ページ番号1008709 更新日 令和2年3月9日

原油市場他:OPEC及び一部非OPEC(OPECプラス)産油国での減産措置強化に関する交渉が決裂、既存の減産措置も2020年3月末に終了へ、これを受け原油価格は下落(速報)

レポート属性
レポートID 1008709
作成日 2020-03-09 00:00:00 +0900
更新日 2020-03-09 10:47:58 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 市場
著者 野神 隆之
著者直接入力
年度 2019
Vol
No
ページ数 14
抽出データ
地域1 グローバル
国1
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 グローバル
2020/03/09 野神 隆之
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概要

  1. OPEC産油国は、2020年3月5日にオーストリアのウィーンで臨時総会を開催し、3月31日までの減産措置を2020年末まで延長することに加え、さらに2020年6月末まで日量150万バレル減産を強化することを、3月6日に開催される予定あるOPECプラス産油国閣僚級会合に進言することで合意した。
  2. また、その後同日、OPEC産油国による非公式協議が実施され、日量150万バレルの減産措置の強化期限を2020年6月末ではなく2020年末としてOPECプラス閣僚級会合に進言することで改めて合意した。
  3. ところが、3月6日に開催されたOPECプラス産油国閣僚級会合では、減産措置強化を主張するOPEC産油国と既存の減産措置の6月末迄の延長のみの実施を主張するロシアとの間での議論の隔たりが解消しなかった結果、交渉が事実上決裂し、OPECプラス産油国が2020年1月1日より実施していた減産措置も3月末で終了、4月1日以降OPECプラス産油国は事実上自由に原油生産を行うことが可能となった。
  4. 背景には、新型コロナウイルス肺炎の拡大による世界経済成長と石油需要の伸びの鈍化懸念等により下落した原油価格の浮揚を図りたいサウジアラビアと、長期的なエネルギー市場の安定を好ましいとするロシアとの間での減産措置強化を巡る見解の相違があったと見られる。
  5. 3月6日に開催されたOPECプラス産油国閣僚級会合での減産措置強化に関する交渉が事実上決裂し、既存の減産措置も3月末で終了することとなったことにより、この先の新型コロナウイルス肺炎拡大による世界経済成長及び石油需要の伸びの鈍化観測と併せ、世界石油需給緩和懸念が市場で強まったことから、この日の原油価格(WTI)は前日終値比で1バレル当たり4.62ドル下落し、終値は41.28ドルと、2016年8月3日以来の低水準に到達した。
  6. また、サウジアラビアは4月積みの同国産原油の全ての品種につき大幅な値下げを行う旨3月7日に発表した他、同国は4月に日量1,000万バレルを相当程度超過する原油生産を行う意向である旨3月8日に報じられるなど、OPECプラス産油国間で原油増産及び値下げ合戦の兆候が見られることから、石油市場関係者の心理が一層冷え込んだことで、3月8日夜間(米国東部時間)の時間外取引では原油価格(WTI)が一時1バレル当たり30.00ドルと前週末終値比で11.28ドルの大幅下落を示す場面も見られている。

(OPEC他)


1. 協議内容等

(1) OPEC産油国は、2020年3月5 日にオーストリアのウィーンで臨時総会を開催し、新型コロナウイルス感染拡大により2020年の世界石油需要の伸びが2019年12月時点の見通しである日量110万バレルから今般日量48万バレルへと下振れしたことを考慮し、前回OPEC総会、そしてOPEC及び一部非OPEC(OPECプラス)産油国閣僚級会合で合意した、3月31日までの減産措置(基準原油生産水準(概ね2018年10月の原油生産量)から日量約170万バレル程度減産)を2020年末まで延長することに加え、2020年6月末まで日量150万バレル減産を強化することを、3月6日に開催される予定あるOPECプラス産油国閣僚級会合に進言することで合意した(参考1参照)。

(2) 新たに強化する日量150万バレルの減産については、OPEC産油国で日量100万バレル、一部非OPEC産油国で同50万バレル、それぞれ負担するとした。

(3) 総会では、新型コロナウイルス感染の拡大の石油市場への影響につきさらに継続的に監視する旨表明した。

(4) また、その後同日、OPEC産油国による非公式協議が実施され、石油市場での展開(OPEC総会後も原油価格が下落し続けたことを指しているものと見られる)を考慮し、OPEC産油国は、3月6日開催予定のOPECプラス産油国閣僚級会合に対する進言につき、日量150万バレルの減産措置の強化期限を総会で決定した2020年6月末ではなく2020年末とすることで改めて合意した(参考2参照)。

