ページ番号1007868 更新日 平成31年9月18日

ロシア情勢(2019年8月モスクワ事務所)

レポート属性
レポートID 1007868
作成日 2019-09-18 00:00:00 +0900
更新日 2019-09-18 14:24:47 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 基礎情報
著者 黒須 利彦秋月 悠也
著者直接入力
年度 2019
Vol
No
ページ数 14
抽出データ
地域1 旧ソ連
国1 ロシア
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 旧ソ連,ロシア
2019/09/18 黒須 利彦 秋月 悠也
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1. 政治・経済情勢

(1) 国内

政治・経済

経済発展省、インフレの予測を下方修正
  • 経済発展省は、8月26日、今年4月に発表していた2024年までのマクロ経済予測を更新した。今回の予測では、消費需要の減速を背景として、2019年から2020年のインフレーションが縮小した。Oreshkin経済発展大臣は同日、すべての悲観的な期待やVATの引き上げによる影響にも関わらず、2019年のインフレ率予測は4.3%から3.8%に引き下げられた、と説明した。2020年についても3.8%から3.0%に引き下げられているが、2021年は4月の予測と同じ4.0%となっている。
  • GDPの成長率は、2019年前半で0.7%と、2018年通年の2.3%から大きく減少しており、その要因として、総需要の減速、世界経済の弱さ、投資環境に対する認識の悪化が挙げられている。2019年の年間GDP成長率は1.3%と、4月の予測を据え置きした。
  • ウラル産原油価格については、4月の予測でも2019年の63.4ドルから、2024年の53.5ドルまで毎年下落していく予測となっていたが、今回の予測では、生産量の増加と生産コストの低下の影響から、2019年に62.2ドル、2024年に53ドルと、若干の下方修正がされている。

 

経済発展省による社会経済指標見通し
  2018 2019 2020 2021 2022 2023 2024
GDP増加率(%) 2.3 1.3 1.7 3.1 3.2 3.3 3.3
インフレ増加率(%) 4.3 3.8 3.0 4.0 4.0 4.0 4.0
投資増加率(%) 4.3 2.0 5.0 6.5 5.8 5.6 5.3
実質賃金増加率(%) 8.5 1.5 2.3 2.3 2.5 2.5 2.6
失業率(%) 4.8 4.6 4.5 4.5 4.5 4.4 4.3
輸出(10億ドル) 443 407 406 426 448 478 516
輸入(10億ドル) 249 248 259 276 296 318 344
経常収支(10億ドル) 113.5 71.5 55.7 56.7 48.5 49.5 52.5
ルーブル/ドル 62.5 65.4 65.7 66.1 66.5 66.9 67.4
ウラル産原油価格(ドル) 70 62.2 57 56 55 54 53

 

IMF、ロシアのGDP成長率低下の要因を分析
  • IMFは、8月2日、ロシア経済に関するレポートを発表し、その中で欧米の制裁や油価等の要因が、どの程度ロシア経済に影響しているか分析している。
  • 2014年から2018年におけるロシアのGDP成長率は平均0.5%と、2013年当時のIMFのWorld Economic Outlookでの予測よりも1.2ポイント低かった。この要因として、欧米等による対露制裁の影響が約0.2ポイント、石油価格の影響が約0.65ポイントで、残りの約0.3ポイントが金融やマクロ経済政策の影響によるものだとしている。
  • IMFは、2019年のGDP成長率は、油価の低迷やVAT引き上げによる消費の縮小で、1.2%となると見込んでいる。その後、国家プロジェクトの実施により、2020年にはGDP成長率は2.0%まで上昇するものの、より大きな構造改革が行われない限り、2024年には再度1.8%に落ち込むと予測している。
ロシア経済へのマイナス要因
ロシア経済へのマイナス要因
出典:IMF Country Reports No. 19/260: Russian Federation

