ページ番号1008696 更新日 令和2年2月18日
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1. 政治・経済情勢
(1) 国内
政治・経済
年次教書演説で憲法改正を提案
- プーチン大統領は、1月15日、連邦議会への年次教書演説を行った。連邦評議会の議員、下院議員、政府関係者、最高裁判所の長、地方政府の知事など、1,300名が参加した。
- プーチン大統領は演説の中で、ロシアでの出生率が下がっていることに触れ、保育所の増加、2人以上の子どもがいる家庭への支援、給食の無料提供などの支援政策について述べた。医療の分野では、2019年に平均余命が73歳を超えたことや、乳児死亡率が多くの欧州諸国よりも低いことに触れつつ、プライマリヘルスケアの近代化、医薬品の供給の円滑化の必要性について述べた。投資促進への政策については、重要なプロジェクトの税務条件を最大20年間変更しない投資保護法の可決や、中小企業の投資税控除、国家福祉基金からの投資の増加などの成果を挙げ、2021年にはロシアのGDP成長率は世界の成長率よりも高くなると述べた。
- また、市民の自由と権利、人間の尊厳、人間の幸福が最高の価値であるロシアのさらなる発展のために、憲法改正の議論が非常に合理的かつ重要であると述べ、ロシア憲法の国際法に対する優位性、大統領や政府の重要な地位にある者の要件、国家評議会の役割の明記、大統領による連邦大臣の任命権の変更など、改正の論点について語った。

写真出典:http://kremlin.ru/events/president/news/62582
新内閣が発足
- 1月15日、プーチン大統領及び政府閣僚は会合を開き、その中でメドベージェフ首相(当時)は、プーチン大統領が年次教書演説で説明をした政府の権力バランスの変更のために大統領が必要な決定を下す機会を提供しなければならないとして、ロシア連邦憲法第117条に基づく内閣総辞職をすることを表明した。同日、プーチン大統領は新首相として、ミシュスチン連邦税務長官を指名し、1月16日に下院で同氏の首相就任が承認された。メドベージェフ首相は、1月16日付でプーチン大統領が議長を務める安全保障理事会に新設された副議長に任命された。

写真出典:http://kremlin.ru/events/president/news/62586
- 続く1月21日、プーチン大統領は新内閣の閣僚を任命した。プーチン大統領は新内閣との初めての会合で、最も重要なことは国民の福祉の改善と世界における国家の地位を強化することで、これらは絶対に達成可能な目標だ、あなた方が全力を尽くし目標を達成する希望を表明したいと語った。
新内閣閣僚一覧

写真出典:http://government.ru/gov/persons/
- なお、Kozak前副首相(産業担当)は大統領府副長官に、Medinsky前文化大臣及びOleshkin前経済発展大臣は大統領補佐官に、それぞれ1月24日付けの大統領令によって任命された。
憲法改正法案を下院に提出
- プーチン大統領は、年次教書演説で語った憲法改正案を検討するため、1月15日に作業部会を設置した。作業部会は、国会議員、学者など75名で構成され、1月16日に第一回会合が開催された。続く1月20日、プーチン大統領は作業部会の提案に基づく憲法改正案を下院に提出し、1月23日には下院の第一読会を通過した。他方、この第一読会を通過した法案においては、憲法改正は国民投票を行った上で行われるべき旨が定められているが、改正憲法の施行時期や施行までの具体的なプロセスについては特に記載はない。
- 第一読会で審議された憲法改正法案の主な内容は以下のとおり。
- ロシア連邦の大統領となる者は、ロシアに少なくとも25年は居住する者であり、外国籍や外国に永住権がない者であることが必要。また、連邦構成知事、連邦議会上院・下院議員、首相、副首相、閣僚、連邦機関の長、裁判官についても同様。
- ロシア国民の社会的権利の保護と機会の均等を確保するため、最低生活水準を下回らない「最低賃金」や「年金」の物価スライドを保証。
- 国家統一を確保する観点から、条約や国際法規においてロシア憲法に反する規定については適用しない。
- 連邦議会と地方政府の交流を円滑にし、ロシア政府の議会に対する説明責任を増加させる観点から、連邦議会の機能を強化し、首相や副首相については、連邦議会下院の承認を得た後に、大統領は任命をできる。閣僚についても同様とする。