(5) ところが、3月6日に開催されたOPECプラス産油国閣僚級会合では、減産措置強化を主張するOPEC産油国と既存の減産措置の6月末迄の延長のみの実施を主張するロシアとの間での議論の隔たりが解消しなかった結果、交渉が事実上決裂し、OPECプラス産油国が2020年1月1日より実施していた減産措置も3月末で終了、4月1日以降OPECプラス産油国は事実上自由に原油生産を行うことが可能となった(表1参照)。

(6) 交渉が事実上決裂したことを受け、今回のOPECプラス産油国閣僚級会合に関する声明は発表されない旨3月6日に報じられた。

(7) なお、OPECプラス産油国共同技術委員会(JTC: Joint Technical Committee)は3月18日に開催される予定である他、OPECプラス産油国共同閣僚監視委員会(JMMC: The OPEC-Non-OPEC Joint Ministerial Monitoring Committee、委員はサウジアラビア、クウェート、UAE、イラク、アルジェリア、ナイジェリア、ベネズエラ、ロシア、カザフスタン、及びオマーン)の枠組みは存続する旨3月6日に伝えられる。

(8) 3月6日に、ロシアのノバク エネルギー相は、次回のOPEC産油国閣僚級会合の日程を決定する前に新型コロナウイルス肺炎の状況や他の産油国の原油生産状況等を監視する必要があるとして、当該会合の次回開催については定まっていないことを示唆した。

(9) ただ、OPECプラス産油国は石油市場安定化に向け適宜非公式に協議を行う方向である旨3月6日に報じられる他、ロシアが同意するのであれば、当初開催が予定されていた次回OPEC総会(6月9日)及びOPECプラス産油国会合(6月10日)前にOPECプラス産油国間で会合を開催することもありうる旨3月6日にUAEのマズルーイ エネルギー相は発言している。

表1 OPEC及び一部非OPEC産油国減産幅


2. 今回の会合の結果に至る経緯及び背景等

 (1) 前回OPEC総会及びOPECプラス閣僚級会合開催時(OPEC総会が2019年12月5日、OPECプラス閣僚級会合が12月6日)時点では、2020年の世界石油需給が日量100万バレル程度供給過剰になると予想されたこともあり、OPECは既存の減産措置に日量50万バレル程度を追加したうえ、減産遵守徹底(これにより事実上日量50万バレル程度の供給を市場から排除できると見られた)を要請することで、石油需給を均衡させるとともに原油価格の下支えを図ろうとした。

 (2) もっとも、2020年の世界石油需給に関し、米国と中国の貿易紛争を巡る交渉の進捗状況、及び米国のシェールオイルを含む原油生産量の見通し、といった要素等に強い不透明感があったことから、この時のOPEC総会及びOPECプラス産油国閣僚級会合では、2020年3月に改めてOPEC総会及びOPECプラス閣僚級会合を開催し、必要であれば減産措置につき再調整するという余地を残す格好となった。

 (3) 2019年12月のOPECプラス産油国会合における減産措置拡大の決定により、世界石油需給の引き締まり期待が市場で醸成されたことに加え、米国と中国の貿易紛争を巡る第一段階の合意に関する文書署名実施への期待が市場で高まるとともに2020年1月15日には実際に当該文書署名が行われたこと、そして1月3日に米国軍がイラン革命防衛隊ソレイマニ司令官を殺害したうえ、1月8日にはイランがイラクに駐留する米軍基地を攻撃するなど、一時米国とイランとの対立が先鋭化したことにより中東情勢の緊迫化と当該地域からの石油供給への不安が高まったこともあり、OPECプラス会合以降1月中旬にかけ原油価格はWTIの終値ベースで1バレル当たり57.81ドル~63.27ドル、ブレントのそれで同63.72~68.91ドルの範囲で推移していた(図1参照)。

図1 原油価格の推移(2019~20年)

 (4) しかしながら、1月下旬以降中国で新型コロナウイルス肺炎の拡大により同国等の経済成長と石油需要の伸びの鈍化懸念が市場で発生したことから、原油価格は下落し始め、2月4日以降WTIで1バレル当たり50ドル、ブレントでは1月27日以降1バレル当たり60ドルを割り込むようになった。

