ページ番号1007923 更新日 平成31年11月14日

ブラジル:石油生産量は急増しているが、プレソルト入札は低調な結果

レポート属性
レポートID 1007923
作成日 2019-11-14 00:00:00 +0900
更新日 2019-11-14 14:35:20 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 探鉱開発
著者 舩木 弥和子
著者直接入力
年度 2019
Vol
No
ページ数 10
抽出データ
地域1 中南米
国1 ブラジル
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 中南米,ブラジル
2019/11/14 舩木 弥和子
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概要

  • 2019年下半期に入り、ブラジルの石油生産量が急増し、300万b/dまであと一歩という状況になっている。プレソルトの増産に伴い、ブラジル全体の石油生産量は引き続き増加すると見られている。Bento Abuquerque鉱山エネルギー大臣は、ブラジルは2030年までに石油生産量を550万b/dに増加させ、世界の産油国トップ5に仲間入りすることを目指していると語っている。
  • ブラジルでは2019年11月に沖合プレソルトの9鉱区を対象とする2回の入札が実施された。しかし、サインボーナスが高額であること、Petrobras以外の企業がオペレーターとなれる鉱区が少なかったこと、手続きが煩雑なこと等の理由から、Petrobrasと中国企業のコンソーシアムが2鉱区を、Petrobrasが単独で1鉱区を落札したのみという結果に終わった。政府は、落札されなかった鉱区を今後の入札にかける計画であるとするとともに、プレソルトエリアにもコンセッション契約を導入することや Petrobrasがプレソルトエリアについて有する優先権を廃止すること等を内容とした法律改正を目指しているとも伝えられている。

(ANP website、Platts Oilgram News、International Oil Daily、Business News Americas他)


2016年中頃より250~260万b/dで推移してきたブラジルの石油生産量は2019年7月に277.5万b/d、8月に298.9万b/dと急増した。原因は、2017年末から積極的に行われていたメンテナンスが一段落したことと、2018年以降に生産を始めた7基の新規浮体式生産貯蔵積出設備(Floating Production Storage and Offloading System:FPSO)の生産量が順調に増加していることとされている。これらのFPSOは現在生産能力の半分程度まで生産を伸ばしていること、また、2019年末までにさらに1基のFPSOが生産を開始する予定であることから、ブラジルの石油生産量はさらに増加すると見られている。

このような状況下、ブラジルは2019年11月初めにプレソルトエリアを対象とする入札を2回実施した。政府は、メジャーをはじめとする石油会社が競って札を入れ、落札された鉱区は、10月に実施された第16次ライセンスラウンドで付与された鉱区(「ブラジル:第16次ライセンスラウンド、プレソルトエリア周辺鉱区に関心集中」参照)と併せて、今後のブラジルの石油生産増を牽引することになるとの期待が非常に高まっていた。国際石油会社(International Oil Company:IOC)も入札参加資格を取得していたが、IOCの入札はなく、2回の入札を併せて対象とされた9鉱区のうち、2鉱区をPetrobrasと中国企業のコンソーシアムが、1鉱区をPetrobrasが単独で落札するのみという極めて低調な結果に終わった。

本稿では、ブラジルの生産増の状況を紹介するとともに、プレソルトエリアを対象とする2回の入札の結果とその背景をまとめた。


1. 石油・天然ガス生産状況

2019年8月のブラジルの石油生産量は298万9,000b/dとなった。2018年8月の252万2,000b/dから18.5%の増加、史上最高だった2019年7月の277万5,000b/dからも7.7%の増加となり、史上最高記録を更新した(図1)。

図1.石油生産量推移(単位:1,000b/d)
図1.石油生産量推移(単位:1,000b/d)  出所:ANP websiteを基に作成

ブラジルでは2014~2016年の間、年初にはメンテナンスが行われるため石油生産量が低く抑えられるものの、年後半にはメンテナンスが終了し、石油生産量が増加するという傾向があった。しかし、2017年末から2019年初めにはメンテナンスが集中的に行われた。また、新規FPSOの生産開始の遅れも影響し、ブラジルの石油生産量は2016年中ごろ以降、年間を通じて250万b/dから260万b/d台で推移していた。

