。
(3) 原油価格はイランからの原油輸出の全面停止に対する他のOPEC産油国等による代替に伴い利用可能な余剰生産能力が低減するとの懸念等から、原油価格はWTIで10月3日には1バレル当たり76.41ドルと2014年11月21日(この時は同76.51ドル)以来の高水準に到達した。
(4) しかしながら、その後は、米国株式相場の下落、米国原油生産、原油在庫、及び石油坑井掘削装置稼働数の増加に加え、11月5日に米国がイラン制裁を発動する際に、イラン産原油輸出を事実上一部認める形としたことで、イラン産原油輸出が全面停止すると見込んで増産していたサウジアラビア等の産油国による供給にイランの原油供給が追加される見通しとなったことで、石油需給緩和感が市場で増大した結果、原油相場には下方圧力が加わりはじめた。
(5) そして、11月11日に開催されたJMMCでは、OPEC事務局内に設けられている共同技術委員会(JTC:Joint Technical Committee)が引き続き石油市場の状況を監視するとともに、2019年に向け市場均衡のための新戦略を必要とするかもしれない生産調整の選択肢につき、日々更新されるデータをもとにしてシナリオ分析を進めるよう指示することを決定した。
(6) この場において減産の実施が協議されたとオマーンのルムヒ(Rumhi)石油相が11月11日に明らかにした(最大日量100万バレルの減産が議論されたと見られる)。
(7) この時点で、サウジアラビアをはじめとするOPEC産油国等は世界石油市場において供給が過剰になる(一時は平年(過去5年平均)水準にあった石油在庫(図1参照)が再び平年水準を超過する)状態になるとともに原油価格にさらに下方圧力が加わることに対し危機感を持つ(サウジアラビアをはじめとする中東及びアフリカ地域の主要OPEC産油国の2018年財政収支均衡原油価格はブレントで1バレル当たり47~124ドル程度(WTIで推定同38~114ドル程度、表1参照))とともに、減産により石油需給の均衡を達成すべきとの考え方を持っていたと考えられる。
(8) しかしながら、11月12日(因みに前週末の原油価格(WTI)の終値は1バレル当たり60.19ドルであった)にはトランプ大統領が「サウジアラビアとOPEC産油国は減産しないことを望む。供給に基づけば原油価格はもっとずっと低下するはずである」旨表明したことから、WTIで1バレル当たり60ドル超の水準では、OPEC産油国等は減産に向けた行動が困難になるのではないかとの見方が市場で広がったこともあり、原油価格はさらに下落、11月20日にはWTIは1バレル当たり55ドルを割り込んだ。
(9) 他方、11月14日には、2019年にOPEC及び一部非OPEC産油国が最大日量140万バレルの減産を実施することを検討している旨ロイター通信により報じられた。
(10) それでも11月21日には、トランプ大統領は「ありがとうサウジアラビア、しかし(原油価格を)もっと下げよう。」と表明した結果、原油相場に反発力が欠ける展開となっていた(それどころか原油価格は11月29日には一時49.41ドルにまで下落する場面も見られた)。
(11) また、11月下旬時点では、イランからの原油等輸出が米国の制裁によりある程度削減され、ベネズエラの原油生産が現在のペースで減少していくと仮定すれば、2019年第一四半期は日量130万バレル程度供給が需要を上回ると推定され、この分だけ過剰供給を世界石油市場から排除しなければ、石油需給緩和感が市場で醸成される結果、原油価格がさらに下落することが予想された(表2参照)。
(12) このようなこともあり、2019年第一四半期の供給過剰分である日量130万バレル相当の減産実施が必要である旨OPEC産油国へ進言を行う機関であるOPEC経済委員会(Economic Commission Board)が進言したと11月30日に伝えられる。
(13) ただ、12月2日には、カナダのアルバータ州が自州からの原油等輸送パイプラインの能力不足に伴う石油供給過剰を解消するために2019年1月1日より在庫余剰が解消されるまで州内の石油会社に対し全体で日量32.5万バレルの減産、解消された後は同9.5万バレルの減産を実施するよう指示した旨発表した(同州の原油在庫が発表時点で3,500万バレルであり、これが平年水準の倍である旨明らかにされていたことからすると、日量32.5万バレルの減産の実施は約2ヶ月間と見られる)。
(14) これによりこの分だけ非OPEC産油国の石油供給が低下すると見込まれるため2019年第一四半期に供給が需要を上回る程度は日量100万バレル超程度の供給超過となると想定された(表3参照)。
(15) このため、OPEC及び一部非OPEC産油国により日量100万バレル程度の減産を実施すれば、当面世界石油需給は概ね均衡するとともに、原油価格は下支えされる可能性も考えられた。
(16) それでも、市場関係者の間では一時「日量130万バレルの減産の必要性」の認識もある程度広がっていたこともあり、できるだけ日量100万バレルを上回る減産の実施を発表するほうが、市場関係者の心理に影響を与え原油価格を回復させる効果が大きいとも見られた。
(17) このため、OPEC及び一部非OPEC産油国間では、減産幅につき日量100万バレルを超過させる(そして、できるだけ日量130万バレルに接近させる)べく努力したものと考えられる。
(18) 2018年10月時点ではサウジアラビアの原油生産量が日量57万バレル、イラクのそれが同30万バレル、UAEのそれが同29万バレル程度、それぞれ減産目標を上回っている他、10月のロシアの原油生産量も日量1,141万バレルと減産目標(推定同1,093万バレル)を同48万バレル超過していると見られることから、減産目標を遵守するだけで同170万バレル程度の原油供給を市場から排除することが可能であった(表4参照)。
