ページ番号1008712 更新日 令和2年3月17日

ロシア情勢(2020年2月 モスクワ事務所)

レポート属性
レポートID 1008712
作成日 2020-03-17 00:00:00 +0900
更新日 2020-03-17 12:21:25 +0900
公開フラグ 1
媒体 石油・天然ガス資源情報
分野 基礎情報
著者 黒須 利彦秋月 悠也
著者直接入力
年度 2019
Vol
No
ページ数 15
抽出データ
地域1 旧ソ連
国1 ロシア
地域2
国2
地域3
国3
地域4
国4
地域5
国5
地域6
国6
地域7
国7
地域8
国8
地域9
国9
地域10
国10
国・地域 旧ソ連,ロシア
2020/03/17 黒須 利彦 秋月 悠也
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1. 政治・経済情勢

(1) 国内

政治・経済

憲法改正の国民投票を4月22日に実施
  • プーチン大統領は、2月13日、2月26日に憲法改正の提案を準備するための作業部会を開催し、憲法改正案について議論が行われた。憲法改正案は、議会で可決された後、大統領署名によって施行できるが、プーチン大統領は1月の発案当初から憲法改正案を国民投票にかけると発言しており、2月26日の作業部会でも改めて国民投票の重要性を主張した。国民投票は、本来は平日である4月22日を休日に変更した上で実施する案が出され、プーチン大統領もこれに同意した。
  • 憲法改正案については、1月20日に法案を下院に提出、1月23日には第一読会で承認されたが、2月11日に予定されていた第二読会が延期され、法案の議論が継続されている。憲法改正案には約900件の修正案が出されたとされ、作業部会で議論がされた。市民の最大の関心は、社会的問題、政治改革、国の領土保全とされている。
  • 2月13日の作業部会では、俳優のVladimir Mashkov氏が、ロシアの領土割譲を禁止する条項を加えることを提案した。プーチン大統領はこれを支持し、26日の作業部会では、唯一の問題は、外務省が国境の境界設定に取り組むことを将来妨げないような処方を見つけることであると述べ、一定の条件を付けてこの案を採用する方針を示した。
憲法改正の提案を準備するための作業部会(2月26日)
憲法改正の提案を準備するための作業部会(2月26日)
写真出典:http://kremlin.ru/events/president/news/62862

新型コロナウィルスの影響を受け、春には連邦予算のパラメーターを修正
  • 財務省のSiluanov大臣は、2月28日、新型コロナウィルスの蔓延の影響を考慮して、春に2020年~2022年の予算案を見直し、修正する意向を示した。同大臣は、ウィルスの影響がどの程度継続するか確認する必要がある、春に見通しを更新して予算の見積りを改善する、と述べた。また、世界経済が予想よりも悪くなることが明らかだが、状況がどのように発展するかは分からない状況だと強調した。
  • 原油価格の下落について、同大臣は、ロシアには積立金があることから、1バレルあたり約30ドルになったとしても、支出を補うことができると説明した。また、世界の多くの油田、特にシェールオイルについては生産コストが高いことから、原油価格の低迷は長くは続かないとの考えを示した。
  • 2月17日にロシア中央銀行が発表した金融政策レポートでは、2019年12月の同レポートの基本シナリオで2020年に55ドル/バレルとしているウラル原油価格の見通しを変更していなかった。同シナリオでは原油価格は2020年に徐々に下がり、2021年、2022年の価格見通しは50ドル/バレルとされている。しかし、同レポートの中では世界の石油需要の成長を制限する新型コロナウィルスの拡散に関連する不確実性は、世界の原油価格に下方圧力を与えると付記されている。
  • この基本シナリオでの原油価格下落傾向は、OPEC+以外の国からの生産が大幅に増加する中で、世界経済の成長が鈍化し、石油市場の需要が供給過剰になることを前提としている。また、その他の原油価格変動要因として、OPEC+の減産合意の動向、政治的緊張に直面しているイラン、リビア、ベネズエラの石油生産及び輸出動向、米国と中国の貿易戦争を挙げている。
  • ロシア財務省によると、2月のウラル原油の平均価格は54.24ドル/バレルで、前年同期の63.85ドル/バレルよりも大きく下がった。なお、ロシア政府は2020年の基礎原油価格は42.4ドル/バレルと設定している。これを上回った部分の石油ガス収の金額が国民福祉基金に繰り入れられており、基礎原油価格までは、ロシアの国家歳入に直接的な影響はない。

