ページ番号1007843 更新日 平成31年8月23日

コロンビア:石油・天然ガスの探鉱・開発が復調か?

レポート属性
レポートID 1007843
作成日 2019-08-23 00:00:00 +0900
更新日 2019-08-23 10:24:11 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 探鉱開発
著者 舩木 弥和子
著者直接入力
年度 2019
Vol
No
ページ数 7
抽出データ
地域1 中南米
国1 コロンビア
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 中南米,コロンビア
2019/08/23 舩木 弥和子
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概要

石油・天然ガス埋蔵量・生産量の減少を受けて、コロンビア政府は探鉱・開発契約や入札方式を変更し、探鉱・開発促進を図っている。2019年3~4月にはカリブ海沖合5鉱区の探鉱・開発契約が締結され、6月には新方式の鉱区入札により11件の探鉱・開発契約が締結されることになった。この4年間、新規探鉱・開発契約の締結がなかったコロンビアで、このように短期間に合計で16件の契約が締結され、20億ドルの投資が行われる見通しとなったこと、また、10月末にも入札が行われる計画であることから、同国の探鉱・開発が再び活発になるのではないかとの見方が広がっている。

しかし、6月の入札にはメジャー企業や新規参入企業は参加しなかった。また、シェール開発も環境保護団体等の反対で進んでいない。ゲリラ組織によるインフラ攻撃や地域住民や環境保護団体の抗議行動は続いており、環境許可の取得には時間がかかり、近年大規模な在来型油・ガス田の発見もなく、本格的な探鉱・開発復調には、これらの問題が解決されることが必要になろう。

(Platts Oilgram News、International Oil Daily、Business News Americas他)


はじめに

重質油の開発によりコロンビアの石油生産量は増加、2014年には初めて100万b/dを超えた。しかし、2014年半ばからの原油価格下落に、ゲリラによる破壊活動、地元住民の抗議行動、高い輸送コスト等コロンビア特有の問題が加わり、探鉱・開発は停滞し、大規模な油・ガス田の発見もなく、同国は過去数年間、埋蔵量、生産量、可採年数の減少に苦しんできた。BP Statistical Review of World Energy June 2019 によると、コロンビアの2018年末の確認埋蔵量は石油が17.8億bbl、天然ガスが106.2Bm3、2018年の生産量は石油が86.6万b/d、天然ガスが12.9Bm3で、可採年数はそれぞれ6.2年、9.8年となっている。

このような状況を改善しようと、Juan Manuel Santos前政権時より、外資を呼び込み、探鉱・開発を再度、活発にするため、国家炭化水素庁(National Hydrocarbons Agency: ANH)が、新たな入札制度の法的枠組みの策定並びに探鉱・開発契約の変更に取り組んできた。2018年8月7日に就任したDuque大統領も、石油・ガス産業推進を掲げ、市場志向の改革を実施し、石油生産量を80万b/dから100万b/dに引き上げるとしてきた。ANHは、(1)探鉱促進、(2)ポテンシャルの高いエリアでの回収増(EOR含む)に投資を集中、(3)情報の管理、(4)コロンビアの石油・ガス産業の競争力強化、等を目指したNew Horizon戦略を発表、国営石油会社Ecopetrolは、これを受けて成熟油田のEORを積極的に実施するようになった。さらに、2018年10月には憲法裁判所が、コロンビアで実施される鉱業、石油探鉱・開発等エネルギープロジェクトに対する住民投票はこれを阻止する権利を有さず、その手段にもならないとの判断を下した。このような状況から、2016年から増加を始めていた天然ガス生産量に続き、埋蔵量と石油生産量も2018年には増加に転じるようになった。さらに、2019年に入り、カリブ海沖合鉱区の探鉱・開発契約が締結され、鉱区入札も実施された。このような状況から、コロンビアの探鉱・開発が再び活発化するのではないかと見られている。