(19) ただ、イラクはイスラム国(IS)との戦闘等もあり同国経済が疲弊しており、できるだけ原油収入を確保したい状況にあったことから、減産は事実上困難であった(後述の通りイラクは日量14万バレルの減産を表明しているが、実施可能性については疑問であると思われる)ことから、実質的に相当程度の減産実施が可能であったのは、サウジアラビア、UAE、及びロシアであった。
(20) サウジアラビア及びUAEは合計で日量86万バレル程度の減産が可能であると見られたことから、日量100万バレルを相当程度超過する減産幅を確保するため、サウジアラビアをはじめとするOPEC産油国はロシアに対し少なくとも日量25~30万バレルの減産実施を要請したと見られる。
(21) しかしながら、ロシアの原油は蝋(ワックス)分が多いと言われており、冬場にむやみに油田の生産を停止させれば、原油輸送パイプイラン内にとどまった原油が冷却され凝固してしまうことにより、当該パイプラインの操業回復に支障が発生する可能性もあったため、ロシア側は日量14万バレルの減産を希望した。
(22) ロシアが日量14万バレルの減産を実施した場合、OPEC及び一部非OPEC産油国の減産規模は日量100万バレルとなり、市場関係者の心理に影響を与えるには心もとない水準になるものと見られることから、両者間での合意に至らず、ロシアのノバク エネルギー相はプーチン大統領と協議するために12月5日にOPEC産油国との協議の場であるウィーンを離れロシア(サンクト・ペテルブルグと伝えられる)に向かった。
(23) 12月6日になってもロシア側からの回答は得られなかったことから、OPEC産油国としては減産幅を確定しきれなかったものと見られ、同日開催されたOPEC総会では暫定的に減産の実施で合意したものの、減産規模に関しては決定保留となり、同日午後1時(ウィーン時間)に予定されていた記者会見も開催されずじまいであった。
(24) しかしながら、12月7日に開催されたOPEC総会、そして同日OPEC総会開催後に開催されたOPEC及び一部非OPEC産油国閣僚級会合において、OPEC及び一部非OPEC産油国間で2018年10月の原油生産量から合計で日量120万バレル、うちOPEC産油国日量80万バレル、非OPEC産油国同40万バレルの、それぞれ減産が決定された。
(25) この量は前述の通り、減産幅が日量100万バレルを相当程度超過するとともに日量130万バレルにできる限り近づけることで、石油需給の引き締まり感を市場で醸成させるとともに、原油価格の持ち直しを図ったものとであると考えられる。
(26) 会合開催に際し、12月7日にロシアのノバク エネルギー相は、サウジアラビアのムハンマド皇太子とロシアのプーチン大統領との間での協議で減産につき合意に至った他、当該減産は減産参加国間で比例配分方式により配分される旨示唆した。
(27) そして、原油供給が不安定なイラン、リビア、ベネズエラは実質的に減産対象外とする一方で、ナイジェリアが減産に参加すること、そしてロシアは今後数ヶ月の間に日量22.8万バレルの減産を実施すること、イラクが日量14万バレルの減産を実施することも明らかになっている。
(28) 加えて、サウジアラビアのファリハ エネルギー産業鉱物資源相は、自国の原油生産量につき2018年11月の日量1,110万バレルから12月には同1,070万バレル、そして2019年1月には1,020万バレルとなる見込みである旨明らかにしたと12月7日に伝えられる。2019年1月の原油生産量は2018年10月比で日量43万バレル程度の減産となる旨示唆される。
(29) しかしながら、正式にはOPEC及び一部非OPEC産油国の個別の減産幅は明らかになっていないことや、これまでの各国の減産実績から判断すると、実質的に減産が可能なのはサウジアラビア、UAE及びロシアということになる。
(30) 前述の通り、サウジアラビア及びUAEが減産目標を遵守すれば日量86万バレルの減産を達成できることから、OPEC産油国の減産分に関しては目標達成が容易であるものと見られる。
(31) ただ、一部非OPEC産油国に関しては、ロシアが日量22.8万バレルの減産を実施できたとして、残りの同17.2万バレルの減産の実施可能性については疑問が残る。
(32) このため、「日量120万バレル」の減産といっても、サウジアラビア等が減産目標を上回る減産を実施しなければ実際には「日量100万バレル強」の減産にとどまる可能性が排除できない。
(33) また、ロシアが「数ヶ月の間に」日量22.8万バレルの減産を実施する、ということであれば、短期的には「日量100万バレル」の減産にも到達しない可能性もある。
(34) このため、市場関係者の間で今回の決定に対しその実現性を疑問視する見方が広がるとともに、短期的には原油相場の回復も限定的なものとなる展開も想定される。
(35) なお、米国のトランプ大統領は12月5日に、「OPECは原油を現状通り供給し続け、制限しなければいいが。世界は原油価格上昇を望んでいないし、その必要もない。」旨発言し、OPEC産油国等の行動を再度牽制したが、12月6日にロシアのノバク エネルギー相が、OPEC産油国の方針は客観的な指標により導かれるべきものであり、政治家による発言に導かれるべきではない旨表明した他、同日サウジアラビアのファリハ エネルギー産業鉱物資源相も、減産に関し他国の許可を得る必要はない旨明らかにしている。
(36) しかしながら、特にサウジアラビアにとって見れば、米国はイランに対抗するうえで支援を受ける重要国であるところからすると、トランプ大統領の発言を全く無視することはできず、従って原油価格が大幅に上昇した場合には増産を含め原油供給量を調整することで、価格の沈静化を図るものと考えられる。
