ページ番号1007725 更新日 平成31年2月20日

ウガンダにおける油田開発と原油輸出パイプライン及び製油所建設計画 ―東アフリカ最大の未開発石油資源保有国のゆくえ―

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レポートID 1007725
作成日 2019-02-20 00:00:00 +0900
更新日 2019-02-20 12:08:05 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 探鉱開発
著者 古川 ゆかり
著者直接入力
年度 2018
Vol
No
ページ数 13
抽出データ
地域1 アフリカ
国1 ウガンダ
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 アフリカ,ウガンダ
2019/02/20 古川 ゆかり
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概要

  • ウガンダ北西部、東アフリカ大地溝帯(Great Rift Valley)の西側に位置するアルバートリフト堆積盆(Lake Albert basin)では1998年頃から加Heritage Oilや豪Hardman Resourcesなどの中小独立系がオペレーターを務める3鉱区(EA-1、EA-2、旧EA-3A[1])で探鉱を実施、2005年以降商業規模の油田が発見された。
  • 内陸のウガンダからタンザニアまで総延長1,443キロメートルの原油輸出パイプライン(設計輸送能力21.6万b/d)の建設計画が進められており、また油田近傍のHoimaでは同国初の製油所(初期処理能力3万b/d)の建設計画が進められている。
  • 油田開発、原油輸出パイプライン建設、製油所建設のそれぞれに課題があり問題が生じたためプロジェクトは遅延しているが、Total、CNOOC、Tullow Oilのコンソーシアムにより油田開発が進められ2021年の生産開始(3鉱区合計プラトー生産量23万バレル)を目指している。

(AfrOil、Upstream、OGJ、各社HP他)


[1] 旧EA-3Aは、現在はKingfisherと呼称されている。

1.油田探鉱開発及び石油産業の現況

1-1.ウガンダの石油需給と石油・ガス埋蔵量

ウガンダでは2006年に商業規模の油田が発見され(後述)、原油の推定埋蔵量が25億バレル(OGJ)、原始埋蔵量が65億バレル(ウガンダ政府公表)とされている。仏Total、中国CNOOC、英Tullow Oilが20万b/dの生産計画を掲げているが、現在原油・天然ガスともに商業生産には至っていない。そのため、石油消費(2016年3.2万b/d(EIA))の全量をケニアからのローリーによる輸入に依存しているのが現状となっている。なお、天然ガスの推定埋蔵量は5,000億cfである(OGJ)。

1-2.油田探鉱開発の現況

ウガンダ北西部、東アフリカ大地溝帯(Great Rift Valley)の西側に位置するアルバートリフト堆積盆では1998年頃から加Heritage Oil(以下、Heritage社)や豪Hardman Resourcesなどの中小独立系がオペレーターを務める3鉱区Exploration Area(以下、EA-)1、EA-2、旧EA-3Aにおいて探鉱を実施、2005年以降商業規模の油田が発見された。現在、EA-1、EA-2においてTilengaプロジェクトが、また、旧EA-3AにおいてKingfisherプロジェクトが進行中である。

1-2-1. EA-1、EA-2(Tilengaプロジェクト)について

Tilengaプロジェクトは、Totalがオペレーターを務めるEA-1およびEA-2の油田により構成される(図1)。EA-1は、2008年に発見されたNgiri、Jobi-Rii、同2010年のMpyo、同2011年のJobi-East、Gunya、同2013年のLyec油田により構成され、合計9億100万バレルの確認可採埋蔵量を有するといわれている。EA-2は同2006年のMputa、Waraga、Nzizi、同2008年のNgege、Kasamene、Kigogole、同2009年のNsoga、Ngara、Wahrindi油田により構成され、合計3億1,800万バレルの確認可採埋蔵量を有するといわれている。Ngiri、Jobi-Rii、Gunya油田はアルバートリフト堆積盆において最大規模の油田で、3油田で同堆積盆地全体の約42%(5億9,700万バレル)を占める。Upstream[2]によると、30のwell padから419坑井(194の生産井、197の圧入井、28の観測井)により、開発を行う計画とされる。プラトー生産は、EA-1で約15万b/d、EA-2で約5万b/dが見込まれている。