本稿では、2019年に入ってからのコロンビアの探鉱・開発をめぐる動向をまとめた。


図1石油確認埋蔵量(単位:10億bbl)、図2天然ガス確認埋蔵量(単位:兆m3)、図3石油生産量(単位:千b/d)、図4天然ガス生産量(単位:10億m3)

1. カリブ海沖合鉱区の探鉱・開発契約締結

2019年3月から4月にかけ、ANHはカリブ海沖合5鉱区の探鉱・開発契約を締結した(図5、表1)。これらの鉱区については、2010~2014年に石油会社と技術評価契約(technical evaluation agreements: TEA)が結ばれていた。その結果を踏まえて、石油会社は探鉱を継続したいと考えていたものの、従来の探鉱・開発契約では契約期間の延長や政府との係争を仲裁機関で解決することが認められていなかったため、契約締結には至っていなかった。埋蔵量、生産量の減少を受けて、政府が、探鉱・開発促進に動き、2019年2月1日にANHが探鉱・開発契約変更を承認、契約期間の延長や仲裁機関での仲裁が認められたことから、石油会社がこれを受け入れ契約が締結されることになった。

図5カリブ海沖合鉱区
図5カリブ海沖合鉱区
各種資料より作成

3月4日には、ANHがEcopetrolとCOL 5鉱区(面積4,000平方キロメートル)の探鉱・開発契約を締結したと発表した。Ecopetrolは2億5,000万ドルを投じ同鉱区の3D地震探鉱データの処理と少なくとも2坑の掘削を行う計画だ。Ecopetrolは同鉱区の探鉱・開発を共に行うファームインパートナーを探している。

同じく3月に、ANHはShellとCOL 3鉱区及びGUA OFF 3鉱区(面積は両鉱区合計で8,800平方キロメートル)の探鉱・開発契約を締結した。Shellは、探鉱フェーズに両鉱区合わせて6億5,000万ドルを投じ、COL 3鉱区では地震探鉱データ1,000平方キロメートルの再処理と少なくとも探鉱井1坑の掘削、GUA OFF 3鉱区では3D地震探鉱(2,461平方キロメートル)等を行う計画である。なお、3月末にANHが発表したところによると、Noble EnergyがShellよりCOL 3鉱区及びGUA OFF 3鉱区の権益40%を取得し、両鉱区のオペレーターとなった。

4月には、RepsolとEcopetrolがGUA OFF 1鉱区、RepsolがCOL 4鉱区の探鉱・開発契約を締結したことが明らかにされた。GUA OFF 1鉱区では、探鉱第1フェーズで地震探鉱のデータ処理が行われる。COL 4鉱区については、ExxonMobilがRepsolより鉱区権益の50%を取得し、ファームインした。

表1 カリブ海沖合鉱区E&P契約締結状況
堆積盆地 鉱区 企業(権益保有比率) *オペレーター 投資予定額
Colombian COL 5 Ecopetrol*(100%) 2億5,000万ドル
Guajira Offshore GUA OFF 3 Noble Energy*(40%)、Shell(60%) 6億5,000万ドル
Colombian COL 3 Noble Energy*(40%)、Shell(60%)
Guajira Offshore GUA OFF 1 Repsol*(50%)、Ecopetrol(50%) 7億ドル
Colombian COL 4 Repsol*(50%)、ExxonMobil(50%)

各種資料より作成

なお、カリブ海沖合鉱区に関しては9件のTEAが締結されており、上述した通り、このうち5件について探鉱・開発契約が締結された。残りの4件のTEAはAnadarko Petroleumが締結しているCOL 1、2、6、7鉱区についてのものである。ところが、Anadarko Petroleumはこれらの鉱区のTEAを探鉱・開発契約に変更することなく、Occidental Petroleumに買収されることとなった。現時点で、Occidental Petroleumがこれらの鉱区をどのように取り扱うかは明らかにされていない。