(2) 対外関係

1) 米国

ベネズエラとの取引を理由にRosneft子会社に制裁
  • 米国財務省は、2月18日、ベネズエラの原油の販売と輸送を支援しているとして、Rosneftのスイスを拠点とする子会社Rosneft Trading SAと同社のDidier Casimiro代表(Rosneft社副社長)をSDNリストに指定し、制裁対象とすると発表した。米国財務省のMnuchin長官は、プレスリリースの中で、米国はマドゥロ政権によるベネズエラの石油資産の略奪を防ぐことを決意していると述べている。
  • 制裁には約90日間の猶予期間が設けられており、5月20日以降、Rosneft Trading SAとの取引が禁止される。また、同社や同代表の米国内の資産が凍結され、直接的間接的に50%以上を保有する事業体も制裁対象となる。一方、この制裁は親会社であるRosneftやRosneftの他の子会社には適用されない。
  • これに対しRosneftは、2月18日、同社のウェブサイトで声明を発表し、米国財務省が発表した制裁は違法であり、不当であり、法的虐待行為であると主張した。また、Rosneftは国内外法の規則を厳守してベネズエラでプロジェクトを実施しており、プロジェクトの実施の過程で株主の利益のために商業活動のみを行い、政治的目標を追求しないと主張述べた。Rosneftは制裁に対して法的対応も検討している。
  • また、報道によれば、TNK Trading International SAという企業が2020年1月から2月の間にベネズエラの原油1億4,300万バレルを輸送する計画となっている。同社の2019年通年の実績はわずか500万バレルであったため、Rosneft Trading SAと取引ができなくなったベネズエラの損失を一部相殺していると見られている。このTNK Trading International SAは、2017年12月からRosneftが支配権を得ており、Rosneft Trading SAと同じジュネーブの住所で登記されている。
  • PDVSAは制裁対象となったRosneft Tradingから原油輸出契約をTNK Trading International SAに変更し、670万BBLを2月に輸出したとされ、エリオットエイブラムス米国ベネズエラ特命代表は「事実を把握していると共に、彼らがOFACとゲームをプレイするのであれば、追加制裁を受けるだろう」と警告している。

 

2) サウジアラビア

サルマン国王との電話会談を実施
  • プーチン大統領は、2月3日、サウジアラビアのサルマン国王と電話会談を実施した。
  • 両者は世界の炭化水素市場の現状について議論した。また、世界の石油市場の安定性を確保するために、OPEC+形式での行動の更なる調整の準備ができていることを確認し、さまざまなレベルで連絡を継続することが合意された。
  • Peskov大統領報道官は、2月4日、この電話会議について、ロシアはOPEC+の形式で協力する準備ができていると述べたが、原油生産をさらに削減するかについてはコメントをしなかった。

 

3) ウクライナ

ゼレンスキー大統領と電話会談を実施
  • プーチン大統領は、2月14日、ウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談を行った。プーチン大統領は、ミンスク合意の完全かつ無条件の実施の重要性と、2019年12月9日のノルマンフォーマットの首脳会議で採択された決定を強調した。ロシア大統領府の発表によると、プーチン大統領は、ウクライナがミンスク協定を履行するつもりであるかどうか、直接問題提起したとされる。
  • また、会談では、安定した停戦の維持、軍隊と武力のさらなる撤退、地雷除去作業に関する問題も提起され、紛争関連の拘束者の釈放と、交流を目的とした努力を継続する用意があることを表明した。
  • 一方、ウクライナ大統領府の発表では、両大統領がドンバスとクリミアの一時的に占領された領土で保持されているウクライナ市民の解放に特別な注意を払ったとしているが、プーチン大統領が提起したとされるミンスク合意の履行については触れられていない。