2019年半ば以降の石油生産量増加には、遅延していたFPSO7基が2018年4月以降、順次、生産を開始したことが寄与していると考えられる(表1)。これらのFPSOは、ランプアップの期間が従来の18か月から12か月に短縮された。また、これらのFPSO につなぎこまれている坑井の1坑当たりの生産量は4万b/dを上回るものもあり、生産増に大きく貢献したと考えられる。これら新規FPSO7基の生産量は、2019年8月時点で合計の生産能力の半分を上回ったところであり、さらに増加すると見込まれている。

9月の石油生産量は292万7,000b/dと8月比2.1%減少したものの、2019年末にはBerbigao油田のFPSO P-68 が生産を開始する予定で、先に生産を始めている7基のFPSOと併せて生産増を後押しするとみられている。

 

表1. 2018~2019年生産開始のFPSO
FPSO オペレーター 油田 生産能力 生産開始
石油(万b/d) ガス(MMm3/d)
P-74 Petrobras Búzios 15 7 2018/4/20
Cidade de Campos dos Goytacazes MV29 Petrobras

Tartaruga Verde

Tartaruga Mestiça

15 3.5 2018/6/22
P-69 Petrobras Lula Extremo Sul 15 6 2018/10/23
P-75 Petrobras Búzios 15 7 2018/11/12
P-67 Petrobras Lula Norte 15 6 2019/2/1
P-76 Petrobras Búzios 15 7 2019/2/20
P-77 Petrobras Búzios 15 7 2019/3/19
P-68 Petrobras Berbigao-Sururu 15 6 2019末予定

各種資料を基に作成

 

ブラジルでは生産される天然ガスの80%以上を随伴ガスが占めているため、天然ガス生産量の推移は石油生産量の推移と似た動きを示している。2019年8月の天然ガス生産量は133MMm3/dと2018年8月の106MMm3/dから25.4%増加、過去最高を記録した2019年7月の124MMm3/dから7.2%増加した。


図2.天然ガス生産量推移(単位:MMm3/d)
図2. 天然ガス生産量推移(単位:MMm3/d)  出所:ANP websiteを基に作成

石油・天然ガスの生産急増を牽引しているのはプレソルトの油田である。2019年9月のプレソルトの生産量は228.9万boe/d(石油182.7万b/d、ガス73.3MMm3/d)で、8月の242万7,000boe/d(石油192万8,000b/d、ガスガス79.3MMm3/d)からは減少したが、それ以前の最高値であった7月の218万4,000boe/d (石油173万2,000b/d、ガス71.9MMm3/d)を上回っている。生産井の数は7月99坑、8月と9月は110坑となっている。これはブラジルの坑井数の2%以下に相当し、全坑井数のわずか2%でブラジルの総生産量の60%以上を生産していることとなる。ANPが5月に発表したところによると、油井1坑当たりの生産量は平均で、プレソルトが21,711b/d、ポストソルトが 2,100b/d、陸上が34b/d となっている。

Bento Albuquerque鉱山エネルギー大臣は10月末に、ブラジルは2030年までに石油生産量を550万b/dに、天然ガス生産量を260MMm3/dに増加させ、世界の産油国トップ5に仲間入りすることを目指していると語った。

一方、Bolsonaro大統領は、サウジアラビアのMohammed Bin Salman王太子と会談、OPEC加盟への非公式の招待を受けたことを明らかにし、また、ブラジルはOPEC加盟に関心があると発言した。OPECに加盟すれば、OPECプラスによる協調減産に参加することになり、生産を増やすことは難しくなる。また、ブラジルはこれまで、ブラジルの契約の下では政府が契約を締結している企業の生産に干渉することはできないとしてきており、今後の動向が注目される。