 (5) このようなことから、2019年12月11日に実施したサウジアラビア国営石油会社サウジアラムコの株式公開後、原油価格の下落もあり同社の株式価格が下落傾向を示した(同社の株式売却価格は1株当たり30~32サウジアラビア・リヤル(870~930円程度)であり、上場初日の終値は1株当たり35.20リヤル、12月16日には38リヤルに到達したものの、その後原油価格の下落等の影響もあり、2020年3月5日には33.00リヤルにまで下落してきている、図2参照)ことに対し、同社株式の相当部分を購入している同国投資家間での利回り低下に神経質になっていたサウジアラビアは、早急に原油価格の浮揚を図るべく減産措置の拡大を推進すべく調整を図り始めた。

図2 サウジアラムコの株式価格(2019~20年)

 (6) 中国での新型コロナウイルス肺炎がどの程度拡大し、またいつ拡大ペースが鈍化するかが不透明である中、当該肺炎により世界石油需要がどれくらい下振れするかについては、市場でも評価が定まらなかったが、それでも2020年は日量50万バレル程度下振れするのではないかとの見方が市場で出始めた(2月3日には米国大手金融機関ゴールドマン・サックスが、新型コロナウイルス感染拡大により2020年の世界石油需要が日量50万バレル失われることを原油市場は折り込みつつある旨示唆している)。

 (7) そのような中で、OPECプラス産油国が当初の会合開催日程を2月14~15日に前倒しして日量50万バレル程度追加減産を実施する旨検討していると2月3日に伝えられた。

 (8) そして、2月4~5日に開催されたJTCは、2月6日へと協議を1日延長したうえ、関係産油国全てが同意するのであれば日量60万バレルの減産措置強化を即時実施し6月末まで継続する旨OPECプラス産油国会合等に進言することで合意した。

 (9) しかしながら、この場においてロシアは当該減産措置強化を受け入れるかどうか判断するために時間的猶予が必要である旨表明、態度を保留した(当初サウジアラビア側は日量80~100万バレルの規模の減産措置強化を希望したが、ロシアが拒否したため、日量60万バレルへと減産措置強化の規模を縮小し妥協を図ろうとしたものの、新型コロナウイルス肺炎の世界石油需要への影響を判断するには時期尚早であるとしてロシア側の姿勢は軟化しなかった旨2月6日に伝えられる)。

(10) そして、2月7日にはロシアのノバク エネルギー相は、中国の新型コロナウイルス肺炎の世界石油需要への影響は日量15~20万バレルと有意な規模ではなく、従って減産措置を強化するには及ばない旨明らかにするなどしており、OPECプラス産油国間での意思統一が得られない状況となった。

(11) このため、2月14~15日へのOPEC総会及びOPECプラス産油国閣僚監視委員会の前倒しは行われず、当初予定通り3月5~6日の会合開催となった。

(12) しかしながら、2月下旬以降は中国のみならず中国以外の国でも新型コロナウイルス肺炎の拡大が目立つようになり世界各国・地域の経済成長と石油需要の伸びの鈍化懸念が市場で増大したことから、原油価格はさらに下落し続け、2月28日にはWTIで1バレル当たり44.76ドル、ブレントで同50.52ドルの、それぞれ終値と、WTIで2018年12月27日(この時は同44.61ドル)以来、ブレントで2018年12月24日(この時は同50.47ドル)以来の低水準に到達した。

(13) このように原油価格が下落し続けたこともあり、2月28日にはサウジアラビア等が2020年第二四半期において日量100万バレル減産措置を強化することを検討している旨明らかになった。

(14) 他方、減産措置強化に消極的であったロシアは、2020年の自国の予算措置の前提となっている平均原油価格想定がブレントで1バレル当たり42.40ドル(WTIで同37ドル程度)であるため、足元の原油価格水準は許容範囲である(また、3月5日には同国のシルアノフ財務相も、OPECプラス産油国閣僚級会合で減産につき合意できなくてもロシアは原油価格下落に対しての準備はできている旨示唆している)ものの、国外の相手先との間での協力を含め何らかの方策を講じることを排除するわけではない旨プーチン大統領が3月1日に明らかにした。