2. 石油ガス産業情勢

(1) 原油・石油製品輸出税

  • 2020年2月、原油輸出税はUSD10.8/バレルに引き上げられ、東シベリア及びカスピ海北部の油ガス田等に対しては、引き続きゼロ課税となった。
  • 2月の石油製品輸出税はUSD23.5/トン、ガソリンについてはUSD43.1/トンに設定された。

参考:原油及び石油製品輸出税の推移


(2) 原油生産・輸出量

  • 2月、原油、ガス・コンデンセート生産量は4,466万トン(約3億2,602万バレル、平均日量1,129万バレル)で、前年同月比3.2%増。
  • 2月、原油輸出量は2,085万トン(約1億5,218万バレル)で、前年同月比1.0%減。

(3) 減産合意

OPEC+の共同技術員会が60万バレルの追加減産を勧告

  • OPECの共同技術委員会が、2月4日~2月6日、ウィーンで開催され、新型コロナウィルスの影響で低迷する原油価格を下支えするため、日量60万バレルを追加減産する勧告を出した。報道によると、ロシアが追加の減産ではなく、現在の減産量のままで減産期間を延長することを主張していたため、委員会の日程を1日延長した。減産については、3月初旬に予定されているOPEC+の閣僚会合で決定される。
  • ロシアのLavrov外務大臣は、2月6日、訪問先のメキシコで、OPEC+の減産合意を支持するかとの質問に対し、ロシアはOPEC+の協力を積極的に支援していると述べ、全ての石油輸出国に受け入れられる最適な市場規制措置を定義するための協議に関心があると述べた。また、その目的は、生産者と消費者の両方に害を及ぼす可能性のあるジェットコースター効果を取り除くためだと加えた。
  • また、Novakエネルギー大臣は、2月7日、新型コロナウィルスの流行による原油の世界需要への影響はそれほど大きくなく、需要減少への影響は日量15~20万バレルほどであるとの予測を述べた。
  • さらに、Novak大臣は、2月12日、OPEC+の共同技術委員会の勧告に対し、市場の利益に基づくバランスの取れたアプローチの決定に向けて、勧告を注意深く検討していると語った。一方、新型コロナウィルスの影響については極めて流動的だと述べ、状況を注視していると語った。

 

Novak大臣がイランの石油大臣、サウジアラビアのエネルギー大臣と石油市場について議論

  • Novakエネルギー大臣は、2月17日、イランのZanganeh石油大臣と電話会談を行った。また、続く2月18日には、Novak大臣はサウジアラビアのAbdulazizエネルギー大臣と電話会談を行った。Novak大臣は両国の大臣と、石油市場の現在の状況とOPEC+での相互作用について話し合った。
  • 新型コロナウィルスの影響を受けて原油価格が下落しており、OPEC+が更なる減産について議論するため、3月初旬の閣僚会合を前倒しする議論がされていた。しかし、Novak大臣は2月20日、メディアに対し、会合を前倒しすることはもはや推奨されないという共通の理解があると述べ、日付を変更するほどの特別な状況ではないとの見解を示した。また、OPEC+での追加の協調減産について、現在はまだ議論を行っており、3月初旬に予定されているOPEC+の会合まで、状況がどのように変化するか、市場で何が起こるか様子を見ると述べるに留まり、OPEC+でロシアが生産の更なる削減に合意するかについては言及しなかった。

(4) 天然ガス生産量

  • 2月、天然ガス生産量は604億立方メートル(約2.1TCF)で、前年同月比で2.4%減。

 