2. 5年ぶりに鉱区入札を実施

TEAから発展した探鉱・開発契約とは別に、ANHは6月4日に、Permanent Process for the Assignment of Areas(PPAA)方式に基づく初の鉱区入札を実施した。このPPAA方式による第1次ラウンドの対象鉱区は陸上18鉱区、沖合2鉱区の合計20鉱区で、うち11鉱区にFrontera Energy、Parex Resources、Gran Tierra Energy、Geopark、Ecopetrol、Hocol、ONGC Videshの7社から19件の入札があった。Llanos Basin のLLA 87鉱区とLower Magdalena ValleyのVIM 22には3件ずつ、Llanos Basin のLLA86鉱区、LLA94鉱区、Cordillera BasinのCOR9鉱区、Upper Magdalena Valley BasinのVSM25鉱区には2件ずつの入札があった。今回の入札はこれまでの入札制度とは異なり、ANHが6月13日に入札状況の詳細を発表し、26日にカウンタービッドを受け付けた上で、最終結果が発表された(表2)。

コロンビアでは、2014年7月にANHがライセンスラウンドRonda Colombia 2014を実施したが、公開された95鉱区のうち26鉱区に、参加資格を取得した38社中19社が応札したのみで、期待外れの低調な結果に終わっていた。ちなみに、Ronda Colombia 2014の前のライセンスラウンドRonda Colombia 2012は2012年に行われ、対象115鉱区のうち49鉱区に37社から105件の入札があった。ANHはその後、2017年9月にライセンスラウンドSinú-San Jacinto Competitive Process 2017を実施する計画であったが、この入札は何度も延期され、2018年12月に中止された。

このような経緯から、今回の入札は5年ぶりの入札となった。対象鉱区の55%が落札され、石油会社が引き続きコロンビア上流に興味を持っていることが明らかになった。しかし、一方で入札資格を取得した企業22社のうち7社しか入札を行わなかったこと、新たにコロンビアでの探鉱・開発に参入する企業がなかったこと、メジャー企業は1社も入札に参加しなかったこと、カウンタービッドがあった鉱区が1鉱区だけだったことは、探鉱・開発を活発化させようとするコロンビア政府にとって解決しなくてはならない問題が多くあることを反映した結果であったと見られている。

表2 入札結果
堆積盆地 鉱区 落札企業(権益保有比率) *オペレーター 投資予定額
Guajira Offshore GUA OFF 10 Ecopetrol*(100%) 8,947万ドル
Cordillera COR 9 Hocol Petroleum*(100%) 3,837万ドル
Llanos LLA 104 GeoPark*(50%)、Hocol(50%) 3,062万ドル
LLA 85 Gran Tierra Energy*(100%) 832万ドル
LLA 86 GeoPark*(50%)、Hocol(50%) 3,891万ドル
LLA 87 GeoPark*(50%)、Hocol(50%) 5,028万ドル
LLA 94 Parex Resources*(100%) 3,970万ドル
LLA 99 Frontera Energy*(100%) 867万ドル
Lower Magdalena VIM 22 Frontera Energy*(100%) 6,468万ドル
Middle Magdalena Valley VMM 24 Gran Tierra Energy*(100%) 2,330万ドル
Upper Magdalena Valley VSM 25 Parex Resources*(100%) 3,962万ドル

各種資料より作成


3. 進展を見せないシェール開発

EIAは2013年6月に発表した「世界のシェールガス資源量評価」で、Catatumbo Basin、Middle Magdalena Valley Basin、Llanos Basinの評価を行い、コロンビアの技術的回収可能量をシェールガスが55Tcf、シェールオイルが68億bblとしている(図6)。政府は、シェール開発により同国の確認埋蔵量を3~4倍に増加させることができると見ており、生産量、埋蔵量を増加させる鍵をシェール開発が握っていると考えている。しかし、Duque大統領は水圧破砕を支持していると伝えられるものの、地元住民や環境保護団体の水圧破砕への反対が強く、コロンビアのシェール開発は進展していない。