2017年2月にFluor、Technip、Chicago Brighe & Iron Company[3]はEA-1及びEA-2における開発の基本設計(Front End Engineering Design:以下FEED)を受注した。FEEDは完了し、ウガンダ政府による承認待ちの状態である。2018年末のFIDを目指していたが、ファームアウトに関する政府承認の遅れ(後述)により2019年以降にずれ込む見通しである。Totalは、生産開始はFIDから少なくとも36ヶ月後になるとし、生産開始は2022年と見られている。


[2] 2018/11/15 「Lake Albert development set for more delays」

[3] 2018年5月、Chicago Brighe & Iron CompanyはMcDermott Internationalにより買収された。

1-2-2. 旧EA-3A(Kingfisherプロジェクト)について

KingfisherプロジェクトはCNOOCがオペレーターを務める。Kingfisher油田は2006年に発見され、合計2億バレルの確認可採埋蔵量を有するといわれている(図1)。4つのwell padから 31坑井(20の生産井、11の水圧入井)により開発を行う計画で、プラトー生産は約4万b/dが見込まれている。

Upstream[4]によると、2017年に、CNOOC子会社中国海洋石油工程股份有限公司(COOEC)がSINOPEC傘下の中国石化石油探鉱開発研究院(Petroleum Exploration & Development Research Institute)とともにFEEDを行ったと報じられた。FEEDは完了し、こちらもウガンダ政府による承認待ちの状態となっているとされる。2018年末のFIDを目指していたが、EA-1、EA-2と同様にファームアウトに関する政府承認の遅れ(後述)により2019年以降にずれ込む見通しである。

(Tilenga及びKingfisherプロジェクトの概要については表1を参照。)


[4] 2018/10/4 「Petrofac flies into lead for Kingfisher EPC work」

図1:Lake Albert原油生産プロジェクト主要油田位置図 Tullow Oil HPに筆者加筆
図1:Lake Albert原油生産プロジェクト主要油田位置図(Tullow Oil HPに筆者加筆)

 

表1:ウガンダ上流〜下流プロジェクトの状況

(PJ:プロジェクト、UNOC: Uganda National Oil Company、TPDC: Tanzania Petroleum Development Corporation)

  上流:原油生産 中流:パイプライン
(EACOP)
下流:製油所
  Tilenga PJ Kingfisher PJ
位置 EA-1、EA-2 旧EA-3A ウガンダHoima~
タンザニアTanga港
Hoima
規模

・油田:
Ngiri、Jobi-Rii、Mpyo、
Jobi-East、Gunya、Lyec、
Mputa、Waraga、Nzizi、
Ngege、Kasamene、
Kigogole、Nsoga、
Ngara、Wahrindi
・生産井:194
・確認可採埋蔵量EA-1:9億100万バレル、
EA-2:3億1,800万バレル
・プラトー生産量約20万b/d

・油田:
Kingfisher
・生産井:20
・確認可採埋蔵量2億バレル
・プラトー生産量約4万b/d
・全長1,443キロメートル
・輸送能力21.6万b/d
・口径約61 センチメートル
精製能力6万b/d
(初期精製能力は3万b/dで、
開発の第2段階において
6万b/dに達する)
・原始埋蔵量:65億バレル
・プラトー生産量約23~24万b/d
参画企業
(※オペレーター)
Total※、
CNOOC、
(UNOC、)
Tullow
CNOOC※、
Total、
(UNOC、)
Tullow
UNOC、TPDC、 Tullow、Total、CNOOC GE、Saipem、YAATRA Ventures
(モーリシャス)、
LionWorks Group
(モーリシャス)
FEED 2018年完了
Fluor、Technip、
McDermott(旧CB&I)
2017年後半完了
COOEC、
Petroleum Exploration & Development Research Institute
2018年1月完了
Gulf Interstate Engineering(米)
2019年中
FID(予定) 2019年以降
生産開始
(予定)
2022年 2022~2023年 2022~2023年
建設コスト 約80億ドル 約35~40億ドル 約40億ドル

 

(各種資料より筆者作成)

1-3.石油開発を巡る最近の動き

2012年12月に同国議会は新たな石油法(The Petroleum〈Exploration, Development and Production〉Act 2013) を承認(2013年3月施行)。この石油法に基づいて、石油行政部門Petroleum Authority of Uganda (以下、PAU)及び国営石油会社Uganda National Oil Company(以下、UNOC)が設立された。