2035年、Yamal半島・Gydan半島のLNGが世界の23%の市場を占める

  • Novakエネルギー大臣は、2月10日、雑誌の記事で、ロシアはYamal半島とGydan半島のLNGクラスターを開発に積極的に取り組むことで、2035年までにLNG生産が8,000万トンから1億2,000万トンとなり、最大で世界の23%のLNG市場を占めることができると述べた。また、同地域でのLNG生産のための資源基盤は、少なくとも7.7兆立方メートルにもなると予測している。
  • 同大臣によると、ロシアは2018年のLNG生産は27BCMだったが、2019年は40BCM以上と、大幅に生産を伸ばしている。また、ロシアのLNGの輸出先は69%がアジア市場だが、パイプラインでのガス輸送が主流な欧州においても、輸送距離が短いことから、欧州でもロシア産のLNGの価格競争力があることを強調した。

(5) 税制・法制

Rosshelf設立法案にエネルギー省、天然資源省が批判的な立場

  • 報道によると、極東北極圏発展省が2019年12月に起草した国営企業Rosshelfを新しく設立し、大陸棚の資源開発を促進するという法案は、エネルギー省と天然資源省の反対を受けている。同法案は、ロシア国内で探査開発が進んでいない大陸棚での石油・ガスの投資促進のため、国営のオペレーターを設立し、民間企業からの投資を呼び込むというTrutnev副首相の提案をもとにしたもので、現在、法案の議会提出前の各省庁間の調整等が行われている。
  • エネルギー省のSorokin次官は、2月13日付で極東北極圏発展省に書簡を出したと報じられている。書簡では、極東・北極圏発展省がRosshelfの設立によって費用効果の高いオフショア鉱床開発を刺激できるとしているが、プロジェクトの資金調達や開発技術が分野別制裁の対象となっている中で、どのように新しい投資を引き付けるのかが示されていないと指摘している。また、法案におけるRosshelfの役割が不明瞭であることや、税法との矛盾などの問題を指摘している。
  • 天然資源省もRosshelf創設の明確な目的と十分な根拠がないと指摘し、法案に示されている大きな権限を与えれば大陸棚開発に悪影響がある可能性があるとしていて、エネルギー省の見解と一致している。

3. ロシア石油ガス会社の主な動き

(1) Rosneft

2019年の実績とVostok Oilプロジェクトについてプーチン大統領に説明

  • RosneftのSechin社長は、2月11日、プーチン大統領と会談し、2019年の同社の成果とVostok Oilプロジェクトについて議論した。
  • 同社長は、2019年の成果として、生産量が原油換算で2億8,550万トン、平均日量生産量は580万バレルだったと述べ、前年の水準に留まったものの、世界で最高水準であり、非常に良い結果であったと強調した。また、2次元探査は3,000キロメートル、3次元探査は11万3,000平方キロメートル実施し、前年よりも12.3%増加した。石油ガスコンデンセートの精製量は1億1,000万トンで、自動車燃料の小売売上高は前年よりも約6%上昇した。ポーランド、ドイツ、チェコ共和国への石油供給長期契約が延長され、ドイツには石油の総輸入量の25%相当を供給している。
  • プーチン大統領は、OPEC+の減産合意の中で生産は増加したのかと質問し、Sechin社長は2018年と同等であったと回答した。しかし、同社長は、2019年は最高水準の配当支払いとなり、国の予算に約3.6兆ルーブル(未確定な数値)を支払うことになる、と説明した。
  • また、プーチン大統領は、Rosneftが手掛けるVostok Oilプロジェクトについても説明を求めた。Sechin社長は、同プロジェクトの現在の資源基盤は原油50億トンであるとし、プロジェクト全期間における総投資額は10兆ルーブル以上になると説明した。また、同社長はプロジェクトの実施により、15の漁業町、2つの空港、港、800キロメートルの幹線パイプライン、3,500キロメートルの電線、2,000メガワットの発電所が建設され、10万人の雇用を創出、国の年間GDPを2%押し上げると説明した。プーチン大統領は、このプロジェクトは非常に大規模で有望であると評価し、ロシアのGDPの増加、北極海航路の貨物輸送の増加、北極圏でのロシアの地位の強化に期待を示し、すべてを適切に計算していく必要性を述べた。Sechin社長は最後に、大統領からのプロジェクトの支援に期待していると述べた。
プーチン大統領とSechin社長の会談
プーチン大統領とSechin社長の会談
写真出典:http://kremlin.ru/events/president/news/62763