(15) また、同時にプーチン大統領は、原油価格の動きの予測が困難であることや、ロシアは複数のシナリオを検討する必要がある旨強調するとともに、OPEC産油国との協力を通じ長期的な世界エネルギー市場の安定性を確保することが重要であることを示唆した(背景には、原油価格を短期的にかつ急激に上昇させてしまえば、米国のシェールオイル開発・生産活動が急速に活発化するとともに同国の原油生産が大幅に増加するため、原油価格が乱高下し石油市場が不安定化することに加え、原油価格の急激な上昇で産油国であるロシアの通貨ルーブルが急上昇することにより輸出収入に依存する同国製造業等が打撃を受けることに対する懸念があるとされる)。

(16) このようなことにより、財政収支均衡価格がロシアより高水準(サウジアラビアの財政収支均衡価格はWTIで1バレル当たり80ドル程度、ブレントで同85ドル程度であると推定される)であり、かつサウジアラムコの株式価格の浮揚という喫緊の課題を抱えるサウジアラビアと、国家予算措置の前提原油価格がサウジアラビアよりも大幅に低水準であり、かつ長期的な石油市場の安定を望ましいと考えるロシアとの間では、減産措置に対する姿勢に相違が見られる状況であった。

(17) その後、ロシアは日量60万バレルの減産措置強化につき検討しているものの、日量100万バレルの減産措置強化については提案を受領していない旨ノバク エネルギー相が明らかにしたと3月2日に伝えられる。

(18) また、3月3日に開催されたJTCでは、日量60~100万バレルの減産措置の強化をOPEC総会及びOPECプラス産油国閣僚級会合に対し進言したと報じられた。

(19) しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大により、2020年前半の世界石油需要は日量210万バレル下振れするという新たな見解を3月3日にゴールドマン・サックスが披露した。

(20) このようなこともあり、3月4日に開催されたJMMCで、サウジアラビアが日量120~150万バレル程度の減産措置強化案を主張したとされたのに対し、ロシアは既存の減産措置を2020年第二四半期末まで延長する案を主張、委員会に出席していたノバク エネルギー相が途中退席する(そして、ノバク氏はプーチン大統領に相談するためにロシアに帰国、3月6日のOPECプラス産油国閣僚級会合の際にウィーンに戻る旨明らかにしたと3月5日に報じられる)など、両国の歩み寄りはなされてないことが判明した。

(21) そして、3月5日になってもサウジアラビアとロシアとの間での調整が完了しなかったことから、OPEC産油国としては減産措置強化策を確定しきれなかったものと見られ、同日開催されたOPEC総会ではOPECプラス産油国閣僚級会合に向け既存の減産措置の期限延長と日量150万バレルの減産措置強化を進言することで合意したものと見られる。

(22) ただ、OPEC総会で打ち出された2020年6月末までの日量150万バレルの減産措置の強化方針に対し、例えばゴールドマン・サックスが2020年第二四半期の世界石油供給過剰を防止しきれないかもしれない旨同日明らかにしたこともあり、総会開催後も原油価格は下落が続いた。

(23) このようなこともあり、OPEC総会後に、改めて非公式協議をOPEC産油国は開催するとともに、日量150万バレルの減産措置の強化期限を6月30日から2020年末まで延長する方針に改定する旨決定した。

(24) しかしながら、3月6日にウィーンに戻ってきたロシアのノバク エネルギー相はOPECプラス産油国閣僚級会合においても、従来の主張を繰り返したと見られ、日量150万バレルの減産措置強化を主張するサウジアラビアをはじめとするOPEC産油国との間で妥協点が見出せず、交渉は事実上決裂した。

(25) ノバク エネルギー相は、新型コロナウイルス肺炎と世界石油需給がどのように展開するかにつき把握する必要がある旨の認識を示した(原油価格の下落には多分に投機的要素がある旨発言したと3月6日に伝えられる)と3月6日に伝えられており、この時点でもロシアとしては減産措置強化を判断するにはなお時期尚早であると認識していたことが示唆される。


3. 原油価格の動き等

 (1) 3月5日に開催されたOPEC総会では、2020年6月末までの日量150万バレルの減産措置強化をOPECプラス産油国閣僚級会合に進言する等の内容で合意したが、この時点でロシアによる当該措置強化への合意が得られていなかったことに加え、当該減産措置強化を以てしても2020年第二四半期の世界石油供給過剰感を払拭するには力不足であるかもしれない旨市場関係者から見解が示されたこと、さらに新型コロナウイルス感染拡大に対する懸念から米国株式相場が下落したこともあり、この日の原油価格(WTI)の終値は1バレル当たり45.90ドルと前日終値比で0.88ドルの下落となった。