(2) 対外関係

1) 米国

英国での毒殺未遂事件の追加制裁を発動
  • 8月1日、トランプ大統領は、2018年3月に英国でロシアの元工作員が毒殺未遂に遭った事件をめぐり、対露制裁の第二弾に署名をした。米国は2018年8月に同事件への対露制裁の第一弾を課している。
  • この決定により、米国は国際機関からロシアへの財政的・技術的支援に反対する。また、米国の金融機関が非ルーブル建てロシア国債の起債に参加すること、及びロシア政府に非ルーブル建て資金を貸しつけることを禁止する。さらに、商務省が管理する商品及び技術に対する輸出許可制限を追加する。今回の制裁は、8月26日から少なくとも1年間有効となる。
  • この制裁に対し、ロシアのSiluanov副首相兼財務大臣は、8月3日、ロシア経済は近年、制裁への抵抗力を証明しており、今回も柔軟なマクロ経済計画やバランスの取れた予算政策によりすぐに制裁に対応が可能だと述べた。

 

トランプ大統領がロシアをG7に戻すべきと主張
  • トランプ大統領は、8月20日、ホワイトハウスの記者会見で、G7にロシアがいる方がより適切だと考えている、G7で議論されていることの多くはロシアと関係がある、と述べた。また、トランプ大統領は8月26日の記者会見で、2020年に米国で開催されるG7サミットにロシアを招待する意欲を示した。一方、ロシアが出席をするかどうかについては、心理的に難しいだろう、との見解も示した。トランプ大統領は2018年6月のカナダでのG7サミットの際にも、ロシアのG7復帰の提案を行ったと報じられている。
  • ロシアのPeskov大統領報道官は、8月21日、トランプ大統領がロシアのG7復帰に言及したことについて、他のメンバー国の立場を知る必要があるとコメントした。また、Lavrov外務大臣は、G7がロシアをG7に復帰させると提案する決断をするならば、ロシアは検討する用意があるが、現時点ではG7内で決断をする必要があると語った。
  • イギリスのジョンソン首相とドイツのメルケル首相は、8月22日、共同記者会見で、ロシアはG7に再び招待されるべきではなく、ミンスク合意(2014年9月・2015年2月に署名されたウクライナのドンバス地域での停戦等合意)の確実な展開が必要だと述べ、現時点でのロシアのG7復帰には否定的な立場を示した。フランスで開催されたG7の成果文書は8月26日に公表され、ウクライナについて、今後数週間のうちにノルマンディー・フォーマット(ロシア・ウクライナ・ドイツ・フランスでウクライナ情勢を協議する形式)の閣僚会議をフランスとドイツが企画することが明記された。

 

2) フランス

マクロン大統領との首脳会談を実施
  • プーチン大統領とマクロン大統領は、8月19日、フランスのブレガンソンで首脳会談を行った。会談に先立って行われた記者会見で、プーチン大統領は、今年6月の欧州評議会でロシアの欧州評議会への全面復帰を支持したフランスの立場に感謝の意を示し、引き続き欧州連合との協力関係を構築するために、フランスの協力を期待する、と述べた。また、ウクライナとの紛争について、プーチン大統領はウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談を行ったことについて、首脳会談でマクロン大統領に報告する予定だと語った。これに対し、マクロン大統領はドイツとともにノルマンディー・フォーマットでの会議を準備する、と述べた。また、ロシアを加えたG8の枠組みの再開の質問に対してもマクロン大統領は、欧州連合とロシアの関係改善と同様に、G8の再開は欧州での紛争の解決に基づくと語り、ウクライナとの紛争の解決が必要との見解を示した。
露仏首脳会談の様子
露仏首脳会談の様子
写真出典:http://kremlin.ru/events/president/news/61336

3) ウクライナ

ゼレンスキー大統領との電話会談を実施
  • プーチン大統領は、8月7日、ウクライナ側の提案でゼレンスキー大統領と電話会談を行った。ロシア大統領府の発表によると、電話会談では、ウクライナ南東部の紛争について、7月21日に締結された停戦合意の厳格な遵守の重要性が強調された。また、プーチン大統領は、紛争を沈静化させるために、まずはドンバス地域での市民の死傷者を出しているウクライナ軍の砲撃をやめることが必要だと主張した。さらに、両首脳は、非常に重要なのはミンスク合意の一貫した履行であるとして、この目的のため、2014年5月に組織されたロシアとウクライナ、そして欧州安全保障協力機構での3者間での協議を含めた建設的な対話が必要であることが確認された。