West Irkinsky鉱区を子会社Vostok Oilに移管

  • 報道によると、2月11日、Rosneftの子会社のVostok Oil社に最初のライセンスとして、クラスノヤルスク地方のWest Irkinsky鉱区が移管された。同鉱区は2019年10月にRosneftがオークションにより取得していた。
  • Vostok Oil社は今後、Vostok Oilプロジェクトの実施のため、Rosneftとインド企業が保有するVankorクラスター、Neftegazholdingが保有するPayakha鉱区、RosneftとBPのYermak Neftegazが保有するBaikalovsky鉱区、Verkhnekubinsky鉱区、Posoisky鉱区、Rosneftが保有するEast Tymyr鉱区などの資産が移管されると見込まれている。
Vostok Oilプロジェクト位置図
Vostok Oilプロジェクト位置図
出典:https://www.rosneft.com/upload/site2/document_cons_report/Q32019_Results_ENG.pdf

Vostok Oilプロジェクトのための作業部会をインド企業と設立

  • Rosneftは、2月5日、インド企業とVostok Oilプロジェクトでの協力のための作業部会を設立すると発表した。
  • RosneftのSechin社長は、ニューデリーを訪問し、インドのPradhan石油天然ガス大臣と会談した。Rosneftによると、インド側はすでにVostok Oilに参加するという決定を下しているが、インド企業の同プロジェクトへの参入条件を可能な限り短期間で交渉するため、インド企業との定期的な作業部会を設立することに合意した。会談では、インドの顧客に品質の高い石油製品をいかに供給していくかということや、Sakhalin-1プロジェクト等の既存プロジェクトについても議論された。
  • また、RosneftとIndian Oil Corporation Limitedは、2020年末までにクラスノダール地方の黒海沿岸のNovorossiysk港から、最大200万トンの石油をインドに供給する契約を締結した。

(2) Gazprom

第15回Investor Dayを開催

  • Gazpromは、2月11日、第15回Investor Dayをニューヨークで開催した。イベントにはSadygov副社長、Burmistrova副社長兼Gazprom Export社長、Polous戦略局長、関係子会社の代表が参加した。
  • Polous局長は、Gazpromの今後10年間の発展計画の概要を説明した。Gazpromは、Yamal半島とロシア東部に新たなガス生産センターを開発することで、長期的なガス生産の安定成長を確保する。また、アムール地方とレニングラードで大型ガス処理施設を立ち上げることにより、収入源の多様化と多成分ガスの埋蔵量の収益化が可能になる。また、シベリアの力パイプラインにより中国への輸出を増加し、販売先を多様化することができ、さらにLNGの新たな施設の立ち上げにより遠隔市場へのアクセスが拡大すると説明した。
  • Burmistrova副社長は、ガス市場の見通しについて説明した。同副社長は新たなパイプラインであるシベリアの力やTurkStreamが立ち上がったことにより、最も環境にやさしい化石燃料である天然ガスの世界最大の供給者としての地位をさらに高めていると説明した。Gazpromは電子取引の促進などを通じて、ガスの販売をさらに促進していく。また、同副社長はロシアの信頼できる柔軟なガスの供給条件を利用して、有利な価格を顧客に提示することができ、ロシアのパイプラインガスを市場で最も競争力のあるものにすると主張した。
  • Sadygov副社長は、財務の主要な結果を説明し、不利な市況にもかかわらず、Gazpromの財務成績は前年と遜色ないことを強調した。推定を含む同社グループの2019年の純利益は210億ドルを超え、収益は1,200億ドルを超えている。また、2019年にGazpromの株価はドル換算で87%増加した。同社は今後、運用コストの削減に取り組み、年間2%削減することを最終目的とする。さらに現在取り組んでいるシベリアの力、TurkStream、Nord Stream2、Amurガス精製プラント、Ust Lugaガス処理及び液化プラントが稼働すれば、同社のEBITDAに合計3.7兆ルーブルが追加されると主張した。また、2030年には、2019年比で生産量は21%の増加、パイプラインでの輸出は34%増加する見通しを示した。
Gazpromの2030年における成果指標の見込み
Gazpromの2030年における成果指標の見込み
出典:https://www.gazprom.com/f/posts/64/716836/investor-day-2020-presentation.pdf