(37) また、2019年における米国でのシェールオイル生産状況に加え、12月2日にはカナダのアルバータ州政府が2019年1月1日から当面日量32.5万バレルの減産を実施する旨発表したこと、不安定な世界経済が石油需要に影響を与えること(12月1日の米中首脳会談により中国からの輸入品に対する関税の引き上げは回避されたものの、今後の交渉次第では引き上げられる可能性も残っている)も想定されるなど、世界石油需給の先行きに不透明性を伴うことから、減産の実施はとりあえず2019年前半の期間とし、石油需給状況に変化が生じた(もしくは変化が生じる兆候が見えた)場合、適宜調整できる余地を残したものと考えられる。
3.原油価格の動き等
(1) 今回のOPEC総会、そしてOPEC及び一部非OPEC産油国閣僚級会合で日量120万バレルの減産が合意され、その減産幅が2019年第一四半期に石油需給を均衡させるために必要とされる減産幅であるとされる日量100万バレル超程度を上回っていたことで、市場ではこの先の石油需給の引き締まり感が意識されたことから、12月7日の原油価格(WTI)の終値は1バレル当たり52.61ドルと前日終値比で1.12ドルの上昇となった。
(2) ただ、減産幅の内訳が明らかになっていないことから、特に一部非OPEC産油国の日量40万バレルの減産幅につきロシア以外がどのように貢献するのかが不透明である他、ロシア自体も日量22.8万バレルの減産を達成するのに数ヶ月間を要すると見られることから、閣僚級会合で合意した「日量120万バレルの減産」が額面通り実施されるのか疑問視する見方も市場で発生したと見られることもあり、12月7日の原油価格の終値はこの日の取引時間中に到達した高値である1バレル当たり54.22ドルからは相当程度押し戻された水準となった。
(3) 今後はまず、この先明らかになってくると見られるOPEC及び一部OPEC産油国の減産状況に対し市場が反応、その影響が原油相場に織り込まれるものと見られる。その際一部非OPEC産油国の減産状況が良好でなくても、サウジアラビア等OPEC産油国の減産状況が良好である結果、OPEC及び一部非OPEC産油国の減産規模(つまり合計で日量120万バレル)が確保されるのであれば、原油相場が支持されるといった展開も想定される。
(4) また、米国北東部の気温を含む季節的な石油需要、米国を含む世界経済の状況、米ドル、米国とイランとの対立状況、リビア及びベネズエラの政情と原油生産、米国のシェールオイルの生産具合と石油坑井掘削装置稼働数、米国等における原油在庫等も、原油価格に影響するものと考えられる。
(5) しかしながら、トランプ大統領がWTIで1バレル当たり54ドルの段階で「(原油価格を)もっと下げよう」旨発言しているところからすると、この水準を大幅に超過し、特にWTIで1バレル当たり60ドルを大きく越えるようだと(場合によってはそれよりも低い原油価格水準であっても)、トランプ大統領が再びOPEC産油国等の生産方針を批判する確率が上昇する結果、OPEC産油国は増産に転じざるを得ないとの観測が市場で発生しやすくなることにより、原油相場のさらなる上昇を抑制する方向で作用することになろう。
(6) 従って原油価格は少なくとも当面は市場でのOPEC産油国等による減産に対する期待から支持される場面が見られたとしても、トランプ大統領の原油価格上昇牽制の発言の可能性に対する懸念から、上昇幅は比較的限定的なものとなる可能性があるものと考えられる。
(参考:12月6~7日開催OPEC通常総会時声明)
OPEC 175th Meeting concludes
No 27/2018
Vienna, Austria
07 Dec 2018
The 175th Meeting of the Conference of the Organization of the Petroleum Exporting Countries (OPEC) was held in Vienna, Austria, on Thursday, 06 December 2018, under the Chairmanship of its President, HE Suhail Mohamed Al Mazrouei, UAE Minister of Energy & Industry and Head of its Delegation.
The Conference congratulated HE Thamir Abbas Ghadhban, the new Minister of Oil of Iraq and thanked his predecessor in office, HE Jabbar Ali Hussein Al-luiebi of Iraq, who had ably and diligently led his country’s delegation to OPEC since August 2016.
The Conference took note of the announcement from Qatar that gives notice of its intention to withdraw from its Membership of OPEC, with effect from 1 January 2019.
The Conference reviewed the Secretary General’s report, the report and recommendations made by the Joint Ministerial Monitoring Committee (JMMC), whose work was supported by the Joint Technical Committee (JTC) and the OPEC Secretariat, the report of the Economic Commission Board, as well as various administrative matters.