2. プレソルトを対象とする入札の結果

ブラジル国家石油庁 (Agencia Nacional do Petroleo, Gas Natural e Biocombustiveis:ANP)は、2019年11月6日にTransfer of Rights(TOR)払下PS入札ラウンドを、7日に第6次PS入札ラウンドを実施した。

TOR払下PS入札ラウンドは、最も高い政府引取利益原油の比率を提示した企業、コンソーシアムが各鉱区を落札することとなっているが、対象とされた4鉱区のうちBúzios鉱区とItapu鉱区に1件ずつしか札が入らず、それぞれ政府が設定した最低比率で落札された。

 

表2. Transfer of Rights払下PS入札ラウンド
鉱区 サインボーナス
(億レアル)
政府引取利益原油
(最低比率)
落札企業・コンソーシアム
*オペレーター
Búzios 681.94 23.24%(23.24%) Petrobras*(90%)、CNODC(5%)、CNOOC(5%)
Sépia 228.59 (27.88%)
Atapu 137.42 (26.23%)
Itapu 17.66 18.15%(18.15%) Petrobras*(100%)

注)サインボーナスは入札前に政府が定める ANP websiteを基に作成

 

図2.PS入札ラウンド対象鉱区
図2. PS入札ラウンド対象鉱区  各種資料を基に作成

TORエリアは、2010年に連邦政府が同エリアのプレソルトから50億bbl相当の原油・天然ガスを生産する権利をPetrobrasに付与したエリアである。今回のTOR払下PS入札ラウンドは、その後の探鉱で同エリアのプレソルトの確認埋蔵量が50億boeを上回ることが明らかになったことから、50億boeを上回る量を生産する権利を入札にかけたものである。

Búzios鉱区は、Petrobras (90%)/CNOOC (5%)/CNODC (5%)のコンソーシアムが落札した。サインボーナスは681.94億レアル(約173億ドル)となっている。同鉱区では、2010年に政府とPetrobrasの間で締結されたTOR契約に基づいて、Petrobrasが31.5億boe を生産することとなり、2013年12月に開発を開始、2018年4月に生産が始まった。Búzios油田は現在、4 基のFPSO(P-74、P-75、P76、P-77)を用い60万boe/dを生産中、ブラジル第2位の油田となっている。また、2019年9月にはBúzios油田の生産井1坑がブラジル国内の1坑当たりの生産量の最高値となる51,000 boe/dを生産している。同油田には、2022年下半期にさらにFPSO1基が追加される予定となっている。ANPは、同鉱区でさらに65~100億boeを生産可能と見ている。

Itapu鉱区は、Petrobras が単独で落札、権益100%を保有することになった。サインボーナスは17.66億レアル(約4.49億ドル)となっている。PetrobrasはTOR契約に基づいて同鉱区の3.5億boeを生産することとなり、2014年9月に開発を開始、すでにFPSOを発注済みだ。ANPは、同鉱区で3.5億boeに追加して3~5億boeを生産可能としている。

Sepia鉱区とAtapu鉱区には札が入らなかった。PetrobrasはAtapu 鉱区の5.5億boeを生産するとし、2014年12月に開発を開始した。ANPは同鉱区ではさらに25~40億boeを生産可能と見ている。PetrobrasはSepia鉱区では5億boeを生産するとし、2014年9月より開発を行っている。ANPは同鉱区では5~7億boeを追加生産可能としている。Sepia、Atapu両鉱区についてもFPSOは発注済みでAtapu鉱区では2020年に生産開始が予定されている。Albuquerque 鉱山エネルギー大臣は2020年に行われる入札の対象鉱区にSepia、Atapuの2鉱区を加えるとしている。