 

4) モザンビーク

ニュシ大統領との首脳会談
  • プーチン大統領は、8月22日、モスクワを訪れたモザンビークのニュシ大統領と会談した。会談の中でプーチン大統領は、モザンビークとの貿易・経済関係について、非常に控えめだが、順調に推移しており、見通しはとても良いと評価した。ニュシ大統領は、ロシアの歓迎に感謝を示すとともに、最近モザンビークを襲った2つのサイクロン被害に対するロシアの支援に感謝を述べた。
  • ニュシ大統領のモスクワ訪問中の8月22日、Rosneftはモザンビークの国家石油院と協力合意に署名した。また、Rosneftは同日、モザンビークの国営石油会社とも、協力拡大の覚書に署名した。これらの合意により、Rosneftはモザンビークの複数の陸上・海上鉱区での探査活動を行う権利を取得し、将来、プロジェクトに参入する権利を保有する。RosneftのSechin社長は、モザンビークはRosneftの国際ビジネスにとって有望な地域の一つだと述べ、モザンビークでのポートフォリオを拡大していく意向を示した。
  • Rosneftは、2015年にExxonMobilと共同でモザンビーク海上の3鉱区のライセンスを落札し、2018年10月にモザンビーク政府とコンセッション契約を締結している。
ニュシ・モザンビーク大統領との首脳会談の様子
ニュシ・モザンビーク大統領との首脳会談の様子
写真出典:http://kremlin.ru/events/president/news/61352

2. 石油ガス産業情勢

(1) 原油・石油製品輸出税

  • 2019年8月、原油輸出税はUSD12.9/バレルに引き下げられ、東シベリア及びカスピ海北部の油ガス田等に対しては、引き続きゼロ課税となった。
  • 8月の石油製品輸出税はUSD28.2/トン、ガソリンについてはUSD51.7/トンに設定された。

参考:原油及び石油製品輸出税の推移

(2) 原油生産・輸出量

  • 8月、原油、ガス・コンデンセート生産量は4,776万トン(約3億4,865万バレル、平均日量1,129万バレル)で、前年同月比0.7%増。
  • 8月、原油輸出量は2,340万トン(約1億7,082万バレル)。前年同月比6.1%増。

 

Tokarev社長がメドベージェフ首相に原油汚染対策を報告

  • TransneftのTokarev社長は、8月19日、メドベージェフ首相と会談し、Druzhbaパイプラインの原油汚染事件を受けた今後の対応策について報告した。
  • メドベージェフ首相は、会談の中で、今回の事件が管理と監督の構造の問題であると指摘し、今後の同様の事件を防ぐためにTransneftがどのように対応するか、報告を求めた。これに対し、Tokarev社長は、原油の受け取りポイントの管理をTransneftに移転することを提案した。Tokarev社長によると、現在、パイプラインの受け取りポイントのうち、約150箇所は石油会社または民間企業に属しており、一定の規制の下で運用が管理されているが、現在の枠組みの中では4月の原油汚染を防ぐことができなかった。このため、Tokarev社長はTransneftの管理の下で、連邦レベルで統一された原油管理認証を実施する必要があると説明した。メドベージェフ首相は、この提案に賛成し、更なる検討を進めるように指示をした。
メドベージェフ首相とTokarev社長との会談
メドベージェフ首相とTokarev社長との会談
写真出典:http://government.ru/news/37683/

(3) 天然ガス生産量

  • 8月、天然ガス生産量は555億立方メートル(約2.0TCF)で、前年同月比1.6%増。

(4) 減産合意

Novak大臣、8月は減産合意水準まで増産の意向

  • Novakエネルギー大臣は、8月3日、2019年7月は2018年10月比で29万バレル/日の減産量だったと語った。これは、ロシアがOPEC+で合意している減産量22.8万バレル/日を27.2%上回っている。ロシアはDruzhbaパイプラインの原油汚染により、供給網に障害が出たことから一部で減産を余儀されなくなっていたが、Novak大臣は、8月の生産量は以前OPEC+で合意したレベルを維持すると発言し、8月は生産量を増やす意向を示した。
  • ロシアを含むOPEC+は7月初旬、2019年6月までだった協調減産を、2020年3月まで延長することで合意している。