The Conference took note of oil market developments since it last met in Vienna on 22 June 2018, and reviewed the oil market outlook for the remainder of 2018 and 2019. In this regard, the Conference observed that current oil supply and demand fundamentals confirm a well accommodated market following the concerted efforts of participating countries in the ‘Declaration of Cooperation’ toward restoring balance.
The Conference discussed the increasing market volatility and the broad consensus on the prospects for 2019 that suggests higher supply growth than global requirements, taking into account prevailing uncertainties.
It also noted that the global economic growth outlook for 2019 is slightly lower than for 2018, which combined with the implications of macroeconomic policies and associated uncertainties, could potentially have ramifications for global oil demand next year.
The Conference also observed the potential consequences of these developments on global inventory levels, as well as overall market and industry sentiment.
In view of the current fundamentals and the consensus view of a growing imbalance in 2019, the Conference decided to adjust OPEC overall production by 0.8 mb/d from October 2018 levels, effective as of January 2019, for an initial period of six months, with a review in April 2019. A reconfigured JMMC was requested to monitor timely and fair implementation of the above mentioned resolution and report back to the President of the Conference on a regular basis.
In agreeing to this decision, Member Countries confirmed their continued focus on fundamentals for a stable and balanced oil market, in the interests of producers, consumers, and health and sustainability of the petroleum industry. Member Countries remain committed to being dependable and reliable suppliers of crude and products to global markets.
The Conference thanked all OPEC Member Countries, as well as non-OPEC countries participating in the ‘Declaration of Cooperation’, for their continued commitment to achieving and sustaining balance and stability in the market.
The Conference also acknowledged the crucial role played by participating non-OPEC countries in the ‘Declaration of Cooperation’. In this regard, it stressed the importance of the 5th OPEC and non-OPEC Ministerial Meeting that will take place later in the day on 07 December 2018.