落札企業・コンソーシアムはPS契約を締結することになるが、この契約はPetrobrasが締結しているTOR契約の余剰分(50億bblを上回る量)を生産するものとなるため、通常よりも手続きが複雑となる。落札企業・コンソーシアムは、PS契約締結後18か月以内にPetrobrasと共同参加契約(co-participation agreement)を締結し、権益持分を確定、Petrobrasがこれまで各鉱区に行ってきた投資について自らの権益分を同社に支払うことになる。さらに、鉱区によっては隣接鉱区とユニタイゼーションを行う必要がある。ブラジルでユニタイゼーションを行うには通常約1年かかるが、契約形態が異なることからそれ以上の時間を必要とすると見られている。

Sepia、Atapu両鉱区が落札されなかったことで、政府が合計で270億ドルを上回ると期待していたサインボーナスは170億ドル超に留まった。事前に入札参加資格を取得した企業は14社(BP、Chevron、CNODC、CNOOC、Ecopetrol、Equinor、ExxonMobil、Galp Energia、Petrobras、Petronas、Qatar Petroleum、Shell、Total、Wintershall DEA)だったが、BPとTotalが入札に先立ち不参加を表明、これにChevron、Petronas、Qatar Petroleum、Shell、Wintershall DEA等が続き、最終的にPetrobrasと中国企業のみが入札を行った。メジャーをはじめとするIOCが1社も札を入れなかったこと、及び、サインボーナスが政府の予定額を下回ったことから、TOR払下PS入札ラウンドは失敗との見方もあるが、政府は10年近くPetrobrasと交渉を行い、入札が実施できたことは成功であったとし、Albuquerque鉱山エネルギー大臣は結果に満足していると語った。

第6次PS入札ラウンドも、政府引取利益原油の比率により競われることとなっていたが、対象とされた5鉱区のうちAram鉱区にPetrobrasとCNPC傘下のCNODCのコンソーシアムが札を入れたのみで、同コンソーシアムがAram鉱区を政府が設定した最低比率で落札した。

 

表3. 第6次PS入札ラウンド対象鉱区
盆地 鉱区

サインボーナス

(億レアル)

政府引取利益原油

(最低比率)

落札企業・コンソーシアム

*オペレーター
Santos Aram 50.5 29.96%(29.96%) Petrobras*(80%)、CNODC(20%)
Bumerangue 5.5 (26.68%)
Cruzeiro do Sul 11.5 (29.52%)
Sudoeste de Sagitário 5 (26.09%)
Campos Norte de Brava 6 (36.98%)

注)サインボーナスは入札前に政府が定める ANP websiteを基に作成

 

Aram鉱区は原始埋蔵量が290億bblと言われ、Lula油田やBúzios油田に匹敵する油田であると見られている。また、Equinorが開発中のCarcará油田に隣接しており、この入札でIOCの関心が集中すると見られていた鉱区だ。Petrobras/CNODCコンソーシアムは同鉱区の探鉱に2.78億レアルを投じる計画である。

札は入らなかったが、Cruzeiro do Sul鉱区はLula油田とBM-S-24鉱区(Jupiterガス田)に挟まれた鉱区で、複数の構造があり、ANPは同鉱区の原始埋蔵量を46.5億bblと見ている。また、Bumerangue鉱区はフロンティアエリアに位置し、これまで周辺のプレソルトで油田が発見されたことはないが、ANPはBumerangue他4構造があり、原始埋蔵量を36.3億bblと推定している。Sudoeste de Sagitário鉱区とNorte de Brava鉱区は、それぞれPetrobrasがオペレーターのBM-S-50鉱区及びMarlim-Voador鉱区とユニタイゼーションを行う必要があるが、ANPは原始埋蔵量を15.4億bbl、7.84億bblと推定している。

第6次PS入札ラウンドに関しては、過去のPS入札ラウンドで最高の17社(Chevron、ExxonMobil、Murphy Exploration、BP、Shell、Repsol、Ecopetrol、CNOOC、CNODC、Wintershall DEA、Qatar Petroleum、Petronas、Petrobras、Cepsa、Enauta、Petrogal、Equinor)が入札参加資格を取得していたが、最終的に札を入れたのはPetrobrasとCNODCの2社のみであった。