図6コロンビアのシェール賦存堆積盆地
図6コロンビアのシェール賦存堆積盆地
出所:各種資料を基に作成

コロンビアでは、現在、Ecopetrol、ConocoPhillips、ExxonMobil、Parex等がシェール開発に取り組みたいという意向を持っている。

Ecopetrolは2019~21年にMagdalena Valleyを中心にシェール開発に約5億ドルを投じ、シェール井20坑以上を掘削する計画だ。2022年初めには商業段階に移行する計画であるという。EcopetrolはMiddle Magdalena Valleyのみで石油換算で40~70億bblのポテンシャルがあると見ているが、これまでのところ、環境規制当局ANLA(Autoridad Nacional de Licencias Ambientales)から水圧破砕に関して許可を得られていない。

Ecopetrolは、非在来型炭化水素管理部門(Gerencia de Hidrocarburos No Convencionales: GNC)という新部門を設けることを決定、Felipe Bayón Pardo総裁が同部署のトップにOccidental Petroleumでプロジェクトマネージャーやサプライチェーンのマネージャーを勤めた経験があるGabriel Antonio Combariza Rojas氏を任命した。

さらに、EcopetrolはOccidentalと、Occidentalの米国Permian Basin、Midland Basinの資産(面積97,000エーカー)を共同で開発するジョイントベンチャーを設立することで最終合意に達したと2019年8月に報道された。Ecopetrolは15億ドルを支払い、ジョイントベンチャーの持ち分の49%を取得、Occidentalは残りの51%を保有し、オペレーターの座にに留まる。取引は2019年末にクローズする予定となっている。Ecopetrolは2027年までにこの米国でのJVでは9.5万b/dを生産することを計画している。Ecopetrolはコロンビア国内で中質高硫黄のVasconia原油と重質高硫黄のCastilla Blendを生産しているが、軽質原油は生産しておらず、主に米国からThunder Horse、LLS、Mars、Bonito、WTI等の油種を輸入し、Barrancabermeja製油所(精製能力250,000 b/d)とReficar 製油所(同165,000 b/d)で処理している。今回、Occidentalと共同でPermian Basinの開発を行うことで、現在生産していない軽質原油を入手するとともに、シェール開発の技術取得を目指していると考えられる。

ConocoPhillipsは2年間にわたりMiddle Magdalena ValleyのVMM 2鉱区及びVMM 3鉱区でシェールのパイロットプロジェクトを実施したいと申請している。ConocoPhillipsは、パイロットプロジェクトの第1フェーズでは、4,500~5,000万ドルを投じ6坑を掘削する計画だ。しかし、現時点ではANLAの許可を得られずにいる。


おわりに

この4年間、新規の探鉱・開発契約が締結されなかったコロンビアで、2019年に入り16件の契約が締結されることとなり、20億ドルの投資が行われる見通しとなった。これは、Juan Manuel Santos前政権及びDuque政権の大きな成果と言えるだろう。ただし、PPAA方式による第1次ラウンドにはメジャー企業や新規参入企業の入札はなかった。

コロンビア政府は、PPAA方式による第2次ラウンドの最初の入札を10月31日に実施する計画だ。対象鉱区は23鉱区で、その内訳は沖合Guajira及び Sinú Basin4鉱区、Lower Magdalena Basin8鉱区、Llanos Basin5鉱区、Caguán-Putumayo Basin5鉱区、Catatumbo Basin1鉱区となっている。この入札を含め、今後のコロンビアの入札に引き続き石油会社が関心を示すか否か、また、コロンビアでの探鉱・開発が復調するか否かは、同国国内の状況に左右されることになるだろう。コロンビア政府は、2016年にゲリラ組織FARCと和平合意に至ったものの、別のゲリラ組織ELNによるインフラ攻撃は続いている。住民投票により石油・ガスプロジェクトが禁止されることはなくなったが、地域住民や環境保護団体の抗議行動により探鉱・開発は引き続き影響を受けているという。また、環境許可の取得には相変わらず時間がかかっている。近年、大規模な在来型油・ガス田の発見がないことも、石油会社がコロンビアに進出するか否かを決める際の要因の1つとなっているだろう。シェール開発状況を含め、今後もコロンビアの探鉱・開発動向を見守っていきたい。

以上

(この報告は2019年8月21日時点のものです)

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