(3) Gazprom Neft

Mubadala Petroleumとの技術協力を拡大

  • Gazprom Neftは、2月12日、Mubadala Petroleumとの技術協力に関する協力覚書を締結したと発表した。技術協力の主要な分野は石油生産における革新的なソリューションの開発と生産プロセスのデジタル化であり、両者は他の分野における技術協力の機会も模索するとされている。
  • Mubadala Petroleumはアブダビを拠点とする国際的な石油ガスの探査・生産企業であり、Mubadala Investment Companyの完全子会社。Mubadala Petroleumは、現在10ヶ国で事業を展開しており、ロシアの他、中東、北アフリカ、東南アジアに注力している。
  • Gazprom Neftは2018年9月にMubadala PetroleumとのGazpromneft-Vostok JVの設立を発表し、共同事業を開始した。Gazprom Neft、Mubadala Petroleum、ロシア直接投資基金はGazpromneft-Vostok JVをそれぞれ51%、44%、5%を保有しており、西シベリアのTomsk及びOmskの12鉱区を手掛けている。同JVは特に、Tomskのジュラ紀以前の鉱床における回収困難な石油埋蔵量を開発するための技術を確立することを目的とした古生代技術プロジェクトを実施している。

(4) Novatek

Samburgskiyでガスコンデンセート処理能力を拡張

  • Novatekは、2月7日、Gazprom NeftとのJVで保有するArcticgasが、Samburgskiyライセンス地区でのガスコンデンセート処理施設の能力を拡張したと発表した。この拡張により、Achimov地層の開発に伴うガスコンデンセート生産の増加に対応する。同施設でのパイロット運転第3ステージは既に開始され、ガスコンデンセートの処理能力は年間120万トンとなっている。
  • NovatekのMikhelson社長は、プレスリリースの中で、我々はより深いAchimov地層でより濃度の高い液体炭化水素の生産を増加させており、新しい井戸を掘削し、追加の生産能力を試験することにより、天然ガスと液体燃料の生産及びガスコンデンセート処理量を増やすと述べている。
  • Samburgskiyライセンス地区は、Samburgskoye、Severo-Yesetinskoye、Vostochno-Urengoiskoye、Severo-Purovskoyeの各鉱区と、Urengoiskoye鉱区の一部で構成されている。探査および開発のライセンスはSever Energiaの完全子会社であるArcticgasが保有している。NovatekとGazprom Neftは2010年11月に50%ずつを出資するYamal Developmentを通じてEniからSever Energiaの51%を取得し、同プロジェクトに参入した。