(5) 北極海航路

北極海の輸送量を確保するためにより多くの資源探査が必要

  • 天然資源環境省のKobylkin大臣は、8月15日、新聞のインタビューで、北極海航路の輸送量を確保するためには、より多くの資源探査を行うことが必要で、天然資源環境相は、北極圏で官民合わせて年間500億ルーブル以上の投資を行うよう、地質調査の計画を作成している、と語った。これにはエネルギー資源だけではなく、固体の鉱物資源も含まれる。これに先立ち、Trutnev副首相は、7月25日、北極海航路の輸送量を確保するため、北極圏での地質調査を増加させる必要があると、天然資源環境省に指示をしていた。
  • しかし、同大臣は、膨大な北極圏の資源は現時点ですぐに開発する必要は無く、10年、15年後に適切な技術を得て開発を進めるべきで、技術がない中で人為的な災害のリスクを冒すべきではないと語った。また、原油価格が100ドル/バレルを超えれば、北極圏の開発が効率的に行えるとの見解を示し、規制ではなく低い原油価格が民間企業の北極圏の資源開発への参入を阻んでいる、と主張した。

(6) 税制・法制

北極圏の海上鉱区参画の制限緩和を検討

  • Trutnev副首相とKozak副首相は、8月26日、北極圏での開発を促進するため、大陸棚の資源開発に民間企業を参画させることを議論し、必要な法律案を作成する決定をした。現在、ライセンスを取得できるのは大陸棚での経験が5年以上ある国営企業に限られており、実質的にRosneftとGazpromだけがライセンスを保有することが可能。民間企業はこれらの企業の50%以下のパートナーとして、プロジェクトに参入することができる。過去には、外国企業が北極圏の海上鉱区の開発にも関心を示していたが、2014年の欧米の対露制裁以降、外国企業が参画する動きはない。また、2016年以降、政府は新たなライセンスの発行を凍結しており、ライセンスが発行された鉱区でも井戸の掘削は限定的で、政府が期待しているよりも同地域での開発は停滞している。
  • すでに北極圏の海上鉱区のライセンスは9割が発行されているが、法改正が実施されれば、残りの1割のライセンスについて、民間企業参入の制限が緩和される可能性がある。Novakエネルギー大臣は、8月27日、残りのライセンスについては収益性が高くないため、投資を誘致するためにより有利な課税制度が必要との見解を示した。

西シベリア・Priobsky油田の減税と引き換えに石油産業全体の増税を検討

  • 財務省は、Priobsky油田への減税には、石油産業全体の税負担を増やし、減税分をまかなう必要があるとの考えをメディアに示した。財務省は鉱物資源抽出税率の引き上げと、新たに随伴ガスへ鉱物抽出税を課すことを検討している。
  • RosneftやGazprom Neftから求められている同油田での減税について、プーチン大統領は、7月20日までに経済性を検討するように指示をしていたが、報道によると、プーチン大統領が同油田への鉱物抽出税の免除を承認したとされている。また、その他の石油事業への支援については、国が支援するための要件と手順を政府が12月までに検討することになっており、プーチン大統領は新たな支援措置を停止するように指示している。
  • 財務省はPriobsky油田からの歳入を600億ルーブル(油価は55~60USD/バレルで計算)と見積もり、すでにこの歳入の一部を国家プロジェクトに支出する計画を立てており、同油田への減税を実施するならば、財源の埋め合わせが必要だと説明している。
  • 同油田は北部をRosneftが保有し、南部をGazprom Neftが保有している。同油田は水分が多く、開発にはコストがかかると考えられるため、Rosneftは年間460億ルーブルの鉱物抽出税を10年間免除することを求めている。