政府は78億5,000万レアル(約19億6,250億ドル)のサインボーナスを期待していたが、サインボーナスは50.5億レアルとなった。

また、Aram、Sudoeste de Sagitário、Norte de Brava の3鉱区で権益30%以上を保有しオペレーターを務める優先権を行使するとしていたPetrobrasが、Aram鉱区にしか入札しなかったことも、驚きをもって受け止められている。

それでも、Albuquerque鉱山エネルギー大臣は、結果はブラジルにとってポジティブなものであり、落札されなかった鉱区は今後の入札で公開する計画であると語った。


3. プレソルトを対象とする入札が低調な結果となった理由

ブラジルでは2016年にTemer前大統領が就任して以降、探鉱・開発促進策がとられるようになった。Petrobrasが沖合Santos 盆地、Campos盆地プレソルトの全ての新規鉱区について権益30%以上を保有し、オペレーターを務めなくてはならない制度が変更され、Petrobrasは入札前に権益30%以上を保有しオペレーターを務める鉱区を選定できる優先権を与えられた。また、頻繁に入札が実施され、プレソルトの有望鉱区が公開されるようになった。

これを受け、メジャーをはじめとするIOCや国営石油会社(National Oil Company:NOC)が、ブラジル沖合プレソルトに参入(表4)、ExxonMobilやEquinor等はプレソルトをコアエリアとし、活発に探鉱・開発を実施するようになった。ではなぜ、IOCからの入札は今回、低調だったのであろうか。

 

表4. 第1~6次PS入札ラウンド落札鉱区

ラウンド

(対象鉱区数)時期

鉱区 入札数

落札コンソーシアム(権益保有比率)

*オペレーター

1(1)

2013/10/21
Libra 1 Petrobras*(40%)、Total(20%)、Shell(20%)、CNPC(10%)、CNOOC(10%)

2(4)

2017/10/27
Norte de Carcará 2 Statoil*(40%)、ExxonMobil(40%)、Petrogal(20%)
Sul de Gato do Mato 1 Shell*(80%)、Total(20%)
Entorno de Sapinhoa 2 Petrobras*(45%)、Shell(30%)、Repsol Sinopec(25%)

3(4)

2017/10/27
Peroba 3 Petrobras*(40%)、BP(40%)、CNODC(20%)
Alto de Cabo Frio Oeste 1 Shell*(55%)、CNOOC(20%)、QPI(25%)
Alto de Cabo Frio Central 2 Petrobras*(50%)、BP(50%)

4(4)

2018/6/7
Uirapuru 4 Petrobras*(30%)、Petrogal(14%)、Statoil(28%)、ExxonMobil(28%)
Três Marias 2 Petrobras*(30%)、Chevron(30%)、Shell(40%)
Dois Irmãos 1 Petrobras*(45%)、Statoil(25%)、BP(30%)

5(4)

2018/9/28
Saturno 2 Shell*(50%)、Chevron(50%)
Tita 2 ExxonMobil*(64%)、QPI(36%)
Pau-Brazil 2 BP*(50%)、CNOOC(30%)、Ecopetrol(20%)
Sudoeste de Tartaruga Verde 1 Petrobras*(100%)

6(5)

2019/11/7
Aram 1 Petrobras* (80%)、CNODC (20%)

各種資料を基に作成

 

その理由として、まず、サインボーナスが高額であったことが挙げられる。10月に実施され、多くのIOC、NOCが札を入れた第16次ライセンスラウンドは、落札者選定基準がサインボーナスと最低作業量であったのに対し、PS入札ラウンドではサインボーナスはあらかじめ政府により設定されており、最も高い政府引取利益原油の比率を提示した企業、コンソーシアムが各鉱区を落札する仕組みとなっている。さらに、TOR払下PS入札ラウンド対象鉱区については、サインボーナスに加えて、Petrobrasがこれまで各鉱区の探鉱・開発に費やしてきた投資を権益保有比率に応じて負担、同社に支払わなくてはならない。BP、Total、Shell等は入札ラウンド以前から、サインボーナスとPetrobrasへの支払いが高額であることを理由に札を入れないと表明していた。ExxonMobilも、大きなチャンスではあるが、サインボーナスとPetrobrasへの支払いが高すぎると発言していた。

