ページ番号1007761 更新日 令和6年7月24日
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概要
JOGMECが設立された2004年以降、石油天然ガス開発技術本部は本邦石油開発会社及びサービス・エンジニアリング会社との間で技術協議会を実施しています。協議会は事前のアンケート及び個別面談を実施しており、開催する相手先企業は機構との共同研究の有無等を考慮して毎年、一部変更しています。石油開発会社との個別面談では、各社のプロジェクトにおける技術課題や機構による調査を希望する技術動向等について事前に回答をいただき、これに基づいて意見交換を行うことで、JOGMECとしての協力可能性を検討しています。
また、サービス会社やエンジニアリング会社との面談では、同様に、各社の注力している技術や検討している技術等について事前にアンケートに記載していただき、個別面談の際に記載内容について意見交換をさせていただくことで、産油国等のニーズに貢献し得るような技術を模索することを目的としています。この他、アンケートや、面談で得られた情報から、業界全体の傾向を把握することも狙っています。
これまでの技術協議会を通して多くの共同研究、技術ソリューション事業の組成、技術動向調査に至っています。
1.石油開発会社との技術面談、アンケート
2018年度は11社の石油開発会社と面談を実施させていただき、全体で35件の技術課題を挙げていただきました。これらを分野毎に集計すると地質・物理探査に関しては断層の評価、レザバー評価、地震探査等に関するテーマが6件、油層・EOR分野については様々なEOR手法に関するテーマを中心に9件、掘削・ジオメカ分野に関する課題としては坑井健全性管理等を含め8件、生産・施設に関する課題は施設の老朽化や設備の健全性管理、施設へのデジタル適用等の11件、その他の課題が1件ありました。前年度の54件と比べ、全体の技術課題は減少したものの各社から多様な課題を挙げていただきました(図1)。
また、地質分野へのデジタル技術の適用検討や、生産施設へのデジタル技術の適用検討といったような各分野におけるデジタル技術の課題が複数含まれていました。これらの技術課題を再整理し、デジタル技術に関する課題4件を別に抽出すると図1(B)のようになります。前年度(図1(C))はデジタル技術に関連するテーマはあまり目立ちませんでしたが、2018年度は複数のテーマが挙がっており、業界としてデジタル技術への関心が高まっていることがうかがえます。

(A)2018年度の技術課題
(B)2018年度の技術課題からデジタル分野を抽出した結果
(C)2017年度の技術課題
また、石油開発会社に関しては、技術系社員の国内・国外配置数や専門分野別の構成についても併せてアンケートに記載していただいています(ただし、年度によって技術協議会実施対象の会社も入れ替えを行っているため、アンケートの対象会社が年度毎に若干変わっています)。
技術系社員の専門分野別構成は地質、物理探査、掘削、施設、油層、その他に分類しています。年齢別の人数構成(図2(A))を見ると40代が比較的少ない傾向があります。また、専門分野別の人数構成(図2(B))では、油層分野が最も多いですが、地質・物理探査を一括りとして見ると油層分野よりも人数比が多く全体の40%弱を占めていることが分かります(図2(B)赤枠部分)。また地質・物理探査分野及び油層分野を合わせると全体の65%程度を占めていることが分かります。一方、図1の技術課題を見ると掘削・ジオメカ、生産・施設の課題が多い傾向がありますので、専門分野の人数が少ない分野において特にJOGMECの協力が期待されているものと考えられます。

(A)技術系社員の年齢別人数構成
(B)分野別人数構成比
次に示す図3は石油開発会社における技術系社員の国内社員数と国外社員数を示しています。国内社員数は徐々に人数が増加している一方で、国外社員数は2018年度減少しました。

また、JOGMECでは技術動向調査事業として石油開発分野の最新動向を調査していますが、そのテーマの選定にあたっては各石油開発会社からご提出いただいたアンケートを参考にさせていただいております。近年では、技術協議会のアンケートから、2016年度、2017年度にかけて「Non-seismic物理探査技術の石油天然ガス探査への活用及び最新技術動向調査」をテーマとして選定し、調査を実施させていただきました。報告会にも多くの石油開発会社や関係する分野の技術者の参加がありました。
2. サービス・エンジニアリング会社との技術面談
サービス・エンジニアリング会社との面談は、2018年度は10社と実施させていただきました。各社から石油・天然ガス開発に関連する技術に関して28件の紹介があり、専門分野毎に集計すると地質・物理探査に関する技術が4件(主に物理探査)、油層・EORに関する技術も4件(主にシミュレーション、ソフトウェア)、掘削・ジオメカに関する技術が6件、生産・施設に関する技術が10件、デジタル技術が4件ありました。
なお、全体の件数は前年度と比較して32件から28件へとやや減少しました(図4)。サービス・エンジニアリング会社の技術紹介では前年度からデジタル技術の紹介が一部含まれていましたが、2018年度は更に増加しており、石油開発会社同様、各分野に分類されているデジタル技術適用をデジタル技術としてカウントすると合計10件となり、サービス・エンジニアリング会社においてもデジタル技術への関心が高まっていることがわかります(図4(B))。
また、サービス・エンジニアリング会社からは石油・天然ガス開発以外にも地熱、金属、電力及び石油開発技術の他分野への応用等、様々な技術紹介があり、全体として41件にも上りました。今後はこれらの技術についても機構内で更に協力可能性を検討する必要があると考えています。JOGMECは、本技術協議会でご紹介いただいた「シーズ」となる技術を、「ニーズ」のある企業や産油国等とマッチングさせることを検討しており、引き続き、各社からの技術紹介など、協力を賜ることをお願いいたします。

(A)2018年度の注力技術
(B)2018年度の注力技術からデジタル分野を抽出した結果
(C)2017年度の注力技術
3.まとめ
技術協議会で挙げていただいた各技術テーマに関して、JOGMECへの期待を「技術支援」、「技術調査」、「資金支援」に分類すると半数以上が技術支援を、また残りのほとんどが技術調査を期待していることが分かります(図5)。

これは石油開発会社についても、サービス・エンジニアリング会社についても同様の傾向となっています。石油天然ガス開発技術本部としても、こうした民間企業からの要望にできる限り協力できるように努めたいと考えているところであります。2019年度においても技術協議会を継続的に開催する方針としておりますので、今後も多くの情報交換ができるよう、引き続きのご協力をお願い申し上げます。
以上
(この報告は2019年4月2日時点のものです)