- 法執行の透明性を確保し、検察組織の独立性を高めるため、大統領は連邦議会上院と協議の上で治安機関の長を任命。また、大統領が憲法裁判所や最高裁判所等の判事を罷免する際にも同様に議会上院と協議。
- 上院の法案採択後、大統領から要請があった場合、大統領の署名前に憲法裁判所が法律の合憲性を確認。
- 国内・外交政策や主要な社会経済政策の方向性を決めるため、政府関係者の調整の場として連邦委員会を創設。地方政府も中央政府と同様に一体的な公的主体として位置づけ。
ロシア政府が気候変動に対する対策を策定
- ロシア政府は、気候変動への対応を強化するためのパリ協定の実施の一環として、2022年までの第一段階の国家計画を12月25日付で策定した。
- 本計画では、気候変動の影響によるロシアの人口、経済、自然の脆弱性を緩和し、また、気候変動により得られる経済的な機会を利用するために、連邦、産業、地域のそれぞれの機関によって実施されるべき経済的社会的措置を定め、優先事項を次の2点としている。
- 自然管理と環境保護に関する政府委員会の下で、気候変動への適応に関する作業部会の設立のための提案の準備と、各執行機関の権限を明確にすることを目的とした気候変動への適応分野の規制法の準備をすること。
- 連邦、産業、地域の適応目標を達成するためのシステムを定義し、気候変動リスクを査定し、気候変動への適応に関する産業、地域、企業の計画を策定するためのガイドラインを承認すること。
- 本計画の進捗状況については、経済発展省がロシア政府内関係省庁のとりまとめを行い、毎年6月15日にまでに報告がなされる。また、国家計画の第一段階で実施された措置の有効性の評価を含めた実施結果は、第二段階となる2025年までの期間の気候変動への適応策策定の基礎とされる。
(2) 対外関係
1) EU・米国・カナダ
クリミア政府関係者等へ制裁
- EUは、1月28日、クリミア政府関係者7名とクリミアの鉄道運営会社及びその社長を制裁対象とした。EU理事会は、違法に併合されたクリミア自治共和国とウクライナのSevastopol市で2019年9月8日にロシアの地方選挙が組織され、この選挙への関与を通じて、今回の制裁対象者が積極的に行動を支持し、ウクライナの領土の完全性、主権、独立を損なう又は脅かす政策を実施したとしている。また、米国財務省の外国資産管理局は、1月29日、EUと同じ対象者を制裁リストに追加した。さらに、カナダも同日に同様の措置をとった。
- これに対して、ロシア外務省のZakharova報道官は、1月30日、EUの決定について、我々は対照的な報復措置なしにEU理事会の決定を放置することはないと述べ、対抗措置をとることを示唆した。また、ワシントンのロシア大使館は、1月30日に公表された声明で、アメリカの制裁はロシアの政治に影響を及ぼさず、ロシア政府との相互に有益な協力の基盤とした自身の利益を損なうだけであると述べた。
2) ドイツ
プーチン大統領とメルケル首相がモスクワで会談
- プーチン大統領は、1月11日、モスクワを訪れたメルケル首相と会談し、シリア情勢、リビア情勢、中東情勢、ウクライナ情勢、及び露独の二国間関係について議論した。
- プーチン大統領は、会談後の記者会見の中で、ロシアにとってロシアとドイツの貿易は中国に次いで2位であり、2019年1月から10月にかけての貿易額は438億ドル、ドイツからロシアの投資は200億ドルとなったと述べた。また、Nord Stream 2プロジェクトを支援するドイツ政府の責任ある立場を高く評価すると述べた。さらに、首脳会談では、ウクライナとのガス輸送契約ついても議論されたと述べ、この契約がロシアとウクライナ双方にとって相互に有益でバランスが取れており、欧州の消費者の利益も満たすことができると主張した。
- 一方、メルケル首相は、Nord Stream 2プロジェクトは欧州の法律に追って合法化されており、これを完成させる必要があると述べた。ウクライナのガス輸送契約についても、今後5年間の非常に良い合意に達したのは喜ばしいと評価した。

写真出典:http://kremlin.ru/events/president/news/62562
2. 石油ガス産業情勢
(1) 原油・石油製品輸出税
- 2020年1月、原油輸出税はUSD10.6/バレルに引き下げられ、東シベリア及びカスピ海北部の油ガス田等に対しては、引き続きゼロ課税となった。