 (2) ただ、その後OPEC産油国間で日量150万バレルの減産措置の強化期限を6月末から年末まで延長する旨変更したことから、世界石油供給過剰感が市場で後退したこともあり、3月5日夜間(米国東部時間)の時間外取引では、原油価格が上昇する場面も見られた。

 (3) しかしながら、ロシアの減産措置強化に対する姿勢が不透明であったことに加え、3月5日の米国株式相場下落の流れをアジア市場も引き継いで当該地域株式相場が下落したことから、まもなく原油価格は下落に転じた。

 (4) さらに、3月6日に開催されたOPECプラス産油国閣僚級会合での減産措置強化に関する交渉が事実上決裂し、既存の減産措置も3月末で終了することとなったことにより、この先の新型コロナウイルス肺炎による世界経済成長及び石油需要の伸びの鈍化観測と併せ、世界石油需給緩和懸念が市場で強まったことから、この日の原油価格(WTI)は前日終値比で1バレル当たり4.62ドル下落し、終値は41.28ドルと、2016年8月3日(この時は同40.83ドル)以来の低水準となった。

 (5) そして、OPECプラス産油国閣僚級会合での交渉決裂を受け、サウジアラビアは4月積みの同国産原油の全ての品種につき大幅な値下げを行う旨3月7日に発表した(当初サウジアラビアは自国の4月積み原油価格につき3月5日に決定する予定であったが、OPECプラス産油国閣僚級会合での結果を考慮するため、発表を3月7日に遅延させる旨3月5日に伝えられていた)他、同国は4月に日量1,000万バレルを相当程度超過する(日量1,100万バレル近くの水準とも伝えられる)原油生産(因みに1~2月の同国原油生産量は日量970万バレル程度であったと推定される)を行う(必要とされる場合には日量1,200万バレルにまで増産することもありうる)意向である旨3月8日に報じられるなど、OPECプラス産油国間で原油増産及び値下げ合戦の兆候が見られることから、石油市場関係者の心理が一層冷え込んだことで、3月8日夜間(米国東部時間)の時間外取引では原油価格(WTI)が一時1バレル当たり30.00ドルと前週末終値比で11.28ドルの大幅下落を示すとともに、2016年2月22日の取引日(この時の安値は同29.48ドルであった)以来の低水準に到達する場面も見られた他、米国時間3月8日午後7時(日本時間3月9日午前8時)現在も32ドル台後半近辺で推移している。

 (6) また、この先短期的にも世界石油供給過剰感が市場で意識される結果、原油相場に下方圧力が加わる他、サウジアラビア、そして他のOPECプラス産油国の実際の原油生産状況によっては、原油相場が低迷したままとなるといった展開も想定される。

 (7) さらに、中国内外での新型コロナウイルス肺炎の拡大ペースが継続したり、加速したりするようだと、世界石油需給が一層緩和するとの観測が市場で発生する結果、原油相場が一層下振れする場面が見られるといった可能性も否定できない。

 (8) ただ、今後OPECプラス産油国による石油市場安定化のための減産措置実施を含めた再調整の動きが出てくるようであれば、世界石油需給引き締まりに対する市場関係者の期待が発生することにより、原油相場が持ち直すといったことはありうる。

 (9) そして、そのような中で、米国と中国との貿易紛争に関する第二段階の合意に向けた交渉状況と両国等の経済成長及び石油需要の伸びの見通しに対する市場の心理、米国とイランとの対立を含む中東情勢の安定性を含めた地政学的リスク要因に対する市場の懸念、リビアでの和平交渉の行方と同国の原油生産状況、及び、投資家等資金供給者から生産量確保よりも収益確保を優先するように圧力を加えられているとされる一部米国石油会社を含む石油会社のシェールオイル開発・生産方針と実際に生産状況、といったことを含む要素も市場関係者の焦点となり、それらを巡る情報等が原油相場に影響を与えていくものと考えられる。

(10) なお、原油価格の下落を受け、3月8日のサウジアラムコ株式終値価格は1株当たり30リヤルと前取引日(3月5日)終値比で9.09%の下落となっている。


(参考1:2020年3月5日開催OPEC臨時総会時声明)

 

OPEC 178th (Extraordinary) Meeting of the Conference concludes

No 03/2020
Vienna, Austria
05 Mar 2020

The 178th (Extraordinary) Meeting of the Conference of the Organization of the Petroleum Exporting Countries (OPEC) was held in Vienna, Austria, on Thursday, 5 March 2020, under the Chairmanship of its President, HE Mohamed Arkab, Minister of Energy of Algeria and Head of its Delegation.