4. 東シベリア・極東・サハリン情勢

(1) サハリン

LukoilとNovatekがGazprom Neftの鉱区買収を検討

  • 報道によると、Gazprom NeftはLukoil及びNovatekとサハリンの大陸棚の鉱区であるNeptuneとTritonの譲渡について協議を開始した。いずれの企業も取材に対してはコメントを拒否しており、詳細は明らかになっていない。
  • 以前、Gazprom NeftのYakovlev第一副社長はShellを含む他の投資家とのパートナーシップについて議論をしていると語っている。ShellはGazpromとともにSakhalin-2プロジェクトに参入しており、サハリン地域での開発の知見があるとして、パートナーの有力な候補とみられていた。
  • LukoilのAlekperov社長は、2019年12月にGazprom Neftと大陸棚のプロジェクトで交渉していると述べていたが、具体的なプロジェクト名については明かしていなかった。Novatekは天然ガスの開発に注力しており、大陸棚での経験も十分でないが、参入の意欲があると報じられている。
  • NeptuneとTritonはそれぞれ2017年と2018年に発見され、埋蔵量は5億5,000万トン以上と推定されている。これらの生産開始時期は2026年ごろを予定されている。
サハリン周辺鉱区図
サハリン周辺鉱区図(JOGMEC作成)

5. 新規LNG・P/L事業

(1) Yamal LNG

第4トレインの開始時期を2020年第3四半期まで再延期

  • NovatekのCFO、Gyetvay副社長は2月20日、2019年の同社の業績説明のためのカンファレンスコールの中で、Yamal LNGの第4トレインの工事は73%までしか完了しておらず、運転開始時期は2020年第3四半期に延期されると述べた。当初の計画では第4トレインは2019年中に稼働開始する予定だったが、1月にMikhelson社長が2020年第1四半期に稼働を開始すると発言していた。報道によると、施設の設計に間違いがあり、パイプの交換が必要なため稼働時期が延期されていた。
  • Yamal LNGの第4トレインはNovatekの独自のLNG技術であるArctic Cascadeが採用されており、この技術は2022年以降に生産開始を予定しているObsky LNGにおいても利用される予定となっている。しかし、Gyetvay副社長は、Obsky LNGの最終投資決定は、Yamal LNGの第4トレインの稼働開始のタイミングに左右されないと述べ、Obsky LNGプロジェクトの計画については別途発表すると述べた。

(2) Arctic LNG 2

NovatekとSovcomflotのJVがVEBと4隻のタンカーの資金調達契約を締結

  • NovatekとSovcomflotとのJVであるSmart LNGは、2月7日、Arctic LNG 2向けの4隻のArc7級LNGタンカーリースの資金調達契約ついて、VEBグループと契約を締結したと発表した。 また、Smart LNGはこれらのタンカー向けの長期傭船契約をArctic LNG 2社と締結した。これらの船舶はロシア極東のZvezda造船所で建造され、ロシア船籍となる。
  • NovatekとSovcomflotは、2019年9月にSmart LNGを設立することに同意した。Smart LNGはArctic LNG 2プロジェクトだけでなく、将来的なプロジェクトを含めたNovatekのプロジェクトにサービスを提供するLNG船を所有運営する。

(3) Nord Stream 2

Akademik CherskiyをNord Stream 2の敷設に利用か

  • 報道によると、2月10日、Nord Stream 2のパイプラインの建設が可能とされる船舶Akademik Cherskiyが極東のナホトカ港を出発し、シンガポールに向かった。同船は、Gazpromが2016年に購入し、保有している。Novakエネルギー大臣は、米国がNord Stream 2プロジェクトを制裁対象とすると発表したことで2019年12月にパイプラインの建設作業から撤退したAllseas社に代わり、Akademik Cherskiyがパイプラインの建設を完了する可能性があると述べている。しかし、同大臣は、Nord Stream 2の建設に着手するためには同船舶を改造する必要があるとも述べている。
  • Novak大臣は、2月9日に発行された雑誌の記事の中で、米国からの前例のない抵抗にも関わらず、Nord Stream 2の建設が完了できるとの自信を見せている。また、同記事の中で、同大臣は、Nord Stream 2によりロシアはガス供給を最適化できる一方、欧州諸国はロシアから直接燃料を受け取ることでエネルギーの安全性を高め、安定性、非常に競争力のある価格を確保するとして、同パイプラインの重要性を主張している。
Akademik Cherskiy
Akademik Cherskiy
写真出典:https://flot.gazprom.ru/d/textpage/82/130/end_gazflot-5.pdf

以上

(この報告は2020年3月16日時点のものです)

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