- 1月の石油製品輸出税はUSD23.1/トン、ガソリンについてはUSD42.4/トンに設定された。
(2) 原油生産・輸出量
- 1月、原油、ガス・コンデンセート生産量は4,772万トン(約3億4,836万バレル、平均日量1,128万バレル)で、前年同月比0.8%減。
(3) 天然ガス生産量
- 1月、天然ガス生産量は655億立方メートル(約2.3TCF)で、前年同月比で3.1%減。
(4) 税制・法制
北極圏の投資促進のための関連法案をロシア政府が策定
- 極東北極圏開発省は、1月30日、閣僚会議で極東北極圏開発省が財務省、エネルギー省とともに北極圏の投資促進のための関連法案が承認され、法案が連邦議会下院に提出されると発表した。関係省庁会議の中で、ミシュスチン首相は、同法案は北極圏への投資を誘致し、鉱床を開発し、これにより北極海航路の開発を加速し、新しい雇用を生むための有利な条件を作ると説明した。
- この法案は、北極圏での1,000万ルーブル以上の投資について、税制上非税制上の優遇措置を提供する。Kozlov極東北極圏開発大臣によると、この優遇制度により、少なくとも5つのプロジェクトで、合計1兆7,700億ルーブルが投資されるとしている。
- また、港湾、工場などの建設においても、10年間の法人利潤税を免除することが規定されており、さらにその輸出品の海上輸送サービスの付加価値税の免除、砕氷支援も盛り込まれているため、北極海航路の使用を促進することが期待されている。
- 石油天然ガスの海上生産プロジェクトの鉱物抽出税については、商業生産開始から15年間は、石油については5%、天然ガスについては1%に軽減される。また、陸上生産プロジェクトについては、商業生産開始から12年間は鉱物抽出税を免除とし、13年目から17年目に徐々に通常の税率に引き上げられる。LNGプロジェクトに関しても、LNGの輸送を開始してから12年間は鉱物抽出税を免除することとしている。
3. ロシア石油ガス会社の主な動き
(1) Gazprom
バングラデシュの国営石油会社との戦略的協力覚書を締結
- GazpromのMarkelov副社長は、バングラデシュを訪問し、1月29日にバングラデシュの国営石油会社Petrobanglaと5年間の戦略的協力のための覚書に署名をした。また、同副社長は、ハシナ首相とも面談を行い、エネルギー分野での協力展望について議論を行った。
- PetrobanglaはGazpromのバングラデシュの主要なパートナーであり、2012年、2015年にバングラデシュでの探査開発の掘削のための契約を締結している。また、2017年には、バングラデシュの南部、Bholaでの井戸の建設の契約を締結している。これらの結果、8鉱区で17の井戸を建設しており、年間合計7BCMのガスを生産している。
(2) Gazprom Neft
Salymsky-2鉱区をShellとのJVに移管
- Gazprom Neftは1月17日、Shellとの合弁会社Salym Petroleum Development(SPD社)での協力を拡大すると発表した。Gazprom Neftは、同社が保有するハンティマンシ自治管区のSalymsky-2ライセンス鉱区をSPD社に移管し、SPD社がオペレーターとして同鉱区を開発する。Salymsky-2鉱区は、376平方キロメートルの面積があり、SPD社が保有するWest Salym鉱区、Vadelyp鉱区、Upper Salym鉱区の近くに位置している。Salymsky-2鉱区での開発で、SPD社の既存の生産設備を効率的に使うことで、相乗効果が期待される。Salymsky-2鉱区では、現在、3次元探査で得られた地質情報の解読が進められている。
- SPD社は1996年に設立され、Gazprom Neftが50%、Shellが50%を保有している。同社はこれまで、通算8,300万トンの原油を生産している。
(3) Novatek
Novatek子会社にLNG輸出権を与える法案をロシア政府が策定
- ロシア政府は、1月30日、閣僚会合でロシアからLNGを輸出する権利について定めるガス輸出法の第3条について改正する法案を承認した。法案は今後、連邦議会下院に提出され議論される。
- 現在の法律では、民間企業がLNGを輸出する権利は、2013年1月1日時点でLNGプラントの建設やLNGでの出荷が求められる連邦的意義を有する地下資源鉱区のライセンスを保有する者に限られ、輸出できるのは当該鉱区で生産されるガスを原料としたLNGに限られている。