The Conference took note of the announcement from Ecuador that it has withdrawn from its Membership of OPEC, with effect from 1 January 2020.

The Conference recalled the First OPEC Summit held from the 4-6 March 1975, exactly 45 years ago, in Algeria. The Summit saw the establishment of OPEC’s sister organization, the OPEC Fund for International Development. The Conference acknowledged Dr Abdulhamid Alkhalifa, Director-General of OFID, and his able staff, for their great achievements in contributing to reducing poverty and improving the lives of millions of people around the globe.

The Conference reviewed the report and recommendations of the Joint Ministerial Monitoring Committee (JMMC), whose work continues to be ably supported by the Joint Technical Committee (JTC) and the OPEC Secretariat.

The Conference took note of oil market developments since it last met in Vienna on 6 December 2019 and reviewed the oil market outlook for the remainder of 2020.

It noted the positive ramifications of the decision to further voluntarily adjust production at the 177th Meeting of the Conference, and subsequently the 7th OPEC and non-OPEC Ministerial Meeting, with market sentiment improving in the weeks thereafter.

However, the COVID-19 outbreak has had a major adverse impact on global economic and oil demand forecasts in 2020, particularly for the first and second quarters. Global oil demand growth in 2020 is now forecast to be 0.48 mb/d, down from 1.1 mb/d in December 2019. Moreover, the unprecedented situation, and the ever-shifting market dynamics, means risks are skewed to the downside.

The Conference noted that the further impact of the COVID-19 outbreak on oil market fundamentals necessitates further continuous monitoring.

Accordingly, in view of the current fundamentals and the consensus on market perspectives, the Conference decided to recommend to the 8th OPEC and non-OPEC Ministerial Meeting to extend the adjustment levels agreed at the 177th Meeting of the Conference and the 7th OPEC and non-OPEC Ministerial Meeting for the remainder of the year. It also agreed to recommend to the 8th OPEC and non-OPEC Ministerial Meeting a further adjustment of 1.5 mb/d until 30 June 2020 to be applied pro-rata between OPEC (1.0 mb/d) and non-OPEC producing countries (0.5 mb/d) participating in the Declaration of Cooperation.

The Conference commended all OPEC Member Countries, as well as non-OPEC countries participating in the Declaration of Cooperation, for their continued commitment to achieving and sustaining balance and stability in the market.

Member Countries reaffirmed their continued focus on fundamentals for a stable and balanced oil market, in the interests of producers, consumers, and the global economy. The Conference emphasized the ongoing dialogue with consuming countries, and the consultations undertaken in a collegial spirit before reaching decisions. Member Countries are resolute and committed to being dependable and reliable suppliers of crude and products to global markets.

The Conference confirmed that its next Ordinary Meeting will convene in Vienna, Austria, on 9 June 2020, and noted that September 2020 will mark the 60 Year Anniversary since the founding of OPEC in Baghdad in 1960.

The Conference expressed its continued gratitude to the Government and to the people of Austria, as well as the authorities of the City of Vienna, for their warm hospitality and excellent arrangements for the Meeting.


(参考2:2020年3月5日開催OPEC産油国非公式協議時声明)

 

OPEC Heads of Delegation hold further consultations

No 04/2020
Vienna, Austria
05 Mar 2020

 

In view of market developments and following OPEC’s 178th Extraordinary meeting today, the Heads of Delegation of the OPEC Conference held further consultations and decided to recommend extending the duration of the proposed 1.5 million barrel per day additional adjustment until the end of 2020, instead of 30th of June 2020.

The consultations, monitoring and constant review undertaken of current market conditions demonstrate the strong commitment of OPEC Member Countries to work together to restore oil market stability. Declaration of Cooperation members are determined to jointly rise to meet the current pressing challenge.


以上

(この報告は2020年3月9日時点のものです)

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