PAUは、同国の上流から下流にわたる石油関連部門の規制・監督を行うほか、事業者に探鉱ライセンスを付与する際にエネルギー・鉱物資源開発相に助言を行う。法令上、PAUは独立性を有するとされているが、施策や方針の決定に関しては今のところ同大臣による指揮・管理の下にあるようだ。

UNOCは、国営石油会社として事業者とジョイントベンチャーを組み探鉱・開発・生産に参画するほか、未開発有望エリアのデータ分析・評価を行い、PAUによる探鉱ライセンス付与に資するという役割を担っている。

なお、同国ではこれまで、2015年に第1回ライセンスラウンドが行われ、アルバートリフト堆積盆EA-1、2、3、4、5の放棄エリア6鉱区(Mvule、Ngassa、Kanywataba、Turaco、Ngali、Karuka-Taitai計2,980平方キロメートル)が対象となった。これに対し4社が3鉱区に応札した。(後にNgaji鉱区は環境保護の観点から、入札対象より外された。)Kanywataba鉱区を豪Armour Energyが、Ngassa鉱区をナイジェリアOranto Petroleum傘下のAtlas Petroleum Internationalが落札し、2017年10月に承認された。

また、豪Swala EnergyがKaruka-Taitai鉱区を、米テキサスGlint EnergyがMvule鉱区を獲得。残る2鉱区は、ナイジェリア3社(Walter Smith Petroman Oil、Oranto Petroleum、Niger Delta Petroleum Resources)が獲得した。欧米メジャーズによる参加は今のところない。

2019年3月に石油鉱区の第2回ライセンスラウンドが予定されている。

2.油田開発を巡る課題

2-1.キャピタル・ゲイン税を巡るファームアウトの遅れ

キャピタル・ゲイン税とは譲渡収益(capital gain)に対する課税を指す。賦存する地下資源からの収益を出来る限り高い比率で自国に還元するという、いわゆる「資源ナショナリズム」の考え方の流れに沿ったものであり、近年大規模な炭化水素資源の発見があったサブサハラ、特に東アフリカ諸国において、導入が進んでいる。ウガンダもその一例と言うことができ、石油政策の背景の思想として、同国の石油・天然ガス資源を自国の貧困撲滅と社会に対する継続的な価値の創出という、「資源ナショナリズム」の思想が同国石油政策及びキャピタル・ゲイン税と関連しているものと見られる。また、同国の石油法は同国のエネルギー・鉱物資源開発省、特にエネルギー・鉱物資源開発相に権限が集中しており、またこれら政府関係者による介入から保護されているわけではない、との指摘もある。さらに政治権力はムセベニ(Museveni)大統領がほぼ一手に掌握しており、最終的には彼の意向も反映されやすい。また、政治的透明性についても、2009年に反腐敗法が、2010年には内部告発法が制定されているものの、それら法律の実効力に乏しいこともあり、トランスペアレンシー・インターナショナルによる同国の評価(2017年)は世界180ヶ国中151位となっている。

なお、ウガンダではキャピタル・ゲイン税という特別な税金を設定しているわけではなく、譲渡収益を事業所得の一部と見なし、30%の税率において課税している。ウガンダにおいてキャピタル・ゲイン税適用を巡る係争や開発の遅延が生じていることは、「東アフリカで導入が進むキャピタル・ゲイン税」(竹原美佳、石油・天然ガス資源情報2014年9月18日付)においても言及した通りである。

簡単に再掲すると、同国の原油生産プロジェクト対象3鉱区における権益譲渡及びキャピタル・ゲイン税を巡る動きは以下のとおりである。

EA-1は、Heritage社とEnergy Africa社が各50%の権益で参加していたが、2004年にTullow Oil(以下、Tullow)がEnergy Africa社を買収したことにより、EA-1、2、旧3Aにファームインした(各鉱区50%ずつ権益を取得)。その後2008年に、試掘により原油の胚胎を見た。

EA-2では2001年以降、Hardman Resourcesが50%、Tullowが50%の権益を保有し、2006年に試掘により原油の胚胎を見た。その後2007年にTullowがHardman Resourcesを買収したことより、Tullowが100%の権益を保有することとなり、オペレーターとなった。

