ページ番号1007726 更新日 平成31年2月20日

ロシア:サハリン3アヤシ鉱区での探鉱成果(短報)

レポート属性
レポートID 1007726
作成日 2019-02-20 00:00:00 +0900
更新日 2019-02-20 14:57:58 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 エネルギー一般
著者 本村 真澄
著者直接入力
年度 2018
Vol
No
ページ数 8
抽出データ
地域1 旧ソ連
国1 ロシア
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 旧ソ連,ロシア
2019/02/20 本村 真澄
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概要

  • サハリン3のアヤシ鉱区で、Gazprom Neftによって2017年にNeptune油田、2018年にTriton油田が発見され、その埋蔵量規模から同鉱区は非常に有望視されている。
  • Neptune油田のC1+C2石油埋蔵量は4億1,580万トン(30億bbl)で、サハリン大陸棚で最大。
  • Triton油田については、原始埋蔵量で石油換算1億3,700万トン(10億bbl)である。
  • 同鉱区は、サハリン1、2の主要油田のある構造系列の東方に位置し、この北北西延長上にあるサハリン5における出油により、有望性があるとされて来た。今回これが証明された。
  • アヤシ鉱区のすぐ北にある東オドプト鉱区は、Gazprom Neftが100%の権益を保有しているが、複数の未試掘構造を有しており、有望視されている。

1.サハリン3、アヤシ鉱区での油田発見

(1) Neptune油田の発見

サハリン3のアヤシ(Ayash)鉱区では、Gazprom Neftの子会社Gazprom Neft Sakhalinにより2017年に試掘がなされ、Neptune油田が発見された。同社はこの年、7件の新規油ガス田を発見し、同油田はその中でも最も重要な発見とされた。第1井は、2,000メートル~2,700メートルの区間で4枚の油層を見ている。埋蔵量はその時点では、石油換算2億5,500万トンと試算された[1]。ただし、Gazprom Neftのプレスリリースで簡単に触れられるのみで、当時大きな報道はなかった。

油田の位置に関しては、翌2018年4月に鉱区北部に位置するBautinskaya構造とする報道があったが[2]、9月の同社プレスリリースでは地図上の油田の位置は依然として曖昧な表現ままであった[3]。ようやく、11月のプレスリリースのロシア語版においてのみ、位置の分かる地図が掲載され、鉱区南部のAyashskaya構造に成立した油田であることが初めて示された[4](図1参照)。この図は、同日の英語版プレスリースには掲載されていない


[1] Gazprom Neft press release, 2017/11/27

[2] International Oil Daily, 2018/4/13

[3] Gazprom Neft press release, 2018/9/11

[4] Gazprom Neft press release, 2017/11/15

図1 Neptune油田とTriton油田の位置 Gazprom Neft, Press Release, 2018/11/15
図1 Neptune油田とTriton油田の位置(Gazprom Neft, Press Release, 2018/11/15)

(2)Neptune油田の石油可採埋蔵量

Gazprom Neftは2018年夏、国家鉱量委員会と共にオホーツク海のNeptune油田の埋蔵量の評価を実施し、原始埋蔵量は石油換算で2億5,500万トン、そのうち可採埋蔵量は7,000万~8,000万トンと見積った。ピーク生産量は年間500万~600万トン(10万~12万バレル/日)になる見込みとした[5]。2020年までに追加で4坑の評価井を掘削、同鉱床の開発計画を策定し、2025~2027年に生産開始の予定である。

その後、埋蔵量の検討は更に進められ、9月11日、国家鉱量委員会が同鉱床の原油埋蔵量(C1+C2カテゴリー)が4億1,580万トン(30億bbl)と発表した[6]。なお、サハリン-1は3億トン、サハリン-2は1.25億トンであり、これらを遥かに上回る規模である。Neptune油田は、同社の資源ポートフォリオの中で最大級となった。


[5] Interfax, 2018/6/09

[6] IOD, 2018/9/12

(3)サハリン3アヤシ鉱区におけるパートナー

Gazprom Neftは最近、R/D Shellおよびアジア企業を含むその他企業と、パートナーシップについて協議している。

米国の対露制裁により、外国企業は、ロシアの北極圏、シェールオイル、および大水深での事業に参加することは禁止されているが、Neptun油田は水深60~70メートルの浅海に位置しているため、大水深鉱床とは看做されず、制裁を課される恐れはないと考えられる。

(4)Triton油田の発見

Gazprom Neftは2018年11月15日、アヤシ鉱区北部のBautinskaya構造で評価井の掘削および試験を完了し、新規鉱床を発見したことを発表した。同鉱床は「Triton油田」と命名された。Triton油田の原始埋蔵量は推定1億3,700万toe(10億boe)[7]。同社は、2020年までに同鉱床でさらに4坑の評価井を掘削する予定である。同構造はサハリン島の沖合55キロメートル、水深は90メートルに位置する[8]

