ページ番号1007886 更新日 平成31年10月2日

三次元物理探査船「資源」による調査活動

レポート属性
レポートID 1007886
作成日 2019-10-02 00:00:00 +0900
更新日 2019-10-02 13:34:01 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 技術探鉱開発
著者
著者直接入力 池 俊宏
年度 2019
Vol
No
ページ数 4
抽出データ
地域1 アジア
国1 日本
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 アジア,日本
2019/10/02 池 俊宏
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概要

独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)では、我が国周辺海域に存在する石油・天然ガス資源の精細なデータを効率的・機動的に収集することを目的に、経済産業省所有の公船として導入した三次元物理探査船「資源」の運航管理及び調査を受託し、平成20年度から30年度まで海上の「国内石油天然ガス基礎調査」を実施してきました。本調査は、我が国周辺海域において概ね62,000平方キロメートルの三次元物理探査を行うことを目標とし、62,175平方キロメートルのデータ収録を達成しました。目標通りの調査を完遂できたことはひとえに関係各位の理解と協力によるところであり、この場を借りてお礼申し上げます。

ここでは、「資源」の調査方法、「資源」の装備の更新、「資源」の調査実績、について紹介します。


1. 「資源」導入の目的

国は、民間企業の事業活動を補完し、促進することによって、国内における資源の探鉱・開発を進め、国産石油・天然ガス資源の生産量拡大を目指す観点から、“基礎物理探査及び基礎試錐からなる国内石油天然ガス基礎調査”を実施しています。

国内石油天然ガス基礎調査は、我が国における油田・ガス田の探鉱・開発という企業活動との関係において、国が先導的に調査を行うものであり、こうした観点から、その実施の際には積極的に世界の先端技術導入に努めてきました。その一つが三次元物理探査技術です。

油田・ガス田を発見するには、実際に坑井を掘削すること(試掘)により原油・天然ガスが地下に存在しているか否かを確認する必要がありますが、その成否は試掘に際してのロケーション選定が重要な鍵となります。

三次元物理探査は、従来の二次元物理探査に比べ試掘ロケーション選定の精度を飛躍的に高めるものであり、平成20年2月に経済産業省所有の公船として我が国初の三次元物理探査船「資源」が導入されました。「資源」の運行管理、調査の実施については、JOGMECに委託されています。

 

図1  「資源」(平成31年2月)
図1 「資源」(平成31年2月)

2. 調査方法(データ取得、データ処理、データ解釈)

「資源」の調査方法は、大きく3つの要素に分けられ、データ取得、データ処理、データ解釈と呼ばれています。

図2 データ取得

データ取得では、震源となるエアガンと、その震源から発せられ海底面や地層の境界に当たって返ってきた反射波を受振するハイドロホンを多数内蔵したストリーマーケーブルの位置情報を正確に把握することで、データの品質を一定に保ってきました。「資源」で長年使用され、経年劣化等により交換した大型部品の一例を上げますと、本船とパラベインを繋ぐスーパーワイドロープ、ストリーマーケーブルの一部セクション、ストリーマーケーブル同士の海中での位置関係を測るエコーサウンダーがあります。また、テールブイの小型軽量化を平成25年度に実施しました。

この他のデータ取得仕様において、調査エリア毎に急峻な傾斜を持つ構造にも対応できるよう、発震間隔を18.75メートル、25メートル、37.5メートル、またストリーマーケーブルの間隔も75メートル、100メートルと調整することで、イメージングの向上を実現しました。これに加え、ストリーマーケーブルを4,800メートルないし6,000メートルまで曳航することで、過去の基礎調査で収録されたデータよりも重合数を増加させるとともに速度解析の精度向上を実現しました。

データ処理では、反射波の抽出に加え、大規模なノイズ軽減処理や科学計算処理を、スーパーコンピュータで実行しますが、ノイズ軽減処理がこれまで一次元や二次元の領域で実施されることがほとんどだったところ、三次元の処理を適用することで、イメージングの向上を実現しました。一例をあげますと、2D-SRME処理は、平成24年度から3D-SRMEを適用しています。この他、反射波の分解能を向上させるブロードバンド処理が平成26年度から実施されたことにより浅層域で抽出できる地質構造がより鮮明になりました。また、短周期の多重反射を抑制し、また反射波の分解能を向上させる処理項目として多用されてきたデコンボリューション処理はテスト処理の結果の検討に基づき使用頻度を低下させることにしました。その一方で、平成20年代後半に入りまして、モデルベースのノイズ軽減処理の使用頻度が増えました。以上の事から、「資源」で取得されたデータは、調査時期の後半になるにつれ、よりノイズの少ないデータ処理を実現したことで、より良い速度解析を実施することができるようになり、その結果、海上からでは把握することが難しい地下構造を高い分解能で視覚化することが可能になりました。

データ解釈では、一部の堆積盆地においては、複数年の調査を通して広く三次元データを取得したことで、数万平方キロメートルにもおよぶ堆積盆地スケールの構造や断層、そして周辺の構造発達史を解釈するとともに、その海域や堆積盆での石油システム及び炭化水素のポテンシャル(有望性)を評価することが可能になりました。

図3 データ解釈-石油システムを構築する地下構造パターン
図3 データ解釈-石油システムを構築する地下構造パターン

3. 「資源」の調査実績

「資源」を用いた基礎物理探査については、平成30年度までに我が国周辺海域において概ね62,000平方キロメートルの三次元物理探査を行うことを目標とし、乗組員や陸上職員の支援を基に、予想を超える荒天待機など幾多の苦難を乗り越え、その目標を達成しました。実績として、日本周辺で40調査、3Dの調査面積の合計約62,175平方キロメートル、2Dの調査測線長の合計約19,075キロメートルを実施しました。なお、技術移転は、操船技術について平成21年3月末に完了、探査技術についても平成28年度4月に初の日本人主体による物理探査を実施しました。本調査で得られた技術力は、新規物探船に引き継がれ、海上物理探査を推進していくことが大いに期待されます。

図4 「資源」の平成19~30年度の調査実績
図4 「資源」の平成19~30年度の調査実績

4. おわりに

三次元物理探査船「資源」により取得したデータを用いて石油・天然ガスの賦存が期待される地下構造が抽出されてきました。その後、国による基礎試錐(平成25年「上越海丘」、平成28年「島根・山口沖」、平成31年「日高トラフ」)が実施され、一定の成果を得ることができました。同データの解析結果から、有望な海域も発見され始めていることから、民間による試掘等により商業化のための経済性評価が行われ、開発へ進んでいくことが期待されます。

国内における資源の探鉱を進め、国産石油・天然ガス資源の生産量拡大を目指すため、JOGMECは令和元年度に新規三次元物理探査船を調達し、日本周辺海域に新たな探鉱ポテンシャルを求めて、安全かつ効率的な調査に取り組んで参ります。こうした取り組みが、現在は開発フロンティアといえる日本周辺海域の石油・天然ガスの開発を後押しし、将来的に石油・天然ガスの国内生産量の増加、ひいては我が国のエネルギー資源の安定供給確保に資することが期待されます。

以上

(この報告は2019年9月30日時点のものです)

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