旧EA-3A(現在のKingfisherプロジェクト)はHeritage社が2002年から試掘を行い、何坑かの失敗の後、2006年に原油の胚胎を確認した。

2009年11月、Heritage社はEA-1及び旧EA-3Aの権益50%を伊Eniに譲渡することで一旦合意したが、パートナーのTullowが先買権を行使したため、Heritage社は2010年1月にTullowに対し14億5,000万ドルで売却することで合意した。これにより、EA-1、2、旧3AはすべてTullowが100%権益を保有することとなった。この時、ウガンダの税務当局(URA:Ugandan Revenue Authority)はHeritage社にキャピタル・ゲイン税として3億1,300万ドルを課税したが、キャピタル・ゲイン課税を導入する所得税法の改正は譲渡契約合意後であったため、Heritage社は課税は無効と主張し、支払いに応じなかった。これに対してウガンダ政府はTullowに立て替えを求め、支払いが済むまで買収ならびにPS契約の承認を停止した。その後TullowはHeritage社への課税分のうち2億8,300万ドルをウガンダ政府に支払い、ウガンダ政府は2012年2月にPS契約を承認した。

また、2012年、TullowはEA-1、2、旧3Aについて、Total、CNOOCとの間で権益を等分し共同開発することとし、100%保有していた権益をTotal、CNOOCに33.3%ずつ売却した(売却金額計29億ドル)。EA-1、2、旧3AのTotalへの権益譲渡及びEA-1、2のCNOOCへの権益譲渡については2012年2月に、旧EA-3AのCNOOCへの権益譲渡については2013年9月にウガンダ政府より承認を受け、この時点で各鉱区のオペレーターは、EA-1がTotal、EA-2がTullow、旧EA-3AがCNOOCとなった。

この時、ウガンダ政府はTullowに対し4億7,300万ドルのキャピタル・ゲイン税を課した。今度はTullowが課税を不服とし、1億4,200万ドルを支払った上でウガンダの国税不服審判所(TAT:Tax Appeal Tribunal)に不服申し立てを行い、ウガンダ政府及び関係当局との話し合いの結果、最終的に、支払い済みの1億4,200万ドルを含む2億5,000万ドルの支払いについて合意し、2015年に決着となった(2015/6/22 Tullow プレスリリース)。

2017年1月、Tullowが保有する3鉱区の権益33.33%のうち21.57%をTotalに売却することで両社は合意した。またこの時、EA-2のオペレーター権をTotalに譲渡し、各鉱区のオペレーターは、EA-1及びEA-2がTotal、旧EA-3AがCNOOCとなった。さらにTotalが買収した権益のうち50%をCNOOCが先買権を行使して買収することに合意した。この結果、上流開発及びパイプライン建設プロジェクトにおける3社の権益保有割合は、Total 44.115%、CNOOC 44.115%、Tullow 11.76%となる予定である(ウガンダ アルバートリフト堆積盆3鉱区をめぐる主な動きについては表2を参照)。

この時、Tullowの売却金額は計9億ドルで、ウガンダ政府はTullowに対しキャピタル・ゲイン税として3億ドルを課税したが、当該ファームアウトは課税の対象ではないとするTullowは、支払い要求に応じなかった。このためウガンダ政府はファームアウトを承認せず、このことがプロジェクト遅延の要因の一つとなっている。ウガンダ政府によると本来3億ドルを支払うべきところを、1.6億ドルから3億ドル(税率30%による)の範囲の課税を目標にしているとの情報もある。

ウガンダ政府とTullowが課税支払いでしばしば紛争となっている背景としては、以下のことが挙げられよう。ウガンダ憲法では、同国のエネルギー・鉱物資源開発相にPS契約の交渉と署名の権限を付与しており、2012年3月にTulllowがウガンダ政府のブンバ前エネルギー・鉱物資源開発相から承認されたEA2のPS契約では免税条項が含まれているため、キャピタル・ゲイン税を支払う必要はないとの理解であった。しかしながら、ウガンダ歳入庁は、エネルギー・鉱物資源開発相には税金を免除する権限はなく、契約に記載される免税条項はウガンダ税法からすると無効であり、従ってキャピタル・ゲイン税の免除は適用できないと主張した。これに対しTullowはPS契約に記載される免税条項を根拠として当該税支払いを拒否したわけである。ウガンダ政府側としては、Tullowとの紛争においては、課税根拠が十分ではないことから、ウガンダ高等裁判所及び投資紛争解決国際センター(ICSID:Inernational Center for Settlement of Investment Disputes)では当該紛争に関する訴訟でウガンダ政府側が敗訴する可能性があるとウガンダのルヒンディ(Ruhindi)検事総長が述べたと伝えられる。そして、このような問題が発生するのは、ウガンダ政府内において石油探鉱・開発プロジェクト交渉に関し横断的な連携が不十分であることが一因であるとの見方もある。