- 新しい法案は、LNG輸出権を保有する者が2013年1月1日以降にライセンスを取得した連邦的意義を有する地下資源鉱区で生産されるガスを原料としたLNGに関しても輸出権を与える。また、LNG輸出権を持つ企業と同じ親会社の管理下にある企業に対してもLNG輸出権を与える。
- 北極圏からの天然ガスの生産、輸出を増加させるという政府の目標を達成するため、法律の変更が提案された。また、報道によると、当該法案は、プーチン大統領がNovatekのMikhelson社長からの要請を受け、2019年11月に作成を命じたものとされている。現在、LNG輸出ライセンスが与えられているのは、Gazprom、Gazprom Export、Rosneft、及びNovatekの子会社のYamal LNG、Arcrtic LNG 1、Arcrtic LNG 2、Arcrtic LNG 3の7社のみ。
ノバテクの北極圏でのLNGプロジェクトのために外国で一部の砕氷LNGタンカーを建造
- NovatekのMikhelson社長は、1月23日、スイスで開催されたダボス会議で、ロシア政府から10隻のArc 7砕氷LNGタンカーを外国で建造する許可を得たと明かした。さらに必要となる砕氷船15~17隻については、ロシア国内のZvezda造船所に発注される見通し。
- 同社は既に5隻のタンカーの建造契約をZvezdaと締結しており、3月までにさらに10隻の建造契約を締結する予定。これらのタンカーは2023年~2025年の間に完成するが、NovatekはYamal LNGとObsky LNGでのLNG生産予定が増加していることを背景に、当初の計画よりもより多くのタンカーを必要とするため、プーチン大統領に外国での砕氷船の建造の許可を求めていた。
- Mikhelson社長は、同会議において、Obsky LNGの第1トレインの稼働は2022年後半から2023年初旬になり、第2トレインはその6~9ヶ月後になると述べている。生産能力は、それぞれ250万トンの予定。また、Arctic LNG 1プロジェクトについては、2021年または2022年に投資決定を行う方針で、Arctic LNG 2は2022~2023年に生産を開始する予定になっている。
4. 東シベリア・極東・サハリン情勢
(1) 極東
2020年にESPOパイプラインで7,600万トンを輸送予定
- Transneftは、ESPOパイプラインでの2020年の原油輸送量は7,600万トン(日量152万バレル)となる計画であると、自社で発行する雑誌の中で発表した。また、2019年の同輸送量は7,130万トン(同143万バレル)だったが、2019年にESPOパイプラインの輸送能力は8,000万トン(同160万バレル)に達しており、石油会社はこの優れた輸出経路の利用を望んでいるため、実際の輸送量も次第に8,000万トンになると述べた。
- 同社によると、ESPOパイプラインは東シベリアの石油開発の刺激となっており、同地域のパイプラインへの出荷量は年々増加している。Transneftによると、約5年前には、ESPOパイプラインの原油は62%が西シベリアからで、38%が東シベリアからのものであったが、西シベリアの出荷量は現在、46%から54%と、東シベリアからの出荷利用とほぼ同等となっている。
- ESPOパイプラインが運用開始した2008年~2009年には、パイプラインを利用する石油会社はたった2社しかなかったが、現在は12社にまで増加し、配給地点も1ヶ所から7ヶ所に増加した。2020年から2023年には、さらに3社がパイプラインへの供給を開始する計画もある。
(2) サハリン
Gazpromは2020年にサハリン3プロジェクトへ519億ルーブルを投資
- GazpromのMiller社長は、1月30日、サンクトペテルブルクでサハリン州のValery Limarenko知事と面談し、サハリン州での投資計画について議論した。その中で、Gazpromは2020年に519億ルーブルをサハリン州、主にサハリン3プロジェクトに投資予定だと発表した。また、2014年から2019年の間の投資額は823億ルーブルであった。
- また、2020年には、サハリン州のガス化プロジェクトに13.9億ルーブルを投資する予定としている。2019年の同投資額は3億ルーブルだった。同地域では、2017年から2019年にかけて天然ガス自動車の需要は6倍に増加している。計画の最終段階として、2020年にはGazpromの2番目となる自動車用のガス充填コンプレッサーステーションが建設され、同施設では1日当たり400台の自動車にガスが充填できる予定。