The Conference, building on the success of market stabilizing efforts of the ‘Declaration of Cooperation’, which has been in the interest of producers, consumers, petroleum industry, as well the global economy, pledged to further strengthen its cooperation with non-OPEC participants within a framework under the draft Charter of Cooperation between Oil Producing Countries, which was endorsed in principle and to be finalized and ratified by the participating countries.
The Conference elected HE Manuel Salvador Quevedo Fernandez, People's Minister of Petroleum of the Bolivarian Republic of Venezuela as President of the Conference for one year, with effect from 01 January 2019, and HE Mustapha Guitouni, Algeria’s Minister of Energy as Alternate President, for the same period.
The Conference paid a glowing tribute to the outgoing President of the Conference, HE Suhail Mohamed Al Mazrouei, for his exemplary leadership in 2018.
The Conference appointed Mr. Agustín Mba Okomo, Equatorial Guinea’s Governor for OPEC, as Chairman of the Board of Governors for the year 2019, and Mr. Etienne Lepoukou, Gabon’s Governor for OPEC, as Alternate Chairman for the same period.
The Conference resolved that its next Ordinary Meeting will convene in Vienna, Austria, in April 2019.
The Conference expressed its continued gratitude to the Government and to the people of the Republic of Austria, as well as the authorities of the City of Vienna, for their warm hospitality and excellent arrangements for the Meeting.
(参考:12月7日開催OPEC及び一部非OPEC産油国閣僚級会合時声明)
The 5th OPEC and non-OPEC Ministerial Meeting concludes
No 28/2018
Vienna, Austria
07 Dec 2018
The 5th OPEC and non-OPEC Ministerial Meeting was held in Vienna, Austria, on Friday, 07 December 2018, under the Co-Chairmanship of OPEC’s President, HE Suhail Mohamed Al Mazrouei, Minister of Energy & Industry of the United Arab Emirates and Head of its Delegation, and HE Alexander Novak, Minister of Energy of the Russian Federation.
The Meeting recalled the rights of peoples and nations to permanent sovereignty over their natural wealth and resources.
Recalling the ‘Declaration of Cooperation’ reached on 10 December 2016, between OPEC and non-OPEC producing countries.
Reaffirming the continued commitment of the participating producing countries in the ‘Declaration of Cooperation’ (DOC) to a stable market, the mutual interest of producing nations, the efficient, economic, and secure supply to consumers, and a fair return on invested capital, and noting the overall improvement in market conditions and sentiment, and the return of confidence and investment to the oil industry.
Accordingly, the 5th OPEC and non-OPEC Ministerial Meeting, following deliberations on the immediate oil market prospects and in view of a growing imbalance between global oil supply and demand in 2019, hereby decided to adjust the overall production by 1.2 mb/d, effective as of January 2019 for an initial period of six months. The contributions from OPEC and the voluntary contributions from non-OPEC participating countries of the ‘Declaration of Cooperation’ will correspond to 0.8 mb/d (2.5%), and 0.4 mb/d (2.0%), respectively.
The JMMC was requested to monitor the fair implementation of the above mentioned resolution and report back to the Meeting.
The Meeting emphasized the support and commitment of all participating countries in the ‘Declaration of Cooperation’ to build on the success achieved thus far, through further institutionalizing the framework for regular and lasting cooperation under the draft Charter of Cooperation between Oil Producing Countries, which was endorsed in principle and to be finalized and ratified by the participating countries. The Meeting also noted that the ‘Declaration of Cooperation’ remains open to all producers.
The Meeting extended its deep appreciation to the Joint Ministerial Monitoring Committee (JMMC), the Joint Technical Committee (JTC) and the OPEC Secretariat for their continued support since the 4th OPEC and non-OPEC Ministerial Meeting on 23 June 2018. This included their analysis and recommendations, as well as their constructive and effective engagement in ensuring that the voluntary productions decisions were implemented in a timely and equitable manner.
The Meeting decided that the next OPEC and non-OPEC Ministerial Meeting will convene in Vienna, Austria, in April 2019.
The Meeting expressed its sincere gratitude to the Government and to the people of the Republic of Austria, as well as the authorities of the City of Vienna, for their warm hospitality and excellent arrangements made for the meeting.
以上
(この報告は2018年12月10日時点のものです)