また、オペレーターになることを希望するIOCやNOCにとっては、オペレーターになれない鉱区が多かったことも入札を行わない理由になったと考えられる。Temer前政権成立後の制度の改正により、Petrobrasがプレソルトの全ての新規鉱区でオペレーターを務めることはなくなった。しかし、依然としてPetrobrasは事前にオペレーターを務めることを希望する鉱区を選ぶことができる優先権を持っている。Petrobrasは、TOR払下PS入札ラウンドではBúzios鉱区とItapu鉱区のオペレーターを務めるとした。が、TOR鉱区ではすでにPetrobrasが開発・生産を行っている。そして、落札企業・コンソーシアムはPetrobrasと共同参加契約を締結することになる。すなわち、これらの鉱区では、引き続きPetrobrasがオペレーターとなることが推察される。このような状況から、Totalはパートナーとしてしか参加できないため、TOR払下PS入札ラウンドには参加しないと表明していた。また、第6次PS入札ラウンドに関しては、PetrobrasがAram、Sudoeste de Sagitário、Norte de Brava の3鉱区でオペレーターを務めるとしたため、他企業がオペレーターとなれる鉱区はBumerangueとCruzeiro do Sulの2鉱区しか残されていなかった。

TOR払下PS入札ラウンドに関しては、Petrobrasと共同参加契約を締結する等、通常よりも手続きが煩雑になることも石油会社が入札を思いとどまる原因となったと見る向きもある。また、ユニタイゼーションを行うことが必要な鉱区が多かったことも、石油会社が積極的に入札を行わなかった理由の一つとする見方もある。コンセッション契約を締結している鉱区とユニタイゼーションを行わなければならない場合、契約形態が異なることから、通常よりも時間を要する可能性がある。

さらに、多くの企業が入札を行わなかった背景には、企業戦略の変化もあると考えられる。IOCは以前にもましてエネルギー移行(energy transition)に意識を傾けるようになっており、いくら有望であってもサインボーナス等の金額に糸目をつけずにブラジル沖合プレソルトの鉱区権益を取得する時代は終わった[1]との見方をする向きもある。

一方、PetrobrasはBúzios鉱区の権益90%、Itapu 鉱区の権益100%、Aram鉱区の権益80%を取得した。Petrobrasは、Santos 盆地プレソルトのリスクの低い資産を獲得することで生産量を増やし、長期的な成長を目指す戦略をとっている。また、Petrobrasは、TOR鉱区の開発移行時に原油価格、開発コスト、生産量等を勘案しTOR契約(譲渡額)を見直すことで政府と合意していた。これに基づき政府と協議を行った結果、2019年末に政府から約90億ドルを受け取ることとなっている。これをサインボーナスの一部とすることで、金銭面での負担を軽減することができる。今回の入札で競合がなかったことで政府引取利益原油の比率を低く抑えることもできた。

中国企業2社にとって中南米は中核エリアであり、両社ともに深海の探鉱・開発を促進しており、大規模な既発見油田を獲得する機会は限られているとの考えから、今回の入札に参加したと見られている。

Albuquerque鉱山エネルギー大臣は入札結果を肯定的に受け止める発言を行ったが、政府は入札結果を受けて、プレソルトエリアにもコンセッション契約を導入することと Petrobrasが持つ優先権を廃止することを柱とした法律改正を目指しているとの報道が散見されるようになっている。ただし、法律の改正には時間がかかると考えられ、今後の動向が注目される。


[1] Petroleum Intelligence Weekly, 2019/11/8

以上

(この報告は2019年11月13日時点のものです)

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