- Gazpromとサハリン州は自動車の天然ガスの使用拡大に関する覚書及びガス化協定に署名しており、2019年のサンクトペテルブルク国際経済フォーラムでもサハリン州でのLNGの生産及び使用のための市場発展における合意に署名している。同地域の2020年1月1日時点のガス化率は38%とされる。

出典:https://www.gazprom.ru/press/news/2020/january/article498787/
5. 新規LNG・P/L事業
(1) Yamal LNG
第4トレインの稼働開始は2020年第1四半期に遅延
- Yamal LNGプロジェクトの第4トレインは、2020年の第1四半期に稼働を開始すると、NovatekのMikhelson社長が1月23日、スイスで開催されたダボス会議で発表した。Novatekは当初、第4トレインの稼働は2019年末に予定していた。第4トレインの生産能力は約90万トンで、稼働を開始すればYamal LNGのLNG生産能力は、年間1,740万トンとなる。
- 報道によると、同施設の設計に間違いがあり、稼働を開始するためにはパイプを交換する必要がある。追加で生産されるLNGはスポット市場での販売を予定しており、現時点ではLNGの販売契約は締結していないため、遅延による販売義務違反などは生じないとされる。
ロシア政府がLNG船の輸入税と輸送税を免除
- 報道によると、ユーラシア経済委員会はYamal LNGプロジェクトで傭船されている外国船籍のLNG船について、関税と付加価値税を免除することを12月19日の会議で承認し、現在、関係国の署名手続きを行っている。免税の対象となるのは、Arc 7級砕氷船15隻を含む2014年から2016年に傭船された船に限定され、2043年12月30日まで有効となる。
- Yamal LNGの傭船への免税については、同プロジェクトの輸送計画が変更になったことから、ロシアの要請でユーラシア経済委員会において検討された。同プロジェクトは、当初、傭船したLNG船を利用して欧州やアジアに直接で輸送する予定であったが、現在、ムルマンスクやカムチャツカでLNGを積み替えて輸出することを計画している。これにより、傭船されたLNG船はロシア領海を内航するため一時的な船舶の輸入とみなされ課税対象となることが論点となっていた。
(2) Turk Stream
Turk Streamの開通式典を開催
- プーチン大統領とトルコのエルドアン大統領は、1月8日、イスタンブールで開催されたTurk Streamの開通式典に出席した。Turk Streamはロシアからトルコへ黒海を横断する2本の並行するパイプラインで、合計31.5BCMの容量がある。1本目のパイプラインはトルコにガスを輸送し、2本目のパイプラインはトルコ国内を経由して、南欧州、南東欧州へガスを輸送する予定。海中部分のパイプラインの建設は2017年7月に開始され、2018年11月に完成し、2019年11月にパイプラインにガスが充填された。Gazpromが2018年に見積もった建設費用は70億ドルとされている。
- プーチン大統領は、式典でのスピーチの中で、Turk Streamを通じたロシアのガス供給はトルコと黒海地域の経済にとって非常に需要であるだけでなく、多くの南ヨーロッパ諸国の発展にもプラスの影響を与えることは間違いなく、欧州全体のエネルギー安全保障の改善に貢献すると述べた。また、エルドアン大統領はTurk Streamによって、いかなる国の仲介もなくロシアのガスが直接トルコに届けられ、1,500万人の需要を満たすと述べ、また、過去33年間で約4,000億立方メートルのガスをトルコに供給してきたロシアが天然ガスの供給者のリーダーであるとロシアを称賛し、相互に有益な関係を築けているとして、両国の良好な関係を強調した。

写真出典:http://kremlin.ru/events/president/news/62553/

出典:https://www.gazprom.com/press/news/2019/november/article491783/
以上
(この報告は2020年2月18日時点のものです)
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