表2:ウガンダ アルバートリフト堆積盆3鉱区をめぐる主な動き
2004年5月 Tullowがアルバートリフト堆積盆3鉱区(EA-1、2、旧3A)にファームイン。
2006年 EA-2で原油の胚胎を初めて確認。
2006年 旧EA-3Aで原油の胚胎を初めて確認。
2008年 EA-1で原油の胚胎を初めて確認。
2012年2月~2013年9月 Tullowが権益をTotal、CNOOCと3社で等分(EA-1はTotal、EA-2はTullow、旧EA-3AはCNOOCがオペレーターに)。
2017年1月 Tullowが保有する権益33.33%のうち21.57%をTotal、CNOOCに等分して売却することで合意。

(各種資料より筆者作成)

なお、Tullowの権益売却金額9億ドルのうち2億ドルは現金による支払いで、うち1億ドルはファームアウト完了時に、5,000万ドルはFID完了時に、残りの5,000万ドルは生産開始時にTotalとCNOOCから支払われることとなっている。9億ドルのうち残る7億ドルについては、Tullowは今後の上流開発及びパイプライン建設プロジェクトのTullow負担分として充当する方針である。

2018年11月8日、ウガンダのムロニ(Muloni)エネルギー・鉱物資源開発相は3鉱区について当初2018年のFID、2020年の生産開始を目標としていたが、プロジェクトの遅延によりFIDは2019年上期に延期され、生産開始の目標は2021年に改めると述べている。

Tullowは、2018年11月15日に公表された資産売却に関するtrading statementにおいて、2018年末前後(少なくともFID前)にファームアウトの手続きは政府承認を受けて完了する見込みであると述べていたが、現時点で、FIDが行われたとの発表や報道はない。

なおウガンダでは、生産開発段階における国家の参加比率は15~20%と定められているが、EA-1、2、旧3Aにおいては15%に設定されているため、Tullowのファームアウトが正式に認められ、かつ生産開始後ウガンダ政府がこの権利を行使した後、最終的な権益比率は、Total及びCNOOCが37.5%、ウガンダ国営石油会社UNOCが15%、Tullowが10%になるものと見られている(表3参照)。

表3:ウガンダ アルバートリフト堆積盆3鉱区の権益割合(各種資料より筆者作成)

また、各鉱区における作業状況は以下のとおりである。EA-1では、670 kmの2次元地震探査を完了し、試掘井7坑、評価井25坑以上を掘削。EA-2では、約2,000kmに及ぶ2次元地震探査、500 平方キロメートル超の3次元地震探査を完了し、試掘井15坑、評価井28坑を掘削。旧EA-3Aでは、800 km超の2次元地震探査、325 平方キロメートルの3次元地震探査を完了し、試掘井2坑、評価井5坑を掘削(この他、EA-2から旧EA-3Aに及ぶ範囲において、1,500 キロメートル超の2次元地震探査を行っている)。

2-2.ローカルコンテンツ引き上げの可能性

Upstream[5]によると、ウガンダ石油行政部門PAU総裁Ernest Rubondo氏が、8月末にKampalaで行われたブリーフィングにおいてローカルコンテンツ引き上げ計画について言及していることが報じられた。それによると、2017年、石油上流開発における請負や物資購入に合計1億3,300万ドルが費やされ、そのうち国内企業の参加比率は全体の28%であったと推計されているが、石油・ガス産業においてウガンダ国民と企業の参加比率を高め、2040年までにこれを80%に引き上げることを目標に掲げている。こうした動きからは、投資環境の悪化も懸念される。