なお、Tritonはギリシャ神話における海の神Poseidonの子供で、Poseidonはローマ神話のNeptuneに当たるとされる。


[7] Upstream, 2018/10/12

[8] IOD, 2018/11/16

(5)今後の計画

Gazprom Neftは2019年から2021年までに、アヤシ鉱区で両構造にそれぞれ3坑、合計6坑の評価制を掘削する予定である。Neptune油田(Ayashskaya構造)の目的層深度は2,150メートルである。Triton油田(Bautinskaya構造)の目的層深度は2,850メートルである。氷は6月初めに解け、11月に結氷する。

なお、サハリンの各鉱区での活動状況を表1にまとめた。

2.サハリン-3の鉱区付与の経緯

サハリン-3の内、ウェーニン(Venin)鉱区を除く東オドプト(East Odoptu)、アヤシ(Ayash)、キリン(Kirin)の3鉱区については、1993年の米国デンバーにおける入札によって、PS契約に基づいて鉱区取得に関して優先的に交渉する権利が付与された(図2)。東オドプト、アヤシ鉱区についてはMobil(当時)が66.7%、Rosneftとその子会社SMNG(Sakhalinmorneftegaz)が各16.65%を取得した。キリン鉱区についてはMobil及びTexaco(当時)にそれぞれ33.3%、そして両鉱区の残りの33.4%についてはRosneftおよびSMNGに各16.7%が付与された。

図2 サハリン北東大陸棚の鉱区と油ガス田及び発見構造 JOGMEC作成
図2 サハリン北東大陸棚の鉱区と油ガス田及び発見構造(JOGMEC作成)

外資は揃ってPS契約の締結を希望し、キリン鉱区に関しては、2回目のPS対象リスト法に記され、1999年5月に議会承認を受けた。アヤシ鉱区に関しては、これを記載したPS対象リスト法案が1999年12月に下院に上程されたが、審議されないままで終わった。キリン鉱区に関しては、その後PS契約に関する交渉は進捗せず、2003年の第2回米ロ商業エネルギー・サミットにおいて、ExxonMobilのティラーソン副社長(当時)は、サハリン-3に関しPS契約方式を断念、通常の探鉱・生産ライセンスで事業を行う意向を表明した。

これに対して2004年1月29日に、フリステンコ副首相(当時)を委員長とする「PS契約に関する政府委員会」は、米国企業に対してライセンスを付与しない方針を決定し、この3鉱区は改めてテンダーに付されることになった[9]。このロシア側の厳しい対応に外資を中心に驚きの声が上がり、この件はロシアにおける投資環境の悪化の例と見なされた。

最終的に2008年、東オドプト鉱区、アヤシ鉱区とともに、キリン鉱区はGazpromが無競争でライセンスを取得することになった(図2参照)。その後、鉱区は同社の石油部門子会社のGazprom Neftに移管された。


[9] Nefte Compass, 2004/2/05

3.アヤシ鉱区における油田発見の意義

(1)サハリン5での先駆的成果(図2)

サハリン5については、1998年5月にRosneft/SMNGが51%、BPが49%で設立したJVであるエルヴァリ・ネフテガス(Elvari Neftegaz)が2002年にライセンスを取得した。これは、BPによる最初のロシア進出である。なお、2003年9月にBPは合弁企業TNK-BPを設立して西シベリア等の事業に参加したが、サハリンに関してはBP単独で参加したものであり、TNK-BPの事業対象とはなっていない。2013年のTNK-BP解消により、BPとRosneftの関係は更に強化されたが、そのきっかけはサハリンでの共同事業であったと言える。

2004年に最初の試掘が行われ、ペラレイチ(Pela Leich、「大波」の意)構造で複数の良好な砂岩貯留岸からかなりの量の(significant)石油・ガスを発見した[10]

2005年の掘削シーズンに、Pela Leich-1から西へ15キロメートル離れた同じカイガン・ワシュカン(Kaigansko-Vasyukan)鉱区内のウダチナヤ(Udachnaya)構造で、3つの層準で炭化水素を発見した[11]。翌2006年には南ワシュカン(Yuzhno Vashukan)構造で成功が報じられたが、詳細は明らかでない。その後、サビツ(Savit)構造に探鉱井が掘削された。

2007年3月、Elvary Neftegazは、連邦地下資源利用庁からカイガンスコ・ワシュカンスコエ(Kaigansko-Vasyukanskoye)海洋油ガス田の発見を証する証明書を受け取った。可採埋蔵量はABC1カテゴリーで、原油とガスコンデンセートが1,614万トン(1.18億バレル)である。

この油田は、オドプト、チャイウォ等のサハリン大陸棚主要油田を形成する北北西-南南東トレンドの基盤高の更に東方に位置し、この地域で初めて炭化水素の形成が確認された例として、注目を集めた(図3)。更に、本油田周辺の地質トレンドに沿って南南東に伸ばすと、それはまさにサハリン-3の東オドプトとアヤシ鉱区に行きつく。即ち、サハリン-3の北部2鉱区の地質評価は高まったと言え、これらの地質ポテンシャルを検討する上でも貴重な発見であった。ただし、商業性が見いだせず、BPは2012年1月にはカイガン・ワシュカン鉱区からの撤退を決めた。