3. ロシア石油ガス会社の主な動き

(1) Gazprom

商品取引所でのガス販売量を250億立方メートルに増加

  • 8月17日、メドベージェフ首相はGazpromのサンクトペテルブルク商品取引所でのガス販売最大量を175億立方メートルから250億立方メートルに引き上げる決議に署名した。これにより、Gazpromとその関連会社が、取引所での入札を通じて、年間250億立方メールまでの天然ガスを販売することができる。
  • 公正取引委員会(Federal Antimonopoly Service)のIgor Artemiev代表はメディアに対し、この変更により、消費者は自由価格でより多くのガスを取引所で購入することができ、さらに、取引所を通じた価格設定への移行のための一定の取引流動性を確保することができる、と説明した。
  • しかし、2018年の取引所での取引量は151.3億立方メートルで、Gazpromの販売量はこのうち89.9%(136億立方メートル)を占め、Roneftは6.6%、Novatekが3%を販売した。Gazpromは規制価格ではない価格でガスを国内に販売できるメリットがあるが、その他の企業は取引所で販売できる契約外のガスがないとの理由で、取引所での取引量は少ない。Gazpromが取引所での販売割当量を全て利用したとしても、ロシアのガス消費量の1割にも満たず、取引所での十分な流動性を確保するには、より多くのGazprom以外の生産者の取引参加が必要とされている。

(2) Gazprom Neft

Taimyr半島西部の12鉱区を確保

  • Gazprom Neftは、8月21日、Taimyr半島西部での地質探査のため、12鉱区で地下資源使用権を確保し、探査を開始すると発表した。鉱区はクラスノヤルスクのDolgano-Nenetskyに位置し、面積は合計で5,000km2。ライセンスは7年間有効。
  • Gazprom Neftは先願主義(埋蔵量の十分な確認がなされていないリスクの高い鉱区に関して、オークションを行わずに先に必要書類を提出した者がライセンスを獲得できる制度)に基づくライセンスの取得を初めて行った。この制度では、最初に必要な文書を提出した者に、鉱区を利用する権利が与えられる。鉱区に炭化水素資源の埋蔵量、D0、DL予測資源量が含まれていると、先願主義でのライセンス取得申請はできない。Taimyr半島は、主要な交通網や石油・ガスインフラから離れており、地質調査がほとんど進んでいない。
  • Dyukov社長はプレスリリースの中で、北極圏での石油開発は同社での戦略的優先事項だと位置づけており、既に発券済みの鉱区もこれから探査をする鉱区も、多くの機会がある、と述べた。また、Taimyr半島はロシアの中でも最も調査が進んでいない地域の一つで、我々は非常に高いポテンシャルを有していると考えており、地質調査プログラムを実施する予定であるとコメントした。Gazprom Neftは2021年から2022年にかけて空中からの地質調査を実施する予定で、その後、具体的な探査の計画を策定する予定。

(3) Novatek

Novatek、北極圏Gydan半島で鉱区ライセンスを取得

  • Novatekは、8月30日、子会社のArctic LNG1社が、Soletsko-Khanaveyskoye鉱区を含むGydan半島での地下資源の探査・生産ライセンスを獲得したと発表した。
  • ライセンスの鉱区は、ロシアの資源区分によると、2兆1,830億立方メートルのガスと2億1200万トンの液分資源量(石油換算で160boe)があると推定されている。ライセンスは27年間有効で、オークションで25.86億ルーブルで落札した。
  • 鉱区はGydan半島のTrekhbugorniy鉱区、Gydanskiy鉱区と隣接しており、次期LNGプロジェクト(Arctic LNG1)として、ガスを液化して出荷することを想定している。
Novatekが運営・計画するLNGプロジェクト
Novatekが運営・計画するLNGプロジェクト
出典:各種情報からJOGMEC作成

4. 東シベリア・極東・サハリン情勢

(1) 極東

ESPO接続によりKomsomolsk製油所への供給量が100万トン以上増加

  • RosneftのPavel Fyodorov第一副社長は、8月28日、同社のカンファレンスコールで、Komsomolsk製油所がESPOパイプラインの支線からの供給の開始後、同製油所への供給量が年間100万トン以上増加する見通しだと語った。
  • 同副社長によると、これまで製油所への原油の輸送は鉄道による輸送のみで、輸送期間は10日以上、1日の荷下ろし量は1万7,000~1万8,000トンであった。新たなESPOの支線の開始により、鉄道での輸送はなくなり、原油の輸送コストは大きく削減できる。同副社長は、コスト削減を約35%と見積もっており、20億ルーブルに相当すると明かした。さらに、Komsomolsk製油所への原油供給量は、間もなく年間100万トン以上増加する見通しだと語った。
  • 2018年にTransneftは年間容量800万トンのESPOパイプラインの支線を293㎞建設し、RosneftとTransneftは、2019年6月、同支線を利用した原油の輸送契約に合意している。同製油所はハバロフスク地方のKomsomolsk-on-Amurに位置し、現在の処理能力は年間約800万トン。