[5] 2018/9/6「Upstream_Uganda's PAU vows to ramp up local content」

3.東アフリカ原油輸出パイプライン「East African Crude Oil Pipeline (EACOP)」

ウガンダ政府は当初パイプライン建設についてケニアから輸出するルートを検討していたが、2016年4月に方針を転換した。コストの問題[6]及びソマリアの影響による地政学リスクの懸念[7]からケニアではなくタンザニア経由のルートを選択し、2017年5月にウガンダ・タンザニア間で政府間協定が締結された。「East African Crude Oil Pipeline (EACOP)」と称されている。口径24インチ(約61センチメートル)、設計輸送能力は21.6万b/dで、ウガンダ西部(Albert湖東岸)のHoimaから、ウガンダ・タンザニア国境沿いの都市Bukobaを経由しタンザニア北部のTanga港へ至るパイプライン建設計画である(図2)。全長1,443kmのうち80%はタンザニア領内に位置する。タンザニアは原油を生産していないが、輸送原油1バレルあたり12.20ドル相当のタリフ収入を得る(年間タリフ収入の試算は最大で約9.6億ドル:12.20$/b×21.6万b/d×365日)。EACOPプロジェクトの権益保有者は、ウガンダ国営石油会社UNOC、Tanzania Petroleum Development Corporation、そしてTullow、Total、CNOOCである(正式には権益保有比率は明らかになっていないが、タンザニア7.5%、UNOC7.5%、Total37.5%、CNOOC37.5%、Tullow10%と推測する向きもある)。

同パイプラインのFEEDは、米国やアジアの陸上パイプライン建設に実績を持つ米ヒューストンのGulf Interstate Engineering(GIE)が行い、2018年1月に完了した。ウガンダ大統領は当初2018年後半にFIDを行い、2020年までに完成することを公言していたが、2018年中にはFIDは行われず、原油初出荷は2023年にずれ込む可能性が高くなっている。これは輸送料金や、建設費のファイナンスが決まらないことが原因と報じられている。これに加え、道路・電気ネットワーク等インフラ及び地元作業員の技術力の不足が挙げられている。労働力不足を補うため、短期の外国人労働者の受け入れも考えられるが、地元住民らの反対が予想されている。

なお、UNOCによると、原油生産プロジェクトとパイプライン建設プロジェクトを統合的に進める方針であり、FIDは概ね同時期を見込んでいる。また、各種報道によると今後、両プロジェクト合計で約120億ドルが投資され、このうち、約80億ドルを原油生産プロジェクトに、パイプライン建設プロジェクトに35〜40億ドルが充てられるという。

ウガンダで生産される原油の性状はAPI 30.4°と中質だがワックス分が30%と流動性が悪いため、パイプライン全区間を通して加熱する必要があり、世界最長の通電加熱パイプラインとなる見込みである。資金は、南アフリカStanbic Bank等が本事業の費用の70%を融資する方向で検討が進められているとの報道もある。

しかし、国営石油会社UNOCが、パイプラインと製油所(後述)双方のコスト負担を行う能力について疑う声も上がっている。また、パイプラインの建設費用及び操業費回収、そして投資に対する収益として最高12.20ドル/bの通過料を確保する予定であったが、2018年5月には外国石油会社3社が方針を転換した。新たな方針は利用可能な10.46億バレルの全ての資源をパイプラインに流通させること(当初は製油所への原油割当を実施した後の8.66億バレル)を要求する他、パイプラインの操業開始後10年間で投資資金を全額通過料として回収すること、そしてそれ以降は発生した費用に10%の収益を加えたうえでその年中に回収すべく料率を設定することと示唆されている。会社側は資源が限られているうえ、製油所に原油を配分することで、さらにパイプラインに流入させる原油量が低下してしまえば、パイプイラン稼働期間が限られてしまい、その結果、投資資金回収と採算の観点から問題であると主張している。ウガンダ政府はこれらにより設定される料率は高すぎるものとして反対しており、同国石油産業を巡る新たな問題となっている。


[6] ウガンダとケニアを結ぶパイプラインは総工費約40億ドルと見積もられていたのに対し、タンザニアルートでは約35~40億ドルと見積もられている。

[7] ケニアには隣接国ソマリアから、飢えとソマリア南部を中心に活動するイスラム勢力アル・シャバブの支配から逃れるため大量の難民が流入。2011年10月、アル・シャバブを掃討するため、ケニア軍がソマリア領内に侵攻した。以来、アル・シャバブによるケニアへのテロ攻撃が増加している。

図2:東アフリカ原油パイプラインルート 出所:EACOP HP
図2:東アフリカ原油パイプラインルート(出所:EACOP HP)