[10] IOD, OGI, Reuters, 2004/10/07

[11] Interfax,2005/10/31

図3 サハリン島北部とその大陸棚の東西方向の地質断面図。サハリン-5におけるカイガンスコ・ワシュカン鉱区油ガス田発見の位置を示す。 JOGMEC作成
図3 サハリン島北部とその大陸棚の東西方向の地質断面図。
サハリン-5におけるカイガンスコ・ワシュカン鉱区(油ガス田発見)の位置を示す。(JOGMEC作成)

(2)ロスネフチによるサハリン5の探鉱の再開

ロスネフチ傘下のRNサハリンNIPI海洋石油(RN-SakhalinNIPImorneft)は、2018年3月、カイガン・ワシュカン鉱区の開発に向けた包括的概念設計の準備作業を入札に掛けた。作業では、ペラ・レイチ(Pela-Leich)鉱床および南ワシュカン(Yuzhno-Vasyukanskoye)鉱床の開発に要する資本費用と操業費が算出され、これを基にカイガン・ワシュカン鉱区での開発に最適な方式を決定する。現状、2つの選択肢が検討されており、1つは、ペラ・レイチ鉱床単独での開発、もう1つはペラ・レイチ鉱床および南ワシュカン鉱床の共同開発である[12]


[12] Interfax, 2018/3/13

(3)今後の展望

今回のアヤシ鉱区での成功により、最も注目を集めているのが、そのすぐ北側に隣接する東オドプト鉱区である。この鉱区自体が未試掘であり、そこの複数のプロスペクトが確認されている。権益はGazprom Neftが100%保有する。現状で、どの外国企業がアクセスを試みているか、特段報道はないが、いずれ動向が明らかになるものと思われる。

表1 サハリン各校区の現状(サハリン1~6)
プロジェクト ブロックと油ガス田 石油・天然ガス埋蔵量 鉱区権者(%) 備考
Sakhalin-1 Odoptu, Chaivo, Arkutun-Dagi 325MMt (2.3Bbbl)485 Bcm(17.1Tcf) ExxonMobil(30%) SODECO(30%), ONGC(20%),SMNG(11.5%) Rosneft (8.5%) 総投資額 $170億。2005年10月原油ガス生産開始。2006年DeKastriから輸出開始。生産量約16万 b/d('09)。ガスの販売先未定。2010年9月Odoptu生産開始。2014年A-D生産開始。
Sakhalin-2 Luni, Pil'tun-Astokh 150MMt (1.1Bbbl)500Bcm (17.7Tcf) Gazprom(50%+1) Shell(27.5%-1), Mitsui(12.5%), Mitsubishi(10%) Sakhalin Energy操業。総投資額 $200億。Phase-1; 1999PA-A (Molikpak)生産。Phase-2; PA-B, LuniからPrigorodnoyeへ石油ガスパイプライン(800キロメートル)建設。2009年3月 LNG 960万t/y生産開始。
Sakhalin-3 E.Odoptu *70MMt,30Bcm Gazprom Neft(100%) 93年Mobilが落札。特段の探鉱実績はなし。04年1月ライセンス発効見送り。Gazpromが09年6月取得。
Ayash 416MMt Gazprom Neft(100%) 同上。2017年Neptune油田、2018年Triton油田発見
Venin *1.2MMt,35Bcm Rosneft(74.9%)、Sinopec(25.1%) Rosneft 100%。04年KNOCが参加のMOU締結。05年Sinopec参加。06年から3坑試掘。北Veninで出ガス
Kirin *6MMt 8,737Bcm (30.9Tcf) Gazprom(100%) 93年Texacoが落札、97-98年3D地震探鉱。08年Gazpromが取得、09年7月試掘。10年8月南Kirin、11年Mynga発見。13年10月 Kirin海底生産システムで生産開始
Sakhalin-4 Astrakhan Shmidt   Rosneft(51%),
BP(49%)2009.3撤退
Astrakhan鉱区においてRosneftが00年に試掘。2007年2坑不成功。
Sakhalin-5 East-Shmidt(Kaigansko- Vasyukan) *16.14MMt Elvari Neftegaz Rosneft(51%),
BP(49%)2011.12撤退
98年BP参加。02年ライセンス取得。試掘Pela Lache(04), Udachnaya(05), South Kaigan(06)で成功3坑。不成功1坑。2012.12撤退
Sakhalin-6 Pogranichny Pogranichny-Trough,Okruzhny   Pogranichny Block Petrosakh(97%),
Sakahlin Oil(3%)
Petrosakhaに対しては、入札によらずラインセンス付与。陸と海に跨る鉱区。05年Okruzhnoy構造の試掘で油兆。

出所:各種公表資料から *Rosneftによる予想埋蔵量。S-1,2は確認埋蔵量5

以上

(この報告は2019年2月19日時点のものです)

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