5. 新規LNG・P/L事業

(1) Nord Stream 2

パイプラインの75%の敷設を完了

  • Nord Stream 2 AG社は、8月26日、Nord Stream 2の75%の敷設を完了したと発表した。敷設が完了したのは、バルト海のロシア、フィンランド、スウェーデン、ドイツにまたがる海域で、2本並行するパイプラインの総距離は1,855㎞となる。ロシアとドイツの陸上の建設工事も完了に向かっている。
  • 8月21日には、ロシアとフィンランドの首脳会談がヘルシンキで開催され、プーチン大統領は、Nord Stream 2のフィンランドのセクションの完成を発表した。また、プーチン大統領は記者会見で、米国が欧州に対してロシアからのガス輸入を米国産のLNGに置き換えるように説得し、欧州がより高い価格で米国からガスを買うことも欧州の選択しだと述べた上で、欧州は欧州のガスを購入することに関心があることが客観的な事実だと指摘して、Nord Stream 2は実現するとの考えを示した。
  • Nord Stream 2は、今年中に完成する計画となっているが、デンマークの領海にパイプラインを敷設するためのデンマーク政府からの許認可はまだ得られていない。

(2) 「シベリアの力」P/L

パイプラインへのガス充填を開始

  • サハ共和国のAisen Nikolaev知事は、8月29日、サハ共和国で開催された石油・ガス関連のフォーラムで講演し、8月29日に「シベリアの力」P/Lへのガスの充填が開始されたことを明かした。Gazpromの子会社のGazprom Dobycha Noyabrsk社は、8月14日、「シベリアの力」P/Lのガスの第一供給源となる東シベリアのChayanda 鉱区と、「シベリアの力」P/Lの基幹パイプラインとが接続され、東回りで中国にガスを供給するルートの準備が進んでいると発表していた。「シベリアの力」P/Lは今年12月1日に運用を開始する予定になっている。
  • 他方、ロシアのエネルギー省国家エネルギー政策部のAlexei Kulapin部長は、8月7日、西回りで中国にガスを輸送する「シベリアの力」P/L 2について、技術面でロシアと中国が合意したと、アルタイ共和国で開催されたカンファレンスで語った。同部長によると、ガス価格についての課題が残っており、中国との協議が続けられている。
「シベリアの力」P/L地図
「シベリアの力」P/L地図
写真出典:https://www.gazprom.com/projects/power-of-siberia/

(3) Turk Stream

年末までにパイプラインの稼働開始予定

  • プーチン大統領は8月27日、トルコのエルドアン大統領と会談し、同日の共同記者会見で、ロシアからトルコに天然ガスを供給するTurk Streamのガス輸送を今年の年末までに開始すると語った。プーチン大統領は、Turk Streamの建設は計画通りに進んでおり、年末にはロシア産のガスはトルコの消費者に届けられ、同パイプラインの2本目が完成して輸送能力が高まれば、トルコを経由した欧州への供給が開始されると語った。
  • また、プーチン大統領はRosatomが建設に着手している、トルコで最初の原子力発電所になると見込まれているAkkuyu原子力発電所が2023年にも運用開始予定であることにも触れ、Turk StreamとAkkuyu原子力発電所の両プロジェクトは技術的にも環境的にも最上級の要求を満たし、地域と欧州のエネルギー安全保障に最も重要な要素になるだろう、と述べた。
エルドアン大統領との首脳会談の様子
エルドアン大統領との首脳会談の様子
写真出典:http://kremlin.ru/events/president/news/61386

以上

(この報告は2019年9月18日時点のものです)

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