4.製油所

ウガンダでは、油田近傍のHoimaに同国初となる国内製油所の建設を計画している。精製能力は6万b/d(初期精製能力は3万b/dで、第二期工事で2倍にする計画)の見込みで、首都Kampalaへの製品輸送パイプラインを敷設する予定であった。

政府は、2018年4月、Albertine Graben Refinery Consortium(AGRC)を製油所プロジェクトの建設及び操業を担当する主体として選定し、基本合意文書 (project framework agreement)に調印した。同コンソーシアムでは、アフリカを事業領域とする投資機関 YAATRA Ventures及びLionWorks Groupが資金調達を行い、米GE及び伊Saipemがエンジニアリングサービスを受けもつ。オペレーターは60%のシェアを保有し、同割合の資金負担にも応じるとしており、残り40%はウガンダ国営石油会社UNOCを中心に協議が進められている模様である。投資額は40億ドルに上る。

ウガンダ政府は、早くから原油の生産開始に合わせて同製油所の立ち上げを計画していたが、建設資金、建設・運転技術、製品販売ノウハウが不足していることから、外国企業に資金計画、製油所の設計・建設から操業、製品販売までを請け負わせる方式を選んだ。

現在Pre-FEED中であり、FEEDは2019年末までに、FIDは2020年中頃を目標としている。当初計画では2020年までに製油所を稼働させる予定であったが、パイプラインで合意に達していない事項もあるため、製油所の計画も進まず、稼働は2022年以降になる見込みである。ウガンダ政府はケニア経由でのローリー輸送による輸入に頼っている石油製品を国内製油所での精製により優先的に賄いたい考えだが、石油探鉱・開発プロジェクトを推進するTullow、Total、CNOOCの3社は、少なくとも短期的には国内石油製品需要が不足する(現在の国内石油製品需要は日量3.6万バレル)ことから、採算確保が困難であるとして、パイプラインによる原油輸出を優先させたいというのが本音であり、製油所の精製能力を日量3万バレルに縮小したうえで製油所の完成を2026年に延ばすよう要望していると伝えられる。

5.まとめ

ウガンダでは今後自国での原油生産が実現すれば、アルバートリフト堆積盆において生産された23万b/dの原油が、輸送能力21.6万b/dのパイプラインと精製能力6万b/d(初期精製能力は3万b/d)の製油所に振り分けられることになる。

しかし、同国の原油生産プロジェクトは、キャピタル・ゲイン税を巡るファームアウトの承認の遅延を要因の一つとして、進捗が遅れている(なお、ウガンダ政府側の意思決定に予測以上に時間がかかるということも、大きな遅延要因と見られている)。さらに、ウガンダ政府がローカルコンテンツの引き上げを検討していることや、パイプラインと製油所への生産原油の配分を巡る問題などからは、ウガンダ政府と参画企業との対立の構図が垣間見える。これらが引き金となって、今後、プロジェクトにさらなる遅延が発生する可能性がある。

また、ウガンダのムセベニ(Museveni)大統領は、原油生産・輸出を開始する時点において現職大統領でありたいという思惑もあり、大統領職における年齢制限を撤廃して2021年以降も続投したいとしている。そのために憲法改正を進めているが、同様の憲法改正は2005年に続き2回目となり、既に32年間大統領を務めている同氏の続投には反対の声もあがっている。

原油埋蔵量の発見から既に15年近くも経過しているが他の内陸国と同様、パイプラインが必要であり、その他にもリスクが多く、生産開始までにはまだ時間を要することになりそうである。しかし、スーダンに続きこのパイプライン事業により東アフリカの内陸エリアの探鉱・開発活動に風穴を開ける意義は大きく、今後のプロジェクト進展に期待したい。

<主な参考資料>

  • AfrOil
  • Upstream
  • Oil & Gas Journal(OGJ)
  • International Oil Daily (Energy Intelligence)
  • 「東アフリカで導入が進むキャピタル・ゲイン税」(竹原美佳、石油・天然ガス資源情報 2014年9月18日付)
  • Tullow Oil HP
  • ウガンダ国営石油会社Uganda National Oil Company (UNOC) HP
  • East African Crude Oil Pipeline (EACOP) HP
  • JPEC 世界製油所関連最新情報 2018年5月号

以上

(この報告は2019年2月15日時点のものです)

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